ワールドトリガー・TheREDmanHERO   作:怪物怪人怪獣さん

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5ヶ月ぶりです。お待たせしました⋯⋯⋯⋯駄文長文で失礼します。
この話は多分、子供の頃観た【ヴァン・ヘルシング】の映画に影響を受けて描いた漫画ウルフマンをベースにしています。子供の頃描いた漫画だから絵もお話の内容も滅茶苦茶で⋯⋯簡単に概要を説明すると狼男に変身する青年を追ってきたバットマン⋯⋯蝙蝠の怪物との市街地での戦闘を描いたお話でどうして狼男に変身するのか何故バットマンに追われていたのかの説明も続きもありません。昔は戦闘シーンを中心にお話を考えていて⋯この良く分からない話ベースに色々と足して引いてをして話を書いていました。
狼男はブラックスター出身の銀河連邦警察の捜査一課の刑事。
紅い蝙蝠⋯レッドバットはレッドスターの連続殺人鬼と言う構図は早い内に思いつき⋯ヴェノムとカーネイジを所々オマージュしています。
お陰で狼男の方も性格が物腰の柔らかい人物からアウトロー寄りな性格に変わりました。
⋯【1992年版ドラキュラ】の冒頭の劇中シーンでコッポラがデザインした衣装で聖ドラゴン騎士団団長ヴラドが着た人体の筋繊維状の紅い鎧兜と冒頭シーンにインスパイアされてレッドバットを超古代のレッドスターの人物にして精神が壊れた殺人鬼になりました。29話目の数字にあやかり筋繊維を武器しますが当初は血を硬質化などの武器する予定でした。
生駒達人を今回の話の中心に立たせたのは元々構想からあり、イコさんの人柄を想像して色々と書きました。コセイダーは今回は脇役で主役は生駒隊⋯⋯でも表現力と文章力の低さが凄い。生駒隊好きの皆さんには本当に申し訳御座いません。
書いててこの敵どうやって倒せば良いんだろうと本気で悩んだ⋯⋯三門市は海が無いから海がある場所に誘導するにも飛行能力がない面々ばかり⋯⋯仲間に警察がいるなら弱体化していっそ逮捕すれば良いと考える。
でも個人的に海水に沈めて倒したかった。デビルマン第3話のナメクジ妖獣ゲルゲも意識していたから⋯⋯
話を書いてて辻褄合わせに筆者も混乱して⋯⋯予定では夏前に投稿する予定がどんどん延びて⋯⋯結果夏の7月に投稿するハメになりました。普通にすいません。
書きたいシーンも沢山あり過ぎてカットしたシーンも多いです。
①秘密結社ガイラットから蠍の怪人が脱走する。蠍の怪人はタガメ男の人間だった時の友人で⋯⋯追っ手にきたガイラットのアームテスターとガイラットが保有するロボット兵器⋯更に情報屋から大型地下駐車場にレッドバットの手掛かりを求めてきた鏡拓也と不審な情報屋と気になる会話をして拓也の後に尾行した六頴館の知り合い達を含めた駐車場内で乱戦になるプロット。
学校帰りだから普通の学生服しか無い拓也は、ヘリオンのエレキトリガーマン達に助けを求めてエレキトリガーマン対アームテスター⋯⋯ヘリオン対ガイラットになり拓也の危険な気配を感じて剣持はコセイダーに着替えてガイラット達を蹴散らす蠍の怪人と対話するも情緒不安定なせいで蠍の怪人と使われなくなった地下鉄でアクロバットな激闘を繰り広げる。文字数も多いし久しぶりのコセイダーの活躍の為に色々と書いたのは良いんだが⋯蠍の怪人、この話に合流出来ない内容と気付く。元々PS2スパイダーマンのスコーピオン戦をベースにしている弊害で泣く泣くこの話はカットして⋯⋯切っ掛けになる脱走シーンもなく拓也は駐車場に行く事なく六頴館の尾行に気付き。佐鳥先輩が大好きなクィーンバーガーで仲良く高校生らしい事をしている。本来このハンバーガー店に来る経緯も大型地下駐車場から逃げ切れた後に行くと言う流れだった。
②マスター神父の正体⋯⋯普通に文字数不足で断念した内容。確かな事は旧ボーダーが設立する遥か前からバチカン市国が代々受け継がれている黒トリガーの現在の所有者と言う事。換装体のイメージはMARVELのヒーローブラックパンサー。生駒を追っていた三輪隊の二人の狙撃手から片付けて三輪隊と風間隊を一蹴する実力者。
③黒野賢人とジンファイター刃⋯⋯当初は黒野のお願いを無視して刃が光速で移動する姿を目撃する剣持夢想。ガバン並みに速さで移動する一体何者なんだ?と興味を持つ⋯⋯これは、別に今直ぐ必要ではないからカット。
④レッドバットと狼男の初遭遇時⋯⋯剣持と一緒に狼男に助けられるのは当初は防衛任務中の柿崎隊長と那須隊長になる予定でした。
⑤ボーダーの皆を連れて調査するシーンで国近さんか別役さんが調査に使う地球外生命体探知機を偶然、剣持に向けて「凄く反応しているよ。」のシーン。ウルトラマングレート10話のあるシーンのオマージュを考えるも今使う時じゃないと考えてカット。
ついでに探知機が凄く反応したのは剣持が着ていた防護服⋯⋯⋯
⑥水上敏志と王子一彰のコンビ⋯⋯もっと面白いボケとネタの応酬が滅茶苦茶思い浮かぶも文字数の為に断念。
⑦染井さんと剣持Xの小粋なやり取り⋯⋯夢想本人を話題に結構盛り上がる。でも文字数の為に断念。
⑧森高団地の蝙蝠の怪人とヒーロー達の決着。2万文字くらい使って書いた描写をカット。違う形で投稿する。
⑨ヴェノムとカーネイジの教会のやり取りのオマージュ。狼男がレッドバットの姿を見てビビって一旦イコさんに戻って滅茶苦茶心細くなる。レッドバットも他に目もくれずイコさんを狙い定めて大敵の前で面白グダグダとやるやり取りがあるも説明不足な点がありカット。
⑩水上敏志戦闘参戦⋯⋯当初は参戦させるつもりはなかったけど水上隊員なら多分、三雲修じゃなくても勝つ為に自分が落ちてもイコさん達を有利にする事くらいすると勝手に考える。お陰でマリオちゃん以外、生駒隊らしい戦いを出来たと思う。
⑪生駒と生駒の祖父との会話⋯場面の合間合間に祖父との会話を思い浮かぶシーンを構想するも⋯イコさんが京都出身で外部スカウト組で地元を出る際に祖父とどんな会話をしたのか分からない為にカット。個人的な想像でイコさんの祖父はイコさんと同じ性格か滅茶苦茶厳しい人と勝手に考えている。女の子にモテる為に居合いの剣術道場を始めたらオモロいのに⋯⋯
⑫ブラックワンとコセイダーの戦い⋯狼男とレッドバットとは別に赤と黒で戦い決着はつかない予定⋯ガバンと銀河連邦ヒーロー達⋯⋯ガバンの脅威を表現すると共に銀河連邦の連携を表現したかった⋯⋯文字数が結構使った為にカットして次に変身サイボーグに登場する宇宙人。ゼロス、ゾーンと対峙し銀河連邦が勝つ内容を執筆するも再び文字数が関係してカット。最終的にガバンの信頼するガッツ星人が銀河連邦達の足止めに動く内容になる。少ない描写だけど無敵の名を持つガッツ星人が出ると不思議と銀河連邦のヒーロー達を追い詰められるのは、ウルトラ戦士達を追い詰めたガッツ星人のブランド力があるからか?



オマージュ①狼男とレッドバット初戦は映画【ゴーストライダー】のブラックハートと初遭遇した戦闘を参考している。
オマージュ②レッドバットと狼男の教会での戦闘はヴェノムの映画2作目のカーネイジ戦の参考にしている。
オマージュ③コセイダー対宇宙吸血鬼は帰ってきたウルトラマン第36話の戦闘シーンと劇場版仮面ライダー8人ライダーVS銀河王のスカイライダー対サドンダス戦にPS2版スパイダーマン3のモービウス初戦を参考にしている。PS3版スパイダーマン3にはライノやスコーピオンは出るけどモービウスは出ないんだよな。
オマージュ④生駒隊対レッドバットは仮面ライダーSPIRITS第1話の仮面ライダー1号の活躍を参考にしている。
オマージュ⑤生駒達人対レッドバットは仮面ライダーアギト第8話のフレイムフォーム初登場をベースにしている。普通に今観ても格好良い。
長々と5ヶ月分の愚痴を書いて申し訳ありません。でもこれだけは書かせてくれ⋯⋯もっと生駒隊のあの楽しいやり取り書きたかった!!でも前編後編に分けたくなかった!?それでもメッチャ湯水の如く楽しいネタ思い浮かぶもん!!好きなガンダムのプラモデルで皆、別々の店で購入してきて部隊の部屋で組み立てる事になったらイコさん以外狙ったかのようにドム購入して黒い三連星の横にポツンと場違いにシャイニングガンダムが並ぶのとか想像しちゃったもん!?それを予知した迅さんがマスターガンダムを購入して組み立てて人知れずシャイニングガンダムの隣に置いて静かにホッコリするネタ浮かんじゃったよ。
ゴチャゴチャで説明不足や描写不足な駄文で想像したシナリオで碌なホラー小説も読んでいないタイトルとは違い怖さはまるで関係無いかもしれないけど結構ズレましたけど⋯どうか温かい目で見て下さい⋯⋯


シークレットファイル②HORROR・OF・BLOOD・BATTLE・WAR

今から約3000万年前 古代レッド星雲レッドスター

【次元帝国ヘルガイアは、全宇宙の支配を目的として宣戦布告と共に怒涛の勢いで進軍。進行方向にある惑星を次々と破壊または領土として全宇宙を恐怖に陥れ入れた。そして、その魔の手は⋯⋯惑星レッドスターにも及んでいた。生産力は勿論宇宙開発技術や軍事力で圧倒的な差にレッドスターも領土になる或いは消滅も時間の問題だった⋯⋯その時、当時惑星レッド星雲の精鋭を集めた星緋竜騎士団を率いる1人のレッドスター人が立ち上がった。騎士の名はロッソ。】

【出陣の前夜⋯⋯ロッソがこの世の何者にも代えがない愛すべき妻に今生の別れを告げる⋯⋯妻もこの迎撃戦で夫のロッソの生還は望めない物と分かりきっていた⋯⋯そして始まった惑星防衛戦ロッソ率いる星緋竜騎士団を中心にレッドスターの戦士達は次元帝国ヘルガイアと対峙し、文字通りの長い戦いの末、死力を尽くして次元帝国ヘルガイアに甚大な被害を与え撤退させる事に成功させる。その報せ⋯全宇宙に響き渡り抵抗していた惑星レンボー

や二次人達が住む鏡の星や電磁惑星エレキートンと言った後の銀河連邦に加盟する星達に勇気と希望を与えて⋯この戦いで多くの兵力と領土を失った次元帝国ヘルガイアは全宇宙の支配の野望を諦める事ないが、怒涛の勢いは火が消えたように大人しくなり⋯⋯宇宙に一時の平和が戻った⋯⋯多くの惑星がレッドスターには勇気ある者達がいると称賛の声を上げるが⋯⋯肝心の功労者である星緋竜騎士団ではそれどころではない事態が起きていた。

ロッソへの復讐に敗走するヘルガイア軍は、ロッソの城にある偽情報を送った⋯⋯その内容は⋯“ロッソは戦死した”と記されてあり⋯⋯その戦死を信じたロッソの愛すべき妻は、後追い自殺をしてこの世を去った⋯⋯】

礼拝堂の扉が兵士達によって開かれて

真っ赤な筋繊維の特徴を持った鎧兜を身に着けたレッドスターの勇者が呆然とした様子で中に足を踏み入れる。信じたくない⋯⋯何かの間違いに決まっていると⋯⋯現実を受け入れられない勇者ロッソは目の前に安置された妻の遺体と対面して彼女の元へ兜を投げ捨て両膝を崩して愛すべき妻の顔に触れる。

ロッソ『っ!!』

冷たくなった彼女に彼の目から止める事の出来ない涙が流れ落ちて傍に置かれた原因の偽情報と妻の遺書を見つけてロッソは泣きながら手に取る⋯⋯

ロッソの妻【私の愛する夫はお亡くなりになった⋯⋯夫と共に私の全ては終わった⋯⋯神よ。二人が魂国でも結ばれますように⋯】

愛する妻の遺書を読み終えたロッソはどうしようもなく嗚咽から慟哭し何故⋯⋯何故⋯⋯自分の妻は無意味に命を絶たなければならなかった考える。死ぬような目にも沢山あった。実際死んでもおかしくなかった⋯⋯だが必死に足掻いて悪魔達と戦い抜いた⋯⋯全ては⋯⋯全ては⋯⋯愛する⋯

司祭『奥方は自ら命を絶ったのだ⋯⋯その魂は救済を得ず⋯⋯⋯⋯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『呪われる⋯⋯それが神の掟だ。』

ロッソ『っ!!』

 

 

司祭のたった一つの一言に目を大きく見開き愛した妻の1人孤独で死ぬ前の想いすら無下に踏み荒らしたように感じて大切な妻を失った哀しみが妻を奪った地獄の業火の如き怒りに変わる。

ロッソ『ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!?』

ロッソは己の喉が壊れる程の激しい慟哭の叫びを上げて感情のままに礼拝堂の聖水が入った水壺を拳で粉々に破壊する。

司祭『何をなさる!?』

突然の勇者の凶行と言える行動に司祭は驚きその司祭を⋯⋯神に仕える者達其の物を⋯⋯神その物に怒りを覚えるロッソは司祭に向けて言う。

ロッソ『この星の神と教会を信じて故郷の星と宇宙を守る為、命懸けで戦った報いが"コレ"かぁ!!?』

司祭『何を言う!人が自ら命を断つ事を神が禁じておいでだ!?』彼は彼なりに星の宗教に基づいた教えの一つを口にしただけだが、それがロッソの怒りの業火に油を注ぐ結果となる。

ロッソ『だったら私は神を捨てる!!』

神に仕える者達の目の前で勇者はそう叫び、怒りのままに恐ろしい事を叫ぶロッソの様子はまるで悪魔に取り憑かれたと錯覚してしまう程司祭達はロッソの身に纏う激情の気迫に飲み込まれていた。

ロッソ『私は死してもこの世に甦り、暗黒の世界の力と手を結び愛する妻の死への復讐することを誓う!!!!?』

司祭達が持つ神の象徴の銀の十字架を片手で奪い取り司祭達の目の前で無惨に砕き壊して床に投げ捨てて赤い持ち手の両刃剣を鞘から引き抜き剣を礼拝堂に鎮座した十字架の中心に力の限り突き刺す。

すると、鎮座した十字架の中心から赤い血が流れ始めて、礼拝堂の各石像の目から血の涙が流れる。普通ではあり得ない明らかな異常事態に司祭達は途轍もない恐怖を覚える中、ロッソは礼拝堂にある聖杯を持ち十字架から流れる血を聖杯の中に注ぎ

ロッソ『血は生ける者の生命の源!!私は全ての血を糧に生き続けて見せる!!?例え心を失い醜い悪魔となろうとも!?妻の復讐を果たしてみせる!!?』

本来なら飲む物ではない血を飲んだロッソは聖杯を投げ捨て十字架から途切れる事なく流れ続ける赤い血は礼拝堂その物を血の海に沈まんとして⋯⋯その中で逃げた司祭達を無視したロッソは1人。

ロッソ『あああああああああああああああああああああああああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!?』

真っ赤の血の海に染まる礼拝堂に響き渡る怨嗟の叫び声が変わり始めたレッドスター人の勇者の姿と影を"禍々しい何か"に変貌させるのだ。

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 眩しき光が全ての生きとし生命を照らす太陽が時と共に沈み月が昇る夜闇の三門市は日が昇っている三門市とは全く違う姿を映し出す。人の多い住宅街や市街地には電灯の灯りが付き、カーテン越しでも影を作る。道を走る車を始めとした各乗り物だってライトを点灯させ夜の闇を照らす。だが⋯⋯一部では、灯りは灯される事なく夜の闇に包まれた場所も存在する。

ボーダー本部周辺にある一般人の立ち入り事を禁じた警戒区域⋯⋯其処には明かりである電気が通っている事なく、得体の知れない漆黒の闇と静寂が警戒区域を支配する。

???「⋯⋯。」

⋯⋯何かが深い夜の闇の奥から見開かれる黄色い鋭い眼光で獲物を見つめ鋭い白い牙を見せて恐ろしい笑みを浮かべる。

人混みが多い町中から離れて街灯が少ない夜道を1人歩く1人の若い女性があの日忽然と姿を消し⋯⋯翌日バラバラになった死亡した状態で警察に発見される⋯⋯だが⋯⋯猟奇的なバラバラに注目されるも、バラバラになった遺体の全身から血が一滴残らず抜かれており⋯そして同じような手口で惨殺された被害が三門市の各地で発生⋯世間やマスコミは一連のこの怪事件を⋯⋯吸血鬼の仕業ではないかと不安を煽るように騒ぎ立てる。

 

シークレットファイト②HORROR・OF・BLOOD・BATTLE・WAR

 

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3000万年の時は過ぎて現代 地球 日本 三門市

日が沈みかけて夜の姿が露わになる時刻⋯⋯スーパーマーケット付近の路地裏にて

「⋯⋯。」

(何だ?この空気の流れ⋯。)

危険を知らせる探知能力が一切反応しないのだが⋯⋯異様な胸騒ぎを覚える分身体。血の臭いがしない筈なのに濃密な血の臭いを錯覚するように⋯⋯剣持分身体は周囲に怪しい物や人は居ないか軽く見回すが、特に変わった様子は無い⋯⋯物や人に変化した様子は無いのだが一瞬だが、空気が確実に知っている物とは変わった。能力が危険も害意も無いと判断しているのに、本体が対峙したバラキも探知能力に反応が無かったから、無意識に周囲を警戒する。

染井「どうしたの?」

監視カメラから見えない位置に静かに佇んでいた剣持分身体に声を掛ける染井華。

「あっ。⋯⋯買い物は終わったか?」

染井「え?えぇ⋯⋯」

突然、華の方から声を掛けられて彼女に向き合う分身体。

「なら俺は先に自宅に帰るぞ⋯」

染井「うん。剣持君によろしくね。」

「あぁ。」

そう華から言われて分身体は返事を無愛想に返すと背を向けてワープし華の前から姿を消し華もボーダーの寮へ帰宅する。

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そして⋯⋯ミラーマンRBがゴロモスと戦った日から数日後

 

深夜の三門市市街地のカトリック三門教会。

静寂が支配する深夜の時間⋯教会の一番高い場所に、怪物が真夜中の空から音も無く飛び降りる。怪物が周囲を見回しやがて一台の軽自動車が、教会の駐車場に停まり、中から若い女性が降りて来てスマホで電話していた。

???「⋯⋯。」

獲物が現れた事に喜び怪物は悪魔の如き蝙蝠の翼を背中から生やして音を殺して女性に近付き、途中怪物の気配に気付いた女性は振り返り目を大きく見開くも、怪物は女性に叫び声を上げさせない為に片手で口を塞ぎ、白い鋭い牙を太い血管頸動脈がある喉に突き立てる。その姿はまさに人が想像した悍ましき悪魔その物だった⋯⋯獲物を確実に助からない状態にして⋯

