side:三井寿
陵南との練習試合に勝利した俺達湘北は、インターハイ予選に向けて追い込みを始めた。
この追い込みで特に鬼気迫る勢いなのが3年生達だ。皆大学進学の為にインターハイが終ったら引退とあって、今回への意気込みは俺達以上のものがあるかもしれない。
他に1年達もかなりの意気込みが伺える。特に宮城の奴は安田に負けられないと多くの汗を流してるぜ。
「リバウンドは俺がとーる!」
さて、今は二手に分かれて半面を使ったゲーム形式で練習をしてるんだが、向こうは桜木の奴が随分とうるさ……元気だな。
「甘いわ!」
「ンガッ!?」
まだバスケを始めて1ヵ月程度の桜木だが、ゴール下での動きはかなり形になってきている。
特にリバウンドに関しては赤木でも油断したら取られる程の急成長振りだ。もっとも、他はまだまだ素人同然だがな。
「赤木君、角田君と交代です」
「ほほう?この天才桜木の次の相手はカクか。よろしい!かかってきなさい!」
「負けないよ、桜木」
急成長している桜木だがやはり経験値不足だな。赤木だけじゃなく、猪狩さんや角田にもあしらわれちまう。
それでも時折光るものを魅せる辺り、やっぱり桜木には才能があるんだと再認識する。
「やれやれ、運動量だけはとんでもない男だ」
そう言いながら赤木は汗を拭う。
「あれで真っ当にスポーツをやったことがないってんだからな」
「ふん、勢いだけで勝てる程バスケは甘いスポーツじゃない」
「あぁ、そうだな。けど、時にはその勢いが必要なのもバスケだぜ?」
「言われんでもわかってるわ」
水分補給をした赤木は猪狩さんとの練習に向かう。
それに合わせる様に木暮に倉石、そして宮城が俺の所にやって来た。
さて、俺も練習に集中するか。
◆
side:藤真健司
インターハイ予選まで残り僅かといった頃、三淵監督が復帰された事に俺達は喜びの声を上げていた。
「こうして老いぼれが帰ってきたわけだが、チームの指揮は引き続き健司に任せるものとする」
そんな監督の言葉に俺は驚いたが三淵監督は……。
「1年のブランクがある儂にいきなり指揮は取れんよ。今の儂に出来るのはチームの負けの責任を取ることぐらいさ。だから健司は好きにやればええ」
1年前の俺なら困惑したかもしれない状況も、今の俺は心の底からワクワクし始めている。人は変われるものだな。
「さて、儂なりにベッドの上で各チームへの対応を考えてきたんだが……健司、このノートいるか?」
ブランクがあるとか嘘だろう……。
心の底からそう思った俺は、苦笑いをしながらノートを受け取ったのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。