ワールドトリガー・TheREDmanHERO   作:怪物怪人怪獣さん

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お待たせしました。駄文です。今回も展開が支離滅裂です。
キリエロイドIIIが登場する本作……丸山浩が考えたデザインに2種類あり、本作はその2つをベースにしているのですが……色有り版だと左右対称のキリエロイドIIIには胸の中央に発光体もキリエルカッターも無いシンプルな外見なんですが……別の丸山浩さん画集にある色無しキリエロイドIIIにはきちんとキリエルカッターも胸の中央に発光体があって正直色有り版と色無し版のどっちが正しいのか筆者には分かりません。でも『キリエロイドIIIデザイン』で画像検索するとウルトラマンネオスに登場したザム星人に似た顔の中心に黄色い発光体がある絵も描かれており、本作だと身体はそのままで顔タイプ1が感情の昂ぶり左右斜めに開いて顔タイプ2になる設定にしてあります。X状のキリエルウィングも生える設定です。
キリエロイドIIIのモチーフはタイガーマスクWに登場するマーシャルアーツの使い手キングタイガー……基そのモチーフ元になった実際のアントニオ猪木と闘った男性空手家でキックボクサーの通称黒い怪鳥のザ・モンスターマン。
キングタイガーも踵落としを必殺技にしており、偶然キリエロイドを調べていたら獄炎踵落としを持っている資料を見つけて参考にしてます。後技名は無いですけど、ラーメンマンの蹴り技を幾つかモチーフにしています。
最初は帰ってきたウルトラマンの名作『天使と悪魔の間に』を参考に考えていたのですが、敢えてキリエロイド関連に話をまとめてレッドマン打倒と同族の呼び込みに……レッドマンの関係者の染井さんが狙われた感じになっています。ブラックワンとの共闘表現も上手く書けたとは思えず、終始ブラックワンにフォローされたイメージが強いです。
もう一人のキリエロイドの扱いが悪いのは相手がキリエロイドよりずっと強過ぎる設定と筆者の表現力不足です。少なくてもウルトラマントリガーとウルトラマンティガが相手なら勝ってました。
剣持がトリオン体に換装する前の戦闘は強殖装甲ガイバーOVA版第2話のガイバーⅡとの戦闘をモチーフにしており、トリオン体以降の戦闘はウルトラマンティガ13話のレイビーク星人との等身大戦闘をベースにしております。
今回の話は任務で動いた訳ではなく空いた時間に個人にお願いが切っ掛けの為に『お化け屋敷』やボーダーがスポットが殆ど当たりません。
本作は基本ウルトラマンティガ関連BGMが推奨されています。
〔推奨OP鋼の錬金術師FULLMETALALCHEMIST ゴールデンタイムラバー〕


ファイル15 悪魔の奇跡 炎魔戦士キリエロイドⅢ カオスキリエロイド 登場。

 

レッドマンとミラーマンRBが五島市でゴロンゴロを倒して数日が経過した三門市

早朝の黒野の館の近くの山道にて走る二人の少年少女の背中が映る。

〔推奨BGM ウルトラマンパワード メインテーマ〕

……苦しい……足に痛みを覚える。息が切れる。自分の限界を知る。

染井「はぁ……はぁ…はぁ…はぁ…」息の上がりペースが落ちる

……だけど……だけど……私は……私は走るのを辞めない。

「疲れたか?」

染井「……まだ走れる…」

隣にいる少年に問われる。私がもし疲れたと答えたら彼は直ぐに私を休ませようとするだろう……でも私は精一杯の見栄っ張りな言葉を吐く。

「……そうか。」

とっくに分かっているつもりだった……相手の方が体力お化けや怪物並みなのには……でも、それでもその差に絶望すら覚えてしまい。諦めの感情が湧き上がるも自分自身のちっぽけな意地でその諦めを押し潰し私はひたすら手足を動かす。……前に進む為に

「何をするにも基本は基礎体力を向上させないと始まらない……」

染井「……そうね。」

……私がお願いしたんだ。彼に……投げ出す訳にはいかない。辛く苦しくても食らいついてみせる。

ジャージ服を着用した剣持の分身と染井華は山道をひたすら走る。二人が走る道の横で格闘訓練用ロボットVersion2を相手に本気の組手をする夢想。

一瞬も気が緩められない正確無比の攻防の中ロボットの攻撃を回避して拳を振るう夢想。機械の硬い材質の手の平に受け止められ逆に殴られる。距離を離そうとバックステップするも片手を掴まれて放り投げられる。投げられて夢想は受け身を取りながら更に迫る追撃の一撃を左腕で防御しながらロボットの片腕に向け片足を蹴り上げて片手を自由にする。

「……。」

ロボットと取っ組み合ってロボットの顎部分に膝蹴りを叩きつけ肘鉄を頭部に向けて叩き込みロボットの首を両手で無理矢理掴み背負い投げる。

剣持君本人のその様子を走りながら私は視線を向ける。

染井「……。」

「集中が続かないなら……「冗談…。」なら少しペースを上げるぞ。」

そう答えると剣持Xは私の前に走り出す……全身に滅茶苦茶重そうな石の重りを背負った状態で……

染井「……。」

二人の頑張っている姿を見てこれが意味のある事と信じて私も走る。

 

太刀風「………。」

そんな三人のトレーニングの様子を高い木の上から黙々と気配を消して見物するレッドマンの先輩ヒーローハリケーンマスクこと

太刀風 皇虎。

成川「心配なら会って会話すれば良い……何故しない。」

その皇虎より更に気配を消して近づく成川ジョージに皇虎は言う。

太刀風「……まだ夢想は拙者の弟子ではないで御座る。それに…」

成川「それに?」

太刀風「カラクリ相手でも痛いくらい悲しそうに戦う……やはり心根は優しいので御座るな。拙者と大違いだ…」

成川「そうか?……俺にはお前以外近接武器の師匠はいないと見えるぞ。」

太刀風「何故で御座る?」

成川「………お前も自分よりもか弱い者達の笑顔と幸せの未来を守る為に人斬り韋駄天になったんだ。結構似ている所はあると思うぞ。」

太刀風「……それは無い…」

成川「……そうか。」

太刀風「拙者は炎太の元に戻る……っ!?」僅かな一瞬だが妙な気配を感じ取る。

成川「っ!?」

成川(この邪悪な気配は!?皇虎。俺は少し街を見てくる。フレイムは任せた。)

太刀風(御意。気を付けろ。我々(宇宙人)とは全く違う邪悪の気配だ。物の怪や悪魔に近い……)

成川も視線だけで感じた事を伝えて皇虎は炎太郎の元へ。ジョージは市街地の方法へ一時的に分かれる。

太刀風(精霊達よ。尋ねたい事があるで御座る。この三門市に蔓延る邪悪な気配について教えて欲しい…)

 

 

訓練時間が終了し只ひたすら走るだけだったのに………想像以上に体力を使いグッタリと座り込んだ私はペットボトルの水をゆっくりと飲み込み森林から空を見上げて体力と気力を時間を掛けて回復させる。

染井「……明日は筋肉痛確定ね……」

「……ごめん。ベムの奴が…」

染井「……分身さんは?」

「実地訓練とか言って日課のクライムパトロールだって…」

染井「……何時か私も参加するはめになるのかしら?」

「絶対に参加させない……」

呆れた口調で答えて夢想は空を眺める。

「……ワープで近くまで送るよ。」

染井「ありがとう。今日は葉子とお出かけする日だから……」

「なら急いで戻らないとね。僕も今日友達と美術館の個展見に行く約束があるし。」

染井「珍しいわね。剣持君が美術館なんて……」

「偏見のある意見ありがとう。でもまぁ、普段しない事をしているとは自覚しているよ。」

染井「…何処の美術館?」

「三門市美術館。」

剣持は場所の名前を染井さんに教えた。

〔推奨BGM 侵略の予感[M―30]〕

場面は三門市の市街地に変わり…

今日も三門市を行き交う人々には様々な種類の人達がいる。そしてその中で異様な背中に白い天使の翼の飾りを背負って白いフード付きのローブを纏った奇怪な集団が人々の視線の注目を集めながら何処へと消えていった……また、三門市の市街地の各地域に天使に関する格好や物を持った人達が集まっていた。彼らはまるで何かを待っていたかのようだ……

 

 

世界各地の美術館にある有名な天使の絵画に彫像……日本のオタクカルチャーの天使を題材にした漫画やイラスト。男受けする美少女や女性受けする美男子の天使のイラストが次々と映り小さな子どもに分かるようなシンプルな可愛いデザインが次々と映る中

六枚の赤い翼で2枚の翼でその身を宙に羽ばたかせ、別の2枚の赤い翼で顔を隠し残り2枚の赤い翼で己の両足を隠す天使の絵が神聖な感じに一瞬見えるも其れ以上に不気味に映る。

 

【虚構 実際のない、目に見えない、形のない存在、 実在しないのに存在する想像上の物を人間は"まず頭の中で考えてイメージする"……動物園にいる現実の動物を描く事は可能でも……見たことのない動物や生物は曖昧で不確かな形も奇妙奇天烈でリアル感に欠けています……しかし貴方の周りには、現実には存在しない虚構の産物が満ち溢れています。日本各地に伝わる狐や狸の人に変化する妖怪の始めとする鬼や天女の伝説……昔話の桃太郎や浦島太郎やかぐや姫……フィクションの産物である各ジャンルのテレビドラマを始めアニメや漫画に特撮や映画……貴方の周りは作られた物に満ち溢れていますけど……別に其れ等に困っている訳ではないですよね。でも幾ら困っていなくても程々にした方が良いですよ……虚構の産物にのめり込むと戻ってこれなくなってしまうかも知れません……ましてや其れが誰が何の目的に作ったのか分からない虚構の産物は……】

その目撃者は……三門市で次々と増えてきた……

街を行き交う人々に三門市のTV局のレポーターがカメラマンと一緒に近付いていく。

レポーター「ちょっと、すいません。あの、"天使"なんですが、知っていますか?」

三門市市民1「はい。知ってますよ。」

三門市市民2「この辺で見れるって聞いたんです。」

 

レポーター「"天使"なんですが、知ってますか?」

三門市市民3「はい。先日大学の窓から外を見てたら見えたんです。」

三門市市民4「課長がゴルフしてて見たって言ったので、それで……」

三門市市民5「友達が此処で見たって言っていたから来たんだ。」

レポーターが市民達次々と天使に関する質問をする他所にある教会のシスターの服を着用した女性がレポーター達の近くを素通りする。

女性「……。」

女性は天使の話題をする人々に見えないように笑みを作りある場所に向かい歩く。

 

やがて三門市の市街地上空に何処からともなくぼんやりと流れる様々な雲が独りでに集結し形作りやがてその形は天使の形に変わり形は姿に変わる現象が起きていた。明らかな普通ではあり得ない『お化け屋敷』達が調査する異常現象なのだが……天使の人形や天使の格好をした人間達にはそんな異常な超常現象など関係なく、天使の信者は単純にこう口揃えて言う……この世に天使の実在すると……光輝き…迷える子羊である人類を導いてくれる為に神の世界から天使が降臨なされたと……疑う事もなくハッキリ言って正気ではない天使の信者達の言葉に聞いているこっちがおかしく感じてしまう。

 

某喫煙室内

マスター神父「………。」

仕事のある日以外は基本ボサボサの髪が几帳面に整えられ口元に咥える煙草の煙がユラユラと天に昇る光景を眺めつつ手元にある資料に目を向ける一人の男。

資料の内容はある共通点のある人物達を目撃したと言う証言が記載された物で三門市以外の主要都市の目撃情報の資料にも目を通す。その様子は普段の彼を知っているなら別人と思う程真剣な様子で……落ち着く意味で彼は煙草をゆっくりと味わうように煙を吸う。吸いながら時計で時刻を確認して

マスター神父「……ふぅー。面倒だが………そろそろ名探偵に会いに行くとするか……」

資料を着ている祭服の内側にしまい煙草の火を消して喫煙室を出て歩く。

マスター神父(この物価高騰で不景気の経済の中に天使も神も在りはしない……今のこの現世に……本物の神々や超越した奴らが住む場所は何処にもないんだから…)

黒野真琴がバイトをするカフェブラックスターの店長をしている男は本業である神父が纏う黒い祭服(キャソック)を着用し目的地の三門市美術館を目指して歩く。

めんどくさい気持ちを顔に出しながら……

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ファイル15 悪魔の奇跡

炎魔人キリエル人 

炎魔戦士キリエロイドⅢ カオスキリエロイド

登場

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喫茶マドモァゼルにて

私生活に必要な必需品を親友と購入し丁度お昼だから何処かで昼食を食べようか……っと話しになり、私達モダンジャズの音楽が店内に流れる喫茶マドモァゼルにて昼食を取る。

香取「辛っ!!?このカレー。想像以上に辛いわね。お冷お代わりしないと……」

染井「……。」

此処数日の間、私の周りに妙な現象が起きている。……最初は授業が終了した高校から下校しボーダーの寮に向かう途中で………私は大規模侵攻で亡くなった筈の父親の姿を見た。

染井『っ!?』

最初は何かの見間違い……或いは良く似た人と自分に言い聞かせ激しく動揺するのを抑えた。でも……鏡拓也君に剣持君の事を聞かれても教える事なく別れた際に………再び私は亡くなった人を目撃してしまった。私の母である。

染井「………。」

染井は心此処にあらずの表情で窓の向こうに行き交う人々を眺める。彼女が視線を向けるのは、亡くなった筈の母がいた位置である。

香取「ちょっと、華?」

染井「っ。どうしたの?葉子。」

向かい側にいる親友の声に目を小さく見開き直ぐに葉子の方に意識を向ける華。

香取「大丈夫?さっきから何か変よ?体調でも悪いの?」

心から自分を心配してくれる葉子に申し訳ないと感じてしまう華。

染井「ねぇ。葉子。」

香取「何よ?」

染井「……もし私が変になったなら貴方が私を正気に戻して。」

香取「?……っ良いわよ!?他でもない珍しく華が私に頼み事を頼んでるんだからね。」

良く分からない頼み事だと分かっている物の目の前の親友が安心させる為に葉子は承諾する。

染井「っ!!!?……約束よ。」

香取「応!?任せなさい!?」

不安な表情をする華は薄く小さな安堵の笑みを見せて葉子は大きな笑みを見せる……………葉子は気付く事なかった物の………葉子の背後に店のウェイトレスやお客達は気付く事なく……大規模侵攻で亡くなった筈の自分の両親の通り過ぎる姿を目撃してしまった華の心境は想像以上に動揺し追い詰められていた。

 

謎の少年「……っ。」

その喫茶店の外側で紫の炎の模様が彩られた学ランのような服装をした銀髪の三白眼の小柄な体型をした少年は、恩人である少女の前に一度足を止めて剣持が持っている特殊な能力とか無しに視線を窓側にいる染井 華と香取葉子に向ける。

謎の少女「どうしたのよナイト君?お腹でも空いた?」

謎の少年「……いえ、行きましょうか。」

窓側にいる染井華と香取葉子に視線を向けるのをやめて目的の捜し人を探す為に前に進む。

謎の少女「…にしても罪無のお兄さん何処にいるのかな?」

歩きながら周りの景色を眺める少女。その視線は周辺の建物だけでなく道歩く人にも向けられており、天使に関する格好や物を持った人達とすれ違う。

謎の少年「問題無い……見つかるまで探すだけだ。」

対する少年は番犬のように真っ直ぐに道を進み景色に興味を持ちはしない。明らかな怪しい集団である天使の格好をした人達にも興味すら持たない。

少年と少女は神出鬼没の剣持夢想の先輩であるイノセンスマン事、間罪無を探して三門市の市街地をくまなく歩いているようだ。

 

 

場面は変わり三門市美術館にて

その日の美術館には沢山の神聖な天使と世界各地の神の絵画に美術品が展示されている[天使と神々]をテーマにした個展が開かれていた。

美術部部長「人と言うのは不思議な生き物だ……RPGゲームを始め世界各地の神話やおとぎ話に登場するこの世界には実在しない幻獣や怪物、神々に悪魔や天使といった物に姿形を与えて名を与えてどういう性格なのか、どういう能力を持っているのか考える……形の無い言葉の虚構すら名と意味を与え象徴に変える……」

真琴「部長……手が止まってますよ。」

美術部部長「おっと、失礼……。」

美術部に所属している黒野賢人の義妹である黒野真琴は黙々と部活動に勤しみつつも、その心は退屈を感じていた。チラリと他の部員達の様子を見て

真琴(やっぱり好きな絵を題材にした人の方が筆の進みが違うなぁ〜。)

怪獣が何よりも大好きな真琴にとってこの時間は軽く息苦しい時間だ。しかし……怪獣以外に全く興味が無い訳でもない。

真琴(……何故、白い綺麗な生地の服を着て背中に白い鳥の翼が生えて頭に輪っかがあれば清く神聖な存在に見えるのか……素直に疑問だな〜〜?)

此処最近の三門市で見掛ける天使の格好や関連の物を持っている人々を真琴は見掛けて不安を覚える。得体の知れない存在が三門市に侵食しているようで……何よりも、そろそろこの状況に似た状況を知っている為に暇を見て剣持君に教えた方が良い。

 

そして当の剣持夢想は染井華に送り届けて自宅に戻りシャワーを浴びて今日の予定である志岐さんのとのお出かけの準備をしていた。

お出かけの準備を完了して自宅から出て志岐さんの自宅へ急いで向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!?」

突然、前触れもなく探知能力や危機感知の超感覚とは関係なく妙な胸騒ぎを覚える剣持。だがその胸騒ぎが何を意味するか具体的に分からない為に、この場では気にせずに自分の横にいる女性が見ている絵画を一緒に眺める。

志岐「微妙だね〜」

「……そうだな…」

真琴が今いる同じ美術館の違う絵画らが並ぶ場所に志岐 小夜子と剣持夢想がいた。前のプレイターの怪獣災害であれこれあった為にお出かけが途中で中止になった為、今回は三門市内でお出かけする事にしたのだ……

美術館がお出かけの目的地になった切っ掛けは宇宙人であるベムが地球の天使や神と言う目に見えない物が何故存在するのか疑問に覚えたからだ。

展示される絵画達の絵は普通に綺麗なのだ……自分達がどんなに努力してもこの芸術作品には劣ると分かるくらいに……しかし、

同じテーマで違う構図で沢山並ぶ光景は、些か不気味さを覚えてしまい。ちょっと怖いらしい……漫画やアニメの展示会ではないからガチの絵画の為……実際天使の絵の数々を見て小夜子は凄く退屈していた。

志岐(漫画喫茶とかの方が盛り上がったかも知れない……)

チラリと視線を隣に立つ剣持に向ける小夜子。

 

実際、絵画其の物には退屈を覚えていた夢想自身だったが……天使と言う概要は……奥が深いと感じていた。世界5大宗教の2つの宗教…仏教やヒンドゥー教を除くアブラハムの宗教……代表的なキリスト教を始めイスラム教、ユダヤ教に聖典や伝承に姿を見せる"神の使い"……。

志岐「ごめんね。軽はずみに美術館に行こうって言ってさ。」

「気にするな。大昔の人の想像力を甘く見ていたのは本当だ……」

所狭しと並ぶ絵画の一つに『我が子を食べるサトゥルヌス』を観ながらベム事剣持は答える。

「この絵は農耕神を司るローマ神話のサトゥルヌス事ギリシャ神話のクロノスが予言を恐れて生まれて来る我が子を食べて殺す構図の絵だ。」

志岐「予言って?」

「お前は実の子どもに倒される……即ちローマ神話ではユピテル後のギリシャ神話の雷の神で浮気者で有名な神……」

志岐「ゼウス。」

神の名前を良い当てた小夜子に剣持は無表情で笑みを浮かべて

「正解…。古今東西の宗教や神話は昔から人の想像力で無限にスケールアップ可能な世界だ。」

志岐「でもこの怖い神様の絵は画家ゴヤが大病を患った際に間近に迫る死の恐怖を……ゴヤ自身がクロノスを自分と重ねて表現したらしいよ。」スマートフォンで作品の事を調べながら答える小夜子。

「避けられない死の恐怖を表現か……もし健康体で病気を患っていなかったのならこの絵は誕生していなかったのかな………生まれたばかりの我が子を食べてまで生きたかったのか……」

実在しないとわかっているのに親の凶行に無意識に拳を握り締める剣持。

志岐「剣持君?」

「うん?あぁ。志岐さん。この絵なんかどうだ?天使に得体の知れなさ含めた絵……まるで俺のような立ち位置だ。」

『ソドムの天使』

小夜子は剣持と共にこの絵を眺めて確かに煙を上げて荒廃するソドムの町を見下ろす天使の二人組。ぼんやりとした表情と身体の輪郭が曖昧で得体の知れない不気味さを醸し出す。

手前に黒煙に染まるソドムの町を滅ぼす為に神によって派遣された冷酷な天使を恐怖の象徴として描かれた絵を観て小夜子はハッキリと言う。

志岐「……剣持君は、そんな立ち位置じゃないよ。」

「………少なくても香取さんや俺の事を知らないボーダーの人達から見て俺の立ち位置は大体こんな得体の知れない奴さ。」

ぶっきらぼうに答える剣持の表情は少しふてくされている。

志岐「たった1枚の絵の構図に自分と同じと決め付けるのは、理解が足りない人がする事……」

「でもこの絵はかなり俺達の立ち位置が近いと思うぞ……」

志岐「本人と対話して歩み寄る……それは絵だけの天使には出来ない事だし、君は天使は天使でも天界から地獄まで自由気ままに行き来するアウトローな傭兵天使が似合っているよ。」

「なんだよ。傭兵天使って……ゾークロンの母星を滅ぼす際、ゾークロンの連中から見たら完全にこの立ち位置なんだけどな。」

地球に来る前にして行動を思い出すベム。

志岐「兎に角、君も剣持君も……こんな怖い存在じゃないの!?分かった!?」

自分でも無茶苦茶な理論でも無いと分かっている。でも……言葉が通じているし、対話もして理解もしている。偶に変な行動や発言もするけど……自分がどんなに頑張っても努力してもどんなに行動しても全て意味も無いみたいな事は……永遠に報われないような寂しい事は言わないでよ……。何時も頑張っている所引きこもりの私でも知ってるよ……

志岐「きっと、染井さんだって同じ事を言うと思うから……多分、私よりしっかりと言葉にして……絶対……」

「………。」

剣持君は目を見開き絵を見ずに私の方を見て…

志岐「何で私を見るの?」

「志岐さん。……漫画喫茶行くか?俺喉乾いたし……」

志岐「…えっ?……………行く。」

二人で展示された『ソドムの天使』を後にする。

「……ありがとう。小夜子さん。」

先を歩く小夜子の後ろから聞こえた剣持の言葉に一瞬、小夜子はピクリと動きが止まるも、直ぐに再起動して前を歩く。

心なしか小夜子の足は普段と違いスキップをしていた。

「…………。」

小夜子の後を追いながら剣持夢想は一度自分達が見た絵を『ソドムの天使』に視線を向けて無言で去る。

その二人の後ろ姿を丸眼鏡を掛けた茶色の修道服を身に着けたシスターの女性が見ていた。

「………。」

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俺は目の前にいる人はそんなに知らない……勿論、反対にその人も俺の事を知る筈もない。でも接点がまるで無い他人と言う訳でもない。互いに良く知らないからこそ人といる為に意外な一面を見れる場合がある……

マスター神父「うん?誰かと思ったら常連さんの……お前ら二人でデートか?」

「そう言うのじゃありません。って貴方は喫茶店ブラックスターの店長さん。」

小夜子は年上の男性と遭遇した為に剣持の背後を忍者のようにそそくさと隠れて様子を伺う。

「店長さんもお店を閉めて個展を観に来たんですか?」

マスター神父「……イヤ。今日はある知り合いとこの美術館で待ち合わせしているんだよ。[天使と神々]個展ねぇ……。面白い個展か?」

質問された俺は志岐と顔を一度見合わせて言う。

「すいません。何か想像したのと違い退屈でした……」

マスター神父「はははっ。人の理想の姿ばかりをするのが天使や神々じゃない。実際、想像とは違って悪魔と変わらない怪物みたいな外見で漫画ベルセルクのゴッドハンドがモノホンの天使かも知れないんだからな。」

「(´Д`)ハァ…」

(ベルセルク?ゴッドハンド?何だそれは?)

良く知らない話を振られて曖昧な表情で返事する剣持。

志岐「けけ……剣持君に変な事教えないでくくく下さい!?」

剣持の後ろに隠れた何故か両目をグルグルにしていた小夜子が剣持の袖をしっかりと掴んで自分の出せる精一杯の声で神父に抗議の声を出す。

マスター神父「悪い悪い……初な可愛いお二人さんにはまだ早すぎたな…忘れてくれや。」

「志岐さん。漫画ベルセルクって?」

漫画やアニメのオタクカルチャーに詳しい小夜子にキョトンとした顔で尋ねる剣持。

志岐「剣持君は知らなくて大丈夫だから良いの!?良いね!!良いわね!?」

「アッハイ……」

何故か顔を真っ赤にした表情をする小夜子がコレまた凄い剣幕で話を切る為にこの話題はこれで終わる。

マスター神父「えっと……剣持だっけ?」

「はい。剣持です。……どうして俺の名前を知っているんですか?」

マスター神父「そこのお嬢さんが呼んでいたのもあるし、バイトの黒野が君をそう呼ぶのを思い出してさ。」

「それで俺に用でもあるなら言ってみて下さい?」

マスター神父「……君や君の身の周りに亡くなった人の姿を目撃したと言う事は無いか?」

心無しか自分の周りの空気が冷えた気がする。随分と洒落にならない質問だ。

「ありません……どうしてそんな質問を?」

マスター神父「最近、都市伝説で"既に亡くなった人"の目撃情報があってさ。君は家族をヒマラヤで失っているとテレビで一時期話題になったのもあるし確認かな……」

志岐「……っ」

「其れこそ都市伝説みたいに曖昧じゃないですか……」

マスター神父「故人の目撃情報が現在一番あるのは、この三門市なんだ……だから気になってさ。」

「悪趣味な都市伝説ですね。」

マスター神父「……同感だ…噂を聞いていて不愉快な気持ちになるよ。」互いに良い気持ちにならない表情をする二人。

志岐「……。」

志岐は無言で剣持の袖口をクイクイと引っ張っているのに気付き

「すいません。連れが喫茶店で待ち合わせをしているようですから俺達行きますね。」

マスター神父「分かった。もし詳しい話がしたいならカフェブラックスター2号店で会おう。」

こうして互いにすれ違い美術館を後にする剣持達。

 

カフェの店長をしている神父は自然と個展に入り天使の絵を眺める。

そして『ソドムの天使』の絵に止まる。

シスター「貴方はこの絵をどう思うのかしら?」

マスター神父は突然自分に向かって声をかけられて振り返ると茶色の修道服を着た丸眼鏡を掛けたシスターと向き合う。

マスター神父「……そう言う貴女はこの絵をどう見るんですか?」

そう神父は尋ねると修道服を着たシスターの女性は絵を見てうっとりした表情で答える。

女性「神の使いである天使達が穢れに満ちた愚かな人々が住む悪徳の町ソドムを聖なる炎で浄化をする素晴らしい絵だと思います。」

マスター神父「世界を洪水で流したノアの方舟や言葉と物理的な意味でバラバラにしたバベルの塔……宗教なんてどれもロクな物じゃない。」

女性「神は絶対…その神の御使いである天使の行動も言動もまた絶対なのです。」

マスター神父「ソドムの町から脱出したロトとその家族のその後を考えると………本当に正しいか分からなくなるがな…」

女性「貴方は私達人類を良い方向に導く神に不満があると?」

マスター神父「悪いな美人のシスターさん。俺は神父しているが、必要以外は祈りもしないんだ……神様の都合で自分が住む国が天変地異で滅ぼされるのはゴメンなんでね。」

女性「……。」無意識に眉間に皺を寄せるシスター。

女性「神に仕える者とは思えない有るまじき神父ですわ。」

女性の敵意の籠もった言葉を聞いても神父は至って平然としていた。迎撃準備は剣持達と会話している間に済ませた。

マスター神父「……所で話の内容が変わるんだがシスターが着てるその修道服……俺が偶に足を運ぶ教会の服だが……その教会……神父の知り合いやシスターの顔見知りが結構多いんだけど……だけどな……お前の顔は始めて見たぞ。何者だ貴様……」

マスター神父は背後を振り返ると最初からそんな女性がいなかったように気配が無く美術館から忽然と姿を消していた。

 

マスター神父(……逃がしたか…。東京に住む神父の知り合いに天使を見ておかしくなったシスターや神父達の話を聞いていたが、遂にこの三門市にも妙な連中が現れたか……)

俺の勘が言っている……さっきの女は今回の一連の天使降臨現象について何か大きな手掛かりを持っている。

マスター神父「……逃がしはしないぞ。顔は覚えた。人の都合の良過ぎるまやかしの天使を良くも作り出したな…」

腐っても神に仕える者として偽りの天使の名を語る連中に文句の一つでも言うつもりだったんだが……特徴的な黒いテンガロンハットに気付き待ち合わせの相手が自分に近付いてくるのを感じる。

日本一を名乗る私立探偵「おう。久しぶり。神父さん。所で三門市も妙な連中が来るようになったな……」

待ち合わせの相手が美術館に到着して神父相手に世間話を話し掛ける。

マスター神父「来たか。名探偵。」

日本一を名乗る私立探偵「名刺は渡しただろう。風真 健四郎って……」

神父は前に渡された名刺を見て答える。

マスター神父「前も思ったけど風真 健に改名した方が格好良いぞ。」

風真「人様の名前になんて事言うんだよ。この前だってボーダーのサングラス付けた実力派エリートの青年にも同じ事言われたよ。」

マスター神父「俺以外に言われている時点で……否、話を戻そう。依頼は亡くなった故人の目撃情報がこの三門市に増えている噂と天使の信者達を誘導する二人組の預言者を名乗る男の捜索依頼だ。応じてくれるか?」

風真「……神父さんの依頼って心なしかスケールが大きい気がするよ。…………引き受けた。」

マスター神父「自分で言うのも変な話だがこんな良く分からない噂の真実を確かめるのか?」

風真「……相手は亡くなった人達と残された人の想いを冒涜する行動をしているんだ。引き受けないと死んだ父さんにドヤされる。まずは……預言者を名乗る二人組の男の目撃情報を集めますか。」

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春日「……?」

東京タワーの戦いの後、回復を待つ包帯まみれの炎太郎は突然、謎の熱エネルギーを感じ取り起き上がり自分の足元に視線を向けるフレイム仮面こと炎太郎。

春日(物凄い速さで狭い地下を通っている……肉体を持たない精神生命体か?……気になるな。)

春日「私もハリケーンマスク先輩みたいに精霊の声が聞こえたら何か分かるんだろうが……無いもの強請りは意味がないか。」

太刀風「呼んだか炎太(エンタ)?」

手負いの炎太郎を護衛する為に皇虎が姿を見せる。

春日「ハリケーンマスク先輩。三門市の狭い地下に何かが動き回っているのに気付きましたか?」

太刀風「あぁ。自我を持つ燃える火の玉……或いはエーテル生命体が此処最近、この島国を動き回っているのを三門市の精霊達に教えて貰ったで御座る。」

春日「精霊達は他になんて?」

太刀風「自己顕示欲が強く悪意のある邪悪な存在だと…警戒しろとも言っているで御座る。」

春日「精霊は嘘をつかない……つく必要がない彼らが邪悪な存在と言い警戒を促すとは……もしかしたら僕達も動く必要があるかも知れません。」

太刀風「それならもう既に成川先輩が三門市で調べているようだ。報告を待とう。」

春日「すいません。ハリケーンマスク先輩。」

太刀風「拙者らの事よりもお主は己の回復に集中しろ。」

春日「はい。」

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その頃

漫画喫茶で好きな漫画を読みながら飲み物を飲む剣持と小夜子。

「所でさっきの都市伝説はどう思う?」

プロレス技の仕組みに関する本を真剣に読みながら剣持はギャグ漫画を読む小夜子に質問する。さっきから気になっている事があるのか、ギャグ漫画は読んでいるが楽しそうにしていない様子の小夜子は少しずつ喋り始める。

志岐「……私も、オカルト掲示板程度しか知らないんだけど……確かに死んだ家族や友達を見たって言うスレはあった。でも結局は掲示板だし、信憑性が無いに等しいから私信じてなかったんだ。剣持君は?」

「俺は高校の新聞部の資料整理を手伝っている時に新聞部の人達から天使に関する話を聞いていてね。噂の浸透したのは丁度パリに復興の手伝いをしている時期だから……詳しい事はまだ何も知らないんだ……」

志岐「そうか……」

「あの店長の言っていた事に何か疑問になる事でもあるの?」

志岐「うん。プレイターの怪獣災害があった日、東京で天使の格好をした人達……私達映画館に行く前に見たよね。」

志岐の言葉に剣持も思い出す。選挙演説みたく道行く人達に熱弁していた。

「確か内容は……天使は我々を導いてくれる…………天使は我々に永遠の楽園に導いてくれる……天使を信じよって言っていた変な宗教の信者達?」

作り物の天使の翼を背中に付けた白い装束をした連中が言っていた言葉を口にする。

志岐「うん。気になるのは……その後に続く言葉……頻繁する怪獣も宇宙人達も被害も……そして……」

「死んだあなた方の愛した人すら……天使の御力でこの世に蘇る。」

志岐「喫茶店の店長さんが言っていた故人の目撃情報の噂と東京に居た天使の信者が言っていた言葉って……これって只の偶然?」

「噂の正体が分からないから何とも言えないな……信者の言葉だけなら怪しい宗教の勧誘文句と聞き流すだけで良いんだが…」

志岐「何か気になるの?」

「…………亡くなった大切な人に会いたい人達に何人か心当たりがあるだけだよ。ボーダー関連なら特に……」

志岐「……そうだね。私の組織は家族を殺されて入隊した人達もいるんだもんね。」

志岐「剣持君は御両親に会いたい?」

「そりゃ………僕だって会いたいけど………どんなに望んでも其れは………叶わない願いだよ。」

僕は小夜子にそう言う物の……生きている人なら誰もが、一度は考える死後の事……生物学や科学的な見方をするなら、春の季節に陽の光を浴びる青々とした若葉がやがて秋の季節で茶色の枯れ葉に変わるのと同じように……寿命による生命活動を停止してやがて腐り朽ちて其処に有ったかすら分からないくらいに痕跡すら残らずに無に還る。生まれ変わりの輪廻転生と言う曖昧なインドの哲学を実証する物も存在しない現実。でも一方で人は、実在しない虚構が存在はあると考えを夢想する。……………もし、亡くなった人にもう一度逢えるなら、それを可能にする超常の力を持つ物が存在するのなら……僕は、其れと対面した時、どうするのだろうか…

志岐「………大丈夫?」

気が付くと目の前にいる志岐さんが心配そう表情で僕を見ていた。

「……大丈夫。変な心配させてゴメン。」

志岐「……うん。」

「もう少しだけ漫画を読もうね。」

志岐「……うん!」

(………何だ?この具体性のない得体の知れない感覚は……俺の中の本能と勘が激しく警告を知らせている。)

志岐さんの前には何時も通り接している物の……カフェブラックスターの店長の言っていた言葉が酷く気掛かりになる夢想とベム。

(後で違う視点から調べてみよう。……何だか染井さん達が心配だ……。)

マスター神父『もし詳しい話がしたいならカフェブラックスター2号店で会おう。』

(あの店長から念の為に話を聞こう。俺達は余りにも情報が知らな過ぎる。……このプロレス技使えそうだな。)

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とある火山地帯の内部にて

山脈のような山形の身体に頭頂部に4つの目と巨大な口を持ち小さな手足(それでも80㍍の生物を捕らえられる大きさ)更に巨大な口には人間の赤ん坊に似た顔についた舌を持つ醜悪な見た目をした宇宙怪獣達の親玉と向き合うブラックワン。

 

キングファマーディ「一体何のようだ?ブラックワン。」

身長256㍍ 体重65万5035㌧の巨体で此方を見下ろすもブラックワンは見上げながら至って冷静にファマーディと向き合う。

 

ブラックワン「何、直接顔を合わせるのは、久しぶりだからな……私が来た時も、参謀のキリキリに任せて余り姿を見せなかった訳がコレか?人間達に気付かれる事なく随分と深く掘った物だな……」

ゾークロンの円盤内部にはキリキリと僅かな手勢の者達しかいなくて、では残った大半は何処に行ったのか調べている内に此処に辿りついた。溶岩の流れる火山地帯を念力で操作出来ない限りこの場所に辿りつく事が出来ない。

 

それは火山をカモフラージュにした巨大なサイズ地下要塞で所狭しとエイリアンの技術が使われている。

ブラックワン「ネクスト・シングは、本格的にこの星を侵略する予定のようだな。」

要塞建設の様子を眺めてからネクスト・シングの王と向き合う傭兵団団長。

キングファマーディ「侵略するのに邪魔者はちと多いが全て消し去ってくれる。」自信満々に答えるのは、自意識過剰ではなく

ブラックワン(薄々分かっていた事だが、キングファマーディとドン・ゾークロンは目的がやはり違うようだ………)

キングファマーディ「貴様も邪魔をするなら容赦はしないぞ。」

ブラックワン「ふっ……元より私はこの星を欲しいと思った事はない。私は私のやりたいように動く。貴様も貴様のしたいように動けば良い……」

ブラックワンはキングファマーディから背を向けてその場を後にする。

ブラックワン(さて此処の顔合わせは終わった………次はメルニアが言っていた我々を邪魔する可能性の高い"天使"の正体を掴むとするか……)

東京の路地裏に瞬間移動したブラックワンは本来の姿から人の姿に変化し信頼出来るアインヘリアル5勇士の一人に連絡をする。

ブラックワン「ゴメル。聞こえるか?」

ゴメル《我が主。お待ちしておりました。例の天使の噂ですね……》

ブラックワン「その天使共。我々と銀河連邦達との戦いの邪魔になりそうだ。手段は問わん。詳しい情報を集めてくれ。」

ゴメル《ほぅ〜〜貴方様がそう答えるとは……例の天使達に同情を覚えますねぇ。》

ブラックワン「………一度しか問わんぞ。ゴメルよ。その天使共は貴様が招き入れたのではないか?」

ブラックワンの言葉により一瞬で周囲の空気が重く冷たく豹変する。恐らく通信をしているゴメルの周囲も同じ状況の筈なのに……聞こえてきたのは、楽しそうに震えるゴメルが纏うローブが揺れる音と愉快げな嗤い声であった。

ゴメル《クカカカカ………確かに私好みの行動をしている連中のようですが、ハッキリと答えるなら、一連の噂に私は無関係です。》

ブラックワン「その答えは?」

ゴメル《勿論………クカカカッ……これは失礼。シンプルに貴方様の怒りを進んで買う事はしたくないからですよ。仮に招き入れるなら策も幾つか与えるでしょうが、どうも……個人的に調べて見ると人間の神話や聖書と言う読み物に登場する御使いの天使達と違い……巷の天使達は周囲から注目を集めたい……認められたいと……自己の顕示欲が人間以上に高い連中のようですな。………クカカカッ…》

通信機ごしに嗤いと共にゴメルのローブが震える音が聞こえブラックワンは食えない奴と言う言葉を口に出す事はせずにゴメルを評価する。ゴメル自身……己が疑われる可能性を考えて、無関係を証明する為に予め天使達の情報を集めていたようだ。

ゴメル《天使の姿を借りた者共の情報収集任務。このゴメル。喜んで集めさせて貰います。》

そう丁寧な返事と共にゴメルの通信は切れる。

ブラックワン「……………さて、悪いが"影"のお前にも天使殲滅を手伝って貰うぞ。」

情報収集に余念のないゴメルの連絡を終えて視線を路地裏の奥の影に潜むサイボーグ格闘士に向けて言うと、

その姿の全貌をブラックワンの前に表す事もなく暗い影から頭を深々と下げてブラックワンから気配を離して行く。

ブラックワン「では私も動こうか……」

瞬間移動の魔法と共に路地裏からブラックワンも姿を消す。

 

 

剣持と志岐達がカフェブラックスター2号店の店長をしているマスター神父に聞いた既に亡くなった人の目撃情報は、普通では考えられない怪奇案件を調査する『お化け屋敷』の面々にも既に報告を受けていた。しかし……既に亡くなった人の墓を調査の為においそれと暴く訳にはいかない。今回は非常にデリケートな問題の為に大々的に動けなかった。故人を目撃した人から当時の状況を聞き込みするも思ったような有力な手掛かりは手に入らなかった。

 

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志岐さんを自宅へ送り夢想は一人、死人還りの噂が酷く気になってしまい詳しい情報を知る為にカフェブラックスター2号店へ向かう。

その道中、歩道を進んでいた剣持は再び天使の格好をした集団を目撃し得体の知れなさが増して急いで目的地に向かうのであった。

同時刻 地底基地ヘリオンの隠れ家の一つ。

長い時間来客用のソファーに座る少年は慎重に目の前にいる人達に事情を漸く話し終えた。

鏡「……以上が俺が分かっている内容です。これより詳細な情報が無いのは申し訳ありません。埠総司令官。」

自分の事についての話を話しているのに、その心は戸惑いと迷いが混ざった表情で向かい側にいる人物を見ている。

埠「否、拓也君。此方こそ君の秘密を教えてくれてありがとう。」

ヘリオンの総司令官で共に現場の最前線に出てガイラットの野望を打ち砕く為に戦ってくれる上司は鏡拓也の秘密を知っても変わらない態度であった。

鏡「もっと驚いてくれて良いんですよ?」

埠「心配しなくても、充分驚いているさ。」

鏡「本当ですか?」軽く疑う拓也。

埠「本当だとも。」あっさりと答える司令官。

鏡「にしては思った反応が薄いと言うか何と言うか……」

埠「サイボーグに超能力者と言ったヒーロー達を抱えているから君が二次元人と地球人のハーフでも近界民でも拓也自身には変わらないだろ。」

鏡「……確かに、俺はミラーマンになれるだけですけど結局は俺は他の誰でもない鏡拓也なんですよね。」少しずつ安心した表情になり何時もの調子を取り戻す拓也。

埠「……そう言う事だ。さて……埠信玄個人の話は此処までにして総司令官として言う。」

姿勢をキチンとする拓也。

埠「知っている通り、私達の相手は世界征服を企むガイラットであって怪獣ではない。」

鏡「はい。」

巨大化可能のミラーマンなら同じ巨大怪獣と戦える物の…埠さんを始めガイラットと戦うヘリオンは一部のヒーロー達を除くと殆どは銃火器を扱えるが生身の人達だ。実際、無謀にも四国の鳴門海峡の青い怪獣相手に人工翼のウィングパック型フライトスーツ装備した状態に銃火器のステアーSPPサブマシンガンで挑むも、ダメージらしいダメージも与えられなかった。怪獣を想定した装備でもなかったから寧ろ生還したのが奇跡だと思っている。

埠「よって我々は君がミラーマンになって怪獣と戦っても手助けする事は出来ない。」

鏡「……わかっています。」

甲斐馬「まぁ、ヘリオンに所属している人間の中には怪人達によって友達や家族を殺されたりした人達もいる。そんな人達に全く関係ない怪獣退治を手伝って貰うのは流石に虫が良過ぎる話だな。」

鏡「隼人さん。」

甲斐馬「……その顔だと薄々わかっていたんだな。」

鏡「………自分が所属している組織の方針と戦う相手は知っていますからね。……かけ離れている事も……」

甲斐馬「……でもかなりショックを受けている。」

鏡「人の頭と心の中を超能力で覗くのはやめて下さい。はぁ~〜」

埠「……すまない。」

鏡「いえ、此方こそ俺が普通の人間じゃないのにこのヘリオンに置いてくれて寧ろ感謝しています。」

甲斐馬「これからどうするつもりだ?」

 

鏡「……急に何かが変わる訳じゃないですよ。大きな隠し事が一つ増えるだけ何ですから」

埠「……違いない。だが勝てない相手に挑むのは義務でも使命でない事は忘れないでくれ。」

自分達は普通の人間より強い力や武器を持つ改造人間に戦いを挑みいつ死んでもおかしくない。敵の作戦阻止の為に親しくなった仲間もこの数ヶ月で何人も亡くなった。

鏡「……忘れませんよ。俺自身……死にかけたんですから……」

鏡(でも……見て見ぬフリも出来ないんです。)

自分に何が出来るのだろう……そう考えながら毎日模索している拓也はふと天井を眺める。

 

 

 

 

 

同時刻 黒野の屋敷…真琴の部屋にて

美術館での部活動を終えて自宅に帰宅した後に友達である志岐小夜子から連絡がくる。天使の信奉する連中に関する事とカフェブラックスターの店長が言っていた故人の目撃する都市伝説の内容についてだ。

真琴「……分かった。私なりに色々と調べたら剣持君に伝えるよ。」

真琴(遂に剣持君が動き出したか……)

志岐《ごめんなさい。真琴先輩。》

真琴「気にしないでよ。私達の仲でしょ。……それよりも、今回の怪奇案件……怪獣でも宇宙人の仕業じゃないよ。」

志岐《?どうして……言い切れるんですか?》

真琴「連中の狙いは2つ…一つは多分、自分達を認め崇め讃える状況を作り出し別次元にいる同族をこの世界に招き入れる事……もう一つは……自分達はレッドマンより優れていると人間達に証明する事…」

