ゴールドシップとの3年間   作:あぬびすびすこ

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 オリジナルのレースなのでとっても長くなってしまいました。
 お馬さんのゴールドシップくんのレース展開で実際にこういうものはありませんのであしからず。あくまでオリジナルです。


37、天皇賞(秋)

 天皇賞・秋。夏の宝塚記念からずいぶんと休んできた。

 宝塚記念の時もそうだったが、長めの休みをとることでゴールドシップはレースに向けて強いフラストレーションが溜まっている。

 特に、夏合宿ではボールのドリブルや竹ウマ、素潜りなど走りに関するトレーニングはかなり控えめだった。

 何故そんなことをしていたのか。それはひとえにこの苦手な東京レース場でのレースに向けてのことだ。

 

 ゴールドシップには言っていなかったが、夏合宿ではとにかくパワーを鍛えることに専念した。長所を伸ばすトレーニングを採用したのだ。

 それと同時に、体調面を整えることも重視していた。だからこそ、片脚ドリブルや竹ウマなど足裏へ刺激があるトレーニングを多くやってもらっていた。

 

 苦手なレース場で勝つには、苦手を克服するかそれを覆すほどの強さを手に入れるかだと思っている。

 トレーナーによっては苦手なレース場は回避して得意なところで勝ちを増やすという人もいる。

 

 だが、ゴールドシップに苦手の克服や回避するなど、そんな甘いことはさせたくないし、彼女だって嫌だろう。

 不利だと言われているところで大逆転。まさか、と思わせて本当に勝ち抜く。それこそがゴールドシップ劇場なのだから。

 

 調子は? そう聞くと、ニィっと笑顔を見せてくれる。

 

「ゴルシちゃん大・噴・火だぜ!」

 

 どうやら絶好調のようだ。そうなるように2人で調整してきているから、今回も成果はばっちりだな。

 今日のレース、作戦は覚えてる?

 

「あたりめーよ! スルメイカを飲み込むタイミングぐれーバッチリだぜ」

 

 よし、頼んだぞ! 拳を互いにぶつけて控室から出る。

 今回はゴールドシップのフィジカルだけじゃなく、その作戦による駆け引きもかなり重要になってくる。

 うまく引っかかってくれるかどうかだ。彼女を信じて見守ろう。

 

 

 

 

 

 いつもの定位置、ゴール板手前。

 応援に来てくれているのはいつものマックイーンたちではない。

 

「今日のレースはどうなるか」

「是非参考にするといい、エアグルーヴ」

 

 生徒会メンバーのルドルフとエアグルーヴだ。天皇賞秋はエアグルーヴが狙っているレース、その下見ということらしい。

 あとは、年末に備えて今日こそはゴールドシップの監視をするという名目もあるとも。勝った時のインタビューでおかしなことを言わないように、しっかり見ておくと。

 絶対無理だぞと言うと、貴様があきらめるなと怒られた。そもそも最初から言っておかないのがとお説教をされていると、ウマ娘たちが入場してきた。

 

『秋の天皇賞に出走するウマ娘たちが続々入場してきました! 注目のウマ娘たちです!』

『3番人気のエイシンフラッシュ。昨年の天皇賞、1着です。連覇を狙いたいですね』

 

 春の天皇賞でも戦ったエイシンフラッシュ。秋の天皇賞にも出走してきた。

 彼女は中距離の方が得意なようだから、この2,000mでのレースでは脅威になるだろう。

 

『2番人気のトーセンジョーダン。頑張りたいところですね』

『前回出走した重賞レースを勝っています。調子は十分でしょう』

 

 夏合宿中に札幌まで遠征していたジョーダン。激辛焼きそばのフラストレーションのせいかかなり強いレースで1着をとっていた。

 粘り強く走る彼女はこのレース場に合っているだろう。競い合いでは他の追随を許さないパワーを発揮する。

 

『1番人気はグランプリ連覇のウマ娘、ゴールドシップです!』

『気合十分のようですね……何をしているのでしょうか?』

 