 

同時刻ガイラット秘密基地作戦室

デススカル「森高集合団地の住民の様子は?」

ヒーロー達に破壊された筈の新種のウィルスは三門市にある森高集合団地を人体実験場と定めてデータ取りをしていた。

ウズマキング2「団地の住民は全て吸血鬼ウィルスに感染して例の新型怪人の超音波で吸血鬼にする事が可能です。」

ガイラットの戦闘員ウズマキングの報告を貰う恐ろしい髑髏の顔を持つデススカル将軍は作戦進捗状況に満足感を覚える。

デススカル「よーし。そろそろ、ウィルスに感染した吸血鬼の戦闘データを調査するべきだな。実験場にいる新型怪人に実験用吸血鬼達の能力テストを終えた後に次の段階である実地演習による戦闘能力テストをするように伝えろ!?」

ウズマキング「イーッ!?」

三門市で不審な死が相次ぐ中でガイラットの恐ろしい悪の計画が人知れずに進行する。

翌日 三門市

この日は酷く空は曇っておりいつ雨が降ってもおかしくない天気だった。

「点検したお陰でスムーズに走れるな。ジェットビートル。」

だが天気の事に対して気にしない剣持は買い物カゴがある自転車に跨り目的地である高校へ向かう。

「うん?」

通う高校の校門前に一台の黒いリムジンが停車して運転席から

「セバスさん。おはようございます。」

知り合いの執事のセバスの姿を見掛けて朝の挨拶をする剣持。

セバス「これはこれは⋯⋯剣持さん。おはようございます。」

そう言うと後部座席の扉を開けて姿を現す真琴先輩。

真琴「おはよう。剣持君。」剣持の姿を見掛けて花が咲くような笑顔を見せる真琴、

「おはようございます。真琴先輩。」

真琴「⋯⋯。」

「⋯⋯真琴先輩?どうしたんですか?」

真琴「今日の私、何時もと違う思わない?」

「髪型が違いますね。珍しい⋯」

そう何時は、ストレートなセミロングヘアの髪型をしているも、今日はツインテールと言う明確に違う髪型をしているのだ。

真琴「うん。で感想は?」

「えっ?」

真琴「何か感想ないの?何時もと印象が変わっているだよ。」

からかうように嬉しそうに自分に近付いて話し掛ける真琴に、夢想は緊張して顔を真っ赤にして

「そんな突然言われても⋯⋯」

セバス「お嬢様。小夜子さんがお嬢様を凄い形相で睨んでおりますよ。」

真琴「あっ。忘れてた。」

思い出したように真琴はリムジンから小夜子を連れ出す。

「えっ!志岐さん。」

志岐「おはよう。剣持君⋯⋯」

制服を着た志岐小夜子は周囲に年上男性の姿が多い為、視線をあちらこちらに向けながら剣持に挨拶する。

「志岐さん⋯⋯おはようございます。今日は登校して大丈夫なんですか?」

彼女の苦手な物を知っている剣持は素直に心配する。

志岐「大丈夫な訳ないでしょう⋯⋯。」

「あの、どういう経緯で⋯⋯」

黒野先輩のリムジンに乗っていたから何か知っているかと思い真琴に近付いて聞く夢想。

真琴「昨日、志岐さんと賭けをしてね。」

そう言い視線を剣持から小夜子に移した真琴は言う。

真琴「志岐さんの今後の事を考えてたら出席日数を増やした方が良いな。」

「⋯⋯じゃあ、クラスまで俺が付き添いますか。お手をどうぞ。志岐さん。」

真琴「残念でした〜〜♪志岐さんは私と一緒にこのまま登校する予定でーす♪」

そう言い真琴はテンション高く言いながら剣持の耳元にずいっと顔を近付いて囁くように小さく言う。

真琴「その方が、ボーダーの人に怪しまれないでしょ。」

「っ!?」

真琴から出る良い匂いとこそばゆい感覚を覚え驚きの表情を一瞬だけ見せて剣持に真琴はいたずらっ子のような満面の笑顔を向けて

真琴「じゃあ、行こうか志岐さん。」

志岐「うん。剣持君。また後でね⋯⋯」

具体的な何がと言われてもは分からないが⋯⋯真琴先輩に何故だがとても敗北感を覚えてしまった剣持夢想であった。そして⋯⋯

真琴(ちょっと、接近し過ぎたかな⋯⋯)

真琴の方も林檎に負けないくらい顔を真っ赤にしていて動きがロボットみたいにぎこちなかった。

真琴達の一連の出来事を見ていた執事のセバスはふと空を見上げて

セバス「ヤケに嫌な天気で御座いますね。」

雨がいつ降ってもおかしくない程、空は酷く曇っていた。

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自分の教室まで歩く途中、ふと何時も以上に騒がしいと感じて周囲を軽く流し聞きした限り俺についての話題では無いのは確かなのだが⋯⋯珍しい。

時枝「あっ、剣持君が来た。」

佐鳥「おーい。剣持。おはよう。」

そしてその話している人達のグループにはクラスは違うも集まった知ってるボーダーの人達の居てボロを出さないように至って普段通りに挨拶を言う剣持。

「おはようございます。皆さん」

佐鳥「剣持。此処学校だから先輩は無しでも良いよ。」

「あっ、すいません。」

ついついボーダーでいる時の呼び方をして反省する剣持。

「それよりも、皆さん何について話しているんですか?」

佐鳥「えっ?剣持知らないのか?」

「えっ?」

北添「クラスの友達とも話したけど怖い話だよ。」

「怖い話?」

奥寺「⋯⋯あぁ。ショックなニュースって奴だ。」

気になる事を言う東隊の奥寺さん。

時枝「心配せずとも、朝の集会で校長先生が説明する予定だからその後時間があったら意見を交わそうよ。⋯⋯剣持君も無関係な話題ではなさそうだ。」

そう気になる事を俺に言い時枝さん達は、自分の教室に戻っていく。

俺も自分の教室に向かい教室に入り⋯⋯全校生徒と教師が揃った朝の集会で校長先生から事情を知る。

「昨日の深夜カトリック三門教会前でバラバラ殺人事件が発生し、犯人は未だ逮捕されておりません。生徒達は暫くは安全を考えて運動部文化部問わず各部の活動を休止して集団下校をして下さい。」

それほどこの高校に離れていない所にある教会前で人がバラバラの状態で発見されたらしい。其れを聞いて教師や生徒の何割か動揺の声が上がるのも無理も無い⋯⋯俺自身、事前にボーダーの先輩達に気になる事を言われても何時もの学校集会の内容とは違う事に嫌な予感がしたが⋯⋯其れがまさかの殺人事件とは⋯⋯予想つかなかった。

校長先生も生徒達程では無いが、動揺しているようだ。

全校生徒への説明が終わり集会から自分の教室に戻った生徒達からも不安な声が上がる。

担任の先生達から夜間での不必要な外出はしないようにと注意喚起が言われてから最初の授業が始まる。

 

そして市外の『お化け屋敷』の最寄りの喫茶店ブラックスター2号店。

マスター神父「⋯⋯。」

店内に置かれたレコードプレーヤーに流れるクラシック音楽が聞こえる中で1人店の準備を黙々としていたマスター神父だが、その表情は何時もに比べてヤケに険しい表情をしていた。

マスター神父「⋯⋯。」

やがて店の準備を無事に終えるも、カウンターの奥から店内⋯⋯そして店の外に視線を向けて1人立ち上がり、店の出入り口のドアを開けてそのドアの前にある事を書き記した貼り紙を人の見やすい位置にセロテープで貼って店内に戻ると店の奥にある黒い狼の紋章がある灰色のジャケットが立て掛けられたドアを開きマスターの姿は1人消えていく。店の出入り口に貼られた貼り紙にはこう書いてある。

【遥々来店しに来たお客様へ申し訳ありませんが暫くの間、臨時休業させてもらいます。】

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剣持達学生が勉強をする間⋯⋯『お化け屋敷』の作戦室では

黒野「にしてもガーディアンA。細部のデザイン変わっていたな。イデ。」

イデ「前のバージョンも好きだけど、今もバージョンも頼もしいよ。新しい攻撃手段も増えたようだし。」

イデと黒野は大型格納庫に新しく配備されたガーディアンAについての会話をすると共にゴロモスの怪獣災害の際に亡くなってしまったスケザ救助任務に関する報告書をデスクで書いていた

黒野「でも弐式八分九厘装甲兵の負担が軽くなって安心したよ。」

イデ「僕個人、九州に出現した怪獣ゴロモスと弐式が戦ったら、苦戦はするけど勝てると感じるけど、黒野はどう思う?」

黒野「地熱怪獣と戦うなら、もう少し装備とか兵装とか準備してから戦闘すれば負けないと思うぜ。昨日のは調査に力を入れていたからな。加納博士や沖元艦長達やサンダースらが九州に参戦してくれて正直助かった。」

弐式は既に旧型のロボットだが立ち回りによっては、怪獣ゴロモスを追い詰めれると考える黒野賢人とイデ。

イデ「にしても残ったハヤタ達は九州で何を調査したのか気にならないかい?」

黒野「パリ本部と東京の科学センターが動いているんだ。重要だろうがそうじゃなかろうが、別に良いだろう。」

黒野(情報部のマスター・Kから貰った情報はゴロモスの怪獣騒ぎと同時期に怪電波が九州各地よりキャッチされた事しか分からなかったから⋯⋯ハヤタ隊員達は謎の怪電波の発信元を調べているのだろう。)

サンダース「黒野。君に手紙が来ているぞ。」

自動ドアが左右に開き姿を見せるサンダースは黒野の姿を見て声を掛ける。

黒野「手紙?何処から?」

サンダース「アメリカのネバダからだ?知り合いでもいるのか?」

黒野「アメリカ⋯⋯ネバダ。叔父さん達か?」

サンダースに渡された外国からの国際郵便の手紙に目を通して思い当たる人物の名を口ずさむ黒野。

イデ「叔父達?」

黒野「精神医学を専門としているが、考古学を始め色々と博士号を持っている変わり者の叔父さんがいるんだよ。歳も俺より一つ上だ。」

イデ「えっ?その叔父さん若いの!?」黒野の言葉に驚きの声を上げるイデ。

黒野「⋯⋯亡くなった義父さんと歳が結構離れていた弟さんだからな。俺との家族関係も叔父と甥と言うより歳の近い兄弟って感じだし⋯⋯去年結婚報告も貰ったし⋯」

サンダース「でっ手紙はなんて書かれているんだ?」

黒野「少し待て⋯⋯今読むから⋯」

黒野は叔父夫婦から手紙の内容を静かに読む⋯⋯

黒野「叔父が奥さんを連れて日本の三門市に帰国する報せだ。」

黒野は小さく口元に笑みを作り、

イデ「その叔父夫婦、何時日本に帰国するか分かるの?」

黒野「あぁ。お出迎えの準備とか色々としないとな。」

サンダース「でも黒野、嬉しそうだな⋯⋯」

黒野「えっ?」

サンダース「顔が笑っているぜ。」

黒野「そうか⋯⋯叔父は義父と同じで俺にとって恩人みたいな人だからな⋯⋯」

そう嬉しそうに返す黒野

黒野(真琴にも教えないといけないな。)

黒野の家族と出会った頃の記憶を懐かしむ黒野。

黒野「さて親戚が帰ってくる前に、俺も仕事を終わらせないといけないな。」

忍者部署にて

久遠「生体改造ウィルス?」

ゴロモスの怪獣災害が会った日⋯忍者部署のヒーロー達が深夜の夜、ガイラットの新種のウィルス量産工場を破壊してそのウィルスはどんなウィルスだったのか科学センターにいる一の谷博士と烈破室長に説明して貰う『お化け屋敷』のヒーロー達。

一の谷《うむ。君たちが数日前破壊した工場にある資料を見て分かった事はこのウィルスは感染した人間を吸血蝙蝠人間に肉体組織を変化させる効果があるようだ。》

久遠「成る程、ガイラットの連中このウィルスを感染させてバイオハザードみたいに吸血蝙蝠人間⋯⋯吸血鬼達を増やして世界征服する算段だったんだな。」

杉田「なら量産工場を破壊したのは正解だったな。」

マスク・ザ・ビクトリーこと杉田勝利(かつよし)は安心するように言う。

桜井「⋯⋯。」

一の谷博士からの報告を聞いたベルサードこと桜井零次は浮かない顔をしていた。

シゲハル「どうした?零次。」

桜井「俺は結局参加出来なかったけど量産工場は確かに破壊してウィルスの量産は阻止した⋯⋯」

久遠「何か気になるのか?」

桜井「天使騒ぎの目立たないが、三門市の各地に吸血鬼を目撃したと言う妙な噂が出回っているのは皆、知っているだろう。」

一の谷《うむ。桜井君が危惧するように⋯⋯ここ数日、三門市の各地に血を抜かれて殺された殺人事件が多発している。》

 

ピジョンマンこと斑鳩(いかるが)「もしやガイラットの例の生体改造ウィルスに繋がりがあるのですか?一の谷博士。」

一の谷《確証はまだ無い⋯⋯だがウィルス量産工場を破壊した日ベルサードを不意打ちで倒したガイラットの怪人も見つかっていない。皆には暫く三門市の各地で警察署の警官達と共に夜間の巡回パトロールをすると同時に吸血鬼事件の事を調査して貰いたい。》

「「分かりました。/了解です!」」

烈破《私達はこのウィルスの構造や弱点について調べる。皆、くれぐれも気を付けてくれ。》

 

 

同じ頃⋯⋯殺人事件があったとされるカトリック三門教会にはパトカーのサイレン音が鳴り響き無数の野次馬が出来ており、三門警察の警官達が殺人事件の現場へ来ていた。そしてその現場に『お化け屋敷』が所有するローバーも到着して

河野「おっ、来てくれたか。」

ベック「どうも河野刑事。」

知り合い三門警察署の河野刑事と合流するアラシとムラマツにベックの三人。

アラシ「これって猟奇的ですけど殺人事件でしょ。どうして殺しの現場に俺達が?」

ムラマツ「亡くなった人の傷に不審な点があると連絡を貰っただろ。」

河野「凶器はまだ不明だけどバラバラにする前に首筋に何かに噛まれたような小さな穴が2つ。死亡解剖の結果は待たないといけないけど⋯⋯致命傷は他には無い。」

アラシ「⋯⋯つまり犯人は血を抜いて殺害してから遺体の身体をバラバラにしているのか?」もしそうなら随分と無駄な事をしているな。

河野「あぁ。しかもこの現場を加えて一晩で13人が同様の殺され方をしている。犯人は同一とみて間違いないと上は考えているらしい。」

ベック「怪奇案件を担当する私達も調べて欲しいって本庁を通じて捜査が困難になると考えて前から三門警察署から協力するように本庁から連絡があったのよ。」

ムラマツ「⋯⋯我々も詳しく調査する必要があるんだ。何か手掛かりが無いか我々も捜査に参加するぞ。」

アラシ「分かりました。」

そう言いアラシはローバーから降りて現場の方へ足を運ぶ。その時⋯⋯野次馬に紛れていたボーダーのある人物を見掛ける。

アラシ(あれ?生駒じゃないか。)

アラシはデンジャラスファイターDD暴走の時一緒に共闘したボーダーの隊長の姿に気付く。互いに悪態をつきながらも、戦闘サイボーグを追い詰めた仲である。

アラシ(にしても、やけに顔色が真っ青だな⋯⋯何かあったのか?)

彼に声を掛けたい衝動を抑えて仕事の方に優先するアラシ。気がつくと最初から居なかったように野次馬から生駒の姿は居なくなっていた。

 

六頴館高等学校の朝の全校集会でも連続殺人事件が発生した事が知らされて下校時間には早く帰るように言われた。この内容を聞いた六頴館の生徒達も三門市立第一高等学校の生徒達同様に不安を隠さない様子である。そして⋯⋯剣持のヒーローの後輩であり仲間である鏡拓也は。

鏡(まさか⋯⋯ガイラットの仕業か?)

某黒い太陽に変身する人の顔芸を静かにしながら普通の人が起こす事件ではなく世界征服を企む恐るべき悪の組織の仕業かと怪しんでいた⋯⋯職業病である。

古寺、染井(拓也君が変な顔芸をしている⋯⋯)

同級生の二人は怪しい表情をする拓也に不審に見て⋯⋯そして何かに気付いたようにギャグ漫画のキャラの驚愕の表情をして拓也を見る古寺。

古寺(まさか!?⋯⋯連続殺人事件の犯人は拓也君!?勉強に対して起きる日々のストレスで罪の無い人達を手にかけて⋯⋯)

一度真剣に怪しむも、拓也の人柄を考えて犯罪に走るような人間じゃないと考えて落ち着いた表情で拓也を見る古寺。でもたまに拓也は怪しいと言う変な動きをする時があるから結局疑いの目を向けてしまう古寺。

染井「⋯⋯。」

そして染井華も拓也の様子を怪しむのだ⋯⋯。

鏡(隼人さんや埠さんに何か情報が無いか後で聞いて見るか。)

拓也は学校では事件を調べられないから学校が終わったら直ぐに動こうと決めた。

 

市外の森にて

太刀風「微かだが⋯⋯確実に⋯⋯空気に血の臭いが混ざっているで御座る。」

日の光が完全に沈んだ深き夜の闇が支配する三門市にここ数日間⋯⋯俗に言う天使騒ぎの頃に血の臭いが空気に混じって漂い始めた。最初は気にもしなかったが、ジョージが言うには宇宙から来た連続殺人犯がこの三門市に潜伏しているらしい。今回の殺人犯を追って地球に来た性質の近い銀河連邦警察以外⋯⋯自分達持つ探知能力で一切感知出来ない。

春日「こんな所にいたんですか?先輩」

後ろから姿を現す炎太郎。インセクトタワーでの怪我は日頃のトレーニングをやり終えて街を一望出来る場所から皇虎と共に市街地の方に視線を向ける。

太刀風「そうで御座るな。」

皇虎は答えながら筆で水色の特別な素材の和紙に"悪ノ気配"を書いてその和紙を使って風車を幾つも作る。

春日「そう言えば、ハリケーンマスク先輩。ナイト少年と2代目を名乗る少女は?」

ここ数日間、一緒にいる事が多い少年少女達の姿がいない事に気付く炎太郎。

太刀風「既に自分から謎の殺人鬼を探しに市街地に向かったで御座る。」

春日「大丈夫なのか?」

太刀風「念の為に式神を街のあちこちに配置している。何か異常な事があったら知らせるように言っているで御座る。」

春日「ベムと同じレッドスターから来た連続殺人犯なら僕達でも探知可能な筈なのに⋯⋯」

太刀風「一つ確実なのは⋯⋯その殺人犯は只のベムと同じレッドスターの奴では無いと言う事だ⋯⋯。」

得体の知れない不安と恐怖が三門市に血の臭いと共に蔓延する。

 

刃「⋯⋯。」

市街地のビルの屋上にてサムライヒーローの青年、刃も皇虎同様に空気の中に微かだが嗅ぎ慣れた血の臭いが混ざっているのを気付く。

刃(ガイラットでは無い得体の知れない奴が潜んでいるな。)

刃は姿の知らない奴を警戒し刃はパトロールを続ける。

 

 

 

