side:三井寿
今年のインターハイ予選が始まった。
神奈川は予想通りと言うべきか、ウインターカップでも揃った四強が勝ち抜いている。湘北、陵南、翔陽、海南の四強だな。
湘北の決勝リーグの日程だが、陵南、翔陽、海南の順番であたる事になった。
さて、陵南との試合の日がやって来たが皆落ち着いた面構えだ。
「やるべき事はやってきました。試合前に多くの事を言うつもりはありません。なので一つだけ……」
「君達は強い」
安西先生の御言葉で俺達のモチベーションは一気に高まった。
「俺達は強い!湘北ーーー!ファイッ!」
「「「オォォォオオオ!」」」
ジャンプボールは互角。こぼれたボールを池上が拾った事で試合は陵南の攻撃から始まる。
ボールを持った仙道のマークに付く。……何か狙ってる?
ピッと片手で高いパスを出す仙道。……この角度はバックボードに?っ!?やられた!
ガツンッと福田がアリウープでダンクを決める。景気良くゴールを決めたことで会場の雰囲気が陵南に流れる。
「いいパスでしょ?」
「あぁ、いいパスだ」
してやったりの顔をする仙道に相槌を打つ。だが、そう簡単に試合の流れはやらねぇよ。
長瀬さんにボールを要求するとゆっくりとボールを運ぶ。すると仙道が俺のマークにつく。
それなりに見れるようになったディフェンスだが……。
仙道の重心が後ろにあるのを感じ取った俺は、仙道はドリブルを警戒していると判断する。これが牧なら重心の位置をフェイクに3Pを誘ってくることもあるんだが……。
俺は仙道を試す様にディープスリーを撃つ。……手を伸ばしもしなかったな。どういう意図だ?
それはともかくこれでうちが1点リードだ。
まだ試合は始まったばかりだが仙道の行動の意図が読みきれず、俺は首を傾げたのだった。
◆
side:安西光義
「なるほど、田岡監督は思い切りましたね」
「どういうことですか先生?」
私の言葉に疑問の声を上げる美和さんに答えを返す。
「おそらく前半だけでしょうが、田岡監督は仙道君に三井君の3Pシュートを無視する様に指示を出したのでしょう」
「寿君の3Pシュートを?寿君は日本一のシューターですよ?」
「えぇ、私も三井君は日本一のシューターだと思います。ですが、それでも100%3Pシュートが入るわけではありません……後半の勝負所は別ですがね」
美和さんが頷くのを見て続きを話す。
「少なくとも2回に1回は外す。ならばそのリバウンドを取って攻撃に転じることが出来れば……そう考えて田岡監督は三井君の3Pシュートを無視するリスクを選択したのでしょう。木暮君も含めればもっとリバウンドの機会は増えるかもしれませんからね」
「田岡監督は魚住君を信じてるんですね」
「えぇ、そうですね。ですが、私も赤木君を信じていますよ」
目を田岡監督に向けると彼と目が合う。
「なので先ずはCで勝負といきましょうか」
私の意図が伝わったのか田岡監督が不敵に微笑む。
「もっとも、三井君と木暮君がそのまま3Pシュートを決めてしまうことが多いかもしれませんがね」
これで本日の投稿は終わりです。
次回の投稿は8月一杯までお休みさせていただきます。暑いのは苦手なのだ……。
9月にまたお会いしましょう。