ワールドトリガー・TheREDmanHERO   作:怪物怪人怪獣さん

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漸く書けた………数多の悪役を演じてくれた飯塚昭三さんが逝ってしまわれた。PSアジト2とPSアジト3の悪役達を演じてくれてありがとうございます!?次元帝国ヘルガイアとその兄弟ヘルギルダー。後ハカイダーを始めドン・ホラーとか本当ありがとうございます。PSアジト3のディスクを裏側にして再生すると飯塚さんと檜山さんのトークが聴けるけど、ゲームディスクに悪いからしないように、かいけつゾロリの閻魔大王をありがとうございます!?団時朗も逝ってしまいました。帰ってきたウルトラマンで、何度倒れても立ち上がる勇気を教えてくれてありがとう。そして飯塚定雄さん。シン・ウルトラマンまで光学合成技師としてウルトラシリーズやゴジラシリーズの光線のエフェクトを手書きで描いてくれてありがとう。この人が凄い人かと知りたい人は【三大怪獣地球最大の決戦】の宇宙超怪獣キングギドラの引力光線シーンとウルトラマンXの21話『美しき終焉』のグリーザを光線シーンを見て!?

ファイル12の剣持とバラムキング戦は仮面ライダー79話の対ガニコウモル戦とガラガランダ戦をモチーフ。
今回のベム対ダークナイザー戦は仮面ライダーの80話のガニコウモルの猿島での戦闘と81話のサソリトカゲス戦をモチーフにしています。ディアヴォロス対グラビティスの吊り橋での戦闘は、86話の中盤のワシカマキリ戦をモチーフしています。それとキュベリナスが吊り橋に向かってレーザービームを放つのはPSウルトラマンゼアスの光線怪獣の出現イベントシーンのオマージュです。
銀河連邦のアジトヒーロー達の人間態の戦い方にはグリッドマンの初期の13匹の怪獣を裏モチーフに使っています。誰がどれかは…おいおいと説明します。
〔推奨曲 魔王魂 ハルジオン〕


ゾークロン篇 承
繋ぐ者と掴む者/約束の夕陽を眺める華と夢想


〔推奨曲シューマンのピアノ協奏曲イ短調 作品54(第一楽章)〕

時間は染井華が山に到着するまで遡る。

黒いローブが音も無くマキシボーン山の森林地域に現れる。

その存在は、ブラックワンの仲間でこの日マキシボーン山に姿を人知れず気配を気取られないように山に現れたその存在は、森林地域にいる連中の位置を把握しつつ、変わった服装をした連中の存在を見つける。

("自衛隊だけじゃない"………俺の知らない連中もいる。何だアイツらは……)

『お化け屋敷』の万能ジャケットと万能ヘルメットの格好を怪訝そうな顔をする存在は、本来の目的を優先する。

"この日、染井 華が剣持 夢想に会いに山に一人で来るのを"その存在は知っていた……そして……時間と共に状況は変化して、染井華の姿を見た瞬間

(ボーダーは全て殺す!!!!)

その存在からドス黒い感情を胸に秘めて動き出す。

染井華の見ている視線の先にいる剣持夢想がレッドマンに変身して怪獣と対峙する間、"あの女を守る者はいない"

その存在は黒いローブで素顔を隠して、トリオン体を越える身体能力を使い、一人になった染井がいる場所に、走り出す。息の根を止める為に……そのボーダーを排除

する様子は、皮肉にも近界民に大切な物を奪われた城戸派閥の三輪に似ていた。

 

同じ時間、染井華が通う六頴館高等学校の1-Aクラスでは三輪隊の古寺はとある同級生が会話をしていた。

?「章平。染井の奴は今日は休みかな?」

明るい二枚目の見た目をしているが実際は二枚目半の友人が珍しく欠席したニコニコと笑みを浮かべながら染井について話していた。

古寺「先生からは風邪と聞いていますよ。君の遅刻、サボり、早退の常習犯と違い健全な理由ですね。」

古寺は米屋に近い雰囲気を出した同級生の会話に反応しながら次の移動教室の準備をしていた。

同級生はジト目で古寺を見て、

?「ひでぇ言い方だな?学校の授業が面白くないし、自宅じゃしっかりと自習学習して成績に影響はないから良いだろう~ボーダー隊員さん。」ニヤニヤと言う同級生に古寺は真面目に言葉を返す。

古寺「ここは成績優秀者が集う名門の六頴館ですよ。貴方のようなお調子者は、三門第一高等学校がいた方が良かったんじゃないですか?」

?「馬鹿野郎……俺だってしっかりと考えてこっちの高校に選んだんだから……」

古寺「どうだか……でも、何時も学校に来る彼女が休むと何か寂しいですね……。」

?「なぁ……やっぱり珍しいだろ。」同意を求める友人。

古寺「確かに……珍しいですが、彼女も人間なんだし、風邪の一つくらい引きますよ。それよりも次は理科の移動教室ですよ。準備しないと、」

?「あっヤベっ!?」

古寺の一言で同級生は慌てて目の前の彼は机の中の必要の教科書を取り出すが、

?「ゲッ!?」

古寺「どうしましたか?」

?「……違う理科の教科書を持って来ちまったよ。どうしよう。章平。」

古寺「先生にちゃんと報告してから僕の教科書を一緒に見ましょう。」

?「サンキュー!?章平。」

嬉しそうに言い彼は筆記用具を持って教室を出る。

古寺「全く……学校は違うのに、米屋君がいるみたいですよ。」

本人曰くこの高校に選んだのも、当時この高校一年生だったボーダーの美人オペレーター達を見て決めた事らしい……志望動機が余りに不純過ぎる。

古寺「あの剽軽者の性格でこのクラスにいるから世の中

理不尽さを感じますよ。」

六頴館高等学校は成績が良い順にA,B,Cにクラスは分かれている。

どう見ても同級生の隣の席の彼は僕より勉強しているようには思えない。しかし、彼は……何時もクラスで上位のテストの成績を持っている。

古寺「"鏡 拓也"君。君は一体何者なんだ?」

廊下で楽しそうに走る同級生に古寺は謎を覚えた。

 

 

そして時は進み場面は染井華に元の姿に戻る所を見られてしまい走る場面に戻る。

次々と変わる森林の景色、走り…走り…走り…走り……走る………

「………っ!?」

必死なショックを受けた表情で森を宛も無く狂ったように………壊れたように走る。

目尻に涙を溢しながら、少年は背中や肩の傷口から血が滲み広がり激痛で普通なら倒れてもおかしくない身体で兎に角壊れたように走る………泣きそうな気持ちを耐えても両の目には涙が零れ落ち、身体からは赤い血が流れ落ちる。尋常ではない量が零れて、このままだと手遅れになる可能性があるのに、

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

声に鳴らぬ叫びを上げて地面にこけて泥だらけになり、

出血多量で寒さすら感じるようになったのに、去来する

物は本来ここにいない筈の友達の姿………点滅する皆の思い出、幻の黄金の過去に手を伸ばして………掴めもしない空を掴む。

「何で、何で………何時もこんな事ばっかり………何で………何で、何で、何で、何で、何で、何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でなんだよ!!?」

心の中で止まない激しい雷雨が降り注ぎ嵐のように荒れていた

 

【ピュウ!】

その地面に大の字に倒れた剣持の首筋に一本の吹き矢の矢が刺さる

「………」

その矢によって剣持の視界が暗くなる。

暗くなる直前、視界に映った雑草に紛れた白い花に視線

を見据えて意識を失った………

(ハルジオン…)

 

『ハルジオン』

キク科ムカシヨモギ属分類の多年草の一つで貧乏草とも呼ばれているその花は、1920代の北アメリカから観賞用に日本に来た外来種の花で、除草剤に耐性のある個体が出現してからは、関東地方を中心に全国へと瞬く間に広がった。

農作物や牧草の生育を妨害する厄介な雑草で、要注意外来生物と扱われている……

 

切っ掛けは些細な物で道端の空き地に見かける雑草に興味を持って小学校の図書館で熱心に調べて、自然とその花の花言葉を知り……僕みたいな花だな……と勝手に思った。

僕よりずっと凄い二人に劣等感を感じた僕は、自然と二人から距離を離れて行く事が正しいと思っていた。

才能のある人にはそれ相応の友達が必要……現にあの頃の僕は、二人の遊ぶ時間も二人で勉強する時間も劣等感も混ざり嫌で通っていた塾を辞めて、一人になる時間を

確保する為に飼育係を立候補した。飼育小屋の動物と過ごす時間はそんなに悪くなかった……決められた事を守り観察し報告する時間、劣等感を忘れて飼育小屋の動物が好きになった。………否、僕は人間関係に疲れ果てて

いた。しかし、僕が離れたら、そう簡単には物事が全て丸く収まるなんてはない。

才能ある人達にはそれ相応にふさわしい人達が集まる。

現にあの日、飼育小屋で僕をいじめていた連中は、あの二人の近くにいた僕の事が普通に気に入らない連中で、僕はウサギ達を守りながら只、甘んじて報いを受けていた。

『たまたま、父親の知り合いの子供が、自分より勉強が出来て努力家だっただけ……』

『たまたまその子供の友達が才能を持って何をやらせても普通の僕よりも遥かに上にいるだけ、』

『そこに僕はいちゃいけないんだ。僕は雑草で、花や葉の邪魔をしちゃいけない。』

 

何時も僕には『逆境』がやってくる。

望まぬ家族の死、望まぬ自身の死、望まぬ死闘の数々、望まぬ被害、望まぬ隠し事、望まぬ嘘、望まぬ身近な人達への恐怖、望まぬ身近な人達の死の危険、何もかも望まない事ばかりだ。守りたいと願う程………何時も何時も望まない事が起きる。

 

親しい人達から離れていれば丸く収まると思っていたのに、危険に巻き込みたくないのに、ズルズルと近くにいなければならない僕はどうしたい……暖かい光は、ずっとまだ遠かった

 

 

「!?」

意識が覚醒する剣持、そして起き上がる最初に自分が着ている服装を見て驚く。泥だらけだったのに綺麗に状態になっている。

更に身体の異変に驚く。

「……手当てされている…………一体誰が…」

痛みは感じる物も、影響は少なく適切な処置と手当てで剣持は激しい動きは難しいが、無言で起き上がり。

仕方無しに『お化け屋敷』の対策本部がある場所に歩いて行く。

 

聞いた事のない巨大な怪獣の咆哮が山の大地に響き渡り、土は砕き飛び、勇ましくかけ声を上げるレッドマン。激しくぶつかり合う生物同士の戦いの音、そして銀の十字架が付いた赤い槍が風を切り裂き怪獣の身体に吸い込まれるように刺し貫く音が静かに鳴り怪獣は力尽き大地に倒れる音が響く。

壮絶なレッドマンと二大怪獣のとの戦いが終わり『お化け屋敷』の面々は、戦いの後片付けをしていた。そしてその後片付けをする面々の中には当然だが剣持夢想の姿もあった………

 

犠牲をゼロに、被害は無しに、不利益は少なめに、それは、この世界のどの国のどの社会構造……どの人間が多分一度は考える理想像なのだろう。幻のような理想を目指して直向きに進む人達も居れば、現実と理想の狭間に苦しむ者達もいる。

怪獣と戦う自衛隊、近界民と対峙するボーダー、世界征服を目論む悪の秘密結社ガイラットと戦うヒーロー達、

そして、巨大怪獣と対峙するレッドマンとして戦う際に市街地の被害は無しにするのが剣持夢想も目指す理想の一つだ。

 

だが、実際はどうだ?自分自身の実力で怪獣を倒して勝手に晴れやかな気持ちなんかになって、素直に僕は愚かだ。

光線怪獣の出現でマキシボーン山の周辺市街地の建造物は怪獣によって破壊され、自衛隊には死傷者達を出して

、機動隊員達はバラキによって皆殺しにされた……

もし時間を操って、過去を変えられるならどんなに良かったのか……そんな能力はないし、死んだ人達の友達や家族はどんなに哀しむか……想像するもの難しくない。

もし、染井さんがこの怪獣災害で死んでいたと思うと僕は、果たして……どう責任を取れば良かったのか……

 

怪獣災害で亡くなった人達は一度病院に運ばれ司法解剖で調べられた後自衛隊や機動隊の人達は二階級特進になり警察葬や部隊葬を行われるようだ。

バラキに殺された機動隊の遺体を運ぶのを手伝おうと剣持は自ら志願するも、ジャック隊員を初め黒野とアラシ隊員に"絶対に辞めておけ"と釘を刺されて剣持は代わりに作戦の後片付けを手伝う。

 

 

黒野「大丈夫か?剣持。」

対策本部に用意された折り畳みの机を運んでいると後ろから黒野先輩に声を掛けられる。

「はい。俺は大丈夫です。他の人達は?」

無表情でそう返すも、本当は全然大丈夫ではない。染井さんにレッドマンから元に戻る決定的な瞬間を見られて心の中は止まぬ嵐のように荒れているのを、必死に知らないフリで己の不安と恐怖を押し殺している真っ最中だ。

 

一体、何時からだろう……一人称を僕から俺に変えたのは、変えた切っ掛けは何だっけ?と下らない事を考えなければ、現実に押し潰されそうに感じてしまう。

「……あの、先輩。」

黒野「何だ?」

「可能なら良いんですが、無理じゃないならお願いがあるんです。」

黒野「……言ってみな。」

それでも前に進む為にずっと考えていた………やらないといけない事を俺は口に出す。本当はこんな事をしても意味何かないのに、それでも俺はやらなければいけないと心に決めて口に出す。

「 」

口に出した言葉を先輩は静かに聞き、暫く考え込みやがて

黒野「………わかった。手配しよう。」

「良いんですか?自分で言うのも何ですが、お願いするのも筋違いにも感じますよ。」

黒野「……確かに、今すぐは無理だが数日中には許可を出させるつもりだ。」

剣持はここで漸く黒野先輩の様子が何時もと違う事に気付く。

「俺と分かれた後に何か会ったんですか?」

黒野「!?……少しな、………安心しろ。」

黒野は視線を市街地の方に向けて、剣持もその方向に視線を向ける。

黒野「……戦うだけが俺達の存在理由じゃないのは確かだよ。パリ復興の人手が実際に足りないんだ。」

そうレッドマンがパリで戦い歴史的建造物もパリの街も想像を遥かに越えた被害を出したパリ事変の復興の手伝いを剣持は黒野にお願いして参加させて貰えるように、お願いしてみたのだ。

この復興を手伝ったとしてもあの出来事で亡くなって人達や住む所を失った人達の中の災害の恐怖が消える訳ではない。でも見ないフリをする事が正解な訳でもない。どんな形であれ、剣持自身が向き合う為にも、復興に手伝いたい……そうしなければ、何時か絶対に後悔するとわかっているから……自分の守れなかった物を確かめる為にも、剣持は前に向き合う道を選んだ。何も出来ず瓦礫の山に立ち尽くすしかしないなんて嫌だから……

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時は剣持がレッドマンに変身して怪獣に挑む時間に戻る

レッドマンが世界各地に現れてから、私の周りに変化が生まれ始めて、私も普通に生きていればまず経験しない出来事を遭遇するのに拍車が掛かる。友達がトリオン体とは別の姿…レッドマンに変身する光景を見た直後、

自然界の法則から真っ向から外れた怪獣とレッドマンが戦う光景を見上げながら、私の目の前に"彼は"現れた。

『……』

染井『……誰っ!?』

信じられない体験ばかりで、冷静で居られる方が少ないが、目の前に現れたのは剣持夢想君。………だが私の知っている剣持君はあの場所で姿を変えて怪獣達と生身一つで戦っているから、目の前の剣持君は、

染井『……剣持君の分身?』

ここ暫くの難問の答え合わせのように私は自然と口に出す。

『………凄いな。一発で俺の正体に気付くとは……』

無表情の彼はそう答えて、私からそう遠くに離れずに座り込み、レッドマンが怪獣と激突するのを見物する。

私は"剣持君ではない剣持君"に警戒する。

『………そう警戒するな。信じる信じないのはお前の勝手だがお前にも、お前の大切な仲間達にも何もしない…俺は今回、夢想に黙って此処に来たんだ。今回アイツが自らの力で戦いたいと言ったからその願いを叶えたかったんだ。』

紫色の怪獣に果敢に挑むも、レッドマンは苦戦を強いられている。

『やはり、少し厳しいな……。』

怪獣の体当たりをくらい倒れ込むレッドマンに追い打ちを掛ける怪獣の様子を見て言うベム。

染井『………貴方は何者なの?』

意を決して染井は目の前の剣持夢想ではない剣持君に警戒しつつも私は聞く。

『どうして、こんな危険な場所に来た……』

染井『……質問しているのはこちらよ。』

『……答えるつもりはない。答えてお前に何の得がある?』

染井(身も蓋もない言い方………無表情で素っ気ないこの言い方、ヒマラヤの出来事の後に私達の周りに現れるようになった剣持夢想君の言い方だ。)

無表情で淡々として必要以外は答えない。ボーダーのA級の何人かにも該当する言い方だ。二宮、風間、三輪『『一緒にするな。』』

しかし染井は目の前の彼、仮に呼ぶなら"剣持X"に色々と質問を投げ掛けるが、

『質問には何も答えない。俺はな……』の一点張りで、

染井は目の前の剣持Xが周りに自身の本心を見せないように守りに入っているんじゃないかと勘繰るも、確かめる術がない為、一旦、剣持Xからレッドマンの方に視線を移しそうとした瞬間、

【ピュウ。】

染井『えっ?』何かが飛来する音と共に剣持Xは座り込むのを辞めて、染井の近くに立ち飛来した物が染井に直撃する前に

【ガシッ】

染井『!?』

『……俺を狙うのではなくお前を狙ったとは……お前、誰かに怨みでも買ったのか?』

剣持Xは片手で掴んだ黒い持ち手の大振りのナイフを見て染井に聞く。

(色は黒いが、コイツは地球上にはない……俺が使うレッドナイフと同じ素材だ。)

染井は自分が狙われた事を知り身体がガタガタと震え始める。

ベムは気配を探るとやはりこの山に来た理由はあった。

一つは単純に剣持が心配になったのもある。もし本当に劣勢になったら加勢するつもりだった……先日では三門市の安全を考えて自宅に居てコセイダーとして三門市の人達を守って欲しいと剣持に頼まれたが、その三門市の守りは何故か手錠が無くなっていたイノセンスマンにお願いした。

そして、気配を消しているが、痕跡で同期のフレイム仮面とハリケーンマスク先輩達もこの山に来ていたらしい。

そして本題、俺は分身で剣持夢想自身はレッドマンとして怪獣と対峙している。つまりもう分身はいない。分身は俺自身だし……だが、この山にもう一人、"剣持夢想"の気配がする。その正体を探る為に分身は、先輩に頼んで夢想にも黙ってこの山に来た……そしてその"剣持夢想"は今まさに俺達の近くに居て俺……ではなく染井を狙っている模様だ。

『色々と思う事があるかも知れないが、夢想の代わりにお前を守ってやる………貴様が死ぬと、色々とヤバくなるからな。』

(鬼が出るか蛇が出るか………変身能力を持った敵なら厄介だ。)

"剣持夢想"と同じ気配を感じながら、ベムは染井の前に立ち静かに戦闘態勢を取る。次々と飛来するナイフに対して、ベムは拾ったナイフを片手で持ち全て弾き染井を守る。守りながら気配の実力を分析するベム。

(実力は大した事はない。B級隊員レベルだが身体能力は恐らく俺と同じだろう。俺の死んだ親父に怨みを持つレッドスターの人間の線はないな。)

このまま守るのも悪くはないが、姿なき刺客に向かってベムはナイフを素早く投擲。

??『!?』

近くの木にナイフが突き刺り姿を表した黒いフードで顔を隠した黒いローブを纏った存在を見据えてベムは冷静に相手を分析する。

(フードから漏れた死人のような肌だ。それに継ぎ接ぎだらけ、何だ?奴は?)