 ゴールドシップは跳び上がったり側転したりと暴れまわっている。

 ジョーダンたちはドン引きしながら遠目に見ている。レース前に大丈夫かという不安げな空気感が観客たちのほうから出てきている。

 

「ゴールドシップ……あいつ!」

「トレーナーくん、あれは何か意味があるのかな?」

 

 準備運動だよと言うと、周囲にいた人たちが全員ギョッとして俺を見て、ゴールドシップを見つめた。

 嘘ではなく、走るために筋肉を温めているいつもの動きだ。同じような暴れ方をしている姿をトレーニング前によく見ているからな。

 何を言っているんだという顔でエアグルーヴに見られているが、いつものルーティーンなのだから文句を言われても困る。

 

『ええーと、他にも4番、5番、6番人気のメジロパーマー、ナリタタイシン、ナイスネイチャが有力なウマ娘と見られています』

『ナリタタイシンの後方からの末脚、ナイスネイチャの安定した走りは素晴らしいものがありますよ』

 

 トレーニング場がよく被るタイシンとネイチャ、合同練習でお世話になっているパーマーも出走する。どちらもかなりの実力をもつウマ娘だ。

 この作戦で気にしなければならないのは、メジロパーマーただ1人。フラッシュやジョーダンではない。

 作戦がバレても、パーマーであれば大丈夫だろうけど。

 

 しばらくしてゴールドシップが暴れ終わると、ゆるく走りながらゲートに向かっていった。

 それに続くようにして、各ウマ娘もゲートに向かう。

 

『さあ、まもなく始まります天皇賞・秋。果たしてどのウマ娘が勝つのでしょうか』

『各ウマ娘、ゲートインしていきます』

 

 ゴールドシップは2枠3番、内枠だ。先行するならばいい枠順だが、追込であれば少し困るところ。

 やや暴れてはいたが、係員にお願いされてゲートインする。

 

『ゲートイン完了、まもなく出走です』

 

 ――ガタンッ!

 

『スタートしました! ゴールドシップ、出遅れたか!』

 

 全員が好スタートを切る中、ゴールドシップは出遅れてしまう。

 すぐさま前のウマ娘たちが内側に入って蓋をしてしまい、最後方の位置になってしまった。

 

「スタートが苦手だな、ゴールドシップは」

「それにしても下手すぎます。練習しているんでしょうか?」

 

 練習はしてないよと言うと、エアグルーヴがギロっと睨んできた。

 ただ、今回の出遅れは別に構わない。後ろに下がるのは予定通りだからだ。

 

「予定通り……? このレース場では追込はかなり厳しいと思うが」

 

 ルドルフが不思議そうに聞いてくるが、それはお楽しみだと走っているウマ娘たちを見る。

 

『スタート地点からコースに入っていきます。先頭集団は向こう正面へ』

 

 200mほど走ったところで、集団は向こう正面の直線に入っていく。

 ジョーダンが先行、フラッシュとネイチャが中団、最後方にタイシンとゴールドシップ。うん、予定通りだな。

 

「……何か策があるんだな?」

 

 そう聞いてきたエアグルーヴに頷いて返答する。

 ゴールドシップ、頼んだぞ!

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 直線を走りながら、先頭があともう少しでコーナーに差し掛かろうとしているところだ。

 エイシンフラッシュとナイスネイチャは、後ろから息をのむ声が聞こえたのに気付いた。

 それと同時に、ドォン! という爆発音がした。

 

「っ!」

「えっ!?」

 

 チラッと後ろを振り向くと、驚いた様子のナリタタイシンと、大外に出ながら加速し始めたゴールドシップの姿があった。

 ドォン! ドォン! とスパートをかけている時の踏み込みを見せながら、直線でグングンと上がってくる。

 

(ウソでしょ!? まだ400mぐらいしか走ってないんですけど!)