時間はお昼ご飯のお昼休み、同級生達が各々の昼食を食べつつ雑談を会話する中で

佐鳥「にしてもバラバラ殺人事件って物騒だな。」

「警察の人が犯人を逮捕してくれるのを祈るしかないですよね。」

訓練隊員の剣持はボーダーの先輩達と集まり一緒に校長先生が話したバラバラ殺人事件について会話していた。

別役「俺達で犯人を捕まえるのはどうですか?」

妙案を浮かんだように言う鈴鳴支部の狙撃手の太一。

小荒井「それ良いな!この学年のボーダー隊員達だけでも連携すれば殺人事件の犯人くらい捕まえられる事出来ると思うしやろうぜ。」

太一の提案にノリ良く賛成する小荒井。

半崎「ダリいわ。」

その小荒井を見て呆れた表情をする半崎。

外岡「あれ?南沢は?」

外岡は同じ学年の南沢の姿がない事に気付き辺りを見ると、南沢と同じクラスの柿崎隊のオペレーターの宇井真登華が教える。

宇井「海君なら部隊の皆と食べるって言っていたよ。」

外岡「そうか⋯」

烏丸「⋯⋯取り敢えず、この学年のボーダーの皆が集まって話す事は夜間不必要な外出は可能の限り避ける事だな。」

時枝「そうだね。それが無理なら出来る限り気を付けて出掛ける事⋯⋯このぐらいしか対策らしい対策は出来ないよ。」

佐鳥「そうか⋯⋯剣持。何かこの事件に関する情報とか知らないのか?」怪奇案件を専門する部署に勤めている後輩に単刀直入に聞く佐鳥。

「すいません。俺も今日校長先生に話を始めて聞いたから詳しくは何も⋯⋯」申し訳なさそうに言う剣持。

宇井「それが普通だよ⋯」

烏丸「犯人の狙いとか襲う人間の共通点とかも分からないんだ。剣持1人のせいじゃないよ。」

奥寺「取り敢えず、烏丸先輩の言う通り皆夜間の外出は気を付けるしかないな。小荒井。くれぐれも正義感で危険な犯人探しをするとか危ない真似はするんじゃないぞ。」

小荒井「分かったよ。」

佐鳥「太一もだぞ。来馬先輩達に要らぬ心配をかけたくないだろ。」

別役「はい⋯⋯」

外岡「日佐人君もやんないようにね。諏訪さん達を泣く顔なんて想像もしたくないでしょ。」太一を注意をしようしたら、佐鳥先輩に先に注意させられて隣に黙っていた日佐人に念の為に言う外岡。

笹森「しませんよ!?えっ!自分、犯人探しに動く方だと思われているんですか!?」

外岡「諏訪さんの推理小説の影響を受けて⋯」

疑うように言う外岡の近くにいる小荒井と奥寺が何度もウンウンと首を縦に振る。

笹森「俺は漫画とかしか読んでませんよ。」

宇井「見た目は子供も頭脳は大人。その名は!?」

笹森「コナンとか金田一とか読みますけど、犯人探しに動きませんよ。」

時枝、烏丸、別役、外岡(でも君⋯⋯時折、刑事ドラマとかアニメや漫画で犯人を全力で捕まえる新人刑事に見えるんだよな⋯⋯⋯)

〔推奨BGM 太陽に吠えろメインテーマ〕

刑事ドラマのBGMが流れて諏訪や堤が加古さんの炒飯の前で"なんじゃこりゃー"をやるイメージを想像するボーダーの人達。そして勝手に風間さん達の部下にされる日佐人までイメージする。

笹森「何か俺を見て変な事考えていませんか?」

「「いいや」」

そういう全員息ぴったりに首を左右に振り。

半崎「取り敢えず、そろそろお昼ご飯の食べる時間も減りますからさ。今日は解散しましょう。」

「賛成です。」

そう言うと剣持は自分をじぃ~と見る小さな視線がある方向に一瞬向けると真琴と志岐さんがチラッと隠れながら小さく手招きしているのを気付き

「そういえば、人と一緒に食べる約束があるのを思い出したので俺はもう行きますね。」

時枝「分かった。」

そう言い剣持は小夜子達と合流する為に1人ボーダーの先輩達と別れる。

 

 

夢想は人が余りこない場所で志岐達と合流して一緒にお昼ご飯を食べる。

「授業はどうですか?志岐さん。」

志岐「先生みたいな事を聞くね。普通にアワアワしていたよ。」

泣いたちいかわの顔芸をした志岐小夜子は、真琴と剣持にしがみついている。その様子は小動物のようで真琴は泣いた表情をする小夜子も可愛いと思っていた。

真琴「全身の力が抜けているね。はい。志岐さん。あ〜〜ん。」

志岐「あ〜ん。」

どっと疲れた表情をする小夜ちいかわを心配する剣持に、剣持が自分で作った弁当のおかずの一品を勝手に箸で取り小夜子にあ〜んさせる真琴。

志岐「っ!?」

真琴「美味しい?志岐ちゃん。」

志岐「旨い。次はポテトサラダをお願いする。」

真琴「うん!」

「仲の良いのはとても良いですけど、それ作ったの俺だから俺の食べる分は残してくれよ。」

口の中をポテトサラダでモグモグされながら小夜子は言う。

志岐「モグモグ⋯やっぱり剣持君が作る料理は美味しいよね。」

「食べ終わってから話してくれ。普通に行儀が悪いよ。」

志岐「コレは失礼⋯⋯モグモグ」

剣持も真琴も自分の弁当を食べ始めて小夜子も予め購入した焼きそばパンを食べる。

真琴「それで⋯⋯剣持君。こうして秘密の共犯者を集めて何を話すつもりなの?」

真琴は少し剣持に視線を向けて人の気配の少ない場所で集まった理由について尋ねる。

「別に⋯⋯ただ普通に皆でお昼ご飯を食べたいと思っちゃ悪いのか?」

最近、自分らしくない事をしている事を自覚するレッドマン。実質戦力外のオペレーターの染井華を戦闘訓練を教えたり、普通に誰かと娯楽用のゲームで遊んだり、ずっと昔の頃の⋯⋯楽しかった頃を思い出す事をしている⋯⋯

志岐「えっ?」

「真琴先輩の言う通り⋯⋯最初は秘密な会話をする予定でした。でも二人の顔を見て普通にお昼御飯食べながら下らない話をしたくなったんです。普通の日常って大事な事だと思うから⋯⋯」

真琴「うん。私もこういう時間は大事だと思うよ⋯」

志岐「⋯⋯そうだね。」

剣持の言葉に色々と思う事があるのか二人も剣持の気持ちに同意する。

「殺人事件の話を全校集会の校長先生から聞いた時、普通の高校生なら物騒な事件だなって⋯⋯対岸の火事みたいな感覚なんだろうけど⋯⋯普通じゃない高校生である俺にとって⋯⋯聞いてて胸の中が痛んだんだ。」

真琴「剣持君⋯⋯。」

「普通じゃない俺は兎も角、普通の人は刃物を向けられたら殆ど抵抗出来ずに殺されちゃう⋯⋯俺達が着てる学生服は勿論、殆どの人が着てる服装なんて例外を除くと刃物に対した対策を想定してない物しかない⋯それが普通だから⋯⋯だから⋯⋯どうしようもなく不安になるんだ⋯⋯」

真琴「⋯⋯君が自分じゃない誰かを心配する所⋯⋯君の優しい所だから私は嫌いじゃないよ。」

「⋯⋯。」

真琴「でもこの世の悪い問題を全て解決する為に君は居る訳じゃない⋯⋯そういう事は出来る人がすれば良い⋯⋯君だって君にしか出来ない事は君がやるでしょ。」

大好きなトマトジュースをストローで飲みながら真琴は剣持に言う。

「⋯⋯。」

真琴「必要以外は肩の力を抜く事も大事な事だよ⋯⋯特に剣持君は真面目過ぎる所があるから⋯⋯」

「⋯努力します。」

志岐「うん。努力したまえよ。」

「⋯⋯志岐さんがソレを言うと何かなぁ〜〜」

苦手な事を克服しない人に言われて釈然としない夢想。

志岐「何だと!?卵焼きを盗ってやる!!えいや!?」

拗ねた口調になった小夜子は、お返しと言うばかりに剣持の弁当箱にある美味しそうな厚焼き玉子をサッと略奪する。

「コラッ!人の厚焼き玉子を取るな!」

志岐「私は剣持君のご飯を食べると元気になるんだ!?」

傍若無人の返事をする小夜子に呆れる剣持。

「その分、俺の食べるおかずが減るんだから勘弁してくれ。」

真琴「うんうん。仲良きかな⋯⋯ご飯が美味しい⋯」

小夜子と剣持の微笑ましい光景を見ながら真琴は自分の弁当を食べるのであった⋯⋯

 

一方拓也達が通う六頴館では

鏡「この内容でメール送信っと⋯⋯何か情報が得られるかは気長に待つとして⋯⋯俺は俺で怪我の回復に集中しないと。」

スマホのメールに三門市の連続バラバラ殺人事件がガイラットと関連が無いのかヘリオン情報部に情報があったら教えて貰うようにメールを送信し終えた拓也は自分の弁当のオムライスをスプーンで食べる。

鏡(此処は、情報の信憑性を上げる為にもヘリオン情報部だけじゃなく知り合いの情報屋に何人か尋ねた方が良いな⋯⋯情報が多いに越した事は無い。)

恐らく⋯⋯今回の事件⋯⋯隼人さん達も調査している筈だ。

その真剣な拓也の様子を見る古寺は⋯⋯

古寺(スマホでバラバラ殺害する人間の情報を検索しているのかい!?拓也君!?)

勝手に拓也の行動を盛大に誤解していた。

 

そして⋯⋯拓也が所属する地底基地ヘリオンでは⋯⋯

甲斐馬「さて⋯⋯漸く一番記憶に残る風景を念写完了。」

集中力が切れて深呼吸し仲間であるインセクトFや埠さんの前に強く念じた当時の深夜の滅死山での風景を手元のノートに写した隼人。

甲斐馬「取り敢えず⋯⋯コレがあの日、俺が目撃した飛行能力を持った改造人間だ。」

疲れた様子の隼人は目の前にいる二人に風景を超能力で写したノートを手渡す。

インセクトF「どれどれ⋯⋯隼人。もう少しハッキリした絵は無いのか?」

緑色の複眼の蜻蛉に似た顔をした平和の戦士が隼人に尋ねる。

甲斐馬「1分間、真っ白なノートに向けて当時の状況を思い出して念じ続けてコレが一番、俺の記憶に残った場面なんだよ。他のは途中で三門市にいる知り合い達を一瞬想像してしまったから関係無い念写ばかりだし」

埠「鉄鬼と孔明も怪我から無事に回復してちゃんと学校の授業を受けているな。」

念写に写る仲間の様子が偶然分かってしまった。

甲斐馬「物的証拠じゃあ、コイツは弱いか?」

埠「いや、コレを見た限り少なくともあの滅死山には、量産工場の外にもう一体のガイラットの改造人間がいたのは、確かなようだ。コレをベースにヘリオンの情報部に使い何か情報が無いか集めてみよう。」

そう言うと信玄とインセクトFは隼人から一度離れて1人になった隼人は冷静に当時の状況を思い出しながら疑問を口にする。

甲斐馬「この改造人間は何故、ウィルス量産工場を守らなかったんだ?」

自分が所属する組織の重要な防衛施設で『お化け屋敷』らの忍者部署のヒーローらに破壊される事は悪の作戦が阻止されると言う意味になる。なのに⋯⋯奴は、工場等何とも思わないように山から離脱した⋯⋯それが妙に気になるな⋯⋯気になると言えば、念写した風景の一つで⋯⋯三門市の知り合いの1人が妙に思い詰めた表情で街中を歩いていたな。何か⋯⋯やけに人の視線を気にしているような。

甲斐馬「えぇっと⋯⋯あっ、これか。⋯⋯イコの奴。何かあったのか?」

隼人はノートのページを幾つか捲り目当てのページを見つけて心配そうに眺める。念写のノートに写した風景は、三門市の極楽アミーゴ通りと言う商店街の道に挙動不審に何かに酷く怯えている表情をしている生駒達人の姿が写っていた。

 

三門市立第一高等学校では

志岐「はい。コレ⋯⋯」

焼きそばパンを2つ食べ終えてから小夜子は剣持と真琴にスマホの画面を見せる。

「コレってオカルト掲示板?」

志岐「今回のバラバラ殺人事件じゃないけど⋯⋯此処暫く夜から深夜に三門市の警戒区域に妙な唸り声が聞こえたとか⋯⋯空を飛ぶ悪魔を目撃したとか変な噂が載っているの。」

「天使の次に悪魔って⋯⋯」

何ともいえない表情をする夢想。

真琴「画像とか無いの?」

チラッとソース元の掲示板を調べながら小夜子は言う。

志岐「ゴメン。そういうのは載ってないみたい⋯⋯」

「志岐さん。その噂、大体夜から深夜の時間に集中しているのかい?」

剣持は暫く考えながら小夜子に尋ねる。

志岐「うん。画像とかは無いけど⋯⋯一通り見て日が沈んだ夜から深夜の時間に集中して居るよ。」

「う〜〜ん。」

小夜子の言葉を聞いて考え事をする剣持に真琴は疑いながら言う。

真琴「剣持君。まさか⋯天使騒ぎ同様⋯⋯連続殺人事件の犯人は普通の人間じゃない怪物の仕業とか考えているの?」

志岐「そうなの?」

「分かんない⋯⋯噂を後押しする決定的な証拠や証言も無いし『お化け屋敷』でそれとなく先輩達や博士達に尋ねるつもりだけど⋯⋯暫くは校長先生の全校集会の言う通り俺達も夜間の外出は必要以外は控えておこう。」

真琴「剣持君なら殺人犯くらい簡単に倒せそうな気がするけど」

日々怪獣が現れてはレッドファイトして倒す光景を想像して真琴と小夜子はウンウンと頷き言う。

「勝手に人を超人と思うなよ。警察が犯人を追っているんだ。日本の警察の力を信じようよ。二人も危険の事に首を突っ込まないようにね。」

志岐「君がソレを言う?」

「それで知り合いが危ない目に遭わないようになるなら俺は幾らでも言うよ⋯⋯」

心から二人を心配する事を言う剣持に二人も約束する。

志岐「まぁ、私は元々1人で深夜に外出する勇気が無いから出歩く事はしない。約束するよ。」

真琴「私に至っては、義兄さんが許さないと思うし⋯⋯暫く車で送迎して貰うと思う。変な事とかしないから危険な事に首を突っ込まないように気を付けるよ。」

「本当だよ⋯⋯」

剣持達は自分達の昼ご飯を食べ終えてそれぞれ気を付けるように言い自分らの教室に戻る。

 

 

教室に戻る途中⋯⋯

「あれ?皆さん。どうしたんですか?」

教室前に集まっているイコさんを除いた生駒隊の面々に気付き、剣持が何気なく声を掛けたから彼らも気付く。

(イコさんに関する事かな⋯⋯)

最近の心当たりだとソレくらいしか思い浮かぶのがない為に

水上「剣持か⋯⋯イコさんに会ったか?」

「いいえ。」

水上「そうか⋯⋯。」

親しい間柄の剣持から空振りの言葉を貰い心なしかしょんぼりする生駒隊の皆さん。

「⋯⋯もしかしてイコさん。まだ見つかっていないんですか?」

隠岐「そうなんですわ。本当に何処にいるのやら⋯⋯」

優しい表情を見せる隠岐だがやはり元気が無い⋯

南沢「あんな怖い事を校長先生が言うから流石に俺達も心配になってきて⋯⋯」南沢さんに至っては居ても立ってもいられない様子だ。

細井「本当!こんなに人を心配させて⋯⋯見つけたら文句の一言を絶対に言ってやる!?」

軽く苛立ちイコさんの事で怒っているように言っているも細井の表情は僕でも分かる程イコさんの安否を心配しているようだ。

「僕も何か分かったら知らせます。」

隠岐「お願いするよ。他のボーダーの皆にも話したけど、見掛けたら俺達に知らせてくれ。」

そう言うと生駒隊の皆はそれぞれの教室に戻っていた⋯⋯前にボーダー本部で話したやり取りと殆ど変わらない内容だった物の⋯⋯やはり、何も教えずに姿が見えないのは夢想も生駒隊もイコと交流があるボーダー隊員達も純粋に心配してしまう。何か事件に巻き込まれたんじゃないのかと思ってしまっても無理もない。

(三門市に発生する連続バラバラ殺人事件に、変な噂⋯⋯謎の生駒隊長の失踪⋯⋯妙な事が増えているな。)

(イコさん⋯⋯本当に何処にいるんだろう⋯⋯)

脳内イコ(お前の頭の中にいるで⋯⋯)

(何か変なイコさんが浮かんできた⋯⋯)

脳内イコ(剣持。今日はパーティーと行こうや。)

何時ものゴーグルではなく京都のお土産屋さんで購入した浮かれたパーティー用のサングラスを掛けてタンバリンをリズム良く鳴らしながらノリノリにラッパのように法螺貝を吹くイコさん。

脳内イコ(マグロカツ丼⋯)

脳内イコ(剣持。お前が教えてくれたディズニーの【カーズ】。めっちゃ泣けるな。今日の帰りTSUTAYA行って【カーズ2】【カーズ/クロスロード】を借りてくるつもや。)

脳内イコ(マックィーンが⋯⋯メーターが⋯クルーズが⋯⋯もう涙無しでは語れないわ!?)

【カーズ】の映画シリーズを全部観た後で自分に語りたくてたまらないガチ泣きする生駒さんの顔がドアップする。

脳内イコ(ナスカレー⋯⋯)

僕にカーズについて語っているイコさんが、突然ナスカレーを食べたくなった脳内イコさん。

剣持は頭を左右に振り脳内イコさんをカッ消す。

何だかんだ仲が良い為、姿の見えないイコが心配で夢想は授業に集中出来なかったが肉体の主導権を握るベムは真面目に授業に集中していた。

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曇りは晴れて夕方となり日が沈んでいく。

光が入ってこない暗闇の奥にいる者達が動き易くなる時間。人成らざる者達がそれぞれの理由に動き始める。

授業が終わり掃除の時間鏡拓也は男子トイレにいる際に情報屋からの連絡を貰い待ち合わせ場所をメールで送信して学校が終わったら情報屋に会いにいく事を決める。

古寺(遂に殺害するターゲットを決めたのか!?早まらないでくれ!拓也君!?)