『………目の前の奴はお前の知り合いか?』

後ろの染井華に聞く。

染井『…いいえ。貴方の知り合いでは?』

「俺の知り合いにあんな顔色が死体同然の奴はいない。皆血色は良いよ。」

互いに見たことのない人物で素顔もフードを深く被って良く見えない。だが目の前の気配は、"剣持夢想"と同じなのだ。

『夢想に兄はいたが、双子の兄弟なんていたか?』

染井『そんなの聞いた事ないわよ。』

『だよな。』

黒いローブは走り出して両手から黒い持ち手のナイフを見せ、こっちに向かって走り出す。

『どうやら、問答無用のようだ。』

染井『早い!?』

『!?』

トリオン体を余裕で超えるレッドマンと同じ身体能力で距離を一気に詰め寄る黒いローブの存在に、迎撃の態勢をするベムは、正面から迫る相手では無く、真横から瞬間移動で染井の首目掛けてナイフを振ろうとしたローブの分身のナイフを持つ腕を片手で掴み正面からローブの攻撃の肉盾にする。

黒いローブ『!?』

『なぁ、お前本当に誰かに怨みを買ってないのか?』

分身の腕の関節を外して肉盾の背中からレッドアローを出現させて串刺しにするも正面のローブ本人はすんでで回避して木々に隠れる。

染井は咄嗟に片手で自分の首を抑えながら、ベムの方を見る。恐怖を露にした表情をベムに向ける。その表情を見たベムは静かに目を閉じて染井からローブを方向に視線を合わせて、一つの結論を出す。

『………お前に心当たりが本当に無いのなら、お前に関連する人間関係………ボーダーに怨みを持つ人間か?この流れる血も人間の血のようだし。』

赤い血で染まったレッドアローを紳士の杖のような持ち方をして相手を見据えるベム。

(身体能力は俺と同じでも戦闘経験がまるで無いな。)

だがベムは一切相手を油断しない。恐らく向こうのローブも自分が出てくるのは想定外なのだろう。自分がいない場合なら普通の一般人同然の染井をベムと同じ身体能力なら容易に殺せる。ローブは再び低く走り出し

『染井華………死ね……』

容赦無く抹殺宣言を言うローブに向き合いながらベムは言う。

『夢想の為にもお前は死なせない。だから死にたくないならソコを動くな…』

と後ろの染井に釘を刺してベムは走り出し、互いに姿が消えると同時に、無数の火花と剣戟音が森林から次々と現れては消えてを繰り返し、

染井(……肉眼で二人の動きが速過ぎて追えない……二人ともトリオン体よりも身体能力が余裕で高い!?)

ベムとローブは染井の前に姿を現しナイフで自分を斬り裂く動きをする相手に蹴りを入れて、蹴りをまともにくらった相手は直ぐに起き上がり、ベムは更に蹴りを入れようとするが、ローブは連続バク転して距離を取り空中高く跳躍するベムを無視して染井を尚も狙うも、後ろに回った相手にベムは振り向き様のターンキックを相手の顔面を捉えて蹴り飛ばし、相手は飛ばされながらベムの鋭い膝蹴りを腹部に直撃して更に右ストレートで殴られてベムは相手を染井から離す。ローブはナイフを何度も振りベムを狙うがレッドアローで防ぎ、ベムは片手で相手を投げとばし空中高く投げ飛ばされたローブは、木の枝を足蹴りしてローブは空中からベムに向かってナイフを真上から振るもレッドアローで攻撃を受け流し突き刺すのではなく棒の部分で相手を殴打する。地面に着地して相手は逆手ナイフを持ち、連続でベムを左右から斬り裂こうとナイフを振るも、元々ナイフの扱っている為、レッドアローの持ち手を短く持って激しく応戦する。互いに攻守を次々に入れ替えて迫るローブのナイフを防ぎ手槍を振りぶつかり合い同時に火花が舞い散りベムは染井から距離を離されない程度を意識しながらローブの連続回転攻撃をレッドアローでガードして、互いに跳躍して空中で数度打ち合い離れる。凪ぎ払うようにレッドアローを振り黒いローブはベムから離れる。

ベムも染井の前に着地して

??『そいつらの味方をする奴は全て殺す……』

(そいつら……複数形を指す言葉。それにコイツ声帯が無いのか?死人同然に人工声帯なんて……)

相手の声は機械的な声で、機械で声を変えているようには見えない。

『レッドナイフ。』

片手にレッドナイフを出現させて、レッドアローとレッドナイフで十字架のように構えて染井を守るように構える。

『目的が何なのかは知らないが、コイツは殺させない。殺るなら、自分の死も覚悟して貰おう。』足元のローブの分身は既に死に消えて、ローブはベムに向かって全速力で斬り掛かるも、ベムはその一撃を回避してレッドアローを使い凪ぎ払うが、黒いローブの相手はレッドアローをナイフで受け止めてもう片方のナイフを持ったまま拳でベムの胸を数発殴り顔面を殴り飛ばす。

染井『っ!?』

目の前で繰り広げられる容赦ない戦いに染井は見ているしか出来ない。

ベムは倒れ込むが、その倒れた状態から蹴りを追い打ちを来るローブの腹に入れて逆に追い打ちの連続殴打をローブの身体にぶつけて途中攻守を入れ替えられてローブがベムを何度も殴り、ドロップキック打ち込み、ベムは地面に何度も転がる。

『何かやりにくいな……』

(妙な既視感だ。俺ではない。剣持に関係しているのか?)

相手の二つのナイフが目前に迫りながらレッドアローを右手と両膝を使い防ぎ、ジリジリと迫る中、

レッドナイフを持ったままベムはローブに向かって胸を殴り付けて、相手の接近を防ぎローブは回し蹴りでベムの腹に一撃入れるも、同時に既に次の攻撃に移行する。無数に風を切るナイフとレッドナイフの刃がぶつかり火花が舞い散り、ベムの首筋を狙うも、敢えて退くのではなく踏み込み相手に接近してナイフの間合いから外れて頭突きをぶちかまして、ローブを吹き飛ばして、追撃のレッドアローで突き刺そうと突きの一撃を放つが、ローブはもう片手のナイフでレッドアローの先端をずらし、間近にローブと向き合うベム。両者一旦離れて、ベムは得物の持ち手を入れ替えてローブに斬り着けるも、ローブにレッドナイフの刃が通らない事にベムは

軽く驚き

(やっぱり、こういう代物か。)

その隙を逃さず、ローブはベムに向かって攻撃をするが

『ならば次の手だ。』

両手の得物を捨てて素手になったベムがローブの片腕を掴み片手投げをしてから、地面を素早く蹴り落ちた得物を拾い取り、頭上に迫ったナイフを身体を仰け反らせて

回避し次に迫るローブのナイフをレッドアローでナイフの先端をずらしてからベムは肘打ちをローブの顔面に放ちをローブは顔面を殴打され吹き飛ぶも、ナイフを投擲、飛来したナイフは染井をも狙うが、

「させるかよ。」

全てベムは弾き落として、その場に動かずに守りの姿勢をする。

(分身をまた出されて分断、あるいはこっちを釣り野伏でされるのを防がないと。)

誘いに乗らないベムにローブは苛立ち再接近、ベムは高く跳躍してはローブの後ろに回り込み、ナイフとナイフ

火花を散らしてローブのナイフの連続攻撃を片手で全て防ぎ、斬り掛かる斬撃をベムの槍術で逆に圧倒し、木々を足場にベムは蹴りを相手の腹に打ち込み、相手は地面に無様に転がる。

(斬撃、刺突の基本で打撃の衝撃は殺せないようだな。)

転がり倒れ込んだローブの顔面にレッドナイフを躊躇無く連続で振り降ろすも、相手は紙一重にナイフでガードしてベム達から一度距離を取る。

 

黒いローブは尚も挑もうとするが、ベムは別の気配を感じたのか動きを止める。

空から異形のロボット戦士が二人の間に着地する。

『!?』

剣持事ベムは空から落下した異形のロボット戦士を見て警戒する。

(何だ?このロボットは!?奴の仲間か?)

グラビティス『そこまでにしろ。ダークナイザー。』

黒いローブ『グラビティス。』

異形のロボット戦士がベムとローブの間に着地してローブの方を見て言う。

グラビティス『お楽しみは取って置け。メルニアが心配しているぞ。』

ダークナイザー『わかった…』

染井を視線だけで殺そうするもベムが染井の前に立ち、

ダークナイザーはグラビティスの肩に乗り、グラビティスは剣持の方を向いて、

グラビティス『また会おう。この星の戦士達よ。』

そう言い異形のロボット戦士は獣脚を飛蝗の如く跳躍させてから飛行して姿を消す。

気配が完全に離れていったのを確認して得物を仕舞い。染井の方を振り返り

「奴自身が何者かは知らないが、奴は相当にお前を……ボーダーを憎んでいるぞ。」

(それに………奴ら"メルニア"と言っていたな……あの二人、ブラックミストの連中だったのか?)

脳裏に過るブラックワンとその傍に仕えるアインへリアル5勇士とその傭兵団をまとめる組織のトップの女の姿を思い出すベム。

そう言いベムは近くの木に座り込みレッドマンと怪獣の戦いを見届ける。

染井「あの、さっきは……」

染井は言いたい事があるが基本の助けてくれたお礼の言葉を言おうとするが、

「あの泥棒も参加して来たか。」

試作型ウルトラーVがレッドマンに加勢して戦いは、激しさを増すも、やがてレッドマン達が勝利するのも見届けて染井がお礼の言葉を言うより早くに立ち上がり、

「どうする?剣持に会いに行くか?」

染井「!?」

剣持Xへの提案に、染井は暫く考えて、

染井「剣持君の居場所分かるの?」

「…ついてこい。」

そして、私は剣持Xの道案内でレッドマンから剣持君に戻った所に声を掛ける。

只今、振り返れば、剣持X君は、私が剣持君に声掛けるのを止めようとしていた為、剣持君が私の前から振り返らず走り去って行くのをわかっていたのかも知れない………

この時ばかりは、私が素直に見通しが甘かった………

剣持X「今のは、戻って直ぐではなく……少し時間を置いてから声を掛けるべきだった。」

と私をジト目で言い………最後に一言

「今日この山で見た事は、ボーダーの連中に好きに言え……」

彼の表情は無表情だがこの時ばかりは、表情に陰りが見えて私の目には寂しそうにも、何かを諦めたような顔をしていた……気がする。

あの後、"剣持君ではない剣持X"に『お化け屋敷』に保護された私は、不思議な事に取り調べや事情を聴かれる事なく無事に三門市に帰る事が出来た。

染井「………」

途中、私は剣持Xに幾つも質問を投げ掛けたが彼は何も答えない……無視されるのは結構堪える…

度重なる命の危険から解放され、少し服が土に汚れた程度以外は五体満足に三門市に帰ってこられて、ボーダーの寮の自分の部屋に戻った私は着替えずにベッドに横になり布団を被り死んだように眠りにつく。

余りにも今日は色々と有りすぎたからだ。

その翌日から数日、私はまるで最初から何も無かったかのように普通に六頴館高等学校に通う。

(何が、何も無かったのよ……)

あれから剣持君には会いに行ってはいない……会って何を話せば良いのか、今は良くわからない……前に進もうと思って行動した結果がこれなら、大失敗よりも酷い結果だ……

何気なく私は河川敷の道を歩く。すると一人の顔見知りが法面に寝転びながら沈む夕陽を眺めていた。

久遠「何が会ったんだ?染井華。」

東京の下町出身のマスク・ザ・セブンの久遠武丸は軽く染井の方に視線を向けずに尋ねる。

染井「……」

 

 

暫く無言で沈む夕陽を眺める二人。

染井「聞かないんですか?私に何が会ったのか?」

久遠「どうせ、"大切な友達"についてだろ。」

染井「……私の心でも読んだんですか?」

久遠「……残念。只の俺の勘だ。」

染井は無言で久遠から目そらしして体操座りをして顔を下に向きその表情はどんな表情をしているのかそれは当人しかわからない。

染井「言いたい事も話したい事も沢山あったのに友達に

逃げられてしまって……」ドンよりした雰囲気を全体に醸し出す染井に対して

久遠「お前、その友達に嫌われているのか?」

久遠の的を居抜いた発言に染井は更にドンよりとした雰囲気を醸し出して、

久遠「横でドンよりするなよ!?」

染井「………私嫌われているんですか?」

久遠「知らないよ。本人に聞け!?」

染井華相手にノリツッコミを言う久遠武丸。

久遠「本気でソイツと向き合ったのか?」

染井「向き合う前に、逃げられてしまって……」

久遠武丸は立ち上がり身体を軽くならして言う。

久遠「時間が解決してくれる訳じゃないなら、歩みより続けるしかないだろう。建前とか捨てて本心を言葉と共にソイツに伝えれば良いんじゃないか?お前はソイツの"本当の気持ち"を知りたい……只それを目指せば良いんだよ。」

そう言い久遠は河川敷を去る……

染井「………それしか方法がないよね…………」

彼女も立ち上がりボーダーの寮に戻る。

 

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古びた館の主の書斎にて、マホガニーの机を間にして向き合う二人の男達。互いに必要な書類を記入しながらも黒野は聞く。

黒野「本当に良いのか?」

「……はい。色々と一人で考えたいんです。それに…

黒野「それに?」

「自己満に聞こえるかもしれませんけど、ほんの少しでも自分自身でパリの人達の力になりたいんです。何時か三門市がパリのような事態になっても、守り抜きたいと思っていますから……」

黒野「……わかった……ハヤタさんからも了承の返事を無事に貰った。今夜でも構わないと……」

「何から何まで本当にすいません。俺の我が儘に振り回してしまって……」

剣持は黒野のお礼の言葉を伝え頭を下げる。黒野は気にしない素振りで答える。

黒野「気にするな。イポポの件で義妹と家族の距離が漸く普通になったんだ。お前と那須隊の志岐には、本当に感謝している。」

「俺は何もしてません。あれは全部、志岐ちゃんのお陰です。」

黒野「それでもだ。家で良くお前の話をしているくらいは元気になったよ。」ニコニコに笑う黒野。

黒野「だが真琴は貴様にやらん。」

ニコニコで言う黒野先輩。

「いや、結構です。」お断りの言葉を言うが、

黒野「家の義妹が可愛くないだと!?貴様、表に出ろ!?家の義妹はボーダーの女子共に余裕で勝つぞ!?」

そしてシスコンである黒野。

「先輩。話が脱線してますよ。」

黒野「……馬鹿者が!?真琴の可愛さは最早、東洋の神秘だ!?」自信満々に豪語する黒野先輩。

すると書斎の扉が開き、

真琴がひょっこりと顔を出して、

真琴「義兄さん。五月蝿い。国近ちゃんと勉強しているんだから少しは静かにしてよ。」

真琴はそう言い一度書斎を離れて、直ぐに目付きをゴミを見るような目にして戻って来て

真琴「後普通にキっモ。」

そう言い今度こそ彼女は書斎を去る。

黒野「照れているな。可愛い奴め…」

(苦労しているな。真琴先輩は……)遠い目になる剣持、

 

真琴の部屋にて

国近「あっ、真琴ちゃん。どうしたの?顔が真っ赤だよ。」

真琴「/////何でもないわよ!?/////」

普通に国近の成績がピンチのピンチの連続でどうにもならないから真琴が助け舟を出す。

さっき、義兄の書斎を尋ねたのは、剣持の様子を確認しに来たのが本命だ。

頬を赤くしながらも、剣持の顔を思い出す。

真琴(あれは、何かに思い詰めた顔だ。後で何があったのか聞いた方が良い。)

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『お化け屋敷』機械区画にて

神山「笹神。また他の区画の女性を口説いていたな。」

この職場で怪人は作った事はないが此処に雇用される前に20は軽く越える怪人を作った神山 将后は、隣の机にいる腐れ縁に、注意の言葉を掛ける。

 

笹神「相変わらず。真面目だな…将后は、そんなんじゃ女性との交際で苦労するぜ。」軽口を叩き以下にもナルシストな感じの雰囲気を見せる紫色の髪をヘアゴムで後ろにまとめた男は、商品開発室で研究する自動車や二輪車に船と色々と開発予定の商品の設計図をPCで書きながら、神山博士の注意を耳に流す。

 

笹神 教瀬

年齢23専攻機械工学

ナルシストの様にみえるが、実はギャグマンガ日和メーカー。女性に関しては1.2を争うほど手が早く、見境無しに口説きまくる。神山 将后とは子供の時からの腐れ縁。

 

機械区画では破壊された超機獣の解析は現在しておらず、ロボット工学研究所から来る詳しいデータを待つ間、研究資金稼ぎの商品開発を進めている。

神山「弐式とロボー47の修理は進んでいるのかな~~」

笹神「進んでくれないと普通に困るぜ。ウルトラーVは暴走、アルムとラピッドは修理だしガーディアンは改修の最中、鉄山は別の基地に向かっているんだ。怪獣が現れたら、戦闘機やローバーで戦う必要になっちまうよ。」

前回の戦闘で『お化け屋敷』の保有する巨大ロボットは軒並み病院行きだ。

元気なのは旧型の鉄山だけだが、一機のロボットで日本は守れはしない。

神山「やっぱり一番、早く復活するのは弐式とロボー47だよね。」

笹神「まっ、実戦のデータから必要な部品とかノウハウは沢山あるからな。」

何気にガーディアンより速くロールアウトされて怪獣達と激闘を繰り広げた先輩達だ。復帰も早い。

神山「俺達で出来る事って他にないのかな?」

自分の仕事の席に座りPCで現在開発する商品のシステムの開発しながら神山は言う。

笹神「……俺達は只の学会に干された機械工学の博士だよ……出来る事なんて限られて当然なんだよ。」

極めて現実的な事を言う笹神。

神山「それでも……」

神山は危険な現場で戦う隊員達の姿を思い出して言う。

笹神「………それでも此処が俺達の戦う場所だ。」

笹神はそう言う無言で作業に戻る。

 

 

『お化け屋敷』の生物学区画の研究室にて、

宇宙怪獣の一種でもある光線怪獣キュベリナスの死体は勿論《怪獣解体清掃業》の方々が根こそぎ、持っていってしまった物の、希少な部位や臓器器官等は、『お化け屋敷』の生物学や遺伝子工学関係の科学者達が、今後の研究資料として厳重に保存される。

