三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

99 / 201
第92話『片鱗』

side:三井寿

 

 

 インターハイ神奈川県予選決勝リーグも今日が最終日だ。午前中に陵南と海南の試合が、そして午後一番からうちと翔陽の試合が行われる。

 

 なので俺達は午前から会場入りして陵南と海南の試合の見学に来ているんだが、驚く事に桜木がやって来た。何故か坊主頭で。

 

「あ~……なんだ、これはけじめというかそんなもんだ。だから安西の親父!撫で回すんじゃねぇ!」

「ホッホッホッ、いい手触りです」

 

 陵南と海南の試合までまだ時間があったので桜木に話を聞いたが、どうやら桜木はバスケを続けられるそうだ。よかったぜ。

 

 さて、そうなると桜木もいい加減バッシュを買わねぇとなぁ。

 

「桜木君、坊主頭可愛くて似合ってるよ」

「おっ?そうっすか?いやー流石は晴子さん!わかってますねぇ!」

 

 しかしなんだ、桜木と晴子は相性がいいんだよな。晴子が天然ってのもあるが赤木で慣れてるのか強面が相手でも物怖じしねぇし、しかもバスケにも理解がある。桜木にとっちゃ理想の相手なんだが……。

 

「そういや美和、晴子が流川ってのに告白するとか話があったろ?」

「あぁあれ?晴子ちゃんにとっては残念だけど撃沈したわ」

 

 美和の従姉妹って事で身内贔屓もあるが、晴子程の器量良しもそうそういねぇもんだが振られちまったか。

 

「まったく流川の奴……晴子ちゃん程のいい子を振るなんて何を考えてって……あいつの事だからバスケの事しか考えてないか~……」

「お、俺は彩ちゃん一筋だから!」

「リョータ、そういう話はスタメンを勝ち取ってから言いなさい」

 

 この二人……中原と宮城も相性が良さそうなんだよな。美和の話だと宮城をバスケに集中させたいから中原が袖にしているんだとか。

 

 脈はあるぜ宮城。諦めんなよ。

 

 さて、そろそろ試合開始のようだ。

 

 ジャンプボールを魚住が制して陵南の攻めから。早速仙道と牧のマッチアップだ。

 

「おっ?」

 

 今の仙道のクロスオーバーは良かったな。ストレートに行くのかどうかわからなかったぜ。

 

 牧を抜いた仙道はそのまま中に切れ込み、更に高砂も抜いてレイアップを決めた。

 

 攻守が切り替わり今度は海南の攻め。さて、牧はどう攻め……。

 

「なにっ!?」

 

 驚いて思わず立ち上がっちまった。なんせ牧が3Pシュートを撃ったんだからな。

 

 スウィッシュとはいかなかったが、ボールはリングに嫌われず牧の3Pシュートは決まった。

 

 チラリと翔陽の方に目を向けると藤真も驚いてるぜ。

 

 こいつは厄介だな。

 

 おそらく牧の3Pシュートはそこまで成功率は高くねぇ。だがこうしてまぐれでも何でも決められたら警戒せざるを得ない。

 

 ただでさえ突破力のある牧なんだ。それが外も警戒しなきゃとなれば……止めるのは相当困難な相手になるぜ。

 

「ふふ、嬉しそうだね、寿君」

 

 美和に指摘されて気付いた。拳を握り締めて笑っている事に。

 

「まったく……もっと早くやれってんだ」

「3Pシュートは難しいからねぇ~。無茶言ったらダメだよ」

「それでもさ。文句の一つも言いたくなる」

 

 仙道は目を輝かせ牧が不敵に笑っている。全国というプレッシャーから解放されたってのもあるだろうが、あんなに楽しそうにされちゃあな。

 

「その分、全国を楽しんでこようよ」

「おう、そのためにも先ずは1位通過しねぇとな」

 

 陵南と海南の試合は牧の3Pシュートに面を食らったのか、終始海南のペースで進んでいき海南が勝利した。

 

 さぁ、次は俺達の番だ。勝って1位通過で全国に乗り込むぜ!




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。