拓也と共にトイレ掃除をする古寺はそんな掃除をしながらスマホを弄る拓也を未だに誤解していた。

 

同じ頃『お化け屋敷』では⋯⋯現場から戻ってきたムラマツ達三人がカトリック三門教会であった殺人事件に関する幾つかの不審な点を怪奇案件と捉えて捜査が始まった。

黒野「首筋に何かに噛まれたような小さな穴が2つ⋯⋯まるで吸血鬼の仕業みたいですね。キャップ。」

人の身体バラバラにした具体的な凶器の特定が未だに不明で分かった事は少ないが、分かっている所から調べる黒野達。

ムラマツ「吸血鬼事件の犯人と同一人物かまだ確定は出来ないがな。相手は人の血を何らかの目的の為に集めて、7人の罪も無い被害者達が既に出ている。」

カンフー「犯人は吸血植物スフランでも密売しているんでしょうか?どう思うグラサン。」

グラサン「俺は犯人じゃないから分かるかよ。でも致命傷の傷から見てスフランの仕業じゃないのは間違いないよ。」

アラシ「でも黒野がそう疑うのも無理無いよ。知り合いの三門警察の河野刑事も注射器を使った穴じゃなく獣か何かの血を吸う牙で吸ったじゃないかって疑っているし。」

グラサン「それは怖い⋯⋯十字架やニンニクがいるな。」

黒野「聖水を忘れるなよ。」

顔を真っ青にしたグラサン隊員に黒野が助言を言い横にカンフーは呆れて言う。

カンフー「お前、強面の癖にお化けとか苦手そうだもんな。」

グラサン「お化けや幽霊が怖くて何が悪い。」

黒野「そんな物、普通の殺人鬼に効くのか?」

グラサン「やってみないと分からないだろ?」

お門違いな話をする他所でアイドル達は男性達の元へ近付き

アイドル「そもそも犯人が狙う人の基準がバラバラ過ぎるわよ。何か共通点ないのかしら?」

ダイアナ「私も探したけど⋯⋯共通点らしい共通点はこれと言って見つかっていないのよ。」

黒野「⋯⋯⋯今夜も正体不明な殺人犯が人の身体の中に流れる生き血を求めて三門市に現れるのか⋯⋯」

ムラマツ「その前に犯人の手掛かりを何としても見つける必要があるな。」

ホシノ「警察も市街地を中心に巡回パトロールの数を増やしている。私達にもパトロールを手伝って欲しいと依頼されている。」

ムラマツ「忍者部署の面々も直ぐに動き出したようだ。我々も交代でローバーを使ったパトロールに参加しよう。」

「「了解!!」」

 

三門市 人の気配の無い仄暗い路地裏

ずっと頭痛するように気分が悪い。

??「はぁ〜はぁ〜」

建物の壁に力無く背もたれした強面で堅物な男は何かに怯え震えていた"声"が聞こえる⋯⋯"自分1人しかいないのに"⋯⋯

(調子はどうだ?生駒⋯⋯)

自分じゃない声が直接頭の中から聞こえてきて必死に自分の両耳を両手で押さえるのはボーダーB級部隊生駒隊 隊長生駒達人。此処最近、ボーダーに顔を見せない剣持夢想の知り合いの青年だ。

生駒「調子って⋯⋯本当に、頭の中から直接聞こえるな⋯」両耳に指を入れて音を聞こえないようにしても聞こえる現象に戸惑いを覚える達人。

(落ち着け⋯⋯)

生駒「落ち着けって⋯⋯無理やねん。」

 

声を上げて彼を知るボーダーの知り合いの人達が見たら驚くだろう心の底から戸惑いの表情(でも真顔)をする達人は、自分の身に一体何が起きているのか⋯⋯冷静にその時を思い出そうとする。

天使騒ぎが終わって直ぐの頃⋯⋯夜間のボーダーの防衛任務を終えて部隊の皆と別れ寮に先に1人帰ろうとして途中⋯⋯偶然、音が程々の離れた方向から聞こえたんだ。

硬い刃物か何かを打ち合う音が⋯⋯最初は⋯⋯防衛任務中のボーダー隊員同士が下らない諍いで攻撃手トリガーで打ち合っているかと思った⋯⋯この時は、特に気にしてなかった。だけど⋯⋯変な事を言うけど⋯⋯程々の離れた方向から何かが⋯⋯黒い何かが飛んできて。それは⋯⋯シルエットが蝙蝠に似ていて⋯⋯

怪人「っ!!」

生駒『えっ?』

俺が反応するには⋯⋯其れは余りにも速すぎて⋯⋯余りにも一瞬だった⋯⋯トリオン体をとっくに解除して生身だったのもあった⋯⋯でもそれ以上に⋯⋯自分の身体が空を飛ぶコウモリに似た何かによって冷たい感覚と共に⋯⋯斜めに袈裟斬りされた事に気が付いて⋯⋯自分の意志とは関係なく力無く身体は仰向けに倒れて俺の意識は一気に薄く⋯⋯遠のいていった⋯⋯だがハッキリと感覚でわかったのは⋯

生駒(何や⋯⋯あの何かに、遠くから⋯⋯身体が斬られて⋯⋯)

瞬間的に⋯⋯人間が生きるのに必要な血の大半が外に出てしまったと確信して⋯⋯

生駒(これは⋯⋯アカン。)

自分に斬撃を放った空を飛ぶ何かは⋯⋯自分を無視して飛び去り

自分が最後に聞いた音は、やけに獣臭くネバネバしたスライムか何かが此方に近付いてくる音だった⋯⋯身体を動こうにも、最早身体は寒さを感じて指先すら動かない。

生駒(アカン。骨も何も残らずに別の何かに捕食される⋯⋯)

そう思っていたのに⋯⋯気がついたら傷が無くなっていて三門市の余り行かない町内の路地裏に意識が覚醒した。そして⋯⋯

(ギリギリだったが、何とか同化は成功したようだ。⋯⋯良かった⋯)

得体の知れない"声"が俺の頭の中から俺を心配していた。

俺は理解出来ない恐怖に全身が支配された。狂ったような悲鳴を上げた⋯⋯誰かに相談したいのに、内側から身体が自分の意志とは全く関係なく動き始めて⋯⋯仲間や友達に再会出来ずに、周りの視線を気にしながら寮に帰れずに警戒区域に野宿する日々。

 

自分は人間では無くなった恐怖を感じて⋯⋯頭がどうにかなってしまいそうなのを必死に耐えていた。良く分からない幻聴は、日が沈んだ時間帯になると勝手に三門市の市街地や住宅街を歩き⋯⋯何か良く分からないが、何かを探している⋯⋯でも俺は正直、そんな物に興味はない⋯⋯落ち着いてもいられない。

何か⋯⋯変な方向へ視線を向けて急いで其処へ向かうも、途中で足を止めるを繰り返す日々。何もかも訳が分からない状態で⋯⋯

 

生駒「少し疲れたから⋯⋯休ませてくれ。」

そう幻聴に向かって言い、力無く背もたれして疲れた身体を休める為に目を閉じて泥のように眠る。

俺を襲ったアレは何なのか⋯⋯どうして俺は助かったのか⋯⋯どうして俺は訳が分からない幻聴に操られてこんな所に寂しく1人でいるのか⋯何もかも分からない状況の中で今はただ⋯いつもの皆に会いたい⋯⋯心の底からそう俺は思った⋯⋯

 

 

掃除の時間が終わり部活動の時間になる時間だが⋯⋯校長先生の全校集会へ言った通り⋯⋯各部活動は暫く中止になっており、生徒達は出来る限り集まって下校していた。そんな中、剣持は1人

三門市立第一高等学校の新聞部の面々に会いに行こうとした。

小夜子や真琴先輩とも話した連続バラバラ殺人事件でやはり気になる事が幾つかあるのだ。

(殺人事件とは直接関係無いが⋯⋯深夜の警戒区域に聞こえた謎の唸り声⋯⋯空飛ぶ悪魔の噂⋯⋯この2つに関した何かの情報を田端部長達が掴んでいるかも知れない。)

16歳の新聞部の面々達は剣持は予想していた通りなのか、三人で既に集まっていた。そしてに生駒隊の皆と違い俺が声を掛けるより早く新聞部の方が気付き声を掛けてくる。

井上「おっ剣持じゃん。」

「どうも、一平さん。」

田端「どうしたんだ?」

「実は下校前に新聞部の皆さんに尋ねたい事があって⋯⋯」

剣持は、小夜子から聞いた噂の話を新聞部に話して、新聞部達の方は興味深く考え込み⋯

吉井「面白いネタを話してくれてありがとう⋯⋯でも、ごめんなさいね。私達が持っているネタでソレに関連した物は無いのよ。」

「そうですか⋯⋯」

考えてみたら、当然だが⋯⋯本物の殺人事件に関連した情報をもし入手しているなら、とっくに警察に匿名にしろ実名にしろ情報を渡している筈だ。

田端「悪魔の目撃情報は分からないが、面白い特ダネがあるんだ。」

「面白い特ダネ?」

嬉しそうな表情をする田端に無表情でキョトン顔をする剣持。

井上「深夜に聞こえた唸り声に関係しているかも知れないんだ。」

(志岐さんが言っていた噂の奴だ。)

そう一平は言うと、スマホのカメラで撮ったある写真の画像を剣持に見せる。

「これは?」

井上「現代に蘇った狼男だ。」

そう言いいつもに以上に自信に満ちた顔で一平は剣持に向かって言う。

(狼男⋯⋯)

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狼男とは昼間は人間だが夜は狼に変身し人畜を襲うヨーロッパの伝説に登場する怪物を指す名前だ。⋯⋯『魔人ドラキュラ』『フランケンシュタイン』に並ぶ有名な狼の特徴を持つ獣人で⋯⋯世界三大西洋モンスターの代表の一つ。狼男に関連した伝承の起源は東ヨーロッパの各地にありウェアウルフ、ワーウルフ、ライカンスロープ、ドイツではヴェアヴォルフ、フランスではルー・ガルー、ウルフマンと各国で名称は異なる。1930年代のホラー映画のモンスターとしても有名で日本では昭和漫画家の代表者達⋯⋯例えば『ドラえもん』の原作者藤子・F・不二雄が描いた漫画『怪物くん』の登場人物にも登場し『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』といった妖怪漫画を代表者水木しげるも、漫画の神様と呼ばれた『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』を描いた手塚治虫も吸血鬼『バンパイア』の名称で狼男を題材にした話を描いている。特撮として有名な作品『仮面ライダー』でさえ最初の大幹部ゾル大佐が仮面ライダーと対峙する際に改造人間の狼男に変身して死闘を繰り広げていた。

 

だがこの殆どがフィクション⋯⋯実在しない架空のキャラクターである。大昔の狼男かも知れないと噂された各地の伝承もいわゆる狂犬病と呼ばれる自分自身を獣か犬か狼かと思う精神錯乱の人を指していたのでは無いかと現在では解釈されている。

 

一平が見せたスマホの画像は、警戒区域の無人の住宅街を撮影した。

井上「時間は深夜で曇り空で写りはそれ程悪くないんだけど⋯⋯この夜空の部分を良く見てくれ。」

(この日の深夜は曇りってニュースで言っていたな。)

写りは一平さんの言う通り良くは無い⋯⋯しかし、

(何か、写っているな⋯⋯)

空中をとぶ黒い何かが写真に写っており、ハッキリとは分からないが鳥とかではなく人の形をしていた。頭部の方に注目すると犬か狼っぽい頭にも見えなくも無いが、尻尾や動物が持つ獣脚らしき物が写っている。

「これが狼男なんですか?」

井上「まだ確定している訳じゃないがな。」

吉井「その写真、きっと警戒区域で防衛任務をしているボーダーの隊員よ。」

井上「えっ?でも尻尾とか獣とかの獣脚があるぜ。」

吉井「写りも良くないし、きっと何か別の物よ。」

獣脚⋯⋯動物が四足歩行する際の後足を指す。人間の足とは外見的にも構造的にも異なる。

「本物なのかな⋯⋯この写真。」

井上「見ろ。結花のせいで剣持だって俺の写真を疑いの目で見てるぞ。」

一平のスマホの画像をじっと見る剣持の横で不満そうな声を出す一平。

(地球はまだ分からないが、宇宙にはウルフ星人と言う伝承の狼男に似た宇宙人が存在する。)

(宇宙にも狼男は存在するの!?)

(ウルフ星の犬や狼系統の生物が人間のように進化した獣人タイプの宇宙人だ。銀河連邦に加盟する星にも似た種族の人達がいるよ。)

(◯ギー・クルーガーだね。)

エマージェンシーのSEが夢想の脳裏に鳴り響く。

(それは、特撮ドラマに出ている只の良い声の人型警察犬だ。)

(せめて宇宙人扱いしてあげなよ。)

マジマジと剣持は一平のスマホの写真を見て⋯⋯

「気を悪くしないで下さい。一平さん。この距離での写真ですから本物か作り物か判断が難しいだけです。」

井上「信じてくれるのか?」期待する目をする一平。

「信じるも何の⋯⋯妙な金属マスク着けた半漁人擬きとか、東京の秋葉原で変な発音の日本語で喋る人に寄生した奇怪な怪物とか普通じゃない者達を僕ら目撃しているでしょう。」

フュージ・キールとホーン・デュアウトと遭遇した話を部長達にする剣持。

田端「妙な金属マスク着けた半漁人擬きは知らないけど、人に寄生した奇怪な怪物は確かに目撃しているな。俺達。」

井上「確かに⋯⋯言われて見ると俺達不気味なモンスターに遭遇したんだった⋯⋯ならこの写真に写っているのは本物の狼男かも!?」

「それは分かりません。」無表情の真顔で答える剣持。

井上「人の揚げ足をとるなよ〜」

露骨にがっかりした表情をする一平。

(でもこの写真に写った狼男に見えそうで見えない奇怪な影と、悪魔の目撃とか⋯⋯連続バラバラ殺人事件とか⋯⋯本当に無関係なのかな?)

(まるで分からん。決めるには、証拠が何も無いからな。)

「でも興味深いを話を教えてくれて有難う御座います。」

下校する新聞部にお礼の言葉を良い。知りたい情報は無かった物の個人的に気になる情報を手に入れた剣持は、下校する際リムジンに乗る真琴と小夜子の後ろ姿を見て声をかけずに駐輪場に止めてある自分の自転車ジェットビートルの元へ急ぎ向かうのだ。

香取「⋯⋯。」

その自分の後ろ姿を険しい顔で見詰められているのも知らないまま⋯⋯

剣持が『お化け屋敷』へ向かう同時刻⋯⋯三門市の市街地のビルの屋上にて

成川「⋯⋯。」

サングラス越しに三門市の街並みを眺めながら背中に黒いゴルフバックを背負ったプリズムファイターこと成川ジョージは黙々と三門市を一望出来る場所を瞬間移動を使いあるポイントを探していた⋯⋯狙撃ポイントを⋯⋯

太刀風「 よし。次で御座る。」

また同時刻⋯⋯三門市の地図を片手に三門市の市街地を歩くハリケーンマスクこと太刀風皇虎は各地に宇宙連続殺人犯を捜索する式神を使いながら水色の風車を行く先々に人に気付かれない所に置いては移動する。

 

同時刻⋯⋯鏡拓也は知り合いの情報屋から情報を知る為に六頴館高等学校を直ぐに下校する。しかし、怪しい動きや表情をしている為、古寺を始めてボーダーに所属している人達に後を尾行させられているとは本人が知るよしも無い。

 

ボーダーの人達につけられているの知らない拓也は待ち合わせ場所に何知らぬ顔で向かい丸いサングラスを掛けた怪しげな雰囲気を持つ強面の髭男が推理小説を片手1人立っていた。

鏡「よう。情報屋。頼みがある。」

怪しげな雰囲気のある髭男に対して親しげに話し掛け手慣れたようにお札を見せた拓也に強面の表情をしたサングラスの髭男は拓也の顔を見て嬉しそうな顔でフレンドリーに接する。

情報屋「おう。拓也ちゃん。何処のキザなカッコいい人をモチーフにしたか知らないけど今日日いないよ。そんな情報屋。常識疑われちゃうよ。」

鏡「からかうなよ。此方は至って真面目に聞いているのに⋯⋯」

情報屋「だって君、ボーダーの嵐山隊の佐鳥隊員と同じ香りするんだもん。二枚目半の場を和ませるコメディアン。」

拓也に言い方に身も蓋もないコメントをする髭男。自分でもキザっぽい言葉を言っている事に自覚がある。でも⋯⋯拓也はまだ16歳の子供。

鏡「帰る。」

ヘソを曲げたように不貞腐れた拓也は情報屋から踵を返そうとする。

情報屋「ゴメンゴメン。っで拓也ちゃん。今回は何の情報を望みだ?」誂った事に謝りの言葉を言い拓也が持つお札⋯⋯情報提供代を手慣れたように受け取り応対する情報屋。

鏡「巷を騒がせている連続バラバラ殺人事件に情報を関してだ。何か入っているかい?」

呆れた表情でまるで新商品が入荷しているかのように情報屋に尋ねる拓也。その拓也の前で髭男は少し考えて

情報屋「そうだね⋯⋯1週間前のバラバラ殺人現場の場所は知っているかい?」

鏡「此処に来る途中の事件のニュースで調べた。街の路地裏だろ。」

情報屋「チチチ⋯⋯確かにバラバラの遺体が発見された現場は、路地裏なんだけど⋯⋯俺の交友関係のネットワークで調べて見るとある共通点があるんだよ」そう拓也に向けて情報屋は嬉しそうに言い。あるスマホの写真を見せる。

鏡「これは⋯⋯」

情報屋「亡くなった被害者達は皆、街灯が少なく人気の無い暗い道で殺害されている。そしてこの写真は俺ちゃんの情報屋仲間が偶然入手した物なんだけど⋯⋯」

下から上の景色の写真を撮っている構図で暗い深夜の空に不自然に写るのは鳥のような生き物だ。

鏡「これは?鳥か?」

情報屋「いいや⋯鳥類学者達に何人か当たって聞いてみたけど、写真に写る生き物の翼長は約7メートル。三門市には間違いなくいない新種の鳥と考えているパターンと鳥型怪獣の子供と考えているパターン。ある学者は、翼の形状から鳥ではなく蝙蝠なのではと言っていたな。」

鏡「翼長7メートルの鳥や蝙蝠なんて明らかに普通の生物じゃないだろ。まさか⋯⋯」

小さく目を見開き鳥か蝙蝠の特性を持つガイラットの改造人間っと⋯口に出さずに考察する拓也。

鏡「流石は情報屋⋯⋯相変わらずの情報を嗅ぎ分ける鼻が良いな⋯⋯素晴らしい情報収集力⋯」

関係無いと思う幾つも情報を必要な時に集めてくれて感心するように情報屋を褒める拓也。

情報屋「褒めるなよ。照れちまうぜ。」

鏡「⋯その写真現場の場所は分かるか?」

この写真に写った存在に拓也はニヒルに笑い情報屋を褒めて手掛かりがあるかもと考えて場所を聞く。

情報屋「勿論、その代わり⋯」

笑みを浮かべて手でお金を現すマークを見せる情報屋。拓也は更に呆れながらも、カエルそっくりのガマ口財布からお札を取り出して情報屋に軽く手渡す。

情報屋「毎度あり。にしても可愛いカエルの財布だね。」

鏡「財布の事は余計だ。」

情報屋「君の知りたい情報を教えたんだからノーカンだよ。ノーカン。俺ちゃん。これで御飯食べているからさ。」

ワクワクした様子で情報屋はそう言うと拓也と別れて拓也も1人何処かへ移動する。

 

そして情報屋と拓也の謎で怪しいやり取りを程々の距離のある所で気配を消してチラッと見ていた拓也の同級生の古寺。

古寺「⋯⋯。」

染井「⋯あの古寺君。」

古寺「うわっ!染井さんか⋯⋯びっくりした⋯⋯」

背後から声を掛けられて驚きの顔を露わにする古寺。驚かすつもりはこれっぽっちもない華。

古寺「染井さん。こんな所で何しているんですか?」

染井「古寺君の挙動がおかしいってボーダーの皆が言っていたから何人か古寺君を疑ってついてきているわよ。」

古寺(えっ僕!!拓也君じゃなくて僕が謂れのない事で疑われているの!?)【ガーーン】華に指摘されて目に見える驚きの表情をする古寺。

宇佐美「おやおや、其処で何をしているのかね〜メガネ派の君たち⋯」

染井「あっ、宇佐美先輩。皆さん。」

華は自分の後ろから姿を現す人達に視線を向ける。

菊地原「⋯⋯。」

歌川「⋯⋯。」

古寺「これは⋯⋯その、あの⋯⋯」

何故かいる玉狛支部のオペレーターの宇佐美栞と風間隊の菊地原と歌川に古寺はどう説明しようかと頭を悩ませるのだ。

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三門市 市外の『お化け屋敷』に自転車で到着した剣持。何時も審査をして作戦司令室へ向かう途中