志岐「じゃあ、狙いは剣持君って事ですか?」

真琴「詳しい事は後で教える。前に家に遊びに来た時にボイスチャットの設定したこと覚えている?」

志岐《うん。あのメカドラゴンが三門市に姿を見せた時だよね。》

真琴「超機獣のメタルダイナスとバトルダイナスね。間違えないでよ。」目を細め声のトーンが恐ろしく低くなる。

志岐《あっ、すいません。》素で地雷を踏んだと錯覚し秒で謝る小夜子。それなりに交流して特定の怪獣の名前を間違えて使うと今のようなサイコパスのような真琴先輩が姿を現す。

真琴「取り敢えず、私が連絡したら私のPCに繋げて……今回の怪奇案件並びに敵について教えるから……」

志岐「あっ、はい。」

 

 

 

 

同時刻 路地裏にて……

謎の少年「見つけたぞ。間罪無。」

ハザマ「っ!!…………何だお前らか。どうして三門市に?」巡回中の私服警官かと思って警戒していたら知ってる二人で警戒心を軽くするイノセンスマン。

謎の少女「どうも。東京が怪獣災害で復興中ですから此方を活動区域にする事になりました。今後ともご贔屓に…」

ハザマ「……そうか。」

ハザマは路地裏から視線を移すと天使の格好をした信者達を見掛ける。

ハザマ「別の次元から妙な奴らが暗躍しているようだ。」

信者達に怪しみながら見る罪無に謎の少女は尋ねる。

謎の少女「何者なんですか?」

ハザマ「分からん。だが俺達と相容れない存在だ……」

謎の少女「貴方がそう言うなら嘘ではないのですね。」

ハザマ「指名手配の男の言葉を信じるのか?」

謎の少女「……街に嫌な音が流れているんです。」

ハザマ「嫌な音?」

謎の少女「人の心の中にある悲しみを穿るような嫌な音が……だからあなたが何か詳しい情報を持っているならレッドマンのお兄さんに伝えようと探していたんです。」

ハザマ「……そうか。わざわざ東京から三門市に来てくれて悪いが俺もまだ首謀者について殆ど分かっていない。」

正直に言うなら警戒心は上げる存在がいるが、銀河連邦のヒーロー達にとっては関係は無い……対岸の火事案件なのだ。剣持が所属する組織や剣持達は動く必要はあるが、指名手配中の自分にとってはどうでも良い事だ……しかし目の前の二人の少年少女はこの怪事件に首を突っ込むつもりらしい。フレイム仮面のような正義感で動いていると言うより……それが自分達のやるべき事のように……平和を守る為に動いているんだろうな。

 

 

謎の少年「俺はどうしたら良い?」

ハザマ「まだ連中に関して何が目的か分からない。お前は待てだ。」

謎の少年「…分かった。」

謎の少女「何を待つんですか?」

ハザマ「向こうが自分から姿を現したら動けば良い。……移動するぞ。」

三人の姿は路地裏から消える。

 

カフェブラックスター2号店は現在貸し切り中で……

 

【カランカラン。】

店の扉が開く音に一瞬警戒の視線を向けるテンガロンハットを被る青年と神父。

「あの〜?お邪魔して大丈夫ですか?」

(誰のバイクだろう……)店の前に駐車しているバイクに視線を向けながら中に入ってきた夢想の姿を一目見て警戒を解く二人。

マスター神父「来たか。少年。コーヒーでも飲むか?」

「いえ、今回は例の故人の目撃についての詳しい話を聞きに来たんです。」

思えば、剣持夢想は喫茶店のマスターとそんなに深い関係ではない。マスターの方も剣持はバイトをしている黒野真琴の後輩くらいしか接点がないから個人として向き合うのは、ある意味今回が初めてなのだ。

マスター神父「……なら俺よりこの男の方が知っているだろう。」

 

「貴方は?」

特徴的な赤と白のギターに黒いテンガロンハット、茶色の革ジャケットに赤いシャツを着て指抜きグローブを両手につけ首に白いマフラーを巻いたクールな雰囲気の青年がコーヒーを飲み終えて此方の方に向く。

風真「やぁ、俺の名は風真(ふうま) 健四郎。職業は私立探偵をしている。宜しく。」

「剣持夢想です。よろしくお願いします。」

俺はテンガロンハットを被った青年と向き合い互いに握手して

剣持は早速此処に来た理由である故人の目撃について健に尋ねる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔推奨BGM Lounge Music[M―46]〕

「死人還り?」

客のいないカフェブラックスター内でレコードに流れる心地よいジャズのメロディの中で……夢想はホットケーキとココアを頂きながら風真探偵の話を聞く。

風真「あぁ。死んだ人間が遺族に会っていたって言う話が、あちこちで噂になっているんだ。」

マスター神父「……俺が三門市にわざわざこの探偵を呼び寄せたのは、死人還りと同じ時期に増えている天使を崇める信者達をまとめている首謀者の捜索依頼したのもある。」

「信者って……!?あの街に見掛ける天使の格好をした人達!?」

夢想も思い当たるのがあるのか声を出し、風真も静かに首を縦に振る。

風真「三門市を始め各地の空に現れる天使を偶像崇拝……目に見えるアイドルにファンが集まるように先導した首謀者……二人組の預言者を名乗る男が死人還りに関する噂を流しているらしい。」

 

偶像崇拝……信仰対象を目に見えて分かり易くする事で、信仰対象を捉え安く信者を集めやすい手段の一つ……日本で言う数多の仏像関連やお地蔵様に当たる。

「預言者とか言う容疑者がいるのだったら、ソレを警察関係者に教えれば!?」

マスター神父「……もうとっくに教えている。」

「えっ!?」

風真「警察関係者達が、必死に預言者の二人組を捜索して追い詰めても必ず逃げられて見失う………今日まで2桁に及ぶ潜伏先を推理して捕捉し警察と連携して出動させたが、姿は消しては姿を現してまるで影法師を追い掛けているみたいだ。」

マスター神父「それでもこいつは居場所の特定を絶対に外していない辺り日本一を名乗るだけはあるんだよな。」

風真「褒めてくれるのは良いけど容疑者を逮捕出来てないから今の俺の心境は怪盗キッドに毎回逃げられるコナンの気分だよ。」

マスター神父「だからこそ今回の預言者捜索依頼に応じてくれたんだろう。煮え湯を飲まされ続けた仕返しも兼ねて……」

風真「毎度逃げられた事に腹立つのは隠さないが、死んだ人の気持ちの整理が付いた人の心を悪戯に惑わす奴らが許せないだけだ。」

マスター神父「相手は明らかに普通とは違う一筋縄にいかない奴らだ。少年。もし預言者か天使降臨現象に関係する女を見掛けたら俺達に教えてくれ。」

風真「女って?何の事だよ。マスター。」

どうやら探偵さんも知らないらしい……

マスター神父「今日お前に会う直前まで美術館の天使と神々の個展にいた知り合いの教会の修道服の格好をしたシスターだ。」

「……じゃあ、まずはその女性が勤めている教会関連を探せば…」

剣持の提案にマスターは首を左右に振り

マスター神父「手掛かりの女は俺の知り合いの教会の女性用の修道服を勝手に奪っている。だから教会関連を調べても足はつかないだろ。」

「なら一体どうしたら……」

何処の誰かも分からない女性をこの三門市で探すなんて…

マスター「問題無い……。」

マスターは、夢想と風真にある似顔絵を見せる。

風真「似顔絵モンタージュか……中々美人なシスターだな。」

マスター神父「頭巾(ウィンプル)で頭が隠れているせいで髪の色や長さは分からない。」

風真「手掛かりにしては少し心許ないが、やるしかないな。狙いはどうあれ、……探すしかない。剣持少年もこの女性を目撃したら教えてくれ。」

「……はい。」

マスター神父「個人的な考えだが……シスターが言っていた天使と神は言葉通りの意味と全然違う意味があるのかも知れない………」

「全然違う意味?」

マスター神父「何となく……何かのヒントになるかも知れないから二人とも頭の片隅に入れておいてくれ。」

風真「これ俺の連絡先だ。何か情報があったら教えてくれよ。」

そう言い俺達は連絡先を交換して探偵の風真さんは特徴的な赤と白のギターをギターケースにしまい店を後にする。

「ギターリストでも無いのに……探偵仕事にあのギターって必要なんですか?」

マスター神父「あれを普通のギターと思っていると度肝を抜くぞ。」

「えっ?」

窓から見えた風真さんは黒いテンガロンハットからバイクのヘルメットを被り自前のバイクに跨りエンジンを掛けて調査に向かう。

(バイクが似合う人だな……カッコいい。)

と軽い感想を覚えながら取り敢えず剣持は似顔絵モンタージュを貰いホットケーキとココアを味わい店を出るのだった。

 

「………。」

天使を信仰する謎の信者達……そして死人還りの噂……一件何も接点の無いと見えるこの2つ……どちらもキリスト教に関連する事と言うのは剣持とベムは薄々分かっていた……エルサレムの丘通称ゴルゴダ(呼び方は他にも色々あるが総じて頭蓋骨しゃれこうべや髑髏の意味らしい)の丘にてキリストは十字架に磔刑にされて死亡して暫くして蘇ったらしい……

場面は只一人になったカフェブラックスター2号店に変わり

マスター神父「……。」

店のマスターは黙々と自分の聖書に目を通す。

マスター神父(今回の騒ぎ…共通するキーワードは天使や蘇生と言ったキリスト教関連……キリストの奇跡は幾つかある。まずは水を葡萄酒に変えた事、次に自然に対する奇跡…大漁の魚を網に捕まえさせたり、嵐を静まらせ、イチジクの木を自らの意思に枯れ木させた……病や悪霊に憑依された者達を癒やす。人の罪を赦す……死者を蘇らせる……)

店長は試し自室のノートパソコンを起動させて幾つかのキーワードをネットに打ち検索する。そして……

【天使が出現した都市の病院にいる治療不可能の大病患者の完治……天使の奇跡か!?】死人還りの噂に隠れていた突然の異常現象について色々と載っていて店長はそれらを見続けながら調べる。

マスター神父(……遥か昔の聖書なんて幾らでも改ざんは可能だ……歴史は人が造る。どのみち確かめる手段はない。うん?)

【真夜中の病院内にて宙に浮いた3㍍蒼くぼんやりした人影を目撃!?遂に幽霊の存在は確認されたか!?】

マスター神父「何だ?只の心霊関連か……」

マスター神父は反応の困った表情をしながら他のキーワードをネットに打ち込み少しでも情報を集める。

 

場面は剣持夢想に戻り……

「この人なんですけど……」

諏訪「う〜〜ん。すまねぇな。見てねぇ。」

「そうですか。」

ボーダー本部にいる知り合いの部隊の隊長さんや

「この女性何だけど……」

帯島「いいえ。見ていません。」

「そうですか。すいません。邪魔しちゃって。」

帯島「いえ…」

友達と談話していた帯島少年に件のシスターについて目撃していないか尋ねるも空振りになる。既に三門市のあちこち歩きながら遭遇した穂刈先輩、犬飼先輩、イコさん達や荒船隊長と村上先輩に、東隊長と小荒井先輩達にも目撃したか聞き込みをするも見ていないと答えが返ってきた。

気配が普通の人間並みだとドングリの背くらべと同じで区別を作るのが難しく探知能力が余り意味をなさない。地道に周辺の音を拾い集めて怪しい音を探しているが、それも意味をなさない。

「……やっぱり人口28万人の中から特定の人間を探すのは難しいよな。」

(ボーダーの人間の場合、正隊員や隊長達は普通の人より気配に変化があるしそれぞれの個性がある…使うトリガーで戦っているおかげで一般人より分かり易い……。逆にオペレーターやエンジニアの人達の気配は残念だが普通の人と同じレベルで此方が気配を覚えないと把握が難しい……)

会った事のない人間の気配を特定するのに夢想とベムはかなり苦戦していた。

(……怪獣なら凄く分かり易いのに……)

何故剣持が一人歩きながら砂漠の何処かにある砂金を探すような地道な行動を続けているのは、今回の天使と死人還りが他人事ではないと考えていたからだ。

??「ほぅ珍しく人を探しているのか?ベム。」

背後から突然聞こえたもう一つの自分の名前と気配に反応し無表情から一瞬で警戒の表情になり振り向くと同時に後ろにいる相手に向かって本気の鉄拳を放つもあっさりとその拳を受け止められて掴んだ相手に向け睨みつける剣持。

??「不安な気持ちが丸見えだぞ……剣持夢想。」

相手は簡単に剣持の拳を離して自然体で向き合うも剣持は敵意を隠さずに警戒を最大にする。

「何故お前が此処にいる!?」

(ブラックワン!!)

??「この姿の時は黒一と呼んでくれ。剣持夢想。」

黒地に青のスマートなスーツを着用した宿敵と向き合う剣持に男性……黒一は言う。

黒一「今日は銀河連邦と貴様に戦いを挑むつもりはない……お前との戦いは全力でしたいからな。」

「……。」

黒一「さて………。っ!」

剣持を見ていた黒一は突然、剣持とは関係ない方向に視線を向ける。

黒一「……。」

無意識だがブラックワンは怒りの表情を見せるが、剣持は同じ方向へ視線を向けるも何かブラックワンの怒るような物は見えない……

黒一「剣持夢想。」

「……何しに三門市に来たかは知らないが……残念だが今の俺にはお前に用はない。」

本当なら戦うなり、銀河連邦の仲間達に報告したりすれば良いのに剣持はブラックワンを無視して立ち去ろうとしていた。

黒一「……天使と呼ばれる虚構にこの妙な馬鹿騒ぎの陰で糸を引く人間を調べているのだろう……」

相手の思考や心を読む念話を持つブラックワンはレッドマンの思考を簡単に読まれてしまう。戦略や戦術や行動パターンや習性……機密情報や極秘情報は勿論、果ては人に言えない恥ずかしい秘密や黒歴史すらも赤裸々に一方的にバレる為にかなりボーダー……いや、対戦相手としては厄介なのである。そして姑息な搦め手よりも悪役らしい戦い方を得意とする為に多芸にして多才だ

「人の心を勝手に見透かすな…………何故俺に話し掛ける?」

虫ケラっと人を見下す言動をするが実際は思考や心を読みつつ一切油断しない慎重な男が今自分にどうして接触する。

黒一「天使と呼ばれる連中……………どうやら、私達傭兵団ブラックミストと銀河連邦……双方の目的の障害になる可能性がある……何より私とお前……目的の相手は同じ可能性が高い……」

「まだ俺の探し人が本当に預言者達の関係者かも分からないんだ……近いが別件の線だってある……」

黒一「……少なくても相手は人間の潜在的に持つ深層心理や宗教感に詳しい……性格は私もお前も好かない性格だと見て間違いないだろう。」

「忠告か?」

黒一「私と手を組まないか?剣持夢想。」

「なっ!」

ブラックワン……黒一の突然の提案に無表情の仮面が崩れる剣持。

「俺が……お前と!?」

黒一「少なくても私とは知らない仲ではないだろう……互いに能力は知って、性格も知っている……今回の連中を一網打尽にするなら私達は手を組んだ方がより確実に目的を達成出来る。」

「……断る。何を狙っているか知らないがお前とは手は組まない。勝手に何処にでも行ってくれ。」

黒一「そうか。残念だ。」

その時、剣持のスマートフォンにメールの着信音が鳴る。

「?」

何気なく確認すると剣持の無表情に真剣味が増す。

【剣持くんへ もし急ぎの用事が無いのなら折り入ってご相談したい事があります。ボーダーの寮の私の部屋に来てくれませんか?】

「……。」

剣持は少し考えてシスターの女性を探すのを一旦辞め友達の元へ向かう事にする。

(俺達の思い過ごしだと良いんだが……)

カフェブラックスター2号店のマスターと探偵さんの言っていた死人還りの噂が脳裏を掠めて剣持は急ぎ染井の元へ走る。両親達を亡くした彼女が死人還りの被害にあってるかも知れない不安が大きくなり剣持の足を速くする。

黒一「…………。」

そんな不安の顔をする剣持の黒一は勝手に後を追い掛けて行く。

 

 

《三門市ミステリーツアー……ラジオネーム幽霊大好きさんから……僕は遂に幽霊を目撃しました!蒼くぼんやりした人影を!?あれは間違いなく幽霊です。怖いです!?助けて〜〜またまたきました!恐怖の目撃情報!?本当に多いね!?どんだけこの街、怪人や幽霊に好かれているの!?次の質問です。ラジオネームお坊サーンXさんから、僕が聞いた噂は怖いですよ。何と!?あちこちで死人が蘇っているのです!!助けて〜ヒーロー!!ご先祖様お盆にはまだ早いよ!?では気分を変えて次のコーナー》

 

染井「……。」

染井は気分転換にラジオを聞いたつもりだが気分はちっとも晴れない為に諦めの気持ちを抱えたままラジオの電源を切る。

突然インターホンの音が鳴り染井が一瞬ビックリして室内から外側の様子をドアスコープで確認する。

「……何でついてきたんだ?」

黒一「私の知っているお前の今の友人関係が純粋に興味が出た……其れだけだ。必要以外は黙っているからそんな疑いの目を向けるな。」

「疑いじゃない。完全に部外者を見る目だよ。」

部外者を見るような目を隣にいる男に向けるも本人は涼しい顔で受け流す。

「帰れ。もしくは他所で情報収集してこい。」

黒一「隠すな。友達の家に来てしまった事に緊張しているのが丸分かりだ。もっと冷静沈着になれ…」

「むっ。余計なお世話だ」

染井(あの人……)

以前、東京の駅で葉子達と一緒に会った男性だ。

此方からの反応が無いせいか、剣持君は少し焦りを見せた表情をする。染井はドアチェーンを外そうと手を近付けようとするも

黒一「落ち着け、お前の友達は室内に無事に居る。」

染井「っ!?」まるで此方の全てが見透かされたような発言に一瞬身体の動きが止まる。

「お願いだから必要以外黙っていろ。染井さん。剣持です。メールを見て急いで来ました。」

染井「……………。」

華は少し考えて二人を部屋に招く事にした。今回の相談は普通の友人達では相談し難い内容だから……

 

 

 

染井「……お茶をどうぞ。」

「すいません。」

出されたお茶をゆっくりと飲む剣持と無言の黒一。

互いに向き合いながら華は最初から気になった事を剣持に単刀直入に尋ねる事にする

染井「剣持君。隣にいる人は?」

「ヒューマノイドタイプに変身した敵性宇宙人ですよ。でも勝手についてきたんですよ。」間髪入れずに答えて視線を隣に座る黒一に向ける。

黒一「……。」

染井「…………大丈夫なの?」

「…心配するな。弱い者虐めや卑怯な戦術は嫌いなタイプの敵だから……安心してくれ。」

染井(安心?する所あるのかしら?)

「所で俺に相談事って?香取隊の皆に話しにくい内容なんですか?」俺と染井さんは出来るだけ接触は必要最低限にするのが暗黙の境界になっている関係だ。ボーダーに言われのない疑いを掛けられるの阻止する意味でも…

染井「……そうね。葉子達は何も悪くないけど部隊の皆に話して解決出来るか分からないわね。」無意識に震える彼女を見てまるで何かに怯えている事を気付く剣持と黒一。

黒一「ゆっくりで良い……君の友人の剣持夢想に話してやってくれ。」

「……。」

安心させるように言う黒一に複雑な表情を見せる剣持。その二人を見てゆっくりと深呼吸をして話し始める。

染井「……人を探して欲しいの。剣持君の超能力とかで……」

「人を?…警察や探偵とか人探しに長けた職業の人達に頼むのではなく……」

染井「剣持君。その……変に聞こえるかも知れないのだけど…私が探したいのは……普通の人じゃないの。」

「普通の人じゃない?」

眼鏡の奥の瞳が見えない彼女は言い難いのか何度も迷う表情を俺達に見せながら意を決してゆっくりと探し人の名を出す。

染井「………私の両親を…」

俯く彼女の口に出た言葉に俺は素直に疑問の声を出す。

「えっ?」

黒一「………。」

染井「………。」

【………………………………………………………………】

彼女の言葉と共に部屋の空気が一気に冷たく変わり、何故亡くなった両親を探して欲しいのか?どうして今になって……

「染井さんの両親って3年前の大規模侵攻でお亡くなった……」

無表情の剣持が少しずつ目を大きく見開かせて疑問を染井さんに言う。

染井「うん。そう。亡くなった……でも……私の両親を見たのは5日前に下校してから寮に向かう途中で見掛けたの。」その時の事を思い出している華を信じられない顔で見る剣持。

「……他人の空似とかは?」

染井「………私も最初はそう思ったの。でもそれから私の周りに姿を見せるの。」

人混みに紛れて姿を見せた自分の父親や母親の後を必死に追い掛けた事もあるが、幻を追い掛けているかのようにまるで追い付けない。

「幽霊を探せって事なのかい?」明らかに普通の出来事ではない。『お化け屋敷』が担当するような内容だ。

黒一「御両親の遺体と対面した事は?」

染井「大規模侵攻の時、私と両親は二階建ての自宅にいて私が二階にいて一階には両親が侵攻の際に自宅は瓦礫となったけど……

私の居る二階は比較的瓦礫が少なかったから外に出られたの。両親は……瓦礫と化した自宅で圧死した……」ゆっくりと当時の状況を話してくれる染井さんを剣持は安心させる為にゆっくりと手を重ねる。

染井「あっ……」

黒一「3年前に死んだ死者が生き返る……そんな事有り得ないな。」

「……本格的に調べて見る必要があるな。」

黒一「なら決まりだな。染井華さん。早速調べる為に剣持夢想を借りて行くぞ。」

剣持の方を見て黒一も行動に移す。

「おい。俺は物じゃないし、染井さんの物でもないぞ。」

染井「…どうぞ。」

染井(……仲が良い兄弟みたい…)本人に言ったら猛反発しそうな事を考えながら返事をする華。心なしか剣持と黒一のやり取りが少し面白いのか笑みを浮かべている。

「ちょっ!染井さん。第一、黒一お前には関係ない話だろ。」

黒一「彼女が天使関連と死人還り関連に遭遇している時点で私にとっては敵を探し理由になるんだ。置いていくぞ。」

「あっ、もう待て!?」

二人は染井の部屋を後にする。

 

 

 

【染井さんは両親が亡くなってから今日まで1人で親友の香取さん達に支えながら健気に頑張って前を向いて歩んできた……僕は正直不本意だがブラックワンと一時的に共闘関係を築き彼女が見た故人の幽霊の正体を突き止めてやりたいと思った。ソレに彼女には、僕らのせいでマキシボーン山や奥多摩ニュータウン等の怪獣災害に巻き込んでしまった負い目もあった。そしてその故人が他人の空似か何かであっても何よりも実の両親の姿に震えていた彼女の心を安心させたかったんだ。………だが調べている内に予想外の事が分かってきた……】

 

 

「………染井さんの両親も死人還りなのか?」

黒一「当人が遺体と対面したのは間違いない。生存する状況でなかったのは瓦礫から遺体を発見した染井華以外の人間達が証明する。余程の奇跡でも無い限り死者が生き返る事はない。」

「それは…そうだが……」

目の前で亡くなった兄の最後の姿が脳裏を過ぎり憑依された宇宙人によって動かされている死体である自分が当に蘇生したに当て嵌らないのは一番分かっている。

「だがどうしても気になるんだ……どうしてこんな死人還りの噂があちこちに流れているのか。どうして染井さんの前にも故人が姿を現しているのか……何か理由があると思うんだ。」

黒一「………他に何か噂に関する事は分かっているのか?」

「死人還りは故人に縁のある場所に起きると言う噂だ。」

光影「剣持。何処へ行くつもりだ?」

「故人が必ず最後に向かう場所。染井さんに事前に教えてくれた

墓地のある寺に行くんだよ。」

黒一「………………っ!?」

「どうした?黒一。」

突然足を止めた黒一が気になり黒一が見ている方向に視線を向けるも、特に変な物がある訳ではない。

黒一「いや、何でも無い……」

険しい眼つきになった黒一は返事をして剣持は気になるも、染井さんの両親が眠るお墓のある墓地へ向かう。

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黒一「この国は土葬ではなく火葬しかも骨の全てを骨壺に入れる決まりがあるんだ。やはり死者が蘇る事など不可能だ…」

「詰まったな。」

尼「死人還り……その噂、知ってますわ。」

尼「非常に不愉快ですわね。死とは…………人間にとって厳粛な絶対な瞬間なのに……」

「ですよね。失礼しました。」

黒一「……。」

剣持と黒一は寺から一度離れる。

剣持は次に警戒区域近くへ向かう。染井さんと香取さんの前の家の有った土地に何か手掛かりになる物がないか気になるのだった。

警戒区域近くへ向かう途中、何気なく視線を向けると驚きの表情を向ける。

黒一「どうした?剣持。」

「……見つけた。」

二人の視線の先に一組の男女がある場所へ向かう途中剣持と目が合う。

黒一「あの二人が?」

黒一(この気配……)

「間違いない……染井さんの両親だ。追い掛けよう。」

必死な表情になる剣持は自分達の向かう道とは反対の道へ向かった染井さんの両親の後を追う。

黒一「……待て剣持っ!」

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〔推奨BGM デンジャー・ゾーン[Mー66]〕

染井さんの言っていた通り全力で走った筈なのに染井さんの両親には何故か追い付けず気が付くと何処かの高架下のトンネルに来てしまう。

「何処へ行った?おばさん!?おじさん!?僕です。剣持夢想です。」

姿を完全に晦ました染井さんの両親を探す為にトンネル内部にて声を出すもトンネル内で剣持の声が反響してソレ以外の音は聞こえない。

周囲に気配は感じず染井さんに一応の連絡するか考えている背後から突然気配をわっと感じて取り敢えず振り向くと

預言者「……。」

黒い服装を身に纏った男が自分の背後に立っていた。

「……すいません。」

咄嗟に黒い服を着た男の人にぶつかったと勘違いして謝る剣持。

預言者「……。」

(何だこの人……自分のすぐ後ろに居たのに……どうしてさっきまで僕は気付かなかったんだ?……それに普通の人と何か違う……何処か心此処に在らずな感じだし……一体何だ?)

「あの……さっき此処に二人の夫婦を見掛けませんでした?眼鏡を掛けた男性と…」

一応染井さんの両親について尋ねようとしたが男の背後に蒼いぼんやりした人影が現れる。

「っ!?」

【ピシュイィィィィィィーーーー】

更に背後に何かが横切り急ぎ振り返ると自分の周りに得体の知れない蒼い人影が前触れもなく感じる。

「何だ?」

(っ!!コイツらエーテル体か!?)

すると高架下トンネルの周り蒼いぼんやりした人影が次々と集まってくる……明らかに普通の現象ではない。

【ーーーーッ!?】

無意識にバックステップする剣持。すかさず戦闘態勢を取る。

預言者「……天使に仇なす悪魔よ……地獄に落ちよ!?」

「っ!貴方何者ですか!!」

(気をつけろ!?蒼い実体の無いコイツらは恐らく精神生命体だ!?)

(精神生命体って?もしかして……幽霊!?怖いよ〜)

(馬鹿違うっ!?実物の肉体の無い霊的エネルギーの生命体だよ。)

地球の神智学ではエーテル体は魂の身体とも呼ばれており、人智学では活力体、生気体、生命体、生命力体、形成力体とも呼ばれる……ベムが夢想にエーテル体について説明しようとしていると

【ーーーーッ!?】

蒼く浮いている精神生命体は手を剣持に向けて次々と何かを打ち出す。

「っ!?見えない攻撃!?」

危険を知らせる感覚に従い動くも見えないの攻撃に驚きを覚える夢想。

【ーーーーッ!?】

「またか!?」

(これってもしかして衝撃波!?ってしまった!?)

再びアクロバットな動きと共に回避を繰り返す剣持。 だが回避した先にさっきの黒い服を着た男性が両手を伸ばして剣持の身体を羽交い締めをする。

「ぐぅっ!!離して下さい!?」

預言者「穢れた悪魔よ。美しき天使の聖なる炎を受けるが良い。」後ろから言っている意味が良く分からない男の言葉は兎も角、感じるのは自分に対しての明確な敵意や殺意に警戒心をMAXにする剣持。

(さっきから何言っているんだよこの人!?俺が悪魔!?)

(分からないが不味いのは確かだよ!?)

 

??「……私が知り合いに聞いた天使の外見とは……似ても似つかんな。天使が放つのは衝撃波とは知らなかったぞ……」

預言者「っ!?」

「黒一。」

瞬間移動魔法で剣持の横に音もなく出現し剣持の肩を掴み一瞬で剣持と共に男や蒼いぼんやりした人影達から離れる。

「……ブラックワン。何で助けた……。」

姿勢を低くして呼吸を整えながら隣に立ち畏怖を纏わせる黒一に……ブラックワンに救われた事実に驚きを隠せない事を本人に聞く。

黒一「何を変な事を聞く?今私とお前は一時的に手を組んでいる。…助けて当然だろ。立てるか?」

「立てる!」

黒一「なら一度態勢を整えるぞ。」

「その方が良さそうだ。」

二人は精神生命体と黒服の男のいるトンネルから瞬間移動を使い離脱する。瞬間移動する直前…

少年/キリエル人「……。」

並々ならぬ敵意の視線を剣持達に見せている少年に剣持とブラックワンの二人が気付く直前、その場から姿を消した……

 

 

〔推奨BGM Theme GUTS[Mー23]〕

同じ頃 『お化け屋敷』も死人還りに関して調査をしていた。

作戦指令室の自動ドアが左右に開きロイドとジャック隊員が戻ってくる。

チャールズ「どうだった?」

ロイド「数人の目撃者から事情を聞いている限り生前の姿をした故人が故人に関わっている人の周り姿を見せては姿が消えるばっかりだ。」

アラシ「ソイツは怪しいな。」

ジャック「何人かは、故人の後を必死に追い掛けたんだけど必ず見失ってしまうんだ。」

ホシノ「まるで皆タチの悪い幻影に惑わされているみたいだ。」

アラシ「仮にホシノチーフの言う通り死んだ人を使う幻なら何か共通点でもあるんでしょうか?」

ホシノ「SGMの村上チーフ達からも報告書を貰ったが、過去に人間の死体に憑依して活動をするインベーダーの可能性は低いようだ。」

アラシ「ソイツは何でしょうか?」

ホシノ「過去にSGMと熾烈な戦いをしたインベーダーは総じて光に弱い……其れ故に奴らは特殊な方法を除くとサングラスは常に手放せず、それが一種目印になった。だが目撃者達から聞いている限り……私から見て今回はインベーダーの仕業ではない。」

ロイド「結局は一連の狙いが全く分からない……親しい人達に故人の姿を何故見せる?」

イデ「お盆の予行練習?」

アラシ「にしては冗談にもならないがな………黒野。何か分かったか?」

黒野「残念だが、良い報告はないよ。」

黒野(亡くなった筈の人達、その故人に親しい人達、見掛ける事はあるが対話した情報はない、追い掛けても見失う。見失う?追い掛けられて対話させられると何か不味いのか?亡くなって尚もその人達の事を忘れていない人達を………まるで何かに誘導するように……

黒野は仲間達と考えるも情報がまだ不足している為に真相に到達する事は出来ない。

黒野(科学的に考えれば似た体格の人間の顔を故人の顔に整形し、故人の服装、装飾品を身に着けて故人に縁のある人の前に精神的に追い詰める意味で神出鬼没に動くと考えるが……目撃した人は年齢も職業も共通点は特にない。科学的ではなく超常なオカルト的に考えるにも目的は何だ?………くっ!?)

黒野は思考を続けるも答えは出ず……指令室の出入り口の自動ドアに向かう。

 

アラシ「おい。黒野!何処に行くんだよ!」

 

黒野「死人還りの科学的な捜査は任せる。個人的に相談するのは、少し気が引けるが死人とか故人とかのオカルト関連には、オカルトの専門に尋ねてみます。」

そう言い黒野は指令室を後にする。

アラシ「オカルトの専門って……」アラシは仲間達の方に半信半疑で振り返り

ホシノ「『お化け屋敷』に所属する……心霊学区画にいる超常現象研究家達だろう。」

心当たりのある仲間達は心配する。何せ……個性的な科学者達の多い『お化け屋敷』の科学陣の中で特にイロモノ集団なのだから……

チャールズ「大丈夫かな?黒野……」

ロイド「俺達は俺達で何か手掛かりが分かると良いんだがな。」

チャールズ「着眼点を変えてとか?」

ロイド「故人が出現する兆候とかを調べるのか?この国は火葬だぞ。墓の中から這い出るなんて何処のゾンビ映画だよ。」

チャールズ「そんな分かりやすく目立つ物なら墓地を管理している人達が気付くから……人魂とか火の玉とか忽然と現れて消えるとか……」現実の考えで答えが見つかりにくいなら発想を柔軟にしてありえない妄想や想像する利用し答えを探るチャールズ隊員。

イデ「人の歩く町中で火の玉が浮いているなら別の意味で噂になるよ。」

ホシノ「人の歩かない場所や通路ならどうだ?イデ。三門市の地図を」

イデ「ほい来た…」

ホシノは三門市の全体の3Dマップをメインモニターに移す。

ホシノ「まだ情報は不足しているも、神出鬼没に出現する故人達……故人が出る兆候が必ずある筈だ。」

チャールズ「目撃者の中では人ごみに紛れて見えたが自分以外誰も気付いていなかった証言もある。」

ジャック「特定の人……遺族や故人に関連した人のみに見える現象……人の脳と視界に特殊な方法で幻覚を見せているのか?」

ホシノ「ベックチーフ達に連絡して何人かの目撃者の脳波を調べて貰おう。何かされた痕跡が残っているかも知れない。イデ。各パトロールをしている隊長やチーフ達に連絡を頼む。」

イデ「了解!?」

 

 

 

香取の家 葉子の部屋

親友の様子が何かおかしい……今日の昼ご飯の時も、私を見ているようで私の後ろの"何か"を見ていた気がする……変な頼みも私にする事自体おかしい……

自室でゲームをしていた葉子だが、親友の事が気になって集中出来ない。ゲームのデータをセーブし電源を落として外出用の服に着替える。

香取(只の気のせいなら、別に良いんだ……)

そう考えながら麓郎と雄太の二人に誘いのメールをする。私と麓郎は考え方の違いで口喧嘩する程相性は悪い物の親友の華が関係している事なら例え勉強の最中でも誘いに乗るだろう。二人が頼りになるかと聞かれたら頼りにならないと言うレベルだが、其処は私の腕で補おう。

香取(アイツは………奴の事なんて何も考えるな!?香取葉子!?)

脳裏に過る剣持夢想の姿を一瞬思い浮かぶも直ぐに打ち消して外出の準備をする。

香取の母親「葉子?また出掛けるの?」

部屋を出て階段を降りて広間でテレビを観る母親が私に気付く。

香取「うん。香取隊の皆で集まってちょっと色々と話しに行ってくる。もしかしたら少し帰りが遅くなるかも…」

香取の母親「そう?夕飯前には帰ってきてね。」

香取「うん。」

 

テレビはレポーターが"天使"に関する事を三門市の市民に聞き込みをしている様子が映っていた。

レポーター《あの、"天使"なんですがご覧になった事ありますか?》

三門市市民6《ええ。見ましたよ。天使様は光輝いていました……天使様は、私達を見守ってくれます。》

眼鏡を掛けた年配の女性が当然のように答え様子をテレビで見た香取親子は…

香取「………お年寄りってホント変な事を直ぐに信じちゃうわね。オレオレを始めとした詐欺師の餌食になりやすいわ。」

凄く呆れた目でテレビに映る女性を観る葉子。

香取の母親「あははは……でもあの歳になると不思議な経験とかしている人もいるから人によっては"もしかしたら"って考えるじゃない?」

香取「異次元から来た侵略者近界民は実在するから何も言わないけど……今更三門市に天使だの神様が現れても遅いのよ…。じゃあ行ってきます。」

香取の母親「気をつけてね。」

香取「うん。」

 

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瞬間移動であの場から離脱した物の……離脱先を考えてなく無意識にボーダー玉狛支部の入り口前にて忽然と姿を現す二人。

周囲に敵がいないと確認して剣持は近くの階段に座り込む。

「………。」

黒一「あの黒服の男はお前を悪魔と呼んでいたのか?」

「あぁ。……言っておくけどさっきの人とは接点は全くないぞ。…染井さんの両親を見失ったし……」

黒一「それについて……少し気になる事がある。」

「何だ?」

黒一「その二人組の夫婦の後をお前は全速力で走ったが、途中まで見失わずにあの高架下トンネルまで追跡出来ていた。」

「あぁ。……でも此方が必死に声をかけても足を止めるのも振り向かなかったのが気になるな。」

黒一「いや、注目すべきは、お前の身体能力で走って普通の歩いていたさっきの夫婦を捕まえられない方が問題だ。」

「っ!!?」

確かに彼の言う通り自分の今の身体能力はベムが僕並みに身体能力を下げているが、この所機会があるならレッドマンの能力で戦っている。トリオン体より高い能力なのに一般人の夫婦に追い付けずに見失うか?

「言われて見ると見失う前に一定の距離を保たれていた気がする……まるで何処かに誘導されていたように……」

黒一「されていた……ではない。実際にあのトンネルに誘導されていたのだ。」

「どうして?染井さんの両親がそんな事を……」

何だろう……さっきから凄く嫌な予感…考えが頭に浮かぶ……僕はそれを無意識に否定するように……

 

迅「おや?剣持君じゃないか。玉狛支部に何か用かい?」

後ろの扉が開き顔を出すのはサイドを残しオールバックにした茶色の前髪とブリッジ部分のないサングラスを首から下げているボーダーの先輩。迅悠一さんだ。

「っ!?」

黒一「っ!?」

後ろから聞こえて来た声に一瞬びっくりして反応が遅れるも黒一……ブラックワンが僕を守るように前に出る。

迅「………えっと……どちら様?」

黒一「名は黒一。剣持の知り合いだ。」

迅「……。」

黒一「…何か?」

迅「いや、別に……」

迅「剣持。何か悩みでもあるのかい?良かったら人生の先輩で実力派エリートの俺が相談に乗るよ。」

「あっ、でも……」視線を迅から黒一……ブラックワンに向ける。ハッキリ言うならコイツを一人にするのは危険だ。

黒一「私は大丈夫だ。信頼出来る先人との会話で悩みを解く鍵が見つかる場合もある。」

黒一(私の事で悩むのは時間の無駄だぞ。)思考と心を読む相手だからこそ脅威なのだが……

「じゃあ、変な事せずにちょっと待ってくれよ。」

黒一「あぁ。」

心配しつつも黒一を玉狛支部の玄関前に立たせて剣持は中にはいる。

 

玉狛支部の応接間にて

陽太郎「よう。剣持。」

「陽太郎先輩。」

迅「ごめんな。林藤支部長は本部にいるし今日は他のメンバーはバイトとか勉強とか訓練とかで陽太郎と俺しかいないんだ。」

「いえ、お気遣いなく。此方こそ……相談に乗って貰って…」

剣持は迅と向かい合い出されたどら焼きとジュースをいただく。

陽太郎「たしかなまんぞく。」

「陽太郎君。確かに美味しいけど……ほっぺたにアンコがついてるよ。」

陽太郎「なに〜!?……ほんとうだ。」剣持の指摘に驚きのリアクションをするとほっぺたについたどら焼きのアンコを口に入れる。

陽太郎「おいしい…」

迅「陽太郎。ホンの少しだけ剣持とふたりっきりで話をしたい。」

陽太郎「分かった……ダイモンジャーのチャンネルでもみてくるか。」

「ダイモンジャー?」

陽太郎「しらないのか?きょうとでかつどうしているごとうちせんたいヒーローだぞ。」

迅「京都の大文字山をモチーフにした戦隊ヒーローチームで、京都の悪の組織と戦っているらしいよ。」

「特撮?」

迅「いや、本物の方……東京の首都ロンジャーや大阪のベータマンに『お化け屋敷』の忍者部署のヒーロー達と同じ。」

陽太郎はカピバラの雷神丸と共に僕らの方から気を利かせて離れてくれた。自然と迅先輩とふたりっきりになり。

迅「……それで何があったんだ?」

「………信じられないかも知れないですけど……」

ゆっくりと剣持は迅に死人還りの噂について……そして染井の両親を目撃した事情を話した。

迅「……成る程ね。……"そっちも"目撃したのか。」

事情を話し終えると意味深な言葉を呟く迅に剣持は反応する。

「そっちもって……まさか……」

迅はゆっくりと自分が用意したジュースで喉を潤し飄々とする雰囲気で答える。

迅「あぁ。君の想像通り……俺も含めた……玉狛支部に所属している小南やレイジさんや林藤支部長もその死人還りを目撃しているんだ。」

迅の言葉に無表情でありながら目を大きく見開かせて驚いている剣持。迅は応接間を軽く見回して言う。

迅「……この玉狛支部は元々旧ボーダーの基地でな……今のボーダーが設立される前に使われていた場所なんだ。」

「……。」

迅「旧ボーダーは今と違い便利なオプショントリガーとか脱出機能とかないし旧ボーダーの隊員達も過去の近界民関連の戦いで色々あって帰らぬ人になった人も多い……俺の師匠……最上さんだって……このサングラスだって。最上さんも同じ種類のサングラス使っていたから。掛け始めたんだ。」そう言い額に上げたブリッジ部がないサングラスを掛けて答える。大切な人達と過ごした当時の事を思い出しているのか少し嬉しそうだが寂しそうな表情を迅さんはしていた。自然と楽しい頃と辛い頃を思い出させるような事をしてしまい申し訳ない気持ちになった。

「すいません。辛い話をさせてしまい。」

迅「……良いんだ……もう全て過ぎた事だ……さて、さっきの話に戻すが、最初に死人還り……故人を見たのはレイジさんだ。レイジさんが子どもの頃に亡くなった父親。次は俺。近界民によって殺された母親の姿を見て……亡くなった旧ボーダーの面々や師匠である最上さんの姿を見た。そして……小南も同じ物を見たと言っていた。」寂しそうな表情を消して何時もの飄々とした雰囲気を出しながら死人還りについての目撃情報を教える。

迅「本部の上層部は皆に混乱するから言っていないが、故人を見たボーダーの人間はかなりにいる………」

「っ!?」

迅「勿論、全員が全員故人を目撃した訳ではない……だが原因不明だし共通点も分からないから何割か不安を覚えて自宅に塞ぎ込んでいる隊員もいるんだ。」

「………っ!!」

預言者『……天使に仇なす悪魔よ。……地獄に落ちよ!?』

黒一『されていた……ではない……実際にあのトンネルに誘導されていたのだ。』

染井さんの両親、さっきの黒服を着た男の言葉…ブラックワンの言葉が脳裏に何度も思い出し…その度に何かが沸々と湧き上がる感覚がする。

「…迅さんは、母親や師匠の後を追い掛けましたか?」

迅「……師匠の時に一度ね。必死に追い掛けたけど…追い付けない…でも途中で道が行き止まりになっていて普通に見失ったよ……まるで狸や狐に化かされたみたいにね。」

そう答えて無意識に青い隊員服の腰に差している"何か"(位置的に良く見えないが武器の可能性がある)を握り締める。

迅「……俺個人の感想だけど……今、三門市は得体の知れない何かに侵食されている……侵略されていると表現した方が正しいのかな。それに……一部じゃ天使を信奉する妙な考えを持つ隊員も増えている。」

(近界民や怪獣と違い明確な破壊活動をしていないが、ボーダーや三門市が攻められているんだ……でも敵の狙いが分からない。何故こんな事をする……)

預言者『穢れた悪魔よ。美しき天使の聖なる炎に浄化されろ。』

あの預言者の言葉が脳裏に響く。

「どうして…人は神や悪魔…いるかいないか良く分からない存在を信奉するんでしょうか?」

迅「……難しい質問だな…でも人によっては居た方が良いと願う人達もいる。」

「虚構を信じても何もしてくれないのに……」

迅「意外とシビアな考えなんだね……まぁ、生きている全員が全員……現実と向き合うようで半分向き合っていないさ。向き合ったフリしていて本当は亡くなった大切な人の傍に離れられたくない。でも傍にいてももう喋ってくれないし、笑ってもくれないし、見てもくれない……声を聞いてもくれない。誰にだってそれは分かっている。」

「なら「でも人は皆、何処かで心の拠り所が欲しいし……不安な毎日を乗り越えられる安心感が欲しいんだよ。」

「安心感……」

迅「苦楽を共にした知り合いが何時かは死んで火葬されて墓にただご遺骨があるだけじゃ可哀想だろ。……なら死後の天国でも極楽でも存在して少しでも知り合いが其処で幸せに過ごしていると思った方が残された連中は安心するもんだよ。」

迅(特に……未来を取捨選択した俺にとっては……尚更、旧ボーダーの皆の魂が幸せにあって欲しいと思う。……そう思わないと彼らが自らの意志で選んだ選択肢が意味が無いと言われているみたいで……今ボーダーにいる旧ボーダーの面々の全員がやるせない気持ちになる。)

「………良く分かりません。」

迅「……大丈夫。言ってる俺も有るなら有る。無いなら無いの考えだから……でも皆、別れを乗り越えてもやっぱり寂しいんだよ。」

そう言い迅さんはボーダー本部の方に視線を向ける。

迅「個人的な意見だが、俺が見た旧ボーダーの面々も母親も師匠も本人じゃない……頭では分かっているんだ。」

「ならどうして…」

迅「頭でハッキリと分かり切っている事なのに……母親や師匠の姿を見た瞬間……心が動揺したんだよ。もしかしたら……本人なのかとか、変な考えに取り憑かれてさ……そんな訳ないのに……」分かりきっているからこそ、もしかしたら違うんじゃないかと考えてしまう。矛盾の考えが頭の中に浮かんで判断を迷わせてしまう。