寧ろ、研究が仕事の科学者達は怪獣災害が終了してからの肉の一欠片は勿論、血の一滴に至るまで解剖分析と言った物をする為大忙しだ。元々レッドマンに怪獣の身体がバラバラにされていないのもあって、

怪獣のサンプルは沢山手に入って研究者達自身は大喜びらしい。

更に、ロボット工学研究所に輸送されている赤い超機獣の残骸も有効活用するつもりらしいとの噂だ。

まん丸ぽっちゃりの原田博士もポテトチップスを食べるのを辞めて真面目に宇宙怪獣の未知の細胞についての分析をしている。

原田「相も変わらず、宇宙は広いなぁ~~生身の生き物が光線を出すなんて……」

核廃棄物を食べて放射能のエネルギーを光線として放っていたゴルドキングは例外にしても、人工的な冬眠をしているビルガメラーや実体化した謎の多いイポポを除けば、地球の怪獣は光線を吐かない。

だが基本吐かないだけであって突然変異でキュベリナスのように光線を出す個体が現れない事もあり得ない。

『お化け屋敷』は日々、数多くの未知に対して対策や研究分析に調査をする。

アリシア「原田博士。こちらの分析結果が出ました。」

銀のイヤリングを両耳に着けた緑色の髪の女性が、宇宙怪獣の神経関係の分析データを原田真の机を置く。

原田「ありがとう。アリシア博士。」

 

アリシア 霞原

年齢27 専攻 生物

音楽が好きで、音楽が生物に与える影響を研究するためにこの世界に入る。作曲や歌を唄う事が好きで、良く仲間とカラオケへ行くが、彼女にマイクを渡すと、しばらく帰ってこなくなる。

分析データに目を通して

原田「ややっ、予測通り、この怪獣、地球の生物の基本の神経系統とは違うね。」

アリシア「ええ。私も驚きました。この怪獣の腰の中には神経の塊……第2の脳と言う物が確認した時は、」

太古の恐竜の一つステゴサウルスにも似た脳を持つ言われていたが、あれも結局は脊髄のコントロールする器官で下半身を動かす役割を持っただけで本当の『脳』ではなかった……刺骨竜トゲラも同様だ。しかしこの宇宙怪獣の腰の中には冗談ではなくもう一つの『脳』が腰に実際に存在しているのだ。『第2脳』自体はレッドマンとの対決で損傷している物の、この発見は生物学者としては常識を覆される結果だ。

アリシア「損傷した第2脳は大塚がチャールズ隊員やベックチーフ達で、摘出して保存する予定です。」

原田「お願いするよ。この怪獣は宇宙怪獣だがどう考えても自然な進化系統で誕生したとは思えない。」

アリシア「やはり原田博士も同じ考えですか?」

アリシア霞原博士も、原田博士と同じ意見、この怪獣は確かに別の惑星に生息していたのだろうが、元々宇宙人達によって別の惑星の侵略目的の為、人為的に作られた………人口生命体が帰化した生物なんじゃないかと推測する。

『お化け屋敷』達に確かめる術などはないが、彼ら彼女らの推測は概ね当たっていて。

この区画に運び込まれたキュベリナスは、エルヴィル星人がキュベリアスと特殊な改良を施した個体だが、

その下位個体のキュベリアスは、元々はベンゼン星人達が生み出した人工生命体で、エルヴィル星の磁力地帯に帰化してしまった怪獣で、エルヴィル星人が開発したメタルダイナスの欠点を補う形で飼育されている。

エルヴィル星の怪獣使い達が使用する代表的な怪獣として星間連合の接近戦闘と射手を担う。

アリシア「では、私は怪獣の皮膚組織の分析へ。」そう言い彼女は自分の机のPCに向かい合い

原田「さて、次は宇宙怪獣の内臓関係を調べないと……」

原田博士もPCに向かい合う。

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遺伝子工学区画の研究室では皆自分のPCと向き合い黙々と今回の宇宙怪獣の遺伝子の分析の作業をしていた。

この遺伝子工学の博士達は基本ほかの区画の研究室と比べて閉鎖的で、研究者らしいと言えば研究者らしいのだか皆、独特である。彼ら彼女らをまとめるのは、

青いモジャモジャな髪型をした眼鏡を掛けた中年男性の

弓原博士。他の区画を含めて異質な学者達ばかりの『お化け屋敷』の常識人。

 

弓原 鉄雄

年齢43 専攻 遺伝子工学

異質の学者陣の中では、まだまともな性格だが、性格からか周りに合わせようと無理をして、胃の痛い毎日を送っている。ビールを飲みながらプロ野球中継を見る事が好き。

 

遺伝子工学区画の窓口でもあり、基本閉鎖的な研究者ばかりの遺伝子工学区画の良心で苦労人。

弓原「そろそろ休憩しないか?」

出来るだけフレンドリーに周りの同僚達に言う弓原博士。

冴えない顔をして黙々と作業をする茶髪の男性は弓原に目も合わせずに一言。

埠「結構です。」

弓原「あっ、」

【ヒュ~~~~】

 

埠 真司

年齢21 専攻遺伝子工学

周りの目を気にするために、自分の感情は余り表に出さないようしている。また、他人からの干渉を嫌い、休日はひとりで音楽を聞いたり、テレビゲームをしたりしている。

 

優秀な遺伝子工学の科学者だが協調性にやや問題がある。

弓原「じゃあ、上本君は?」

茶色のポニーテールの清楚な女性に声を掛ける弓原。

上本「結構です。」

弓原「あっ、そうなの…」

【ヒュ~~~~】

 

上本 硝子

年齢18 専攻 遺伝子工学

知りたがり屋で色々な経験や知識を得るために学者になる休日になると旅行に出かけるのだが、乗り物はあまり使わず、ひとりで歩いてはじっくりと周りを観察しながら旅をする。

 

彼女も知りたがり屋の性分か分析作業に集中している。

弓原「じゃあ、」

今いる中で比較的………

狛槻「私は先に休憩しますよ。」

一足先に研究室から退出して保養所に向かう狛槻博士。

 

狛槻 菜子

年齢37 専攻 遺伝子工学

この年になるまで人生の全てを研究に費やして来ており、独特の理論と価値観を持っている。このため、他人の研究に関してよく口を挟むことがある。

 

弓原(そしてそれより早くに個人的に移動した二人!!)

桜本『某即売会に出す趣味の本作りもしたい為に一足お先に失礼します。』

金髪緑色の瞳を持つ美人な女性の見た目をしているが、

内面は空想大好きな同僚に弓原博士は頭を抱える。

 

桜本 静

年齢21 専攻遺伝子工学

いつまでも幼きころの夢を追い続ける女性で、強い男やかっこいい男や年下の美少年に憧れるという、空想癖バリバリの人。趣味も本作り・衣装作りで、某即売会での販売・仮装を毎年楽しみにしている。

 

弓原(めげるな私!?この区画に配属された時から彼ら彼女らの協調性の無さは覚悟していただろう!!)

弓原は涙を堪えて水と一緒に胃薬を飲む。でも悲しいのは本当だよ……

埠、上本(弓原博士ってうまそうに胃薬を飲むなぁ~~)

 

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「では、俺はこれで…」

黒野「なぁ、剣持?」

「どうしましたか?先輩。」

黒野「………大丈夫か?」

剣持は何とか笑みを作り先輩を安心させるように言う

「……大丈夫ですよ先輩。心配するような事はありません。」

黒野「………本当に何か困った事があるなら相談しろよ?一人で抱え込む必要はないんだぞ。」

(……言えば、皆が俺から離れて行く……だから……)

「本当に大丈夫です。今回は本当にありがとうございます。」

そう言い剣持はお礼の言葉を言い書斎を後にする。

一人になった黒野は静かに自分の机に足を乗せて両腕を後ろに回して天井の灯りを眺めながら一人独白する。

「……どう見ても、ありゃ大丈夫じゃないな………」

(さて漆黒の賢者は、こういう時、どういう行動をすれば良いのが正解なのか……)自前のスーパーコンピューターに送られた数日前の屋敷内での映像を見て黒野は思う。

(………君なら、アイツの心の中にある壁を壊してくれるのか?)

映像には義妹の部屋の扉の前にいた染井華の姿が映る。

黒野が好きな事は人間観察である。わかっている反応すら見たくなる物の人に見せる………それは、この玄界は自分の想像を遥かに越える未知と冒険があるから………

【コンコン。】

黒野「うん?」

扉を叩かれて黒野は、無言で身構える。

そして次の瞬間、

室内に二人の男が姿を扉を開けずに現れた事に、黒野は軽くため息を吐き出して、無言でフルオートショットガンAA-12(オート・アサルト・12)を片手に用意して来客に対応する。

黒野「何時も言っているが、瞬間移動を使わず扉を使え、でっ何のようだ。」

久遠「まっ、落ち着け、その怖い顔つきを辞めろ。お前が本気の顔つきになると普通に怖いぜ。」

愛の戦士のマスク・ザ・セブンの久遠武丸と隣のサングラスを掛けた白髪のサングラスの老紳士の二人組が黒野の前に現れた。

黒野「誰のせいだと思っている。誰のせいだと…」

 

久遠「パリ復興の短期バイトに参加するから報告しにきたんだ。部署の部長達には事前に伝えている。」

黒野「えっ?お前もパリに行くの?」

久遠「東京に住む両親達に外国のお土産とか購入したいんだ。」

黒野「……否、疑う訳じゃないぜ。お前、前にインドだのアメリカだの短期バイトに行った事あるのを知っているし。」

久遠「まっ、お前には土産物は買わんがな。」

黒野「言っとけ、レインボーマンのパチもん。」

マスター・K「ホホホっ、寂しくなりマース。」

隣の老紳士は愉快に笑う。

久遠「頼むから、あんたも俺が帰国するまで変な事はするなよ。」ジト目で宿敵の親玉を見る久遠。

黒野「仲が宜しくて羨ましいよ。」

久遠「お前がコイツの組織を買収したからだろう。聞いた事ないよ。悪と正義が同じ組織で人類の自由と平和を守っているなんて。」

黒野「結局、組織運営の基本は方針と資金力と人脈だよ……保安室の指揮官に、必要だったから雇用しただけだ。」

マスター・K「怪獣に本部も支部も全部破壊されて私悲しいデース。」

 

マスター・K

年齢不明 勤務地 全人類抹殺団

全人類抹殺を企む秘密結社の首領で、過去にあったちょっとした出来事のため、人間不信になっている。時折、変な英語を使うが、ずば抜けた判断力と指揮能力を持っている。

 

黒野「久遠の件はわかった。マスター・Kは何用だ?」

マスター・K「最近、三門市周辺に目撃され始めた『お化けカマキリ』改めて『突然変異の巨大昆虫』についての新しい報告だよ。」

その報告を聞き顔つきを元の普通に戻した黒野はショットガンをしまい。

マスター・K「ユー達が怪獣達と激闘をしている合間に情報部と連携して調査対象の化学工場や密造所を我々が調べたが、目的の禁止された農薬は見つからなかった。

そして、我々は考えを変えた………」

黒野「どういう事だ?」

久遠「大手の企業とか密造所に無いなら禁止されたとはいえ農薬が先ず使われる場所………各農家を始め農園を重点的に調べ続けて何人かの農園の持ち主から害虫が絶対に寄りつかないの触れ込みで個人に貰ったと言う報告が三門市の外の町の人達から貰ったんだ。」

黒野「組織ではなく個人による犯行か。」

マスター・K「既に隊長達には、報告しました。我々がこれから捜査する条件はシンプルに禁止された農薬を開発出来る個人用の工場を持っている農場限定。」

黒野「教えてくれてありがとう。もし世界各地の巨大蟻がいなくなった場合、お化けカマキリが次に餌にするのは、」

久遠「その農薬を作っている個人用の化学工場だろ。そして農薬を使った作物がある農場……その農場の主は、そのカマキリに狙われない為に、わざと農薬を他の人達の農園に渡したんだな。」

カマキリは肉食で自分より小さな虫は勿論ヘタをすれば人間には危険なスズメバチすら餌にするだけに飽きたらず自分より大きいトカゲやカエルに小鳥すら食べる『昆虫達のハンター』の渾名も馬鹿に出来ない。

黒野「………間違いなく、奥多摩駅でポニー隊員が撃退したのは、人の味を覚えた個体だろう……うえっ人間を補食するなんて平成ガメラのギャオスかよ。」

人が巨大カマキリに捕食されるイメージを想像して嫌な顔になる黒野。

マスター・K「突然変異カマキリ自体が大きくなっているから人間も餌の一つに加えられたんだな。」

冷静にカマキリの生態についての変化を答えるマスター・K。

久遠「ポニー隊員が倒した個体は約3㍍。」

マスター・K「一の谷博士の見解だと、レッドマンサイズの個体も存在しているのではないかと?」

黒野「あり得そうだな。あの巨大蟻達ですら複数はいたんだ。自分が沢山餌が食えるタイミングでも待っているのかもな。」

 

黒野はさっきの剣持のあの大丈夫でもないのに大丈夫のフリをする姿を思い出して、

黒野「……カラ元気も元気を出せるのはアイツの心の芯が強いって言う意味なのかね……」

久遠、マスター・K「「へっ?/ワッツ!?何の話だ?」」黒野の突然の独り言に二人は互いに顔を見合せる。

黒野「……只の俺の後輩の話だ。悪いが、これから書斎で書かないといけない事があるから出てってくれ。」

久遠「おう。」

マスター・K「ではアディオス。」

そう言い二人は今度は扉を開けて書斎から出て行く。

 

黒野「……やっぱり、困った時には本音で対話するのが一番だな。さて財閥としての仕事仕事。」

黒野はスーパーコンピューターを操作して自分のやるべき事を頭に入れながら作業する。

作業しながら黒野の脳裏にはマキシボーン山で出会ったとある黒いローブの存在と異形のロボット戦士を思い出す。

特にローブの素顔を見た自分とアラシの二人には、得体の知れない感覚を感じていた。

黒野の回想━━━━━━━━━━━━━━━━━

ローバーの運転するアラシに護衛の黒野、そして救助対象のタクシー運転手の三人は剣持と染井を置いて一旦離れ離れに行動を開始。

救助した運転手を安全な場所に連れて行く間、ローバーは急ぎ安全な場所に向かっていた。

アラシは剣持達二人をローバーが壊されない為とはいえ置いていってしまったのを悔やんでいたが運転に集中していた。

黒野も素直に二人を心配していた、剣持が普通とは違うとはいえあの10㍍の怪獣がいる森林地帯を二人の人間が無事に逃げ切れるか運すら絡んでいた。

『!?』

アラシは目の前を見て運転していると、目の前に黒いローブの男が現れて慌てて急ブレーキを踏む。

黒野『うおっ!?』

タクシー運転手『どうした!?』

その影響で当然ローバーは急停止して目の前のローブをはねるのは阻止出来た………

『………』

黒野『剣持?』

風が靡きフードが露になり素顔を黒野達に晒すローブ。

『………』

病人を通り越した死人のような肌の色。顔中に刻まれた縫い目の数々。瞬きもしない光を失った虚空の目が、黒野の"剣持?"の単語に反応を覚える。

明らかに自分達の知っている剣持夢想とは違っていたのにその顔は紛れもない自分達が知っている剣持夢想と同じ顔だった

『剣持。どうやってあの状況から脱出したんだ?あっ、あのお嬢ちゃんは?』

アラシは安堵の表情で剣持と染井が無事だった事を聞くが、

『誰だ?貴様ら?』

返ってきた返事にアラシと黒野は警戒する。

無言で剣持と同じ顔の存在はローバーの車体を掴み、

『人間は全て死ね……』

成人男性3人が搭乗したローバーを両手で軽々と持ち上げて

その一言と共にローバーを投げ飛ばす。

黒野はアラシとタクシー運転手を抱えてローバーから飛び移る。

アラシ『!!』

無意識に電磁レールガンをホルダーから引き抜きローブの存在に構えるが、ローブは虚空から黒い大振りのナイフを取り出して握りしめて、アラシに斬り掛かる。

一振りで電磁レールガンの銃身を断ち切り、アラシの喉元にナイフを突き刺そうと腕を動かすと、アラシの前に黒野が立ち塞がり

黒野『シールドモード。スラスター。』

片手からレイガストを出現させてローブの男にシールドバックする。

レイガストの出現に目付きを鋭い物に変えて黒野を見据えるローブの男。

『貴様、ボーダーの人間か。』

トリオン体でローブを押さえつけられながらローブは黒野に問う。

『!?何を分かりきった事を!?』

同じ顔でもこちらに明確な危害を加えるなら、多少怪我をさせてでも無力化させなければならないと黒野はローブを向き合う。

『ボーダーは全て殺す。』

『!!アラシ!?』

明確な殺意を黒野は向けられてアラシに向かって声を出す。

アラシ『!?』

『コイツは俺が押さえておくから、お前は、その人を安全な場所に連れて行け!?』

(!!なんつう力だ。トリオンを消費してスラスターを噴き出しているシールドモードのレイガストをコイツは腕力の力技だけで押し上げてやがる……押さえられない!!)相手の異常さに戦慄を覚える黒野。

アラシ『わかった!?さぁ、早くこっちに……』

アラシはタクシー運転手の手を引いて安全な場所に向かう。

ローブはアラシ達に目もくれずシールドごしに写る目の前の黒野に殺意と殺気を全身を発しながらスラスターを噴き出すレイガスト押し退けて片手で黒野の頭を掴み持ち上げ森林地域に向かって放り投げる。

『ぐへっ。』

木々を次々とへし折りながら黒野は吹き飛ばされて、地面に転がる。

『奴は!?』

(並みの殺意や殺気じゃない………それに、トリオン体の基礎能力よりもアイツの身体能力の方がずっと上だ。)

土に汚れながら直ぐに起き上がり、黒いローブに視線を合わせるが、黒いローブは一瞬で姿を消して、黒野のトリオン体の全身を黒い持ち手のナイフで斬り刻む。

(力も高く動きも瞬発力も速い!?ボーダーの支給されたトリガーじゃあスペックの差で負けている!?)

