ゴールドシップとの3年間   作:あぬびすびすこ

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 読了感のために前回あとがき書きませんでしたのでこちらに。
 URAファイナルズを勝ち抜きました!
 ぶつかってきた衝撃を推進力にするとかいう無茶苦茶な作戦でしたが、これはおまけでした。

 だって、楽しく走ればゴールドシップは無敵なんですもの。


49、うまぴょい伝説

 ウィナーズサークル。

 俺は泣きながらゴールドシップを待っていた。

 周りにいた先輩や桐生院さんからも祝福され、さらに気持ちがあふれてしまっていた。

 

「おいおいどんだけ泣いてんだよ。クジラの潮吹きぐれー出てんじゃねーか」

 

 ゴールドシップがコースから入ってきた。

 その姿を見てまた涙がボロボロ出てしまう。

 ゴールドシップが、俺の愛バが勝ったんだ……!

 

「ったく、しゃーねーやつだな。いくぜ、トレーナー!」

 

 声に反応して前を向くと、ニヤリと笑っているだろうゴールドシップが構えているのが見えた。

 咄嗟に涙を拭いて構えると、ふわっと跳び上がった。

 

「どれぇい!」

 

 うわーっ! ドロップキックをくらって吹き飛び、転がって受け身を取る。

 今の衝撃で涙が引いた。残っている涙を腕で拭くと、ゴールドシップが手を差し出してきた。

 手を掴んで起こしてもらうと、彼女が背中をポンと叩く。

 

「楽しく走ってきたぜ」

 

 ニィっと笑う彼女を見て、俺も笑顔になるのだった。

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 インタビューも休憩も全て終わって、ライブ会場。

 俺はサイリウムを持ち、マックイーン、テイオーと一緒にライブの開始を待っていた。

 

 今か今かと待っていると、準備が終わったようでステージでライトが煌めく。

 音楽が鳴り響き、奥のステージに3人のウマ娘が登場した。

 

位置について

よーい

ドン!

 

 ゴールドシップ、シンボリルドルフ、マルゼンスキーがステージから降りてくる。

 それを見て、不意に今までのゴールドシップとの軌跡を思い出した。

 

うーーーー

うまだっち

 

うーーーー

うまぴょい

うまぴょい

 

 最初は模擬レースだった。そこから急に誘拐されて、気づけば専属トレーナーになっていた。

 

うーーーー

すきだっち

 

うーーーー

うまぽい

 

うまうまうみゃうにゃ

3

2

1

Fight!

 

 トレーニングをやってもらったら、全然真面目にやらなくて。

 飽きっぽくて全然だめだったなぁ。

 

おひさまぱっぱか快晴レース

はいっ

 

ちょこちょこなにげに

そーわ So What

 

 悩んでいたらゴールドシップが山に連れて行ってくれて。

 その時初めてマックイーンと会ったんだっけ。

 

第一第二第三しーごー

だんだんだんだん出番が近づき

 

 初めてちゃんと担当になって走ったホープフルステークス。

 今思えば作戦も何もなかったな。好きなように走れってさ。

 

めんたまギラギラ出走でーす

はいっ!

 

今日もめちゃめちゃはちゃめちゃだっ

ちゃー!

 

 

がち追い込み

糖質カット

 

コメくいてー

でもやせたーい!

 

 皐月賞では無茶を言った。走りにくい最内から突っこんでこいって。

 あの時は思いついたからやってみてほしいってだけだったし、結構ひどかった。

 

あのこは

ワッフォー

そのこは

ベイゴー

どいつもこいつも あらら

リバンドー

 

泣かないで

はいっ

拭くんぢゃねー

おいっ

あかちん塗っても

なおらないっ

はーっ?