王子「やぁ、ケンモッチーニー。」

変な名前で自分を呼ぶのは爽やか笑みを浮かべて自分に比べて精神的な余裕がありそうな人だなぁと感じたこの人は王子一彰。ボーダー本部所属、接点が余りないB級部隊王子隊の隊長さんだ。黒野先輩と交流のある弓場隊に過去に所属していた事がある。隊長を含めて部隊全員機動力がある狭い間合い局所戦が得意な部隊なのも特徴だ。

「⋯⋯王子隊長。何ですか?その呼び名は?」

 

王子「僕が考えた君の渾名だよ。気にしないでくれたまえ。」

「はぁ〜。っで王子隊長はどうしてこんな部署へ?」

王子「最近、三門市を騒がせている謎の連続バラバラ殺人事件で

クラウチ達と一緒に何か『お化け屋敷』の手伝いが出来ないか足を運んだんだよ。ちゃんと本部の人達には許可は貰って来ているよ。」

と何ともわかり易い説明をしてくれて作戦司令室まで歩く。

「俺も実質校長先生の話を聞いて怪奇案件を担当するこの場所に何か情報は無いか足を運んだんです。」

何だかんだ剣持自身も王子隊長と来た理由事態は殆ど同じである。

王子「そうかい。なら行こう。」

「⋯⋯。」

二人で歩いていると大型リフトに到着して司令室までの階層に降りる。その途中⋯⋯何気なく剣持は王子の方を一度真っすぐ見て視線を前に戻す。

「⋯⋯。」

(ボーダーの嵐山先輩や玉狛支部の烏丸先輩と同じでイケメンだな⋯⋯)

ボーダー本部のモテない男子の会の竹中半兵衛と言う不名誉な渾名で呼ばれている僕だが、愉快なイコさんじゃないが格好良いと思うボーダーの隊員達を見るとやっぱり僕じゃどんなに頑張ってもその隊員や隊長達みたいにはなれないだろうと実感する。それは単純な見た目から⋯⋯状況に適した戦い方や言動や生き方とか志しとか自分に無い物を子供みたいに強請るの同じだ⋯⋯そして⋯⋯僕が気になる人は、そういう持っている人を見る⋯それはけして悪い事では無い⋯⋯只自分がより惨めになるだけなのだから⋯⋯

(貧乏草の僕の悪い妬みだ。気持ちを切り替えよう⋯⋯)

「王子先輩って爽やかですよね。」

王子「友達に良く言われるよ。気にした事は無いけどね。」

「そうですか。」

王子「今回の事件。人間の仕業なんだろうか?」

「違うと思うんですか?」

王子「普通の人が犯人にしては、手間がかかる事をしていると考えているのさ。人の身体を道具を使ってバラバラに解体するって牛や豚を屠殺する解体業者並みに大変な作業だと思ってさ。」

「根拠はあるんですか?」

王子「いいや⋯⋯しいて言うならこれはぼくの勘かな?動物が空腹で人を食べる何かも考えているけど、解体しているだけで身体の一部が食べられて欠損とかはネットのニュースを見た限り無いようだし」

(この人、思った以上に怖い事を想像している。)

(少なくても、今回の事件はバラキの仕業では無いようだ。)

バラキ⋯⋯マキシボーン山で警備をした機動隊を5分で全滅させた赤い怪獣の姿を想像するベムと夢想。染井さんと染井さんが乗っていたタクシーの運転手も狙われていた獰猛で凶暴な肉食恐竜が引き起こした惨殺現場を思い出して顔色を真っ青にする剣持夢想。

王子「大丈夫かい?顔色が凄く悪いけど⋯⋯」

「⋯⋯大丈夫です。⋯⋯ただボーダーの誰にも見せたくない嫌な現場を思い出しただけですよ。」

真っ赤な血の海と死に絶えた機動隊の人達の姿を頭の彼方へ必死に追いやる夢想。

王子「⋯⋯結構、キツイ仕事をしているようだね。」

「⋯⋯はい。」

司令室の自動ドアが左右に開き二人は室内に入る。

エドランド「来たか。剣持。」

「はい。エドランド隊長。」

王子(当たり前だけど此処にいる外人達、日本語が上手いな。)

 

エドランド「来て早速だが、剣持。ニュースにもなっている連続バラバラ殺人事件は知っているか?」

「はい。俺の通っている学校の全校集会でも校長先生が話していました。」

エドランド「その事件。怪奇案件として我々も動く事になった。資料室へ行き今回の事件のケースに近い事件の資料を集めて欲しい。」

「狼男の?」

エドランド、王子「狼男?」

剣持の一言で首を傾げ疑問を覚える二人に、今回の事件と全く関係ないと考えて

「いえ、此方の話です⋯⋯王子隊長。資料室へ行きましょう。」

王子「分かったよ。ケンモッチーニー。」

エドランド(ケンモッチーニー?)

剣持と王子は司令室を後にして資料室へ向かう。

 

王子「それで?ケンモッチーニー。狼男って?」

資料室がある階層まで大型リフトに乗り込み二人へ向かう途中、隣に立つ王子は単刀直入に剣持に聞く。

「⋯⋯やっぱり気になりますか?」

自分が気になるような言葉を言ったのは自覚がある。何となく王子隊長なら僕が不意に言ってしまった言葉を追及すると思っていた。

王子「それは勿論。君が司令室で事件に関連した事に"狼男"と気になる事を言ったからさ。気にならないと言う方が無理だよ。」

隠しても仕方がないし、夢想は新聞部の一平さんと話した狼男?に関した話を王子隊長にする。

「⋯⋯僕が通っている高校の新聞部の人が深夜の夜景をスマホの写真で撮った際に妙な物が写り込んでいたです。」

王子「それが狼男だと?」

「ハッキリと被写体を狙って撮られていないから分かりませんが、見た限り狼男にも見えなくもないと僕は考えています。」

王子「中々と興味深い話だね⋯⋯」

「興味あるんですか?」

王子「だって狼男は実在したって凄く面白そうじゃないかい。」

人を食べるかも知れない恐ろしい怪物がボーダーの防衛任務の警戒区域の何処かに存在するかも知れないのに、王子隊長は楽しそうだ。

(この人、妙な所で肝が座っているな。こういう度胸もB級隊員には必要なのかな?⋯⋯臆病な僕と本当に別次元の存在だな⋯B級って)

「実在した場合対処するのは、怪奇案件を仕事にする僕達『お化け屋敷』なんですよ。」

王子「浪漫やユーモラスは大事だよ。ケンモッチーニー。」

「僕は友達や知り合いの安全を考えたらいない方が安心します。ただでさえ今は⋯⋯三門市で犯人が分からない謎のバラバラ殺人事件が発生しているのですから。」

王子「確かに⋯⋯ぼくの友達が謎の殺人犯に狙われると考えると不安を覚えるけど⋯⋯今のぼくらに出来る事は少しでも正体不明の相手の事を調べる事だよ。」

(目撃者も殆どいない⋯⋯被害者は皆犯人に確実に殺されている。犯人はどうやって被害者を殺害してバラバラしているんだ?)

王子(狼男か⋯⋯カゲの可能性は⋯⋯流石にカゲに失礼だよな。)

野性味溢れるギザ歯と獣のような鋭い眼光が特徴の元A級の攻撃手のシルエットを1回思い浮かべるが直ぐにあり得ないと考えて違う可能性を考える一彰。

目的の資料室に到着した二人はさっそく中に入り⋯⋯その資料室の広さに足を一度止める二人。

「分かっていたけど⋯⋯この膨大な資料の数々の中から今回の怪奇案件に近い資料を探さないといけないのか⋯⋯」

膨大な過去の怪奇案件に関連した資料の数々に軽く圧倒されながら剣持は言う。スカルビーの時には司令室に既にスカルズギャング関連の資料が用意されていたからなぁ〜〜遠い目をする剣持。

王子「これは人手がいるね⋯⋯カシオとクラウチに連絡を取ろう。」

「良いんですか?王子隊のその二人は中学、高校で分かれていますけど生徒会長ですよ。」

王子「一応の確認さ。駄目だったら他の人の手を借りるまでさ。先に資料を調べてくれ。」

そう俺に言うと資料室の出入り口で一彰はスマホを使う。

「分かりました。」

王子隊長の電話が終わるのをただ待つよりもエドランド隊長にお願いされた資料を探した方が良いと考え広い資料室内部を歩く。

「⋯⋯⋯。」

剣持は様々な記録や資料集が保管された資料保管棚を歩きながら見る⋯⋯各棚には案件別に分けられる。

【怪奇案件と言うのは、文字通り多種多様な種類の怪奇がある。

俺達が普段戦う地球各地や宇宙から現れる怪獣が起こす怪獣災害。普通の人達なら生きていて滅多に遭遇する事は無い⋯⋯忍者部署が主な担当をする人間をベースに様々な生物の細胞や能力を掛け合わせた怪人と言う小型戦闘兵器による怪奇案件や悪の組織が開発した侵略ロボットによる怪奇案件に『お化け屋敷』の博士達の開発した発明品による基地内に発生した騒動についての実験記録。オカルト都市伝説を関連した怪奇案件。】

(近くの資料から調べてみよう。)

怪奇案件の連続バラバラ殺人事件に近いケースについて色々な棚にある所から資料の集めて一つずつ資料を開いて調べ始める剣持。

王子「カシオ達は生徒会で来られないみたいだ。ケンモッチーニー。ボクも手伝うよ。」

隣に王子隊長が来て近くの資料を開き内容に目を通す。

「お願いします。」

そう剣持は答えて資料の方に視線を戻す。

 

 

 

一方。拓也達の方では

情報屋「コレが今分かった情報だよ⋯⋯」

 

鏡「有難う。情報屋。次いでに今回の連続バラバラ殺人事件に関連した情報を更に集めてくれると助かるんだが⋯⋯」

情報屋「しゃあない。少なくても普通の人間の仕業じゃなさそうだし、俺ちゃんの情報網をフルに使って集めるよ。」

鏡「助かるよ。」

情報屋「その代わり⋯⋯」

鏡「しっかり今回の事で有益な情報だったら金は払うよ。」

情報屋「流石拓也ちゃん。良く分かってるじゃん。じゃあね〜。」

そう言うと情報屋は拓也の前から姿を消す。

鏡「さて⋯⋯。」

チラリと背後をつけてくる人達に視線を向けた拓也は1人、ある路地裏に向かう。

宇佐美「あっ、鏡君。入っていったよ。」

古寺「追いかけに行きましょう。」

染井達も路地裏に入った拓也の後を追い掛ける為に足を運ぶ。

歌川「宇佐美の奴。張り切っているな〜」

菊地原「知人の知らない面に興味津々なんでしょ。凄く面倒くさいな〜。帰って課題やりたい。」

歌川「気持ちは分かるが、古寺だけだと何かあった時に不安だろ。」

宇佐美「うってぃー。きくっちー。置いていくよ。」

菊地原「今行くよ。」

面倒くさい気持ちを顔に出しながら士郎は栞達の後に続く。

 

歩道で歩く人とすれ違いながら栞達は路地裏から出た人に古寺がぶつかる。

古寺「あっ。ごめんなさい。」

マスター神父「いや、此方こそ。怪我はないかい?」

染井(カフェブラックスターの店長さん⋯⋯)

古寺「はい。すいません。」

マスター神父「いや、大丈夫なら問題ない。」

互いにぶつかり謝罪の言葉を言い合いマスター神父は何処かへ向かう。

宇佐美「知り合い?」

染井「黒野隊員の妹さんがバイトをしているカフェの店長さんです。」

 

 

鏡「でっこんな所で皆して何しているんだ?」

拓也は、路地裏に入ると堂々と危ない事をする古寺達を待ち伏せして真面目に問いただす。

宇佐美「あはは⋯⋯何時から気付いていたの?」

何時になく2枚目半の表情が潜めた真剣な表情の拓也に問い詰められて栞達は軽くキャラ違くねと思いながら笑顔で質問する。

鏡「校門を出て暫く同じ複数の視線を背中に向けられ続けていたら、馬鹿な俺でも気付きますよ。」

宇佐美「なら皆でお話しがてらバーガークィーンにでも行く?」

古寺「行きましょう。鏡君。」

鏡「なんでお前が仕切るんだよ。」

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お化け屋敷資料室

黒野「手伝いに来たぞ。王子。剣持。」

「黒野先輩。」

王子「やぁ、黒野さん。」

黒野「人手が足りないかと思って手の空いてそうな奴らを集めてきた。」

弓場「よう。王子。」

黒野の後に姿を見せるのは、弓場隊の弓場隊長に影浦隊の影浦隊長だ。

王子「弓場さんも⋯⋯あれ?ののさんにオビ=ニャンやトノはいないのかい?」知り合いの部隊の面々の姿が無い事に気付く一彰

弓場「最近、噂の連続バラバラ殺人のせいでアイツらには必要以外は帰宅させるように言っておいたんだ。何かあったら大事な息子や娘を預けてくれたアイツらのご両親に申し訳ないからな。」

黒野「相変わらず、見た目に似合わず優しいな⋯⋯」ニヤニヤした表情で弓場を見る黒野。

弓場「茶化すな。部隊の隊員を預かる隊長として事をしたまでだ。」黒野のニヤニヤに妙な気恥ずかしさを感じながら琢磨は真面目に答える。

影浦「たく、ヤバい奴が三門市に潜んでいておちおちコンビニにも行けないぜ。」助けを求める感情を向ける琢磨の視線を気付かないフリをしながら資料探しを手伝う雅人。

弓場「カゲ。お前の所も似たような物か?」

影浦「⋯⋯いや?光の奴は三浦と三輪に勉強を教えて貰う必要がある程成績がピンチなんだよ。黒野は口より資料集めの手を動かせ。」

黒野「了解。」

でも少し琢磨の気持ちが分かる為、黒野に資料集めを命令して黒野もニヤニヤをやめて真面目に資料探しに動く。次いで剣持は、

(三輪先輩とミューラー先輩は大変そうだな⋯⋯)

国近先輩の勉強を手伝った事があるから仁礼先輩に勉強を教える三輪先輩達に同情していた

弓場「ゾエ達は?」反対側の資料探しをしながら琢磨は雅人に聞く。

影浦「ゾエ達には各々の自宅で戦術や戦略の自習勉をするように言っておいた。」

黒野「応。好きなだけ新戦術や戦略を覚えてくれ。俺が所属している限り部隊の全員は落とさせないから⋯⋯」

影浦「頼もしい前衛だこと⋯⋯」

黒野「守りにとことん特化した攻撃手だからな。っと資料集めの進捗はどうだ?」

「連続バラバラ殺人事件に関連した資料の一つで今、SRIの人達が担当した【かまいたち】と呼ばれる事件ファイルを見ている途中ですよ。」

黒野「至って大人しく真面目な少年が動機不明の猟奇的な殺人した事件の資料だな⋯⋯機械を使った犯行だ。」

弓場「かまいたち式真空発生装置か⋯大学とかの学会に報告とかすれば違う道もあっただろうに⋯⋯

剣持が開いている事件ファイルに興味があるのか弓場と影浦も視線を向ける。

影浦「そのニュースなら随分前にテレビで見たぜ。自分で人を殺す機械をイチから開発したのは、普通に怖かった記憶がある。」

黒野「その人をかまいたちで殺す装置を開発した小野松夫被告は現在も事件の事については何も言わずに刑務所に収監されているよ。」

影浦「実際どうなんだ?このかまいたちに今回の事件は似ているのか?」

「被害者達は全員バラバラに惨殺されているが別物だ。」

「じゃあ、このファイルはしまってきますね。」

剣持は【かまいたち】の事件ファイルを元の棚に1人戻しに行く。

王子「黒野さん。今回の連続バラバラ殺人事件を絞り込むキーワードは他にないかい?流石に範囲を絞り込まないと難しいよ。」

黒野「そう思って俺も資料室に来たんだ。犯人は確かに被害者達をバラバラにしているが、それが被害者達の死因じゃない⋯⋯」

弓場「どういう事だ?」

黒野「被害者達は皆性別も職業も年齢もバラバラ⋯⋯通り魔的犯行と考えているが、殺された全員首筋に何かに噛まれた跡があり、バラバラに惨殺されて分かり辛いが身体の九割の血が抜かれて失血死をしているんだ。」

此処で黒野から事件について新しい情報を聞く一同。

「その情報は確かですか。」

資料戻しから戻ってきた剣持も黒野先輩に尋ねる。

黒野「あぁ。伝えるのが遅くなって悪かった。」

影浦「なら俺達はその吸血に関連した事件の資料を見に行こう。剣持。行くぞ。」

「はい。分かりました。」

影浦と一緒に吸血に関連する事件記録の資料を集める剣持。

王子「理由は分からないが犯人は被害者の血を抜いて殺して遺体バラバラに損壊させているって事かな。」

影浦「悪趣味な殺人犯だな⋯⋯犯人の目星はついているのか?」

黒野「いいや、でも⋯⋯俺の経験から見て今回の連続バラバラ殺人事件は普通の人間の仕業じゃない⋯⋯そう感じるんだ。」

王子「血を吸って相手の生命を奪うなら⋯⋯吸血鬼ドラキュラの仕業かい?」目元を意図的に暗くして意味深に皆に自分の見解を言う一彰。

黒野「吸血鬼⋯⋯」

王子の言葉に真剣に耳を傾ける黒野。

王子「東ヨーロッパ地方に古くから信じられている伝説の中に死んだ者が再び蘇り夜な夜な彷徨い出て他の生きた人間の生き血を吸うと言う話さ。」怪談話を言うようにおどろおどろしく言う王子に対して

「怖い事言うのをやめて下さいよ⋯⋯」

王子「この伝説を元にブラム・ストーカーが執筆したのが皆が良く知る吸血鬼ドラキュラさ。」

黒野「吸血鬼事件自体は既に三門市で別に発生しているんだ。」

弓場「黒野ォ⋯⋯俺達が調べるのは連続バラバラ殺人事件じゃないのか?」気になる事を言った黒野に弓場は疑問を言う。

黒野「天使騒ぎの少し前に10代から30代まで人が血を吸われて殺されている事件が発生し俺達は連続バラバラ殺人事件と同一人物の仕業じゃないかと考えているんだ。吸血鬼事件は血を抜かれて失血死で殺害され遺体もバラバラじゃないのも特徴だ。此方の件は前から捜査はしているんだが、犯人の手掛かりも見つかっていない。」