「……迅さんは、何も悪くありませんよ。もう二度と会えない…大切な人の姿を見たら誰だって動揺します。……僕だって……」

自然と亡き家族の姿を思い出す剣持。

迅「俺なりに今回の妙な噂を調べてボーダーの本部にいる死人還りを目撃した人達の話を聞いてこの噂の首謀者達は特定の条件で幻覚を見せていると考えている。」

「幻覚……」

迅「……遺族の記憶に覚えている故人の外見や特徴を対象の目と頭に錯覚させる。これなら、全員が目撃せず特定の人間しか目撃出来ない。事実、最上さんを目撃した時、俺の隣には緑川って言う後輩がいたのに、後輩は最上さんを知らないから何も見えなかったらしい……」

その時、剣持のスマホが音を鳴らす。

「はい。もしもし?」

風真《もしもし?剣持少年。例の天使の信者達を誘導する預言者の二人組について有力な情報を入手した。今何処にいる。》

「今、ボーダー玉狛支部にいます。」

風真「そうか…なら何処かで合流しよう。待ち合わせ場所は……」

迅「……。」

スマホで連絡を取る剣持を飄々とした顔で見ながら迅は思考する。

迅(やっぱり…目の前の彼の未来が見えない……亡くなった人特有の真っ暗闇だ……でも目の前で彼は生きている。)

自分のサイドエフェクトは万能に見えて全能ではない。日常や戦いにおいて自分を助けてくれたが、未来予知を持つ故に苦悩して事もある。

迅(……本当は……俺は薄々答えに気付いているんじゃないか?でも……証明する物が何も無い……違う可能性だって充分ある……アリバイだって完璧にあるんだ。)

目の前の少年がレッドマンなんじゃないか?と考える自分がいる……でも少年のアリバイが不可能と証明している。

レッドマンが怪獣と対峙する時、必ず少年は人のいる所にいて全くの無関係だと俺を始めボーダーに教えている。

迅(其処まで分かって……どうして俺は今だに彼とレッドマンを結びつける……何が頭の中に引っ掛かるんだ?…分からない…)

 

「すいません。急用が入ってしまい。」

迅「いいさ。気にするな。」

気になるのに……どうして気になるのか良く分からない…そんな疑問を頭の片隅に追いやりながら迅はできる限り平静を装った。

「あっ、最後に……この女性を見掛けませんでした?」

既にボーダー関係に何度やった質問とカフェブラックスター2号店の店長が描いたシスター姿の女性の似顔絵を迅に見せる。

 

迅「見たぞ。」

「えっ?」

迅「何なら彼女の尻も触った……」

突然のカミングアウトに剣持は無表情でありながら一瞬驚きに目を見開かせるもやがてゴミを見る目を迅に向けながら無言で110番に連絡する。何なら良いシリアスの雰囲気が一瞬でギャグコメディの雰囲気になったと錯覚を覚えた。

迅「ストップ!!何処で見たかとかちゃんと説明するから、警察は勘弁してくれ!?」

迅は脳内にガチでヤバい未来が想像し弁明の言葉を出して剣持は尊敬していた先輩の知りたくもない最低な一面を知りゴミを見る目を迅さんに向けながら目撃した時の話を一応聞く。

迅「最上さんを見失ってから死人還り関連で街のあちこち歩いていた際に、ボーダー関係者以外立ち入り禁止の警戒区域近くにいたから注意の意味を兼ねて彼女の尻を触ったんだ。」

「肩とか手首とか触れるならもっとあるでしょ。声を掛けるとかさ。」

迅「いや、声は結構掛けていたんだけど、でも反応がなくてさ無視しているから仕方なく……」

迅と剣持は似顔絵のシスターの顔を見ながら、汗を額から垂らして俺に聞く。

迅「……もしかして、この女性死人還りの重要人物だった?」

「天使を信奉する信者達を誘導する二人組の預言者と呼ばれる男性達の関係者かもしれないんです。」

迅「笑顔が素敵な女性なのに?」

「相手を油断させる偽りの笑顔かも知れないですよ。」

迅「猜疑心が強いね。世の女性をそういう目で見たらいかないよ。美人の一番の化粧は笑顔って言うだろ?」

迅は立ち上がり…キメ顔を作り言う。

迅「まぁ、重要参考人なら彼女を探すの手伝うよ。顔はもう見ているし……」

「大丈夫ですか?薄々分かっていると思いますけど、これって立派に普通の事件じゃない超常現象……怪奇案件ですよ。この女性の名前すら分からないのに……」

迅「心配しなさんな。人探しはこれでも得意なんだ。実力派エリートの実力を期待してくれ。」

俺は迅さんと連絡先を交換して玉狛支部を後にする。

 

探偵が指定する合流場所に向かう途中……剣持は…足を止めて黒一に情報を教える。

「今回の連中……地球の宗教…キリスト教を見立て動いている……」

黒一「……何故そう思う。」

「さっきの精神生命体達が遺族達に故人の幻覚を見せて死人が蘇るように見せているのならキリストの奇跡の再現になる。」

薄々感じていた違和感……普通の世界に亡くなった筈の人が活動する……古今東西の宗教で色々とある物の死者を蘇らせる話はエジプト神話やイスラム教と色々あるが、有名なのはキリスト教である。キリスト教の始まりイエス・キリストは死後三日経過してこの世に蘇った。

黒一「死者蘇生か……確かに今の現代でシンプルに死者の復活は奇跡の所業とも言えるな。」

「……。」

黒一「どうした?」

「地球の宗教を勉強したのか?」

黒一「死人還りの噂自体はアレコレ既にあったんだ。噂の裏にいる連中が人間の深層心理と宗教に詳しいのは前から知っていた。」

「…嫌な相手だ……」

黒一「ああ。非常に不愉快な相手だ……」

染井さん……迅さん……ボーダーの皆、三門市の人達、今日を生きる皆、大切な人達の幻影に惑わされている……踊らされている。……そう思うと死んだ人達の想いを……生きた人達の気持ちを面白おかしく利用している連中に……凄く……凄く…凄く腹が立ってきた。拳を握り締め身体を震わせながら剣持は合流場所に向かう。死んだ人達を何だと思っているんだ!!そう首謀者達に叫びたかった……

 

 

 

 

『お化け屋敷』の地下秘密基地にて……

目的の区画に停止したエレベーターの扉が左右に開閉してエレベーターに搭乗していた黒野賢人はその区画へ足を運ぶ。

黒野「……相変わらず独特な区画だな。」

壁や床や天井に至る所に何処の寺の物か分からぬ物の大量の札が貼られており辛うじて歩行する人達の道には貼られていない区画

……心霊学区画に到着する黒野。その異様な雰囲気に用のない人間は絶対に近付いてこない場所である。調査対象は主に心霊現象や世界各地にある呪物や未確認生物や飛行物体を除いたオカルト専門で『お化け屋敷』の名をある意味名前通りに持っている。

心霊学に精通した科学者達が集まり日々、色々な研究をしているボーダーの新部署でありながら『お化け屋敷』をボーダー本部内に建設工事しなかった理由の一つである。ボーダーと全くの別ベクトル過ぎる研究をしている分野の為に……ボーダー上層部の許可が下りない可能性が未来予知しなくても充分あった。

 

心霊学総合研究室の自動ドアの前に立ちドアが横にスライドして開く。研究室内部には特殊なお香や線香の匂いが立ち込めており古今東西の人によって恐怖を覚える呪物か或いはオカルトを関連するような物が所狭しと置かれており、部屋の一番奥の中心には小さいが立派なお社があり……如何にもな雰囲気があった。しかし左右の無数の髑髏を合わせた蝋燭立てが神聖な神社の景観を損ねている。

黒野(そういえば……このしっかりしたお社は三門市の土地の神様達の力を借りる為または貸す為の媒介って前に麗能磁博士は言っていたな。お社自体も正規の専門家からの意見とか集めてコンパクトに建てたって…)

黒野は日本の神社や仏教関係は其処まで詳しくない物の麗能磁博士は研究室内に貼られた色々と御札1枚1枚の名前の意味とか効力とか力説していたな。

怨冥寺「おや?誰かと思ったら黒野隊員ではないですか?」

研究室に意識を向けていると目付きが影浦隊長とは別の意味で凄い悪人顔をした白衣を着た男性助手に声を掛けられる。

 

怨冥寺時角 助手

人間を呪い、世界征服を企む悪の組織ノロイガードの科学者。人工的に呪いを発生させ、人々を苦しめる発明ばかりを行う。性格は暗く陰湿で悪い。

 

吊口「あら?本当ね。今日は何の御用ですか?」

怨冥寺助手とはまた違うキツく鋭い目付きの目をした女性も此方に気付き声を掛ける。

吊口 佐紀子 助手

悪の組織バケバケ団からやってきた妖怪科学者。妖怪と人間をかけ合わせて新怪人を開発する。性格はいたって悪い

黒野「三門市で現在発生している超常現象に心霊学を専攻する皆さん知恵を借りにきました。」

黒野(吊口助手ってどちらかと言うと化け学が専攻では?)

※妖怪に関する事を調べる専門の事

魔山「おおぅ……偉大なるスポンサー黒野様…我らの力と知恵。存分に御使い下さい。」

黒茶色のスーツに顔に年季の入った皺が沢山刻まれた年配の男性教授が俺に頭を下げる。

 

魔山 恐

恐山に一人山ごもりをしながら、世間では認められない研究を続ける科学者。恐山に存在する霊界パワーと最先端の細胞変化技術を使い、怪人を次々と作り出す。性格は不気味かつ悪い。

 

黒野「頭上げてくれ。魔山教授。今回はスポンサーとして来た訳じゃない。一人の隊員として三門市で発生する超常現象についての情報が欲しい。麗能磁博士達も呼んでくれないか?」

黒野(魔山教授って顔が仮面ライダーBLACKの大神官ダロムに似てるよな。)白いローブとフードを身に纏っていたなら増々そっくりになる。

 

魔山「わかりました。時角助手。開運寺博士と麗能磁博士をお呼びしてくれ。」

怨冥寺「わかりました。」

業務用電話か通信機で呼び出すのか?と思っていたら、時角助手は机にある血の色をした頭蓋骨状の受話器に連絡する。

黒野(何その電話!?そんな怪しい電話良く使うな!見ろよ!頭蓋骨にの額に『呪』って書いてあるよ!!一体何処のメーカーで販売しているんだよ。)

悪の組織ノロイガード製オフィス電話機を使用する時角に凄い表情をする黒野。

 

怨冥寺「博士達、もう直ぐ此処に来ます。」受話器を戻して報告する時角。

黒野「…そうか。なら死人還りの現象について色々とそっちで掴んでいる事を教えて欲しい。」

魔山「……死人還り……実に我々が興味を寄せる噂かと思い噂が広まり始めてから色々と心霊学関連で議論を交わした物です。」

吊口「妖しい怪しい匂いがプンプンしますしね。」

黒野「おう。」

黒野(想像以上に皆ノリノリだな……まぁ、怪奇案件の中で今回は特に怪奇の色味が強いから……少し分かるけどさ。)

???「失礼します。」

???「失礼する。」

 

研究室の自動ドア(手動切り替え可能……外側内側…御札まみれ)が左右に開き研究室内に入ってきた二人組の超常現象研究家の男女。黒野は彼らの方へ振り返る

黒野「よし。此れで心霊学の博士らが集結したな。」

 

開運寺 降果 69歳 専攻 超常現象研究家

この世に存在する霊能力の全てを極めたといわれている霊能力者。荒々しく、どんなささいなことでもすぐに「霊の仕業じゃぁ」と叫ぶため、一部では「零能力者」とまで言われている。

 

麗能磁 桜 27歳 専攻 超常現象研究家

厳しい修行の末、人生の全てを悟ったと言う霊能力者で、人生を全てを悟ったと言う事から、人生相談の依頼を受けたりする。しかし!相談が終わると聞き手側が人生を悟ってしまい、暗い雰囲気に包みこまれてしまう。

 

怨冥寺「あれ?狭間指揮官は呼ばないのか?」

ソウル柿本「あの人一応、勤務地は狭間心霊学研究所で此処での仕事は保安関連がメインだからね。」

 

怨冥寺「あっ、寂しがり屋のボッチ柿本助手!?」

ソウル柿本「誰がボッチ柿本だ!?」声を大きく上げる孤独な科学者。

 

ソウル柿本 助手

世界中の人々の魂を浄化させる事を目的に結成された暗黒結社魂

救済団の若き総帥兼科学者。団員は自分一人のため、研究から作戦行動から、何でもこなす。性格は悪どいが寂しがりや。

 

黒野は本部から死人還りについての調査をしている事を心霊学の博士らに話す。

黒野「科学的な捜査はまだ情報不足もあって難航していてそっちの方面で何か分かった事は無いか?」

 

麗能寺「…そうですね……」

博士達が共通する清潔な白衣に袖を通し黒髪の悟りを開いた貞子みたいな髪型をした女性…麗能磁博士は少し黒野の話しを聞いて考え込む。

開運寺「うむ、間違いない霊の仕業じゃぁ!!」

怨冥寺「いや、間違いなく呪いの仕業だろ!?」

麗能磁「降果さん。時角さん。煩いです、少し黙ってて下さい……」

開運寺、怨冥寺「…すいません。」

黒野(麗能磁博士って普段は穏やかで物腰は柔らかいけど集中するとボーダーの冬島隊の真木さんみたいになるんだよな。)

目の前にいる魔山達を見ながら黒野は思い出す。

普通では考えられない超常現象関連の怪奇案件も自分達の仕事とはいえ曖昧で不確かな物を調べる専門家を黒野は己の人脈をフルに使い世界中から掻き集められるだけ掻き集めた……変な話だが怪奇案件…心霊現象と立ち向かうには彼ら彼女らの役立つ専門知識は必要不可欠……だがその科学が文明の中心では心霊学は余りに異端過ぎて……科学特別機動捜査隊がある意味『お化け屋敷』と言われている理由となっている。普段の怪獣や怪人やロボットと言う存在なら機械工学や生物学に化学、軍事、遺伝子と言った専門家が動けるが今、三門市に発生している死人還りを解決出来る可能性が高いのは心霊学以外にいない。

黒野(ここの博士達でも情報が掴めていないのなら本当に万策尽きる……)

 

麗能磁「単刀直入に言いますわ。黒野隊員。」

考えるのを終えたのか麗能磁博士は俺に声を掛けてくる。

黒野「あっ、はい。」

麗能磁「死人還りの現象についての情報は私達の心霊学は何の情報も得ていません。」

黒野「……そうですか……すいません。研究のお邪魔をして」

どうやら、博士達も情報を掴めていないと分かり詫びの言葉と共に研究室を離れようとする黒野。

麗能磁「黒野隊員………話しはまだ終わっていませんよ。」

黒野「えっ?ですが……」

麗能磁「時間はそんなに取らせません。」

研究室に備え付けられたメインモニターの電源をモニター用のリモコンキーでONにして三門市の全体マップを映しだす。

麗能磁「私達の専門は超常研究並びに心霊系統全般……しかし、その殆どは人間の目に映る事のない物で、我々なりに霊感の強い吊口助手や怨冥寺助手や魔山教授等と行動しないと霊の姿すら見えない。」

黒野「……。」

麗能磁「心霊学を専攻にする科学者にとっては、研究対処が見えないのは凄く問題で、私達はその問題を解決する為に霊が見えるセンサーの開発を立場や対立関係を忘れて始めました。」

開運寺「そして完成したのが、そこにある試作ゴーグル。通称霊視ゴーグルじゃぁ!!」

赤い真ん丸レンズタイプのゴーグルを荒々しく言う開運寺博士。

黒野「……そのゴーグルで幽霊が見えるんですか?」

麗能磁「いいえ、幽霊が出ると噂の心霊スポットとかで幾つか試してみたけど何も映らなかったわ。」

吊口「私達はそのゴーグルは失敗作と最初は思っていたの。」

黒野「思っていた?」

麗能磁「時期的にマキシボーン山の後に開発して昆虫怪獣やら鋼鉄竜やらの怪獣災害の他所に変な宗教の人達が布教している時に

たまたまその様子を霊視ゴーグル?で見ていたら蒼いぼんやりした人影が映っていたんです。」

黒野「っ!?」

麗能磁「最初は幽霊かと思って期待していたんですけど、実際は肉体のない生命体で……それが三門市のあちこちにいるんです。」

黒野「っ!!その霊視?ゴーグルを貸してくれ。」

麗能磁「良いですよ。どうも、その試作ゴーグル。透明人間やら熱源やら暗視やらは高性能で捉えられる癖に私達が見たい物を見れないので。レーダーにもその妙な奴らの波長を捉えるようにバージョンアップしましたから。」

黒野「これがあれば、死人還りの原因が人為的な物の可能性が高くなる。」

麗能磁「……高いと言うよりも、死人還りの一部始終を見た限り蒼いぼんやりした肉体の無い生命体が対象の人の脳波に幻覚を見せているようでしたよ。」

黒野「どうして其れを報告してくれなかった。!!」

麗能磁「そのゴーグルは貴方達が今追っている本件の捜査とは何の関係の無い趣味の作品のような物でしたので……事実、私達にとってはそのゴーグルは失敗作です。霊視ゴーグルの開発に失敗したと言う報告は一の谷博士を始め各隊長達にはこの本件が捜査される前に既にメールでお伝えました。」

黒野「っ!」確かに開発コンセプトを決めて開発したのに思った研究成果が出なかったのは、……良くある事だ。だがまさかその失敗作のゴーグルが今、三門市で発生している死人還りの裏に潜む真犯人の姿を見えるようにするなんて普通は考えつかないだろ。

黒野「このゴーグル幾つある?」

魔山「試作だからそれ一つだけですよ。」

黒野「貰って行くよ!!」

魔山「どうぞ。」

黒野は試作霊視ゴーグルを持って研究室を後にする。

 

怨冥寺「にしても天使を崇め奉る連中の思想少し君の目的と似てないか?柿本」

開運寺「君の知り合いか?」

ソウル柿本「私に知り合いはいない!!?」

吊口「ボッチ……」

ソウル柿本「聞こえているぞ妖怪博士!?第一私は世界中の人々の魂を浄化させる目的で魂救済団の総帥兼科学者をしているんだ。あんな胡散臭い宗教連中と一緒にするな!?」

 

麗能磁「さぁ皆、研究を続けるましょう。教授。今度の研究テーマはどんなのするんですか?」

魔山「うむ、今度の研究テーマは心霊……」

 

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風真探偵が指定した合流場所は意外にも剣持にとって馴染みのある場所で剣持は黒一と共に其処へ向かう。

黒一「此処は?」

「私立探偵との合流場所……俺の先輩の屋敷だよ。屋敷の関係者が情報提供者なのかな?」

風真「剣持君。」

「あっ、風真探偵。」

黒野先輩の屋敷の出入り口の大きな門の前に立っていたのは、風真探偵と……

鏡「やぁ。剣持君。」

「京太郎さん。」

御手洗博士の知り合いの毎朝新聞の報道カメラマンの鏡京太郎さんである。剣持とは怪奇案件関連で面識のある男性でお世話になっている。

鏡「僕が勤めている毎朝新聞でも死人還りの噂や天使の信者関連の怪事件の取材をしていてね。」

【………今回の怪奇案件……僕個人、不可解の事ばかり起きて情報が不足していた。カフェの店長が似顔絵を描いた二人の預言者の男性と関係があるとされる女性も見つからないし……亡くなった故人の姿を目撃して間もなく突然、精神生命体達の襲撃に遭うし……一連の"何か"の"答え"が欲しかった……答えじゃなくてもヒントが必要だった……そして……鏡京太郎からの有力な情報は意外な物だった……預言者の一人のどんな人物かわかったのだ…】

風真「劇団の舞台役者?彼が?」

鏡「えぇ。毎朝新聞の記事で舞台関連の宣伝を担当する編集者達から聞いて…その彼の所属する劇団、現在三門市に地方興行しているんです。」

風真「じゃあ彼は三門市の何処かの劇場にいるんだな。」そう言うと探偵は何処か向かおうとする。

鏡「それについて僕から色々と彼に聞き込んでいた。彼曰く生活費の足しになる為に始めたバイトらしい……」

後ろから聞こえてきた京太郎さんの言葉に僕や黒一に風真探偵は足を止めて京太郎さんに注目する。

「バイト?」

鏡「彼は東京出身の舞台役者だが売れる役者ではなく山程いる売れない役者らしくて……ある日稽古をしている最中もう一人の預言者の男性が現れて仕事の依頼されたらしい。」

風真「仕事の内容は?」

鏡「もう一人が指定した集会会場で用意された台本の内容を覚え会場で言う。それで多額の報酬を貰うと彼は言っていた。」

風真「もう一人の居場所は?」

鏡「ビジネスホテルに滞在しているらしい。ホテルの名前は…」

その時、黒一…ブラックワンから通信音が聞こえて

黒一「……すまない。少し離れる。」

と一言言い剣持達から一度離れる黒一。

風真「剣持。俺は先に預言者がいるビジネスホテルに向かう。」

バイクに跨りヘルメットを被りバイクを走らせる探偵は黒野の館から離れて行く。その様子を見てから

「京太郎さんはコレからどうするんですか?」

鏡「毎朝新聞の報道カメラマンとして今回の天使関連や死人還りに関する特ダネを撮るつもりさ。剣持君はどうする?」

「染井さんの……大切な友達の偽の故人の正体について調べます。」

鏡「わかった。何か会ったら連絡してくれ。コレ僕の連絡先だ。」

「ありがとうございます。」

鏡京太郎と連絡先を交換して京太郎は黒野の屋敷を後にする。

「……黒一の奴。遅いな。」

その時、再び剣持のスマホが鳴り誰からか確認する。

「っ!」

【黒野真琴】

「もしもし?どうしました?」

真琴《剣持君。今何処にいる?》

「今、黒野先輩の屋敷の前にいます。」視線を館の方に向けて

真琴《っ!?今直ぐ私の部屋に来て、三門市で発生している天使を自称している連中の正体と目的に関して教えるから!?》

「っ!?」

剣持は驚きの表情をして真琴の話を聞く為に屋敷の門へ行くことにする。

一方

黒野はローバーに用意されたバージョンアップしたレーダーを積み終えて搭乗しようとしたら、ジェットホバー9でパトロールから戻ってきたキム隊員が駆け寄ってくる。

キム「何か捜査に進展が合ったのかい?」

黒野「このレーダーに反応している所へ行ってくるだけだよ。」

キム「……次いでだから私が運転して上げるわ。」

黒野「本当か?ソイツは助かるぜ。」

キムが運転席に乗り込み黒野は助手席に乗り込む。

キム「道案内は頼むわ。」

黒野「あぁ。心霊学の博士達のレーダーが一際強い反応をしているのは、メザードと呼ばれるビジネスホテルだ。」

キム「分かった。しっかり掴まってな。」

そう言うとローバーを地下駐車場に走らせ地上の車道へ向かう。

 

 

 

 

屋敷内部への幾つ物の検査を終えて黒野真琴の部屋に訪れる剣持。

真琴「来たね。剣持君。」

志岐《ども、さっきぶりだね。》

「真琴先輩に志岐さん……」

部屋に訪れる彼女は自分の机の椅子に座りながらPCを起動していた。

真琴「取り敢えず、剣持君は今回の天使や故人らの件、何処まで分かっているの?」先ずは概要を尋ねる真琴。

「故人の目撃情報に出ている故人達が本物ではない事と……俺の事を悪魔と呼ぶ精神生命体達に遭遇している事……愛する者にまた会いたい気持ちを餌に天使を信仰する人達がいる事の3つです。」

真琴「成る程、じゃあ剣持君は既に遭遇したんだね。"キリエル人"に……」

「「キリエル…人?」」

全く聞き慣れない単語が突然出た為に志岐さんと俺は疑問を顔に出し声をハモらせながら真琴の方を見る。

志岐《……それって何ですか?先輩。》

真琴のPC画面に映る小夜子の顔アイコンのボイスチャットから

声が聞こえる。真琴はPCの小夜子の顔アイコンに目線を合わせて説明してくれる。

真琴「……此処とは違う別の異次元から来た精神生命体……剣持君が見た蒼い炎の人影達の正体かな……自己顕示欲が高く「より良い方向へ導く」と囁き人を裏から支配する詐欺師って説明した方が分かり易い。」

「……詐欺師。」

真琴「人の欲しそうな物を与える又は与えように見せて人の心を自分達に傾けて優越感を浸るタイプと表現した方が良い。」

志岐《でもどうして今になって彼らが表側に現れたんですか?》

志岐が質問すると真琴は志岐から剣持君の方に視線を向けて答える。

真琴「……レッドマンが現れたせいだよ。」

「俺…」

真琴「世間の人から見たら君は謎に包まれているけど、子どもでも勝手に街に現れた怪獣を倒している存在と認識されている。」

志岐「相手の仕留め方が結構エグいと言うか殺人現場に見えるけどね。」

真琴「レッドマンはそういう倒し方が基本だよ。」怪獣を優先する思想持ちの人間にとっては滅茶苦茶複雑な気持ちを口に出す黒野真琴。

志岐「もっとヒロイックな倒し方しないとそのうち赤い通り魔なんて呼ばれるかもよ。」

「ごめん。見栄えよりも結果を優先するのが戦いで大事だと思う。」

志岐(剣持君いつかB級部隊のランク戦に参加したら色々な悪い意味で伝説の隊員になりそうだね……)

真琴「っと話が脱線しちゃった……キリエル人は世界の未曾有の危機を守護神又は救世主のような立場で人々を救い守り導く事で崇められ敬われ讃えられて自己顕示欲を満たそうとしていたのに突然、救世主として出る前に何処の誰かも分からない宇宙人が世界の未曾有の危機を次々と阻止したり解決したりしたせいでキリエル人の自己顕示欲は満たされない為にレッドマンへの怒りの感情は爆発して嫉妬心はどんどん膨れ上がる。」

志岐《遂にはレッドマンを悪魔と呼ぶ程にね。……逆恨みに程があるよ。》

真琴「そんなこっちの言い分向こうには関係ないんだ……キリエル人の奴らの怖い所は自分の言動や行動に伴う非は一切認めない……ある意味無敵なんだよ。能力は炎を使った超能力に人の精神を遠隔から洗脳或いは支配する精神操作能力。直接人間社会に干渉活動するには人の遺体や死体に憑依して暗躍する。」

志岐《えっ?……じゃあ、キリエル人は亡くなった人の身体に憑依して今、三門市の街を普通に歩いているの?》

真琴「可能性は高いね。憑依している間は死体の肌の血色が良くなってパッと見ても普通の人にしか見えないんだよ。」

真琴先輩の説明してくれる相手の情報で夢想の頭の中にある沢山の点の幾つかに線が結びつく。

「カフェブラックスター2号店の店長の言っていた意味ってこういう事か……」

志岐《何!?どういう事…》

「店のマスターは、キリエル人に関係があるシスター服の女性が言っていた天使や神の単語が宗教的な言葉通りの意味ではないと言っていた。

志岐《言葉通りの意味じゃないなら……もしかして何かの隠語?》

「うん。キリエル人の奴らと一緒にいた男性は俺を天使と対を指す悪魔と呼んでいた……天使の言葉の意味をキリエル人に……悪魔の言葉の意味を……レッドマンの意味にするなら…あの高架下トンネルの襲撃の目的は俺の命を奪う事…。」

真琴「悪知恵たっぷりの詐欺師にして、随分と明確に相手を狙っているわね。」

志岐《えっ?普段は違うんですか?》

真琴「まぁ、正々堂々とレッドマンを倒して自分達こそ通り魔レッドマンより優れている救世主と勝手に嫉妬する連中だからね。相手を弱体化させるとか弱点をつくとかは基本するタイプの悪党だよ。」

志岐《自称天使クズいな。》

真琴「自称だからね。変身した外見も凛々しさゼロや神々しさゼロの禍々しい悪魔よりの魔人だし。」

志岐《にしても、真琴先輩の妙な怪獣知識はどういう所から入手しているのか普通に気になりますね。》

真琴「それは秘密だよ。狙いの一つはレッドマンの抹殺。そしてもう一つは無数の同族をこの世界に呼び込む事だと考えているの。」

志岐《えっ?でも……呼び込むって…今この三門市にいるキリエル人達も別の次元から来たんですよね。》

「その目的の為に……各地に天使を信仰する信者達を作ったのか。」

真琴「そう。預言者が預言を言いそれをキリエル人が奇跡の自作自演をして信者を次々と増やす。増やした人の数だけ偽りの信仰に厚みを作り現実味を増させ同族を呼び込む行動を神聖な天使降臨と表現し奇跡の瞬間として世界に知らしめるだろう。迷える子羊よキリエルを讃え崇めよ。天使と神は実在すると感じね。」

「死人還りも……亡くなった愛する人との再会を餌に奇跡として信者を増やす為の活動。キリエル人……天使を信仰すれば亡くなった大切な人とずっと過ごせると言う……過ごせる幻を遺族や友人達に見せる。」

人の気持ちを何処までも弄ぶ相手の卑劣な悪魔のやり方に剣持夢想の心の中の沸々と燃え上がる怒りの感情を抑えらない。感情を顕にして真琴の部屋を出ようとする剣持。一瞬、黒いオーラが剣持の身体から放出され

真琴「何処へ行くの。」

剣持は一度足を止めて振り向く事なく答える。

「キリエル人を全て探し出して………倒す!!?」

志岐(あの優しい剣持君が……かつてない程怒っている……)

 

僕は救世主じゃない……守護神でもない……望む望まずに宇宙人に殺され身体を乗っ取られ熾烈な阿修羅地獄に巻き込まれた何処にでもいる平凡な少年だ。

でも……自分がやらないともっと被害が大きくなるなら僕はその被害を少しでも押さえる為にどんな相手でも戦う……世間に言われのない誹謗中傷を受けて少しは認めて欲しいと思う欲はあるけど……そんな事なんかよりも僕は只、大切な人達が生きるこの世界を守りたい……神様が居ようと天使が存在しようと関係無い。

大切な人達の心と想いを己の自己顕示欲を満たす為に土足で傷つけたキリエル人を僕は、絶対に赦さない!!

剣持が去った部屋で真琴はゆっくりとため息を吐いて窓の向こうの景色を眺める。

真琴「………亡くなった大切な人に会いたい気持ちは皆何処かで持っているから……その大切な気持ちを弄ぶ奴らに怒るは当然だと思う。」

志岐《真琴先輩……》

真琴「私も人の事は言えない立場だからね。三門市の家族を大規模侵攻で失ってボーダーに対する不安とか不満とか諸々が爆発して川崎市にイポポさんを実体化させて三門市のボーダー本部を破壊しようと考えていたし。」

志岐《忘れられませんね。人生で一番全力疾走して命の危機を感じた怪獣災害でしたよ。》

真琴「私、剣持君の手伝いに行ってくるよ。」

ゆっくりと椅子から立ち上がり外出準備をする。

志岐《えっ!?大丈夫何ですか。剣持君の話だと相手は複数で実体の無い生命体なんですよ。》

真琴「ちゃんと安全第一に動くから心配しないで、キリエル人は恐らくレッドマンに合わせて実体のある巨人の姿に変身する能力を持っている。キリエロイド……今夜は巨人同士の格闘戦が拝めそうだね。」

小さく笑みを浮かべて望んだ怪獣は出ない物の自分の知っているウルトラ怪獣が三門市に現れるのは人としては不謹慎だが嬉しいのだ。

志岐《……嬉しそうですね。》

真琴「そう?だとしたらそりゃあヤバいね。」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

人のいない森にて……

ゴメル《……以上が奴らキリエル人に関する情報です。》

真琴が剣持に炎魔人の情報を教えるように黒一もゴメルからキリエル人の詳細な情報を貰う。

黒一「……………………そうか……良く集めてくれた。」

ゴメル《貴方が出る幕はありません。傭兵団の精鋭に私が用意した必勝の策を複数用意し、報告を只、待てば良い…》

黒一「……不要だ。奴らは私が滅殺する。」

ゴメル《クカカカカ………貴方は昔から小悪党や小物が特にお嫌いでしたね………分かりました。お持ちのメフィラス星の情報端末デバイスに連中が無意識に発する波長をキャッチし位置を特定するレーダー機能を入れましたので世界中の何処に隠れようと見つけられます。》

黒一「流石だ。ゴメル。」

ゴメル《クカカカカ……メルニア様と処刑人も開発に協力したおかげです。》

黒一「グラビティスやメルニアに感謝の言葉を伝えておいてくれ。」

ゴメル《御意。》

ゴメルとの連絡を終わらせて一人森の中にひっそり立つブラックワンは、一見淡々としていたがその内心はキリエル人達に対して腸が煮えくり返っていた……視線を空に向けて静かに目を瞑り言う

黒一「この世に生まれ……生き抜き望む望まずに死した全ての故人の魂達よ。遠くの星から来た戦いを生業とする傭兵が言うのは変な話だが……安らかな眠りを……此処から先は……命を持つ者の戦いだ。」

 

気配を感じ視線を向けると剣持夢想が静かに怒りの炎を燃やしながら待っていた。

「……行くぞ。」

黒一「あぁ。」

 

染井「……。」

染井は気分転換に出掛けていて一人三門市を歩いていた。無意識に手に持つのはプレイター騒ぎの際に避難所で拾った白い天使の羽の小物。

死後の世界は実在するのか……生きている人間が一度は考える内容だ。美しい天国に極楽、今世と来世……誰も実際に見たことのない虚構の世界。……死体の身体が腐敗を始め蛆が湧き内蔵は腐り身体中から内容物が流れてくる。死体を目撃した人間が言う一切の幻想の無い現実……

そして両親を共に出掛けた場所に自然と足を運び……ふと子どもの頃を懐かしむもその表情は曇っていた。

染井(……私も亡くなったら只の…動かない遺体になる……死は産まれた生き物の全てにある終わり……)暗い事を考えが泡の如く現れては消えて行く。

そんな時、ふと持っているスマホが鳴り確認すると…

染井「……葉子。」

親友からの連絡に華は出る。もしかして何かあったのかと考える。

香取《もしもし?華。》

染井「どうしたの葉子?電話なんて……何かあった?」

香取《ちょっとね……華の事が色々と心配になってさ。》

電話口から聞こえる私を心配する声。

染井「……心配って……私は大丈夫よ……」

…嘘だ。本当は両親の姿に怯えている。たまに観る心霊番組の心霊現象に悩ませる体験者達の気持ちが今なら分かる。気持ちは分かるけどどうすればその両親の姿が見えなくなるか分からない。

香取《取り敢えず……もし予定が無いなら私ら何処かで会わない?》

染井「……じゃあ、三門市の駅前広場で会いましょう。」

香取《分かった!……ちゃんといるのよ。》

そう言い葉子からの連絡は切れて私はふと空を見上げる。

染井「……。」

巨大な天使のような形をした謎の雲が駅前広場に発生しているらしい。私は無意識に其処へ向かう。葉子と会う為に?それとも…

私は……両親の姿に怯えるのは、死んでいると分かっているから……でも、両親がもし……本当に生き返ったなら……私は……また…一緒に…暮らしたいよ……

駅前広場に染井が到着すると親友の葉子に部隊の若村先輩と従兄弟の三浦先輩の姿もあった。

染井「遅れてごめんなさい。待たせたわよね。」

三浦「ううん。僕らも今来た所だよ。」

若村「そうです。ほんの5分前くらいかな?にしても凄い数の人だな……」

香取「取り敢えず……私喉渇いたからさ。二人とも何かジュース買ってきてよ。」

若村「えっ?何で突然。」

香取「ほらお金上げるからさ。」そう言うと葉子は服のポケットから財布を取り出し硬貨の小銭を麓郎達に渡す。

三浦「……分かった。行こう麓っ君。」

何かを察した雄太は麓郎を連れて二人の元から離れて行く。

 

 

 

香取「……どうしてあんなお願いを私にしたの?」

二人の後ろ姿を暫く見ていた葉子は親友の華に単刀直入に聞く。

染井「っ!?」

葉子は二人の方ではなく親友と真剣に向き合う。

香取「一体何があったの?」

染井「……葉子は絶対信じないわよ。」返事の声には諦めの感情が込められており、頼りにしていないと思われて少し腹が立つも…親友が真剣に悩んでいるから自分を落ち着かせて再び口を開く。

香取「何も事情が知らないままあんなお願いされても此方からしたら訳がわからないわよ。華。私は貴方の友達だから……貴方の力になりたいの。だからお願い……貴方の周りや貴方自身に何があったのか私に教えて頂戴。」

 

染井「………ごめんなさい。やっぱり相談出来ない。」

香取「華……そんな悲しい事言わないでよ。私が頼りにならないかも知れないけど相談してよ。」

 

死んだ自分の両親の姿が見える……死人還りの被害にあっていると言ってもその姿は他の人には見えない……親友を巻き込む訳にはいかない。

染井「……葉子。」

三浦「お待たせ!?ヨーコちゃん。」

若村「すいません。華さん、これで良かったですか?前ラウンジで飲んでいた奴なんですが……」

そうこうしている内に二人がジュースを持って戻ってくる。

香取「ありがとう。」

染井「……ありがとうございます。」

ジュースを飲みながら葉子は麓郎や雄太達を見て言う。

香取「……麓郎。華は今悩みを持っているみたいだから相談に乗って上げてよ。」

若村「えっ!?」突然話を振られてビックリした表情をする麓郎。

香取「はい。残念時間切れ。此処で深く考えて華との会話を貴方は逃しました…」

若村「なっ!?」口を大きく開けた状態で固まる若村を他所に

香取「次は従兄弟の雄太。」

三浦「話してくれないかな〜」

やんわりとした対応だがある意味普段通りで華に話し掛ける雄太。その三人のやり取りを見て華は……

染井「………。」

香取「私一人で頼りないなら部隊の皆に相談するのも一つの答えよ。華。貴方は一人じゃない。頼りないけど私達がいるんだから…」

若村「そうです!!俺達をもっと頼って下さい!?」

三浦「僕も親から従姉妹が悩んでいるなら力になって上げてって言われているから遠慮しないで……」

染井(皆……。)

染井は剣持に話し掛けるように意を決して言う。

染井「……死人還りって言う噂を知っている?」複雑な気持ちが混ざっていた。友達や部隊の先輩を自分から巻き込んでしまった感じだ。

香取「?麓郎知ってる?」

若村「いや、俺は知らないな……雄太は知っているか?」二人は始めて聞く単語なのか反応が乏しい。

三浦「………遺族の周りに死んだ故人が現れる現象だよね。」

だけど従兄弟である三浦雄太は知っているようだ。

染井「……知っているの?」

三浦「学校の後輩とご飯を食べながらする話題が上がったんだよ。三門市や日本各地に目撃情報が広まっているって……」

その後輩とは剣持と接点のある新聞部の井上一平(16)の事である。彼からは度々ミステリーやオカルトに関する話題が上がるのだ。

香取「…どうしてその噂が…………まさか……」

突然、脈絡なく言われた話題に最初は分からなかった葉子だが……雄太が言った遺族の周りに死んだ故人が現れる現象の言葉に親友の思い詰めた顔を見てここ最近の異変に気付くのであった。

染井「……。」

親友は静かに首を縦に振る意味で雄太や麓郎も理解する。

 

 

 

 

一方

市外の黒野の屋敷から市街地に向け走る途中ブラックワンは剣持にレーダーを見せる。

黒一「キリエル達の波長に反応し位置を教える探知レーダーだ。これで奴らが何処にいるか分かる。」

レーダーを見ると三門市のある場所に集結していてその中で大きく点滅する2つのキリエルの生体反応を確認する。

「市街地に……一際強力な波長を発するのが2つあるな。どちらが預言者の男だ?」

黒一「どちらであろうと倒すのみだ。速度を上げるぞ。」

「おう。」

 

速度を上げた二人が歩道を走る……そして同じ頃…

 

空間と異空間の狭間にてプリズムファイターこと成川ジョージは三門市に集まる複数のキリエル人の存在を見つけていた。

成川「この世にいない者の幻で人の弱みを釣る……たちの悪い詐欺師集団って感じか……さぁて、介入するべきか傍観するか…」

ジョージは考えながら相手を見る。本来の星間連合関連と全く関係ない案件……殺したい連中だが明確な引き金を引く理由も権限が無い。銀河連邦に連絡して許可を貰う手が最善なんだろうが…

その時、脳裏に鏡 拓也の姿が過る物の…

成川「……どうするべきか。」

 

三門市の市街地にあるビジネスホテル"メザード"前に一台のバイクが停車する。

風真「……此処か。」

バイクから降りてヘルメットを脱いで黒いテンガロンハットを被った健はホテルの回転ドアを通り入ると色々な人が色々な言葉のやり取りをする中で、真っすぐに受付がいる窓口に向かう。預言者の男性が宿泊しているか確認しに来たのだ。

風真「あの、すいません。」

受付の人……フロントクラークが此方に気付き慣れた感じの営業スマイルを見せる。

受付「いらっしゃいませ。ホテルメザードへようこそ。本日は何の御用でしょうか?」

風真「実は此処に宿泊している◯◯◯と言う人の部屋に連絡をして欲しいんですが…」

【………………………………………………………………】

風真「っ!……」

その名は鏡京太郎さんの取材でもう一人の舞台役者から教えて貰った名前を口にした瞬間、一斉に全てのざわつく音と話し声が完全に消えた。

風真「………。」

〔推奨BGM怪奇現象[M―34]〕

同時に背後から刺すように感じる大量の此方を見る視線に探偵は帽子を深く被りフロントクラークから教えて貰った番号の部屋と階へ全力で向かう。

探偵がその場から一気に走り出すとホテルのスタッフ、そしてホテルに宿泊客達すら探偵を殺意全開で追い掛ける。

風真「やれやれ。どんな手品を使ったんだか……」正気を失い狂ったように殺意を持ったホテルスタッフと宿泊客がさながら逃走中のハンター達の如く風真を探す。

風真「捕まったらロクな結果にならなさそうだ。かと言って無闇矢鱈に殴る訳にもいかないし……預言者の元へ急ぐしかない?」

ホテルの通路を全力で走り途中エレベーターを考えるも、風真は非常階段を利用して預言者がいる階に急いで向かう。

階段を上る途中で人の気配がして風真は不意打ちの一撃を放とうとすると

迅「ちょっ痛っストップ!?待ってっ!?味方だよ!?」

互いに放つ一撃を片腕で防ぎ両者向き合い

風真「お前は、ボーダーの依頼人。迅悠一。」

迅「そそ。味方だよ。」

風真「……どうして此処にいる?」

迅「後輩が探していた人が此処に入ったのを見掛けてさ。フロントで軽く質問したら全員人が変わったかのように襲い掛かってきたんだよ。」

どうやら、自分と似た状況らしい……

風真「そうか。その探し人は?」

迅「それがさっきから色々と"見てた"けど途中で見失ってな。」

風真「…静かにしろ。」

気配を消して自分達を探すホテルスタッフ達をやり過ごしながら

風真「俺は天使の信者達を先導するある男が此処に宿泊している情報を報道カメラマンから聞いて此処にきた。」

迅「……何だか、俺の探し人と無関係じゃなさそうだな。この実力派エリートも同行しよう。」

風真「なら直ぐに行こう。」

それから迅と風真は協力して預言者がいる階へ向かい襲い掛かるホテルスタッフ達や宿泊客を次々と気絶させる。迅は改めて手際良く人の攻撃を封じて気絶させた探偵の多種多芸な特技に感心を覚え風真探偵に聞いてみる。

風真「よし命中。行くぞ。」

迅「前から気になったけど、それらの特技、何処で習ったの?」

風真「元々手先は器用な方でな……っと到着する。気を引き締めてくれ。」

目的の階層に到着した二人が通路に出ると異様な静けさが辺りを包む。

迅「………待ち伏せをしないって事は…話しをしてくれるのかな?」不気味を感じる通路で妙な感覚を覚える迅。

風真「……会いに行くと分かる。っとすまない。」

すると突然スマートフォンから電話が来て出る風真。

風真「もしもし、風真です。」

鏡《鏡京太郎です。すいません。仕事の最中に……》

迅「誰?」

風真「さっき話した報道カメラマンだ。……いや、大丈夫だ。それでどうしたんだ?俺は今から◯◯◯さんに会いに行く予定なんだが…」

鏡《それが、僕もその事で電話したんです。》

風真「……。」

鏡《その預言者の男性について毎朝新聞のデスクの情報網で調べたら驚きの事実が分かったんです。》

風真「驚きの事実?」

鏡《◯◯◯と言う男性は……3年前の交通事故で既に亡くなっているんです。》

風真「っ!?その事実は確かか?」

鏡《僕も既に遺族に確認してきました。葬式は勿論、墓もあるとの事……》

風真「なら、俺達が会いに行く人は……一体誰なんだ?」

鏡《分かりません。でも気を付けて下さい。個人の意見ですが何だか普通の出来事の範疇を超えている気がします。》

そう言い京太郎の連絡は切れる。

風真「普通の出来事の範疇を超えているか……それならもう体験しているよ。」

意味深な事実を貰いホテルの受付で確認した部屋の番号が記載された扉に辿り着く二人。

迅「さて鬼がでるか蛇がでるっ!?」

風真「っ!?」

迅は瞬時に健四郎の肩を掴み一気に引っ張り上げて扉の前から離れる。

風真「すまん。助かった!?」

迅「……嘘、浮いてるよ。」

流石の迅も宙を浮く預言者は想像していなかったらしい。

預言者「神聖なるキリエルの活動を邪魔する愚か者達よ。汝らに死の裁きを与えよう。」

風真「キリエル?何の事だ?」今回の事件に関して宗教関連を調べていたが天使や神様にそんな名前は聞いた事がない。

迅(何か癪に触る上から目線と物言いだな……小南の奴が聞いたらムカつく顔が目に浮かぶ。)

キリエルの巫女「あら?此処に辿りついたとはね。………残念だけど、貴方の役割はもう終わりよ。後は穢れた悪魔を釣る餌を此方に招くのみ。」

風真、迅「っ!?」

此方に背を向けて部屋の奥の来客用のソファに座る教会の茶色の修道服を着たシスター姿の女性が此方に顔を見せる。その顔は、カフェブラックスター2号店の店長が似顔絵モンタージュで描いた女性と同じ顔をして同一人物と二人は口に出さずに確信する。

女性はゆっくりと立ち上がり片手を預言者の男性に向けて

キリエルの巫女「キリエルの布教の役割ご苦労。褒美として灰になるまで燃やして上げます。」

風真「っ!!下がって!?」

今度は健四郎が迅を引っ張り急ぎその場から下がり預言者の男性の身体をその場で青い炎に身を包んで燃やし尽くす。その一部始終を目撃する二人。

迅「後輩の探し人トンデモない女性だな。でっ探偵さんはこの状況をどう見る?」

風真「見た通りの状況から分かるのは……そう言う事か。」

迅「どういう事?」

風真「さっきの預言者の男が今回の事件の首謀者かと思っていたが実際はあの美人のシスターが今回の事件を引き起こした真犯人って事だ。しかも普通の人の犯行ではないと来てる。っ上だ!?」

次の瞬間、迅と風真がいる通路の上の階層部分が粉々に砕け落ちてきて二人は別々に回避行動をするもそのせいで分断される。

風真「大丈夫か迅!!」

迅「大丈夫!?生きてるよ。そっちは?」

砕けた瓦礫を未来予知で知っていた為に回避するも、健四郎の方はシスターと…天井を砕いて出現した共犯者の姿を見て驚く。

風真(子どもっ!?)