 

 ネイチャは横に並びかけているゴールドシップに驚き、その意味不明なスパートのかけ方に困惑していた。

 ネイチャだけではなく、後方で同じように走っていたタイシンも、フラッシュも動揺している。

 

 人気が高いウマ娘たちや脅威だと思われるウマ娘の走りは対策されている。これはトレーナーたちやウマ娘がレースで走る時、当たり前のように行われるものだ。

 今回の場合、各ウマ娘とトレーナーたちは、ゴールドシップについて念入りにチェックしていた。今年に入って天皇賞から続いてGⅠを2つもとっているのだから。

 

 ゴールドシップの強さは春天でも見せた驚異的なスタミナから繰り出されるロングスパートと、上り坂でも失速しないパワー、そして長くいい脚を使うこと。

 そして弱点は、脚が切れる方ではないということ。末脚が凄いとは言うが、それはスタミナ勝負になった時のことだ。通常のレース展開でのスピードを見ると、凄まじく速いかと言われるとそうではない。周りが遅くなっている時にスピードが緩まないということなのだ。

 いかに残り半分からロングスパートをかけようとも、間に合わない。日本ダービーでのレース展開から、それは明らかだった。

 東京レース場の芝2,000mでは、最後の直線、525m。爆発的なスピードを出せるウマ娘が有利だ。いかにゴールドシップが加速しようが、後半で溜めた足を解放すれば勝機はある。

 誰もがそう考えていた。

 

 しかし、そんなことはゴールドシップのトレーナーもわかっていた。

 どうすれば相手の作戦を潰していけるのか。それを考えていたのだ。

 その結果が今のスパートにある。残り1,600mという序盤からロングスパートをかけ始めるという暴挙、ありえないレース。

 つまり、もっと早くからスパートを仕掛けていくというのが、ゴールドシップたちの作戦だ。

 

「はっはっはぁー! いくぜオラァァン!!!」

「ちょっ、ありえないって……!」

 

 ゴールドシップはどんどん加速して先頭集団へと進んでいく。後方で脚を溜めようとしていたウマ娘たちは焦る。

 たとえ脚を溜めていたとしても、あのペースで走られたら逃げウマ娘並のセーフティリードを許してしまうかもしれないのだ。

 しかし、行けない。自分たちの作戦は最終直線での末脚勝負なのだから。ここで消耗すれば、後半勝負できなくなってしまう。

 

『ゴールドシップ! どんどん上がっていきます! ここから仕掛けるつもりなのでしょうか!』

『前代未聞です! 序盤でスパートをかけていくなんて!』

 

 実況解説も混乱している。それもそのはず、こんなレースは見たことがないのだから。

 先頭集団に追いついたゴールドシップは足を緩めず、相変わらずの爆音を響かせていく。

 

「えっ、ゴールドシップ!?」

「なっ、あんた!」

「おいてっちまうぜぇー!?」

 

 ジョーダンやパーマーはギョッとした。出遅れたはずのゴールドシップが、コーナー前でここまで来ている!

 パーマーは今回もいつも通りの爆逃げをしようと思っていたが、思った以上にジョーダンたちが食らいついてきて離せなかったのだ。もっと速く行こうと思っていたら、後ろからズンズン進出してきたヤツがいた。

 しかも、加速を止めずに自分たちを抜かしにかかろうとしている! パーマーは戦慄した。ここで抜かれたら絶対に抜き返せない、相手は自分以上のスタミナお化けなのだから。

 

「ま、負けたくない!」

「おっシャアァーっ! まだまだいくからなぁ!?」

「ちょっ! めんどくさいことしてっ!」

 

 パーマーは爆音奏でる戦艦から逃げるようにペースを上げ、ゴールドシップはそれについていく。

 ジョーダンたち先行勢は脚を溜めておきたいところだが、そうも言っていられず、追従する。

 ゴールドシップの規格外のスタミナを誰もが知っているのだ。もしかしたら、このまま行かせたら逃げられるかもしれない。誰もがそう考えていた。

 

『第3コーナー入りまして、依然先頭はメジロパーマー! しかしなんということでしょうか、ゴールドシップがそのすぐ後方にいます!』

『メジロパーマー、ダイタクヘリオスの逃げウマ娘コンビが走った天皇賞を思い出しますね!』

 