身体全体を回転させた回し蹴りをまともにくらい衝撃で黒野の両足の地面がめり込み真上から黒いローブのナイフが黒野のトリオン体を傷付ける。

生身の相手とか関係なく黒野は殺す気で、レイガストをブレードモードにしてローブを狙う。

『!?』

トリオンが身体から漏れてトリオン漏出を警告するメッセージが聞こえる中に、生い茂る木々を足場にしてそれぞれ空中で斬り合う。相手と斬り合う中、黒野は特定の

木々を見つけてそこにローブを誘導する。

ローブは黒野を追いかけて先回りして黒野に斬り掛かるが、黒野は口元に笑みを浮かべて特定の木々の内の一本に片手を置き、

『正方形の陣(スクエアエスクード)』

四方からエスクードを出して相手を合流させないように閉じ込める技。市街地にある塀がある民家や森林地帯の同じ感覚に生えた木々にエスクードを出すのが特徴、真上からジャンプして逃げないように、エスクードから別のエスクードを屋根代わりに出して真上からの脱出を防ぐのは大事、只、エスクードを破壊出来るトリガー(旋空孤月やメテオラや銃手や射手、アイビス持ちの狙撃手)使いを閉じ込める時には対策に壁の波(エスクードウェイブ)で時間稼ぎをする必要がある。

密閉空間から脱出したら壁の数々で相手のトリオンを少しでも消耗させる。市街地Dの室内戦だとえげつなさが増す。

特定の木々の左右から同時にエスクードが出現して、

『!!』

ローブの男は顔面にエスクードが直撃して、態勢が崩れる。

黒野は自身のレイガストをローブに向かって放つが、ローブは無理やり身体を捻り回避する。

『ちっ!?』

空中から地面に着地した相手は俺がエスクードを使用した事を冷静に観察している。

素早くローブは走り出して、黒野を狙うも、黒野もローブに向かって走り出す。

ローブは走りながら鋭い蹴りを放ち黒野は二の腕でガードしつつ、レイガストを使った横一文字斬りを放ち、相手は軸足を素早く替えて、その斬撃を回避する。

次々とナイフを振る相手に、トリオンを漏出しつつ相手の動きの速さに対応しようと観察する黒野はある事に気付き始める。

『………』

(コイツ………素人か?身体能力も殺気や殺意は凄いが、戦術が余りに単純過ぎる……)

それでも実戦経験がある自分のトリオン体を此処まで傷つけられたのは凄いが、この強さならB級の実力者でもダメージ有りで何とか勝てるレベルだ。

向こうの相手もその事に気付いているのか、黒野の動きに合わせようとしている。次々と火花が舞い木々を足場にエスクードを出して相手の視界から隠れて、不意打ちの一撃をエスクードの隙間から放つも、不意打ちを全て避けるローブ。

ナイフの刃とレイガストの刃がぶつかり押し付け合いながら、ローブは黒野の片腕を掴み、己の腕力と共に一気に引っ張り上げる

『………』

【ブチっ】

黒野の片腕が宙に舞う。

『なっ!?』

(コイツに接近されたら、殆どアウトじゃないか。)

トリオン体をバラバラに出来る腕力持ちを相手に利き手が無事でも片腕になって均衡状態が無くなり、劣勢になり、ローブは黒野の脳天にナイフを突き刺そう振るうのを防ぐ黒野。

黒野は地面に転がりながら地面に次々と突き刺さる殺人鬼のように迫るナイフの刃を避ける。

相手の腹を蹴り入れてその場から移動する黒野。

(トリオンを無駄に使わせる訳には行かない。)

そう考えている最中、

『『シャオオオオオオオオオオオオオン!!!』』

森林地帯に響き渡る咆哮に黒野とローブも意識をそっちに向けて、市街地から森林地帯に姿を見せた紫色の恐竜体型の宇宙怪獣を目撃する両者。

『キュベリナス……』

ローブの一言に黒野は顔色を変えて

『お前はあの怪獣を知っているのか!?』

素早く振るナイフの一撃をレイガストで防ぎながら黒野は聞くも

『これから死ぬあんたに関係あるか?』

相手は此方の質問に答えるつもりは一切ないようだ。

『良くわかったよ。』

相手が自分より速いのは、あの鎧宇宙人との戦いで学んだ……ナイフが黒野の身体に直撃するより早くローブの懐に近付き、拳を押し付けて囁くように言う。

『スラスター。』

だが少なくとも目の前のコイツはあの鎧宇宙人よりは身体は硬くない。ダメージは効果的だ。

『!!!!?』

ブレードモードのスラスターを至近距離でまともにくらいローブは衝撃と共に勢い良く吹き飛ばされ、木々を次々とへし折りながら吹き飛び身体をくの字に折れ曲がる。

『さっき、人の頭を掴んで投げた仕返しだ。』

トリオン体を解除して黒野はその場から移動する。

トドメを刺さないのは知っている奴と同じ顔だったせいかはこの時の黒野はわからない。只、振り掛かる火の粉を払うだけで、急いでいたのも事実だった

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

移動しながら黒野は腕時計型通信機を起動して

黒野『此方、黒野。応答せよ。市街地より怪獣が出現して第6基地に向かっています。』

ホシノ《此方も既に、確認した。現在位置は?》

黒野『森林地域から紫色の怪獣を目撃しました。作戦は既に始まっているんですか?』

ホシノ《あぁ。黒野隊員は剣持隊員が民間人を連れて移動している最中だ。合流してくれ。》

黒野『了解っ!?』

通信機を閉じて周囲を見回して、剣持達を探す黒野。

そして巨大な赤い尻尾と、蛍光色の緑色の血が辺り一面に振り注いだ場所を見つける。

尻尾は本体から切断されても芋虫のように激しく動いていて、黒野はすかさず電磁レールガンの銃口の先端にレーザーアダプターを

装備して発射。尻尾の断面図にレーザーが直撃して焼けると尻尾は動かなくなる。

黒野(レッドマンが怪獣と戦ったのか?)

あの尻尾は自分達の前に現れたバラキの尻尾で間違いはない。

黒野『剣持!?染井さん!?いるなら返事をしてくれ!?』

周囲を歩きながら声を出す黒野。地面を慎重に観察しながら見ると一つ足跡を見つける。足跡の靴の形から『お化け屋敷』に支給された万能シューズの靴の形と分かり

黒野『一人?………否、剣持が染井さんをおんぶして移動したのか、!?』

ローブ『ボオオオオオーーーーーダアアアアアアーーーー!!!!!?』

木々を足場に凄まじい殺気と共に黒いローブが黒野を追いかけて来た。

黒野『お前が、何で俺達を憎んでいるか興味はあるが、

今は…素直に………』

黒野も流石に苛立ちを覚えて、テレポートで"黒い仮面"を出現させてローブがナイフを振るより速く被る

黒野『……邪魔だ。』

仮面の形をした黒トリガー【髑髏の飛蝗の仮面(ミカニカンタロス)】を装着して黒野の頭部に脳髄を刺激する針が刺さり、額から黒いカブトムシの角を生やし、体内の機械にトリオン器官が増幅してボーダーのトリガーでは発動しないシステムが全て稼働して黒野の姿を仮面の怪人に変え……変身させる。

ディアヴォロス『……』

ローブ『!!?』

ディアヴォロスの姿を見てローブは驚きナイフを振るうも先端がディアヴォロスに直撃する事はなく見えない力でナイフは止められて、逆に弾き返される。

ローブ『何だその姿は!?貴様はボーダーの人間じゃないのか!?』

地面に転がりながら露骨に動揺するローブに対してディアヴォロスは無言で黒い両腕を白と青のコイルアームに変えてローブに向けて自分の両腕を接触させてスパークさせ

ディアヴォロス『!!!!』

【ブロンテーフォティア】を発動させる直前、

晴れた森林地帯に"何処からか"赤い熱光線がディアヴォロスの周囲に降り注ぎ、トリオンのシールドを出して次々と来る熱光線(プラズマビーム)を防ぐ仮面の怪人。

ディアヴォロス『誰だ!?』

自分に攻撃した存在に声を出す仮面の怪人。

ローブは黒い光と共にディアヴォロスの前から姿を消す

ディアヴォロスは直ぐに周囲を警戒する。

ディアヴォロス『………』

周囲に人の気配は完全に消えて不気味な静けさが支配する森の中で仮面の怪人の稼働する機械音のみが響き渡る

ディアヴォロス(まだ近くにいる筈だ……)

森林地帯に小さな風が吹き2本の白いマフラーと赤いスカーフを靡かせながら、ディアヴォロスは真紅の単眼部分を赤く光らせて、周囲の森林地域をレーダー・センサー能力を使用して索敵するディアヴォロス。

ディアヴォロス(!?)

【タン。】

ある足音を聞きその方向に走るディアヴォロス。

ディアヴォロスはとある木に立つ存在に気付く。

黒いトレンチコートに青いダメージジーパンを身に付けた銀の騎士の外見をした異形のロボット戦士が木に背中を預けながら両腕を組んで立っていた。

グラビティス『………』

明らかに普通の人間ではないその外見に

ディアヴォロス『ガイラットのロボット戦士か!?』

(何だ………コイツは!?)

左側の赤く鋭く尖った2つの目と右側の赤い無機質な正方形の目の左右非対称に違う目がディアヴォロスを捉える。見れば見る程おかしな出で立ちだ。左右の目は違う物の整えられた騎士を模した顔、イポポの時にレッドマンに加勢した巨人にどこかに似ているが、バランスの良い上半身に飛蝗や獣の逆関節の下半身が異形さをより際立たせる。

グラビティス『貴様の敵だ。……奴は追わさせないぞ。坊や。』

 

異形のロボット戦士はそう言うと、くの字の獣脚を飛蝗の要領で跳躍して仮面の怪人の前に着地して、振り向き様に仮面の怪人は鋭い拳を相手に放つも

【ガン!!】

相手は片手でその拳を掴み握りしめて

グラビティス『……やんちゃな坊やには躾が少し必要なようだな。』

黒いコートの中の金属のメタルアームの拳を抜き放ち仮面の怪人の胴体に直撃して更に鋭い横蹴りが腹に直撃して吹き飛ぶディアヴォロス。

【ガコンッ!!】

ディアヴォロス『がッ!?』

木々をへし折りながら、投げ飛ばされたローバーの上に倒れ込み転倒した車体は2つに折れ曲がりローバーはそのまま爆発する。

爆炎の中から姿を表すディアヴォロスの前にグラビティスが着地してゆっくりと向き合う両者。

ディアヴォロス『………』

グラビティス『………』

【………………………………………………………………………………………………………………】

グラビティス(さっきの奴よりもずっと強いようだ。)

最初の相手の攻撃で相手の実力を読むグラビティス。

ディアヴォロス『!?』

グラビティス『!?』

機械の稼働音が鳴る中で両者は無言で構えて森林地帯を走り出す。

グラビティス『!!左袖が駄目になるが仕方ない。』

走りながら素早く左肘から収納していた金属製の可変ブレードを左袖に穴を開けて出して仮面の怪人に斬り掛かる異形のロボット戦士。

ディアヴォロス『スコーピオン!!』

右肘からスコーピオンを生やして肘と肘をぶつけて鍔追り合いを開始!?

金属の刃とトリオンの刃がぶつかる音が森林地帯に鳴り、異形のロボット戦士が、首を斬り落とそうと肘のブレードを振るう。

仮面の怪人はロボット戦士の腹に蹴りを入れて身体を転がり相手から距離を取る。

異形のロボット戦士は5本の指先と掌から中距離熱光線を発射して、仮面の怪人はトリオンのシールドを使ったフルガードで熱光線を防ぐも、グラビティスは飛蝗の跳躍力で仮面の怪人との間合いを一気に詰めて跳躍しながら左腕から別の金属ブレードを出して、仮面の怪人の首に刃を押し込もうとするが、首を守るようにスコーピオンを生やしてその刃を防ぐ。仮面の怪人は相手の腹にチョップの一撃入れて怯ませるも、

グラビティス『貴様をダークの元には行かせん。』

と言い仮面の怪人の首を掴み上げたままその場から高く跳躍する動きを見せて、背中と両足からジェット推進を稼働させ飛行する

ディアヴォロス『離せ!?』

空中でロボット戦士に首を掴まれたまま仮面の怪人は、

至近距離から両腕をスパークさせて、自身の首を掴むロボット戦士の腕を掴み

グラビティス『!?』

ディアヴォロス『ブロンテーフォティア!?』

電気を相手に流し込み、異形ロボット戦士に電気が走り体内機能を麻痺させる。

相手の拘束から脱出して仮面の怪人は、空中を落下しながら両足を可変させて内部に収納されたジェット噴射を稼働させる。

空中を飛行可能になったディアヴォロスは体内機能を麻痺した異形のロボット戦士に向かってトリオンのキューブを出現させて通常弾を発射。全てロボット戦士に直撃して煙に包まれるも、レーダーセンサーで補足すると異形のロボット戦士の両足からジェット噴射して仮面の怪人と空中で激突し、互いに肘のブレードで斬り合い空中で何度も打撃戦を展開して火花と金属音が激しく空に鳴る中、左ジェット噴射を利用した膝蹴りをロボット戦士の顎に叩き付けて、拳を握りしめスコーピオンをナックルダスター状にして大きく振りかぶり

ディアヴォロス『スラスター!!』

更にナックルダスターの先端に複数のスパイクを生やしてロボット戦士の顔面を正確に捉えて殴り飛ばす。その

一撃でロボット戦士は吹き飛ばされるが、距離を利用し

たロボット戦士は両掌から熱光線を発射して、仮面の怪人は変化弾で応戦、無数のエネルギーの弾丸の雨が、マキシボーン山の空に激しく飛び交う。相手の手の内が互いにわからない物の、空中で撃ち合いを続けていると振り向き様に異形のロボット戦士は右腕に内蔵したアームショットを起動して発砲する。

ディアヴォロス『!!』

発砲された一撃は胸部に直撃して鈍器で殴られた衝撃でディアヴォロスは落下、だがディアヴォロスは落下する態勢から口のクラッシャーを開き高熱火炎放射に膝を開きマイクロミサイルを発射する。

グラビティス『!?』

ロボット戦士はミサイルが直撃する直前に金属の手の甲の部分を青く光らせ仮面の怪人に向かって重力操作して落下に勢いを増させるも相手の姿が高熱火炎放射に飲み込まれて更に飛来したマイクロミサイルが直撃し空中で爆発するのを確認して両者はダメージを負うが、先に地上に着地するグラビティスと仮面の怪人も木製の吊り橋近くまで着地する。

グラビティス『………』

吊り橋の中央に向かって歩き出すロボット戦士。

ディアヴォロス『………』

仮面の怪人も重力が増すエリアから出て歩き出し吊り橋の中央で向き合う二人。

ディアヴォロス『……ずいぶんと優れた耐久性と強度だな…………後お前…何か……その…結構ムキムキだな……』

(奴のギミックの数が俺に匹敵するだけなら兎も角、トリオン兵のイルガーを一撃で破壊可能のマイクロミサイルに耐えるとは………コイツ、凄いロボットだ。)

グラビティス『………良くも人の服を駄目にしたな……あのコート結構気に入っていたのに、』

黒いトレンチコートと青いジーパンは高熱火炎とミサイル攻撃で黒焦げになり銀の金属装甲を外気に晒しながら仮面の怪人に小言を言う。

【………………………………………………】

一つの風が吊り橋の上に通り過ぎ、無言のグラビティスは両手の指先を鋭い金属を赤熱化させた爪『フィンガーレーザークロー』を伸ばして、仮面の怪人は、無言で右腕のマシンガンを起動する。

互いに距離を一旦離してから一気に走り出し、すかさず右の5本指からマシンガンを発射する仮面の怪人に対して急接近して接近戦闘に持ち込む。

ディアヴォロス『ちっ、』

マシンガンをやめて両腕に仕込んだカッターを出して、

連続攻撃に対応する仮面の怪人。

吊り橋の上にて、素早く左腕と肘のブレードを連続で振るう異形のロボット戦士に、遠距離戦をやめて格闘戦で応戦するディアヴォロス。細いつり橋の上で両者攻守を次々と替えては戦うが、異形のロボット戦士の方が、仮面の怪人にダメージを与えていたのだ。仮面の怪人の流れる手刀を素早く動いては回避して鋭い金属の爪がトリオン体の黒い装甲を幾つも傷付ける。身体全体を横回転させながら鋭い爪を仮面の怪人に火花と共に引っ掻き傷を作りながら、獣のように戦うグラビティス。距離を離すディアヴォロスだがグラビティスは離してはくれない。

スコーピオンを両腕から生やしてグラビティスのスピードに対応する仮面の怪人。スコーピオンを両腕に覆い籠手状に変化させ、ロボット戦士の爪の攻撃を籠手で防ぎカッターで切り付けるも猫のようにしなやかに回避するグラビティス。

ディアヴォロスはスライディングしてロボット戦士に接近して両腕を振り降ろし、ロボット戦士は両の爪でカッターの刃を掴み火花と火花が舞う。目を止まらない両者

の接近戦が続くと、両者にダメージが蓄積する中、

【熱源接近。】

互いに内蔵された危険信号に攻撃を一旦辞めてグラビティスはディアヴォロスの首を片手で掴み上げて爪を更に伸ばしていると、掴み上げられた状態からスコーピオンを籠手状から両手首からブレード状にするも、その状態

からスコーピオンブレードの刃をチェーン状にして高速回転機械鋸に変えてロボット戦士の首に切り付ける。

グラビティス『!!?』

首から火花が血の雨のように飛び散り削られようとするが、グラビティスはディアヴォロスとにらみ合いながら

膠着状態になる。そして遂に………つり橋の真上に巨大な収束レーザービームが通過しそうになり、膠着状態を解き両者互いに蹴りの一撃入れて距離を離しオレンジのレーザービームが通過を確認して両者放った存在を睨み見る。

キュベリナス『『シャオオオオオオオオオオオオオオオオン!!?』』

紫の光線怪獣が首を振り頭部の黒い部分に赤くして両肩から再びレーザービームを放とうとするが、

『『イヤッ!!』』

深紅の超人が光線怪獣にショルダータックルして怪獣を押し出す。

だが横やりが消えて、両者の戦いも再開、スコーピオンを再び籠手状に変えて走る仮面の怪人に、迫るグラビティスのブレードと爪をガードしながら、数発殴り戦うもロボット戦士も爪とブレードを収納して打撃に切り替えた相手のメタルアームの拳をまともくらいつり橋に倒れる仮面の怪人。追い打ちを掛ける異形のロボット戦士の両腕を掴み巴投げをしてロボット戦士をつり橋の上で投げるも直ぐに起き上がり、連続パンチを仮面の怪人の顔にに何度も叩き付けて、腹を蹴り、殴り飛ばし、仮面の怪人はつり橋に落ちそうになる。

グラビティス『もう終わりか?坊や。』

落ちそうになる仮面の怪人の手を獣脚で踏み、

ディアヴォロス『気に入らない言い方だな!!ブロンテーフォティア!?』

再び相手の片脚を掴み電気を流して、再び感電させる

グラビティス『!?本当にやんちゃな坊やだよ。』

感電させて異形のロボット戦士と仮面の怪人は一緒に奈落に落ちる。落ちる直前、異形ロボット戦士は至近距離から両腕を可変させ破壊熱光線を連続発射して仮面の怪人を傷だらけにして両足のジェット飛行も難しい重傷になる。

 

その両者の戦いを一人の青年が見ていた。

甲斐馬『………』

落下して行った二体の内のどっちを助けるかを迷っていると、異形ロボット戦士が、両足からジェット噴射と共につり橋に戻り、暫くしたら別の森林地域に向かって飛んで行った。

青年は両手を交差して"変転"する

『幼力招来!!』

青年の身体が卵の殻のようにバラバラに割れて中から誰がどう見ても悪の組織の怪人と言う異形の緑色の芋虫の怪物が現れる。

ケムシマン『……ふん!?』

両腕をX状に組み念じると、力なくグッタリしている仮面の怪人をつり橋の上にゆっくりと戻して、

ケムシマン『……コイツが良い奴かはわからないな。少し覗いて見よう。』

芋虫の怪物は仮面の怪人の心と過去の記憶を超能力で覗き見て

【………………………………………………………………………………………………………………】

芋虫の怪物は、無言で"超能力"を使い仮面の怪人のダメージを受けた箇所を治す。

 