バラバラ殺人事件は校長先生の口から聞いたから分かる。しかし天使騒ぎより少し前に既に人を血を奪って殺害する殺人事件が発生した事に夢想は恐怖を覚える。

王子「黒野さん⋯両方の事件共通点は?」

黒野「事件は必ず夜から深夜⋯⋯そして被害者の首筋に外傷で出来た小さな穴が2本⋯⋯」

弓場「犯人は本当に吸血鬼なのか?」

黒野「分からない⋯⋯警察も俺達も犯人の姿を見ていない。どっちも只の頭のおかしい愉快犯の仕業かも知れない。」

王子「或いは現代に蘇った吸血鬼か⋯」

面白そうな物を見つけた表情をする一彰。

「もし夢に恐ろしい吸血鬼が出たら王子先輩の部屋の枕の下に【マタンゴ】のBlu-rayを置いていきますからね。」

王子「おおぅ⋯ソイツは楽しみだ。キノコを今の内に食べとかなきゃ。」

王子と軽い雑談を交えつつ無表情で剣持は吸血に関連した資料を影浦と一緒に持ってきて一つずつ確認する。

黒野「割とあるな⋯⋯」

持ってこられた資料ファイルの数々を見て黒野は言う。

黒野「王子。君も事件記録の確認作業を手伝ってくれ。」

王子「分かったよ。」

王子は剣持達の確認"未解決東京都連続不審死事件"のファイルを閉じる。剣持は目を通していない為に気付く事はなかったが、その事件の被害者名簿の中には"風真"の名字が複数記載されていた事に⋯

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資料を読んで黒野に教えられた事件に近い内容の物を1箇所に各部隊の隊長が置きながら資料集めに戻るサイクルを繰り返していると資料室の自動ドアが開閉して

カンフー「黒野〜。手伝いに来たぞ。」

グラサン「俺も来た!!?」

元気の良い大声が資料室内に響き渡り、真面目に資料を見ていた弓場と影浦が突然の大声にビックリする。

王子「声が弓場さんに負けないレベルで大きいね。」

「何かすいません⋯⋯」

剣持は無表情ながら恥ずかしい気持ちになり王子達に謝る。

ジュリー「二人とも、少し静かにしなさい。ボーダーの人達がビックリするでしょう。」

二人の後ろに続いて現れたジュリーの一言に大声を出したカンフー達は慌てて口を両手で押さえる。

黒野「助かるよ。皆。」

「声のボリュームは落とすようにお願いしますよ。」

剣持本人の代わりに分身体がいる資料室内では新しい人手が資料集めに参加しに来てくれた。

アラシ「そこ手伝って良いかい?」

影浦「良いですよ。」

接点は自分の部隊の黒野が関わっている程度しかないアラシ隊員が影浦の直ぐ近くに来て資料集めに動く。

影浦「⋯⋯。」

アラシ「どうかしたのかい?」

何気ない影浦の視線にアラシは気付き気さくに話し掛ける。

影浦「いえ、その⋯黒野の奴⋯⋯此方でどんな仕事しているか⋯⋯その少し⋯⋯気になってしまって⋯⋯」

話し掛けられるとは思っていない影浦は軽くビックリするも、前々から気になっていた事を質問する。

アラシ「どんな仕事って⋯⋯彼は君に此処での事を話していないのか?」

影浦「いや、そういう訳ではなくて⋯⋯黒野が担当した事件の資料とか見てボーダーの防衛任務とは別の意味で過酷な仕事をしていると思ったんです。」

アラシ「彼は多忙だよ⋯⋯普通の隊員みたいな怪奇案件に関わる場合もあるなら『お化け屋敷』の大型兵器や戦闘機と言った小型兵器を開発に必要な資金を用意したり、変な博士達が開発したツッコミまみれの色々な商品を販売する場を提供したり、学会に追放されたトンデモ博士達を雇用したり、基地の内部施設に手を加えたり⋯⋯」

影浦「⋯⋯。」

アラシ「でも不思議な事に意外に黒野は人生を楽しんでいるよ。」

影浦「そうですか?たまにアイツ何考えているか分からない事もあるし⋯」

アラシ「俺も君みたいに黒野隊員の事が気になって色々と聞いてみたら『お化け屋敷』もボーダーも自分の大切な人達や物を守ってくれるから難しい組織運営に携わる事は苦じゃないって答えたよ。」

影浦「アイツの大切な人達か⋯⋯黒野と義妹さん。血の繋がりは無くても本当の兄妹みたいですよね。」前に何気なく黒野兄妹の姿を見た時を思い出す雅人。

アラシ「ソレ俺も思った。まぁ、さっき言った通り多忙な人間で色々と此方の仕事を抱えている中ボーダーで至らぬ事もあるかもしれないけどフォローしてくれると助かるよ。」

影浦「心配しなくても俺も弓場や王子達と同じく隊長としての責務は果たすつもりですよ。」

人から自分の部隊の隊員の事を聞いたら、本当に多忙な隊員と知り何か自分に出来る事があるなら手伝おうと雅人は決めた。

「何の話をしているんですか?」

影浦「っ!?」

影浦(コイツ、やっぱり東さんみたいに何も感じない⋯⋯どうなっているんだ?)

後ろから剣持に突然声を掛けられて驚く雅人。

アラシ「黒野の話を彼としただけだよ。」

影浦「こうして見ると吸血に関連した事件って色々とあるんだな⋯⋯」

現在アメリカ支部にいる毛利春彦がアマチュア無線の仲間で結成した電波特捜隊 通称毛利チームが担当した怪事件の一つ【アマゾンの吸血鬼】の資料に目を通す影浦。

アマゾンの奥地から日本に持ち込まれたアマゾンのお面の裏に付着した白い細長いミミズかヒルに似た吸血性の微生物ヴァンゲリラスの幼体の写真と敵対生物のいない山奥の湖で獲物を捕らえて吸血して急成長した身長2メートルの血走る黄色い単眼の白いクラゲに似た成体の写真を見比べた雅人の感想は⋯

影浦(幼体と成体全くの別物じゃん!面影が全然ないし!?)

アラシ「その怪奇事件、俺が吸血されて死にかけた奴だ。」

何ともいえない表情でアマゾンの吸血鬼の資料を見るアラシ。

影浦「あっ。」アラシの一言で凄く気不味い表情をする影浦。

影浦(そういえば『お化け屋敷』の見学会の際に観たゴルドキングの事件のドキュメンタリーの映像の黒野との会話で言っていたな。)

アラシ「最初のヴァンゲリラスは毛利チーム単体で解決したんだけど、別件で別のヴァンゲリラスが日本に来てさ。『お化け屋敷』が毛利チームと協力して倒そうと戦闘機とか大型ロボットとか出動はしなかったけど忍者部署のヒーロー達とボーダーも出動して凄く大変だった記憶がある。」

影浦(この怪奇事件か⋯⋯ボーダー本部からはA級部隊が出動したらしい。)

影浦は【アマゾンの吸血鬼】の次の資料【アマゾンの吸血鬼の大逆襲】のファイルに目を通す。

最初の事件の個体よりもバムスターサイズまで大きくなったヴァンゲリラスが自動車を破壊している写真が写っている。

影浦「最初の白クラゲよりめっさデカくなりましたね。」

2、3階の建物と変わらない高さがある。

アラシ「ソレ皆言っていたよ。電磁警棒で感電とかさせたり県警と博士達で知恵を出し合っていたね。」

 

 

 

(吸血鬼⋯か⋯⋯)

丁度持っていた資料ファイルの中で次のファイル名は【吸血地獄】と言う物に気付き

「ヤケに物騒なファイル名だこと⋯⋯」

王子隊長が言っていたドラキュラの話を思い出しながら夢想はファイルを開き資料内容に目を通す⋯⋯

内容は交通事故で亡くなった高倉ニーナと言う外国人の女性が、事故によって青い醜悪なお岩のような顔をした吸血鬼となって蘇り2日に1人の人間の血を吸い殺害していて恋人の山本周作と共に東京から大分県の別府へ移動しSRIチームが担当した中で謎を多く残した事件のようだ。被害者の中にはニーナの養父の高倉の名もあり⋯⋯自分が生きる為に血を吸う殺人を繰り返す事に心を痛めたニーナは恋人の山本周作と共に別府の近海の無人島に向かいSRIの人達が見ている前に恋人の周作と共に崖から飛び降り自ら命を絶って事件は幕を閉じる。

こうして謎は多く残るも人の生き血を吸う存在がいた記録を目を通した剣持は今の三門市に弓場隊長や王子隊長が言うように本物の吸血鬼が暗躍しているのでは無いかと考えるも今回の事件は犯人の目撃情報や物証が欠けている為に自分の考えが突拍子もない物と決めつけて違う資料ファイルに目を通す。

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一方バーガークィーン三門本店

三門市に4店舗もある大手ハンバーガーチェーン店の2階のテーブル席に六頴館の制服を着た鏡拓也達はいた。

鏡「⋯⋯。」

拓也は自分の不注意を恥じた⋯⋯ヘリオンに所属している為にガイラットの戦闘員達の尾行に常に気を付けているのに、まさかの同級生達に後をつけられてしまうとは。

古寺「さぁ、僕らに色々と話して貰うよ。拓也君。」

鏡「古寺。俺の目の前で640円のクィーンバーガーセット頼んで美味そうに食べながら言う事か?」テーブルの真ん中の席に座らされて左右に陣取る同級生達は好きな物を頼んで食べているのに俺は何の注文も許されず⋯食べている皆の姿を見る事しか許されない。

宇佐美「鏡君。ポテト食べる?」向かい側にいる栞が拓也にそう言うも

古寺「駄目です。宇佐美さん。拓也がつけ上がります!!」

すかさずインターセプトとする古寺。

鏡「何でお前が言うんだよ⋯⋯」ジト目で右側に座る古寺に呆れながら言う拓也。

菊地原「でっ、いい加減話してくれない?」

拓也の左側の奥に座り太々しい態度でクィーンーバーガーを頬張りながら隣に座る士郎に話を催促させる。

鏡「⋯⋯。」

菊地原「君が危ない目に遭わないか此処にいる僕以外の皆は心配していたんだよ。」

鏡「毒地原⋯⋯お前はもう少し俺を心配しろって⋯⋯俺の罪悪感に圧をかけるな⋯圧を⋯⋯分かったよ。話すよ。」

拓也は菊地原の何とも言えない表情で溜息を吐き皆に巻き込んだ責任を感じて話す事にする。

鏡「⋯⋯学校の校長先生が話した事件について調べたんだ。」

((やっぱり⋯))

尾行をしていて薄々分かっていたとはいえ⋯⋯

宇佐美「どうしてソレをしようと?そういう危ないのは警察の仕事でしょ?」叱るようにしかし心配するように優しくだが無茶な行動をした拓也に質問する栞。

鏡「それは⋯⋯話を聞いて知り合いが巻き込まれないか心配になったんです。」この言葉は本心からだった⋯⋯流石に世界征服を企む秘密組織ガイラットと人知れず戦う地底基地ヘリオンに所属している事を同級生達に話す訳にはいけない為、自分なりの理由を口にする。知らない人から聞いたら馬鹿な事をしていると思うだろう。

菊地原「本当に傲慢だね。君程度が色々調べても何か事件の手掛かりを掴めるとは思えないよ。」

鏡「心配してくれてありがとうございます。」

士郎の容赦ない言葉にムカッと腹が立つも自分が事件について動いた結果皆を危ない目に巻き込んでしまう可能性があったのには変わりない。

宇佐美「⋯⋯本当に反省しているなら良いよ⋯⋯」

思った以上に反省している様子を見せた拓也を見て栞はこの件については追及しない事にする。

鏡「⋯⋯。」

心の底から反省する拓也だが、一連の殺人事件にガイラットが無関係かまだ分からない為に同級生達と別れた後ヘリオンの隠れ家へ向かう事にする。

 

作戦司令室に剣持達は資料を置きまとめる。

ベック「皆、資料を集めておいてくれてありがとう。」

「はい。」

エドランド「作戦室には観た所、人手が充分にいるようだから何人か二人一組で三門市のパトロール任務に行ってきてくれ。」

そうエドランド隊長に指示を貰った隊員達。

アラシ「じゃあ、俺と剣持がローバーで三門市のパトロール任務へ行ってきます。」

資料集めで退屈していたアラシがいの一番に手を上げて言う。

エドランド「分かった。何か会ったら直ぐに連絡するように⋯」

「了解です!」

そう答えると二人は司令室を後にする。

王子「ぼく達はどうする?ケンモッチーニー達とパトロールに参加する?」

弓場「チェスの相手するから大人しく司令室内で待機してくれ。」

好奇心が強い王子が基地の各研究施設に興味があるのは分かっていたから弓場は基地の博士達に迷惑を掛けない為に作戦司令室に

残る事にする。

王子「あれ?カゲとブラックは?」司令室内に姿の見えない二人の姿を探す王子に弓場は連続バラバラ事件ではない司令室内に既にある吸血鬼事件の資料に目を通しながら

弓場「資料室で調べ物の続きをしているよ。」

弓場(黒野の教えてくれた通り⋯⋯襲われた被害者が皆若い年齢に失血死で遺体がバラバラになっていない程度しか違いは無いな⋯⋯)

琢磨は一彰に二人の居場所について淡々と教える。

そして駐車場に駐車してあるローバーにアラシと剣持が乗り込み秘密基地から三門市の市街地へ走り出す。

 

「アラシ隊員。」

アラシ「うん?」

ローバーでパトロールしながら助手席に乗る剣持は隣で運転するアラシに尋ねる。

「吸血鬼って実在するんでしょうか?」

それはかつて染井華に質問した"天使って本当にいるのでしょうか?"と似た質問だった⋯⋯資料室で色々な吸血鬼ではなくとも吸血に関する生物の資料を見て疑問が生まれたのだ。特に今回読んだSRIが担当した【吸血地獄】の資料は自分にとっては結構衝撃的な内容だった。

アラシ「俺達は一度、【アマゾンの吸血鬼】に出現したヴァンゲリラスと遭遇して退治しているだろう?」

「はい⋯⋯」

アラシ「自然界にも蚊やヒルやチスイコウモリと言った血を常食にする生物が現実にいる。吸血植物スフランだって⋯⋯」

「⋯⋯。」

アラシ「生物の進化の中には肉や草と言う餌を餌に出来ない環境にいて突然変異した個体達もいる⋯⋯連続バラバラ殺人事件も吸血鬼事件の犯人も本物の吸血鬼かどうか分からないが、犯人は人の血を必要として失血死させてまで奪っているのは確かだ。そんな危険人物が三門市の何処かにいるんだ。」

アラシ「何よりも⋯⋯剣持。皆の安全の為にも俺達『お化け屋敷』が解決しないといけないだろ。」

「⋯そうですね。」

アラシ「途中、コンビニか何かで夜食を購入するぞ。腹が減っては戦が出来ぬからな。」

そう言うとアラシはローバーの速度を上げて前へ走行するその途中

「あれ?」

アラシ「どうした?」

「いや、カフェブラックスター2号店が珍しく閉まっているんです。」

アラシ「えっ?」

剣持の言葉に反応したアラシは一度ローバーを停車させて何時も立ち寄るカフェの方に視線を向ける。

アラシ「本当だ⋯⋯何時もは普通に営業しているのに⋯⋯」

「マスターに何か用事があったんでしょうか?」

アラシ「さぁ⋯。」

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そして鏡 拓也は隼人が居る拠点の隠れ家に到着する。

鏡「隼人さん!?」

慌てた様子で拓也はコーヒーを飲む隼人に声を掛ける。

甲斐馬「拓也か。そんなに慌ててどうした?」

ヘリオンの情報部から念写した飛行能力を持つ改造人間についての情報の報告を待っていた隼人は仲間の拓也に尋ねる。

鏡「あなたの超能力で調べて欲しい事があります。」

甲斐馬「⋯⋯話してみろ。」

拓也は情報屋と会話した連続バラバラ殺人事件を隼人に話して情報屋が掴んだ翼長7メートルの謎の飛行生物についてヘリオンの面々に伝えるのだ。

 

水上「⋯⋯。」

歩き慣れた寮の通路…⋯県外からスカウトされた人や色々な事情があって1人暮らしのボーダーの職員や隊員達が住む寮へ帰宅する生駒隊の皆⋯⋯唯一三門市に住む南沢は先に自宅へ帰宅し防衛任務の準備をするらしい。

大阪出身の水上敏志は兵庫出身の細井真織と同じ大阪育ちの隠岐浩二と一度別れて防衛任務をする時間までに高校の課題をやる⋯⋯を言い訳に、1人京都出身の生駒達人の部屋の扉の前に立ち一度扉に付いたインターホンを鳴らす。

【ピンポーン♪】

水上「⋯⋯⋯。」

期待した気持ちを小さくも持ちながら扉が内側から開くのを軽く数分待つ敏志。

持参した鞄から将棋に関する本を開いて扉の前で開いて読書をしようと考えるも他の人の往来の邪魔になると考えて開いた本を閉じる。

水上「⋯⋯。」

??「水上君⋯イコさんなら帰ってきてないよ。」

自分に声を掛けられて敏志は視線をその声の方に向けると、普段はコンタクトレンズなのに珍しく眼鏡を掛けた太刀川隊のオペレーター国近柚宇が声を掛ける。

水上「⋯⋯そうか。」

敏志は何を考えているか分からない真顔でそう答えるも、柚宇の目にはしょんぼりしているように見えていた。

水上「それより国近ちゃんはどうして此処に?」

国近「部隊の部屋でゲームしに⋯⋯生駒隊は?」

敏志はチラッと視線を生駒の部屋の扉に向けながら

水上「まぁ、此方は今日防衛任務やからな。」

国近「本当に⋯⋯イコさん何処にいるんだよ。」

水上「本当だなぁ⋯⋯皆心配させて⋯」

扉の前で物思いにふける敏志と柚宇。

国近「話が変わるんだけどさ〜〜水上君。」

水上「うん?」

国近「前に私がお願いしてくれた事、同級生達に聞いてくれた?」

水上「其れってコセイダーとか言う奴の正体が3ーCの男子なのか尋ねる話かい?」

国近「そう。それ。」

水上「何気なくクラスの男子に聞いたけど⋯⋯学校に赤い目出し帽のフルフェイスマスクに青いスキーゴーグルを持って来てるって相当変な奴だぞって皆怪訝な顔で答えてたぞ。」

国近はふんわりした雰囲気だが助けてくれた恩人が変な奴呼ばわりされて少し気持ちは分かるも関係無い人に言われて良い気分ではない。

水上「それに国近さんが教えてくれた日の男子生徒学年問わず全員が何処で何をしていたか把握するのは、普通に警察とか探偵とかの聴き込み調査でもしないと把握し切れないやん。」

国近「やっぱり⋯⋯いっそ校内放送とかで呼び掛けた方が良いのかな〜〜」珍しく悩んだ表情をする柚宇を見て

水上「あかんよ。国近ちゃん。国近ちゃんは学力は良く無いけど高校の女子の中で容姿はイコさんもカワイイと思う美人な分類だから、校内放送で呼び掛けても、カワイイ国近ちゃんにお近付きになりたいと変な事考える男子の大群が釣れるだけさかい。」

国近「う〜ん。それは困るなぁ⋯⋯」

水上「一応、前も確認したんですけど、本当に赤いマスクと青いゴーグルで顔を隠した男子が悪者を倒して国近さんを助けたんですか?警察が迅速に解決したとかじゃなくて⋯」

疑う目で柚宇に言う敏志。

国近「半信半疑なのは、もう今ちゃんや当真さんにも言われたよ。でも水上君も三門市に出没する赤いマスクと赤いフード付きパーカーを着た謎のヒーローが車泥棒とか銀行強盗とか捕まえている噂は知っているでしょ。」

水上「噂は知ってますけど、本物を目撃するまでは半信半疑ですよ。」

国近「彼。間違いなく私が知っている人だと思う⋯⋯」

水上「顔が隠れてから探すのは、厳しいわ。せめて何かそのコセイダー?に近い雰囲気を持つ知り合いを絞らんと⋯⋯」

敏志に言われて柚宇は頭を必死に動かしコセイダーとの初対面時の光景を思い出す。

国近「⋯⋯彼、女の子の私に良い所を見せようとか普通の男の子がしそうな雰囲気とか殆どなくて⋯⋯心から私の安否を心配してくれて明らかに自分より強そうなメカメカしい蜂の怪人を相手に手を抜くとかせずに怖い筈なのに、私やお巡りさん達を命懸けで守ってくれた⋯⋯」

国近(まるで⋯⋯UFOに拐われた時に怖い脳みそタコ宇宙人達を1人で倒して鎧の宇宙人から私を逃がす為に必死に戦ってくれた剣持君みたいに⋯⋯)

柚宇はコセイダーに近い雰囲気を出せる知り合いの男子を思い出がコセイダーと重なり柚宇の頭に閃きが走る。

国近(もしかして⋯コセイダーの正体は剣持君!?)