 

 ダービーで負けた時はしこたま泣いたな。ヤケ酒もすごいやった。

 その後宝塚記念で、本当に強い勝ち方でぶっちぎってくれて、本当に嬉しかった。

 

きょうの勝利の女神は

 

あたしだけにチュゥする

 

虹のかなたへゆこう

 

 菊花賞は本当に強かった。絶対できると信じて走ってもらったが、最高の結果だった。

 有マ記念でも強いレースで、何でもできることを見せつけてくれた。

 

風を切って 大地けって

 

きみのなかに 光ともす

 

どーきどきどきどきどきどきどきどき

 

 

 

きみの愛バが!

俺の愛バが!

 

 

 

 天皇賞春、2度目の宝塚記念。

 タブーはゴールドシップには通用しないことを、そしてパワーとスタミナが誰よりも優れていることを証明した。

 

ずきゅんどきゅん 走り出しー

ふっふー

 

ばきゅんぶきゅん かけてーゆーくーよー

 

 天皇賞秋には、今まで以上に苦労をかけたなぁ。

 逃げウマ娘と一緒に爆逃げしろってさ。すごい楽しかったと言ってもらえたからよかったけど。

 

こんなーレースーはー

はーじめてー

3

2

1

Fight!!

 

 2度目の有マ記念では早々たる面子の中、スタミナ勝負を仕掛けた上に内側から突っこんでもらった。

 あんなことをできるのはゴールドシップだけだ。だからこそ、信じてあの作戦にしたわけだが。

 

ずきゅんどきゅん

胸が鳴り

ふっふー

 

ばきゅんぶきゅん

だいすーきーだーよー

 

 URAファイナルズでは今までやってきた作戦を磨き上げて挑んだ。

 予選では先行してもらった、準決勝ではスタミナ勝負でぶち抜いた。

 

今日もーかなでーるー

 

はぴはぴ だーりん

3 2 1 Go Fight

 

うぴうぴ はにー

3 2 1

うーーFight!!

 

 でも、決勝ではブロックを加速に使ってもらったけど、それはおまけでしかない。

 ただ、ゴールドシップが楽しく走ってくれれば、必ず勝ってくれる。そう信じていただけだ。

 

うーーーー

うまだっち

 

うーーーー

うまぴょい

うまぴょい

 

 最後の直線、ゴールドシップが今までにないぐらい本気の顔だった。

 初めて見る力の入れ具合だった。

 

うーーーー

すきだっち

 

うーーーー

うまぽい

 

うまうまうみゃうにゃ

 

 

 

きみの愛バが!

俺の愛バが!

 

 

 

 そこから推進力を得たゴールドシップが爆発するかのように加速して突っ込んでいった。

 あの瞬間から、俺は涙が止まらなかった。

 

ずきゅんどきゅん 走り出しー

ふっふー

 

ばきゅんぶきゅん かけてーゆーくーよー

 

 本当に本気で勝ちにいく姿がかっこよくて。

 楽しそうに走っている姿が嬉しくて。

 

こんなーおもいーはー

はーじめてー

3

2

1

Fight!!

 

 ルドルフとマルゼンに並び、得意な坂をいつも以上の勢いで駆け上がる姿。

 無尽蔵のスタミナで無限に加速し続けるその強さに胸からこみあげてくるものがあった。

 

ずきゅんどきゅん

胸が鳴り

ふっふー

 

ばきゅんぶきゅん

だいすーきーだーよー

 

 そしてルドルフも交わしてゴール板を駆け抜けて。

 まるでゴールドシップと一緒に走ってるみたいだった。

 だから、最後には涙があふれていたんだ。

 

今日もーかなでーるー

 

はぴはぴ だーりん

3 2 1 Go Fight

 

うぴうぴ はにー

3 2 1

うーーFight!!

 

 ゴールドシップの担当で本当に良かった。

 ポーズをとり、ニシシと笑う彼女を見て、改めてそう思うのだった。




 最後はやっぱりうまぴょいですね。うまぴょいはノルマ。
 あと1話だけ続きます。
 18:00にすぐ投稿しますのでしばしお待ちを。

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