芋虫の怪物は元の青年の姿に戻り、人知れず仮面の怪人の前から姿を消す。

その後ろ姿を倒れていた仮面の怪人は見ていた

 

回想終了━━━━━━━━━━━━━━━━━━

黒野「………あのロボット戦士も気になるが、それ以上にやはりあのローブの顔は、剣持と瓜二つなのも気になる……」

ボーダーに強い憎悪を抱いた正体不明の黒いローブと異形のロボット戦士、そして、俺を助けた謎の青年………あの後、レッドマンが不利な状況を見かねて加勢したが、赤いロボット怪獣は明らかに誰かが操っていて俺のウルトラーVを圧倒していた。

黒野「やはり数日前に月に感じた気配に関係しているのか……」

得体の知れない奴らが地球に集まっている事実に頭を抱えている物の自分も三門市の人間として見ると得体の知れない奴になる為、出来る限り広い心と器で受け入れようと考える。

目に見えぬ戦いが激化しているのを冷たい身体で感じながらも、負ける訳には行かないと心を鼓舞して決意を思い出す。

"俺の本当"家族写真は第一次大規模侵攻で焼失、この世界にあるもう1つの家族の集合写真がある写真立てを手に取り眺める黒野。

黒野「守ってやるよ。相手が宇宙人だろうが地球人だろうが、地底人や半魚人や昆虫人や改造人間共に、俺達の只一つ残された居場所を壊されてたまるか。」

決意を新たに黒野は仕事に戻る。

ローブ『ボオオオオオオオオオオーーーーーダアアアアアアアアーーーーー!!!!?』

だがやはりあの戦いで遭遇した連中の姿は黒野の脳裏に焼き付いていた。

黒野「あのローブがもし剣持夢想だったのなら………否、俺がやるべき事は何一つ変わらない。危機に備えあるのみだ。」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

………もし自分自身の心に天気があるのなら今もあの日から雨が降っているのかも知れない………雨季顔負けで、心の中は洪水は無くても洗濯物を部屋干しを繰り返し湿気が元気なっているのだろう。だがこの雨が止む事は多分ない。現実に雨が降っているなら傘も差す事なく只々、雨にひたすら打たれたい。それで現実がどうにかなる訳ではないのに………そんな心境のまま剣持は、各研究室を軽く歩き回りながら独り物思いにふけていた。

(わかっていた筈だ………香取さんのように、染井さんにも正体がバレる事を……)

(………)

ベムの言葉すら今は聞きたくない。あの日、分身を三門市に置いていたのに、何時の間にか勝手に自分が戻る所を見た染井さんを『お化け屋敷』の元に保護しておいたとか言われても、素直に喜べない。何時皆に正体が露見して追われる側になるかそれを戦々恐々としているのにベムは物思いにふける剣持を意識の中に入れながら商品研究室に立ち止まり窓の方から開発している様子を眺めていた。

(ベムは良いね。悩みが無くてさ。)

褒めているのではなく貶している。

(……俺にも悩みはあるさ。だが焦ってじたばたしても解決しないなら、時には自分の奥の内なる声に従うまでだ。)

(何か言っているの?内なる声が、)

(難しい未来より先ずは余計な事は考えずに無駄な力を抜いて目の前のやるべき事をやれだ。)

(やるべき事か……)

(パリの復興の手伝いをするんだろ。ほんの小さくても、今やるべき事はパリに向かう準備をする事だ。)

(わかっているよ。自分でしまった不始末くらい自分でさせてよ。)

(……お前はやはり変わっているな。)

怪獣に建物を壊され街を壊されたなら、当然だが復興の為の建設業が忙しくなる。勿論怪獣保険等で適応されるパターンもあるが、それは保険に入っている人達の場合だ。全ての人間が保険に加入している訳ではない。ぶっちゃけるとこの日本で『お化け屋敷』が参加して市街地に被害が出た場合被害金を支払うのは、『お化け屋敷』のスポンサー様達である。だからこれはベムも悪いと本気で感じている。

国外ケースもその国の支部と支部のスポンサーが建物の被害金を支払う為、支部によっては、結構な負担の原因である。

華の都パリに尋常ではない被害を出して支払うのはパリ本部とパリ本部のスポンサー達の皆様だ。

当然、剣持がどんなに頑張っても華の都を元通りにする金もないなら力もない。しかし何もしないよりは力になりたい。パリに何か力にならないと、剣持の精神が耐えられない。

ベムは色々と自分がしない道を選んだ剣持夢想に素直に認めていたのだ。人として当然の事をした事に………

商品研究室の前に立ち止まりナーバスな気持ちで窓の中の研究室を覗き見る。

室内にある2つの巨大豆電球が発電して何やら変わった商品を作っているけど、開発している物を見る事なく剣持は歩いて行く。

(取り敢えず、パスポートを初め色々と用意しないと、あっ、学校の先生にも電話して伝えないと……………)

通路を歩きエレベーター前に着くと、

真琴「やぁ、そこの僕?」

国近「ちょっとお姉さん達とお茶して行かない?」

二人の先輩が待ち伏せしていた。

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喫茶店マドモァゼルにて、

看板メニューの一つエアーズロックコーヒーの香り味わう黒野真琴。

真琴「ここのコーヒーはやっぱり良い……」

そして口に含むと、

真琴「苦っ!?」

舌を出して苦味を逃がす動きをする真琴に国近は笑い。

国近「砂糖とミルクをバランス良く入れれば、あら不思議」

そう言い彼女も口に含むと、

国近「カフェインがミチミチている!!!?」

両の目をシャッキと見開き元気を露にする。

「………」

その二人の向かい側に座る剣持。出されたコーヒーに砂糖もミルクも入れずに無言で飲み。

「何か、僕に用事があるなら言って下さいよ。」

剣持は二人に話掛ける。

真琴「実は……呼んでおいて何だけどこれと言って用事は無いんだ♪」

「えっ?」

聞く人によっては嫌な気持ちになる答えが帰ってきて、少しガッカリした剣持。

真琴「う~~ん強いて言うなら、君の生還記念祝いかな?」

「何ですかソレ?あの日………僕は何も出来ていなかったですよ……」

あの日は実際に、何とかしよう行動して、結局空回った結果しか残っていない日だ。何より、大切な友達に隠さなければならない正体を見られて、いつボーダーのA隊員達が現れないか今も恐怖している。

真琴「でも二大怪獣が暴れる中、民間人を救出したって私、聞いたけど、」

国近「えっ?そうなの?それは凄いねぇ~~。」

「それ?誰が話したんですか?」

真琴「名前は言えないけど『お化け屋敷』の隊員だよ。中々大変な目に会ったのに凄いよ。」

「………」

人に素直に褒められているのに、嬉しい気持ちにはならない。むしろ今は、誰にも関わりたくない。引きこもりたい気持ちが強い。

国近「どうしたんだい?そんな暗いと幸せが逃げてしまうよ?」

「………………僕が此処にいる理由を考えていたんです。」視線を窓の外側の景色を眺めながら剣持は言う。

真琴「………」

真琴は無言でコーヒーをゆっくりと飲み、剣持が見ている何気ない景色を見る真琴。

真琴「理由が必要なの?」

「えっ?」

真琴「危険な場所から只無事に生きて帰ってきた後輩と時間を過ごすのにいちいち理由が必要なの?」

さっきまでとは雰囲気を少し変えた真琴が剣持にそう言う。

「………すいません。少し色々会ったんです。」

剣持は真琴先輩を不快にさせた事を反省する。

真琴「で、義兄さんと何について話していたの?」

どうやら本題は此方らしい。剣持は特に隠す理由もない為二人に話す事にする。

「実は……」

 

 

 

パリの復興の手伝いをする話しを説明した後、国近先輩と真琴先輩は目を見開き静かに話しを聞いてくれた。

真琴「余り感心出来ないねぇ……」

国近「うん。真琴ちゃんの言う通り少し急過ぎない?夏休みとか纏まった休みをある時期なら兎も角……」至って常識的な答えだ。その通り、普通ならそのタイミングで動くなら何の問題もないのに、祝日もないこのタイミングでパリに向かうとは100人の殆どがおかしいと答えるのだろう。僕は高校1年生で、テスト期間が終わったとはいえ普通の行動から逸脱している事を国近なりに指摘するのだ。

「その通りですよね。わかっています。」

国近「だったら…」

「でももう決めたんです。」

真琴「それは君が今やらないといけない事なの?」

「………はい!?」

染井さんの事、香取さんの事、ボーダーの皆の事、『お化け屋敷』の仲間達の事、新たに出現した強敵達の事、

答えは何一つも出ていないけど、

謎の少年『……簡単じゃないなら………やるんだ……』

脳裏に過る謎の少年の言葉を静かに思い出して、

「自分なり考えて行動しようと思ったからです。」

真琴「わかったよ。どれくらいパリにいるの?」

「取り敢えずこの日数分までは…」

日数の予定を見た二人は、剣持の決心が固い事をしり

真琴「……国近ちゃん。高校一年の過去問題集とかある?」

国近「……探してみます。」

真琴「お願い。私も剣持君に色々と高校一年のノートとか貸すからさ。」

「………良いんですか?」

剣持は二人に聞く。

国近「たまには先輩らしい所をさせて頂戴よ~~」

真琴「まっ、君が閉じこもっているなら、先輩である私達が思いっきり君の手を掴んで引っ張り上げるくらいはしないとね。」

軽く笑う真琴だが、

真琴「本当は君が三門市をほんの数日離れると聞いて凄く寂しいんだ。でも前に進むんでしょ。」

「はい。あの……」

【………………………………】

剣持はふと守りたい人達の顔を思い出して、

「少し、質問良いですか?」

国近「どうぞどうぞ。」

真琴「何?私達の好みタイプについての質問♪」

国近「えっ!?このメンツで恋バナ!?彼氏も彼女もいない先輩後輩でっ!?」

「いえ違いますよ。」

真琴「私の好みの男性は、優しくて私の秘密を知って尚受け入れてくれる心の器が大きい人。でもたまに構って欲しいから、私と趣味が近い人かな……」

国近「おおう。中々貴重な情報を……」

「あの!?僕の質問は、」

人の好みタイプの話しは聞いていて何かムズ痒い。

国近は無言であたふたしている剣持を眺めるのだが、

自分の知っている剣持君と少しイメージが違い身近な年相応の一面を見て少し微笑ましい気持ちになる。

国近(あのUFOの時の真剣な感じも良いけど、目の前の剣持君も普通なんだよね。)

時折、年上に感じてしまったりするし普通から離れた言動や行動をするが、やっぱり……何処にでもいる人なんだね~~

国近「真琴ちゃん。剣持の質問を聞いて上げようよ。」

「助かりました~~国近先輩。」

国近「……もっと親しく呼んで見てくれない?一応UFOの時、君に任せてばっかりで力を合わせてはしてないけど、危ない場所から脱出した仲じゃない。もっとフレンドリーに行こうよ~~」

「人生の先輩ですから……それに……」

真琴「それに?」

剣持は顔を赤くし始めて………

「先輩達……とても美人ですから緊張してしまうんです。勘弁して下さい……」

国近「/////おっふぅ/////それは……ありがとうございました……」

真琴「ジー……」

真琴は無言のジト目で顔を真っ赤になった国近と剣持を見る。

真琴「すいません。ブラックコーヒーを下さい。」

砂糖同然の甘い空間に耐えられない真琴は苦いコーヒーをホールの店員に注文する。

自分がふった好みタイプの話しからこんな甘酸っぱい空間を作るとは……剣持君も国近ちゃんも油断出来ない。

真琴(これが、陰キャラと陽キャラの違い……剣持君。君は此方側と思っていたのだが、どうやら君も憎き陽キャラの仲間だったんだな。残念だよ。本当に………残念だよ。)

お見合いの現場を隣で見せられて真琴の中の新条アカネが姿を|д゚)チラッと見せる様子はまさに【ジョジョの奇妙な冒険】スタンド扱いだ。

右手にカッターナイフ。左手にトマトジュースを持って

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

スタンド【焼き餅を焼く新条アカネ】が腕を組み剣持を見下ろす中、剣持は二人に質問する……真面目に…

「先輩達はトリオン体以上の力を欲しいと感じた事はありませんか?」

脳裏に過る赤い二足歩行のバラキの姿を連想して言う剣持。

真琴「力ねぇ……」ブラックコーヒー3杯め。

国近「………また、難しい質問だね……」

「仮にですよ。仮に……」

真琴「そりゃあ……私はないね……」

「………えっ?無いんですか?」少し驚いた表情をする剣持。

真琴「トリオン体って確か常人の10倍でしょ。日常生活に支障がないギリギリなのに、それ以上の力なんて、メリットよりデメリットの方が圧倒的に多いよ。それに本当にその力で大切な物を守れるかわからないし、何より私は一般人だからね。」

かつて"神様"の地位にいた彼女は普通の人生を大切にしている。本当は力が欲しいと感じるが、力を持つ事が、かえって争いを生む可能性を知っている為、彼女はいらないと答えた。

国近「私も……ゲームは好きだけど太刀川さん達と違って裏方だし、真琴ちゃんと同じでその力があっても守れる自信はないからさ。いらないねぇ~~」

「そうですね。………それが普通ですよね。」

そう言い剣持は冷めたコーヒーを飲み終えて、立ち上がり………お会計をしに行く。

国近「えっ!?コーヒー代くらいあるよ。」

「良いんです。じゃあ……また……」

そう言い終えて剣持はマドモァゼルから出ていった。

国近「何か質問の答えを間違えたかな?」

自分なり素直な答えを言ったつもりだがあの剣持の様子に心配する国近に真琴は首を左右に振り、

真琴「………多分あの質問、剣持君は同意は求めていないよ……」

国近「どうゆう事?」

真琴「もし私達がトリオン体以上の力を欲しいと答えていたら……私達はボーダーのトリガーより危険な代償付きの力でも状況によっては手にしてしまう危険性があると剣持君は考えるんじゃない?」

国近「危険な代償付きの?」

真琴「テレビに出るメディア関連の根付さんを初め嵐山隊の人達がボーダーの紹介をしていたけど、あれはちゃんと安全性を視聴者達や世間に説明しているから今日まで新しい隊員達が入隊して来るんだもん。」

国近「………」

真琴「……ボーダーは人知れず戦うダークヒーローじゃない。三門市を異次元の侵略者の近界民から守る正義の味方なんだから…………」

国近「でもあの剣持君の表情は少し心配だよ。」

真琴「本当に彼が助けを求めているなら、私達……それこそ剣持君の知り合いを全員集めて助けて上げれば良いんだよ。」

国近「私、たまに剣持君が年上に見える時があるんだ。」

真琴「それ凄く分かるよ………もう少しワガママとか欲望を出してくれると人間味が増すんだけどね。」

国近「………欲望とか出してない?さっきのパリの話しとか私達の先輩を呼び方とか?」

真琴「普通の見方ならね。でも彼、基本的に自分より自分じゃない時の行動が殆どじゃない。それで危険な目に会うのは勿論だし、それこそ命の危機も合った……国近ちゃんも心当たりはあるでしょ。」

国近「それは……」

拐われたUFOの時、本当に危険な目になった剣持を知っている為、国近も静かになる。

真琴「………せめてあの子の前では、素直に私達は自分の日頃の欲望を彼に見せた方が良いよ。」

国近「…………そういう物かな~~」

真琴「今の剣持君は童話の【幸福の王子様】と同じで、周りに何かを渡してばかりで、自分がどんどん失うばかりなんだから………欲は人が生きる源だよ。欲の塊なのが普通の人間なんだから………」

国近「………強くなりたい。守りたい。笑顔が見たいのも?」

真琴「それにアイツを越えたいや有名になりたいとかお金を稼ぎたいとか俗っぽいも含めてね………皆大なり小なり持っている物だよ。」

国近と真琴は窓の向こうの街並みを見る。

真琴「……でも剣持君は、仏か神様………ううん。死んだ人間みたいで、それが異常に少ない。」

国近「……やっぱり私心配だよ。ボーダーにいる時も"何か"隠しているみたいだし、」

国近も薄々剣持の抱える何かに気付き始めている。

真琴「今、剣持の心の中は、激しい雨が降っているのかもね。」

国近「……私達で何とか出来ないのかな?」

真琴「心配しないで、………雨はいつか必ず止む………彼は素足のまま激しい雨の中でも走れる……そういう人間だよ。そして雨が止めば、」

国近「いつもの無表情の剣持君が戻って来る?」

真琴「多分、私思うんだけど、あの無表情って心を守る防衛本能に近いんじゃない?」

【ガーン!!】

国近「えっ!?私達………剣持君に心開けてなかったの!?」

真琴「………親しい人間相手だと、もっと表情出ると思う。まっ、会って1,2ヵ月の人間に自分の判断で心開くかは個人の判断だからしょうがないけど……」

国近「まるで貝だね。もしくは亀?」

甲羅や閉じ込む生き物の名前を連想する国近。

真琴「あるいは天岩戸に閉じこまった神様?兎に角、意外に見た目と違って奥手で繊細なのかも……」

国近「………ふふふふ。」

真琴「どうしたの?突然笑って?」

国近「剣持君の事でこんな話するなんてほんの少し前の自分じゃ想像つかなかったからさ。」

真琴はその言葉を聞き静かに目を閉じて、笑みを浮かべて

真琴「……確かに私もボーダーのオペレーターと一緒にゲームするなんて少し前は考えられなかった……」

国近「今じゃ一緒に勉強する仲だねぇ~」

真琴「そうだね。」互いに笑い合い……真琴は素に戻り

真琴「……男よけの剣持君はあげないよ。」

国近「あっ、狡い!?剣持君の彼女でもないなら頂戴よ!?」

互いに接点はなかったのに剣持君が絆を繋げて二人は親友のように笑い合う。真琴の狭い世界を大きくしてくれた剣持に感謝している……だからこそ、あの子の心の雨が止む事を切に願う。

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剣持は学校に電話をして職員室にて担任の先生に事情を話し生徒相談室にて色々と言われた物の一応の了承を得る事に成功する。

(疲れた……)

無表情で剣持は心の疲れを吐き出す。

学校の校門を出てふと視線をボーダー本部に向ける。

(もう僕に家族はいない。でも僕には守りたい者達がある……彼らの為なら僕は……)

静かに自宅の方向に歩き出す剣持。

【ぐうぅ~~~~】

「……マドモァゼルで何か食べておけば良かった………」

腹の音が鳴り何か購入する為近くのコンビニの中に入ると

生駒「おっ、剣持やん。」

まさかのイコさんの顔どアップ。

水上「えっ!?あっ、本当ですわ。」

水上さんもイコさんの言葉に気付き剣持の顔を見る。

隠岐「海。どっち買った方がお得かな?」

南沢「こっちはどうですか?新商品の……」

細井「ちょっと、男子共。余計な物は買わないように!?」

「………」

無言で買う物を買って去ろうと考えていた時、生駒と水上に両肩を掴まれて

生駒「ちょっと付き合え……」

「えええぇぇぇぇ………」

 