柚宇は敏志の目の前で目を大きく見開かせて

水上「⋯正体が分かったのかい?」

柚宇は剣持の名を言おうとするも⋯⋯

国近(あっ⋯⋯剣持君には確実なアリバイがある。私と一緒に三門市警察署まで言って刑事さん達がしっかりと剣持君が私とコセイダーが一緒にいる間、私を拐った犯人の1人が別の場所でワゴン車の中で亡くなっているのを発見して剣持君が警察に通報したって言っていたし。私も剣持君が通報して来たパトカーに乗せて貰って警察署まで移動したんだ。)

もしかしたら⋯⋯と知り合いの剣持君が、と考えて嬉しい気持ちになったのに冷水をかけられた気分になり。

国近「私、隊の部屋でゲームしてくる。ゴメンね。水上君。」

目に見えてしょんぼりした表情をした柚宇はそう敏志に言い1人トボトボと寮を後にする。

 

水上「⋯⋯俺も自分の部屋に戻るか。」

部屋の主が不在だから幾らインターホンを押してもドアが開く事は無い。それでも朝起きたら、学校に行く前、学校から帰宅したら自分が心からオモロイ人だな⋯っと考えた隊長が戻っているかも知れないと意味も無く期待してしまう。

水上(本当に⋯⋯何処にいるんですか?イコさん。)

何時もの部隊の部屋に自分達を真顔の癖に笑わせてくれるユーモラスに溢れた隊長の姿が無く1人居ないせいか、少し隊の部屋が広く感じる⋯心無しか皆、喪に服すしているようで隊の部屋での会話が減りシンッと静かになった⋯⋯

水上(何か⋯⋯つまらないな。)

四六時中いる訳じゃないのに⋯⋯自分の中にある大切な物が無くなった感じがして⋯⋯面白さ目当てにボーダーに入隊した訳でもないのに⋯⋯自分の中の当たり前の日常が壊れたようで⋯酷く目に見える景色が色褪せている気がする。

水上(俺なんかよりも良い所、沢山あるのに⋯⋯今、生駒隊には貴方が必要なんです⋯⋯貴方が居ないと生駒隊じゃないんです。)

 

 

 

生駒隊の隊長は⋯⋯生駒隊のエースは⋯⋯貴方しかいないんです。

 

 

 

 

 

 

 

三門市のある公園前派出所に配属した警官は連続バラバラ殺人事件が噂させる中で同僚と共に怪しい物はないかパトカーを使い周辺のパトロールをしていた。

そんなパトロール最中、警察の無線でギャング同士の抗争があると言われて至急現場へ向かう警察官達。

警官の同僚「何処にもギャングなんていないじゃないか。念の為に調べるか⋯⋯」

警官「気を付けろよ。」

警察署から連絡があった現場にはギャングの1人の姿もなく同僚の1人がパトカーから降りて懐中電灯を片手に周囲を照らしながら何かあったのか念入りに調べる。

怪人「キイエェェェェェェ!!」

【ブーーーーーーン】

警官の同僚「わあああああああ!!」

だが高い所から奇妙な叫び声と共に黒紫の何かが飛び去ったと共にパトカーに乗っていた警官の目の前で懐中電灯を持っていた同僚の姿は何処になかった。

警官「っ!?」

同僚が何かに連れさられたと理解してパトカーの中にいた事で無事だった警官は急ぎ起きた事実を他の警官達に連絡する為に無線機のマイクを持つ。

 

 

《県警より各局。連続殺人鬼と思われる犯人を発見。直ちに急行⋯⋯》

三門市の市街地にパトカーのサイレンが鳴り響き

アラシ「出やがったようだ!?」

世間を騒がせているバラバラ殺人事件の犯人が遂に警察に発見されたらしい。

「行きましょう!?」

ローバーでパトロールをしていたアラシと剣持も直ぐ様、現場へ急行する。

ヘリオンの隠れ家にて

埠「隼人君が見たと言う飛行能力を持った改造人間が現れた!?」ヘリオンの情報部から通信を貰い

甲斐馬「何処ですか?」

埠「三門市の市街地だ。」

鏡「何だって!?」

信玄の言葉を聞いて驚きの余り立ち上がり拓也。

甲斐馬「拓也。装備を装着して俺達も現場に向かうぞ!?」

鏡「はい!?」

地底基地ヘリオンも剣持達同様に動き出す。

 

そして市街地の現場では

軽々と空中から放り投げられた三門警察の警官を仲間の警官が急いで受け止める。

警官「大丈夫か?しっかりしろ!?」

しかし、受け止められた警官は既に全身の血を抜かれて失血死しておりその瞳孔は恐ろしい物を見た恐怖に染まっていた。

ビルの屋上から悠々自適にその警官達を見下ろすのは、吸血コウモリの特性を持つ改造人間。

 

ポイゾンバットラー 階級 新型怪人 出身地 鍾乳洞

吸血コウモリの能力を持った怪人。口から超音波光線を吐いて相手を切り刻んだり、毒液を出して相手を痺れさせたりする。

 

ポイゾンバットラー「⋯⋯。」

右手に持った人の生き血が並々と注がれたビールジョッキを目の前で一気に飲み干して笑う。

 

獲物である警官達がどんどん集まっていく様子をビルの屋上から眺めていた。

パトカーがどんどん自分が立つビルの前に集まっている。そしてその中にはアラシ隊員が運転するローバーも現場に到着しており

「アレが⋯⋯連続バラバラ殺人事件の一連の主犯⋯⋯」

剣持は無表情ながら戸惑いの気持ちを含めた声を出して下から警官達が包囲した犯人が立つビルの屋上を見上げる。

スルメイカ男やグランド・キャニオンで見た蝋燭腐敗死体の怪物同様そのまんまな蝙蝠の頭部に左右非対称の外見で蝙蝠の内側に赤い飛膜のある大きな翼の左腕に対して左側の発達した蝙蝠の翼と反対に小型の蝙蝠の二翼の右翼を生やした人間と同じ構造の右腕を持ち⋯⋯知り合いのM78星雲人から聞いた亡霊怪獣シーボーズや傭兵として対峙したデスレ星雲人のように骨と筋肉が逆転したような筋肉のように発達した肋骨が特徴的な上半身をしている。

アラシ「やっぱり今回の事件はガイラットの仕業か⋯⋯」

「俺達だけで何とか出来ますか?」

アラシ「臆するな!?剣持。」

姿を現した怪人にやる気満々な表情を見せて意気揚々にホルスターから電磁レールガンを引き抜き怪人に挑むかと1人前を数歩進んで行くアラシ。

(度胸あるな⋯⋯僕と大違いだ⋯⋯)

(いや、アレは絶対に引き返してくるぞ。)

アラシの行動に素直に感心する剣持と呆れ見るベム。

ポイゾンバットラー「キイエェェーー!?」

ビルの屋上から鳴り響くバットラーの鳴き声に無表情ながらビックリする剣持。そして⋯⋯

アラシ「⋯⋯⋯いや、蛇口を簡単に引き千切る握力を持った怪人相手に普通の人間で挑むとは流石に無謀過ぎるだろ⋯⋯忍者部署に出動要請しよう。」

凄い速さでアッサリと剣持の元に引き返して万能ヘルメットの通信機を起動してヒーロー達に連絡を取るアラシ。

(本当に引き返してきた⋯⋯)

(うん。まぁ、知ってた。)

「⋯⋯そうですよね。それが普通ですよね。」

アラシ「本部。此方、アラシ!?現在○○ビル前にて犯人と向かい合ってます!?至急忍者部署による出動を要請します!!」

 

【アラシの通信連絡は忍者部署や寮に待機していたヒーロー。並びに外出していたり自主的なパトロールをしていたヒーロー達に届いて彼らはバットラーがいるビルを目指す。】

左右の翼を大きく広げてバットラーは獲物である人間達に向けて急降下する。

桜井「っ!?」

バイクに跨る変身ヒーローベルサードこと桜井零次もアラシ達を驚かす際に発したバットラーの鳴き声を改造人間の優れた聴覚で聞いて

桜井(さっきの鳴き声は滅死山でタガメの改造人間とのバイクチェイス時に聞いた鳴き声!!)

バイクをクルッと方向転換させて車道を変えて急ぎ鳴き声がした方向へ走り出す零次。

自分達目掛けて急降下してきたバットラーは警官達に襲いかかり

警官達も恐怖に駆られながら拳銃をバットラーに向かって何度も発砲する。

バットラーは避けずに無数の銃弾が撃ち込まれるも撃たれた箇所には血の一滴も出ずに肉が盛り上がり逆に銃弾を弾き出し蝙蝠の顔はニヤリと笑う。

アラシ「あの怪人。拳銃の弾を肉で弾き出しやがった!」

「どうするアラシ。忍者部署のヒーロー達が到着するまでまだ時間が掛かりそうだよ!?」

アラシ「剣持。警官達を助けるぞ!」

「分かった!」

警官達から犠牲者を出させない為にアラシと剣持はホルスターから電磁レールガンを引き抜きバットラーに向けて発砲する。

ポイゾンバットラー「ぬっ!」

レールガンから放たれた青い光弾が肋骨の奥にある筋肉に直撃し軽く驚くバットラー。

アラシ「皆、早く退避してくれ!?」

射撃をしながら警官達に逃げるように言うアラシ。警官達は自分達の拳銃が効果が無い為に急いで下がる。

剣持とアラシは距離を取りつつ電磁レールガンで射撃してヒーロー達が到着するまで時間を稼ぐ。次々と放たれる青い光弾をバットラーは大きな左翼を盾のように使い光弾を弾き返す。

【ーーーーッ!?】

「避けてアラシ!?」

弾き返された光弾の数発をアラシの方に向かっていた為に剣持は急ぎアラシの片腕を引っ張って反射した光弾からアラシを助けて二人は乗車したローバーの後ろ側に回り込み

アラシ「すまん。助かった!?」

「気を付けて下さい!?」

無事を確認してからバットラーに向けて射撃を再会しようと考えた時に

ポイゾンバットラー「キイエェェェーイ!!」

ポイゾンバットラー(丁度良い⋯⋯実験用吸血鬼の戦闘能力テストをしよう!?)

空に向かってバットラーは一度、口から特殊な超音波を発してその後、攻撃用の超音波光線を剣持達が隠れたローバーに向けて口から放つ。

【ーーーーッ!?】

「ローバーから離れて!?」

アラシ「えっ?「早く!!」」

【キーーーーーーン!!】

耳の痛い音が聴こえながら二人は急ぎ行動するも周辺のパトカーやビルの窓に次々とヒビが走り目に視えない超音波光線が二人が隠れたローバーに直撃し車体がまるで鋭利な刃物で切り刻まれたかのように一瞬で切り刻まれて爆発炎上する。

炎が激しく燃え上がるローバーを見て満足そうに笑うポイゾンバットラー。

その炎の中からハイマンガンスチール製ナイフが炎を貫きバットラーに向けて投擲される。

ポイゾンバットラー「っ!?」

すかさず左翼を振るい迫るナイフを叩き落としたバットラーは投擲された方向に視線を向ける。しかしその方向には既に誰の姿も無く

ポイゾンバットラー(逃がすものか!?俺の姿を見た人間は必ず殺す!)

バットラーは反響定位用の超音波を口から発して姿を消した剣持達を探す。

 

「アラシの言う通り⋯⋯怪人に挑むのは流石に無謀過ぎたかも⋯」

アラシ「お前が先に敵の超音波攻撃に気付いてくれなければどのみち車体諸共切り裂かれていたよ。」

【ーーーーッ!?」

危機察知能力が突然発動して剣持はレールガンを片手に電磁警棒をトンファーモードに展開させて周囲を警戒する。

??「キキー!?」

アラシ「どうした?剣持!!」

「どうやらさっきの蝙蝠の怪人に見つかったようです。」

すると夜の上空から茶褐色の蝙蝠と人間を合わせたような怪物が降りてくる。

アラシ「何だ!?さっきの蝙蝠の怪人とは違うぞ!?」

実験用吸血鬼「キキー!!」

剣持達に突然襲い掛かる蝙蝠の怪物は森高団地の人体実験によって吸血鬼ウィルスに感染した元人間でポイゾンバットラーの超音波の指令を貰い剣持達に攻撃を仕掛けていた。

吸血鬼は悪鬼の如き凶悪な表情でアラシに迫り掴み掛かる吸血鬼。

アラシ「ちょっ!凄い力だ!!」

「このっ!アラシ隊員から離れろ!?」

吸血鬼の常人以上の力に掴みかけられたアラシは身動きを封じられて首筋に執拗に白い牙を突き立てようとする口を近づける実験用吸血鬼に剣持は接近しレッドマンの力で吸血鬼をアラシから突き放して近くの壁に押しつけて大人しくさせるも吸血鬼は暴れて今度は剣持に狙いを定めて白い牙を近づける。

アラシ「離れてろ!?剣持。」

吸血鬼に向けてアラシはトンファーモードの電磁警棒を叩きつけ軽く実験用吸血鬼に電撃を浴びせて痺れさせる。

実験用吸血鬼「キキッ〜!?」

電撃を貰い力無く倒れる茶色の蝙蝠の怪物を見て怪物の顔を良く見る。

アラシ「この怪物⋯⋯さっきのガイラットの怪人の仲間か?」

どう見ても人間には見えない外見にアラシは剣持と意見を交わしていると

ポイゾンバットラー「そう通り⋯⋯ただの人間で俺の下僕である実験用吸血鬼を倒した事は褒めてやろう。」

「「っ!!」」

何処からか声が聞こえて二人は声のした方向に急いで振り返る。

蝙蝠のように逆さまの状態⋯⋯懸垂姿勢でアラシ達に話し掛けるバットラー。

アラシ「実験用吸血鬼だって!?」怪人から新しい単語を聞くアラシ。

「お前が吸血鬼達を使って連続バラバラ殺人事件を起こしたのか!?」

剣持は無謀にも殺人犯の怪人に向けて問い詰める。

ポイゾンバットラー「⋯⋯何の話だ?俺は体内の吸血鬼ウィルスを生かす為に人間達の血を吸って殺しているだけだ⋯⋯」

だが返ってきた返事は剣持の想定していたのと違いバットラー自身始めて聞く話で驚きと戸惑いの声を出していた。

「えっ!」

(どういう事?)

アラシ「⋯⋯おい!?昨日の深夜、カトリック三門教会前の駐車場で若い女性を吸血した後、遺体をバラバラに切断したのはお前じゃないのか!!」今日の朝、ムラマツキャップ達と共に現場に言ったアラシが更に怪人に追及する。

ポイゾンバットラー「昨日の深夜は、俺は実験場にいる実験用吸血鬼達の感染データを調査していた。教会などには行っていない!?第一意味も無く死体を損壊させる理由が俺には無い!!」

「どうなっているんだ!?」

嘘か事実か分からないが一連の事件の犯人かと思われた怪人はバラバラ殺人をやっていないと言う。

????「そこまでだ!?」

【ブゥオオオォォォォン!!】

その時、力強い声と共に近くからバイクのエンジン音が聞こえ剣持達はその方向に思わず視線を向ける。

シゲハル「この世の悪は決して許しはしない!超空忍者シゲハル参上!」

アラシ「シゲハルのオッサン!?」

シゲハル「アラシ隊員。剣持隊員。無事か!?

サイドカーのヘッドライトの光が颯爽と夜の路地裏を照らし出し

怪人を含め剣持達は咄嗟に片手で光を遮る。

ピジョンマン「ピジョンマン並びに超空忍者シゲハル現着した!!」

停車したサイドカーの側車から勇ましく降りるピジョンマン。

ぶら下がる懸垂姿勢をやめてヒーローや剣持達と向き合う怪人。

怪人が床に着地した瞬間を狙うようにピジョンマン達の上を跳び越えて怪人に不意打ちの一撃を叩き込もうと空中からクルッと横回転して放つ回し蹴りがバットラーの顔の側面に直撃し衝撃音が反対側を突き抜ける。

シゲハル「ゼブラマン!?」

ポイゾンバットラー「⋯⋯。」

確かな手応えを感じるも、怪人は殴られた状態でニヤリと笑い蹴ったヒーロー⋯⋯ゼブラマンを驚愕させる。

ゼブラマン「なっ、効いていないのか!?」

ポイゾンバットラー「お返しだ!」

素早く怪人から放たれた右ストレートパンチを咄嗟に両腕で防御するもその一撃の重さに腕の中から鈍い音を鳴らしながらゼブラマンは剣持達の前に着地し両腕を痛めつつ相手のパンチの一撃の威力に驚異を覚える。

ゼブラマン「この怪人⋯強い⋯⋯」

そして杉田勝利と桜井零次も次々と現場に到着する。

桜井「ガイラットの新怪人!?」

零次と勝利は懸垂体勢のバットラーを見上げる。

ポイゾンバットラー「待っていたぞ!?桜井零次!!」

バットラーはベルサードに変身する零次の声を聞いて名指しする。

桜井「俺を待っていた⋯⋯どういう事だ!?」

零次がそう言うとバットラーは驚異の跳躍力で跳躍し左右非対称の飛膜付きの翼を羽ばたかせて何処かへ飛行するバットラー。

アラシ「あの蝙蝠は吸血鬼事件の主犯だ!?逃がしちゃ不味い!!」

ゼブラマン「シゲハルさんはアラシ隊員達と一緒に居て下さい!?」

シゲハル「分かった!?」

「皆、気を付けて!?」

ヒーロー達はシゲハルを除いて飛び上がったバットラーの後を急いで追いかける。

 

深夜のビル屋上にバットラーは着地しそのビルの前へ集結するピジョンマンこと斑鳩、マスク・ザ・ビクトリーこと勝利、ベルサードこと零次、ゼブラマン。

ポイゾンバットラー「俺はガイラットの科学陣が貴様の戦闘能力を研究して開発された最新兵器ポイゾンバットラーだ!?」

ホルモンハート人工心臓に手術が何よりの生き甲斐の怪人オペレンガーがマッドブレーンと協力して開発した新怪人ポイゾンバットラーが高らかに左右の大きさが違う翼を拡げて名乗り上げる。