小さな小学生くらいの年齢の子どもが、ホテルの上の階層の床を砕き此方に襲撃してきたのだ。

少年/キリエル人「邪魔だ。」

少年の右手からすかさず放たれる紅蓮の炎……獄炎弾を回避する為に健四郎は自分からキリエルの巫女いる部屋にアクションスタントの動きで飛び込み放たれた炎をやり過ごし、シスターの女性と向き合う。

風真「お前達は何者だ!?何を目的に人々を洗脳している!?」

キリエルの巫女「それを惨めな貴方が知る必要は無い……天使である私達に歯向かう者には素晴らしき死の宣告を与えよう。」

風真「初対面の人を惨め呼ばわりするとは例え本物でも……天使の風上にも置けないな。」

キリエルの巫女「弱く愚かな人類は、強く賢い天使にかしずく物よ。」

そう答えるとシスターの手から衝撃波を放たれて健四郎はそれをまともに直撃し勢い良く客室の窓ガラスを割りそのままホテルから突き落とされる。

風真「うわぁああああああああああああ〜〜〜」高所から生身で落ちて行く探偵。

 

シスターはその死に様を確認しようとしていると

少年/キリエル人「さぁ、姉さん。烏滸がましい穢れた悪魔の餌を迎えに行こう。」

弟から呼び止められて確認せずに振り向く。

キリエルの巫女「えぇ。悪魔と仲の良い彼女を私達の信者にして……私達の仲間をこの世界へ呼び込もう。全てはキリエルの神の命ずるままに……」

客室にいた二人の姿は忽然と幻のように消えて行く。

迅「っ!?」

トリオン体に換装した迅がスコーピオンで瓦礫を破壊して急いで探偵やシスター服の女性を探すも見付からず犯人の女性に撒かれた事を知り拳を握り締める迅。風が入り込む部屋を歩きながら捜索して

迅「……まさか此処から投げ落とされたのか?」

迅はもしや割れた窓ガラスから下の方を見るも運転手が不在の駐車した車クレスタ一台が硬い重い物にでも激突して半壊してあったが、肝心の風真探偵の姿は何処にも見当たらなかった。

迅「読み違えたか……あれは!?」

手掛かりを全て失い途方にくれていると、客室の割れた窓から見えるホテルの駐車場に『お化け屋敷』のローバーが停車して其処に知り合いのボーダー隊員黒野の姿が見えて迅は急いで一番下の階層へ向かう。

移動していた迅は辺りを見てさっきと違い自分達を血眼になって探していたホテルのスタッフも宿泊客も糸が切れたようにその場に倒れていた様子を見て真犯人達は移動したと考える。でも何処に移動したのか分からない。

ホテルのロビーに戻ると『お化け屋敷』の隊員や隊長達と出会う

黒野「迅!?どうしてお前が此処に?」

迅「剣持のお願いで人を探していたら、このホテルに入ったのを予知して追い掛けていたら何か想像していた以上の状況と遭遇したんだ。」

キム「駄目。ここいらにはもう反応は無いわ。」

迅「もしかして……二人もシスターを探しているの?」

黒野「何か死人還りについて知っているなら教えてくれ。」

迅はホテルのロビーを見渡して言う。

迅「此処にはもう奴らはいない……何処いるか探さないと……」

黒野「ならこの霊視ゴーグルとバージョンアップしたレーダーの出番だ。」

迅「えっ?霊視ゴーグル?」

黒野「説明はローバーでする。ローバーに戻ろう!?」

キム「死人還りの真犯人達を必ず探し出すわよ!?」

 

一方三門市の駅前広場では

レポーター「今、三門市には天使のブームになっております。見てください。あの場に集まる人達は、天使が降臨してくるのを心待ちしており、天使の羽を置き物や人形を持っております。」

 

 

 

 

場所は変わり

少年/キリエル人「………。」

警戒区域のビルの屋上に立つその少年は市街地に片手を向けた瞬間、市街地の市民の何割が突然、ガクッと一瞬意識を失い再び意識が戻ると虚ろの目で幽鬼の如くある場所を目指して歩き出す。

少年/キリエル人「さて………うん?」

大量の人間を操り次の目的を遂行しようと忙しなく動くキリエル人の少年は自分に接近している強力な光の気配を感じ取る。

少年/キリエル人「丁度良い……探す手間が省けたよ……レッドマン。」

悪魔のような笑み向ける少年の視線の先に映るのは黒一とその横にいる剣持夢想の姿であった。

 

何処からともなく不気味な暗雲が三門市の美しき夕陽を覆い隠し三門市の空を闇色に覆う。

「感じるか?ブラックワン。」隣に立つ剣持が市街地に漂う異様な雰囲気を感じ取る。

黒一「洗脳能力……しかも信者達を中心に三門市の老若男女に遠隔操作しているな。」

三輪「……姉さん。」

目の前を幽鬼の如く横切る虚ろの目をした三輪秀次の姿を見て焦る表情をする剣持。

黒一「…知り合いか?」

「あぁ……急いだ方が良い……」

黒一「あぁ……っ!?」

一緒に走っていると突然宿敵の足が止まる……。

黒一「っすまない。「……何が見えたんだ?」……。」足を止めてしまった事を謝りの言葉を言うよりも剣持は黒一に問いかける。

「…誰かの姿が見えているんだろう……大切な…人の姿が…」

黒一「……どうしてそう思う?」

「一緒にいる時、何回か妙に険しい顔をしていたから……大切な人の幻影が見えたんじゃないかって……そう思ったんだ。」

黒一「……ずっと昔の話だ…。」

そう言い彼は剣持の前を歩く。

黒一「過去を思い出し懐かしむのは、キリエル人達の野望を叩き潰してからだ。」

「…分かった。」

感傷に浸るのは、この悪意に満ちたキリエル人の野望を打ち砕く為に剣持は移動しようとするが……

 

【ーーーーッ!!】

「っ!!」

剣持の中にある感じた危険を知らせる超感覚が反応する、。そして……前方に突然、炎の壁が地面から出現しブラックワンと分断され、更に路地裏から物凄いスピードで何が剣持に迫り込み一瞬で首を掴み一気に剣持を何処かへ連れて行く。

黒一「っ!!?」

炎の壁を斬り裂き黒一は剣持の方に視線を向けるも、自身の方にも新手の無数のキリエル人達が出現して衝撃波を放ってくる。

黒一「邪魔だ!?」

黒一はキリエル人達を剣持が連れてかれた方向とは反対の方向に誘導し殲滅する為に動く。

 

 

剣持は何処かの建設工事中のビルの屋上に連れてかれて自身の首を掴んだ存在を見て驚きの余り目を見開かせる。

少年/キリエル人「五島市の時以来だな。レッドマン。」

「っ!?君は…」

目の前の少年は、怪獣が暴れる市街地の中でマンションへ向かい鏡拓也と共にマンションの屋上にある鳩小屋にいる鳩達を外へ逃がそうとした少年だ。鋼鉄竜ゴロンゴロがマンションに近付く為に拓也が先にミラーマンに変身して怪獣と戦っている間、この子を指定された避難所に連れていったから良く覚えている。

「どうして……こんな事を!?君の狙いは僕だろ!?遺族や友達達に現れる故人の幻影を消せ!?洗脳能力で操っている三門市の人達を正気に戻せ!?関係無い人を巻き込むな!?」

少年/キリエル人「僕に説教をするよりも周りの事を心配したらどうだ?レッドマン。」

「何っ!?」

少年/キリエル人「君の周りの人達は皆…亡くなった故人達の事が忘れられないようだな……」剣持の目の前で悪魔のような笑みを見せる少年。

「貴様っ!?僕の大切な人達に何かしてみろ!?」

相手の言葉に心当たりのある人達の顔が浮かび剣持はカッとなって少年に掴みかかるも、

少年/キリエル人「人間の子どもを殺すの?この人殺し…」

「っ!?」

子どもの声とその言葉に一瞬の動揺と共に動きが止まってしまいその行動に少年は無邪気なそしてそれでいて得体の知れない不気味さを持つ天使のような笑顔で子どもの見た目に似合わない破壊力のある横蹴りをまともくらい苦悶の表情を見せる剣持。

「がっ!?」

更に容赦なく蹴りの追撃を貰い傷つく剣持。

「ぐはっ!!」

少年/キリエル人「本来の姿になれ。僕はレッドマンになった君を倒す事が僕らキリエル人が君より如何に優れた存在と言う事をこの世界の愚かな人類に証明しないといけない。」

「そんな下らない事の為に……皆の心を弄んだのか!?」

少年に近付かれてそのまま連続で殴られる剣持。一撃一撃が重く唇を切ったのか血を流す。そんな状態でも目の前の子どもを殴る気が起きない。凄く悪い奴なのに……許せない奴なのに……

少年/キリエル人「愚かな人々は幸せを求めていた。しかし突然の不幸に欠けた彼ら彼女らの失った幸せを……僕達が取り戻しただけだ。」

「当人達の気持ちを考えずにか!?亡くなった両親の幻影に怯えている人だっているんだぞ!?」

少年/キリエル人「怯えても……直に受け入れるさ。それが幸せな事だとな。」

「っ!?」

相対する少年の姿した存在は真琴先輩が言っていたように本当に人の気持ちが分からない…欠片も理解しようともしないし、寄り添う言葉を言っても常に自分達以外を利用するか見下すしかしない……完全に……イカれている。

少年/キリエル人「………レッドマンにならないなら今の君に用は無い。天使の手によって地獄に帰るが良い……」拳に獄炎を纏わせて貫こうと貫手の構えをするキリエル人。

「……さ、詐欺師がっ!?」

少年/キリエル人「………。」

「……死者蘇生も出来ないなら貧富の格差も解決出来ない。世界各地の紛争を始めとした様々な問題も解決出来ない。偽りだらけの貴様達が……天使を名乗るだと……本物の奇跡を起こせないし自作自演ばかりする……嘘つき連中が、耳の良い言葉を並べても、結局腐る程いる三流詐欺師共と何が違う!?」

少年/キリエル人「っ!?」

「普通の人より優れていると余り人を見下し過ぎると悪魔のいる地獄より底に堕ちるぞ。似非天使が!?」

少年/キリエル人「なら先に地獄へ行って三門市の奴らを待ってやると良いっ!!」そう言うキリエル人の少年は拳の炎を打ち消し剣持を建設工事中のビルの屋上から野球ボールを下へ落とすように全力で放り投げる。一瞬宙に浮かぶ感覚を覚えるも重力に従い地上目掛けて頭から落下して行く剣持。そして追い打ちを掛けるように落ちて行く剣持に向けてタワークレーンが積んでいる資材のワイヤーロープを手から放つ衝撃波で引き千切り鉄骨や鉄パイプを大量に積んだ資材を剣持目掛けて落下させる。

「地獄へ行くのはお前だキリエル!?絶対に逃さない!!?必ず倒す!!」

少年/キリエル人「やってみろ。君に止められる程、僕ら弱くないよ。」

ハザマ「っ!!!!」

剣持の姿は落下していった資材の塊に隠れる直前、キリエル達が認識するより速い紫色の光刃が鉄骨や資材を通り過ぎた。余りに一瞬過ぎて少年のキリエル人も気付かない程……

 

 

 

 

 

 

 

その建設工事中ビルの現場から遥か離れた別のビルの屋上にて

ハザマ「相手の姿は覚えたか?」

謎の少年「あぁ。行ってくる。」

そう言うと少年は罪無から離れ単独行動に移ろうとする。

ハザマ「気を付けろ。お前より対人戦が得意な可能性がある。」

剣持が反撃せずに一方的に相手にボコられた事が気になるも蹴りをする時の動きに無駄がない事から蹴りを主体にした戦い方が得意と罪無は見る。

謎の少女「無理しないでね。危なくなったら退くんだよ。」

謎の少年「分かってます。」

その一言と共に謎の少年はキリエル人の少年の後を追跡する。

ハザマ「……。」

少年の方を暫く見て続いて剣持の居たビルの現場に視線を移す罪無に少女は言う。

謎の少女「心配ならどっちかに手を貸して上げたら?」

ハザマ「……本当にヤバいと感じたらな。ナイトの方は引き際を知るから大丈夫だとしても……時には一人で自身の不甲斐ない現実に打ちのめされる必要もあるんだよ。優しい人間には特に辛いがな。」

 

 

 

場面は剣持達から染井達がいる駅前広場にて

染井「……と言う事なの。」

私は葉子達に自分に起きた怪奇案件である内容を話した……只、剣持君達の事は隠して……専門家に真相究明をお願いしたと葉子達に伝える。

三人は困惑の表情をしていた。私が嘘を積極的に言う人間じゃないから真実と分かるだろうが、それでも想像していた普通の人の悩みとはまるで違う悩みにどうしたら良いか分からないみたいだ。

香取「っ!?」

染井「っ!」

気がつくと私は葉子に強く抱き締められていた。

香取「もっと早く相談して欲しかった!!」

声を大きくして気持ちを言う親友に私は涙目にはならないも動揺する。

染井「……ごめんなさい。」

悲しそうな表情をして部隊の皆に謝りの言葉を伝える華。

葉子はゆっくりと抱き締めるのを辞めて華と向き合う。

香取「取り敢えず、華に起きてる現象の対策とか色々と意見だすわよ。」

若村「対策って………葉子…聞いた限りコレってボーダーの専門より剣持が配属している『お化け屋敷』の怪奇案件なんじゃないか?」

香取「っ!!」

若村「……何でもありません。」

麓郎は自分達の知識を集めたくらいじゃ対策とか立てられないと葉子に言うと凄い目で睨まれて黙る。

香取「雄太。死人還りって噂に共通点とかある?例えば、特定の場所を通ったとか……」

三浦「そういうのは聞いた事ないな。」

香取「なら誰かに会ったとか?」

若村「誰かって?」

香取「知らないわよ!」

若村「逆ギレするなよ!?」

三浦「まぁまぁ…落ち着いて…僕達が気付いてないだけで何か共通しているのがあるかも知れない……」

染井「……。」

三人が会話する所を少し離れた場所で見ていた華。

何気なく視線を人混みに移すと……

シスター「………。」

人混みに紛れて姿を見せる茶色の修道服を着た女性が居て瞬きした瞬間、既に自分の目の前に立っていた。

染井「っ!!」

シスター「死人還りについて知りたいんですよね。お嬢さん。」

聖母のような笑みを浮かべる女性に突然話し掛けられて驚く華。

染井「っ!?」

だが話し掛けられた其れ以上に、ある異常な状況に気付く。

染井(誰もこの人が居る事に気付いていない。)

周りの人の向きや視線が全て私とこの人とは違う方向へどうやっているのか向けさせている。

染井「貴方は一体……」

シスター「私は……天使に仕えるシスター。天使は数多の人達の中から貴方の境遇に心を痛め哀しんでおり……細やかながら天使からの贈り物として天国から貴女のご両親を蘇えらせました。」

染井「そんな事……ありえないわ。」

シスター「貴女が天使のお力を疑うのも無理はありません。ですが、確かにこの三門市に貴女のご両親はいるのです……」

染井「……。」

両親が生き返った……そんな事有り得ないなんて分かるのに……

シスター「ずっと孤独に暮らしていましたがもう安心して下さい。また家族一緒に暮らせますよ。」

染井「っ!!」

有り得ないと分かっているのに……もし…もし…もし……私の想像しない未知の可能性があるなら……私は……会いたい。会って沢山のお話がしたい。会って色々と伝えたい……

シスター「さぁ、ご両親が貴女を待ってますよ。」

笑顔でシスターは華に対して手を差し伸べる

染井「………。」

人は……思ったより強くはない……それは自分も自分以外の人達を見たら分かる……だから安心が欲しい……温もりが欲しい…帰る所が…私だって……家族が恋しい気持ちがあるのだから………

 

 

 

 

 

 

香取「華。貴女も心当たりになりそうな……華?……華!?」

ふと目を離し三人で意見交換をしていたが、やはり被害にあった本人にその時の状況を説明して貰おうと話し掛けてみたら……親友の姿は何処にも無かった。

三浦「葉子ちゃん?」

葉子は慌てて駅前広場のあちこちに視線を向けながら言う。

香取「華がいなくなっちゃった!?」

若村、三浦「っ!!」

香取「私探してくる!?」

若村「待て一人でこの大勢の人混みの中探すのは無茶だろ!?」

香取「でも!?」

若村「三人で別れて探した方が効率が良い。華さんに関する事で何かわかったら互いのスマホで連絡するんだ。俺は向こうへ行く。」

三浦「なら僕は此方に行って見るよ…」

香取「………立ち止まるな香取葉子っ!?」

そう自分に言い聞かせて葉子は親友の華を探す為に走り出す。

 

 

〔推奨BGM その名は"ウルトラマンティガ"[M―18]〕

東「染井さん?すまないが見ていないな。」

香取「……そうですか。すいません。お時間を取らせて……」

職場の関係者の出水や米屋に緑川と一緒にいた東さんに華を見ていないか聞くも空振りと分かり葉子は移動する。

香取隊の三人は姿を消してしまった華の事を探す為にバラバラに別れて奔走する……そんな中で三浦からの連絡が来て葉子は足を止めて電話に応じる。

三浦《教会のシスター服を着た女性と一緒に警戒区域の方に向かったって鈴鳴の今さんと国近さんが教えてくれたんだ。》

香取「警戒区域の方?どうして華がそんな所に?」

三浦《警戒区域はボーダー関係者以外基本立ち入り禁止だから、僕ちょっと探してくるよ。》門誘導装置が警戒区域周辺には設置されている為に近界民が出現する可能性がある為に雄太急いで移動する。

香取「分かった、私もそっちに直ぐに向かうから…雄太。華を見つけたら直ぐに私に連絡して!?」

三浦《うん。ヨーコちゃんも気を付けてね。》

その返事と共に三浦からの連絡が切れ葉子も警戒区域に急いで向かう。

 

一方、キリエル人の少年は人間の姿を辞めて警戒区域にある拠点に移動している途中で姉のキリエル人からのテレパシーを受け取る。

シスター(悪魔の知り合い達が餌を探し回っているわ。足止めをお願い。)

青いぼんやりした人影の姿で足を止めて警戒区域へ向かう葉子の姿に気付き、若き炎魔人キリエル人は少年の死体に憑依する。少年は高く跳躍し葉子が走る目の前に衝撃音と共に落下する。

〔推奨BGM 侵略の予感[M―28]〕

香取「何っ!?」

警戒区域へ走っていると目の前に突然何かが落下してきて葉子は聞こえてきた衝撃音に思わず足を止める。土煙の中から茶色の上下一式の服装を着た不気味な雰囲気の少年が姿を現す。

香取「……子供?」

少年/キリエル人「……。」

ギロリと悪魔のような不気味な目を葉子に向けて尋ねる。

少年/キリエル人「烏滸がましい悪魔の仲間か?」

葉子の目の前に現れた怪しい少年が言う。

香取「えっ!アンタ何!!」

少年/キリエル人「まぁ良い……私達の崇高な目的の邪魔をするなら女子供であろうと容赦はしない……僕が一人残らず地獄へ叩き落としてやろう。」

香取「何わけわからん事を言っているのよ!!」

香取(何なのコイツ!?見た目は普通の子供なのに……確実に普通の子供じゃない。言葉を意味分からないけどヤバいのは分かる……)

隠すつもりのない殺意に飲まれそうになり葉子はポケットからトリガーを取り出す。

少年「キリエルに逆らう者は報いを受けよ!?」

そう言いキリエル人の少年は葉子に向かって人間以上ので一気に跳躍し葉子に向かって蹴りの一撃を打ち込もうとする。

香取「速い!?」

トリガーを起動する暇のない速さで迫る一撃だがそのキリエル人の少年に負けない速さで葉子の前に着地した存在が片腕でその蹴りを完全に受け止め防ぐ。

少年「っ!?」

香取「なっ!?」

紫の炎の模様がある学ランに似た服を身に纏い銀髪に左右の瞳の色が違う三白眼の少年が葉子を守ったのだ。

少年「っ!?」

謎の少年「っ!?」

再び左右の蹴りを交互に変えて放つも、その全てを両腕で弾き飛ばし向き合う両者。葉子を守るように立ち回る謎の少年。

少年「何者だ!?」

謎の少年「俺が何者だと……貴様達を倒す者の一人だ。」

間髪入れずに返事を言うと共に左袖口から丸鋸アンチサーキュラーを取り出し握り締めて構える。構えながらチラッと葉子に視線を向けながら謎の少年は言う。

謎の少年「……行け…お前が待ってる者の処へ……」

香取「っ!?」

その名前も分からない少年の言葉に葉子は背中を押されて走り出す。キリエル人の少年の横を一気に通り抜け

少年「逃さん!」葉子の命を奪おうとする少年は衝撃波を葉子の後ろに放つも謎の少年は自身を盾にしてその一撃を防ぎ逆に素早く距離を詰める。

謎の少年「お前の相手は俺で充分だ!」

丸鋸アンチサーキュラーを躊躇なく振りキリエルの少年の顔を斬り上げる。

少年「ぐっ!?」

顔面を傷つけられて謎の少年から距離を取るキリエルの少年。

謎の少年「……罪無の言っていた通り……憑依状態のキリエル人なら俺でも対処可能のようだ。」

少年「っ!?」

攻撃するように迫るも攻撃はせずにビルの壁を走り出す謎の少年から離れた葉子を追うキリエル人の少年。

謎の少年「逃さん!?」

謎の少年もビルの壁を忍者の如く走り出しキリエル人の少年を追撃する。

 

 

警戒区域にて

三浦「………華さんは一体何処に行ったんだろう。」

キョロキョロと周囲を見回している三浦はいち早く警戒区域に到着するも、人聞きで此処にきたとはいえ具体的な場所は聞いていない。

その三浦の近くで黒野真琴は声を殺して隠れていた。

真琴(剣持君が乗り込むだろうと天使の信者達が集まる集会場所が立ち入り禁止の警戒区域内にあるってオカルト専門の掲示板を頼りに来てみたら………まさか、剣持君の知り合いの先輩さんが天使の信者になっていたなんた……剣持君になんて伝えたら……)三浦雄太に盛大な誤解をして……

真琴(そうだよね。人間知らない所でいつの間にか悪徳宗教とか霊感商法に入っているなんて探せば割りとある事よね。うん、分かるよ。"悪徳宗教法人あらまき教"とかね。)

もう一度三浦見て見ると距離を離されていて急いで真琴は後を追い掛ける。

真琴「ヤバっ見失う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三浦「……華さん。何処にいるんだ?」

???「誰かお探しですか?」

三浦「うひゃあ、」

突然後ろから声を掛けられてビックリした表情をする雄太。背後を慌てて振り返ると修道服を身に着け頭巾を頭に被った綺麗な女性が笑みを浮かべて話し掛ける。

三浦「え、えっと、すいません……この付近でショートヘアで眼鏡を掛けて両手に手袋を着用した15、16くらいの年齢の少女を見ませんでした?」

三浦(////凄く綺麗なシスターだな……////聖母みたいだ……)

美人の女性を前で顔を赤くして緊張しながら華について尋ねる雄太。

シスター「えぇ。その少女なら見ましたわ。」

三浦「本当ですか!?なら直ぐにヨーコちゃんに連絡しないと」

シスター「その前に……その彼女が友達の貴方に伝言があるみたいです。」

三浦「えっ華さんが?」

シスター「私がメッセージをお伝えする御使いをしようと考えていたのですが、直接伝えたいと……彼女がいる所へ案内します。」

三浦「……そうですか。」

そう言い雄太は華がいるであろう場所へシスターの女性の案内によりついて行く事する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真琴(あのシスターって………もしかして…もしかしなくてもキリエル人!?)

警戒区域の建物の物陰から顔を出す真琴。

真琴(てか少しは疑おうよ!?染井華の仕事仲間さん!?立ち入り禁止の警戒区域に特徴的な修道服着た女性が影も形も無く背後から出現したのよ!?)

そう…雄太から見たら気付かない時に女性の前に来てしまったかのように見えるが、雄太からかなり離れた位置にいた真琴は前触れも無く雄太の背後に出現したシスターの一部始終を目撃しているのだ。本能的に危険と判断し真琴は咄嗟に隠れた為にキリエル人に気付かれる事はなかった。

真琴(………どうする?剣持君に連絡する?でも剣持君の大切な友達がいる場所が分かっていない!!オカルト掲示板の内容も何処まで信じたら良いか。)

真琴「っ!」

その時、横から気配をして真琴は声を出しそうになる真琴の口が押さえられる。

 

 

キリエル人の巫女「……。」

シスターの女性と三浦は真琴に気付かずにその場所へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒一「…………。」

若村「……。」

真琴「ぶはっ!」

黒一「…すまん。剣持夢想の知り合いよ。」口を押さえていた手を放し詫びの言葉を言う黒一。

真琴「誰!?不審者?」突然の存在に声を出す真琴。

黒一「あの女の敵だ。」淡々と答える黒一。

若村「……。」

真琴「あっ、染井の仕事仲間さん。」

若村「若村麓郎っていいます。」

若村(剣持には何故か王子先輩が付けた渾名のジャクソンって呼ばれているけど。)

黒一「分かった。ジャクソン。」心を読んで親しみを込めて渾名で呼んでみた。

真琴「宜しくねジャクソン。」ノリに乗る。

若村(接点殆ど無い人達にジャクソン呼ばわりされてしまった……どうして!?)名前を名乗ったのに名前で呼ばれない事に驚いているジャクソン。

真琴「所であの女の敵って言っていたって事は正体も知っているの?」

若村「えっ正体?」何も知らずに華が警戒区域に向かったと葉子から連絡を受けて向かって到着直後、黒き勇者にエンカウントしてしまった人。

黒一「……勿論。私は人を見下しあの上から目線の自己顕示欲の塊の詐欺師達を殲滅する為に剣持と共闘する事にした。」

真琴(あっ、この人……多分、剣持君の敵側の人だ。ウルトラシリーズのスーパーヴィランポジションの人だ。)纏う雰囲気が、完全に人間では無い……得体の知れなさは勿論、圧倒的な強そうなオーラをひしひしと感じ取る真琴。

真琴(そしてジャクソンは………普通の一般人?この人本当にボーダーの人なのかな?)何と言うか……頼りにしていいのか不安を感じる人だな……と思う真琴。

真琴「それで私達は此れからどうしよう?」

若村達に視線を向けて取り敢えず次の行動をどうするか話し合う。この強そうな剣持君の敵側の人は、単独行動でも問題無いかも知れないけど……普通の一般人の私は行動次第じゃ危ない橋を渡る必要があるかも知れないからね。

若村「えぇ…と、その……」

麓郎は次の行動について何か意見があるのだろうが、何か考え過ぎているように見える。

黒一「時間が惜しい。三人で固まってあの女と君たちの知り合いがいる施設の場所を確認。施設の場所を知ったらジャクソンは剣持夢想を探して施設までの案内を頼む。」

真琴「私は?」

黒一「中に潜入可能なら中に潜入して君達の知り合いを説得と同時に連れ出せ。私は現場の状況に最善を目指して臨機応変に動く。」

若村「あっ、はい。」

若村(っ!?俺、何安心しているんだよ。)

この中でボーダーと言う人を守る仕事をしているのに、ボーダーじゃない人達の言葉と役割に違和感なく応じた自分がいたのだ。

黒一「………。」

黒一は若村の方に視線を向けるも……

真琴「急ごう。二人。見失うよ。」

黒一「あぁ。行くぞジャクソン。」

若村「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間のキリエル人から報告が来た……分断したレッドマンの仲間の男を仕留めようとしていた同胞達が一人も帰ってこなかったらしい……その事実に、シスターは悲しそうな顔はせず能面の表情で

シスター「……そう。全滅したのね。」そう報告を貰い念の為に弟に攻撃されてダメージを受けたレッドマンの方に残りのキリエル人達を全て向かわせる。

シスター「弟には悪いけど、此方も急いでレッドマンの友達を信者しないね。」

そう答えシスターが後ろを振り返ると蹴りの一撃でもくらったのか気を失った雄太の姿があり

シスター「やっぱり人間って愚かねぇ…」

能面から悪魔のような嘲笑う笑みを浮かべて華が待っているであろう待ち合い室へ足をゆっくりと運ぶ。

 

悪魔の心に明確な揺さぶりをかけて……天使でもある我々が信者を含めた全ての人達の前で悪魔を祓う様を見せ付け自分達こそがこの星を導く者とわからせてやる。そうだ……悪魔の友達を意味の無い御神体にしても良い……絶望する光景が目に浮かぶ

 

 

 

シスターと三浦が入った建物を三人は確認する。若村と真琴は念の為に写真を撮る。

黒一「あの建物だな…」

真琴「あれ。私の義父の保有していた貸しビルだ。」

若村「そうなのか?」

真琴「人のビルを無許可で宗教の施設にして……奴ら許さない……」

黒一「…落ち着け……俺達の行動で人類の未来が決まるな。」

若村「っ!!?」全身から冷や汗をかく若村。

真琴「……責任重大だね♪」

軽く答えるも真琴は準備万端な感じで柔軟体操をして覚悟を決める。

若村「でも!!やっぱり他の方法を…」

真琴「他の方法って?具体的には?」

若村「そ、それは……」

難しい表情をして頭に沢山の提案が浮かぶもそれが最善の手なのか迷い悩んでしまい深く考え込むも、黒一はそんな若村に言う。

黒一「ジャクソン。難しくも深くも考えるな。お前は一人じゃない。俺達がいる。只、剣持夢想にこの場所を案内すれば良い。其れだけを今は集中しろ。中にいる友達達は必ず私達が助ける。」

若村「っ!?行ってくる!?」

まるで自分の迷いから目を背けるように走り出す。

黒一「剣持は此処から少し離れたビルの建設工事現場にいる筈だ。」

若村「わかった!?」

後ろから聞こえた言葉に状況反射に返事して若村は逃げるように走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真琴「……剣持君って今何処にいるか知ってますか?」

黒一「問題無い……此処から少し離れた建設工事中のビルにいる。」

真琴「それジャクソン知っているの?」

黒一「さっき伝えたの聞いていただろ。」

真琴「さっきの説明だと具体的な場所はジャクソン多分わからないと思うよ……」

黒一「今、あのジャクソンに必要なのは、自分で考える事だ。」

真琴「考える事?」

黒一「ヒントは既に与えた……警戒区域から少し離れた周辺にビル建設工事現場。この2つのヒントを元に剣持が見つけられるかは、ジャクソンの行動と決断で掛かっている。」

真琴「……どうやって剣持君の居場所が分かったのか聞かないであげる。今はあの建物に侵入する……って香取葉子!」

 

再び建物の出入り口に視線を向けると剣持君の話に出た内心滅茶苦茶面倒くさい女だな…っと思っていた葉子が建物内に勝手に入っていく。どうして葉子が目的の建物を分かったのか。

其れは雄太がシスターに案内されている途中に葉子にメールを送信して華の居場所を知っているシスターと一緒と行動している内容とジャクソンが走りながら、あっ、葉子に華さんが入るだろう建物のビルの写真をメールで送り…

香取『この施設に華がいるのね?良くやった麓郎、雄太!?』

返信を返せずに現場に急行したのだ。最もメールを送った雄太はキリエル人の巫女であるシスターに蹴り飛ばされて気絶。麓郎に至っては、葉子の近くを気付かずに通り過ぎて黒一に言われたヒントに該当するビルの建設工事現場を必死の表情で走る始末。

 

 

 

真琴「あぁ〜〜もう。剣持君がお呼びであって君はお呼びじゃないんだよ!?心配だから私、もう潜入してくるね。」

黒一「気を付けろよ。」

そう悪態の言葉を言い終えると真琴も香取の後を気付かれないように追い掛ける為に施設へ潜入する。

黒一「剣持……。」

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若村「……何だ?このギターのメロディー。」

剣持に電話やメールをしても反応が無く本気で心配になる麓郎は必死に探して目的のビルの建設工事現場付近に到着すると何処からかギターのメロディーが流れてきて

若村「……近いな。」

勘と言うか根拠は全く無いが、其処に向かえと何故だか感じてギターのメロディーが聞こえる方向へ麓郎は取り敢えず走る事にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ふん!?」

人の気配のしない静寂が支配する建設工事中のビルの現場にて資材を始めとした鉄骨の塊を傷だらけの片手で軽々と持ち上げてゆっくりと立ち上がり自分の周りに払い除けた少年はボロボロの姿でビルの建設工事中現場から出ようとするが途中フラフラとなって近くに1箇所に並べられた資材置き場に独り力無く座り込む。

「………………ぐっ……。」

苦痛の痛みに顔をしかめる少年は……剣持は自分の両膝に両手を置き落ち着こうと深呼吸する。

「……ふぅ~〜。」

表情を無理に落ち着かせて傷の回復に勤しもうするも……先程の一連の光景が次々と稲妻のようにフラッシュバックして変えようのない現実に打ちのめされて悔しさの余り身体を震えさせる。

「っ!!」

(……悪い奴だったのに……許せない奴なのに……只子どもの姿だった理由から僕は一度も……奴を攻撃出来なかった……)

そう僕の目の前には明確な敵がいた。しかも三門市の人達の……ボーダーの……人々の……想いと気持ちや願いを平気で見下し踏み躙った……そんな許せない奴が目の前にいたのに…僕は……僕は……攻撃出来なかった!!

 

剣持夢想が本来持つ他者への優しさ……相手は此方の性格を何時から調べていたのか分からないが分析して効果的に僕を追い詰める事が出来た。向こうは無傷で僕は一方的に軽くはない怪我を負った。

「…クソっ……クソっ……クソっ!……クソっ!!クソッ!!畜生っ……畜生っ!?畜生っ!!!畜生っ!!!!」

膝を握り締める力が増し歯を食いしばり己の感情のまま吠える剣持。自分を知る者が見たら驚く光景なのだろうがそんな世間体すらどうでも良くなるくらい声を腹から喉から出して己の不甲斐なさに怒り叫び目から悔しさの余り次々と涙が流れてきて自分をとにかく責める……

 

奴らの野望を止められるのは自分しかいないのに染井さんや迅さんや志岐さんや真琴さんに合わせる顔が無い……

「うわぁあああああああああああああ………ぅ……っ……ぅう…うぅ……ぅ……うぅ……うぅ………悔しいなぁ……」

本来なら今すぐにでもアイツを探し出して倒さないといけないのに身体が言う事を効かない。自分の心の整理がつかない。涙を止めようと必死になるも惨めさで余計自分が情けなくて涙が更に流れる。

 

〔推奨BGM 怪傑ズバット 二人の地平線〕

【♪〜〜♪〜♪〜♪〜♪〜〜♪♪〜〜♪〜〜♪〜〜】

「っ。」

三門市の何処からか……流れる風に乗って聞こえてきた優しい口笛とギターの音色が剣持の耳に聞こえてくる。

此方に近付く足音が聞こえて剣持は流れる涙を片腕で乱暴に拭い去り近付く影に視線を向ける。

「誰っ!?」

??「よう。剣持少年。」何気ない旧友に話し掛けるような……西部劇のさすらいのガンマンみたいなキザな声かけがこの時の酷く自身を責めていた俺の耳に不思議と記憶に残った…

「……風真探偵。」

視線の先に立っていたのは、赤と白いギターを携えた黒いテンガロンハットが目印の風真探偵の姿であった。

風真「………そっちも見ない間に、随分と怪我しているみたいだな。大丈夫か?」

心配してくれるのに俺は申し訳なさが増して視線を合わせずに

「……探偵こそ。酷い怪我しているじゃないですか?」自分に負けないくらいの重傷を負う探偵を心配する剣持。

風真「まぁね。それよりも……泣いていたのかい?」優しい声と共に自分の為にわざわざ膝を下げて目線を合わせて会話してくれる風真探偵。

「ぅうっ!?……泣いてなんかいません!?」

風真「……そうかい。」

泣いた跡が丸分かりだったが僕は何故か意味も無い強がりの言葉を言い風真探偵はそれ以上は聞いてこなかった。

「風真探偵はどうして此処に?預言者の男性が宿泊しているビジネスホテルに行ったのでは?」

風真「預言者の男は真犯人ではなかった……」

「えっ?」

風真「俺と警察達が熱心に追っていた預言者の男は3年前の交通事故で既に亡くなっていたんだ。」

「じゃあ、ホテルにいたのは……」

風真「カフェの店長が会った関係者の可能性のあるシスターの服を着ていた女性が預言者の男の死体を使い人々を天使崇拝するように仕向けていたんだ。用済みとなった男の死体はその場でマジックみたいに灰になるまで高温の青い炎で燃やされたよ。」

「なっ。」

風真「……俺はコレから途中、三門市の情報屋に教えて貰った奴らの潜伏している場所に向かうつもりだ。街の人達の様子も目に見えておかしいし急いでこの事件を解決した方が良い。」

「…子どもだったんです……」

剣持は唐突にそう風真に言う。

「……信じられないかも知れないんですけどこの事件は小学生くらいの子どもも関与しているんです。」

風真「……知っている。俺も襲撃を受けた。何なら手から炎を放たれた。」

「っ!?……俺、相手が悪い奴と分かっていたのに……」

風真「……。」

「子どもの姿だからって理由で……俺抵抗できなかったんです。それが……凄く許せないんです。」

風真「それは、相手が無邪気な天使のような子どもだからか?それとも一瞬でも子どもを攻撃しようと考えた自分にか?」

「……両方です。」

風真「………。」

「……覚悟が足りないんでしょうか……だから犯人は取り逃がすし、余計な怪我だってする……俺は愚か者だ……。」

風真「……人は簡単に覚悟が出来る生き物じゃない。」

「えっ?」

風真「……人は生きる中で様々な経験をする……時には望んで……時には望まずに……こんな仕事を続けていると、やりきれない事件にぶつかる事もある。どんなにこちらが覚悟したり準備したりしても大切な者を失う事もあるし……口で最もらしい言葉を言っていざ現実を目の当たりにするとじゃその落差にどうしようもなく苦悩する事もある。」

「………。」

風真「まぁ、悲しい出会いも辛い出会いもあるのが探偵って言う仕事さ。」

「ならどうしてその仕事を続けているんですか?」

風真「……確かに……君の言う通り、悲しい出会いや辛い出会いを経験しても尚もこの仕事を続けるのか。答えは……でもそれ以上にこの仕事は多くの素晴らしい善意とも出会う。優しい出会いや素敵な出会い。温かい出会いと言った感じにな。」

「…………。」

風真「人は君が思っている程万能では無いが……弱くはない。勿論君の心もね。」

「……。」

風真「今……この三門市で奴らの野望を阻止出来るのは、洗脳能力にかかっていない人間だけだ。それが三門市市民の何割か分からない。ヘタすれば1割は愚か100人にも満たないかも知れない。」

「………。」

風真「むしろ君のその話を聞いて君は本当に……温かく優しい少年と知って俺は嬉しいよ。」

「……ありがとうございます。」

風真「後は俺に任せて君は怪我の手当てをしてくると良い。」

探偵はそう言い剣持の肩を優しく叩く。

そうだ……僕には、まだやらないといけない事がある。自分の不甲斐なさに打ちのめされても葛藤しても良いし迷って苦しんでも良いから立ち上がれ!?剣持夢想。

「すいません。…………俺も……俺も…手伝います!?」

痛む身体に……迷う心に燃える炎の鞭を打って奮い立たせろ。

風真「戦えるのか?」

「僕があの時、戦う判断が鈍ったのは事実です。変えようのない現実です。その現実に自分がどうしようもなく悔しかったのも本当です。」

「それでも……僕は相手が子どもの姿とか僕自身の甘さ以上に……僕の大切な人達の想いを利用されて笑う子どもの姿をした悪魔への怒りが、僕に戦う決心を必ずさせてくれます!!?」

そうだ……決心しろ!?戦う覚悟も判断も鈍るなら更に真剣になれば良い……相手の非道の行いに更に怒れば良いし、赦さない奴と既に心に決めているだろ。

風真「…知っていると思うが、相手は普通の人間じゃないんだぞ……退くなら今だ。」

この人は本当に優しい……そうだ。普通の……ボーダーでも無い高校生なら此処が退き時だ。でも……奴らの真の狙いは俺だ。何より……染井さんがをあのキリエル人に狙われている。

「狙われているんです……僕の大切な人が……」

風真「なら尚更、手を引くべきだ。君の知り合い達は俺が必ず守る。」

「ありがとうございます。でも……すいません。人にはどうしようもなく譲れない物があります。僕の大切な友人が亡くなった両親の幻影に恐怖している。時間が現実を受け入れて前に歩んだあの人達の心が暗雲で陰りが見えているなら……相手がどんなに狡猾で強くても……力が足りなくても僕が……晴らさせたいんです。」

自分自身の甘さをこの先も後悔するとしても、今は大切な人達の為に怒りの炎を燃やせ!?自身の甘さに怒れ!?相手のキリエル人を絶対に赦すな剣持夢想っ!?