コンビニからお好み焼きかげうらに移動した生駒隊と剣持は、お好み焼きを食べていた。

影浦「ったくお前ら、しっかりと腹いっぱいに食べておけよ!?」

「あっ、はい。」

只………ひたすら味を感じる事なく……

ボサボサの黒い髪に白いマスクの中にはギザギザの歯に獣を連想する鋭い両の目で店の手伝いをしているのは、

元A級で現B級の影浦隊の隊長影浦雅人。黒野先輩が現在所属している部隊の隊長さんだ。

荒船「おっ、イコ達も来ていたのか?」

生駒「まぁな。たまには皆で外食でもどうかと……そっちもか?」

荒船「似たような物さ。」

穂刈「隊長。焼けました。分けますよ。」

荒船隊の狙撃手三人とオペレーターも集まってお好み焼きを鉄板で焼きながら話す荒船さん。

(………どうして穂刈さんは、独特な倒置的な喋り方なんだろうか……)

北添「ほいっ、熱いから気を付けてユズルも食べなよ。」

お好み焼きを絵馬君に分ける北添さん。

仁礼「カゲ、追加注文だ。」

影浦「少し待ってろ!?」

もう夜だからか僕ら以外沢山のお客がいて店は賑わっていた。

その賑わっている中に僕は無言でお好み焼きを食べていた。他のボーダーの人達も当然そのお客にはいて……僕の中には無意識な恐怖が生まれていた。

 

染井さんが僕らの事をボーダーに報告していたのなら、彼ら彼女らは僕を有害巨大生物として捕獲、あるいは抹殺するかも知れない………この目の前のお好み焼きだって他の人が食べて大丈夫と感じてから食べている。

 

ボーダーの先輩達の視線や何気ない会話の一つ一つに僕は恐怖を覚えてしまう……いつ彼ら彼女らが僕に攻撃するのか警戒してしまう。いつ危険探知能力が発動するのかと疑う自分が嫌になる………

(ほんの………ほんの少し前までは……僕もこの輪の中にいて、笑えたんだ……)

もうどう望んでも戻れない過去……普通ではなくなった人生……

生駒「…持?剣持っ?」

「えっ!?あっ、」

水上「大丈夫か?顔色が少し悪いぞ?」

ボーダーの先輩達が心配そうに剣持の様子を見る。

「いえ!?大丈夫です!?」

そう言い僕はお好み焼きを食べる。食べるのに、お腹は満たされるのに、心は何も満たされていなかった………

影浦「………」

影浦はそんな剣持の様子を見て厨房の方に向かう。

「うまい……うまいです……」

染井に戻る瞬間を見られていつボーダーが自分を殺しに来るかも知れない恐怖と危険でお好み焼きの味を一切感じる事が出来なかった……

(こんな優しくて良い人達なのに………僕は皆に………嘘を言っている………)

(只………只僕は、大切な物を守りたいだけなのに……)

影浦「ほいっ、これ飲めよ。」

剣持の所に一品の豚汁が置かれる。湯気がゆらゆらと立ち昇り美味しい香りがするも、その剣持の表情は突然の豚汁の出現で驚きに満ちていた。

「えっ。あの……注文していないんですけど、」

仁礼「あれっ?そんな豚汁。メニューにあったか?」

北添はかげうらのメニュー表を見て首を横に振る。

影浦「コイツは、今日の俺の家の晩御飯の一品だよ。熱いからゆっくり飲めよ。」

「えっ、でも…」

影浦「……良いから、」

そう短く言うと影浦さんは店の手伝いに戻る。

置かれた湯気が立つ豚汁を見て……剣持はゆっくりとふぅふぅして豚汁を食べ始める。暖かい味が身体に染み渡り只一言…

「美味しい……」

っと目から涙が零れながら、ゆっくりと熱い豚汁を剣持は味わった。

その様子を見たボーダーの先輩達は影浦さんに向かって、

生駒「俺も豚汁食べたくなった。カゲ。俺にも豚汁を用意してくれ。」

南沢「俺も俺も!?」

仁礼「あたしも、」

絵馬「俺も飲みたくなってきた。カゲ先輩。」

北添「あっ、ゾエさんにも豚汁頂戴。」

 

影浦「だから、それは今日の家の晩御飯の一品なんだよ!?家は4人家族だからそんなに無いんだぞ!?」

と大声を上げてボーダーの隊員達に注意する。

 

「ありがとうございます。」

そう剣持は涙を流しながらボーダーの先輩達にお礼の言葉を自然と口にするのだ……

 

 

 

 

どんなに苦しい中でも……辛い状況でも、平穏の日々の中にかけがえのない物は生まれる。そのかけがえのない物の為に人は前に進むのだ……

 

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キャリーケースを片手にパスポートを始め必需品に不備がないか確認して、志岐に電話する。

志岐《一応、映画に行く日の3日前には戻ってくるんだね。》

「本当にいつも迷惑掛けてすいません。」

志岐《事情はベムにだいたい聞いたよ。私が言う事は特に無いから自分のやるべき事をやったらいいよ。》

「………怒ってる?」

志岐《キレてないよ。私をキレさせたら凄いわよ。でも地球も宇宙怪獣やらロボット怪獣やら狙われたし、ネクスト・シングの連中からの宣戦布告をもらってそっちも普通に大変な時期だね……》

「………でも必ず戦い抜くよ。まだまだ僕らのやるべき事はあるんだから、皆の夢を終わらせるつもりはない。剣持夢想として戦うよ。」

志岐《……少しは格好良い事言うようになったじゃん。ワトソン君の癖に生意気だぞ。》

「//////…それじゃあ切るね。/////」

志岐《剣持君?………もしかして照れてる?》

「……はい。照れてます。」

電話口でも照れている事に気付かれる剣持。

志岐《………可愛いね。》

微笑ましい声と共に志岐は電話を切る。

 

「さて、言って来るか………」

剣持は自宅の広間を軽く見回して、仏壇のある和室の方に向かい。

「行ってきます。母さん。父さん。兄さん。」

そう言い玄関にキャリーケースを運びドアを開けると、

志岐「やぁ?さっきぶりだね。可愛い可愛い剣持君。」

黒いサングラスに白いマスクを着けた志岐が立っていた

剣持は無言で玄関のドア閉める。

志岐「ちょっと、それはないんじゃない!?」

剣持は扉を開けて、

「まさか見送られるとは思っても見なかったからさ。驚いていたんだよ。」

志岐「真琴先輩にお願いされていたんだよ。所で火打石があるけど打っていい?」

端から見ると不審者が火打石を打っているように見えるので剣持は慌てて止める。

「てかいつから家の前にいたの?」

志岐「出発時間は聞いていなかったし、普通に見送ろう男性に気を付けて歩いていたら、君の電話がきたから応対しながら向かっていたんだよ。私一人だと君がどの空港の飛行機に乗るか聞いてないから……間に合って本当に良かった………」

「僕、君はてっきり自宅の自室にいるかと?」

志岐「……君の秘密を知った共犯者兼協力者の一人だからね……空港は男性が沢山いるから見送れないし……」

彼女なりに考えて行動したのだろう。

志岐「気を付けて行ってらっしゃい。」

彼女は僕の前でマスクとサングラスを取り本人なりの笑顔でそう言う。

「………」

誰かに「行ってらっしゃい」言われるのは何れくらい前に言われたんだろう。彼女は只一言僕に見送りの言葉を言っただけなのに、その言葉一言で

「はい。行ってきます。」

………僕の中にある重さは軽くなった……そんな気がする。

僕も自分なりの笑顔で精一杯に笑って応える。

互いに笑顔がまだ少しぎこちないけど、悪くなかったと僕らは思う。

分身が彼女を彼女の自宅までを送り、剣持夢想はパリに向かって飛び立った。

 

 

それから数日が経過した。

人間ある程度事情が分かれば、本人がいなくても騒ぎになる事はない。当人がいなくても社会は今日も回る。

グラサン「マスター。カミュロックで。」

屋台屋ケンちゃんの屋台の椅子に座り無駄に良い声で注文するも

店主「はい。焼酎ね。」

カンフー「いつもすまないね。店主。コイツのハードボイルドに付き合わされて……」

店主「もう慣れたから良いよ。」

カンフーは隣に座る似非ハードボイルドのグラサンに小言を言う。

カンフー「グラサン。反省会なんて珍しいじゃないか?」

グラサン「………前の騒ぎ、俺は何も出来なかった……それが悔しいだけだよ。」二大怪獣による怪獣騒ぎ、弐式で光線怪獣に挑むも文字通り手も足も出なかった事を思い出して焼酎を一気に飲む、端から見たら身体に良くない飲み方だ。

カンフー「酒は味を味わう物って言ったのはお前だろ?水みたいに飲むなよ。卵と糸こんにゃくと竹輪をやるから元気だせ。店主。ハナうどん。天ぷらは海老天でお願い」

この屋台のメニューはファミレス並みに幅広い。ハンバーガー、焼き鳥、ラーメン、おでん、うどんとかお酒を飲まなくて普通にいける味だ。

店主「あいよ。ハナうどん。」

 

黒いどんぶりがカンフーの目の前に置かれ黒いどんぶりには白い文字で『鼻』と気合い良く書かれており、

うどんの麺とスープに具の天ぷらをのせて貰い。

店主「どうぞ。召し上がれ。」

カンフー「頂きます。」

 

ハナうどん

減量うどん

ダイエットする人のためだけに作られたかけうどん。

普通の人が食べても何ともないが、減量中のボクサーがこれを食べると、減量を失敗してしまう。

 

カンフーは減量中でもなければボクサーでもない為、問題はない。実にうまそうに、かけうどんと海老天を食べていた。

 

カンフー「アイツは今、頑張っているのかね……」

カンフーは剣持の事を考えて口にするも当人は今日本にはいない。

グラサン「さぁな。店主。時空ラーメン。」

店主「あいよ。」

無言でグラサンの身体に命綱を固定する店主。そしてラーメン作り始める。

グラサン「今回もレッドマンが怪獣を倒してくれて、守られた……彼に頼りっぱなしだな。俺ら、」

カンフー「本当に彼は何者で何の為に、怪獣と戦って俺達を守ってくれるのか。」

準備はしていた……ボーダー程じゃないにしろ。その道に詳しい人達を集めて、隊員達が携帯する電磁レールガンは勿論、戦闘機やら巨大ロボットやら開発、怪獣と数々の知恵と勇気で挑み勝ってきた……レッドマンが現れるまでは、

突然ニューヨークに現れた正体不明の巨人は、軍隊でも苦戦する巨大な猿を瞬く間に倒して、日本に世界各地に出現する怪獣や宇宙人達と死闘を繰り広げていた。

 

只の男からみたら羨ましい以上に悔しいと感じてしまう。俺達が今日まで頑張ってきた事は本当は無意味なんじゃないか……と、悩んでしまうのだ。

店主「へい。時空ラーメン。お待ちどう。」

グラサン「頂きます……」

 

時空ラーメン

ラーメン

どんぶりの中の時空がゆがんでねじれているラーメン。

不用意にハシを入れるとそのまま時空のはざまに吸い込まれて、二度と戻れなくなってしまう。

 

グラサンは全集中でどんぶりの中にある麺に狙いを定めて食べようとして、どんぶりに吸い込まれそうなるのを身体に固定した命綱のおかげで吸い込まれるのを防ぐ。

 

カンフー「まっ、気を落とすなよ。グラサン……」

グラサン「助けてくれえええぇぇぇぇ~~~~~~」

ハナうどんを食べながらどんぶりに吸い込まれそうになるグラサンの肩を優しく手を置き励ますカンフー。

カンフー「俺達の仕事上、100%を目指すけど、そうならないのが人生だ。だが悔やんでも過去には戻れない。大切なのは、今をもがいて明日を頑張るしかないんだ。」

店主「はい。ソルティドッグ。」

カンフー「えっ!?バーのカクテルあるの?」

店主「あるよ。一応屋台だし。グラスホッパーも作ろうか?」

カンフー「否、古き良き屋台の外見に似合わないカクテルを出されて困惑しているよ。なぁ、グラサン。」

ふと隣にいるグラサンを見ると………グラサンはそこにはいなく只、時空ラーメンが湯気と共に其処にあっただけだった。

カンフー「また吸い込まれたな?」

店主「これで37回ですね。命綱は新しいのにしたのに……」

カンフー「お勘定をお願い。」

店主「はいよ。」

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夜の警戒区域にて人の気配もしない廃墟の一つに集まる三人の黒いスーツ。

春日「先輩。あの山グラビティスもやっぱり姿を表していましたか?」

太刀風「ダークナイザーの奴を迎えに来ていたようだ。」

成川「……その二人も来ていると言う事はブラック・ミストの連中もブラックワンを追ってこの星の近くに到着しているようだな。」

太刀風「精霊からの報告だとベム達はこの国を今、離れているらしい。」

春日は静か息を吐き、

春日「僕らって集まりが悪いですね。」二大怪獣を倒した後にベム事剣持夢想に接触しよう考えていたら、この様だ。

太刀風「仕方あるまい。この三門市とやらは……」

【ウィーンウィーンウィーンウィーン】

警戒区域に鳴り響く警報音を聞いて

春日が少し怒った顔になる。太刀風の両の目の眼光は鋭さを増して周囲を睨み付ける。

春日「こうも10日間も、立て続けに追われるのは、流石に精神的にキツイですね。」

太刀風「また撒く必要があるか?」

そう、どうして彼らが直ぐに剣持接触しなかったのか、それは、黒い異次元の門が開き中から無機質な生物的な外見をした単眼の兵器が、三人のいる建物を集中攻撃で粉々に倒壊させて瓦礫に変えるも、

春日「ファイアウォール。」

炎の壁が出現して異次元の単眼兵器の視界を封じた間に

三人とも3方向に分散する。

太刀風「プリズム先輩。そろそろコイツらとの鬼ごっこも飽きてきた。迎撃を提案する」警戒区域内に風より速く走りながら、テレパシーで連絡する。

100年は我慢は出来る物も理由もわからず狙われるのは、ハリケーンマスクにとっては、怒る事はないが、迎撃しようとする気持ちは生まれてくる。何もせずに逃げ続けるのは苦でないが、理由なく襲撃を繰り返す連中に

太刀風は襲撃者達の迎撃を提案する。

 

成川「また、ボーダーの隊員達がいる所に奴らを誘導すれば良い……付近の建物の破壊を避けて不必要な戦闘は避けろ。」

 

春日「了解。」

連絡を貰いながら目の前に迫る鋭い鎌を持つ7匹のモールモッドの連続攻撃を全て左腕の円盾で防ぎ、1匹の背中に飛び移り移動する春日

 

成川は気配を読む能力をフルに使用して兵器達の数を見る。

成川「………今夜はやけに数が多いな……ヤプールの超獣にしては特徴が無さすぎる。」

バムスター10匹に追われながら成川は思考する。

気配を読む能力でボーダーの狙撃手達の気配に気付き隠れるプリズムファイター。

 

別方向では、

太刀風「あれが、無人の兵器ならプログラムに則った行動をする。……術が効くか試すか。」

スーツの中から複数枚の御札を取り出して、サイ・クローン星の筆で一筆入魂。『封印』と書いたその御札を追いかけて来る捕獲・砲撃用のバンダー達に向かってクナイの要領で投擲させる。身体の一部に飛来した御札が張り付き、白い色から石のような色に変わり全てのバンダーは動きを止める。

セオリーならこのまま抜刀して斬り裂くのが定義だが、

今は不必要な戦闘を避ける為、移動する。

 

太刀風「ギランボやギギのシモベでもないな。………奴らのシモベなら、俺の札対策をしている筈だ。他の二人は大丈夫か?」

かつて交戦した異次元人達の連中を思い出しながら太刀風は風よりも速く走りながら仲間達を心配していた。

 

フレイムこと春日炎太郎は、微弱な熱を探知しながら、

モールモッド達から逃げていた。

春日「体温で僕を追いかけているわけではないな。不味い……」

走っていると行き止まりだったらしく。やむを得ず引き返そうとしたら、モールモッド達が目前に迫っていた。

春日「本当に不味い!?」

 

太刀風は成川と合流するも別のバムスター達追いかけられていた。

成川「包囲網を敷いて俺達を捕まえる気か。」

予め、俺達がどの方向に分散しても包囲できるように、無人兵器で誘導していたのだ。

太刀風「上に飛ぶか?」真上の夜空を見上げながら言う皇虎。

気配を探知すると敵はこちらにぞろぞろと集まり始めてフレイムの方も行き止まりで無人兵器の攻撃を防御に徹しているようだ。

成川「………やむを得ない……フレイムに伝えろ。戦闘を許可するとな。」

成川は無言で構え能力を使用する。

太刀風「仕方ないで御座る。」

太刀風も両腰の黒い裂刀を抜刀する。

それぞれトリオンとは違う生体エネルギーを全身から溢れさせて

自分達を囲む単眼の無人兵器達を見据えて、プリズムファイターとハリケーンマスクは動き出す。

 

 

数分後………ボーダー隊員達はオペレーターの連絡でトリオン兵が出現した現場に到着して、異様の光景を目撃する。

巴「何だ?コレは……全部同時に急所を一撃で貫い抜いたのか?」

見た所外傷もないように見えるが、トリオン兵バンダー達は活動を停止していた。

柿崎隊が発見して攻撃しようとした瞬間、一陣の風と共にトリオン兵が朽ちて………風化する様子を見て柿崎隊は既にトリオン兵が壊れているのに気付く……最後に風化して灰になる個体も含めて全て急所のみを一撃で仕留められていた……

照屋「どうやってバンダーをこんな風に……」

普通のトリオンを使った攻撃でも外皮が傷だらけになるだけで朽ちる事はない。

三門市の風が"トリオン兵だった"物を塵と共に飛ばす。

一方バムスターの方でも普通ではあり得ない倒され方をしていた。

弓場「のの。他にトリオン兵の反応はあるか?」

藤丸《いや、近くにトリオン反応や門の反応はないぜ。何か見つかったのか?数分前そこに集まっていたトリオン兵の反応が一斉に消えたんだが……」

オペレーターに連絡しながら目の前の結晶化したバムスター達を見る。

帯島「綺麗ッス隊長。」

弓場「まぁな……だがどうやったらこんな芸当が出来る奴がいるんだ?トノ聞こえるか。」

外岡《聞こえます隊長。》

弓場「そこから何か怪しい物は見えるか?」

外岡《……いえ、只こことは別に溶けたモールモッド達を太刀川隊と風間隊が発見しました。》

弓場「溶けたモールモッドだと?」

外岡《まるで強力な熱でバターみたくドロドロ溶けていたそうです。》

弓場「そうか……何か発見したら報告してくれ。」

外岡《了解。》

バムスターの姿をした結晶を眺める弓場達。帯島が恐る恐る結晶化した一体のバムスター触れようと考えていると

弓場「のの。悪いが回収班と分析班を呼んできてくれ。コレは……鬼怒田室長案件だ。」

藤丸《了解っ!?》

連絡を終えるとバムスターの一体がガラスと言うより氷のようにヒビを細かく作り始め自重で崩れ始める。

弓場「!?」

弓場は直ぐにその場を離れる。

帯島「隊長っ!?」

弓場は帯島の近くに着地して、粉々に砕けた結晶化したバムスターを見る。

帯島は弓場の近くに接近すると安否を確認する。

弓場「……結晶その物だった?あり得ないだろ。」

帯島「誰がやったんでしょうか?」

弓場「非番の隊員が警戒区域にいる筈もない。そして、どう頑張ったって俺達じゃトリオン兵をこういう事には出来ない………」弓場は近くにある結晶化したバムスターの破片をそっと拾い上げるが、簡単に割れる。

