三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日も1話の投稿です。


第89話『好敵手』

side:三井寿

 

 

 決勝リーグの2試合目、海南との試合だ。この試合に勝てばうちと翔陽の全国行きが決まる。

 

 なんだかんだと海南には勝ててねぇからな。今回こそは勝って全国行きを決めたいとこだ。

 

 さて今回の試合だが赤木が控えで猪狩さんがスタメンだ。理由は赤木が完全には復調してないからだな。精神的には完全に復調したんだが動きはまだどこかぎこちない。

 

 だがあまり心配する必要はないだろう。猪狩さんもいいCだからな。魚住の様なビッグマン相手だとつらいが、高砂相手なら互角以上に戦える。後は俺達次第だ。

 

 試合が始まった。ジャンプボール……猪狩さんが制してうちの攻めから。

 

 長瀬さんからボールを貰い牧とマッチアップ。……3Pへの警戒が強いな。じゃあドリブルで仕掛けるか。

 

 1つフェイントを入れてストレートに。牧はついてくる。……去年よりも確実にディフェンスが上手くなってやがる。

 

 1度下がって再度アタック……する振りをしてレッグスルーから3Pシュートを撃つ。っ!?立ち上がりからファールかよ!

 

 3Pシュートは外れちまったがフリースローだ。ちっ、1本外しちまったか。気持ちを切り替えてディフェンスに戻る。

 

 戻りながら考えるのはさっきの牧の動き。あのファールは狙ってやられた。おそらくは俺をリズムに乗せないためだと思うが……。

 

 牧がボールを持って上がってくると俺がマッチアップ。そして目が合う。

 

(なるほど、やっぱり狙ってやられたか)

 

 俺のリズムを崩すためにファールをする。光栄な事だ。おかげでまだ今日の3Pシュートの感覚を掴めちゃいないし、フリースローも1本外しちまった。

 

 けどな。

 

「リズムを崩した程度で勝てると思うなよ」

「わかってるさ」

 

 不敵に笑った牧がドリブルで仕掛けてくる。俺は借りを返すかの如く全力で止めにいったのだった。

 

 

 

 

side:牧紳一

 

 

 あぁ、わかってる。誰よりも俺がわかってる。そんな程度じゃお前に勝てないのはな。

 

 だが今の俺じゃお前のリズムを崩さなきゃ勝負にならないのも事実。悔しいがそれは認めなきゃいけない。

 

「フッ!」

 

 鋭く息を吐き1歩踏み出す。三井はついてくる。戻って仕切り直す。

 

 再度アタック。今度は1歩抜け出せたが、三井が厄介なのはここからだ。

 

 ほら、やっぱりカバーがいやがる。それもディフェンスが上手い倉石だ。三井を抜けると思うと、ほぼ確実にこいつがいる所に出ちまう。

 

 三井はこれを狙ってやってるんだろう。後ろに目でもついてんのか?まぁ、三井ならと納得出来ちまうがな。

 

「牧!」

 

 後ろにノールックでパス。決めろよ、宮!

 

 綺麗な放物線をボールが描く中で宮のフォローに動いた1人を除き、俺を含めた2人で高砂のフォローに動く。

 

 ……よし、決まった。これで1点リード。

 

 翔陽との試合じゃまだ完璧に出来ちゃいなかったこの新しい形も、ようやく様になってきたな。いい感じだぜ。

 

 ディフェンスに戻ると三井に目を向ける。さっきのうちの攻めに驚いちゃいないみたいだが、三井から感じる圧力が1段増しやがった。

 

(ふっ、望むところだ)

 

 試合は始まったばかり。夏の暑さなんて忘れるぐらい、もっと熱くなっていこうぜ!




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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