風真「……本当に大切な友達を持っているんだね。」

「ふぅ~はぁ~…ふぅ~はぁ~…ふぅ~はぁ~…こんな僕が命を懸ける程には、大切ですよ。」

ゆっくりと深呼吸して落ち着きを取り戻し相手と自分への怒りで戦う覚悟も出来た……

(必ず倒す……キリエル人。)

風真探偵は立ち上がり言う

風真「君の気持ちを尊重しよう……行くぞ。剣持。」

「はい。」

ボロボロの身体で伸ばされた風真の手を掴みゆっくりと立ち上がる。

すると突然スマホが鳴り剣持は出る。真琴先輩からだ。

「真琴先輩。どうしましたか?」

真琴《剣持君が言っていたシスターの女性が居たよ。染井さんと香取さんって人も一緒だよ。》

「っ!?直ぐに向かう。真琴先輩は安全な場所にいて!?」

事態が急変した事を知り連絡を終えて剣持と風真は走り出そうとするが、

「あっ!?」

風真「どうした?そんな大きな声を出して?」

「さっきの電話でシスターの女性と染井さん達が目撃された場所を聞いてないよ!?これじゃ探しようも無い。」

風真「さっきの先輩にまた掛けて聞けば良いだろ?」

「あっ!」

簡単な解決方法を教えてくれて嬉しいが凄く恥ずかしい……だが自分の恥ずかしさよりも、自分の周りの人達が危険に晒されている気持ちが強くなり急いでスマホの電話をしようとしていると

若村「待ってくれ!?剣持!?」

近くの路地裏から汗だくで此方に駆け寄る若村先輩が待ったのコールを掛ける。

「ジャクソン先輩!?ジャクソン先輩じゃないか!?」

突然の来訪者に驚く剣持と健四郎。

風真「えっ!ジャクソンファイブの!!マイケルの!」

若村「いや違います。マイケル・ジャクソンは一切関係ありません!?」

「先輩!悪いけど今は本当に忙しいんです。染井さんが…「華さんが向かった場所に心当たりがあるんだ!?」っ!?」麓郎の言葉に反応する剣持と風真。

風真「本当か!?」

若村「ああ。案内する。警戒区域の使われていないビルだ。」

まさかの道案内役が現れて三人は行動を開始しようとすると

 

 

【ーーーーッ!?】

「っ!?こんな時に……」

蒼いぼんやりした人影が三人の周りに次々と出現する。キリエル人達は若村に向かって衝撃波を飛ばし剣持が若村の手を掴み一緒にその場から回避する。

「大丈夫ですか?ジャクソン先輩。」

若村「痛っおいっ!何なんだ!!コイツら!?」初見でびっくりした表情を見せる若村。

「別の次元から来た悪魔って奴かもな……俺達を仲間がいる処へ向かわせないようにするつもりだな。姑息な奴らだ……」

若村の傍で既に臨戦態勢を完了した剣持。

「ととっと片付けて染井さんを迎えに行きますよ。若村先輩……。」

若村「剣も…「間違えたジャクソン先輩!!」おいっ!何で訂正した!!間違えてないぞ!?」

 

〔推奨BGM 仮面ライダーV3 不死身の男(Instrumental)〕

風真「剣持、ジャクソン先輩と一緒にシスターと仲間さん達が行った場所に向かえ。此処は俺が引き受ける。」

ズレたテンガロンハットを綺麗に整えて風真は二人の前に歩み立ち言う。

若村「でもあんた!?」

風真「こんな雑魚相手に時間を無駄にするつもりか?……大切な人達がお前らを待っているんだ。仲間なら……友達なら……漢なら……迎えに行ってやる物だぞ。」

若村「っ!?」

それもそうだ。本当なら口論する暇すらない……

「探偵…………分かりました!?ジャクソン先輩!?案内お願いします!?」

若村「分かった!?探偵さんも無理するなよ!?」

二人はこの場を急いで走り去る。

風真「心配するな……良い漢には……簡単には死なない物なんだよ……何より……」

風真の脳裏に浮かぶのは、幸せに満ちていた自分の家族を……その家族を失い悲しみと怒りに打ちひしがれ絶望していた俺を再び立ち上がらせた親友を……殺したガイラットの改造人間を探すまでは俺は死にはしない……。

風真「さて……ギャラリーがいなくなった所で……日本一の名探偵のもう一つの姿をお見せしようか。」そう言うと腰部に埋め込まれた2つの小型の風車が目印のベルトが出現しギターの側面にある四角い赤いボタンをすかさず押す。

 

蒼いぼんやりした人影……炎魔人キリエル人達は一斉に風真健四郎に向けて衝撃波や光弾を放つ。

健四郎は全周囲から迫る攻撃を素早く回避するも回避した先の足元から異常な熱を感じて足を一瞬止める。

風真「!?」

足元から瞬間的な紅蓮の火柱が立ち昇り健四郎の姿を飲み込む。一人のキリエル人の合図で火柱は飛散して健四郎の姿は其処には無い。焼け焦げた死体すら……

〔推奨BGM 仮面ライダーV3 V3アクション(Instrumental)〕

?????「…………助けはいらなかったぞ?何しに来た?」

キリエル人「「っ!!」」

高いビルから聞こえた声にキリエル人達はその声の方向に視線を向ける。向けた先に居たのは……

??「……別に…俺の三門市(にわ)が騒がしいのはしょっちゅうな事だが……故人の願いと想いを利用した幽霊モドキ共をモノホンの地獄に送るに来ただけだ……」

高いビルの屋上に気持ち良い風が吹く……その風が屋上にいる二人を通り抜けて行く。漆黒と青い二人組が立っていた。

??「行くぞ。セルサード。」

身体のラインが分かる漆黒の特殊素材で編み込まれたボディー・アーマーに身を包んだ戦闘体に赤い細いバイザーが特徴的な黒い2本の角を生やした狼を模した仮面を被った存在が隣に立つ黄色い蛾のような触角が左右に生えた頭部には白いブーメランがくっついた青い硬いイメージがあるフルフェイスマスクに赤いV文字を意識したサングラス状の複眼(仮面ライダースーパー1の眼)でキリエル人達を見詰めるセルサードと呼ばれる変身ヒーローに声を掛ける。

 

セルサード 種別 変身ヒーロー 出身地 東京の住宅街

やる事なすこと日本で一番のヒーロー。

日本をくまなく歩いて、家族の敵を探しだそうとしている。

泣きながらギターを弾いたり、小さな的に矢を放つ事が得意である。

 

 

セルサード「あぁ。直ぐに片付けるぞ!?」

【ピィンッ!!】

腰の背中から小さく可変された弓型の武器を大きく展開しV文字サングラス状の複眼を音と共に赤く光らせ悪を鬼の如き睨み付けたセルサードと黒い狼の仮面を被った存在がビルから俊敏な動きで飛び降りてキリエル人達に襲い掛かる。

 

また一方では高い建物が並ぶ歩道を歩く人々の真上から妙な音が次々と鳴り通り過ぎる。視線を向けて誰かがいる訳ではない為に何処かの建物内の音が外に漏れていると思い視線を元に戻す。

だが実際には……

少年/キリエル人「しつこいっ!?」

謎の少年「っ!?」

二人の少年がカメラや肉眼で捉えられない速さで戦いながら移動していたのだ。謎の少年の拳がキリエル人の少年の腹に炸裂するもキリエル人の少年はカウンターの蹴りを叩きこみ改装中のビルに向かって蹴り飛ばす。

謎の少年「がぁっ!?」

その一撃に受け止め切れずに吹き飛ばされて改装中のビルに倒れ込む謎の少年。

少年/キリエル人「悪いが……僕は大切な用事があるから退散させて貰う。」

少年のキリエル人がそう言うと向かい側ののビルの屋上に着地して片手を改装中のビルに向ける。

謎の少年「待てっ!?……何だ!?」

すると謎の少年の周囲の物が突然ガタガタと揺れ始め警戒する

少年/キリエル人「……天使の美しき聖なる炎で燃えるが良い…」

謎の少年「っ!?」

本能的に此処が危険と感じて直ぐに謎の少年は人間以上の跳躍力でビルから離れるも次の瞬間、自分が立っていた改装中のビルが爆発炎上してしまう。ギリギリで紅蓮の業火に包まれる前に少年は離れる事に優先した為にキリエル人を逃がしてしまう。

謎の少年「…………奴に逃げられた。」

【チリンチリン。】

謎の少年「っ!?」

すると自分の後ろから突然耳に優しい鈴の音が聞こえて状況反射で少年は左手に持つアンチサーキュラーを振るう。

現場から然程離れていない車道を走り探知機に反応するレーダーを頼りに移動していたローバーもビルの爆発を目撃しており、

迅「何だ!?自爆テロか!?」

黒野「あのビルだ!?」

突然の爆発炎上に迅は驚くもそのビルの爆発を目撃した『お化け屋敷』は急ぎそのビル爆発現場へ急行する。

謎の少年は『お化け屋敷』が来る前に姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

路地裏にて

謎の少年「……お前は誰だ?」

太刀風「人に名乗る前に名を名乗るのが先で御座ろう。」

謎の少年「俺は……ナイトだ。」

太刀風「妙な気配で御座る……御主、人でないな。ましてや

拙者のような者でもない。」

謎の少年「俺は怪獣だ。」

太刀風「……いや、御主は怪獣でもないな。」

春日「皇虎先輩。少年とそんな事している場合ですか?」

ハザマ「……ナイト。キリエル人の集結している場所が分かった。お前が逃がした奴も其処へ向かっているようだ。」

謎の少年「なら急がなければ!」

少年は目の前に立つ男を知ってるある長刀を腰に差した知り合いの姿を一瞬想像するも今はキリエル人の方と考えて移動する。そんな時……

太刀風「急ぎなら拙者が力を貸そう。」

謎の少年「何?」

ハザマ「コイツは俺の後輩だ。信用しても問題無いと思うぞ。」

謎の少年「どうするつもりだ。」

太刀風「知れたこと……御主に千里を駆け抜ける風の精霊の加護を一時的に与えてやる。」

そう答えると男……皇虎の周りから水色の風が小さく吹き更に何処からともなく黄緑色の風が少年の周りに集まっていく。

謎の少年「……身体が軽い…」

ハザマ「お前は、相手の位置や気配を探る能力が未熟だ。俺が道案内するから風のままに舞い上がれ。」

 

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施設内の祭壇のある部屋の前の階段近くにて

 

染井「……黒野真琴さん。」

真琴「染井さん〜〜何で連絡をくれなかったの!」

真琴はチラチラと辺りを見回して近付く。

真琴「とっとと此処から逃げようよ。アイツはね。キリエル人って言って人の心の弱みを狙って思い通りに支配して揺さぶる悪魔のような連中なのよ……」

染井「真琴さん……私はそれでも良いんです…」

真琴「えっ?」

クールで達観した性格の彼女の口からとんでもない返事が返ってきて驚きの表情を見せる真琴。

染井「私あの女性と少年が普通の人間じゃないって言うのはもう知っています……でも……それでも……私は私の家族と一緒に居たいです。」

真琴「そんなの間違っているよ!?」

染井「っ!?……何が分かるの……あの日、私を愛し私を育ててくれた家族を失った私の心の叫びが貴女は分かるの!?」

真琴「っ!?」

染井の言葉に真琴の脳裏に過るのは亡き母と父の姿である。母は再婚だが家族仲は悪くなく真琴自身血の繋がりのない義兄と一緒に家族として大切にされたから幸せな時間を過ごしたと思っている………例えその幸せが終わる時が来るとしてもかけがえのない大切な時間であり思い出だ。でも全員が前を向いているようで向いていない。

真琴(……当たり前だもん。たった1日で自分の幸せな家族を失って一人で生きて行く……そんな現実に全ての人が耐えられる訳じゃない……それが出来るのは親子関係や家族関係が最悪な人くらい……普通の人は……やっぱり幸せな時間が恋しいんだよ………染井さん。想像もつかないかも知れないけど……痛いくらいその心の叫びは私は分かるよ……)

互いに亡くした者を…失った日常を持つ人間だ。だからこそ……私はこの場で彼女に言わないといけないんだ。逃げちゃいけないんだ。

真琴「染井さん。何処かで聞いた事のあるベタな塊みたいな言葉だけど……良く覚えておいて……」

染井「………。」

真琴「死んだ人はね。どんなに望んでも……どんなに祈っても……どんなに求めて……どんなに縋っても……どんなに欲しっても………」

染井「………。」

真琴「……もう帰ってこないよ……どんなに会いたいけど……もう2度と会えないんだよ…だからこそ今を生きてる私達が覚えていないとその人達のこと完全にいなくなっちゃうじゃん。」

真琴「……私の境遇だって染井さんと殆ど変わらない……心の叫びだって知っている!!失った苦しみだって味わっている!?でも染井さんと違う事も当然ある。でもね……どんなに辛くて苦しくて悲しくても向き合うしか前には進まないんだよ。本物の染井さんの両親だって今の染井さんを見たら絶対に叱ってくれるもん。」

染井「どうしてそんな事が分かるんですか!?貴女は私の両親に会った事は……」

真琴「勿論無いよ!!でも今の染井さんを見て少なくても最悪な毒親じゃないのは分かる!!幸せな時間だってずっとは続かない……何時か終わる。それでも……その人達と過ごした時間が日々が貴女の心の支えになる。貴女の心の力になる。暗く重い物ばかり見ないで周りをもっと見てよ!!貴女が愛した本物の両親だって今生きていたら貴女をこんな所から救い出す!!それが理屈じゃない家族愛って奴だもん!!」

染井「………!?」

真琴先輩の不器用な言葉の数々が不思議と今の暗い私の心の中に入っていく。言葉遣いは馴れていないんだろう……でも目の前のこの人は私を思い留まらせようと心に響く言葉を言う。心の中にある私の間違った決意を止めてくれる。

染井(……そうだ。葉子達が私を探してる。……剣持君だって)

少年「これは驚いた……」

シスター「私達キリエル人の事を此処まで知る人間がいるとは……」

私と真琴さんはシスターと少年にある広い部屋に連れてかれる。

私の腕を掴み体格差を感じず無理矢理引っ張る子どもの柔らかい筈の手が死人のように冷たく固い……シスターに引っ張られた真琴は必死に踏ん張るも引っ張られて固い床に放り出される。

真琴「うびゃあ〜〜〜〜」

染井「真琴さん!」

少年「姉さん。投げないでよ。」

シスター「あら、ごめんなさい。お嬢さん。つい力が入って…」

華は真琴に急いで駆け寄る。

染井(真琴さんを巻き込んでしまった!どうにかして真琴さんだけでも逃さないと……)

真琴(レッドマンのスーパーヴィランは何時来るのよ!!)

連れてこられた部屋の内部はまるで西洋の教会の祭壇のような物が置かれており中央の祭壇の上には小さなレッドマンが炎の十字架に括りつけられ地獄の業火に燃やされている像が置かれており、空から無数の白い翼を生やした清らかで美しく気高い……感じに描かれている禍々しい外見のキリエロイド達の姿があり……

真琴(ちょっと、独特過ぎて反応に困る……絵を投稿するサイトとかならお気に入りに登録したいけど、実物を見るとちょっと自己顕示欲強過ぎじゃない?)と真琴は何ともいえない表情を像や絵画に向ける。

シスターは二人に近付き信者達に言い聞かせる演説のように言う。

シスター「死んだ最愛の者との思い出に浸りたいと思う事は悪い事では無いわ……」

真琴「皆が見ている人は本物じゃない!?只の幻と同じ!!」

真琴(兎に角、出来るだけあの二人に話し掛けて時間を少し多く稼ぐしかない!!あ〜〜〜誰でも良いから私達を助けに来て〜〜)

生きた心地がしない状況の中で必死に頭を回転させてキリエル人に会話をする。向こうは精神的に余裕があるのか……悠々自適に会話に応じる。

シスター「それでも皆ソレを望んでる。幸せに包まれている歓喜の表情が分からないのかなお嬢さん?」

真琴「人の頭をおかしくさせて……手口が麻薬の奴と変わらないのよ!!」(まだ死にたくないよ〜〜)

少年「幸せな夢を求めるのは愚かな人類のサガだ……だからこそ

キリエル人は人類を良い方向へ導き奇跡を与え続けよう……彼らの望むがままに……」

香取「勝手に人に与えるなよ!?」

声を大きくして扉をヤクザの如く蹴りを入れると同時に部屋の中に入ってきた親友の姿に驚きの表情をする華。

染井「葉子!?」

香取「悪質な宗教勧誘から迎えに来たわよ!華!?」

真琴「私も居るよ!」

(剣持君の知り合いの頼りになるか微妙だけど生意気そうな香取さんがキターー!!)

シスター「あら?誰かしら?」

キリエルの巫女(弟の襲撃を掻い潜ったの?)チラリと弟に視線を移すも直ぐに葉子に視線を向けて尋ねる。

香取「華の友達よ!?部屋の扉へ向かう前に良くもまぁ、言いたい事を言ってくれたわね!?」

葉子ドシドシと足音を鳴らしてシスターに接近し向き合いながら言う。

シスター「弟の襲撃をどうやって逃れたのか知らないけど……部外者は退室をお願いするわ。」

香取「弟の襲撃……アンタあの子どもの姉か!?」葉子は近くに佇む少年に視線を向けて苛立ちの表情で姉にガンを飛ばす。

シスターは威嚇の意味を込めた衝撃波を葉子の顔ギリギリに向かって放つ。

香取「なっ!?」葉子は慌てて後ろを振り返ると壁に小さく丸いめり込みの破壊の痕を確認する。

香取(弟も普通の身体能力じゃないけど、姉も充分化け物じゃない!?)

真琴「香取さん!!ソイツらは炎を操り手から火炎を出す。他にも…」

シスター「部外者は黙って下さる?」

続いて真琴の足元に向けて獄炎弾を放ち咄嗟に華が真琴を引っ張って直撃を避けるも床のカーペットが燃える。

シスター「あら?」

小さく燃える炎を一瞬で何も使わずに鎮火させて香取に視線を移したシスターは言う。

香取「……アンタ……只のシスターじゃないみたいね。」普通のキツい目付きを更にキツくして相手と視線を合わせる

シスター「大人しく友達を見捨てて退室してくれるなら貴女に危害は加えませんわ。」

染井「葉子!?私に構わずに逃げて!?」

香取「なら華と其処にいる人も連れてさっさと帰らせて貰うわ。アンタ達の下らない妄想や空想に付き合う程、私達は暇じゃないのよ!」

親友に危害を加える可能性がある相手が……目の前にいる時点で葉子の中には二人を置いていく選択肢はない。

香取「何よりも……華、私は二人を置いて逃げるつもりはないわよ。」

香取は記憶の中で染井の両親の事を思い出す。内心、自分の両親との違いに色々と思う事はあるが……特に華の父親は厳しく……正直好きになる人間のではない……でもその根幹は娘の将来を思って厳しい教育方針をしていたのは自分でも分かる。……そんな自分でも分かるからこそ…目の前のシスターの口から発した奇跡とか言うあやふやで不確かな言葉はムカつくし、与えてやろうと言う上から目線で人を見下す目の前の化け物はもっとムカつく!!何処の宗教も神様もそうだがその宗教に入っていない奴は助けないとか祝福しないとかケチ臭いのよ。

己の拳を握り締め葉子は覚悟と決意を決めた表情で言う。

 

香取「私は大切な奴の為に戦う……命懸けで……どんな相手でも

大切な奴らの心からの笑顔を守りたいから……本物の華の家族は何時でも華の胸の中で生きてる家族だけだ!!」

染井「……葉子。」

シスター「……貴女は一体何者なのかしら?」

香取「只のボーダーよ!!」

 

真琴「良く言ったわよ!?貴女只のムカつく女子じゃなかったのね「煩い。」ぎゃん!?」

情けない声と共にシスターに気絶させられる真琴。

香取「キリエルだかキリストだか知らないけど子どもだからって私の親友を泣かしたら容赦しないわよ!!」

シスターの服装をした女性は聖母のような笑みを浮かべて言う。

キリエルの巫女「やってみろ。ボーダー。」

そう言い構える巫女と少年。

香取「トリガー 起動!!」

少年/キリエル人「っ!?」

真琴と華の前で葉子はトリオン体に換装完了する。相手がトリオン体であろうと容赦なくキリエル人の少年は攻撃を仕掛ける。

染井「避けて葉子!」

親友の言葉に反応して高速に放たれた蹴り身を一気に引いてやり過ごす。

香取「危なっ!?あんたボーダーの人間を本気で蹴ろうしたわね!!」

冷や汗を垂らして相手の容赦無さを再確認する葉子。

少年/キリエル人「キリキリ!!」

香取(想像以上に好戦的な連中ね。気絶させるのも難しいかも……)

謎の少年「……。」

高速で風と共に葉子達がいる建物に飛来する何か…飛来する風で銀髪の奥に隠れた青い三白眼が窓ガラスの向こう側のキリエル人の少年と葉子の姿を……気を失った真琴の姿を捉える。

香取(とにかく、この場から二人を連れ出さないと…)

すると葉子達とキリエル人の姉弟の間の窓ガラスの向こう側から空中高く蹴りの一撃と共に窓ガラスを粉々に砕き割り部屋に飛び込んできた銀髪の謎の少年が香取達の方に視線を向ける。

香取(あの子!)

謎の少年「………流石は罪無の後輩を名乗るだけはある。簡単に追いついたな…」

謎の少年の脳裏に過るのは、罪無経由で紹介された2本の黒い刀を差した若い男…三門市の風の精霊とやらの協力で一時的とはいえ自分の身体の負担がまるで無い高速移動や通常以上の跳躍が可能になった。加護とやらはこの部屋に飛び込むと同時に消えたが、お陰で逃がした敵の居場所には到着した。

少年/キリエル人「貴様は!?」

謎の少年「……。」

少年はキリエル人達を無視して染井の横で意識を失った真琴の方に視線を向けてそれから葉子にちらっと視線を向け

謎の少年「おい。女。」

香取「えっ!?突然何よ。私の事?」

謎の少年「……一人は俺が引き受ける。後ろの二人の女を守ってくれ。」そう淡々に言うと共に一気にキリエル人の少年に接近して丸鋸アンチサーキュラー放つ。

少年/キリエル人「っ!!」

遭遇した時に顔を斬られた為にバックステップで下がり追撃の為に少年は再びアンチサーキュラーを振るうも今度は片手で防がれて横蹴りを貰うも食いしばる怪獣。

謎の少年「逃さないと言った筈だ!?」

すかさず鋭い肘打ちをキリエル人の少年に叩き込み胸ぐらを掴み近くの壁に向けて一緒に飛び込む。

染井、香取「っ!!」

謎の少年「……心配するな…」

壁が粉々に砕けて飛び込む直前、遭遇戦の際に傷付いた謎の少年は華と葉子に視線を向けそう一言を言い自らキリエル人の少年と共に部屋から移動する。

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葉子達を巻き込まない為にキリエル人の少年を引き受けて別の場所で戦闘をする謎の少年。

謎の少年「ふん!?」

少年/キリエル人「がっ!?」

片手で相手の片腕を掴んだ状態で床に全体重を込めて全力で叩きつけると床がその一撃に耐えられずに砕けて下の階層に更に落下していき。

少年/キリエル人「離れろ無礼者!?」

落下する途中、謎の少年に向けて衝撃波を打ち込み一番下の階直前に着地するキリエル人の少年。だが上を見上げると謎の少年の姿は無くキリエル人の少年は周囲を警戒していると

【………………………………………………………………】

忍者のように謎の少年は死角から飛び出てきてキリエル人の少年の胸ぐらを掴まれる。

胸ぐらを掴んだ状態で謎の少年は少年に向かってアンチサーキュラーを振るおうとするも、片手で謎の少年の武器を持つ手を掴みその動きを封じて睨み合う。

少年「愚か者如きがキリエル人の僕に勝てると本気で思うのか!?」

謎の少年「貴様如き怪獣の俺で充分だ……」

互いの姿が一瞬、人ではない姿になるも直ぐに少年の姿に戻り。

少年「貴様……余計な真似をっ!?」

怪獣と名乗る少年に対してキリエルは蹴りを深く打ち込みながら

衝撃波を連続に叩き込み自分から距離を離す。

少年「くっ!僕とした事が!?」

謎の少年「逃さんぞ!?キリエル!?」

少年「邪魔だ!?」

追撃してくる謎の少年に向かって威力を上げた衝撃波を叩き込み別の通路の壁に叩きつける。蜘蛛の巣状の亀裂に大の字になってしまう謎の少年。普通の人間なら死んでいるレベルのダメージを受けている筈だが

 

謎の少年「逃さんと言った筈だ!?」

謎の少年は通路の壁を次々と蹴りキリエル人の少年に急接近する。

少年「っ!?」

だが鋭く放たれた正拳突きで謎の少年は本能的に下がりキリエル人の少年を見る。

謎の少年(……何だ……奴の動きが変わった……)

少年「お遊びはもうおしまい。」

格闘技の構えをするキリエル人の少年は怪獣を名乗る謎の少年に向かって攻勢に出る為に走り出す。

 

若村「あのビルだ!?って何だ!?」

大きな音が建物に聞こえてきて一度足を止めてしまうも直ぐに染井達がいるであろう建物に目指す。

「急ぎましょう。ジャクソン先輩!?」

友達がいる建物に速度を増す剣持に置いてかれそうになる若村。

若村「待ってくれ!?もう若村先輩かいっそ麓郎って呼んでくれ!?」

 

丸鋸を左手で振るう攻撃を簡単に避けて素早く接近し放つ三連続キックが謎の少年の顔、胸、腹を蹴り抜き更に抉り込むように鋭い拳の雨を振るう。謎の少年……ナイトは知らないが、キリエル人の少年は空手やキックボクシングやテコンドーを合わせた総合格闘技を使いこなしていた。身体能力は高く戦闘は可能でもその格闘能力に徐々に追い詰められていた

 

謎の少年(ぐっ!?さっきまでと明らかに動き其の物が違う。戦う事に適した動きをしている。かなり人間相手に戦い馴れている!!)

謎の少年は放たれるキリエルの鋭い正拳突きから咄嗟に距離を離すも正拳突きから放たれる衝撃波を再びまともに貰い更にキリエル人は建物の壁を一部を破壊して謎の少年を瓦礫の山に埋める。

 

 

一方

香取「もぎゃああああああああああああ〜〜」

高らかに響き渡るもぎゃああの叫び声と共にギャグ漫画の登場人物のようにコミカルに転がる香取葉子……

染井「……葉子。」

真琴「格好悪っ!?」

親友の呆れた気持ちのこもった声とその知り合い?の辛辣な言葉が無様に倒れた葉子の背中を貫く。

キリエルの巫女「あら?ごめんなさい。あんなに威勢の良い啖呵きったからさぞや凄いボーダー隊員だと思ってたけど……面白い意味で凄いわね。」完全に相手を馬鹿にする発言を言われながらも香取隊隊長は恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら立ち上がりキリエルの巫女に向かって指を指して言う。

香取「そっちこそ浮遊するとか超能力とか普通に汚いわよ!!」

キリエルの巫女「……ボーダーって思っていたより大した事ないわね。」

香取「言ってろ!?」

素早く拳銃型トリガーを両手で持ちながらキリエルの巫女に対して攻撃しようとするも、

キリエルの巫女「撃ってどうなるの?私はもう死んでいるのよ」

香取「っ!?」

シスターの服装をした女性の言葉に葉子は一瞬の動揺で引き金を引けず

染井「葉子避けて!?」

香取「っ!?」

キリエルの巫女の手から放たれた衝撃波を葉子は反射的にグラスホッパーを足元に出して一気に踏み込み衝撃波を避けてシスターから距離を取る。

真琴「駄目だ……完全に手玉に取られて遊ばれている。」

香取「ちょっと黙ってて…本部に聞こえますか?本部!?」

葉子はトリオン体に換装してシスターを気絶させようと接近したが、シスターが持つキリエル人としての身体能力で放たれる鋭い蹴りの嵐に手も足も出ずにやられている。一人で苦戦してプライドが本来なら許さないが、親友と民間人の命には変えられない。

プライドを捨て本部に救援要請する為に連絡をするも…

【……ザ…ザザ……】

香取「何で通じないのよ!?」

キリエルの巫女「残念だけど、この施設内部で通信連絡は意味が無いわよ。」

香取「本当に嫌な女ね!?アンタ!?」

通信妨害されて救援要請も援軍要請も不可と分かりシスターに苛立ちながら拳銃型トリガーを構えた葉子はすかさずシスターに向けて発砲する。

染井「真琴さん。何か弱点とか知っていないんですか?」

真琴「そんなの知らないよ。少なくても私が知っているキリエル人に比べて今回のキリエル人は随分と武闘派揃いだってこと…」

キリエル人の巫女(…私が知っているキリエル人に比べて……)

葉子の銃撃を衝撃波で応戦しながら気になる発言な耳を傾けるシスター。

香取「余所見とは余裕ね!?」

キリエルの巫女「余裕だからね。」

香取「ぐっ!?」

見えない攻撃の直撃を何とか避けているも、シスターの服装をした女性の蹴りを連続に貰いトリオン体がダメージを追っている事実に内心かなり動揺している。

香取(くそっ悪態の言葉を考える暇何かないわよ。華達の生命がかかっているんだから………向こうは生身の人間風に見えてトリオン以外の攻撃は通用しないトリオン体を傷つける事が出来る。

つまり仮に私が向こうにトリオン体を破壊される事は緊急脱出して本部に向かうって事……それはつまり華達を守る人間がいなくなるって事……)

責任重大である………相手の癖や弱点や能力も良く分からない……何時も一緒に戦ってくれる頼りない仲間達の姿もない。それでも二人を置いて逃げようなんてこれっぽっちも考えない。

香取(ゲームじゃないんだ……もっと頭を回転させろ。もっと考えろ!?私が親友の華を守らないで誰が守るのよ!!)

向こうは私相手に余裕なのか警戒はそれ程していない。だが……全力で挑んでも勝てるビジョンが思い浮かばない。それでもやるしかない……白兵戦や接近戦じゃ向こうが有利……かと言って距離のある銃で戦おうにも相手が放つ見えない攻撃……ゲームやバトルアニメで例えるなら衝撃波に気をつけないといけない。予想かも知れないが、私のトリオン体にも通用する可能性がある

香取(落ち着け……遠距離の衝撃波を撃ってくる際に特有の動作がある筈……取り敢えず相手の動きを一つ一つ見ろ。香取葉子!!)

作戦立案を基本部隊の麓郎任せにしている為に……自分は目につく相手を倒す為に動く。何時も通りと言えば何時も通りだが……

目の前にグラスホッパーを展開させ自分目掛けて放たれたデカい見えない攻撃をグラスホッパーを踏み込んで瞬時に跳び衝撃波を回避する。

香取「っ!?」

香取(やるしかない!?)

グラスホッパーをシスターの周囲に複数展開させて囲むように撹乱しつつ銃撃を放つ葉子。

キリエルの巫女「へぇ……。」

香取(強力でデカい衝撃波。通常の衝撃波。大量の衝撃波……でも奴は必ずどちらかの手から衝撃波を放つ。フェイントも勿論警戒しないといけないけど……全方位からの攻撃は無い。)

相手の目に向けてハンドガン型トリガーの引き金を引きトリオンの弾丸が飛ぶ。

キリエルの巫女「っ!?」

視覚を攻撃されそうになり一瞬動揺し炎の壁を足元に出現させてトリオンの弾丸を防ぐ巫女。

香取(炎の壁で視界を塞がれた!?なら……)

四方八方に動き回りながら相手に向けて銃を撃ち込む香取に向けて大量の衝撃波を放つ巫女。その様子を見る華と真琴。

染井(……波状攻撃と言った集中砲火も十字砲火も部隊の皆が居ないから出来ない………)

香取「ちっ!」

香取(トリオンの弾丸が炎の壁を貫けていない。空いた場所から攻撃するしかない……)

視界が空いた場所に向けてグラスホッパーを展開させて一気に踏み込み跳躍する。

香取(なら炎の壁が無い真上から。…………貰った!?)

すかさず拳銃型トリガーをシスターに向けるも

染井「葉子駄目!!」

華は声を大きくして叫ぶ。

香取「っ!!」

真上に飛び上がると中心にいたキリエルの巫女は香取目掛けて強力な衝撃波を真上目掛けて放つ。

香取「シールド!?」

寸前に聞こえた親友の言葉に反応しトリオンのシールドフルガードを発動して衝撃波をやり過ごし床に着地する。

キリエルの巫女「あら残念。仕留め損なったわ。」

香取「……嫌な女。」苛立ちを込めた目でキリエルの巫女を見る葉子。

わざと意図的に隙を作り誘われた……もし親友が先に叫ばなかったら衝撃波で天井に叩きつけられていただろう。

香取(接近して……でもあの女かなり戦い慣れている……)

グラスホッパーとスコーピオンで攻撃を考えるも、スコーピオンが命中する前に下がりスコーピオンの無い部分を的確に蹴り入れてダメージを与える為にはっきり言ってかなりムカつく。

香取(あんまり得意じゃないけど、向こうから攻撃してきたらカウンターで一撃で決めるしかない。さっきの妙な子どもが戻ってくる前に……)

 

キリエル人の少年は姉のキリエル人の元へ戻ろうとするが、

「……見つけたぞ。キリエル人。」

若村「おい。剣持。この子どもは?って雄太!?」

麓郎と夢想は近くで気絶した雄太に気付く。

「先輩はミューラー先輩を連れて此処を一度離れて下さい。」

若村「でも葉子達が!?」

「必ず僕が……僕らが助けます。」

若村は一度迷うも雄太を見捨てる訳にはいかない為に雄太の片腕を掴み気を失った雄太を立ち上がらせ運ぶ。

若村「直ぐに雄太を知り合いに預けたら此処に戻るから無理はするなよ。」

「それは……難しいでしょう。」

若村「っ!?」

本来なら剣持が雄太を逃がす事が理想的なのに、麓郎は剣持と目の前の少年の放つ威圧感に飲まれて雄太を連れて剣持達がいる所から離れて行く。

「……。」

(集中しろ夢想!?敵は前方にいる。何時でも殺しにくる気だ!?)

(あぁ、分かっている。)

少年/キリエル人「君が僕に勝つ可能性は全く無い…」

「そんな事、やってみないと分からないだろ!!」

少年/キリエル人「そうかね。なら君にもう手加減はしないよ……」

互い一歩足を踏み入れると同時に始まる戦い。

少年/キリエル人「キリィィィィィィィィィ!!!!」

跳躍と共に放たれる鋭い蹴りを剣持は両腕で防御して受け止めるもその威力に近くの壁に叩き付けられ壁は耐えられずに破壊され両者無人の部屋になだれ込む。

「クソッ!!あんな奴に負けてたまるか!!」

少年/キリエル人「聖なる天使によって邪悪な悪魔は倒される。」

華麗に着地と共に服についた汚れをサッと落としながら剣持を見下しながら言うキリエル人。

【ーーーーッ!?】

再びキリエル人の飛び蹴りが迫り剣持は両腕で受け止めて払い除けるも、空中で打ち上げられた状態で剣持の首を少年の両腕で体格関係なく掴み逆に投げ飛ばす。

「うわぁあああああ」

少年/キリエル人「キリキリキリキリ……」

扉に激突して扉は粉々に砕けて通路に投げ出された剣持を嘲笑うキリエル人。

だが剣持は身体中の痛む傷に顔を顰めるもゆっくりと立ち上がり構える。

少年/キリエル人「そんなに傷ついてまだ分からないのか?君では僕には勝てないよ。」

「はぁ…はぁ…はぁ……はぁ……相手が自分より強くて不利な状況でそれで勝ち目のなく死んでも…俺が逃げて良い理由にも挑まない理由にもならない!!」

(ベム!!コイルマン直伝のジャミング!?)

(あぁ。勝つぞ!!)

夢想の一言と共にベムも瞬時にジャミングを展開する。

少年/キリエル人は剣持のその言葉に苛立ちを露わにする表情を見せる。

「俺達はお前達に勝ちに来たんだ!!」

少年/キリエル人「……やはり君は愚かだな……」

「お前達のような奴に褒められるくらいなら愚か者で結構だ!!」

少年/キリエル人「この餓鬼めが……許さん!!」

少年は高速で接近し剣持の首を両手で締め上げてそのまま高く跳躍して上の階層を次々と破壊しながら剣持を天井に叩きつける。

「ぐおおおおおおおおおっ!!」

だが剣持もキリエル人の少年の顔を遂に反撃の意味を込めて躊躇なく蹴り上げて首締めから離脱

【ーーーーッ!?】

「ッ!?」

しかし蹴り上げられたキリエル人の少年は鬼気迫る表情で回し蹴りの態勢で剣持に再接近、

少年/キリエル人「キリィィィィィィィィィィィィ!!」

相手の鋭い回し蹴りをまともに貰う寸前に自分から床へ転がりと同時に受け身をして回し蹴りをやり過ごした剣持は決意と覚悟を決めた目をキリエル人の少年に向けて立ち上がり訓練用トリガーを取り出す。

 

「もう迷わない……躊躇わない……トリガー……起動!!」

己の姿を白い訓練隊員服に換装させて構える剣持。

 

互い戦う事は最初から決まっていた為に走り出してキリエル人の少年は鋭い蹴りを放ち剣持はその蹴りをギリギリで横をすれ違う事で回避すると同時に…

「レイガスト!!」

少年/キリエル人「ガっ!!」

不意打ち気味に剣持はすれ違う瞬間に右手からレイガストを出現させ不意打ち一突きをキリエル人の少年の横腹に刺して見事に食らわす。

横腹から赤い血の色の炎が漏れるも、無理矢理傷口を押さえつけて血の炎を消すもその表情は悪鬼も裸足で逃げる程憎悪に満ち溢れた表情をしていた。

 

「ていやぁっ!?」

レイガストが下段から素早く斬り上げられた一閃をバックステップで下がって回避したキリエル人の少年はトリオン体に負けない身体能力で剣持と互角に戦う。剣持はレイガストを次々と振るうもその致命的な一撃は回避され逆に蹴りや拳の打撃を貰う。

少年/キリエル人「キリキリキリッ!!」

連続回し蹴りを放すキリエル人の少年に負けずに剣持もレイガストと蹴りを連続で回転させて攻撃し互いの後ろ回し蹴りと回し蹴りが激しくぶつかり合いレイガストを連続で振るう。

「っ!?」

(身体の動きや蹴りの速度は人間以上だが……これなら許容範囲だ……今の僕でも戦える。)

【ーーーーッ!?】

「ヤバっ!」

相手の蹴りに意識を向いていた為に迫る見えない攻撃が剣持を吹き飛ばすも、衝撃波の追撃が来る前にシールドモードを展開して連続に放たれた見えない攻撃を全て防御する。

防御をしたまま一気にキリエル人の少年に向かって剣持は突撃態勢の踏み込みから一気に駆け出す。

「おりゃああああああああああああああああああああああぁ!!」

少年/キリエル人「っ!!」

突然のシールドバッシュはオプショントリガーのスラスターも持っていないのに充分過ぎる威力と速さでキリエル人の少年に叩き込み後方へ吹き飛ばす。

少年/キリエル人「ぐはっ!?」

吹き飛ばされて少年は床に転がるも剣持は一切情け容赦なくシールドモードからブレードモードに戻して跳躍して空中回転斬りを脳天に振り下ろそうとするもキリエル人の少年は素早く横転してその一撃を回避、剣持がレイガストを振り下ろした瞬間にトリオン体の剣持の顔を強靭な足で蹴り飛ばし更に頭を掴み勢い良く壁に向かって放り投げる。

「ぬおっ!?……まだだ!!」

剣持は空中回転で態勢を変えて壁を両足で蹴りつけて逆にレイガストの水平斬りをキリエル人の少年に放つも新体操顔負けの空中バク転でレイガストの水平斬りを避ける。

(あいつスパイダーマンかよ!?)

(感心してる場合か!?)

勢いをつけたキリエル人の少年の飛び蹴りが剣持の胴を捉えてそのまま剣持を壁に叩き込む。

「がっ!?」

更に飛び蹴りを叩き込む態勢から両手から見えない連続攻撃を剣持に矢継ぎ早に放ち剣持は耐えるも、衝撃波を食らう度にトリオン体から嫌な音が聞こえてくる。

(戦って分かっていたが…やっぱりコイツの攻撃……精神生命体の放つ攻撃だからエネルギー体と殆ど変わらないトリオン体にも効いちまうのか!!)

トリオン体はトリオン攻撃以外は破壊不可能…その絶対安全のルールが宇宙人のエネルギー攻撃や精神生命体の見えない攻撃……そして規格外の身体能力を持つ怪獣達によって覆ろうとしている事実をいい加減受け入れなければならない。

キリエル人/少年「悪いけどそろそろ終わりにして貰うよ。」

「こっちの台詞だ!!」

押さえ込められた状態で右手に持つレイガストを振るうも少年は素早く刀身を片手で掴み勢いを完全に止められる。

「っ!!」

(トリオン体の腕力で振り払えないなんてどんな握力してやがるんだよ!!)

キリエル人/少年「それで?」

相手を心底馬鹿にする笑顔と共に剣持の顎を殴り上げて更に怒涛の拳によるラッシュ攻撃を剣持の顔に執拗に浴びせる。トリオン体の顔の部分に一筋の亀裂が縦に作られそのまま頭を掴まれて全力で床に叩きつけられる。その一撃が床を蜘蛛の巣状の亀裂を作る出し剣持は悔しい表情をする。更に息をつかずキリエル人は壁や天井を蹴り跳び剣持の全方位から蹴りの乱舞を叩き込む。反撃は愚か防御も間に合わない速さで離脱と攻撃を繰り返されて追い詰められる剣持。

「がっ!!!!」

(コイツ、ボーダーのグラスホッパー戦術の一つピンボールの真似何かしやがる!!)

狭い通路内だからこそ壁や床や天井を己の身体能力だけでオプショントリガーも無いのに全方位からの蹴りを浴びせてきやがる。

(クソッ!!)

(……強い……僕に勝てるのか……僕じゃ守れないのか……僕なんかが……)

「ッ!!」

無意識に楽な方向に逃げようと甘えた事を考えた自分を恥じる。

(諦めるな!?思い出せ!?目の前のキリエル人よりも強い奴や危険な奴らを僕は知っている筈だ!?)脳裏に浮かぶは出会った強敵達………

奴はエルヴィル星人程硬くないし…ホーンデュアウトと違い手足は伸ばさないし…アインヘリアル5勇士の連中程の息をする事すら苦しく感じる威圧感も圧倒的な恐怖も絶望も感じない……そう自分に言い聞かせると己の心の中にある水面に波紋が次々と生まれる……

「「キリッ!!」」

剣持は至近距離から見えない攻撃を撃ち込まれてシールドモードを展開する暇も無く壁に叩きつけられて更に膝蹴りも貰う。

「「がっ!」」

少年/キリエル人「このまま殺す事は可能だが…今は時間が惜しい……其処で門が開くのをゆっくりと見物してくれたまえ……新しい世界……キリエル人が人類を導く素晴らしき世界の降誕を……」

痛めつけて弱らせる事をある程度して優先すべき事をする為にキリエル人は剣持から離れようと移動する……

 

「…待…て……」

(想像を超えた痛みの数々に意識を保つ事すらキツい……でも、やるしかない……僕らだけが止められるんだ!!)

水面の波紋が絶え間なく生まれて消えて行く。心が……意志が…震える僕の身体を突き動かす。

(こんな所で格好悪く倒れてるんじゃない!!男だろ!?…立て……立て………立て!?立ち上がれ!?四肢に力を入れろ!?まだトリオンは残っているし……戦いにも負けていない!!大切な人達が危険に晒されているんだ!?奴を逃がすな!?……戦え!?…戦え!?戦え!!?)

(俺達の大好きなボーダー隊員ならこんな場面で負けない!!)

夢想とベムは絶対にキリエル人を許さない……剣持は立ち上がりキリエル人の少年を追って走り出す。沢山の人達と過ごした日々が次々と脳裏を流れ星の如く過ぎり身体に力とエネルギーとトリオンが活性化する。

(赤い通り魔の名は伊達じゃない!!)

(皆ともっと一緒に居たいから!?皆と過ごした時に見せてくれる笑顔が心から大好きだから!!皆と過ごした日々が愛しいから!?……皆の大切な物や時間や幸せな日常を……その全てを!!僕の弱さで……手放させてたまるか!!?)

 

 

 

 

 

 

かけがえの無い人達の笑顔の為に人は頑張る。それは……世界中にいる全ての人達が持つ逆境を覆す原動力だ。

 

 

 

 

 

少年/キリエル人(間もなく時空の断層から門が現れる。)

キリエル人の少年は剣持の心が折れたと誤解した状態でやがて現れる異次元の門を開ける為に剣持を無視して施設を出る為に移動する途中……天井の部分が粉々に砕かれて鬼気迫る表情をした剣持夢想が降りてきてキリエル人の少年の前に姿を現す。

少年/キリエル人「っ!?しつこい!!」

「逃さない!!」

瞬時に見えない攻撃で下の床を破壊して少年は下のフロアに落下するも落下する途中自分に鬼気迫る表情で来る剣持に向かって

少年/キリエル人「邪魔っ!!」

キリエル人の少年は至近距離から強力な衝撃波を剣持に叩き込み吹き飛ばそうとするも剣持はレイガストを壁に刺して踏ん張り……その隙にキリエル人の少年は移動する。

だが……剣持はもう躊躇わない。

「逃さないぞ!?地の果てまでも追ってやるぜ!?」ベムが叫ぶ。

後ろから鬼気迫る表情をする剣持に少年の手から次々と放たれる目に見えない攻撃……恐らく小型の衝撃波を飛ばしているのだろう。危険を知らせる超感覚をフルに使い放たれる前に回避行動をするから距離は詰める事は出来るも正直、『お化け屋敷』の装備もしていないしレイガストだけだとかなり此方が不利だ。

「くっ!?」

少年「いい加減諦めたら?君に僕は勝てないよ。」

だが……そんな戦況の不利なんて…端から関係ない!!

「諦めるか!?大切な人の掛け替えのないその思い出を穢す者を僕は……僕達は絶対に許さない!?」夢想が叫ぶ。

白いボーダーの訓練隊員服が汚れるも、夢想は走る。全速力で走る。

(このままじゃアイツに追い付けない。……もっと速く……もっと速く……もっと速く!奴の衝撃波を何時までも食らう訳にはいかない!!速くなれ!!速くなれ!!速くなれ!!)

目には見えないトリオンに……剣持夢想の想いが無意識にレッドマンのエネルギーをトリガーに流れてソレを構成するトリオン体にも影響が生まれる。トリオン体の全身にトリオンには明確に違うレッドマンのエネルギーを流す。人間の身体の血管に血を巡らせるように…トリオン体の中に流れるレッドサンダーエネルギーとトリオンをゆっくりと練り上げ巡らせる。

「っ!!」

何時も個人ランク戦で無意識に自分のトリオン体に原因が分からない何かが起きているのは知っているが……今回は無我夢中で意識してその何かを望む何かの力が必要なんだ…

踏み込んだ床が砕けると景色が変わる……景色に映る全てがゆっくりと……スローモーションのように動く

(っ?……これなら!?)