外岡《近界民の仕業でしょうか?》

弓場《わからねぇ。近界民同士の仲間割れか……》

 

警戒区域に起きた謎の戦闘の後……後日分析した結果、

結晶化したバムスターは構成するトリオンそのものを結晶の物質に変換させられていて、何より……トリオン反応が一切検知されなかった為、トリガーを使わずにバムスターをバンダーもモールモッドを倒された事実だけが残る。後にこの案件は『お化け屋敷』の怪奇案件に回されるとは、パリにいる剣持も知るよしもない。

 

トリオンとは人間が持つトリオン器官から出てくる"生体エネルギー"………普通の人間と違い、"彼ら"はトリオンとは違う生体エネルギーを全身に纏わせて戦う為、トリオン体にダメージを与え事も出来るし、トリオン兵を破壊する事が出来る。

 

三門市の市外の森の中では、

太刀風「プリズム先輩。やっぱりいつ見てもえげつない能力で御座る。」

成川「お前達と違い、私は変身許可が下りないと変身出来ないんだ。それに無人兵器だから使っただけだ。生き物とかには使わない。」

バムスター達に即死結晶化光線を浴びせた本人が言う。

この光線はトリオン体の人間が浴びた場合でもトリオン供給機関とトリオン伝達脳が結晶化してしまう為、即死攻撃である。射手の生体エネルギーのトリオンキューブも結晶化させるから二宮さんも出水隊員も怖くない。

レッドマンの先輩のプリズムファイター。変身しなくてもレッドマンより余裕で強い。

太刀風「能力を使わずとももっと急所を一撃で仕留めるとかあったで御座ろう。」

春日「ハリケーン先輩。プリズム先輩は温厚だけど自分勝手な一面があるのを知っているでしょ。」

成川「聞こえているぞ。二人共……」

流石に今回は目立つ事をしたのを気付いているのか。やむを得ない気持ちが大きいようだ。

太刀風「潜伏する必要があるで御座るな。」

春日「だが、これで暫く奴さんも大人しくしてくれれば良いんですけど……」

太刀風「やはり、ベムと合流する必要はあるな。」

春日「あぁ。色々と互いの情報交換も兼ねて合流しよう。」

 

三人は立ち上がり夜の森の中に消える。

やむを得えず降りかかる火の粉を払うが三門市に大きな謎の爪痕を残した三人は、反省の気持ちを込めて任務を続ける。

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それから翌日……日本、深夜の0時

黒野「……動くか。」

フランスのパリと日本で時差が7時間ある事を知っている黒野は時計を確認しながらタイミングを待つ。

黒トリガーのマスクを被り、深夜の三門市の市街地に飛び降りる。路地裏に着地して、無言でボーダー本部を見据える………

仮面の怪人の片手にはショッピングモールで購入したであろうか新品の靴箱が入った紙袋が握られていた。

ボーダーの寮にて……

就寝中染井華のスマートフォンが突然、鳴り始める。

染井「うん?」

スマホの音に彼女は気付き、目を覚ます。ベッドの掛け布団からゆっくりと顔を出して、近くにある眼鏡を掛ける。

そして置いてある目覚まし時計の時間を見る。深夜の0時を過ぎたばかりである。

染井「一体誰がこんな時間に……」

彼女はこんな時間に親友の葉子から連絡があったのかと思ってスマホを見ると……知らない電話番号だ。

染井「……変な電話に出ないに越した事はない。」

そう短く言い彼女はスマホの電源を切る。

もう一度寝る為、彼女はベッドの方に向かうと……

【バチバチバチ……ピカッ!?】

染井「!!」

青い目映い光と共に黒い仮面を着けた存在が自分の部屋の中に姿を現すのを目撃する。

ディアヴォロス「………こんな夜分遅くに悪いが、来て貰うぞ。染井 華。」

染井は目の前の特徴は、かつて親友が剣持が再現したデータに現れた存在と同じ存在と直ぐに気付いた…………

染井「仮面の怪人……。」

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目の前に突然姿を表した存在に染井は驚きを隠せない。

ディアヴォロス「驚くのは無理もないが………直ぐに外出しても問題ない服装にしろ。……お前に会わせたい奴がいる。」

染井「!!」

ディアヴォロスはそう言うと、部屋から青い目映い光と共に姿を消す。

染井(今のは……瞬間移動……それに会わせたい奴って誰?)

明らかに危険な罠にしか見えない。ボーダーと敵対している奴の言葉なのに、私は数秒間考えて………電源を切ったスマホに電源を入れて知らない電話番号を見る。

染井(最悪なケースも想定しないと……でも何で私?他にもここには私より重要な沢山のボーダーの関係者がいるのに……)

何故私なのか……そう考えていると……私は、この前の怪獣災害の時を黒いローブの存在を思い出す。

私は知らない番号に敢えて掛ける。

染井(これは賭けね。)

ディアヴォロス《準備は出来たのか?》

染井「その前に、一つ教えて……」

ディアヴォロス《言ってみろ?》

染井「………どうして、私なの……」彼女は息を飲む。

仮面の怪人の言う会わせたい人物がどうして私に会いたいのか知りたかったのだ……

ディアヴォロス《………お前には危険な場所に向かってでも会って伝えたい言葉を伝えたい奴がいるんじゃないか?》

染井「!!」

その一言で私は悟る。仮面の怪人が会わせたい人物が誰なのか……

染井「ちょっと待ってて!?」

彼女は急いで着替える。

 

数分後

染井「準備完了。」

ディアヴォロス《そうか。》

そう言うと再び瞬間移動で、染井の背後から仮面の怪人は姿を現す。

染井「!!」

彼女は再びビックリして警戒する。

ディアヴォロス「行くぞ?」

染井「その人の家にこんな深夜の時間に?」

ディアヴォロス「奴は今フランスのパリだよ……」

染井「えっ?パリって今復興しているパリの事……」

ディアヴォロス「………今日まで互いに充分すれ違ったんだ。そろそろ互いに建前なく本音で話せよ。」

そう言うと私の視界は私の部屋から景色が瞬く間変わり……

ディアヴォロス「着いたぞ。」

夕方のパリの路地裏で夕陽の光がパリの道を照らす。

染井「あの?私の靴は?」

室内だから靴は履いてない染井は言う。

ディアヴォロス「事前に買っておいた。これ履け。」

紙袋の中の新品の靴を取り出す。ご丁寧プレゼント用のラッピングもされたソレを渡して……

染井は履く。

染井(余り私が選ばないタイプの運動靴だ……)

ディアヴォロス「サイズは?」

染井「問題ありません。ピッタリです。………それで私に会わせたい人は何処に?」

靴ズレがない事を彼女は確認して、辺りを見回すが、人はいないようだ。

ディアヴォロス「この路地を抜けて真っ直ぐ進むと避難所と使用されているシャルル・ド・ゴール広場がある。エトワール凱旋門は知っているだろ?」

染井「はい。ナポレオンが命じて死後完成した建造物ですね。」

グレー色の凱旋門が路地の外に見える……本来は白い凱旋門の筈が、パリ事変のレッドマンの戦いで宇宙人の光線が凱旋門に直撃して石化したらしく、その色は石のようだ。

ディアヴォロス「会って後はお前の好きにしろ。」

目的の人物の現在位置とそのルートを教えて黒い仮面の怪人の姿がどんどん透けて行く。

染井「あのっ!?透けてますよ。」

ディアヴォロス「光学迷彩だ。奴は気配や音に敏感だから、俺はお前の近くに気配を殺しているから……帰る時意外は話掛けるな。」

そう言うと仮面の怪人の姿は今度こそ見えなくなった。

染井はパリでポツンとひとりぼっちになった感覚を覚えて立ち止まっても仕方ないから彼女はゆっくりと夕方のパリの道を歩く。

所々壊れた部分や瓦礫となった建物を見ながら彼女はふと考える……

〔推奨曲 夢を諦めないで〕

染井「………」

会いたい人がこの道を進んだ先にいる………

 

会ってどんな話をすれば良いんだろう……ほんの少し前まで何気ない会話でも良かったのに………今は、どんな顔でどんな事を喋ればいいのかわからない………

 

私の人生は色々な人達の人生に比べたらマシな分類なのかも知れない……両親が亡くなった大規模侵攻と呼ばれる異次元からの侵略者の人的災害という三門市民が大なり小なり持つ特質的な事を除けば私より辛い人達は世界には沢山いる………だけど私は改めてこう思う。

ここ暫く人生をひっくり返る事が更に増えた気がする。

超能力者の出会い、怪獣に追いかけられる。謎の黒いローブに命を狙われて剣持君じゃない剣持君に守られる等々………今、私は多分、綱渡りをしている……………

下を見たら二度と助からない程の奈落がある場所で、ゆっくりと、ゆっくり、一歩ずつ一歩ずつと私は細い綱の上を歩いている。突然の突風や激しい雨に晒されているのに…歩きながら考える事が沢山あるけど…私は引き返す事なく、ゆっくりと前に進む。それが私の中にいる本当の私が心から望んでいる事だから……

 

色々と話したい事はあるのに……どう話掛ければ良いか迷っていたのに………夕陽が見せる輝きが、パリの道や建物の壁を照らす様子を見て……

染井「銀色の道……」

静かに感動を覚えながら彼女は眩しくも光に照らさせた道を進み………そして……言われた避難所の広場に到着して私が見たのは……

サコミズ「剣持。これお願い。」

「はい。分かりました。」

ハヤタ「剣持。悪いがこっちも手伝ってくれ。」

「直ぐに行きます!!」

復興支援に到着した救援物資を分けてパリの仮設住宅達が並ぶ避難所に急いで運ぶ剣持。

その顔は汗を掻きながらも、必死に頑張っていて三門市では見ないくらい表情は明るい。

染井「……」

あんな明るく振る舞う剣持を最後に見たのはいつぶりだろう……

サコミズ「そろそろ剣持も休憩したらどうだ?」

「そんな。僕まだバリバリ頑張れますよ。」

避難所に必要な物資を置いて不足や不満がないかパリの住民に聞いて回る途中、サコミズ隊員に声を掛けられる。

ハヤタ「お前がこっちに来てからここに避難所も随分明るくなったしさ。ほれっわざわざ日本のイベリコ豚の豚丼買って来たから、食べて少し休めよ。」

サコミズ「休める内に休むのも仕事の内だ。」

そう言いハヤタは剣持に豚丼と飲み物を渡して

「分かりました……」

 

夕方が見える少しボロいベンチに座りながら渡された豚丼を割り箸で食べようとした時、

染井「剣持君………」

私はあの日のように声を掛けた………

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

剣持がパリで復興の手伝いは根本的には意味の無いのかも知れない……それであの日亡くなった人達が元気に蘇る訳でもない。歴史的文化遺産が全て元通りになる訳でもない。瓦礫となった華の都はこれから長い刻と共に戻らないといけない……それでも剣持はパリに住む人達の為に"何か"を只…して上げたかった、それでパリを滅茶苦茶してしまった罪が消えるとはこれっぽっちも考えていない……でも瓦礫の山を見て何も思わなくなってしまったら、"僕はもう三門市の皆を守る資格がない"そう感じてしまうから……

 

とにかくせっかくの貰った豚丼を食べないと……

染井「剣持君……」

パリの風と共にその言葉は僕の耳に届いた……

「っ!?」

声のする方向に慌てて振り向くと………目を更に見開き

染井「………」

彼女の存在に気付く剣持

何で……何で……何で……どうして……どうして此処にあなたがいるんだよ………

「!?」

彼女が此処にいると言う事は、彼女はボーダーに僕の秘密を話し"ボーダーの精鋭部隊が僕を抹殺しに或い捕獲しにきた"っと言う事になる。

(守るべきボーダーに追われるか……僕はいつも望まない事ばかり逆境が降ってくるな。)軽く自己嫌悪になるも、

(僕はまだボーダーに捕まる訳にはいかない。僕が捕まる事は、レッドマンが捕まると言う事だ……地球を狙う怪獣達と今戦える大型ロボットがいない『お化け屋敷』の替わりに戦えるのは、僕しかいない。)

 

剣持は染井の姿を視界を捉えた瞬間、姿の見えない攻撃手と高所からの狙撃手達に警戒して直ぐに移動しようと、アクロバットの動きベンチから飛び離れて豚丼も食べずにその場から移動しようと染井に背中を向けて走り出そう思考していると……

染井「待って!?私っ!?」

〔推奨曲 魔王魂 (旧)枯れない花クラシックピアノバージョン〕

その一言で僕の足は一瞬止まった。

染井「……私っ………何も……何も聞かないよ。何も話さないから………だから……」

(騙されるな……時間稼ぎだ。狙撃手達が狙撃地点に到着するまでの……)

剣持は動こうとする。

染井「本当に……もう……昔のような元の仲の良い関係には戻らないの。もう何もかも手遅れなの!?私は……私は……そんなの嫌だよ……こんな結末……嫌だよ……」

「……………」

染井「こんな結末が貴方の言う守ると言う事なの………そんなの……そんなの私達は一言も頼んでいないよ!!何も聞かないからさ。誰にも話さないからさ。只…前みたいに……私達の傍に居てよ……お願い……だから………お願いよ……」

ゆっくりと剣持は背中に聞こえる声の方に振り向く。

染井「お願いだから……貴方の言葉で……貴方の本当の気持ちを教えてよ……何も言わないから私は解らないよ…………」

泣いていた……彼女は、泣かせてしまった彼女を……誰が?僕だ……僕が彼女を泣かせたんだ。僕は……………

僕は最低な男だ……

ゆっくりと僕は染井さんに近づき、ポケットから白いカモミールの刺繍が施された黒いハンカチを取り出す。

「……どうぞ使って下さい。」

染井「剣持君……」

例え僕を殺す罠でも構わない。バカと言われても良い。

でも香取さんを"あの雨の日"に泣かせて染井さんも泣かせて放っておく事は、僕には出来なかった……

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

夕陽が見える景色を目の前で

互いに少しボロいベンチに一緒に座りながら、剣持は黙々と豚丼を食べて、染井は只静かに時折隣にいる剣持の方に視線を向けるも直ぐに景色の方を見るを繰り返す。

「……何処に待機しているんですか?僕を抹殺するか捕獲するボーダーの精鋭部隊の皆さんは?」

最初に口を開いたのは、剣持だった……その言葉に、彼女は先程の剣持の行動がボーダーの部隊との戦闘を想定した動きと理解し只静かに景色を見ながら答える。

「………私を信じて欲しいと言いたい所だけど信じられる証拠は今の私には何処にも無いわね……私はボーダーには何も報告していないわ………葉子と同じで、」

「……僕の能力が恐ろしいからですか?報復を恐れて自分の周りの友達が危害を加えられるかも知れないからボーダー本部に報告しないと……」

「……剣持君を信じているから………貴方は私を信用も信頼もしなくて良い……でも剣持君はこうして私の傍に居てくれるから……他に理由なんてない。」

染井は本心を口にする。同時にここ暫くの葉子の様子の変化の原因も"得体の知れない剣持君に対する恐怖"と彼女は知る。だが隣で豚丼を食べている剣持君を見れば自分の知っている剣持君と分かる。

「剣持君は……剣持君だから……」

「………僕が怖いですか?」

剣持も今日までボーダーの人達に対して口には出さなかった言葉を口にする。

「……怖くないよ…」

「僕はもう……普通の人ではないんですよ……」

「……知っているわ。」

彼女は目を閉じて優しく答える。

「あなた方の知っている剣持夢想は何処にも……」

「私の隣で豚丼を食べている。」

「……どうして、どうして………何で………どうして」

剣持の目から涙が溢れて始めて来る………

 

「………どうして……こんな所にまで……来てしまったんですか………皆を守りたいのに、危険な目に巻き込みたくないのに……傷付いてほしくないの……死んでほしくないのに………どうして………」

「………自分一人の力だけじゃ……私は多分、此処まで来る事は出来なかった……」

染井はゆっくりと思い出す。剣持君と葉子が通う高校の新聞部の三人組、那須隊の志岐さん。黒野真琴さん。ポニーさん。マスク・ザ・セブンの久遠武丸さん。真琴先輩まで部屋を教えてくれた機械工学の富士見カンナ博士。名前は聞けなかったタクシーの運転手さん。怪物から私と運転手さんを助けてくれた謎の黒いスーツの二人組……"黒いローブに狙われた私を守ってくれた剣持君じゃない剣持君"そしてボーダーと敵対していた謎の仮面の怪人……

「……私が此処まで来れたのは、私じゃない皆がリレーのように絆や縁と言う名のバトンを私に繋いでくれたから……だから此処まで来れたの。随分……時間が掛かったわ……でも得る物は確かにあった……」

そう言い彼女は満足そうな微笑みを浮かべてベンチに背中を預ける……

「……僕の事をボーダーの上層部に上手く報告すれば、ポイントは勿論、香取隊はA級に昇格出来るかも知れませんよ?」

世界中を滅茶苦茶にしている宇宙人を捕まえるんだ。メディアの根付室長や三門市を守る忍田派や城戸派は、さぞ喜ぶだろう……

「…冗談でもそんな事言わないで……私は……大切な友達をボーダーに売ってA級に昇格したくない。もし昇格なんかになったら、その時私は葉子や先輩達にどんなに説得の言葉を言われようともボーダーを辞めて……三門市を出て行く……」

覚悟を決めた気持ちを声と共に言う。

「………すいません。変な事を言って……」

剣持は染井に謝る。

「………ヒマラヤの後からずっと、私達を恐れていた?」

「……はい。今日までいつ守りたいボーダーの皆と敵対する事になるのか、襲撃があるのかと………夜も満足に眠れませんでした。眠れるのは、身体の疲労が限界になった時、それもほんの3時間くらい。」

「………」

染井はビルガメラーの時、剣持が一睡もしてない理由を漸く理解する。あの夜、自分が傍にいて、いつ秘密がバレてボーダーが自分を狙うか解らない精神が極限状態で維持していたんだ。染井は申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。

「………此処に来たのは、誰でもない私自身の………染井 華としての個人的な意志だからボーダーは一切関係ない……貴方の警戒するボーダーの精鋭部隊なんかは一人も此処には来てはいない。」

「………」

彼も私を信じたいけど信じられないのだろう。そんな顔をして私を見る。長い間ずっと…ずっと…………そんな顔を無表情の中に隠して私達ボーダーの近くにいて守ってくれたんだ。何もかも心の内の悩みを話して私達に助けを求めたかったのに、私達ボーダーが彼を拒絶する場合を考えて、誰にも打ち明けられずに、本心を殺して……怪獣達とレッドマンとして戦っていたんだ。

 

