side:三井寿
二度仙道と対峙したが相変わらず3Pシュートに対して警戒を感じない。
ならばと3Pシュートを撃って決めても仙道の反応は冷ややかなものだ。
……もしかして3Pシュートへの対応を捨てた?俺の?
チラリと陵南ベンチに目を向けるとそこには想定内と言わんばかりの田岡監督の姿が。
(……オーケー、わかった)
なら無視出来ない様にしてやろうじゃねぇか。
陵南のオフェンスが終わり長瀬さんがボールを持つと、俺はパスを要求したのだった。
◆
side:高頭力
「2本連続!流石だぜ!みっちゃん!」
湘北応援団の声を耳にしながら三井の動きを追っていく。……どうやら気付いたようだな。
「牧、お前ならどうする?」
「今の三井にはファールしてでも3Pシュートを撃たせません」
「そうだ、それが正しい」
パスを要求した三井がキャッチ&シュートで3Pシュートを撃つと、3連続で3Pシュートを決めた。
「三井は内も外も出来るオールラウンドなプレイヤーだがその本質はシューター……故にあいつのプレイのリズムを崩すにはジャンプシュートをなんとかしなければならん」
4本連続で三井が3Pシュートを決めると田岡先輩が腰を浮かしたが座り直した。どうやらまだ我慢するらしい。
「俺が考える三井と対峙した時にもっともやってはいけない行為は、三井に好き勝手にジャンプシュートを撃たせることだ。決まる、外れる関係無しに三井のプレイにリズムが生まれてしまうからな」
「じゃあ陵南の対応は悪手ですか?」
「そうとも言い切れんのが試合の難しさだ」
ここ最近頭角を現してきた2年の武藤の問いにそう答える。
武藤は今大会から少しずつ出番を与えているのだが、今の調子なら決勝リーグでもスタメンを任せてもいいかもしれないと考える。
「試合での経験には練習では決して得られない種類のものがある。それはわかるな?」
「はい」
「田岡監督はその経験を仙道に積ませるつもりだった。3Pシュートを切り捨てドリブル1本に絞りディフェンスをすれば、止められはせずとも三井に食らいつけるだろうと算段したのだろうな。そうすることでディフェンス力向上を実感させ自信をつけさせる……。もっとも、三井が敢えて3Pシュートに固執した事でその策は失敗しているが」
三井が5連続で3Pシュートを決めたところで流石に田岡先輩もタイムアウトをとった。
(田岡先輩は変わらんな。昔からチームメイトや教え子を信じ過ぎる。指導者としてはそれでいいかもしれんが、監督としては甘いと言わざるを得ん)
気持ちはわからんでもないがと呟くと、扇子で扇ぎ僅かばかりの涼をとるのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。