その身がワープ同然に真紅の稲光の如く離れた距離を移動するキリエル人に向かって一気に加速する。その速さは一瞬だがまさに光速。

少年/キリエル人「っ!?」

「「逃さないと言った筈だ!!!!?」」夢想とベムが叫ぶ。

鬼気迫る表情で真横に一気に接近され目を大きく見開かせるキリエル人。咄嗟にカウンターの蹴りを剣持に向けて放ち命中するもそんな蹴りの一撃を諸共せずに赤い軌跡がレイガストに続きキリエル人の少年の身体を捉え振り下ろす。

少年/キリエル人(硬い!?何だ!この手応えは……さっきのと何かが違う!!)散々攻撃した剣持のトリオン体がまるで鎧のような硬さになり蹴ったキリエル人の少年の足に激痛を覚えさせ硬質化したトリオン体で放つレイガストの一閃。

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

吠える剣持の咆哮と共に幾つ物の衝撃音が施設に響き渡る。

 

 

若村「はぁ…はぁ…」

雄太を抱えながら必死な表情で施設の外にて出ると施設の周囲に青いぼんやりした人影が集まってきて、必然的に包囲されてしまう。

若村「やべぇ!?」

若村(どんどん状況が不味い事に……)

 

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剣持がキリエル人の少年を追い詰める為に激闘を繰り広げる間、香取葉子は逆に追い詰められていた。

 

香取「クソッ!?」

トリオン体の顔にヒビが入った状態で致命的な攻撃を避ける葉子。

今の気持ちの正直に表すなら……最悪な気分である。

次々と増える怪しい噂……順位の上がらない自分の部隊……頼りない仲間……上位の壁…苛立ちの種なら数えるのも嫌になるくらいある。今の状況も……そう。自分より実力のある格上の相手に……戦うしかないと言う現状……でも……私がやるしかない。

私の後ろには…私より抵抗が出来ない弱い人達がいるんだ。超能力と原理不明でトリオン体にダメージを与える蹴りとかどうでも良い…目の前の奴に勝つしか私達が助かる道は無いなら勝つしかない……それなのに………それなのに………それなのに…

香取「はぁ……はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…」

【トリオン漏出過多】

目の前のシスターによって傷ついた私のトリオン体から漏れるトリオンの量の多さにトリオン体から警告音が聞こえる。

香取(…コイツに勝てない……勝てるイメージすら感じない。)

目の前に立つシスターにダメージらしいダメージを一つも与えられていない。憐れみを込めた目を向けられるも、ムカつく気持ちより勝たないと親友の生命が……っと言う焦りや不安がどんどん生まれる。起死回生のカウンターすら簡単に見切られて逆にカウンター貰う始末……銃手のためトリオンの消耗が激しいのも拍車をかけている。

自然と立ち回りも必要以上にする事を辞めて攻撃をする事にも慎重になってしまう。……私は……恐れているのだ。私がもし緊急脱出したら…親友は……華は……どうなってしまうのか。そんな身近な恐怖を感じながら今まで戦った事などなかった……

香取「……くっ!?」

本部にも連絡が通じないから援護も期待出来ない……

香取(怖い……怖い…怖い…怖い……怖い…)

トリオン体でも身体は言う事を聞かずに震え怯える気持ちを隠せない。親友の笑顔が消えてしまう。親友が居なくなってしまう。

香取「……怖いけど……だからこそ、負けられないのよ!!」

自分の震えも恐怖の原因も分かっているからこそ、退けない。

 

キリエルの巫女「弱い貴女の相手をするのも……飽きたわ。」

真琴「へっ?」

キリエルの巫女「……其処でその娘達が死ぬのを見ていなさい。」

冷酷なシスターの一言と共に手から獄炎弾を華達に向かって放ち

香取「っ!!」

状況反射でグラスホッパーを発動して華と真琴に接近して二人を抱き抱えて跳躍し残りのトリオンを使いグラスホッパーをシスターの周りに展開させ二人を抱えたままシスターの蹴りをギリギリで回避して通り過ぎ離脱を試みる。

香取(アイツに勝つ事が絶対条件じゃない!!このままあのシスターから離脱する。)

染井「っ!!」

真琴「うびゃあああぁぁ後ろから獄炎弾!」

葉子に俵担ぎされながら真琴は自分達に迫る獄炎弾の名を叫ぶ。

香取「シールドっ!?」

出口直前に迫るシスターが放った獄炎弾を葉子は二人を抱えた状態で背中にシールドを展開するもその跳躍の勢いは殺されて葉子と華は床に転がり倒れて真琴は出口の向こう側へ跳んで行ってしまう。

染井「真琴先輩!大丈夫ですか!?」姿の見えない真琴に心配の声を出す華

真琴「…壁に顔ぶつけた……痛い…」

香取「そのまま、逃げなさい!!」間髪入れずに葉子は真琴の安全を考え逃げるように促す。

真琴「でも二人は!?」

香取「良いから!?民間人のアンタが戻ってこられてもどうにもならないの!?」

真琴「……それは…」

香取「このままじゃ私達……全滅よ!!」

偶然とはいえ一人は似非シスターから離脱出来たんだ。むざむざ戻ってこられても今の自分一人じゃ守れそうもないから真琴だけでも逃がす。民間人を助けようとして民間人を危険に晒す事なんてボーダーに所属する葉子は許せなかった。

真琴「……分かったっ!?」

彼女の足が此方から離れて行く音が聞こえて普通なら逃げやがったよと腹立つ筈なのに……不思議と今の葉子は安堵していた。

 

キリエルの巫女「美しい自己犠牲だ……感動だな。」

だが後ろから聞こえてきたシスターの声で葉子は己の気を引き締める。

香取「心にも無い事を言うんじゃないわよ。似非シスター。」

香取(しっかりしなさい。香取葉子。優先順位を間違えないで……)

身体はトリオン体関係無しに震えるも自分なりの凄味を利かせる表情をシスターに向けるも、シスターは涼しい笑みを浮かべる。

香取(何処までもムカつく女ね。)

香取「……華。私が奴を引き付けるから逃げて……」

染井「葉子!」

香取「私なら緊急脱出で本部に行くだけだから大丈夫……逃げる事は悪い事でも駄目な事じゃない。大事なのは、逃げた先で行動する最初の一歩よ。」

染井「……葉子。」

香取「今回の私の判断は何時もと違って間違っていないでしょ。」

キリエル人の巫女「でも判断は遅いわね。」

香取「っ!!」

シスターの手から矢継ぎ早しに見えない攻撃…衝撃波を放たれ葉子は華の前に立ちフルガードを展開する。

香取「行って華!?アンタが逃げたら私にとっては勝ちだから……」

思いの他威力があるのかトリオンのシールドにヒビが入る中で葉子は親友に叫ぶ。

キリエル人の巫女(この際惨たらしい死体でも構わないわ……あの悪魔が娘の亡骸を見て激しく心が動揺し絶望に心を支配されて倒し易くなってくれれば……)

黒鎧の騎士「っ!!」

葉子達の絶対絶命の危機に瞬間移動魔法と共に葉子達の前に忽然と出現してバサッと黒い高周波マントを大きく翻し迫る衝撃波を全て払い除けた影を纏う魔人がキリエル人の巫女の前に姿を現す。

 

 

キリエル人の巫女「っ!!」自身の攻撃を全て掻き消され驚愕の表情をするシスター。更に突然出現した存在に葉子も華も驚きの目を向け……特に華は別の意味で驚きの目を向けていた。

黒鎧の騎士「…………。」

染井(っ剣持君の背後に現れた黒い鎧騎士!?)

マキシボーン山の戦いの数日前にバス停でバスに乗ろうとした剣持君の背後に一瞬だけ姿を見せた鎧を纏った謎の存在がどうして今、この場に姿を見せたの……その黒い鎧騎士は私達に視線を向け

黒鎧の騎士「…悪いが……私の用が優先されるから向こうへ行ってくれ。」

そう言うと騎士は右手の指先を軽くパッチンと音を鳴らすと……

香取「っちょっ!身体が浮いて……」

染井「コレって念動力っ!」

葉子と私の身体が一人でに重力に逆らい浮遊して私はこの能力の種類の名を呼ぶ。

マスク・ザ・セブンがやっていたように……物を触れずに浮かべて移動させる能力をあの鎧騎士は持っているの?

浮遊した私と葉子はそのまま出口へ向けて自分の意志とは関係無く移動させられて

香取「もぎゃあああああああ〜〜」

程々あの部屋から離れた位置に投げ捨てられる。必然的にあの部屋には黒鎧の纏った存在と修道服を身に纏った存在だけが残る事となった。

 

 

 

 

 

夜に輝く月が暗雲に完全に遮られ電気が止まった警戒区域は闇夜に包まれる。

黒野と迅はキムが運転するローバーで警戒区域に向けて爆走していた。

キム「ホントに此方で合っているのかい?」

黒野「レーダーは此処を間違えてなく示している。」

迅「二人とも前を見てくれ!?」

あるビルの前に幾つ物の青いぼんやりした人影が見えてきて。

キム「何か薄っすらといる。」

黒野「はっきり見えるか?」後部座席にいる迅に声を掛ける黒野

迅「あぁ!はっきりくっきり見えるぞ!この霊視ゴーグル凄っ!?」

赤い丸眼鏡のゴーグルを装着してぼんやりした炎魔人達の全身を見る迅は驚きの表情を見せる。

黒野「心霊学の博士ら…何処が失敗作だよ。凄く役に立っているよ…」

その時、後方からバイクのエンジン音が聞こえて来て迅と黒野は後ろに視線を向ける。

〔推奨挿入歌 仮面ライダーV3OP 戦え!仮面ライダーV3〕

セルサード「……。」

青い色のバイクに跨った青い仮面に赤く発光するV字状のサングラス型複眼が赤い軌跡を描きながら走行するローバーの後ろからアクセル全開で上空を飛び越えて前に踊り出ると一足お先に進むと右手でベルトの右側に備え付けられた青い十字剣型のグリップ部分を掴み引き抜きながらキリエル人達に向けてバイクの速度を上げ

セルサード「ルサードブレイク!!」

キリエル人に対して青いバイクを利用した突撃攻撃を仕掛ける。

キリエル人「「ッ!!」」

セルサード「神父?……」

突撃攻撃でキリエル人達を蹴散らす途中、仮面の複眼に映ったあのブラックスター2号店の店長が黒髪長髪の少女と共に施設から出てくるのを見た。

セルサード「っ!?」

セルサードはバイクを急停止させて夜空を見上げる。夜に輝く眩い月が不気味な暗雲に遮られ闇夜となった為に外にいたキリエル人達に気付かれる事もなく侵入と脱出に成功したようだ。

 

黒野「何だ?あの変身ヒーローは?」

迅「分からないが、俺達と共通の敵と戦うなら敵の敵は味方だ!?俺達も加勢しよう!」

ノーマルトリガーを起動してトリオン体に換装した迅はローバーから飛び降りてセルサードと背中合わせになる。

セルサード「手助けは良いのだが…」セルサードは青い十字剣から伸びる鞭セルサードウィップを振るいキリエル人達を切り裂くながら言う。

迅「数が多い方が早く終わらせられるぞ。」

迅はそう答えるとスコーピオンを振るい衝撃波を次々と回避してキリエル人達を切り裂く。

セルサード「連携は期待するなよ。」

迅「分かったよ。」

近くで電磁レールガンの青い光弾がキリエル人達に命中する。

キム隊員と黒野隊員が牽制をしてくれているようだ。

黒野「くっ、レールガンだと効きが悪いな!?トリガー・オン!?」

キム「話し合う暇があるなら建物の崩落を少しでも止める為にコイツらを片付けて!!」

迅「ごめんごめん。」

『お化け屋敷』と迅とセルサードはキリエル人達を蹴散らす他所で

 

マスター神父「無事か?黒野。」

真琴「えっ店長!?どうして此処に!?」

マスター神父「説明は後だ。其れより近くの教会へ避難するぞ。この建物は攻撃されている。」

真琴「まさか、キリエル人は建物ごと破壊して中にいる人達ごと消すつもりなの!?」

 

するとローバーのエンジン音が聞こえて来て二人は視線を向けると隠れていた麓郎と雄太と出会い事情を説明している様子だ。その様子を見ながら神父は言う。

マスター神父「今のお前に、出来る事はない。」

真琴「でもまだ、染井さん達が……」

マスター神父「あの幽霊もどき達がこのビルを攻撃しまくったせいで建物の耐久度もそんなに保たない。俺だって辛いんだよ。」

真琴「っ!!ごめんなさい……」

今の自分に出来る事は無いのは事実で真琴はマスター神父に謝りの言葉を言うと教会に避難する。心苦しくも避難しなければならない気持ちの中で施設内部から巨大な衝撃音が幾つも聞こえてふと振り返ると、一瞬だけとはいえ真剣な表情の剣持の姿が窓に映り真琴は無意識に笑みを浮かべる。

真琴(剣持君。やっぱり来てくれた!?お願い!!染井さんと香取さんを助けて!?)

 

 

 

中央祭壇の前に立つ両者。

キリエルの巫女「何者だ……貴様。」

突然の侵入した存在に嫌悪感を隠さずに問うシスター。悪魔の餌に逃げられ事に苛立ちを感じているようだ。

黒鎧の騎士「………貴様に名乗る必要は無い……コレから倒す相手に……」

左右非対称の禍々しい悪魔のような角を幾つも生やした漆黒の兜に黒い甲冑を纏わせた存在がキリエルの巫女の前に現れる。

黒一「どんな気持ちだった……キリエル。人の中にある大切な家族の想いを利用して……どんな気持ちだった……」

ブラックワンの鎧…シェルターの隙間から黒い光のエネルギーが漏れながらシスターに問う。

キリエルの巫女「ハハハハハ……余りに人類が愚か過ぎて笑いが止まりませんでしたわ。」

響く巫女の笑い声……その笑った巫女にとっては、罪悪感など欠片も感じない。心に弱さを持つ奴らが勝手に優れたキリエル人に縋ったとの事……

黒一「亡くなった人の想いを……願いを……気持ちを……貴様は馬鹿にしたな……」

脳裏に過る弟の笑顔と虚空を見つめる死に顔を点滅するように思い出して闇のオーラを全身から放出し

黒一「…貴様らは存在してはいけない生き物だ。」

キリエルの巫女に向かって静かに怒りの言葉を言い同時に動く。

迫る火炎弾を素早く回避と同時に接近してシスター目掛けて強烈な回し蹴りを叩き込む黒一。

キリエルの巫女「がっ!?」

吹き飛ばされて床に倒れシスターの感じた手応えに一度距離を離すと大きな衝撃が自分と巫女のいる部屋に響き渡り

黒一「っ!?」

ブラックワン(この気配は!?)

感じた気配に壁の方に視線を向けると衝撃音と共に壁を斬り裂き粉々に破壊し塵埃が舞い上がりその中から剣持夢想がスライド移動して姿を現し黒一と偶然背中合わせになる。

「っ!?お前どうして此処に?」

背中合わせになって漸く気付く剣持に嬉しそうな表情を仮面の中でして答える。

黒一「奴らの思考も心を読んで馳せ参じたまで……剣持夢想。漸く共闘に応じるか。」

「あぁ。お前の共闘、応じるさ。だから気を引き締めろよ。ブラックワン。」決意と覚悟を極めた表情で言うボーダーの訓練隊員。

黒一「ふっ、お前もな。ベム。」

キリエルの少年「っ!!」レッドマンのエネルギーを込めたレイガストの一閃を貰い身体から血の色の炎が漏れる少年。

キリエルの巫女「レッドマン!?」悪魔のような険しい表情を剣持達に見せるキリエル人の二人。

黒一「……精神生命体にしては思っていたより感情的なようだな。」

「どうでも良い……是迄の生きた人達と亡くなった人達の数々の侮辱……俺は貴様達を赦さない。」

少年/キリエル人「……姉さん。コイツらを直ぐに片付けて門の向こう側の同胞達を呼び込むよ。」

キリエル人の巫女「……分かっているわ。新しい世界が待っている。」

「もう…お前達に夜明けは来ない……」

黒一「我々が貴様達を倒すからだ……」

【………………………………………………………………】

四人の姿は同時に消えて無数の光の軌跡のみが激しくぶつかり合い剣持はキリエル人の少年の破壊力ある鋭い蹴りをまともに貰い

ながら片足を掴みレイガストを振るい胸元に横一閃を斬り裂く。

斬り裂かれて苦悶の表情を浮かべながら回り蹴りと裏拳を剣持に放ち剣持も負けずに喰らいつくようにレイガストを振るうと同時に力強く拳を放つ。

キリエルの巫女「燃えろ!?」

火炎連弾が迫るもマントを使い全て払い除けてゆっくりと歩みながら言う。

黒一「お前如きがこの私の鎧(シェルター)を破壊は愚か傷一つ付けられるとは思うな。……女性は傷つけないのが私の悪の美学だが貴様は外道の中の外道。地獄に落ちよキリエル!!」

強力な火炎放射を放つキリエル人に対して黒一は、炎を物ともせずに耐えてキリエルの巫女に向かって黒い電撃を纏わせた掌底を砲弾の要領で放ち。念動力で相手の身動きを完全に封じると同時に浮遊させて壁や床や天井に叩きつけてから狙いを定め相手を無理矢理引き寄せてから黒いエネルギーを纏わせた拳をキリエルの巫女の腹に向かって叩き込み殴り飛ばす。

黒一「ブラックフィスト!!」

一方剣持も…

(精神を集中しろ……精神を統一しろ!?自分の力……武器を使え!?)

殺意100%の跳び膝蹴りを放つキリエル人の少年に対して剣持は左手の平を向け

(奴の動きを止めろ!?レッドマン超能力 念動力(サイコキネシス)!!)

「「キリッ!?」」

突然、身体の動きが全て封じて無防備になった相手に向けて一気に肉薄。

「(ターンハイ)レッドキック!!」

剣持は両足を赤く発光させてキリエルの少年目掛けて薙ぎ払うように渾身の蹴りを入れると同時にレイガストで下から斬り上げる。

「「っ!!」」

キリエルの少年と巫女が壁と窓ガラスを砕き向こう側に吹き飛ばされてビルから堕ちて行く。

「野郎っ!?」

黒一「落ち着けレッドマン。」

油断ならない敵を追い掛けて倒そうと思考するも、外に待機していた精神生命体であるキリエル人達が建物目掛けて大量の衝撃波を撃ち込んできて建物が激しく揺れる。

「ちっ!?アイツらがまだ建物内に!?」

外へまだ出ていない香取と染井の気配を感じて焦る表情をする剣持は直ぐに染井さん達の気配を辿り急ぎ向かう。

黒一「急ぐぞ。」

瞬間移動魔法でその場から姿を消す黒一に……必死な表情で走りながら剣持はトリガーをオフしてトリオン体から生身に戻り二人の気配を捉え

「くっ、本当は脱出に取っておきたかったけど……今使わずにいつ使うんだ!!」

(レッドマン超能力ワープ!!)

剣持の姿も黒一に続いてその場から赤い光と共に姿を消す。

 

通路にて施設全体が激しく揺れる中で華は葉子の片腕を担ぎながら移動する。

染井「くっ!外で何が起きているの!?」

香取「チクショウ!?トリガーが使えれば!!」

さっきの戦いで、華を逃がす前にトリオンを殆ど使い果たして華を置いて行けずに緊急脱出せずに生身に戻って一緒に行動する葉子は悔しい表情をする。

染井「文句は後で幾らでも言って良いから……今は……此処の階段を降りれば…」

右の通路の先の角を曲がり来た道を戻るだけ……その思って角を曲がると

染井、香取「っ!!」

二人の足が止まり視線を先へ向けて目を大きく見開く

染井「っ!?」

香取「嘘でしょ!?」

来た時にはあった階段が上から落ちてきた瓦礫で壊れていた。

染井「……。」

香取「どうしたら……これじゃ下に降りられない…」

染井「……葉子。提案があるの…」

香取「提案?」

華は真剣な表情で葉子に顔を向けて言う。

染井「あの黒い鎧騎士に助けを求めてみるのはどう?」

香取「っ!?」

染井「彼は私の後ろにあった扉を使わずにあの部屋に手品みたいに出現した……彼の持つ固有能力か道具か装備を使えば、この施設から出られる。」

香取「アイツが味方って言う保証が何処にあるのよ!!」

城戸派の葉子にとっては近界民であろうと無かろうと怪し過ぎる存在に助けを求めるのは危険と私に言っている……私もこんな緊急な状況でも無いならこんな提案はしない。剣持君に助けを求めようにも葉子の前でなんて説明をすれば良い……

染井「でもこのままじゃ私達はこの倒壊するビルに巻き込まれる。」

こうして会話する間も建物の揺れが収まるどころかどんどん激しさを増していき…確実に建物が攻撃されていると考える二人。

香取「トリガー起動!トリガー起動!トリガー起動!トリガー起動!」

香取は必死な表情でトリガーを起動させるもトリオン体に姿が変えられない。

香取(さっきの似非シスターとの戦いでトリオンが殆ど!?)

染井「……葉子。」

二人の周囲の壁や天井、立つ床にヒビが広がり始めて足場が遂に崩れる。

香取「華っ!?」

染井「葉子!?」

突然の浮遊感と共に最下層に二人は同時に落下する。落下しながら手を伸ばす二人だが……その手が掴める事は出来ない

 

香取、染井「「っ!!」」

落下する葉子の背後に赤い巨大な見知った光の玉が見えて安堵の笑みを浮かべる華。

染井(……来てくれたんだ……剣持君。)

此れで葉子の安全は確定した事に安心する華。だが葉子の視点から見たら驚愕な光景が浮かんだ。華の背後に黒い光と共に黒鎧の騎士が出現し、

 

黒鎧の騎士「……戻るか。」

瞬時に状況を把握した黒鎧の騎士こと黒一は落下しつつ腰の後ろにある先端が鋭く角ばった黒い棒状の物を取り出し両手で左右の棒の部分を握り締め一気に引き伸ばす。

中心の青いクリスタルが眩く光輝き出し青黒い稲妻が騎士の周囲に迸り騎士の全身は黒く光出すと共に

香取(スポンジが水を吸い込んだように奴の身体がどんどん大きくなって行く!?)

この日……香取はある意味目撃する……"変身"を……

「「っ!!」」

 

赤い光と黒い光が大きくなる中

謎の少年「……。」

瓦礫に生き埋まり気を失った謎の少年に水色の一陣の風状エネルギーが吹くと同時に施設からその姿を消す。

 

外側では

セルサード「あの二人が居ない!!くっ、此処に長いは無用か!」

建物が倒壊する一部始終をセルサードは目撃し、救出が間に合わなかったと考えるも、眩い光が倒壊直前の建物から照らされて外側に包囲したキリエル人を『お化け屋敷』と迅達の連携で片付けたセルサードはシスター達の居ない事に気付き探し回るも出現する巨大な光と崩落するビルの瓦礫を避けながら警戒区域から一旦離脱する。

 

夜の三門市の警戒区域に赤い光の柱と黒紫色の光の柱が向かい合うように伸び、光が収まり光の中から赤き星の勇者と黒き星の勇者がそれぞれの片手のひらに乗っている救った女性を持ったまま出現する。

「「……。」」

「「……。」」

両者ゆっくり向き合いながら戦う事はせず片膝をつき女性を安全な場所に置く。

香取「華!?」

さっきの倒壊で気を失っている華の元へ葉子は巨人の片手に乗っていた近づき

華の肩に手を回してレッドマンとブラックワンから急いで離れていく。

香取「っ!!?」

レッドマンから離れていく途中、普段以上にキツイ目付きで葉子はレッドマンを殺すような視線で睨みつけていた。

(香取さん……)

剣持は現在の人間関係の現実にとても心が痛み苦しむも

(………今はアイツらの事より空に出現しようとする異次元の門をどうにかするぞ。)

ベムは己の探知能力で既に幾つ物の強力な邪悪な気配を闇夜の空に感じ取る。

(……わかってる!?絶対に許さないぞ!?キリエル人!?)

ベムもあの香取の目には夢想同様にかなり堪えるも三門市の空を見上げて第一の優先順位を優先する。だが空に怪しい物は見当たらず……気配だけがどんどん近付いてくるのを感じて…

【ーーーーッ!?】

(空じゃない!地上からだ!?)

感じた気配の元を視線を向けるより先に

〔推奨BGM 侵略者の正体[M―31]〕

少年/キリエル人「君を待っていたよ。レッドマン!」

「「ッ!!?」」

足元から聞こえてきた大きな子供の声にレッドマンは視線を足元へ向ける。

警戒区域から市街地に走らせるローバーに乗る迅達にもその子供とシスターの姿は見えていた。

迅「 あんな所に子供が……それにあのシスター!!」

黒野「お前が関与していると言っていた女性か!?」

キム「どうする?死人還りについて聞きたい事が多いから連行する?」

黒野「少し待て…何かレッドマン達に向けて話し掛けているぞ…」

少年/キリエル人「君はこの星の守護神になるつもりかね?烏滸がましいとは思わないか?君がその巨大な姿を現すずっと前から、この星の愚かな生き物達はキリエル人の導きを待っていたのだよ。」

(いや、俺は仕事で世界中のハローワークを破壊するゾークロン細菌怪獣と戦っているの!?守護神とかなるつもりは欠片も無いの!?)

キリエルの巫女「見るが良い……祝福が約束された楽園の門を!!」

三門市の闇夜の空の時空に大きな乱れが発生……まるで近界民達が現れるような黒い球体状のエネルギーが広がりレッドマン達すら巨大と感じる禍々しい門が遂に三門市の空に忽然と出現する。

(人の話しを聞かない連中なんだな…キリエル人って……)

(時空の断層からあんな物を出現させられるのか……真琴先輩が言っていた同族を呼び込むってあの巨大な門からこの世界に侵入させる意味だったのか!?)

門は不気味に扉を閉じている物の何の拍子で開くか分からない。門の大きさから自分達と同じ或いはもっと巨大な存在が中にいる可能性がある……

(絶対に奴らに門を開けさせる訳にはいかない!!)

(しつこいが、守護神とかそう言うのは興味無いぞ。)

走るローバーにて

黒野「あれが楽園の門?どう見ても地獄の門じゃないか?」

迅「予知しなくて分かる。アレは絶対に開かせちゃ駄目な奴だ。」どんどんヤバい状況になる事に冷や汗を流す二人。

黒野「イデ。聞こえるか?」

黒野は腕時計型通信機で急ぎ秘密基地にいる仲間達に連絡する。

イデ《あっ、黒野隊員!?レーダーに空に巨大な磁場の乱れを感知して外にいたサンダース隊員達が空に巨大な門を見たと言う報告が来たんですが!?》

黒野「今、キム隊員と一緒に玉狛支部の迅隊員と本部所属の香取隊の隊員達を市街地に移動しながら門が発生している一部始終を目撃した。」

イデ《えっ!?》

ホシノ《詳しい説明は出来るか?》

黒野「各地に発生している死人還りの主犯は人間じゃない。肉体を持っていない幽霊のような生命体が、遺族達に故人の幻覚を見せていたんだ。ソイツらの目的は見た感じ空にあるあの地獄門を開かせる事と聞いてる発言からまとめるとレッドマンに並々ならぬ敵意を抱いているみたいです。」

ホシノ《確かか?》

黒野「この騒ぎの首謀者達に話し掛ける暇は無いですけど……兎に角、この場はヤバいから移動します。キム隊員もっとスピードを飛ばしてください!!」

キム「了解!?」

 

 

キリエルの巫女「私達の同族がこの星の人類に導きたい為に会いたがっている……だがこの星にレッドマン。君は悪魔その物だ!?」

「「ッ!!」」

(言いたい事言いやがるな。普通に腹立つぞ。)

キリエルの巫女「君が現れ怪獣と戦う度に罪の無い人々が次々と死んでいく。悪魔はキリエル人によって倒され浄化されるべき存在だ。私達姉弟がお前を醜い大罪を聖なる炎で祓ってやろう。」

少年/キリエル人「君達は招かれざる者なのだ!!見せてやろう!!キリエル人の力を!キリエル人の怒りの姿を!」

(招かれざる者って意味なら強ち間違っていないし……認めるけど……其処まで嫉妬させられるような事はした覚えはないぞ。何か空回っていると言うか……見当違いと言うか……)

完全に人の話しに聞き耳を持たない逆恨みファイヤーの姉弟のキリエル人の足元から地底から噴き上がる紅蓮の炎が少年の姿を包み込みその巨大な炎はやがてレッドマンと同じ大きさに燃え上がり炎は意思を持つように人の姿をかたどった白い固い外殻と紫色の筋肉質の肉体を持つ左右対象の異形の悪魔の姿に変える。

 

「「キリキリキリ……」」

炎魔戦士キリエロイドIII

身長ミクロ〜53㍍ 体重4万4000㌧

キリエル人の少年が別次元に存在する超古代の光の巨人打倒の為に硬質な身体を持つ個体。今回はレッドマンを倒す為に格闘技を重点とした戦い方を得意な一方……ウルトラマンティガの各タイプチェンジの技を模倣した"獄炎超光波""獄炎光流""獄炎矢光弾"と必殺技を多数持つ。……最大の技は空中高く放つ"獄炎踵落とし"タイプチェンジとは違うが、感情が昂ぶると顔が左右上下斜めに開き別の顔になりキリエロイドⅡと同じく飛行も可能。

 

地上から変身したキリエロイドIIIはブラックワンと向かい合う。

ブラックワン「「……。」」

 

 

更にもう一人のシスターも紅蓮の炎と共に集まってきた無数の謎の光の群れを纏わせて紅蓮の色を青い高温の炎と共に禍々しい灰色と黒い左右非対称の炎魔戦士の戦闘形態に変身する。

 

教会にてマスターの知り合いの探偵が駆け寄ってくる。

風真「店長!?」

マスター神父「無事だったようだな。健四郎。」

風真「あぁ、何とかな。それより……あれが死人還りの首謀者である奴らキリエル人の正体?」軽い再会をした後、巨大な炎魔戦士達に視線を向けて尋ねると真琴は否定の言葉を言う。

真琴「いや、自分達こそレッドマンより優れた存在と証明する為に身体のサイズをレッドマンに合わせて「変身」したんだよ。」

真琴(さっきの無数の生きた謎の光ってまさか!?カオスヘッダー!!)

キリエロイドのカオス化による変異、即ちカオスキリエロイドの姿を見た真琴は唖然の表情で答える。

レッドマンは目の前に出現した禍々しい巨大で異形の姿をした炎魔戦士達に警戒する。

(さっきの光…カオスヘッダー!?)

(あの生きた光の群れを知っているの?)

(もう現れる筈のない光のゾークロン細菌の似た光のウィルスだ……知り合いの調和の戦士が解決したのに……何故……)

真琴『……此処とは違う別の異次元に来た精神生命体……』

その時、真琴の言葉がレッドマンの脳裏に過り

(さっきのキリエル人のシスター、この次元に来る途中にカオスヘッダーが猛威を振るう異次元からカオス化して貰ったのか。)

 

「「キリキリキリ……」」

キリエロイドIIIに比べて灰色と黒色の硬質した左右非対称の外見でありながら、両足に特徴的な鋭利なブレードが付与され左胸と頭部にある赤い発光体が闇夜に輝き顔は心無しか怒ったような表情をしていた炎魔戦士はレッドマンと向き合う。

 

炎魔戦士カオスキリエロイド

身長55㍍ 体重4万5000㌧

別次元の超古代の光の巨人を倒す為により強い力を求める余り古代の巨人が居ない別次元で自分からカオス化したキリエロイド。足にブレードが付いた為にキック攻撃の威力が更に上がっている。高熱を持つ青い炎を操っての攻撃もかなり強力だ。

 

警戒区域に突然出現したレッドマンと謎の黒い巨人に二人の異形の炎魔戦士に『お化け屋敷』に出動要請がかかり準備する中、

 

ブラックワンは瞬間移動魔法で自分を含めたレッドマン、キリエロイドIII、カオスキリエロイドを警戒区域から市街地のど真ん中に瞬間移動する。

真琴「っ!?レッドマン達は!?」忽然と消えた四人の巨人を慌てて探す真琴。

風真「……どうやら向こうの市街地に全員転移したようだ。」

マスター神父「にしても…まぁ、神様に成り代わる連中の外見にしては想像以上に禍々しい悪役上等な外見をしているじゃねえか。」

真琴「……少なくてもレッドマンは、人類の救世主にも守護神にもなるつもりは微塵も無いから完全にキリエル人の勘違いの戦いなんだよね……」呆れたジト目でキリエロイドIIIとカオスキリエロイドを見上げる真琴。

レッドマンは只怪獣を倒すだけであって………いや、そもそもキリエル人は別にレッドマンでもウルトラマンティガでもグリッドマンでも同じ事をするのだろう……自分達の後に現れようと先に現れようと関係ない……キリエル人より英雄的な動きを……守護神や救世主のような目立つ存在を彼らは許せないのだろう……だから敵意を向ける……

真琴(心の狭い自己顕示欲の塊………大昔の宗教関連で良くある。国教とは違う宗教を邪教と呼ぶように……自分達こそ絶対と疑わない……人間の私にはやっぱり理解出来ない連中だよ。そして……)

真琴はレッドマンを……夢想に視線を向ける。

真琴(……剣持君とレッドマンにも理解出来ない……絶対に相容れない存在だと思う…)

怒りに拳を震わせるレッドマンともう一人の巨人の様子を見る一同。

マスター神父「あの黒い巨人もレッドマンに関係あるのか?」

真琴「さぁ〜、でもどう説明したら良いか分からないけど……あの黒い巨人……悪役の見た目と違って優しい心を持ってる気がする……」

外見から分かる事などその人の人となりの一部で中身や心は分からないが……真琴は不思議とヒーローが来たような安心感を一瞬覚えたのだ。其れこそウルトラマンが来たような…

 

風真「どうやら巨人同士の激闘が始まるみたいだ……」

マスター神父「市民としては人のいない場所で戦って欲しいんだがな。総合格闘技のビッグファイトだな。」

 

炎魔戦士達は軽く景色が変わり戸惑うも直ぐにレッドマンとブラックワンの立ち位置と自分達の立ち位置を確認して向かい合い構える。

(どうして警戒区域じゃなく市街地に転移させた!?)

ブラックワン(警戒区域の中心にボーダー本部がある。戦闘すれば必然的にボーダー本部を破壊されないように守る必要がある。だから市街地に戦いの場を移したのだ。)

(市街地はまだ市民達が避難の完了していないんだぞ!?)

ブラックワン(避難する時間を稼ぐ為に戦うんだ。)

(クソキリエル!?職を求める求職者達を怪しい宗教の信者に引き込んだ罪は死を持って償うが良い!?)染井さんのお願い事を引き受けた為にゾークロン細菌怪獣でもない怪しげな精神生命体と対峙するハメになり怪我もした事も事実だが……三門市や各地に怪しげ宗教を布教して求職者達の就職活動を阻害した事にも腹を立てるレッドマン。

(ベム……君って本当にブレないね。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

マスター神父「Ready to fight !!!」

真琴とマスター神父はレッドマン達の近くでゴングの代わりに教会の鐘を大きく鳴らす。鐘の音が三門市の市街地に響き渡り

「「レッドファイト!!?」」

「「キリッ!!?」」

「「ダァッ!!?」」

〔推奨BGM 光を継ぐ者[M―13]〕

鐘の音を聞いた四人は互いに一度距離を取り間合いを測り戦うべき相手を決めて助走をつけてほぼ同時に跳躍し、互いの攻撃が火花と共に交差して着地し直ぐに相手のいる場所に向けて走り出す。

カオスキリエロイドは敵であるレッドマンに向かって高速で飛び掛かり、そのまま回転投げに持ち込んでレッドマンの相手をする。

「「キリッ!!」」

「「………。」」

キリエロイドIIIはスライディングキックをブラックワンに仕掛けてブラックワンはその場を浮遊し目線がすれ違いながらやり過ごし。背後に回ったキリエロイドIIIの方へ振り返り両者一気に駆け出す。

 

互いに左右の足を交互に高速に入れ替えながら足を激しく打ち合うカオスキリエロイドとレッドマン。

「「キリッ!!」」

素早くカオスキリエロイドは両足に青い聖なる炎を纏わせてレッドマンに蹴りをする暇すら与えず怒涛の攻勢に動く。

「「イヤッ!?」」

カオスキリエロイドの薙ぎ払うように放たれる連続回し蹴りと足払いをバックステップで必死に回避するレッドマン。だが距離の詰め方が上手いのかレッドマンの全身にカオスキリエロイドの鋭利な刃が付与された両足が次々と命中する。

(コイツっ。高温の青い炎が付与されて威力が増した蹴りの数も多いが単純に一撃一撃がハリケーンマスク先輩に匹敵する蹴りの速さだ!!ワープする暇も無い!!)

回避も防御の隙も与えない嵐の如き連続蹴りの乱舞をその身に受けてレッドマンは吹き飛んでしまう。

「「…………………………………………ッ!?」」

ブラックワンも顔に迫る鋭い蹴りを回避してキリエロイドIIIに対して力強い横蹴りを放つ。だが炎魔戦士はその一撃を片腕で防ぎ防がれたに関わらず左手から黒いエネルギーと魔力を込めた球体状の光弾を炎魔戦士の腹目掛けて放ち一気に光弾は迫るも炎魔戦士は命中する直前、高く跳躍し回避しその状態からブラックワンに向かって拳を振り下ろす。ブラックワンは片腕で弾くも直ぐに迫る追撃の回し蹴りを回避する。

「「ッ!?」」

更に連続跳躍し下がった距離を詰めたブラックワンに向かってキリエロイドIIIは連続蹴りを叩き込む。

「「ッ!!」」

身体に数発貰うも、ブラックワンは冷静に構える。両腕を黒紫色に発光させてキリエロイドIIIに向かって拳を振り下ろし、キリエロイドIIIは両腕をX状にして防御する。更にブラックワンは一歩踏み込み高速の鋭い拳を放つ。キリエロイドIIIは重要な胸部中央の発光体を守りながら、ブラックワンから距離を取る為に連続にバックステップを取り素早い動きでブラックワンの周りを移動し

対するブラックワンは余り動かずに、ひたすら相手の攻撃を待つ。移動していたキリエロイドIIIの素早い蹴りの攻撃がブラックワンを襲い掛かり、そのコンビネーションキックを全て両腕で捌きカウンターの掌打の一撃をキリエロイドIIIに向かって放つも、

掌打を放つブラックワンの腕をキリエロイドは瞬時に両手で掴みその状態で逆上がりの要領で身体を一回転させ聖なる炎を纏わせたサマーソルトキックをブラックワンの顎に叩き込まれる。

「「ダァッ!?」」

顎を大きく蹴り上げられたブラックワン。

サマーソルトキックから高く舞い上がったキリエロイドIIIは追撃のドロップキックを繰り出し、ブラックワンは高周波マントを硬質化させてドロップキックを完全にインターセプトする。

キリエロイドIIIは曲芸師の如く身体を高速横回転させて高く跳躍しブラックワンの真上から片足を天高く上げて踵落としを振り下ろす。

ブラックワンは振り下ろされた踵落としの一撃をマントを纏わせた状態の両腕で受け止め頭部への攻撃を防ぐもその踵落としの衝撃によってブラックワンの足元の道路に蜘蛛の巣状に亀裂を走らせる。

ブラックワンは両腕で踵落としを弾き飛ばして、キリエロイドIIIと向き合う。

キリエロイドIIIは両手の爪キリエルクローでの刺突攻撃をレッドマンに向け数度放つも、レッドマンは爪による刺突攻撃を首を反らして避け反撃に鋭い回し蹴りを放つも、身体を反らせて蹴りを回避するキリエロイドIIIは右腕を高く振り下ろし、レッドマンは左腕で受け止める。

「「イヤッ!?」」

レッドマンは左腕で相手の右腕を防ぎながら空いた右手で右ストレートパンチを放つも、キリエロイドIIIは左手でその一撃を掴まれて逆に右腕を捻られる。

「「キリキリキリ……」」

レッドマンは右手を捻られながら至近距離にゆっくりと接近しキリエロイドIIIに向けて頭突きを叩き付けて頭部を攻撃された為に怯んだ隙に両手を自由にさせて、キリエロイドIIIに向けて横蹴りからストレートパンチのコンボをお見舞いする。

数歩下がったキリエロイドの身体をチャンスとばかりに両手で持ち上げて勢い良く投げ飛ばすも、キリエロイドIIIは空中回転して華麗に着地し、追撃するレッドマンに向かって回し蹴りを叩き込んでその一撃でレッドマンは三門市のビルに激突しビルは粉々に倒壊する。

「「キリッ!?」」

レッドマンの頭上を跳び越えて背後に回りつつ後方から天使が飛翔するようにトリッキーな跳び蹴りをレッドマンの背中に叩き込みレッドマンをうつ伏せに倒す。

「「キリキリ…。」」

背中から受けた跳び蹴りで傷付くもレッドマンはゆっくりと闘志を燃やし立ち上がる。

キリエロイドIIIはレッドマンに対してマーシャルアーツの構えをして

【ーーーーッ!?】

「「ッ!!?」」

後ろに感じた身に纏う雰囲気と圧が一気に変わり背後からレッドマンに急接近するキリエロイドIII。直ぐに振り向くも放たれた鋭い拳を片腕でギリギリ受け流すも安心する暇もなく直ぐに次の打撃がレッドマンに迫る。

「「イヤッ!?」」

「「キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリッ」」

キリエロイドIIIの長い手足から放たれる矢の如く速い打撃の連続ラッシュ攻撃でレッドマンを苦しめる。その打撃の技や種類の多さに防御しながらベムと夢想は素直に驚く。地球の格闘技を一通り知っている為に使う格闘スタイルが次々と変わり確認出来ているだけで三種類の格闘スタイルが確認できる。

(コイツ……其処らの怪獣やホーン・デュアウトよりも動きが素早い上に一撃一撃が強い!?それにテコンドーに空手やキックボクシングって総合格闘家かよ!!)

(だからって俺達が負ける訳にはいかないだろ!!)

「「レッドファイト!!」」

打撃のラッシュに耐えながら相手の両腕を弾いて、キリエロイドIIIに全身を使ったタックルを放ち両者ぶつかり合いながら距離を取り手四つの力比べの押し合いが始まる。

「「キリッ!!」」

「「イヤッ!!」」

両者一歩も引かずに押し続け拮抗状態に突入する。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

力比べを拮抗させたレッドマンはキリエロイドに殴られ更にチョップを頭部に叩き込まれるも、レッドマンは頭を押さえつつキリエロイドは右手を痛がりその隙にレッドマンはキリエロイドの顔、胸、腹目掛けて鋭い蹴りを連続に入れてからすかさず至近距離のキリエロイド目掛けて一気に溜め無しレッドサンダーを放ち怯んだキリエロイドの胴体に直撃しその勢いで後方に一直線に吹き飛ぶも、吹き飛びながらキリエロイドは両腕の左右から上に上げて中心の胸の前に高密度に集めた超高熱の炎のエネルギーを集めて火球の形状にしてレッドマンに向けて放つ。

「「イヤッ!?」」

瞬時にレッドサンダーの構えを解き右の拳を赤く発光させて迎撃態勢と共に放たれた技を真っ向から迎え撃つレッドマン。

「「レッドパンチ!!?」」

夜の三門市の市街地に大きな炎と爆発音が広がりアスファルトを砕き倒れるのはレッドマン。

「「キリキリキリ。」」

瓦礫に倒れるレッドマンを嘲笑うキリエロイドIIIは倒れているレッドマン目掛け追撃をしようと走り出す。

キリエロイドIIIが放った"獄炎光流"で全身ボロボロに傷付くも闘志は消えないレッドマンは素早く起き上がるとキリエロイドIIIは一度レッドマンから距離を取り、冷静に相手の出方を見る。

レッドマンも痛む身体を気にするも倒すべき相手の動きを観察しながら向き合いながら不気味な沈黙が辺りに漂う。

【………………………………………………………………】

レッドマンとキリエロイドIIIも同時に駆け出して相手目掛けて鋭い蹴りを放つ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ブラックワン「……。」

一方レッドマンとは逆にブラックワンは高周波マントを身に着けたままどっしりも両足をアスファルトにつけて構え無駄の無い動きでカオスキリエロイドの連続攻撃を全て捌き切り瞬時にキリエロイドの蹴りを避けると同時に軸足を片手で掴み上げ、一気に回転投げを決めて空中からアスファルトに叩きつける。

叩きつけられたカオスキリエロイドが青い高温の獄炎弾をブラックワンに向けて放つも、高速に迫る炎の一撃をサイコキネシスで簡単に拡散させられその様子に驚愕するカオスキリエロイド。

ブラックワン「フンッ!?」

距離を瞬間移動魔法で縮めカオスキリエロイドに接近しキリエロイドの胸部目掛けて掌打をワンツーのテンポで左右連続叩き込みレッドサンダーを食らって吹き飛んだキリエロイドIII以上に吹き飛ばされるカオスキリエロイド。

ブラックワン(……建物にぶつかるな。)

カオスキリエロイドが三門市の高層ビルに激突しそうになる為、

自身の念動力でカオスキリエロイドを無理矢理方向転換させて更に片手で放つ念動力で精密に道路に乗り捨てられた付近の自動車達を勝手に近くの駐車場にまとめて駐車させて綺麗に車が無いアスファルトにカオスキリエロイドを念動力ごしに勢い良く叩きつける。当然、念動力でアスファルトを守っている為に道路は粉々に破壊される事なく想像以上の硬い床に全身を叩きつけられたように軽くのたうち回るカオスキリエロイドを冷酷に相手する傭兵団団長。

そしてそのブラックワンの様子にキリエル人は目の前の存在にかつてない程の屈辱感を覚えた。嫉妬の炎を燃やし立ち上がりブラックワンに向かって迫る。

 

レッドマンは目前に迫る空中膝蹴りを横転し回避する。キリエロイドIIIはレッドマンの攻撃に対応し攻撃する隙を与えない程に身軽に動き翻弄しつつ次々と繰り出す鋭い蹴りの連打によってレッドマンは防戦一方になる。

「「イヤッ!!?」」

(コイツっブルース・リー並みに動きやがる!?)

そして防ぐ事が限界となったレッドマンの胸にキリエロイドIIIの三連続ストレートキックが放たれレッドマンはその攻撃に追い込まれ態勢が崩れた瞬間を逃さず素早く腕を振るい紫の手の先に伸びた白い爪キリエルクローが遂にレッドマンの身体を切り裂く。

「「イヤッ!?」」

キリエロイドIIIの爪の一撃で想像以上の激痛に胸元を押さえて苦しむレッドマン。

カオスキリエロイドの横蹴りをブラックワンは片腕で簡単に弾き逆にカウンターで念動力を溜めた衝撃波を叩きつけ更にカオスキリエロイドの顎を片足で高く蹴り上げる。蹴り上げられ宙に浮く僅かなタイミングに肘鉄を腹部目掛けて思いっ切り叩き込み市街地にゴロゴロと勢い良く転がる混沌の炎魔戦士。

ブラックワン(私の力が必要か?)