「そして……私が此処に来た理由は、貴方の本当の気持ちを知りたかったから………それに、貴方に一言友達として謝りたかった。」

「何を……」

彼女は少し言い難そうになるも剣持に言う事にする。

「葉子が貴方にしてしまった事は………本当にごめんなさい……」

そう言い彼女は誠心誠意の謝罪の気持ちを込めて剣持に頭を下げる。

彼は驚いた顔をする。

「何で……何で………染井さんが謝るんですか………悪いのは全部、友達に隠し事をして、嘘をついた僕なのに………何で……染井さんが嘘を付いた僕なんかを謝るんですか……」

涙を両目から溢れ零しながら彼は言う。悪いのは全部自分だと、嘘を付き、隠し事をして………

「…貴女が謝る理由はありません。どうして………」

「………君が私達を巻き込まない為に、守りたい為についた優しい嘘や隠し事をもし罪と言うなら………」

意を決した彼女はベンチを立ち上がり剣持に近づき

彼女は彼と向かい合ったら、絶対にやらないといけない事を彼女はする。向き合うべき証明を行動で示す。

彼女は自身の両手の"手袋"を静かに外して"素手"で優しく剣持を抱き締める。

「えっ……!?」

彼は彼女の外された手袋に視線を向けて染井の行動に目を見開き、

その行動は、彼があの日10㍍の怪獣から私を逃がそうと覚悟を決めたように、染井なりの覚悟の表れ……それがどれだけの大きな勇気と覚悟のいる行動だったのかは彼は知っている……

「………我慢しないで……普通に泣いて良いんだよ。一緒におもいっきり泣こう。私も泣いて上げるから……」

「!!!?」

『………我慢しないで………普通に泣こうよ!?一緒におもいっきり泣こうよ!?僕も一緒に泣いて上げるから!?』

僕は両親を失った第一次大規模侵攻後再会した時、彼女にそのたった一言を言い彼女より先に泣いた事を思い出した。

そして今、僕は彼女の"そのたった一言"に抑えつけていた"何か"が感情と叫び声と共に夕陽の空に……爆発した………

 

夕陽はベンチにいる二人を優しく照らしていた。

 

抑えつけていた感情の叫び声が吐き出して隣に座る剣持は耳まで真っ赤になって恥ずかしい気持ちにいっぱいになっていた。

彼女も手袋をせず"素手"のままで剣持の隣に座る。

「やっぱり嫌だった?抱き締められるの?」

口を開いたのは彼女だった……彼女は自身の両手に視線を向けながら言う。

同じ歳の周りが持つ普通の手とは違う……友達を助ける為に足掻いた傷付いた手……あれから時が経ち、傷の殆どが塞がった物の……塞がりようのない、治りようがない傷は痕となってあの大規模侵攻の忘れられない思い出として両手に無数に刻まれている……あの日常生活で分からなかった"私はここぞと言う時には凄い行動に移せる"と言う証明の表れにもなる。

彼女なり彼に覚悟と勇気が必要な行動を示す為にしたとは言え、流石に相手の気を悪くする行動だったか?疑問が生まれてしまった。

彼は無言で豚丼を食べ終えて飲み物をゆっくりと飲むそして、"素手"の私の両手を優しく掴み自分の両頬に触れさせて、

「………………//////嫌じゃないです//////」

口調は照れているのか顔を真っ赤にしながら彼はたどたどしく答える。

「///////貴女の手はボーダーのオペレーターの中で一番でとても綺麗な手ですよ。///////」

「////////!!?」

その一言で私の目は見開き顔が一気に熱くなった………

【フォーーーーン】

一つの風がパリの道を通り私達の間を通り過ぎた……

勿論、嘘である事は知っているしわかっている。……何て子供騙しなお世辞だ。今時の子供達でももう少し、マシな世辞を言うだろう。社交辞令の場でももっと良い褒める表現がある筈なのに、

私はこの時、どんな顔をしていたのかわからない……

只、彼に今の熱くなった顔を見られたくないと思って顔を背けて、

「……どうも、ありがとうございます……」

今まで数え切れないくらい言った言葉なのに、声が震えている。恐怖じゃない……むしろ嬉しい気持ちが強い…

【………………………………】

互いに顔を見合せる事もなく無言に夕陽を眺める二人。

言葉を交わさずに只沈黙するのはさっきと違い別の意味で当人の顔が見えない。

「僕がパリに来たのは……」

彼から話題が来た為、この異様な沈黙を破られる。

「僕なりの戒めを再確認にしに来たんです。」

「戒め…」

「僕は相手と戦う為とはいえこの華の都に取り返しのつかない事をしてしまった……」

「避難もロクに完了していない市街地で、あの戦いでどれだけの人が死に、どれだけの人が家族や友人、家や思い出の場所、仕事場を失ってしまったか………」

「その責任は全て、この都で戦った僕とベムにある。」

「ベム?」

彼女は初めて聞く名前に首を傾げる

「レッドマンの名前です、レッドマンは所属している組織のコードネームらしいんです。だから彼の名前はベム。」

「名前あったんだ。彼。」

「あったんですよ。彼は、」

「………………僕がどれだけ世界各地の怪獣災害の市街地に行き復興を手伝っても、時間を掛けて建物とか再建されてもその災害で死んだ人が蘇る事はありません、大局から物事を見ると僕の今回の行動は全くの意味のない行動なんです………」

「………」

「でも何も感じなくなったら、僕は本当の意味で壊れてしまうと思ったから……今回の行動をしました。」

「………」

「パリの戦ったホーン・デュアウトは東京では新聞部の部長を狙い、三門市では生身の香取さんをボーダー本部まで連れ拐い、UFOではアラシ隊員を殺そうとした。」

「………」

「あの時の僕は、拐われて怖い思いをした香取さんを初め色々と感情が爆発して冷静ではなかった……その戦いの結果は今のパリです。」

剣持は視線をエッフェル塔があった場所を見る。染井も視線をエッフェル塔が立っていた場所に向ける。

根元から引き抜かれ近く市街地に、鈍器として使われて半ばへし折れたエッフェル塔が倒れている。白い綺麗な凱旋門は石と化して、歴史的建造物は軒並み再建しなければならない。

「無意味に被害を生んで、脅威のレッドマンは有害巨大生物にカテゴリーさせられて、僕は償う理由と場所を求めていた。」

あの避難所で彼が明るい表情で動き回っていたのは、

自分が犯した罪に対した罪滅ぼしの行動だったと彼女は知る。そして彼女は言う

……

「貴方が現れなければ、もっと被害が出ていた危険性もある。」

「……でもこれは僕の向き合うべき事です。不器用な僕なりの前の進み方です。」

「……それでも、余り自分を追い詰めないで…………貴方は一人じゃないんだから……」

「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です……」

「……ちゃんと僕なりに目標を決めて折り合いつけるつもりです。復興ばかりに目が行って怪獣と戦う事に疎かになったら流石に本末転倒ですから……」

彼は彼女を安心させるようにぎこちなく笑みを浮かべる。

「そう……なら、信じるわ。」

【………………………………………………】

「………」

「一つお願いがあります………」

「……言ってみて、」

「もう……前回のような無茶は二度としないで下さい。」

「………」

「貴女が死ぬ所なんか、僕はみたくない………」

「それは私もよ。貴方が怪獣や宇宙人に殺される所なんて私はみたくない。」

お互いがお互いに身を案じて心配してくれている。その気持ちは嬉しいのに、

「戦いはまだ続くの?」

「はい。まだ敵は多く残っています。」

「そう…」

彼女は彼の為に何も出来ない気持ちが強くそれが酷くもどかしい。だからせめて彼を安心させる為に、心行くまで動けるように………

「約束する。私はもう今回のような事を含めて無茶はしない……大人しく三門市にボーダーの人間としているわ。葉子の方は私に任せて頂戴。」

「ありがとうございます。」

会話が再び途切れる二人。

「………ちゃんとした所に寝泊まりしている?」

「ご安心を、パリ本部のハヤタ隊員の部屋に寝泊まりしています。」

「……ご飯はちゃんと食べている?」

「1日、しっかり3食食べていますよ。」

「……日本のご飯は恋しい?」

「日本の豚丼を食べたから大丈夫です。」

「復興の手伝いは大変?」

「大変です!?」

互いに顔を見合せて自然と笑みがこぼれ始める。

「出来る限り、僕と貴女は今の距離を維持してくれるのをお願いします。」

「善良するわ。………出来る限りね…」

今もレッドマンが怪獣と戦闘を続く状況で急に私達の距離が元に戻ると親友の葉子が怪しむと思うから、私達の関係は今の状態がベストのままにするのは、分かる。

「君の秘密を知っている人は他にいるの?」

「1人以上は……」

「志岐さん?それに……真琴先輩?」

彼女の部屋の前で盗み聞きした私はそう口にする。

「!!?」

彼は驚いた表情をして、私の顔を見る

「どうして……」

「心配しないで、ボーダーには本当に何も報告していない。志岐さんには一切の迷惑は掛けてないわ。」

「………貴方が前に進む為にここの手伝いをするように、私も私なりに前に進む為に、沢山模索したんだから……………………ここはふと懐かしい香りに足を止め少しの羽を休める場所……休んだらまた前に歩く……」

彼女は空を眺めて目映い夕陽を光を見る。

「……戦いが終わったら、しっかりとボーダーに戻って来て……」

「………」

「私、私達は待っているから………」

「……うん。」

「……………綺麗な夕陽ね。見晴らしも良いし………」

眩しく輝く夕陽を眺め感想を述べる彼女

「そうですね。僕もそう思います。風が気持ち良いですし。」

夕陽を二人は一緒に眺める……

「勉強してますか?」彼は彼女に聞く。

「そっちは?ここにいる間、君は授業に参加してないから遅れているんじゃない。」

「先輩から過去の問題集や授業内容をまとめたノートを借りる予定です。」

「……私のも貸して上げる。三門市で葉子を助けてくれたお礼に……」

「助かります。」

素直な返事が返ってきて、染井の口元は緩む。

「………あの日初めて仮病を使って学校をサボったわ。」

「見た目に似合わず悪い子ですね。」

「それは君もでしょ。叩いたら埃の星が出来るんじゃない?」

「黙秘します。」

「これからたまにで良いから前みたいに電話しても良い?」

「………良いよ……」

「ありがとう………」

「もう暫くパリにいるの?」

「後数日だけ……黒野先輩の力で無理やり参加したのもありますし、」

「そう……」

「私、小学校の頃、知っていたんだ。君が私と親友から離れようとしていたの……」

「……」

「……才能がある者にはそれ相応な人達が集まる……君は何時もソレを気にしていた……」

「………はい。僕より良い友人が貴女には沢山……」

「……私の友達は、私が自分の意志と努力で選ぶわ。才能のある無しは関係無い……ましてや、友達に必要な物は、その人と友達になりたいと言う"気持ち"よ。」

「………劣等感に苛まれたのは本当です。僕はどうして二人より努力しても、追い付く事も出来ない……だから自分が嫌だった……」

「…………でも何時も近くに居てくれた。何で?」彼女は彼に聞く。

「………放っておけなかったから……親友の前だと、貴女は格好付ける癖があったから……」

僕は第一次大規模侵攻の時を思い出す。彼女の両親が死んだ事に、彼女は泣いてなかった……泣く暇なんかが、なかった……目まぐるしい変化に置いていかれないように、自立出来る所を……自分は大丈夫だよ。この世を去った両親を安心させたかったのだろう………

第一次大規模侵攻後……僕と彼女が再会した時、僕は彼女に、さっき彼女が僕に言ってくれた"そのたった一言"を彼女に言ったんだ。彼女が泣くより僕が先に泣いてしまったのは、恥ずかしい思い出だ。

「………私も親友も君を放っておけなかった……だから私達も君の近くいた………」

「………何だ、僕心配されてたのか……」

「私も君に心配されていたんだ……」

小さい頃から互いに気に掛けては気に掛けられていた事に気付き複雑な気持ちになる。

「何か変なの……」

「確かに……おかしい……」

互いに小さく笑う二人。

「たまに君は一人称を俺にしたのって、君なりに強い感じを出したかったから?」

「……虚勢を出したかったからです。」

「……似合ってないよ。」

「知っているよ……」

「人生って減る物ばかりじゃない………貴方があの日私に"そのたった一言"を言ってくれたから……私は私の中の自分を信じて此処までこれたんだよ……」

「何だよ……それっ、」

「友達は人生のかけがえのない宝物って話よ………」

「今日はやけに涙が止まらないよ……」剣持は再び涙を目から流す。

「たまには良いんじゃない……こんな沢山優しい涙で泣いて良い日があっても……」

「………そうだな…」

「あっ、ジェットマン映画のFOREVERwingを貸しっぱだった……」

彼女は思い出すように言う。

「返すのは時間が出来たら良いですよ。」

「僕は生きていますか?」

「私の隣に生きているよ。」

何気ない掛け合い。何処にでもいる普通の二人の少年と少女が話す。

しかし普通に見えて普通ではない関係……

「ボーダー本部にたまには、顔を出しに来てよ。」

「報告書を上層部に提出する時、来てますよ。」

「……C級の訓練を最後したのは何時よ。」

「………すいません。しっかりと訓練します。」

「よろしい……」

「嵐山さんと柿崎さんで変な想像してませんよね?」

「黙秘するわ。」

「どうして、あの時、私がいる場所がわかったの?」

「"感じたんです"そこに向かえと……レッドマンの能力とかじゃわからなかったのに……何故か、」

「……また象徴的な説明ね。でも……それでも、」

「それでも私を助けに来てくれて、守ってきてくれてありがとう。」

染井と剣持は向かい合いお礼の言葉を言う。

「どういたしまして……」

「……また君とこうして他愛ない話をするとは想わなかった……」

「僕も、君とこんな何気ない世間話をするとは想わなかった……」

「ねぇ。覚えている?ビルガメラーのマンションの夜、今度は二人っきりで前みたいに親しい会話がしたいって……私が言った事……」

「………………………………綺麗な夕陽が見える場所で……他愛ない世間話でも……」

【………………………………………………】

「……叶っちゃった……」

風が彼女の髪を靡かせて夕陽が彼女の姿を美しく照らすこの時の彼女の微笑みは、涙の跡もあったけどそれ以上に……僕の中で忘れられない美しい思い出の光景だった………

 

二人はベンチを離れて……互いに少し距離を離して間合いに立つ両者………

僕は顔を突きだす

「さぁ、おもいっきり来て下さい……」

「わかった……」

彼女は拳を握りしめ前に突きだして構えては僕に向かって一気に走り出す。そして夕陽をバックに大きく鳴る音

【バコーン。】

「オごっ!!?アフュー……」

(顔じゃないの………)

僕の股間に彼女の拳が抉り込むように、深々と入っていた。そして涙を流しながら彼女は彼を優しく抱き締める。

「これで全部チャラにして上げる………バカ!?」

「ほ、本当に…今まで…す、すいま……せん……」

股間に人生で一番のダメージを食らって悶絶した真っ青な表情で、口から白い泡を出しながら彼は謝罪の言葉を述べる……

只………彼女のその優しい一言で、僕の心の中で激しく降っていた心の雨が消えて空に虹が掛かった………そんな気がする………ついでに僕の息子も天に帰った………

数分後……

「本当に良いの?フランスパン。」

"手袋"を着けたら彼女の両手には紙袋とフランスのパンで購入したパンが複数入っていた彼がお土産代わりに買ってきてくれたんだ。

「せっかくパリに来たんだから向こうで皆と食べてよ。」

「えぇ。ありがとう。」

彼はスマホの時刻を見て、寂しそうな表情する

「そろそろ休憩時間が終わるな。」

それを聞き彼女は少し寂しそうな表情をして、

「えぇ。日本は今深夜だから私も明日に備えて帰らないと……」

「うん。気を付けて………」

「剣持君。さようなら。復興の手伝い頑張ってね。」

互いに背中を向けて歩き出す。彼女は彼に背中を向けて歩きながら思う。

これで全てが丸く収まる訳ではない。だが、すれ違った二人の道は漸く同じ道を進む事になった……だから暫しの別れも寂しくはない………だから………

「染井さん!?」

「!?」

慌てて彼は彼女に声を掛けて、彼女は立ち止まり振り返る。

「本当に、ありがとう!!!!?またねっ!?」彼の大きな声が私の耳に届いた瞬間、

〔推奨曲ワールドトリガー3rdシーズンED雲外憧憬〕

「!!」

その一言があるから……私達は、未来を切り開らける……

私は彼の顔を見ずに熱くなった顔を見られないように背中を向けて……

「…またね。」

そう小さく呟き歩き出した……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ディアヴォロス(盗み聞きするんじゃなかった……凄く何か恥ずかしい……)

 

路地裏にて、染井は一人戻り、

染井「近くにいる?仮面の怪人さん。」

彼女は何も無い場所に声を掛ける。

ディアヴォロス「いるよ。来るんじゃなかった……」

染井「???私は来て良かったわ。」

ディアヴォロス「とっとと帰るぞ。」

青い目映い光と共に染井と仮面の怪人は姿をパリから姿を消す。

 

染井の部屋にて

ディアヴォロス「じゃあな。」

染井「待って。どうして私に彼を会わせたの?貴方の目的は何?」

ディアヴォロス「教えるか。俺は俺の勝手に動く……」

そう言うディアヴォロスは瞬間移動で染井の前から消える……

 

翌日、朝、眠気がある中、設定した時間に目覚まし時計が鳴り彼女はゆっくりと起床する。

何時もの眼鏡を掛けて……最初に目をつくのは、

ボーダーと敵対する仮面の怪人が購入したとされる新品同然の一足靴。

染井「……」

続けて分かりやすく置いてある剣持が購入したとされるフランスパンの数々が入った紙袋……勿論フランス語だ………そして剣持が染井に渡してくれた白いカモミールが刺繍された黒いハンカチ。

染井「……夢じゃなかったんだ。」

その二つの物を見た染井はゆっくりと立ち上がり今まで書いた剣持に関するホワイトボートに近づき、暫く書かれた物を見て……

染井「………」

彼女は無言で近く置いてあるホワイトボート用黒板消しを掴みホワイトボートに書かれた物を余す事なく全て綺麗に消す。

そして……

染井「……顔洗おう……」

彼女は自分の部屋に出るのだ……

 

カモミール………和名カミツレ

花言葉は『逆境に耐える』『逆境で生まれる力』『親交』そして『仲直り』

 

ファイル12 約束の夕陽

強敵ロボット ウルトラーV

超機獣メタルダイナス、バトルダイナス

光線怪獣キュベリアス、キュベリナス

登場

〔推奨ED SSSS.GRIDMAN youthfulbeautiful〕




次回のワールドトリガーTHEREDmanHEROは、遂に動き出すブラックワン率いるアインへリアル5勇士。そして『お化け屋敷』を襲うカマキリの大群!!急成長する1㍍巨大カマキリ。やがて東京タワーを巣に変えて現れる巨大昆虫怪獣、そして現れるサイボーグ怪獣!?東京タワーに取り残された人達を救出する為、剣持達はインセクトタワーを舞台に、銀河連邦の仲間達と共に動く。
何が!?誰が自然界のバランスを崩したのか!?
戦え!?我らの勇者レッドマン!?新必殺技で怪獣達を倒せ!?そして現れる二次元人と地球人の血をひいた新ヒーロー!?次回ファイル13 姿なき捕食者-蟷螂の叫び
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