三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日も1話の投稿です。


第88話『闘将』

side:三井寿

 

 

 決勝リーグ第2試合の1戦、陵南と翔陽の試合では魚住が誰よりも存在感を放っていた。

 

 赤木との勝負に勝った事で完全に一皮剥けた魚住は、この試合のインサイドを完全に制圧している。最早魚住は県内どころか全国でもトップレベルのCだな。

 

 だが惜しいと言わざるを得ないのが今の陵南だ。

 

 福田はオフェンスはともかくディフェンスが完全に足を引っ張っている。

 

 池上はディフェンスでチームに安定感をもたらすが、オフェンスで相手にプレッシャーを与えられる程の怖さが無い。

 

 仙道はオフェンスとディフェンスの両面で不足なしと言えるが……まだ1年のあいつはこのレベルのバスケでパフォーマンスを維持出来るだけのスタミナがまだ無い。

 

 あのPG……たしか植草だったか?あいつは派手さはないが堅実にチームを回せるいいPGだ。けどまだ経験が足りないのか判断が一歩遅い。

 

 やっぱり惜しいと思う。魚住がモノになっただけに田岡監督だけでなく他の選手も悔しいだろうな。

 

 試合は魚住が奮闘したものの16点差で決着。これで陵南の今年の敗退がほぼ決まった。

 

 さて、次はうちと海南の試合だ。今年こそは全国大会に行くぞ!

 

 

 

 

side:魚住純

 

 

「すみません、魚住さん」

 

 試合が終わるとチームの皆が謝ってくる。

 

「謝るな!」

 

 こんなところで悔しさを吐き出しちゃいけない。だから俺はあえて強い言葉で皆を止める。

 

「謝って、自分を慰めて、悔しさを吐き出すな!その悔しさは練習にぶつけて自分の成長に繋げるんだ!」

「「「っ!?はいっ!」」」

 

 皆は歯を食い縛る様にしてベンチの片付けを始める。やれやれ、さっきみたいなのは柄じゃないんだがな。

 

「よく言ったぞ、魚住」

「監督……」

「強いところに勝ちきれない事でチームに良くない負け癖が付き始めていたが、さっきのお前の言葉で払拭されたはずだ」

 

 負け癖か……それは俺もどこかで感じていた気がする。

 

 多くの場面であと一歩が競り負けてしまう。ここ最近はその傾向が強くなってきて、格下相手にも変に苦戦してしまう事があった。仙道はそんなことはなかったが、あいつを引き合いに出すと変になるからな。あいつはあいつらしくマイペースであればいい。

 

「今日の試合で皆が己に足りないものを自覚した。後は練習をして、成長し、勝つだけだ」

「……はい」

「とはいえまだ海南戦が残ってる。全国行きは絶望的だが、最後までしっかり戦い抜くぞ」

 

 1年……必死にやってきて赤木に勝つことが出来た。だがチームは負けてしまった。それでは意味がない。

 

 そう思いを抱き歩き出し会場を出ると湘北のメンバーとすれ違う。赤木の様子を見るにどうやら立ち直った様だが……。

 

「次も俺が……いや、次は俺達が勝つ」

 

 そう決意を表明する様に呟くと、俺は胸を張って歩くのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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