【ーーーーッ!?】

返事をしようとしたら高速に放たれた青い高温の獄炎弾がレッドマンに向かってきてレッドマンは反射的に両腕で防御する。

(ぐっ、結構だよ!?)

「「キリキリキリ……」」

「「イヤッ!!」」

カオスキリエロイドの後方から炎魔戦士が現れ素早く曲芸師の如く宙を舞い動き回るキリエロイドIIIの動きに翻弄されるレッドマン。

胸元を押さえながらキリエロイドIIIの動きを捉えようと攻撃を放つも回避されて逆に助走した後に跳躍したキリエロイドIIIは両足でレッドマンの首を挟み込み全身を使いレッドマンを床に叩き落とす。

「「………イヤッ!?」」

投げ飛ばされたレッドマンは直ぐに起き上がり片膝立ての状態から迫るキリエロイドIIIに向かって勢い良くアッパーカットを叩き込み、

「「キリッ!?」」

距離を詰めさせないようにするもレッドマンが立ち上がると同時にキリエロイドIIIは昭和仮面ライダーの要領で高く跳躍し空中からのストレートキックをレッドマンの胸元に叩き込む。

華麗に市街地に着地するキリエロイドIIIを他所に火花と共にその一撃に耐えられずに転がるレッドマン。

そしてブラックワンは……

「「キリッ!!」」

「「ダァッ!!」」

カオスキリエロイドに対してお互いに息をつかせぬ高速の掌底打ちと拳打が放たれるも、両者迫る掌打、拳打を全て捌き格闘戦を展開する。

右の二の腕同士ぶつかり合い拮抗状態になりながらキリエル人に静かな殺意を放出させるブラックワン。

「「………。」」

混沌の炎魔戦士は黒き勇者から離れて素早く回し蹴りを放ち黒き勇者は片腕で防ぎながら逆に上段蹴りを放つも、直撃する寸前に素早く黒き勇者から距離を取る混沌の炎魔戦士。

ブラックワン「「……」」

ブラックワンは右拳を握り締めて右腕を引いて更に距離を詰めカオスキリエロイドに肉迫する。

「「キリッ!?」」

カオスキリエロイドは瞬時に防御態勢をしてブラックワンが放つ魔力が込められた正拳突きに防御態勢ごと吹き飛ばされる。

「「キリッ!!!!」」

防御態勢ごと吹き飛ばされながらブラックワンの顔面にカウンターの蹴りを叩き込むカオスキリエロイド。だが硬い顔を蹴った感覚を覚えてその勢いで余計吹き飛ばされるカオスキリエロイドだが四肢を使い衝撃を逃がして態勢を整えるとほぼ同時にブラックワンとハイキックをぶつけ合う。

ハイキックで相手の片足の動きを制限させて己の両手から黒いエネルギーと魔力を混ぜ合わせた魔光弾を至近距離からカオスキリエロイドに撃ち込み激しく後退させ瞬間移動魔法でカオスキリエロイドの前に出現し、右の手の甲を使った裏拳を薙ぎ払うようにカオスキリエロイドの顔面に叩き入れてからの左の肘打ちで胸部を殴打させ更に腰の入った連続の正拳突きをカオスキリエロイドに叩き込む。

連続攻撃を貰い下がったカオスキリエロイドの元へレッドマンと戦っていたキリエロイドIIIが近付き。キリエロイドIIIはカオスキリエロイドとブラックワンの前に炎の壁を作り出し視界を塞ぐ。

「「キリ!!」」

そして二人の炎魔戦士はブラックワンに対して連携して挑む。

キリエロイドIIIは炎の壁越しから五月雨の如く獄炎弾をブラックワンに向けて放つ。

ブラックワン「「……。」」

次々と迫る獄炎弾を念動力で拡散させて無効化するブラックワン。

ブラックワンは腕を振り上げて視界を封じる炎の壁を振り払い視界が晴れる

「「キリ、」」

「「キリ!!」」

カオスキリエロイドはキリエロイドIIIの両肩に両足を乗せてサーカスの空中ブランコのように身体を空中回転して跳躍し急降下飛び蹴りのブラックワンに迫る。

ブラックワンはすかさず迎撃に動くも、キリエロイドIIIが立ち塞がる。

「「キリッ!!」」

 

キリエロイドIIIは全身から炎と熱エネルギーを溜めて両拳を腰の位置まで引き前方で拳を解き両手を交差させ

【シュピン!】

左右に大きく広げて光のラインが前方に出現し炎のエネルギーを変換した破壊エネルギーを集約し、L字型に両腕を組む

ブラックワン(ワイドショット!!否、これは……)

相手がしている一連の動作に脳裏に過るL字型の破壊光線を放つ光の巨人達の中から正解を引き当てるブラックワン。

ブラックワン(別次元の超古代の光の戦士の必殺光線技……それと似た物を出せるのか……だが)

キリエロイドIIIの右腕全体からオレンジ色と赤色が混ざったL字型"獄炎超光破"をブラックワンに向けて放つ。

ブラックワン(甘い!!)

ブラックワンは片手を前に出し念動力で触れずに押さえ付けマントに隠れた左手に魔力と念動力を合わせた魔光弾を敢えて小型に集束する。

「「キリッ!!」」

キリエロイドIIIは己の必殺技の威力を更に上げるもブラックワンは一歩も退かない。

 

市街地にて

生駒「レッドマンの必殺光線みたいなのをあの怪人も出せるのか!!」

水上「でもあの黒い鋭い印象を持つ巨人。直接触れずに防いでますやん。……ミスターマリックかい。」

隠岐「本当は焦ってるとかは?」

生駒「いや……あれは二宮さんや風間さんみたいに必要以外に表情が固まっているタイプや。何なら余力も充分あるでぇ。」

 

「「キリッ!?」」

「「イヤッ!?」」

そのブラックワン目掛けてカオスキリエロイドが飛び蹴りをブラックワンに叩き込もうとするも、ブラックワンの後ろから飛び越えて来たもう1人の存在…レッドマンが空中前回転してカオスキリエロイドに向かって赤く発光させたフライング・ニールキックを逆に叩き込む。

「「(フライング・ニール)レッドキック!!」」

空中で無防備な腹部目掛けてレッドマンの膝蹴りを浴びてレッドマンに撃墜され落ちるカオスキリエロイドを他所にレッドマンは獄炎超光波を放つキリエロイドIIIに目掛けて飛び掛かる。

必殺技を解きレッドマンとブラックワンから距離を取るキリエロイドIIIは再び両腕を左右から上に上げて中心の胸に高密度に集めた超高熱の炎のエネルギーを集めて火球の形状にしてレッドマン達に向かって放つ。

「「ッ!?」」

自身をボロボロにした技が迫る為に軽くビビるレッドマン。さっきみたいに攻撃して街の被害を最小限に押さえる手も何度も使えないが……市街地にあの技を放り出す訳にはいかない。一瞬本気で悩む剣持達。

ブラックワン(低く伏せろ)

だが放たれた獄炎光流に対した悩みの答えは後ろからの返事だった…

「「イヤッ!?」」

言われた通りに低く伏せると射程を確保したブラックワンが片手で形成した小型の圧縮魔光弾を迫る獄炎光流に向かって放ち相殺するどころか獄炎光流を押し返してキリエロイドIIIは直撃しそうになるも

「「キリ!」」

キリエロイドIIIの両腕に突然、緑色の光と共に両肘から鋭利な鰭"キリエルカッター"を展開し目前に迫る圧縮した魔光弾を一刀両断する。

ブラックワン(ほぉう………)

(キリエル人はあんな能力を持っているのか!!)

「「レッドナイフ!!」」

キリエロイドIIIに対してレッドナイフを両手に何時もの順手持ちでは無く"逆手持ち"で出現させるレッドマン。鋭利な鰭を展開した肘を前に出す臨戦態勢を取るキリエロイドIIIと睨み合うながら間合いを詰める。そしてレッドマンの方から攻める。

【ーーーーッ!?】

だがキリエロイドIIIに意識を向いていた為に両足に青い炎を纏わせた混沌の炎魔戦士がキリエロイドIIIに近付くレッドマンに足払いをする。

「「イヤッ!?」」

態勢が崩れた僅かな瞬間を逃さない混沌の炎魔戦士は達人の領域の中段蹴りでレッドマンを蹴り飛ばし明確なダメージを与えると共に空中高く浮かせる。

「「キリキリ!!」」

一方キリエロイドIIIはブラックワンに向かって素早く走り出して中段、下段、上段から鋭いキリエルカッターを振り下ろす。ブラックワンは其れを左肘で連続で全て攻撃を受け止めながら右手でキリエロイドIIIの顔を掴み握力で締めつつ片腕で相手を持ち上げてワンハンドブレーンバスターを決める。勿論、道路や建物は超能力で保護した状態で……殺意はマシマシだが……

息の根が完全に止まるまで繰り返そうと再びワンハンドブレーンバスターをしようとするが……

タンブリングしてくる混沌の炎魔戦士は空中高くから落下するレッドマンに急接近して岩を削るドリルの如ききりもみ回転キックを叩き込む。

両手に持つレッドナイフできりもみ回転キックを防ぐも両足首に生えた鋭利な刃が付与された為に大量の火花が舞う。

ブラックワンは片手で捕まえたキリエロイドIIIをカオスキリエロイドに向かって投擲してドリルコンボキックをインターセプトする。サイコキネシスで無理矢理投擲されながらブラックワンに向け獄炎弾を放つキリエロイドIIIはカオスキリエロイドにぶつかるも炎魔戦士達は直ぐに立ち上がりレッドマン達に向け普通の獄炎弾と青い高温の獄炎弾を放つ。

ブラックワンは瞬間移動でレッドマンの肩を掴み二人の炎魔戦士から距離を取る。

ブラックワン(……苦戦しているようだな。)

(そっちこそ……あの片腕ブレーンバスターを叩きつけてもあのキリエル人……平気そうだぞ。並みのウルトラ戦士なら首の骨がへし折れる筈なのによ……)

ブラックワン(青い炎を使えないキリエル人はケスノーチ程では無いがジェリコ以上には身体が硬いようだ……)

握力全開で顔を掴んだがヒビすら入っていない炎魔戦士を観察する黒き勇者。

(悪の美学に乗っとるなら卑怯な戦法も即死技も使えるだろう。何故何時も思うが使わない……)隣に立つブラックスター出身の宇宙人はかつて光の戦士達がいる宇宙警備隊にとある理由で一時期所属していた時、宇宙恐竜ゼットンが多種多様に生息するゼットン星を文字通り物理的鎮圧させて幾つ物の星との間に停戦条約を結ばせた実力者。当時、光の戦士の脅威だったゼットンを圧倒的な実力で屠る姿は宇宙各地は勿論、この次元宇宙の傭兵達にも語り継がれていた伝説である。

ブラックワン(……お前の望んだやり方を……本当に望むならしてやろう……。)

(なら今すぐ(許せないんだろ……目の前にいるキリエル人達を自分の手で倒したい……心を読まなくても分かる。)

「「っ!?」」

(あぁ……俺は奴の行いを絶対に許さない………)

ブラックワン(なら私が青い高温の炎を使う片方を相手しよう。)

両者構えながら向かい合う。

ブラックワン(ベム!銀河連邦のツーマンセル戦法の一つフライングアタック戦法をしろ。)そしてそんな時、ブラックワンからレッドマンに提案が来る。

(何ソレ?フライング……アタック…)

(っ!……しくじるなよ!?)

「「イヤッ!?」」

レッドマンが一気に疾走する。ブラックワンは疾走してきたレッドマンをタイミング良く巴投げの要領で蹴り飛ばし、二人の炎魔戦士に両肘鉄を使った体当たりする。

 

二人の炎魔戦士に体当たりをしてそのまま二人同時に相手をするレッドマン。別々の方向から迫る拳を両腕で防御し続けて迫る蹴りの一撃をギリギリで回避してからレッドナイフを振り下ろすもキリエロイドIIIのキリエルカッターでその一閃を受け止められ逆に上に振り払われその無防備の腹にカオスキリエロイドの蹴りを放つ為に足を上げる。

ブラックワン(軸足がガラ空きだ。)

足を上げた瞬間に瞬間移動魔法でブラックワンが出現しカオスキリエロイドの軸足を素早い足払いをしてからの掌底のワン・ツー連撃を叩き込みカオスキリエロイドを吹き飛ばす。

キリエロイドIIIはカオスキリエロイドを助けようとせずに入れ替わる形で前に出てキリエルカッターをブラックワンにすれ違い様斬り裂こうと放つも、

(お前の相手は俺だ!!?)

ブラックワンの前にレッドマンが持つレッドナイフの刃がキリエルカッターの一閃を防ぎ更に苛立つキリエロイドIII。

(邪魔をするな!?レッドマン!?)

目の前に立つブラックワンは明らかにレッドマンより強い存在と知りキリエル人は警戒心を最大にするも、そして自分を相手にして怯まないレッドマンに異常と感じるもその事実にどうしようもない怒りの感情が爆発し炎を燃やす。

(……そんなに傷だらけになって……何故折れない……何故諦めない……何故、何故だ!!?)

空いた片腕のキリエルカッターを振るうもレッドマンももう片手に握り締めたレッドナイフを振るい防ぎ睨み合う両者。レッドマンはすかさず蹴りを放ちキリエロイドIIIから距離を一度離してレッドナイフを左右の手にそれぞれ持ち得意のレッドナイフ二刀流をの構えをして相手を揺るぎない瞳で見据える。

 

ブラックワン(その"理由"が分からないから……貴様は虫ケラなのだ。)

「「ッ!!!?」」

二人の巨人の息の根を止める為に怒りの炎で動くキリエロイドIIIは両腕のキリエルカッターを乱舞の如く振るいレッドマンも両手に持つレッドナイフを同様に振るい絶え間ない無数の真紅の軌跡を描く刃と刃が火花を舞い散らさせ交差し、素早く身体の向きを

変え再び相手に向かって刃を振るい上げぶつかり合う。火花が舞い

【ギチギチギチ……】

キリエロイドIIIの両腕のキリエルカッターとレッドマンのレッドナイフで鍔迫り合いを繰り広げる。だが逆手持ちの為に力が入れづらいのか鍔競り合いではレッドマンよりキリエロイドIIIの方が優勢だ。

 

カオスキリエロイドの両腕を掴み投げ飛ばし、意識を目の前の敵から門と呼ばれる存在に割る。

ブラックワン(……既に門が出現した。キリエル人達の滅殺に行ってもらうぞ。)

ブラックワンは空に発生している地獄の門を見上げて誰かにテレパシーを送る。

(門?あの門もどうにかしないといけないのか!?)真琴先輩が別の次元の同族を呼び込む為の門と言っていた。つまりアレが開くと言う事は目の前の悪魔のような奴らが大軍で現れるという事だ。

(余所見とは随分と余裕だな…)

「キリッ!!」

キリエロイドIIIの容赦無い拳撃と蹴りをレッドマンは貰い更に素早く回り込まれ鋭い三連続蹴りを後頭部、背中、尻を連続で蹴られ苦しむも、

【ーーーーッ!?】

背後から迫る鋭いキリエルカッターの連撃を両手に持つレッドナイフで連続で防ぎ弾き受け流すも、キリエロイドIIIは肘にキリエルカッターが生え両手が自由の為、レッドマンの手首を掴み一気に投げられる

「「イヤッ!!」」

【ーーーーッ!?】

「「ッ!?」」

投げられるも直ぐに起き上がり真正面から迫るキリエルカッターの刃をレッドナイフでギリギリで受け止め右拳を赤く発光させ

「「レッドパンチ!?」」

レッドナイフを持つ右拳で相手の左腕の攻撃を弾いてキリエロイドIIIを腹に向けて怒涛の連続攻撃して最後に相手の顔を全力殴り飛ばして距離を取られせる事に成功するレッドマン。

「「レッドキック!?」」

右足を赤く発光させ追撃のハイキックをレッドマンは放つも、

「「キリッ!!」」

素早く片手でレッドキックをカットして裏拳でレッドマンの顔をお返しとばかりに殴り飛ばし、更に怯んだレッドマンの腹を蹴り飛ばす。

「「キリキリキリキリ……」」

相手を馬鹿にするように嗤いながら悠々自適に近付き両腕を高く上げてキリエルカッターを怯むレッドマンに向けて振り下ろすキリエロイドIII。

「「イヤッ!!」」

連続で振り下ろされた両肘のキリエルカッターを素早さを優先した"逆手持ち"から押し合いや鍔競り合いに強い"順手持ち"に持ち替えて両手に持つレッドナイフで防ぎ全力で相手を押す。それから互いに一度離れて、風を斬る音と共に素早くレッドマンに向け鋭利な鰭状の刃キリエルカッターを展開した右肘を自身の前に出して走るキリエロイドIII。走ってくる相手に対して二刀流のレッドナイフを"順手持ち"から"逆手持ち"に持ち替え迎え撃つレッドマン。

 

互いに素早い回し蹴りやハイキックを繰り出しては、隙を逃さずにキリエルカッターやレッドナイフを振るう攻防が続く。

そしてキリエロイドIIIの横蹴りがレッドマンの横腹に直撃し

跳び掛かると同時にキリエルカッターを振り下ろし、遂にレッドマンの胸に刃が斬りつけられる。

「「ッ!!!?」」

大きな火花と同時に赤い光の斬り傷が胸に出来て、そんな激痛に苦しみ膝をつくレッドマンだが何とか立ち上がろうとするも容赦無くキリエロイドIIIは立とうする足ばかり攻撃し痛めつける。

レッドマンの首元へキリエルカッターの鰭で鋏みこみ無理矢理立ち上がらせ一方的に蹴りを入れて再び右腕を振るい上げキリエルカッターでレッドマンの胸に赤い光の斬り傷を作りだす。連続で浅くない斬撃を貰い完全に膝をつくも膝をついたレッドマンの首に片足を踏み付けるように乗せ嘲笑うキリエロイドIII

「「キリキリキリ…」」

だが大切な人達の気持ちを利用した目の前の悪魔に怒りの炎を燃やすレッドマンは何とか傷だらけでも立ち上がるも、それがキリエル人を余計苛つかせる。レッドマンの顔を左足で素早く蹴り飛ばし、素早くと跳躍と共にキリエロイドIIIはレッドマンが反応するよりも速くすれ違い様に右腕のキリエルカッターを振るいレッドマンの横腹を斬りつける。

「「っ!!」」

 

キリエルカッターで斬りつけられレッドマンは横腹を押さえながらキリエロイドIIIの方に視線を向けるとキリエロイドIIIはトドメとばかり両腕を胸の前に交差させた後で瞬時に左右に伸ばしてから上に上げて炎のエネルギーを集束。

【ーーーーッ!?】

(ヤバいっ!?)

「「キリッ!!」」

両手を左腰に置いてからキリエロイドIIIは助走を付けて走り一気に跳躍し、居合い斬りの要領で爆発力の高い炎の矢状の光弾を右腕を投げ付けるようにレッドマンとカオスキリエロイドと戦うブラックワンに向けて素早く一度に5発連続に抜き放つ。

「「イヤッ!?」」

横腹を押さえながらレッドマンはスパイダーマンのようにアクロバットに次々と紙一重に回避し、獄炎矢光弾はブラックワンに全て向かう。

「「っ!!」」

(させるかよ!?)

レッドマンは左手をブラックワンに向かって飛来する"獄炎矢光弾"に向け自身の念力を使い獄炎矢光弾の動きを全て止めてブラックワンはカオスキリエロイドのキリエルクローと連続蹴りに集中する。

「「イヤッ!!」」

(そおれ、お返しだ!?)

念力操作して獄炎矢光弾を放ったキリエロイドIIIに向けて全て投げ返す。

「「キリッ!!」」

まさか回避されるとは思っていなかったキリエロイドIIIは投げ返されて動揺し右肩、左膝、横腹に命中し後方へ吹き飛ばされる。

ブラックワン(ベム!?私の事よりも門の破壊を優先しろ。)

(せっかく相手の必殺技からフォローしたのに、その言い方はないだろ!?)

ブラックワン(お前は私を守る為にこの場で戦うのか!?)

(っ!!?)

確かにその通りだ。共闘相手を守る事も大事だが、今回の勝利条件は空に出現した門の破壊とキリエル人達の撃破。守る事を優先しても意味がない。

「「キリッ!!?」」

吹き飛ばされたキリエロイドIIIも立ち上がり横腹を押さえながら接近しようとしたら突然身体の自由が奪われる。

「「キリッ!!」」

「「………。」」

ブラックワンはキリエロイドIIIに右手を向け念動力で相手を後方へ吹き飛ばす。

「「キリッ!!?」」

【ーーーーッ!!】

レッドマンとブラックワンに対してカオスキリエロイドは一瞬の合間に助走と共に跳躍し空中からマシンガンの要領で連続蹴り放ちブラックワンとレッドマンをその連続蹴りを防御するも後退させられる。

「「キリッ!!」」

(貴様ら悪魔共を浄化する聖なる炎の技……受けるが良い!!)

カオスキリエロイドは着地と二人に狙いを定めて右腕が軽く垂直に上げると周囲の地面の隙間から青い炎が昇りその高温の炎を吸い込むように右腕に集めて一回転させ炎のエネルギーを右腕に溜めて青い中型サイズの火球を夜空に打ち上げる。

遅れてキリエロイドIIIからも普通の炎の色の火球が夜空に打ち上げられブラックワンとレッドマンの前の地面を焦がし落下。レッドマン達の足元の地面に潜ませてから周囲に青い炎と紅蓮の炎が吹き荒れるも一瞬で2色の炎は消えてると同時にレッドマンとブラックワンの足元に青い火柱と紅蓮の火柱が天を目指して地面から昇るように燃え上がるように放たれ始め二人の巨人から逃げ場を奪う。

「「イヤッ!?」」

「「キリッ!!」」

二人の炎魔戦士は自分の周りの道路から次々と青い高温の火柱と紅蓮の火柱を片手で招き入れるように作り出し高温の火柱を操作。

「「キリッ!?」」

最後は互いの炎を二人の巨人にいる位置誘導し二人の巨人を巨大な青と赤の火柱にじわじわと包みこみ一気に焼き焦がす。

(浄化とか聖なるとか綺麗な言葉を言っているが、これじゃ只の焦熱地獄じゃないか……)

(グオオオオオオオオッ!!!!言ってる場合か!?この炎魔地獄を切り抜けないとヤバいぞ!!)

ブラックワン(さぁ、どうする?このまま奴らの炎にオメオメと黒焦げになるか?)

炎のエネルギーに互いがダメージを負いながらブラックワンは嬉しそうな口調でレッドマンに尋ねる。宿敵の口調に苛立ちを隠せないレッドマンはその炎魔地獄のダメージでレッドナイフを落としてしまうも拾う暇がない。

(クソッ!?俺が念動力で内側の二人の炎の勢いを止める!!その間に、ブラックワンはこの高温の炎を何処かに捨てろ!!)

ブラックワン(ふっ、良いですとも!!)

(互いのサイコキネシスを合わせろよ!?)

互いに尋常ではない高温に晒されながら両手から念動力を放出し

ブラックワンとレッドマンは精神を集中させて念動力の力を通常よりも上げて炎魔地獄を突破する為に動く。

 

 

 

二人の炎魔戦士が巨大な火柱の前で両腕を左右に振るうと共に火柱を霧散させる。火柱の中心には誰の姿もなかった。

「「キリッ!?」」

烏滸がましい存在であるレッドマンを倒した事を確信しキリエロイド達は門を開ける準備をしようと動くが、

(必ずに倒すと言った筈だ!!求職者達の心を乱すこの詐欺師共!!)

ブラックワン(貴様達如きでこの私に勝つ……身の程を弁えろ!!)

聞こえてきたテレパシーと共にカオスキリエロイドの前で黒い高周波マントを翻して出現するブラックワンはカオスキリエロイドと蹴りをぶつけ合い向き合う。

(身の程知らずめ!?キリエルの怒りを思い知らせてやる!!)

(貴様らの怒りよりもこの私の怒りの方が上だと言う事を教えてやる!!)

両足を黒く光らせるブラックワンと青い聖なる炎を纏うカオスキリエロイドが目に止まらない高速の蹴りの打ち合いを繰り広げる。

 

激闘を繰り広げる近くの市街地ビルの屋上にて

太刀風「無事で御座るか?少年。」

謎の少年「此処は……はぁ!」

皇虎によって救われた謎の少年は屋上からレッドマン達の戦いが始まっている事に気付く。

謎の少年「……。」

傷付いた謎の少年は皇虎に手当てをされながら炎魔戦士とレッドマン達の戦いを真剣な様子で眺める。

 

 

赤い光と共にワープ能力でキリエロイドIIIに向かって奇襲を仕掛けるレッドマン。仕掛けると同時に落としたレッドナイフを念動力で浮遊させて片手で2本とも拾う。

「「イヤッ!!」」

(コイツは許せないけど……今優先するべきは門だ!?)

(あぁ、奴らに求職者の希望の地ハローワークを破壊されてたまるか!!)

(いや、総合的に被害にあうのはハローワークより市街地と人類と文明!!)

「「キリッ!!」」

左手に持った2本のレッドナイフとキリエルカッターがぶつかり合いキリエロイドIIIに腹を蹴られレッドマンは後方へ下がると同時に下がったブラックワンと背中合わせになる。

ブラックワン(門の破壊は可能か?)

ブラックワンは高周波マントを硬質化させ蝙蝠の翼の如く広げて

カオスキリエロイドに向け放つ。

「「キリッ!!」」

カオスキリエロイドは鋭利な刃が付与された両足をブレイクダンスの要領で高速で振るい上げてながら硬質化したマントの攻撃を次々と弾きつつブラックワンに接近する。

背中合わせからそれぞれの相手に向かって走り出す二人の巨人。

「「イヤッ!!」」

(誰に言っている!?)

レッドマンも自分に迫るキリエロイドIIIに向けて空手チョップ攻撃しながら意識を一瞬、上にある門の方向に向けてその隙にキリエロイドIIIは両肘を振るいレッドマンはギリギリで下がりレッドナイフをキリエロイドIIIの頭と胸部分の光る発光体目掛けて素早く投げナイフの要領で投擲する。

「「イヤッ!?」」

「「キリ!?」」

投擲されたレッドナイフにキリエロイドIIIは両肘のキリエルカッターを素早く振るい弾く。だがその一瞬の隙にレッドマンは両腕を垂直にして空中高く飛行してその速度をマッハ5にして一気にキリエロイド達を無視して地獄の門に向かう。

(急いであの禍々しい地獄の門をレッドサンダーで破壊しよう。)

(飛ばすぞ夢想!!)

市街地から空中高く飛翔するレッドマンを見上げるキリエロイドIII。

 

「「キリッ!?」」

(この僕が空を飛べないと思ったら大間違いだ!?)

キリエロイドIIIの背中から緑の光と共に禍々しいX状の巨大な翼キリエルウィングが展開されてキリエロイドIIIは高く跳躍すると共に一気に加速し飛行する。飛行した衝撃で市街地の周辺の窓ガラスが粉々に割れる。

真琴(ティガのスカイタイプを上回ったキリエロイドIIよりアイツ速い!!)

 

 

 

 

加速する音がどんどん大きくなる中で別の加速音が聞こえてきて

地上へ顔を振り返るレッドマン。

「「ッ!?」」

(アイツも飛べるのか!?)

(僕達よりも速い!?)

【ーーッ!!ーーッ!!ーーッ!!ーーーーーーッ!!】

危険探知能力がかつてない程の警告の知らせを鳴らし後ろから自身を物凄い速さで追ってくるキリエロイドIIIに驚く夢想とベム。飛行速度が相手の方が速い為に振り切ろうとするも振り切れない。

空に発生させた異次元の門「地獄の門」の破壊しようと空を飛んでいるマッハ5のレッドマンより高く飛翔したキリエロイドIIIは飛行するレッドマンを加速させて通り過ぎるも、

「「キリッ!!」」

「「イヤッ〜〜」」

そのすれ違い様に肘のキリエルカッターでレッドマンの無傷の方の横腹を斬り裂き的確なダメージを与えレッドマンの身体に赤い光の切り傷が作られ更にその狙いはレッドマンより高い位置を確保する為でキリエロイドIIIは身体を大回転させながら勢いをつけて放つ超高角度の踵落としがレッドマンの頭頂部に向かって叩き落とす。本能的に防御をしようとするも頭に両腕が防ぐ前に踵落としがレッドマンの脳天に直撃し脳内に稲妻が駆け抜けていった。

「「ッ!!!!?」」

(がはっ!!?)

衝撃と共に両の黄色い目の光が消えたレッドマンは空中高くから重力に従って三門市の市街地に落下する。

 

ロイド《レッドマンの奴ノックアウトされたぞ!》

アラシ《滅茶苦茶強いじゃないか!?あの怪人!?》

出動したマッハビーストとアタックシューターは市街地に落下したレッドマンを目撃して叩き落とした炎魔戦士に脅威を覚える。

真琴「っ!!」

教会に避難していた真琴達もその衝撃的な光景に絶句する。指揮系統が混乱状態で隊員の何割かおかしくなっても無事の人間が代理でまとめて市街地で市民の避難を促していた正気でいるボーダー達も、そして茂みから空を見ていた五角形の怪しげな生き物達も見上げていた。

 

【………………………………………………………………】

警戒区域内に放置された市街地の瓦礫に沈むレッドマン。その彼は完全に意識を失っており微動だにしない。

「「キリキリ…」」

遥か天空高くからそのレッドマンを見下すように飛行しているキリエロイドIIIは目の前の地獄の門を開けようとせずにレッドマンにトドメを刺そうと動く。かつて門を開ける事を優先した余りウルトラマンティガにトドメを刺さなかった為に敗れた同族と違い息の根を完全に止める為にキリエルクローとキリエルカッターに聖なる炎を纏わせて一気にレッドマン目掛けて急降下して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…痛い………身体中が痛い……頭が割れるような感覚だ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺の身体はもうバラバラになっているんだろうか……………)

 

 

 

 

 

(………どっちでも良いか……もう……疲れた…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

(もう……休んで良いよな………でも……でも……………)

 

 

 

 

 

(どうして……どうして…俺はこんなになるまで戦うんだろう)

 

 

 

 

 

 

(何が俺の……僕の心を……駆り立てるんだろう……)

 

 

 

 

 

脳裏に過るボーダーの隊員達、『お化け屋敷』の人達、高校の知り合い……銀河連邦の人達……コレから出会うかも知れない顔も名前も分からない人達……

 

 

(そうか…僕らは…皆と過ごした時間が……好きなんだ…守りたいんだ!!)

指先がピクリと動き全身に力とエネルギーが回り

「「イヤッ!?」」

意識が覚醒して既の所で顔目前に迫るキリエルクローを両手で掴まえ勢いを止めて命拾いするレッドマン。相手の片腕を掴んだまま無防備なキリエロイドIIIの顔を蹴り飛ばし更に首元に蹴りを浴びせる。

(…そうだ……僕が目の前の悪魔に命懸けで戦うのは……奴らの目的が達成されたら皆の平和が無くなるからだ!!笑顔が失うからだ!!?)

 

(そうだ!?それ以上に………僕は胸を張って生きたいからだ!!胸を張って今日まで出会って僕の信じてくれた人達の想いに答えたいからだ!!)

 

沢山の人達の出会いが絆の軌跡を生む。それが……俺の中でどんどんと眩しく大きくなる。

(負けられない……僕らは負ける訳にはいかないんだ!!?)

成川「完全に落ちた意識を復活したな。」

太刀風「よし。」

春日「反撃開始だ!?ベム!?剣持!?」

ハザマ「勝負の流れが変わったな……」

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〔推奨挿入歌 ウルトラマンティガOP TAKE ME HIGHER〕

「「キリッ!!?」」

キリエロイドIIIは右手首をレッドマンに掴まれた状態ですかさず空いた左腕のキリエルクローを放つ。

クローが迫るレッドマンはキリエロイドIIIの右手首を掴んだ両手を離し距離を取り向かい合いながらキリエロイドIIIに走る。キリエロイドIIIは満身創痍のレッドマンに向かってキリエルクローに手足を利用した速い打撃の連続ラッシュを放つも。レッドマンはキリエロイドIIIの頭部と脳天に狙いを定めてローリングソバットを叩き込んで、更にローキックからキリエロイドIIIの顎を蹴り上げてから横蹴りで顔を蹴るだけではなく執拗に蹴りのラッシュを反撃を与える暇もなく一方的にキリエロイドIIIの顔に叩き込む。

「「キリッ!?」」

「「………ッ!?」」

(やっぱり、俺にM78星雲人のような戦い方は無理だな!!?)

鞭のように次々と怒涛に左右の足を振るいキリエロイドIIIの顔面を蹴り上げラッシュ攻撃の速度を徐々に加速させる。

(少しずつでも良い……大事な事は、相手がどんなに強くても、ダメージを蓄積させて……確実にどんな手を使ってでも相手を倒す事だ。向こうの方が僕よりも格闘技に強い。だからなんだ!?此処は正式なルールが決められた闘技場やリングや試合じゃない!!レッドマンにはレッドマンの戦い方があるんだ!?)

((鬼畜ヒーローの異名は伊達じゃないっ!!?脳天に兎に角ダメージを蓄積させるんだ!?頭はどんな生き物も重要な部分!!足の感覚が無くなるまで蹴り続けろ!?))

執念とも呼べる蹴りのラッシュ攻撃でボロボロになるキリエロイドIIIが左手で蹴りを入れるレッドマンの片足を掴み動きを止め軸足に向かって足払いを放ちレッドマンを転倒させ、レッドマンの腹部を聖なる炎纏わせたキリエルクローで掴みそのままレッドマンを片手で高く持ち上げて自分の膝に叩き込む。鈍い音がレッドマンから鳴り響き激痛がレッドマンを襲う。

(やっぱりコイツ強いっ!!?)

腹部と背中の激痛で意識が飛びそうになるレッドマンだが、キリエロイドIIIの顔に目掛けて鉄拳を放ちキリエロイドIIIが怯む隙に相手の上腕部をレッドマンは両脚で挟んで固定し親指を上に向かせる形で相手手首を掴みそのまま全身を使い密着させてこの状態から骨盤のあたり支点に相手の腕を反らせる。

((この天使の名を語る悪魔がぁあああああああああああああああああああああっ!!!?折れろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?))

レッドマンが放つ関節技"逆腕挫十字固め"でキリエロイドIIIの右腕から右肩に物凄い音が市街地に鳴り響き、炎魔戦士の右腕をあらぬ方向に曲げる。

「「キリ〜〜!!!」」

キリエロイドIIIは右腕を押さえて激痛でのたうち回るその顔に向かってレッドマンは一切の情け容赦なくハイキックからフライングニールキックを繰り出す。

「「ッ!!?」」

だがキリエロイドIIIは追撃が来るよりも早くレッドマンの顎を蹴り上げレッドマンの巨体を文字通り空中高く飛ばしキリエロイドIIIは無事である左手でレッドマンの首を掴みマッハ5より速く夜の空に一気に連れて行く。

(ぐっコイツ!!こんなに頭部や脳天を蹴られて右腕が使えなくてもまだこんな力が残っているのかっ!!?)

首を掴まれたままキリエロイドIIIの底力と意地と気迫に追い込まれそうになるも、此方も意地だけなら負けていない。人の想いを踏み躙る炎魔を絶対に倒す!!

翼で加速させたキリエロイドIIIはそのままレッドマンを空に発生した地獄の門の硬い扉に叩き付ける。

「「ッ!!?」」

余りの威力にレッドマンの背後の扉が亀裂と共に丸く凹み、一瞬意識飛ぶレッドマン。

(人類を導くのは、我々キリエル人!!お前等ではない!!?)

地獄の扉にレッドマンの首を押さえつけながらキリエロイドIIIは言う。その声に皮肉にも意識を回復させるベムと夢想。

(………確かに世の中には現実が嫌になって悪魔のお前達のような不確かな存在に縋りたい人達もいるだろう。不安な現状に……苦しんでいるだろう……)

(そうだ!?この星の人々は求めている!?あらゆる苦しみから救う救世主を!?究極の幸せや安心を求めているんだっ!?)

(………自分達を崇め奉らない……認めない……讃えない奴らを穢れと言い炎で焼く事が救世主のする事かよ……)

(そうだ!?その権利が我々にはある!!?)

(……遺族の周りに故人の幻を見せる事もか…)

(遺族を始め友人、恋人達に、幻でも愛する者と再会したいと望んだ彼ら彼女の望みを願いとして叶えさせただけの事………これほどの幸せが他にあるか……)

(………………幸せだと!!)

脳裏に過るのは、ヒマラヤの始まりの戦いで怪獣によって殺された兄 龍牙の最後の表情。怪獣に怯えながら、もう2度と再会出来ないのに再会するような事を言い足を氷で挟まった大事な家族である僕や父親を助けたいのに助けれず、怪獣の事を教える為にも外の人達の助けを呼ぶ為にも高い氷の壁を必死に登っていた……本来なら僕の代わりに生きなければならなかった。でも生還出来なかった。生きたかったのに……大規模侵攻で亡くなった人達を持つ染井さん達だってそうだ……家族や友達や恋人がいない。どんなに望んでも……もう2度と会えないのに……皆、死にたくなかったのに!!………母さんだって!?

あの大規模侵攻の後に再会した染井さんが大泣きしてしまった俺に釣られて溢れるように涙を流した姿がフラッシュバックする。

(貴様達にそんな権力なんてない!!あってたまるか!!?)

(……貴様は今と言う現実を生きる生者達の想いを!?……死者達の想いを!?)

剣持の脳裏に今を生きる人達の姿がフラッシュバックするようにベムの脳裏を走るのはこの世にはいない実の両親の姿……もう帰らない短くもレッドマン……ベムにとっての幸せな時間。そして幸せが崩れさる……"現実が"…変えようのない現実が……目の前に只其処に広がる……それは戻れないし、止まれないし避けられない……どんな形にでも始まりがあるなら何時かは……必ず終わりがやってくる。でも流されるばかりが生きると言う事ではない。認め、求め、受け入れ、足掻き、向き合い、もがけ、迷走して良い!!悩んでも良い!!躓く事は悪い事じゃない!!答えが手に入らないかも知れない!!手に入るかも知れない!!見つからないかも知れない!!見つかるかも知れない!!時には現実に目を背けて逃げても良いのかも知れない。

それでも……それでも……

 

回想

〔推奨BGM 安らぎを君に[M―62B]〕

剣持の母親の部屋……

剣持の母親『ゴホゴホッ……夢想。』

『どうしたの?お母さん。』

母さんは……ボーダーの那須隊長に似て身体が弱い人だった……

体調の良い日には家族揃って何処か出掛けるのが大好きな人で、

……不思議と誰が何処から来るのか何処にいるのか分かる人で剣のような長さの棒を持つと別人のように雰囲気が変わり子どもながら……気高いとか美しいとか難しい言葉を知らず……カッコいいと僕が言うと、優しい笑顔で振り向いてくれた。やがて体調が悪くなる事が多くなり……父さんも大学を休んで母さんの面倒を診る日が多くなる。僕や兄が病気治るよね?と両親達に必死に聞くも両親は曖昧な返事をするだけで一度も"治る"とは言わなかった……自然と別れが来るかもしれないと察して僕は空いた時間は寝たきりの母の傍にいる事が多くなり、自分自身の中の大きくなる不安を消す為に母に色々な話しをした。

でもそんな子どもの不安は母親にバレバレで……

剣持の母親『……生きていると必ず別れは何時か訪れるもの……其れを無理に押さえつけるのは……例え仏様や神様でも無理な事なの……』

『っ!?そんな事言わないでよ!?僕っもっと勉強するし、強くなるよ。母さんや父さんや兄さんを必ず守るようにするから!?』

剣持の母親『じゃあ、約束してくれる?』

『うん!?』

剣持の母親『何時でも心に"勇気"を持って大切な人達の笑顔と未来を守って……』

『えっ?』

剣持の母親『私は…充分過ぎる程幸せで……何よりも子どもの貴方に守って貰う程弱くないわ。』

『……。』

剣持の母親『でも何時か……私達家族に負けないくらいの大切な友達や人達に出会えたなら……貴方が守って上げて……』

『……本当は……本当は…僕喧嘩なんてしたくない。怪我も痛いのも嫌だ……』

身体の弱い母さんを安心させる為に、出来もしないホラを言った自分が嫌になって正直な気持ちを母さんに言う。母さんも普段の自分を知っているから叱りの言葉は言わずに分かっていたようで…

剣持の母親『大丈夫。貴方に才能は無いけど素養は私に負けていない。切っ掛けがあれば貴方は自分より強い相手に大切な友達や仲間を必ず守るようになるわ。母さんの子どもですもん。』

励まそうとしたら逆に気を遣われて励まされてしまった。

剣持の母親『だから大切な人達を馬鹿にされたりイジメられたら貴方は怒って良いのよ……それに……』

『?』

剣持の母親『……別れが…訪れても人の想いや心はずっと傍にあるから……離れていても忘れなければ何時も一緒だから……今日も前を向いて進み生きましょう。今と言う大事な時間は止まらないのだから……』

『母さん……。』

そう言い母さんは儚い感じがあるも笑顔になり僕を優しく抱き締めてくれた。

剣持の母親『私は……可愛い貴方達の幸せを何時も願っているわ。』

『母さん……。』

どんなに望んでも……変えられない現実に……僕の眼から止め処なく涙が流れ落ちる…そんな僕を見た母さんは僕の頭を優しく撫でてくれて抱き締める力を強くした。まるで忘れないように……宝物のように…

回想終了

 

〔推奨BGM ティガ!使用曲 TAKE ME HIGHER[M―12]〕

「「っ!!?」」

それでも!!………あの母さんの言葉通り……染井さんの両親も迅さんの母親だって……亡くなった人はその大切な人達の胸の中でずっと生きているから……今と言う大事な時間を過ごしているのだから!?大切な人が望むのは何時も大切な人の幸せだから!!

(人々の気持ちを知ったようで本気で知るつもりのない癖に……全ての人が心の底から望んでいない癖に……)

((俺達の大切な人達を侮辱するなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!?))

キリエル人達の自分勝手な言い分に完全にブチ切れた夢想とベムはレッドマンとして剣持夢想として人の想いや心を踏み荒らした目の前の相手を絶対に許さない……赦゛さ゛ん゛!!!?

「「ッ!!?」」

キリエロイドIIIの首を両手で力の限り締め上げるレッドマン。

(お前の言う通り!?俺に救世主なんて土台無理な話だ!?人を導く!?此方がお悩み人生相談所の常連さんになっちまうよ!?)

レッドマンに首を締め上げられて苦しむキリエロイドIIIだが、右腕が使い物にならない為にレッドマンの両手を振りほどけない。

(……でもな、お前らに道案内して貰う必要ないんだよ!!?)

「「キリッ!!!」」

苦しみながら自身とレッドマンごと空中回転させて遠心力でレッドマンを振り払おうとするレッドマンは何が何でも離れない。相手の首を締め上げながら両手を赤く激しく発光させて、両足で相手の腹部に挟み込み柔道の横捨身技の一つ蟹挟を使い圧迫させながら身体を固定させてキリエロイドIIIの首に再び狙いを定める。

「「レッド(ダブル)チョップ!!」」

更に首目掛けて斬撃の如き打撃技レッド(ダブル)チョップを放ち更にキリエロイドIIIの頭部目掛けて頭突きを叩き込み顔面に向かってもう両拳によるラッシュ攻撃を叩き込む。普通のボーダーの個人ランク戦……否、"普通のボーダー隊員の戦い方"では絶対に味わう事のない文字通り相手の命を奪う感触を拳に…手に味わいながら戦うレッドマン。ハッキリ言うなら滅茶苦茶嫌な感じだ……馴れる物ではない……だがそんな感触すらどうでも良くなる程……夢想は…ベムは…死者を想う生きる人達の心を惑わせ弄んだ目の前の相手にブチ切れていた。

自身の今の境遇が本来なら有り得ない立場なのもあるのだろう。

だが更に遠心力が増す空中移動させられた為に攻撃する事すら難しくなってきた。

「「キリッ!!」」

キリエロイドIIIの顔の上部下部が再び左右斜めに割れて機関銃の要領で追尾能力を持つ獄炎弾を次々とレッドマンの顔に向かって放つ。

【ーーーーッ!!】

「「ッ!!?」」

レッドマンはキリエロイドIIIから一旦離脱し迫る獄炎弾を両腕で防御しながら相手を向き合う。

顔を可変させたキリエロイドIIIは顔面の発光体と左腕を振るい獄炎弾の雨がレッドマン目掛けて降り注ぐ。

(二宮隊長や出水先輩の射手ばりに撃ってやがる!?なんて数だ!?)

(だからどうした!!絶対に逃さない!!!?)

(しっかりしろ夢想!?アイツを殺したい程ムカつくのは俺も同じだが、大切や奴らが住んでいる居場所をお前が蔑ろにするのは間違っているだろ!!?)

(っ!?)

ベムの説得に怒りに激しく燃え上がる夢想は一瞬で我に返り三門市を……其処に住む大切な人達の姿を思い出してレッドマンはキリエロイドIIIの追跡をやめて三門市に降り注ぐ獄炎弾を次々とその身を盾にして三門市を守る為に飛ぶ。

次々と飛来する獄炎弾をレッドマンは身体の前方で両腕をクロスさせ受け止める。受け止めてから直ぐに別の獄炎弾を止める為に飛ぶレッドマン。防御をして移動する中レッドマンは……ベムは思う。……俺は夢想に何言っているんだよ……らしくない。傷付いた身体張って民間人の市街地を必死に守るなんて……まるで"アイツら"その物じゃないか。とっくに捨てたのに……諦めたのに!!……死んだのに!?こんな"憧れ"なんて今更蘇るんじゃねぇ!?