 パーマーのスタミナにかまけた逃げに合わせるように、ゴールドシップがついていく。まるでダイタクヘリオスのように。

 それに合わせて全体のペースも上りに上がる。後方集団のネイチャやフラッシュ、タイシンたちはペースアップに困りながらも必死に追いすがる。

 

『さあ第4コーナーが終わって直線に入ります! この525mの直線、誰が最初に駆け抜けるのか!』

『現在先頭はメジロパーマー! 続いてゴールドシップ、トーセンジョーダン!』

 

 長い長い最終直線に入り、ウマ娘たちが大きく横並びになる。この直線は長いためにロスを承知で外に広がっても、直線での末脚で挽回できるため、膨れることが多い。

 どのウマ娘たちも、ここからだ! とターフを踏みしめ、一気に加速していく!

 

「ここだっ!」

「いけるっ!」

「行きます!」

 

 タイシンが体勢を低くしながら溜めていた脚を一気に爆発させ、ネイチャとフラッシュもグングン加速していく。

 

「負けないし!」

「まだ行くよぉ! ウェエーーイ!」

 

 ジョーダンもスピードを上げながら、粘り強く前を走る。パーマーは残りのスタミナを振り絞り、スピードを落とさず胸を張って走って行く。

 この最終直線が勝負だ! 誰もがそう思って、脚を使っていく。

 

「ここはゴルシちゃんの出番だよなぁーッ!」

「うぅっ!」

 

 残り400m付近にある上り坂、ここで減速したパーマーをゴールドシップが追い抜かす。2mの勾配で、急ではないがハイペースでの走りをしている脚にはかなり効く。

 パーマーは流石はゴールドシップ! と内心褒めながら、まだ残っているスタミナを使って必死に駆け上る。

 その後方を走っていたジョーダンは持ち前の粘り強さで走りこみ、パーマーに迫る。

 

『上り坂で先頭はゴールドシップに変わったぁー! しかし後続も追いすがっていく!』

「あたしがっ! 勝つから!」

 

 坂を上り切って直線に入り、残り300m。ジョーダンがグングン伸びてきて、ゴールドシップに並ぶ。パーマーもすぐ後ろで必死に粘っている。

 その後ろから突っこんできたフラッシュ、ネイチャ、タイシンも1バ身差まで詰めてきた。

 

「ここから一気に!」

「アタシだって、1着にっ!」

「一気に突っ込むから!」

 

 6人のウマ娘たちがほとんど横並びで走りこむ。観客たちから爆発的な応援の声が上がり、それをエネルギーにさらにスピードを上げる。

 残り200m。ここで、ゴールドシップとパーマー以外、4人のウマ娘たちは違和感に気づいた。

 いつもなら、ゴール手前に力を出し切って最後のスピード勝負をする。だが、体が重い。前に進まない。

 脚が、キレない!

 

「へへっ」

 

 必死になっている4人に、ゴールドシップの笑い声と舌なめずりが聞こえてきた。

 ぶわっと汗が吹き出す。まさか! そう思った瞬間、ゴールドシップはグンッ! と前に出る!

 

『先頭のゴールドシップ! さらに加速します! トーセンジョーダン、エイシンフラッシュたちも粘りますが追いつけない!』

「ぐ、ううう!」

「なん、でぇッ!」

 

 爆発音と共に走るゴールドシップの気分は跳び上がりたくなるほどに最高だった。

 直線で聞こえてくる歓声、アツいレース、そして作戦通りの展開。震えるほど胸が高鳴っている。

 トレーナーの作戦は最高だな! 他のウマ娘たちを置き去りに、さらに加速していく。

 

 今回の作戦、それはハイペースにして脚を使えなくするという春の天皇賞と似たようなものだった。違う点は、とんでもないぐらい早めにスパートをかけることと、メジロパーマーの爆逃げを利用することだ。