空中から自分を遥かに速い速度で飛行するキリエロイドIII。

速度は相手に劣るもそれでも街を守る為に飛行するレッドマンは迫る獄炎弾を両腕で重要な部分を防御しているが、それ以外の部分に次々と命中しダメージが確実に蓄積される。キリエロイドIIIは相手が消耗させる為に接近せずに更に両手から放つ獄炎弾の数を増やしレッドマンを集中砲火する

(ぐっ!?これ以上は……)

すると黒い高周波マントがレッドマンの前に現れて獄炎弾を自分の変わりに防いでくれる。

「「ッ!!」」

ブラックワン(忘れ物だ……)

聞こえてきたテレパシーと共に2本のレッドナイフがレッドマンの元へ飛んできて反射的に其れを掴む。

【ーーーーッ!?】

そしてブラックワンも自分の同じ高さに飛行してきて宿敵同士見合わせるも互いに自然と背中合わせになる。

ブラックワン(お前にしては珍しい事をしているな。)

「「イヤッ!!」」

(分かっているよ!!?)

ブラックワンは下にいるカオスキリエロイドに視線を向け

ブラックワン(……相手は二人。此方も二人。連携して奴の集中力を奪い反撃に出るぞ。)

「「イヤッ!?」」

(出来るのか?敵として戦う事はあるも……連携なんて……)

ブラックワン(レッドマン。お前は好きに動け。私がお前の動きをフォローし、その交代でお前が私をフォローすれば良い。)

(……そうだ……出来る出来ないじゃない。……やるんだ!?努力しろ!?努力するしか頑張るしか活路が開けないのなら努力で喰らいつくしかない!!!?)

2本のレッドナイフを持ったレッドマンは構えて放たれた獄炎弾を素早く振るい炎を斬り裂く。

「「キリッ!?」」

(気を抜くな!?一つ足りとも街に降らせない!!……全て……全て振り払え!?一つも残らず斬り裂け!!?邪悪な炎魔の炎の火の粉を!!)

 

レッドマンは縦横無尽に飛び両手に持つレッドナイフを高速に振るい上げて縦横無尽に放たれる獄炎弾を次々と捌く。全方位から放たれる獄炎弾をレッドマンは……剣持夢想は……気合いで捌いてくる。その水を得た魚のような様子に……キリエロイドIIIはかつてない程の苛立ちを覚える。

(レッドマン……やはり貴様は不愉快だ!!)

自分の方が強いのに……優れているのに……追い詰めているのに

追い詰められていながら逆に此方が追い込まれている。この僕が明確な恐怖を感じている……奴が僕に挑む度に苛立ちが増す否その理由はもうわかっている。

(身体中の全ての熱エネルギーがコイツを今すぐ殺せと言っている!!)

 

死への恐怖が確実に現実味を増す事実に自己顕示欲の高いキリエル人は認めたくないのだ。自分は死ぬ筈がない……死ぬ事等ない……愚かな人類に殺される事がない……自分よりも遥かに劣るレッドマンに倒される事がない……その自信が砕かれるのを恐れ

「「キリッ!!?」」

自分から攻撃を当たる事で三門市を守った満身創痍のレッドマンに対してトドメを刺す為にキリエロイドIIIはレッドマンから更に高く上昇しレッドマン目掛けて空中回転し片足を天高く蹴り上げて全てを断罪する為に獄炎踵落としの態勢をして一気に加速する。狙いはレッドマンの頭部。

「「ッ!?……イヤアアアアアアアアッ!!」」

満身創痍のレッドマンは一度、軽く怯むも真っ直ぐに迫るキリエロイドIIIを恐れずに向き合い敢えて死中に活を見出す為に飛び込む。

「「ダァッ!!」」

ブラックワンは念動力で全ての獄炎弾をカッ消してレッドマンを更に加速される為に念動力でレッドマンを下から押し出す。

(相手の強さや気迫に負けるな!?自分の心に喝を入れろ!?全身の隅々までに喝を入れろ!!燃やせ燃やせ燃やせ!!心を燃やせ!!?)

(レッドマン!?自らキリエルの裁きを受けるか!!我らキリエルの神の名の元へ地獄へ堕ちろ!?)

キリエロイドIIIは片足を高く蹴り上げた状態で全身を聖なる炎で纏わせた状態でレッドマンに迫る。

(奴の踵落としをまた食らったら今度こそ終わりだ…タイミング感覚を…見極めろ……相手の動きを……見極めろ!!踵落としは本来は見た目に惑わされがちだが出が遅く威力も上げ難くリーチは短い…だが奴の踵落としは出が異常に速く威力も高い……だからこそ放たれる前に踏み込め!!)

全身を炎で纏わせたキリエロイドに対してレッドマンも全身を赤く激しく発光させ両足にエネルギーを集中させる。

「「イヤアアアアッ!!」」

(地獄に落ちるのは貴様だあああああああああああ!!)

両者の顔が、姿が、点滅するように次々と交互に移り変わり三門市の夜空に激突音と衝撃音が響き渡り周辺の雲を吹き飛ばす。

赤い光と己の聖なる炎で両者の視界を封じられる中でキリエロイドIIIは感じた手応えと違う事に気付く。

「「ッ!?」」

レッドマンは相手の踵の部分を両手でギチギチと掴み上げて超高角度の獄炎踵落としを無理矢理封じ込める。

(…これなら踵を落とせまい……)

(……人の未来がお前の手にあるのなら……僕が……俺が奪い返す!!)

「「レッドフォール!?」」

「「ッ!!!!」」

睨み付ける相手の踵を掴んだまま勢い良く空中高くからレッドマンはキリエロイドIIIを投げ飛ばす。

「「ッ!!!!」」

そして投げ飛ばされ頭から空中を落下するキリエロイドIIIの腰に逆さまになったレッドマンは両腕でキャッチして一気に加速させ三門市に一緒に全力で落下するレッドマン。レッドフォール・シットダウン式ボムをキリエルに叩き込む。

「「レッドォォォフォォォォォォォォォォォォォォォルゥゥゥゥ!!!!!!!!」」

(人には……どうしても退けない時があるから……どうしても譲れない物があるから人は何処までも努力して強くなるんだっ!?離れていても俺達の力になるんだ!!?)

沢山の出会った人達の姿が幾星霜にレッドマンの中を駆け抜ける。

 

 

志岐の自宅にて

志岐「………。」

自室の窓から見えるレッドマンとキリエロイド達の激しい地上戦から空中戦の様子を見て不安の気持ちを打ち消す意味でも………大切な人の安否を心配する意味でも志岐 小夜子はする事に意味なんか無いかも知れないけど……祈る。

志岐「剣持君……お願い。負けないで……」

祈れば、何か変わる訳じゃない……でも根暗のオペレーターの自分には、ボーダーの戦闘員みたいに戦う事は出来ないし、知っているトリオン兵でもないから助言も出来ない。無力さや不甲斐なさに泣きたくなる。……でもボーダーや世間から有害巨大生物認定されているんだ……一人くらい応援して上げる人が居ても良いでしょ。

志岐「……私も強くなりたいよ。」

自分の駄目な所は自分が良く知っているし、それで周りが合わせてくれている事に感謝もしている……でも私が……もう少し、他のオペレーターや戦う女性隊員達みたいにちゃんとしていたら、剣持君の手伝いとかして上げられるのに……自分の年上の男性が苦手なのが憎いよ……

 

場面は小夜子から市街地に戻り……

ブラックワン「……。」

無言でキリエロイドIIIをプロレス技をするレッドマンを見上げたブラックワンは高周波マントを空に向かって放り投げて三種の神器の一つ死刃を全身から放出する。

死刃は三門市の空全体に一気に広がり巨大な屋根を作り出しその屋根目掛けてレッドマンはシットダウン式ボムをキリエロイドIIIに叩き込む。叩きつけられた衝撃が四方に爆発するように広がりキリエロイドIIIの全身を駆け抜ける。

(ハァハァ……よし……次はあの門を破壊しないと……)

顔中心と胸部の発光体が消えてと完全に息の根が止まったのかと思ってボロボロのレッドマンは技を解きゆっくりと立ち上がり、キリエロイドIIIに背を向けて空にある地獄の門をゆっくりと見上げて破壊に動こうとするが……

【ーーーーッ!?】

「「………………キリッ!!」」

「「イヤッ!」」

 

大技を叩き込まれて絶命したと思ったが、獄炎踵落としを脳天に直撃し気絶したレッドマン同様に意識が飛んだだけでまだ生きていた。顔の発光体を再び隠して胸部の発光体が尋常じゃない程点滅させながらレッドマンに向けて横蹴りを放つ。

しかしレッドマンもキリエロイドIIIも満身創痍の為に以前のような動きにキレが無くなっていた。万全の状態なら避けられる攻撃も当たり、キリエロイドIIIも威力もスピードも落ちていた。しかし両者、満身創痍の状態であっても闘志は消えてはいなかった。

ブラックワン「……。」

ブラックワンは無言で死刃を体内に戻し始めて屋根が消えてレッドマンとキリエロイドIIIは市街地に落ちる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

剣持の母親(起きて!!?夢想!!)

ブラックワン(諦めるなっ!!?レッドマン!!)

「「っ!!?」」

〔推奨挿入歌 魔王魂 Zinnia〕

落下する中、夢想は亡くなった母親の声に意識と身体に力が入り……ベムは聞こえてきた宿敵の声に背中を押され気を引き締めて市街地に音を立て着地し素早くキリエロイドIIIに向かって走り出すレッドマン。

互いに回し蹴りを放ち互いに直撃し、互いに怯みながらも再び接近し、キリエロイドIIIはレッドマンに全身を使った体当たりしてレッドマンは踏ん張れる事が出来ずに後ろに倒れてしまい迫る踏みつけ攻撃を急いで回避する。

レッドマンは闘志を燃やして起き上がりキリエロイドを一本背負投をして投げられて間もない相手の顔を蹴り飛ばす。だが蹴りを入れる寸前放たれた獄炎弾を至近距離にレッドマンに放ちレッドマンもその一撃で吹き飛ばされてダウン、両者直ぐに起き上がり再び獄炎弾を放つ相手に向かってレッドマンは空中回転から踵落としをキリエロイドIIIの脳天に叩き込みキリエロイドIIIの頭から火花が舞う。

「「ギリッ!!」」

連続の回し蹴りをキリエロイドIIIの顔面に放ち追い詰めながらレッドマンは右足を赤く発光させて一気にキリエロイドに向かって助走と共に跳躍し飛び蹴りを放つ。対するキリエロイドは左拳に炎を圧縮させた一撃でカウンターを狙う。

「「レッドキック!!」」

蹴りはまともに直撃するもキリエロイドIIIもカウンターに放った左拳の獄炎拳をレッドマンに腹に連続に叩き込み、レッドマンもキリエロイドIIIもまたも同時にダウンする。

「「キリッ!!」」

先に立ち上がるキリエロイドIIIは左手から獄炎放射を放ち、後から立ち上がったレッドマンを炎で苦しめてから接近し左手でレッドマンを掴み膝蹴りをレッドマンの腹部に向けて何度も放つ。そのまま左手でレッドマンを放り投げてレッドマンを放り投げられビルに激突しビルは瓦礫に変わる。

再び左手から獄炎弾を放ちレッドマンを着実に追い詰めるキリエロイドIII。反撃しようにも思うような力も出せないレッドマン。

再び接近しレッドマンに左の裏拳で殴打し膝蹴りを叩き込みレッドマンの首を締めて無理矢理立ち上がらせ左のキリエルクローでレッドマンの胸を切り裂き再び首を掴みそのままレッドマンを勢い良く放り投げるキリエロイドIII。

投げられて倒れたレッドマンは信じてくれる人達の為に起き上がり立ち上がる。

「「イヤッ!!」」

「「キリッ!!」」

 

一方、ブラックワンとカオスキリエロイドの戦いにも終わりが来る。

「「キリッ!!」」

カオスキリエロイドは再び青い高温の炎を右腕に集め地面に潜ませてブラックワンの足元から次々と再び放たれた青い高温の炎魔地獄で焼き尽くそうとするも……

ブラックワン(言った筈だ!?この私の怒りの炎の方が燃えている

と!!)

ブラックワンはドラキュラのように黒い高周波マントを片腕で振るい幾つも誘導され巨大となり激しく燃え上がる青い高温の火柱からその姿を現して炎を全て払い除ける。

「「キリッ!!」」

ブラックワン(此方も決着をつけようぞ。キリエル人。)

ブラックワンは瞬間移動魔法でカオスキリエロイドの背後に一瞬で回り込み相手の身体を両腕で掴み持ち上げて空中高く飛びそのまま加速しカオスキリエロイドの一気に脳天から豪快に超能力で硬質させたアスファルト目掛けて垂直方向へ叩きつける。

「「ッ!!!!!!?」」

叩きつけられた衝撃が周辺に響き渡るも超能力で建物は守られて被害は殆ど無く。カオスキリエロイドはそのブラックワンの一撃に耐えられずに頭と首の骨が折れて額と左胸部の紅く点滅する発光体が粉々に砕け散り完全に絶命する。

ブラックワン「「………ブラックヘッドクラッシャー。」」

大の字にうつ伏せに倒れるカオスキリエロイドを振り向く事なくブラックワンはこの場から黒い光となって市街地から姿を消す。

【…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………】

レッドマンとキリエロイドIII……どちらも満身創痍で、しかしどちらも何度も立ち上がり巻き返し相手を追い詰める。どちらが勝ってもおかしくない。漆黒の闇夜の中で両者は…今自分に出せる全力を出す。

 

レッドマンは滑るようにスライディングしてキリエロイドの真下に入り込み……両拳を握り締めてX状にクロスさせて一気にキリエロイドIIIの喉を押さえつけながらマッハ5で一気に飛行するレッドマン。キリエロイドIIIを連れて再び空高く飛行する。

 

〔推奨BGM TAKE ME HIGHER( INSTRUMENTAL)〕

「「キリッ!!」」

加速と共に無理矢理押さえつけられながらキリエロイドIIIはレッドマンの顔面を左拳で殴打する。

「「イヤッ!!」」

全身を真っ赤に発光させ激しく赤い稲妻を走らせる両腕にエネルギーを全集中させたレッドマンは素早く両手を交差させてキリエロイドIIIの激しく点滅する胸部発光体目掛けて両手から必殺技を放つ。

「「レッドサンダー!!」」

レッドサンダーを再び至近距離に浴びて一直線に打ち上げられるキリエロイドIII。だが左腕のみで自身の胸部の発光体を守り空に発生した地獄門に叩きつけられる。

「「キリッ!!」」

(くっ!?レッドサンダーじゃあ……アイツを仕留め切れない……)

(使うしかないのか?禁断のレッドギロチンを!!でもブッシャーってなるし……)

(ギロチンって……)

切断系統でアイツを真っ二つに………そうグリッドマンがイポポに放った技やミラーマンRBのミラーリングのような……

(待って!?何か頭の中にイメージが過った!?)

(過った!?こんな時に!?)

漠然としたイメージだが額からレーザー光線を出せたら便利になると思ってイメージしていたらレッドレーザー光線を出せるようになったのと同じで銀のベルトからオレンジ色の三角形状の光刃を放つイメージが浮かぶ。そしてそのイメージは一瞬で明確化される。

(この浮かんだイメージなら出せる!!?)

レッドマンはレッドサンダーを防ぎ続ける相手に対して苦戦するも銀のベルトのランプが赤く発光しレッドサンダーを撃つのやめて

「「スライスカッター!!?」」

間髪入れずに両腕と腰のベルトにレッドサンダーエネルギーを集中させて両腕を水平に広げて腰の銀のベルトの中央のランプからオレンジ色の三角形状の光刃を放つ。

「「キリッ!!!!」」

(速い!!)

レッドサンダーより圧倒的に速いその光刃に防御も回避する暇も無く一瞬の斬撃音と共にキリエロイドIIIの身体を通り過ぎ、大量の赤い炎が血のように空に広がる中……炎魔戦士の上半身と下半身を文字通り真っ二つにして空に発生した巨大な地獄の門を物理的に斬り裂く。支えを失った門はくの字に倒壊する。

「「レッドアロー!!」」

落下して行くキリエロイドIIIの上半身……右腕も下半身も失い堕ちるのみの天使の名を語る存在に、レッドマンは赤い銀の十字架の持ち手を持つ手槍レッドアローを両手に握り締めて落下するキリエロイドIIIを追い掛ける。

 

 

三門市の市街地に堕ちたキリエロイドIIIは誰がどう見ても死にかけの状態で放っておいても助かる見込みが無いのは現場に来たボーダーや『お化け屋敷』の人達も天使を信仰し敗れる光景を目の当たりにして絶望の表情をする信奉者すらわかっていた。

レッドマンは上半身だけのキリエロイドIIIの背中を右足で首を左足で相手の動きを無理矢理押さえつけ両手に持ったレッドアローを天高く振り上げる。

 

風真「あっ。」

その光景を教会にいた健四郎は何かに気付いた表情をする。

真琴「どうしたんですか?探偵さん。」

風真「いや、マスター。アンタ気付いたか?」

マスター神父「……………あぁ。今日たまたま目に止まったから良く覚えてるよ。」

真琴「……?」

真琴は改めて今のレッドマンとキリエロイドIIIの状態を見る。

レッドマンは相手を倒す為にレッドアローと言う槍を両手に持ち両足で相手の炎魔戦士の動きを押さえつける。自分で言って見ると確かに何処かで観たことある気がする……でも何処で見たんだろう……と悩む真琴を見かねてマスターが答えを教える。

マスター神父「天使と神々の個展のあった絵画と同じ構図なんだよ。」

風真「イタリアの盛期ルネサンスの巨匠ラファエロ・サンティによる絵画……確かタイトルは……」

 

三門市美術館の[天使と神々]の個展のエリアの窓ガラスの奥から映る1枚の絵画……レッドマンとキリエロイドIIIとほぼ同じ構図の絵画があった。

マスター神父「『悪魔を倒す聖ミカエル』……まぁ、レッドマン達は動かない絵じゃないからな。必然的に……」

「「イヤッ!!!?」」

「「キリ〜〜!?」」

少し遠くで聞こえたレッドマンの掛け声と共に両手に握り締められたレッドアローは振り下ろされキリエロイドIIIの背中から胸部発光体を貫く音が市街地に静かに響き渡る……

風真「皮肉だな……天使の名と姿を語るキリエル人が……絵画の敗れる悪魔みたいな結末とはな……」

真琴「……美しい天使や全能の神様なんてなろうとしてなる物じゃないって事だよ……ましてや本物の天使なんていない方が良いんだから……」

マスター神父「……確かにな。天使も神様も悪魔も結局……人が勝手に例えて決める記号でしかない。」

「「キリ……キリ……キリ…」」

キリエル人達がいるであろう門が破壊された空に向かってキリエロイドIIIは己の左手を高く伸ばすもやがて力を失った手は地上へ堕ちる。

ゆっくりと満身創痍の身体で立ち上がるレッドマン。活動時間が30分と限られる夜の中……想像以上の実力者と文字通り互いに命を懸けた死闘を勝利した彼に誰も拍手も声援を贈りはしない……しかしそれが当然であるから……特にレッドマンは何とも思わずキリエロイドIIIを見る。

色々な感情が爆発して力強く振り下ろし過ぎたのか相手を貫いていた十字架状の槍レッドアローの一部が曲がっていた。まるで墓標のようにキリエロイドIIIは完全に息の根が止まっていた。

「「レッドチェック!!」」

だが念には念を入れて相手の左手を掴み死亡確認作業をするレッドマン。

 

マスター神父「……意外に確認作業とかするんだな。」

真琴「相手の身体が粉々に爆発とかしていないから確実に死亡しているか分からない状態で不意打ちを食らうのは避けたいんだよ。」

風真「上半身と下半身が真っ二つにしているのに?」

真琴「上半身と下半身に斬り裂かれても平気な相手で其処から増殖する相手だったら再び戦闘になって今度は違う方法で倒す必要があるからじゃない。初見の相手だか見た目が人型でも油断大敵なんだよ。」

マスター神父「鬼滅の刃の半天狗かよ。まぁ、分裂されてフルボッコされるよりはマシか。」

確認作業が終わったのかレッドマンは視線をキリエロイドIIIから破壊された地獄の門へ向ける。

 

 

 

 

??・??「……。」

気配と姿を闇夜の中で隠した存在が巨人達の戦いの終わりを空から見届けて動き出す。

〔推奨BGM 伝説の神闘士〕

だが異常現象は既にキリエロイド達に起き始めていた。

【ヒューーーーーーーーーーーーッ】

一陣の凍てつく風が三門市に吹き季節外れの寒さを感じたベムと夢想。だが直ぐに

【ーーーーッ!?】

危険を知らせる超感覚に本能的に従いキリエロイドIIIから離れる。

「「イヤッ!」」

絶命したカオスキリエロイドの全身が急激な冷気または凍気によって覆われていく。更にキリエロイドIIIの切断された右腕も、下半身も……レッドマンのいる絶命したキリエロイドIIIの上半身を同様に冷たい凍気の氷に覆われており。その強力な冷気によってレッドマンの全身は特徴的な赤からみるみる青色に変化していく。

 

(何だ!?この異常な凍気は!?)

その様子を見た銀河連邦の仲間達もレッドマンの身体から熱が急激に失われている危機的状況と判断し指示を出す。

太刀風(退け!?ベム。夢想!?この場は危険で御座る!?)

(ハリケーンマスク先輩!?)

青くなったレッドマンは両手を垂直に伸ばして一気に空の果てまで飛行して行く。

 

破壊された地獄の門の内側から誰にも気付く事なく外に出た存在。

この異常現象を起こした存在はふと背後に視線を向ける……その存在の背後には夥しい数の巨大な氷の像と化したキリエル人達の死骸の山があった。

??・??「…………貴様達が崇め讃えるキリエルの神が尻尾を巻いて逃げて行く。実に情けないと思わないか?………神様など所詮は人の都合の良い偶像に過ぎないのだよ。」

凍気を身に纏う存在は光すら見えない闇の果てに視線を向ける扉

空に発生した破壊された地獄の門すら急激な凍気によって凍りつきレッドマンは気付く事もなく潜伏した元凶の横を飛び去る。

??・??「……我々の主の逆鱗に触れた者にしては相応しい末路だろう……」

そう言い彼は1人闇夜の中で姿を消す。

1人のサイボーグ格闘士が去ると一瞬で三門市に倒れた炎魔戦士達も門の内側にいる神に見捨てられた大量の氷の像と化したキリエル人達も門も粉々に粉砕される。

 

 

太刀風「プリズム先輩!?何か感じるで御座るか?」

成川「いや……何も……」

春日「だがどう見ても……普通の現象では無いだろう。」

ハザマ「………。」

成川「何処へ行くイノセンスマン。」

ハザマ「……夢想達の戦いは終わった……俺は一人で行動する……。」

そう言い終えると罪無は、三人の前から姿を消す。

太刀風「……相変わらず何考えてるか分からない人で御座るな。」

春日「先輩は今は刑務所から逃走中の逃走者。安易に俺達といる訳にはいかないんだよ。」

成川「どちらにしてもこの凍結に使われた氷結エネルギー……ウルトラマン達すら余裕で凍結可能だ。」

春日「なら冷凍星人のグローザ星系人の仕業でしょうか?」

エンペラー星人もウルトラマンべリアルすら幹部に選んだ冷凍星人の名を出す炎太郎。その実力は脅威の再生能力にウルトラ戦士を始め光や熱エネルギーを持った星人達を次々と凍り漬けにして生命を奪う程、

成川「………可能性なら充分高いな。どちらにしろ。グローザ星系人並みの冷凍能力を持った奴が、この星の何処かにいる。完全にノーマークの奴がな。」

太刀風「だが何のエネルギーの残滓も感じないとは……コイルマンみたいなジャミング能力を持っているので御座るか?」

成川「宇宙人じゃない可能性もある……対策を備えよう……」

銀河連邦の三人は得体の知れない恐怖を感じながら戦いの終わった三門市を眺めるのであった。

太刀風「夢想の怪我の具合が心配だ。拙者は夢想の元へ行く。」

成川「分かった。フレイムの事は任せろ。」

春日「剣持達をお願いします。」

皇虎は剣持のダメージが心配となり一足お先に忍者の如く音も無く二人の前から姿を消す。

春日「さっきの凍気……アレがもしザジ達と同じレベルの実力者なら私達にとっても脅威になりますね。」皇虎達の懸命な治療のお陰で体力も身体が回復して戦闘は兎も角移動に問題なくなった炎太郎は立つ。

成川「あぁ、銀河連邦に応援を呼ぶ必要があるな。」

自分達だけだと勝つのが難しいと理解したジョージは闇夜が無くなった星空を見上げながら言う。

 

「……ぐっ!」

瓦礫となった警戒区域のビルに倒れているボロボロの剣持。身体の各部をキリエルカッターやキリエルクローで傷つけられて深手を負いながらゆっくりと立ち上がる。

急いで現場を離れないと、ボーダーの防衛任務中の隊員か或いはお化け屋敷の隊員に見つかる。

(ワープするには、問題無い……)

太刀風「手がいるようだな。ベム。」

警戒している自分の前に皇虎が姿を見せ尋ねてきて無表情のベムは答える。

「手伝って下さいますか?ハリケーン先輩。」

太刀風「無論だ。」

二人の姿は一陣の風と共に消える。

 

三門市民病院にて

深い意識から目を覚ますと病室の白い天井が私の目に映る。

香取「華!良かった!?起きたのね!?」

此方に駆け寄る葉子と三浦先輩に若村先輩が心配そうに私の顔を見る。

染井「………私…っ!?真琴先輩は!?剣持君は!?」

意識が曖昧で少しずつ状況を思い出して、私は直ぐ近くにいる葉子に尋ねる。

香取「ちょっと待って…」

 

真琴「元気そうだね……」

染井「真琴先輩!?」

病室の入り口に面倒くさい表情をした真琴が黒野隊員と立っていた。

真琴「さっき剣持君から電話の連絡が合って若村先輩にごめんなさいって詫びの言葉を伝えて欲しいって言っていたんだよ。」

若村「えっ?俺に」

真琴「若村先輩に啖呵切って香取さんと染井さんを助けに行こうとしたら危険な少年にアッサリと気絶させられて気がついたら、知り合いの人に助けて貰って凄く格好悪かったって……」

若村「剣持は無事なのか……良かった…」雄太を優先する為に後輩を置いていってしまい罪悪感を感じていたが、無事と知り安心する若村。

黒野「まぁ、命あっての物種だからな。無事だったから充分儲け物だよ。」

香取「ねぇ、あの怪しい姉弟って、何だったのかしら?」

黒野「それについて『お化け屋敷』と警察が連携して身辺調査をしているよ。今は皆、身体を休めや。」

真琴「取り敢えず、此れで天使を信奉する連中も正気に返るだろうね。」

黒野「…どうかな……虚構や偶像なんて信奉する連中がいつ辞める限り続くのもあるぞ……例え…信仰する対象が全員が知らずにこの世にいなくてもな……」

真琴「……現実と向き合うのに時間が掛かるって事?」

黒野「宗教なんて皆、狂う程信じる奴らばかりじゃないが、現実逃避の手段として今もあるからな。難しい問題なんだよ…」

真琴「三浦君。何か悩みが有るなら人に相談する事を覚えて下さいね。」先輩としての優しい助言を突然贈られて戸惑う三浦雄太

三浦「何で僕だけ名指しなの?えっ?僕もしかして怪しい宗教に入信しているって疑われている!?」

香取、若村、染井「雄太(三浦先輩)……」激しく狼狽える雄太に怪しむ部隊の三人。

三浦「ちょっと皆、僕は変な宗教に入信していないよ!?信じて!?」

黒野「残念だが、お前達には今回の怪奇案件に関する事に関して色々と重要参考人として事情聴取に付き合って貰いますからね。」

香取「えぇ~〜此れからその案件についてのボーダー本部の報告書を書く必要があるのに…」

黒野の一言で凄く不貞腐れた表情をする葉子。

若村「葉子。俺達も同じだから一緒にやるぞ。」

数日後

〔推奨BGM その名は"ウルトラマンティガ"[M―36]〕

三門市美術館[天使と神々]の個展会場にて

個展が終わる最後の日に頭や服の中の身体に包帯を巻いた剣持夢想は独り深い理由もなく再び美術館の個展会場へ訪れて天使や神々の絵画を眺めていた。

「……。」

【今回の戦いは天使と言った宗教的な虚構に嫌な物と感じてしまう戦いだった……俺達が認識出来ないだけ……もしかしたら、天使や悪魔や神や妖怪は本当は実在するのかも知れないし、逆に昔の人が辛い現実逃避の末に考えた虚構なのかも知れない……結局最後に決めるのは、その虚構を認識した人間なのだろう。】

後ろから聞こえて来た足音と感じた気配に剣持は知り合いが来た事を知り話し掛ける。

「……珍しいですね。貴方も美術鑑賞ですか?」

染井「……志岐さんに貴方の居場所を尋ねたら、もしかしたら此処に来ているだろうって言っていたから。」

「…そうですか。」

染井「どうして此処に?」

「…今回の死人還りに色々と思う事があっただけですよ。信者達にとっては故人との再会は幻でも縋っていた闇の中で輝く小さな眩しい希望だったんです。俺達はある意味その人達の希望を壊して辛い現実に再び戻したに過ぎない。」

染井「……後悔しているの?」

「少数の望みの為に大多数の人達の人生を見捨てる事は出来ない……僕の家族の幻影は僕の前には現れなかったし。」

染井「そうなの?」

「はい……。結果的に罪の無い人達の心を乱していた悪い奴らの野望は阻止してキリエル人達の気配は忽然と一人残らず消えました。それでも……少し遣る瀬無いのが本音です。」

現実が残酷で突然の不幸が幸せの日常を簡単に壊すこの世界、現実に生きるのが嫌になる人達の気持ちが全く分からない訳じゃない剣持に……今回の戦いは……激闘の末に勝ったのに、心が晴れないのが強かった。キリエル人達と戦わない選択肢は最初からなかった…でも、少しずつでも此れで良かったと思い込む事にする

クヨクヨしても時間は戻らないし、良い結果になるとは思わない……ボーダーや三門市に住む知り合い達の心を救えたと自己満足をしよう。

そんな剣持に……華は…

染井「それでも貴方は私達の心を救ってくれた……守ってくれた………ありがとう…剣持君……私も葉子や真琴さんみたいに

言い切れるように頑張るから……本物は私の胸の中で生きているって……」

「……それはどういたしまして……」彼女に言った言葉が今の自分には何か恥ずかしくなり華から顔を背けながら精一杯返事をする。

(今回は守れたのかもな……染井さんの願いも……心も……)

もしそうなら、彼女達を守る為にブラックワンと一緒に戦った意味は少しはあったのかな?と少し疑問を抱くも結局今回はブラックワンにフォローされまくられた記憶しかない為に他の事を考える事にする。

そして…こうして『天使と神々』の個展に来て前回と違う絵を見ながらふと前から気になった質問を華にする。

「…染井さん。一つ質問良いですか?」

染井「何?」

「……天使って本当にいるのでしょうか?」

質問自体に深い意味は無い……只、今回の戦いは人が縋る宗教関連の虚構を隠れ蓑にした悪質な精神生命体が相手だった為に……

 

身近な人に聞きたかっただけである。どんな答えでもその人にとっては正解で間違いはないのだろう。

染井「……そうね。」

華は何かを答えようとしていると……

カップル女「この絵の天使の滅茶苦茶可愛い♪」

カップル男「君の方が美しいラブリー・エンジェルだよ。」

 

夫婦「家の娘が可愛過ぎてもう天使って感じで!」

近くで聞こえてきた人達の何気ない言葉に途中で華は口を閉じて

染井は静かに剣持が気付かない距離にある一つの絵画を見て笑みを浮かべながら答える。

染井「……心配しなくても、見た人が本物じゃなくても其れを天使と思ったのなら天使で良いと思うわ。だって……」

「だって?」

染井「……決めるのは結局、見て感じた人なのだから…」

『悪魔を倒す聖ミカエル』の絵画と剣持夢想を見比べながら華は優しい声で答えるのだった。

「何か想像した答えと違う……」

染井「あら?私は貴方が気付かないだけで世の中天使まみれ虚構まみれと答えただけよ。」

「俺らの世界、天使に侵略されている!?」

染井「そうかもね。」

染井(……ありがとう。私の傭兵天使。)

小夜子さんが剣持君が……レッドマンがもし天使なら、自由でアウトローな傭兵天使と勝手に名付けた名前を小夜子本人に聞いて華も内に秘めた心の中でその名前を呼ぶ。悪魔のような戦いをして血塗れになるもその心は悪魔その物とは真逆の真っ直ぐで美しい心を持っていると……

「……染井さん。少しある場所に行くの付き合ってくれないか?」

染井「えっ?」

突然の剣持の提案に戸惑う華。剣持君の表情は既に無表情で何を考えているのか分からない。

染井は剣持と見つめ合いながら考えて

染井「……行くわ。」

そう剣持君に答えて同行する事にする。

 

 

 

幾つかの普段使わない目的地のバスを乗り継ぎ普段通らない道を剣持君と二人っきりで歩きながら私は見慣れない町並みを眺めつつ剣持君の道案内で、ある場所へ辿りつく。そこは……児童施設と教会が併合した施設で剣持はその教会の横にある墓地に足を踏み入れる。

染井「……此処は?」

整えられた墓地に並ぶ墓を見渡しながら剣持が先を歩く為に華は後を追い掛ける。そして……

迅「あっ、剣持。染井さんを連れてきてくれたんだ。」

「たまたま遭遇してね。」

香取「……。」剣持の姿を見てキツい目付きが増すも墓の前だから嫌味な事は言わない葉子。

真琴「あっ、こんにちは、剣持君、染井さん。」

「こんにちはです。真琴先輩。」

染井「…葉子。其れに皆も……」

若村「華さん!こんにちは…」

キム「此れで大体、関係者は揃ったわね。」

墓地には、黒野兄妹と真琴先輩が勤めている喫茶店の店長に葉子を含めた若村先輩に三浦先輩の香取隊にボーダーの実力派エリートと自称する迅悠一さんと知らないテンガロンハットを被ったクールな雰囲気の男性があるお墓の前に立っていて……私も自然とその墓の前に立つ。

「すいません。黒野先輩。キムさん。俺が怪我の療養している間に色々と調べてくれて。」

キム「気にしないでよ。剣持。」

黒野「首謀者の身辺調査も俺達の仕事だからな……只……だからこそ、真実に辿りついた衝撃はそれなりにあったけどな。」

染井「真実……。」

華は改めて目の前にある洋型墓石を見る。横の墓標には名前記載されているが、どちらも知らない名前だ。

真琴「それ………死人還りの主犯達の姉弟の名前なんだよ。」

染井「っ!!」

真琴の一言と共に華は目を大きく見開かせて脳裏に過る茶色の修道服を着たシスターと子供の姿を思い出し墓地に流れる風の音がやけに華の耳に残った……

剣持達も墓に視線を向け風真は香取隊や黒野やキムに軽い自己紹介をする。

風真「俺は風真 健四郎。私立探偵をしている人間で、依頼主から死人還りの首謀者達の捜索依頼を頼まれて三門市にやってきたんだ。」

三浦「そうだったんですか……」

風真「………3年半前の大規模侵攻で行方不明になった姉弟で、弟君……輝男君は障害があるけど……天使のような素敵な笑顔の子供だったらしくね。お姉さんもそんな輝男君を大切にしていた心優しい女性だったらしい……」

「………。」

黒野「異形の巨人がいたそれぞれの現場で遺体が発見したんだ。……鑑識が遺体を解剖して調べた結果、姉弟共々死後既に3年半が経過した状態に関わらず、一切腐敗はしていなかった……まるで怪談話だよ……」

風真「此処の教会に昔勤めていた神父さんが当時の孤児達の写真があるアルバムから、この姉弟はこの教会の孤児だと言う事は分かった……」

迅「『お化け屋敷』としてはどういう見解だと思う。」

黒野「難しい事ではない……状況的な証拠から見て…奴ら、コードネームキリエル人は、二人の姉弟の死体を現実社会に干渉する為の憑依対象として利用したんだ……死体だから奴らにとっては皮が良い器程度としか見て無かったんだろうがな。」

三浦「何の罪も無い人の死体を利用するなんて酷い……」

「そうだな。」

真琴、染井「……。」

香取「……。」

葉子は複雑な表情で墓を見詰め静かに墓の前にしゃがみ込み目を閉じて数珠を持った手を合わせてお祈りをする。

〔推奨BGM 安らぎを君に[M―35〕

香取(化け物とか嫌な女って言って悪かったわね……)口には出さないも彼女なりの謝罪の気持ちを込めて…祈る。

染井「…葉子。」

迅「……そうだな。墓の前で色々と言うよりも先にやるべき事があるよな。」

風真「あぁ。」

其れに倣い他の人達も墓に花を添えてお祈りをする。

剣持周りに倣いもお祈りをするが香取に一度視線を向けて……

(やっぱり香取さんは周りに誤解される態度や言動が目立つけど優しい心の持ち主だ……)と夢想は葉子の行動に嬉しそうに思うのだ。

真琴「……店長。」

マスター神父「うん?」

真琴「…天国とか極楽ってあるんでしょうか?」墓を目の前に真琴は店長に尋ねる。

マスター神父「あって欲しいと昔の人は思うじゃないか?昔はもっと貧富の差が激しく命が軽い世の中だったんだ……生まれ変わりで次がマシな人生で有りますように願ったりしたって罰は当たるまい。ましてや……世界中にいる悪人の都合で散々好き勝手されて死んだ連中達にとって……残った奴らが亡くなった人達が幸せな場所でずっと幸せでいて欲しいと願うのは当たり前だろ。」

真琴「……そうだね。神様。願わくば、死んで尚も悪事に利用されたこの姉弟にもう一度幸せな人生を与えて下さい。」

そう真琴は居る居ない関わらずに目の前の姉弟のお墓に言うのだ。

染井「……。」

目を瞑った私も真琴先輩と同じ事を心の中で願う。存在証明が不可能な虚構の場所に目の前の姉弟がいる事を願って……

【偉い学者達なら天国や極楽は無いとか有るとか難しい論争するだろうが……俺は学者じゃないけど……今だけは、死後の世界が会って欲しいと願わずにいられなかった……】

お祈りを終えた一同

マスター神父「さて、墓参りも終わった事だし……皆、今回の怪獣騒ぎに無事に生還記念に俺の店で軽く軽食でもどうだ?」

キム「良いのかい?」

マスター神父「戦士の束の間の休息さ……」

香取「まっ、私達も怖い目や危険な目に遭ったし…良いかな。」

香取隊は参加する予定だ…なら、

「すいませんが、僕は先客との約束があるので此処で帰らせて貰います。」

真琴「先客?」

「今回の案件を機に僕も自分の不甲斐なさを知り色々とやる事が出来たので。」

真琴「そうか……」

キム「凄く残念そうね。」

真琴「残念だからね。」隠すなく素直に答える真琴。

キム「私がその分、笑顔にして上げるわよ。」

「では皆さん。」

そう答えて剣持はお墓の前から立ち去る。目的地は気配を辿れば良い……太刀風皇虎の元へ……弟子入りになる為に剣持夢想は動く。

風真「じゃあ…………仕事も終わったから俺も東京に帰らせて貰うよ。」

迅「えっ?探偵も?せっかく色々と特技を教わりたかったのに……」

風真「迅君。そう言う特技は、合間の時間を作って地道に習得する物だ。では皆さん。天使騒ぎが落ち着いても夜の外出は出来るだけお控えなさるように……」

三浦「どういう事ですか?」

風真「おや、皆さん知らないんですか?天使騒ぎや死人還りで三門市は注目されていますが……吸血鬼の噂も小さいですが広がっているんですよ。」

若村「へっ?吸血鬼。」

マスター神父「……。」

風真「まぁ、その噂の吸血鬼が皆さんが想像する吸血鬼かどうかは知りませんが、被害者が確実に出ているようですので……では皆さん。また会う日まで……」

香取「ちょっと!?そんな危険生物がいるならもっと情報を!?」

マスター神父「ほっとけ、アイツは天使関連で此処に来ただけだ。吸血鬼ならニンニクとか十字架とか聖水を用意すれば良い。」

真琴「店長。神父だから持ってるんですか?」

マスター神父「神父だから有るよ。何なら悪魔祓いも仕事の一環でするよ。」

真琴「後で良いから私達に色々と知識を教えて下さいね。」

マスター神父「分かったよ……」

マスター神父は面倒くさい顔をしながら空を見上げてこう思う。

マスター神父(天使の次に吸血鬼とか……俺の三門市(にわ)は本当に騒がしいなぁ…)

マスター神父「行くぞ。お前ら、」

迅「ごちそうさまになりますね。」

マスター神父「期待はするなよ。」

そう面倒くさい顔をしつつ香取達を含め神父達は姉弟の墓を後にする……

 

 

 

 

 

 

 

三門市の市外の森にて……剣持は超能力のワープを使い皇虎達の元へ訪れる。

太刀風「来たか……自らから拙者の前に……」

「太刀風皇虎さん。僕を……貴方の弟子にして下さい!?」

覚悟と決意を込めた剣持は皇虎の前に頭を下げる。

また一方は…玉狛支部にて…

陽太郎「オマエはだれだ?」

雷神丸にのった子供は目の前の人物に問いかける。

正義の宇宙人「私は平和を愛する宇宙人だ。」

虹色に光り丸みを帯びた宇宙飛行士が被りそうなマスクに白いY字状に固定され、背中のV字状に広がる良く分からないパーツに両肩にある謎の輪っかがある(すごいよ!!マサルさんの両肩の輪っかな感じ)赤い全身スーツに白いラインに胸に透明なランプ、

誰がどう見ても怪しさしかない外見をしているが、

陽太郎「そうか。でっ、たまこまになんのようだ?」

子供の陽太郎にとっては特に気にしていなかったのだ。

正義の宇宙人「地球を守る、心正しき者よ。君たちにこれを与えよう。この戦闘ロボット「ジパンガーV」を使い、地球の平和を守るのだ!」

そう答える自称正義の宇宙人は陽太郎に目線を合わせて左手から小さくなったロボットを手元に出現させる。

陽太郎「しらないヒトにモノをもらってはいけないんだぞ。」

正義の宇宙人「君の言い分はもっともだ。君が正しい………でも『お化け屋敷』の巨大ロボットが少ないのは問題じゃないか?」

陽太郎「それはどうかんだ。だがオマエはあやしい。コレはもらっておいてやる。」

怪しいとか言いつつ陽太郎はジパンガーVを受け取る。

正義の宇宙人「困ったら、平和を愛する正義の宇宙人に貰ったと言っておくと良い。」

陽太郎「つぎは鹿の屋のどらやきがほしい。」

正義の宇宙人「………今度、用があったら持ってくるよ。」

陽太郎「またこいよ。アヤしいせいぎのうちゅうじん。」

正義の宇宙人は瞬間移動魔法で陽太郎の前から姿を消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正義の宇宙人改めてブラックワン「……私の故郷ブラックスターの巨大兵器でゾークロンの怪獣達と戦い抜けるかは操縦する連中の腕で決まるな。」

地球の技術力で開発されたロボット達で此方が保有する怪獣軍団と戦わせてもスペックの差の為か此方が勝つ確率がずっと高い……その事実に不満を覚えたブラックワンは独断でゾークロン細菌怪獣がこの先強くなると見越して人間側に戦力を贈るのだ。

ブラックワン「此れで、少しは戦いらしい戦いが出来たら良いんだがな。」

ボーダーは期待するだけ無駄と分かった為に地球で戦いらしい戦いが出来るのは、奇抜な格好をした正体不明のヒーロー達とビックリ箱のような様々な奇々怪々な物を持つ謎の防衛チーム達、そしてレッドマンを含めた銀河連邦の連中……

ブラックワン「メルニアが地球出身の二次元人を見たと言っていたが、訓練生より弱いとの事……やはりブラック・ミストの敵になるのは、レッドマン達銀河連邦しかいないか……」

今回の共闘のケースは珍しい過ぎるケースであろう。次は敵同士、次の銀河連邦達と戦う時を心より愉しみにしてゾークロンの円盤に戻るブラックワンだった。

 

 





突如、何者かよって破壊される九州の竹原発電所に出動する『お化け屋敷』……事件が発生した場所は昔のイデ隊員が住んでいた地元でイデ隊員も捜査に同行するハメになる。事件の捜査をしている中で地元で昔の知り合いと再会するイデ隊員。再会する喜び昔の頃の懐かしい話を隊員達にするのもつかの間、激しく揺れる地震に、不気味な大地の叫びと共に地上へ姿を現す地熱怪獣。更に異常高温の三池炭鉱に取り残された炭鉱員を救う為に動くイデ達。しかし剣持夢想は前回の炎魔戦士との戦いで受けた怪我を回復する為に怪獣が現れてもレッドマンに変身せずに三門市に居なければならない。恐るべき地熱怪獣に挑むのはレッドマンでは無くもう一人の未熟なヒーローであるミラーマンRBと帰ってきたスーパーロボット。
イデ隊員は無事、炭鉱員達と共に危険な炭坑から生還出来るか…
次回『闇への招待状』
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