 まず、パーマーは序盤に爆逃げ出来ないだろうということは予測していた。何故ならば、今の東京レース場は天皇賞・秋に向けて芝を交換しており、芝の()が長い。

 つまり、良バ場であっても走るのにパワーが必要なのだ。そのため、パーマーがスタートで逃げ切れる可能性は低いと予想していた。

 それを利用して、ゴールドシップが一気にスパートをかけてパーマーと競り合うことで、全体のペースを底上げする。その上、コーナー前で競り合いをすることで最終直線までに一息つかせることもさせない。

 

 結果、最後の直線。ゴールドシップたちに追いつくためのパワーを使ってしまった3人は、体力が残っていなかった。後ろにいるウマ娘たちも、ハイペースのせいで追いすがる事さえできない。

 まだ同じペースで走れるのは、他のウマ娘たちよりスタミナのあるパーマーとゴールドシップだけだ。

 これがゴールドシップとトレーナーによる、パーマーと爆逃げ大作戦だ!

 

「やられたし……!」

「でもっ、まだいける!」

 

 ジョーダンたちは作戦負けしたことに歯噛みするが、それでも闘志はまだ消えていない。

 脚が重くても関係ないと言わんばかりに、ほんの少しでも残っているパワーを振り絞り、ゴールドシップに追いすがっていく。

 

『残り100m! ゴールドシップ先頭! 後続はトーセンジョーダン! ナイスネイチャ、エイシンフラッシュ! パーマーもまだ残っている! ナリタタイシンもいるぞ!』

 

 ――ゴールドシップ! 見せつけてやれー!

 

 トレーナーの声を聞き、ゴールドシップはニィっと笑う。

 

「おっしゃああああーーーっ!」

『ゴールドシップがさらに伸びる! 先頭はゴールドシップ! 後続を突き放して、今ゴールイン!』

 

 ゴール板を駆け抜けたゴールドシップは、観客たちに向けてこぶしを突き上げる。

 爆発するかのような声援を受け、満面の笑みを浮かべていた。

 

「はぁ……はぁ……!」

「くっそー、やられた……」

「不覚でしたね……」

 

 ジョーダンとネイチャは肩で息をしながらゴールドシップを見て、完全に気圧されたと反省していた。タイシンとフラッシュは自慢の末脚が使えず悔しそうにしている。

 パーマーだけはいい爆逃げができたとゴールドシップと握手していた。

 掲示板を見ると、1着ゴールドシップ。2着は粘りに粘ったトーセンジョーダン。3着は健闘したナイスネイチャ。4着、ナリタタイシン。5着はメジロパーマーだ。

 

「よう! おまえら!」

「みんな、お疲れ様!」

「ゴールドシップさん」

「なんだし……」

 

 ゴールドシップが汗を拭いながら近づいてくる。後ろには笑顔のパーマーもいた。

 悔しさからぶっきらぼうな返答になってしまうジョーダンだったが、背中をバシッと叩かれて思わず跳び上がった。

 

「な、なに!?」

「おめーらやるじゃねーか! 面白いレースだったぜ! またやろうぜ、デカめのレースで!」

 

 ニカっと笑うゴールドシップ。

 それを見た4人は、自分たちの中にあった悔しさが消え、沸々と闘志が燃え上がるのを感じた。

 ゴールドシップがこんな風に話しかけるのを見るのが、初めてだったから。彼女が自分たちを強いと認めてくれた、そんな気がしたのだ。

 

「次! 次は絶対勝つから!」

「ええ、次こそは必ず」

「ネイチャさんも頑張りましょうかねー」

「次は負けないから」

 

 その場にいたみんなで笑いあい、再戦を誓うのであった。




 というわけで、パーマーと一緒に爆逃げ大作戦でした。ゴールドシップのスタミナならなんてことないな!
 剣山で気づいたのは東京レース場の芝が長めで走るのにパワーがいるということですね。
 実際の東京競馬場でも連続開催が行われる序盤では馬場の管理で芝丈が長いことがあるようです。そういう時は差し馬が有利なんだとか。でも結局瞬発力が大事みたいですけど。

 ゴールドシップの末脚だけでは勝てなさそうという面子とのレースを書いてみましたが、楽しく書けました。楽しんでいただけると嬉しいです。
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