桜井「俺の戦闘能力を研究して開発された改造人間!?」

ポイゾンバットラー「ヒーロー等、俺の敵では無い!?覚悟しろ!?」

そう叫ぶとバットラーは下にいるヒーロー達に向けて急降下し更に滑空しながら口から超音波光線を放つ。

ゼブラマン「全員変身だ!」

「「応よ!?」」

それぞれキレのある動きで変身ポーズを構え超音波光線が直撃するより速くポーズを終えて一斉に高く跳躍しヒーロー達が空中で姿を変えて地上へ先に着地したバットラーに続いて一斉に着地してファイティングポーズを構える。

ピジョンマン「覚悟するのは、お前の方だ!?ポイゾンバットラー!?」ピジョンマンの勇ましい声と共にベルサードの赤い複眼とマスク・ザ・ビクトリーの黄色い楕円形の目が夜の闇を照らす。

ベルサード「行くぞ!?」

ポイゾンバットラー「キエイェェェーイ!?」

鳴き声を上げると共にバットラーの右腕から鋭利な爪が伸びて左側の大きな左翼の縁の部分は鋭利な刃物に変化してその状態で左翼を薙ぎ払うように翼を振るう。

マスク・ザ・ビクトリー「皆、躱せ!?」

風を斬る音と常人では捉えられないスピードと共に四人は薙ぎ払られた左翼のポイゾンウイングカッターの一閃をギリギリ躱してやり過ごすも近くのパトカーが横一文字に簡単に切り裂かれて爆発する。

ピジョンマン「ひぇ~当たれば、タダじゃすまないな⋯⋯」

激しく燃えるパトカーの残骸を見て冷や汗を掻きつつヒーロー達は怪人の左翼に注意する。

ベルサード「奴の翼に警戒して戦うんだ!?」

ベルサード(ただ翼の縁の部分を鋭利な刃物にしただけではない⋯⋯明らかに飛膜全体をゴムの要領に伸縮させてリーチを此処まで伸ばした⋯⋯)超音波光線ほどの長距離リーチは無いが中距離近距離戦には厄介な武器だ。

ポイゾンバットラー「死ねぇぇえええ!!」

左翼の翼を変形自在に伸縮させて加速したスピードで周囲の物を次々と切断しながらヒーロー達に迫るバットラー。

左翼の一閃に警戒しながら四人のヒーロー達はバットラー相手に接近し嵐の如く放たれた翼の一閃それぞれ紙一重に躱して打撃を叩き込むもバットラーは余裕の声を上げる。

ポイゾンバットラー「ハハハハハハ⋯⋯どうした?そんな物か!?」

バットラーは反撃の右拳を振るいヒーロー達はその攻撃を回避しようと動くも回避行動よりも速く動いたバットラーはヒーロー達を次々と殴り倒しては鋭い爪を生やした足で蹴り上げて逆に追い詰める。

ピジョンマン「トォイヤっ!?」

ピジョンマンはバットラーに向けて飛び蹴りを放つも、怪人はクルッと身体を回転させてその一撃を躱し躱したバットラーにピジョンマンは急接近して掴みかかり顔面に向けて連続パンチを放とうとするもバットラーは右手で放たれたピジョンマンの拳を掴みそのまま捻り上げる。

ピジョンマン「ぐっ!!」

バットラーはピジョンマンの片腕を捻るのを辞めてピジョンマンを逆に裏拳で殴り飛ばす。

その一撃で身体をクルクルと回転させながら倒れるピジョンマン。

ベルサード「トォッ!?」

ポイゾンバットラー「その首貰った!?」

ベルサードはハイキックを放つもバットラーの右の二の腕で受け止められてカウンターの左翼がベルサードの首目掛けて振り放つ。

マスク・ザ・ビクトリー「させるか!?」

ベルサードに迫る左翼の一閃を素早くフォローしに動くビクトリーは胸に輝くVのマークから愛用武器のブーメランに変形させて火花を散らしてベルサードを左翼の一閃から守る。

ポイゾンバットラー「ちっ、邪魔をするな!?」

恐るべき左翼の一閃を防ぐ事は出来てもベルサードとビクトリーはバットラーの別の攻撃を貰い床に転がって入れ替わるように接近してきたゼブラマンには垂直蹴りを叩き込む。

蹴りの一撃で怯むゼブラマン。倒れたピジョンマンは起き上がり、ビクトリーとベルサードの四人に向けてバットラーは周囲を薙ぎ払うように翼を振るうも、バク転や跳躍に低姿勢で躱してから四方からバットラーに向けてパンチやキックを放つヒーロー達だが

ポイゾンバットラー「キエイェェェーイ!!」

【ブゥーーーーン】

バットラーは左右非対称の翼を使い夜空へ高く飛翔して四方からの同時攻撃を回避してから急降下体当たり技をヒーロー達に叩きつけて四人をビルの壁まで勢い良く吹き飛ばす。

ポイゾンバットラー「キエイェェェーーイ!!」

更に壁に叩きつけられたヒーロー達に向けてバットラーは空から追い打ちの超音波光線を放つ。

マスク・ザ・ビクトリー「ブーメラン・スパーク!!」

一瞬で迫る超音波の光線に対してビクトリーは立ち上がり自身の武器で緑色の電撃を帯びた二つのブーメランをX状に交差して緑色の電撃光線を放ち威力を少しでも相殺させるビクトリー。途中超音波光線が上回るも威力を落とす事には成功しヒーロー達は身体を軽く超音波に切り刻まれ傷付くも怪人を倒す為に動くヒーロー。

地上に着地した怪人はエネルギッシュに殴り掛かるゼブラマンとベルサードにピジョンマンの複数人を相手にしても苦戦せずにピジョンマンとベルサードに左右の足を交互に変えて放つ連続蹴りを浴びせ二人のヒーロー達を追い詰める。逆にゼブラマンには右腕で連続パンチでゼブラマンで相手するもゼブラマンはバットラーの身体を両腕で掴みビルの壁目掛けて一気に投げ飛ばすもバットラーはビルの壁に体勢を反転させて壁を蹴り反発力でゼブラマンの顎に向け逆に飛行蹴りを放つ。

ゼブラマン「ぐっ!ゼブラパンチ!?」

強烈な蹴りで顎を蹴り上げられて床に転がったゼブラマンは怪人に向けて空中跳躍すると共に急降下で必殺のゼブラパンチを放つ。

ポイゾンバットラー「ゼブラパンチ敗れたり!?」

バットラーはその一撃を左翼の大きな翼で防ぎその翼の硬さに弾かれてゼブラマンは後方のビルの壁に全身を打ち付けて壁に亀裂を作ると共に落ちて倒れてしまう。

ゼブラマン(なんて頑丈な翼だ⋯⋯拳が!?)

倒れた体勢で相手の翼の硬さに拳を痛めて呻くゼブラマン。その隙を逃さないバットラーは至近距離から超音波光線を放ちゼブラマンの肉体を切り刻み戦闘不能にする。

 

ベルサード「トォゥッ!」

素早くチョップや蹴りを放つも怪人は体勢を低くしてチョップや蹴りをやり過ごしてからベルサードを薙ぎ払うように連続足払いしてその一撃でベルサードは転倒してしまう。

 

バットラーは左右の翼を広げて空中高く飛翔して転倒したベルサードに向けて空中回転から放つ鈍器顔負けの踵落としを叩き落とそうとする。

ピジョンマン「危ない!?ごはっ!!」

ピジョンマンは転倒したベルサードを前に立ち怪人の踵落としを庇いその一撃の重さに勢い良く倒れる。

マスク・ザ・ビクトリー「ピジョンマン!?」

ビクトリーはバットラーに向けてブーメランを振るうも、相手は左翼のその一撃を受け止めて弾き返し一度ビクトリーから距離を取るバットラー。

マスク・ザ・ビクトリー「っ!?」

全身に緑色の電撃を迸らせて雷の匹敵する高速移動をしてバットラーに急接近しバットラーは素早く左翼を振るうも、左翼が直撃するより速くビクトリーはバットラーの背後に回り込み背後からローリングソバットを放つ。

ポイゾンバットラー「っ!?」

蹴りはバットラーの側頭部に直撃してその一撃で怯むバットラーにビクトリーは畳み掛けるような追撃を放つも

ポイゾンバットラー「キエイェェェーイ!!」

バットラーはビクトリーの方向へ振り返り口から超音波光線を放つも紙一重でその一撃を躱すビクトリーに対して左右の翼を一度閉じて開くと体から吸血蝙蝠の群れを呼び出してビクトリーに向けて放つ。

マスク・ザ・ビクトリー「ぐっ!?」

無数に迫る小型改造吸血蝙蝠の群れをブーメランで次々と切り裂くビクトリー。

仲間のピンチにベルサードは形勢逆転の必殺技を放つ為に急いで起き上がろうとする。

ベルサード「仲間は殺させん!?ルサードパンチ!」

ベルサードは強敵のバットラーに向けて跳び掛かり空中回転から放つパンチ技を怪人の顔に叩き込んでから仲間達から怪人を離す為に走り出して怪人も追い掛ける。

ポイゾンバットラー「くらえっ!」

ベルサード「うわっ!?」

バットラーのジャンプして放つドロップキックを受けて転倒するベルサード。

薙ぎ払う左翼の連続攻撃を後方でバックステップして避けつつ距離を詰められて跳躍力で空中高く跳んで躱して空中回転し

ベルサード「トォッ!?ルサードキック!?」

怪人に向けて急降下して放つ必殺技の蹴り技ルサードキックをバットラーの胴体に向けて放つ。

ポイゾンバットラー「キエイェェェーイ!!ルサードキックは俺には通用せん!!」

矢の如く正確に弾より速く砲弾より高い威力を誇るルサードキックは盾の如く折り曲げられたバットラーの左翼で防がれてゼブラマン同様勢い良く弾き返される。ゼブラマンと違う点はビルの壁では無く道路に倒れて直ぐに違う技を放とうと動くベルサードに向けて

ポイゾンバットラー「俺の毒液を食らえ!?」

口から紫色の毒液を吐き出してその液体を頭から浴びてしまうベルサード。

ベルサード「くっ!⋯うっ、何だ⋯⋯身体が⋯⋯痺れて⋯」

ポイゾンバットラー「どうだ〜〜俺の毒液は改造人間のお前の身体の機能を麻痺させる効果がある。」

ベルサード「こんな物⋯うぅ⋯」

ベルサード(奴の兵器名にあるポイゾンは⋯毒の意味を持つポイズン⋯⋯相手の命を奪う毒と考えていたが、痺れさせる麻痺毒に由来していたのか⋯)

名前の由来の意味が嫌と言う程理解して目の前の相手と戦う為に起き上がろうと四肢に力を入れるも身体が痺れて起き上がる事が出来ずに無様に地に伏せるベルサード。

ポイゾンバットラー「キエイェェェーイ!!」

動けないベルサードに馬乗りになったポイゾンバットラーは執拗に右腕でベルサードの顔や胴体や腹部を殴り飛ばしてダメージを蓄積させてから片腕でベルサードの首を掴みその状態で左右非対称の翼を拡げて高く飛翔して両足の鋭利な爪を使い動けないベルサードに迫り両肩を掴み一気に空中高くベルサードを持ち上げる。

ポイゾンバットラー「コレが俺の高速回転の必殺技ヒーローキラーだ!?」

ベルサード「がぁあああああああああああああ!!」

ロクに動けない状態で衝撃を貰い悲鳴を上げるベルサード。

夜空に浮かぶ満月をバックにバットラーの翼手目の赤い目が眩く輝き衝撃波と共に飛び上がり三門市で最も高く飛び上がると共に身体を遠心力をフルに使った垂直方向による高速回転でベルサードを一気に地面に叩き付ける。

ベルサード「うわあああああああ!!」

落下した箇所に立ち昇る土煙が晴れると小さな大の字型のクレーターの真下で赤い複眼の光が消えて力無く倒れたベルサードの姿を見て空を自由に舞うバットラーは笑う。

ポイゾンバットラー「ベルサードは殺った!?このポイゾンバットラーが殺ったぞ!?」

怪人は倒れたヒーロー達を見下ろして高らかにそう叫び何処かへ飛び去る。

マスク・ザ・ビクトリー「皆!?くっ、邪魔だ!!」

ベルサードが怪人に敗れた所を目撃し吸血蝙蝠達の群れを緑色の電流を自分の周囲に放電させて蝙蝠達を全て消し炭にして走るビクトリー。

倒れたピジョンマン、ゼブラマン、ベルサードを助ける為にビクトリーとシゲハルに同行した剣持達が急いで駆け寄る。

「しっかりして下さい!?」

アラシ「こりゃ酷い怪我だ!?急いで基地の中央病院に連れて行くぞ。」

マスク・ザ・ビクトリー「セブンの奴に連絡しよう。彼の瞬間移動で怪我人を運ぶんだ。」

「はい!?」

シゲハル(奴は一体何処へ⋯)

ヒーロー達の応急処置をしながらバットラーが飛んだ方向に気になるも今はヒーロー達の意識が回復する事を優先するシゲハル。

 

 

 

『お化け屋敷』中央病院の集中治療室の奥で治療されるヒーロー達の様子を見るアラシ達。

マスク・ザ・セブン「今回の事件の主犯⋯どうやら随分と強敵のようだな。」

仲間が病院に運ばれた報告を貰い他の面々も様子を見に行く。

杉田「ベルサードの戦闘能力を研究して開発された怪人らしい。」

刃「⋯⋯。」

マスク・ザ・セブン「刃。何処に行く?」

刃は1人集中治療室の前から離れてそれをセブンは尋ねる。

刃「此処で静かに仲間達の目が覚めるのを待つのも悪くないが、生体改造ウィルスと吸血鬼事件に連続バラバラ殺人事件と⋯⋯俺達がやるべき事は山程ある。」

マスク・ザ・セブン「違いないな。」

刃「勝利は保健室で傷を少しでも治しておけ。拙者は拙者でガイラットの悪の計画を調べる。」

杉田「分かった。」

マスク・ザ・セブン「調べる当てはあるのか?」

刃「あぁ。アラシ隊員達を襲った蝙蝠の怪物だ。」

そう言ってと刃は1人動こうするも

黒野「⋯⋯忍者部署は出動要請がある限り待機だ。勝手な事はしないで貰おうか。」

通路から聞こえてきた足音が止まり治療室に立ち寄った黒野が刃の前に立ち止まる。

刃「⋯黒野。」

黒野「刃⋯⋯今回の戦いで此方も色々と吸血鬼事件についての奴らの目的が分かろうとしている。情報部の人達も積極的に調べているんだ。」

両者相手を思う気持ちは見えるも譲れないのか纏う雰囲気が次第に張り詰めていく。

刃「分かった⋯⋯」

そう答えると黒野の横を刃は通り過ぎて黒野は直ぐに背後に振り返る。

黒野「何処にいく」

刃「生物学区画に運ばれた蝙蝠の怪物を見にいくだけだ。」

黒野「⋯⋯。」

マスク・ザ・セブン「さて俺はどうするか?」

セブンも治療室にいるヒーロー達の顔を心配そうに見る。

杉田「行ってくれ。セブン。此処は俺が見ているからさ。」

マスク・ザ・セブン「任せた。」

そう言ってセブンも刃同様に治療室を離れていった。

杉田(次に奴と再戦する事を考えて対策を打たないと⋯)

相手は間違いなく強敵だ。無策で挑み完敗したからこそ次こそ皆と共にあの怪人に勝つ。

【結論を言うとヒーロー達は無事に一命を取り留めた。同時に吸血鬼事件が忍者部署が相対する怪人の仕業と分かり対策を考える一方で連続バラバラ殺人事件の犯人は別にいると考えた僕らは謎を残ったまま一度解散する事となる。】

 

黒野の館の門の前にて黒野兄妹が見送りにくる。

黒野「本当に⋯⋯自宅へ送らなくて良いのか?」

セバスが運転するリムジン内には今日手伝いに来てくれた王子隊長や弓場隊長に影浦隊長が乗っていた。黒野の中では剣持も乗るかと思ったのだが⋯⋯

「ありがとうございます。でも良いです。」

心配してくれる黒野に感謝の言葉を言うも剣持は駐輪場から自分の自転車で帰るつもりだ。

「途中、寄る所もあるので⋯⋯」

黒野「分かった。何かあったら電話しろよ。」

「はい!」

真琴「居住区で部屋があるのに泊まっていかないの?」

「たまには俺も夜風を浴びながら家まで自転車を漕ぎたい気分なんだよ。」真琴の提案を馴れないジョークで断るも

真琴「キザな台詞は凄く似合わないよ。」真顔でツッコミを返されて

「分かってますよ!」

真琴「危ない所も行かないように!?」

「行きませんよ!」

そう言った剣持は自転車ジェットビートルのペダルを動かして黒野の館を後にする。その後ろ姿を眺めていて真琴は⋯⋯

真琴(怪しい⋯)

疑う目する真琴の横に立つ黒野も吸血鬼事件の犯人が改造人間と分かったが、連続バラバラ殺人事件の犯人は分からない為に黒野自身も独自の方法で犯人を探そうと考える。

 

夜の市街地の景色を他所に剣持の自転車は走らせながら考える。

(バラバラ殺人事件が発生するのは全部、夜か深夜⋯⋯人が殆ど通らない場所や人の往来が少ない時間⋯⋯同行する者がいない1人の人間を狙っている。)

間違いなく相手は獲物である殺害対象を無差別に狙っている。剣持は犯人が狙い安いと感じる暗がりの道や人通りが少ない場所を重点的に探す。

 

剣持が去った『お化け屋敷』の生物区画の研究室

アラシ達が戦闘した後に気絶させてバットラーが現場から離れた後、事件の手掛かりになると考え捕獲した実験用吸血鬼はそのまま『お化け屋敷』を運ばれた。

 

現在、手術台に金属製の鎖と特殊テープで身体を厳重に拘束された実験用吸血鬼の調査をする『お化け屋敷』の生物学の科学者達の前に、刃は忍者顔負けに音も無く姿を現す。

刃「アラシ達が撃退したソイツについて何か分かったんですか?」

原田「わぁっ!刃。君が研究区画に来るなんて珍しいね。」

知り合いのポテチ大好き原田博士始め何人かの科学者が刃の来訪にビックリするも

ベック「詳しい調査はまだ時間が掛かるけど⋯⋯調べ始めて幾つか分かった事があるわ。コレを見て頂戴。」

顕微鏡で採血した血を見ていたベックチーフは顕微鏡から目を話して刃の質問を普通に答える。

刃も言われた通りに顕微鏡にある物を見て⋯⋯

刃「これは⋯⋯ソイツの血液か?」

顕微鏡から目を離して拘束された人間と蝙蝠を混ざった怪物に視線を一度向ける刃。鋭利な牙には拘束具で完全に覆われている。

ベック「一の谷博士や岩本博士達が調べている生体改造ウィルスに感染した個体の血液よ。見た目は普通に見えるタダの血液でも血液の中に頭脳を持ったウィルスが入っているのよ。」

刃「頭脳を持ったウィルスだと。」

ベック「このウィルスは外部からの刺激に反応するの⋯⋯動かして見ると良く分かる。」

刃は言われた通りに顕微鏡を動かすと、血液の中にあるウィルス達が生きを吹き返すように動く。

刃「するとこの頭脳を持ったウィルスが脳細胞に回ったらある一定の音波に動く。」

すると1人の緑色の短髪で両耳に丸いイヤリングを付けた女性科学者⋯⋯アリシア霞原が刃の前に来て自分の見解を伝える。

 

アリシア「人間の脳だとするならそのウィルスが侵入した血液を持った人間は音波によって支配されるわね。」

刃「アリシア博士。」

音楽が好きで生物に与える音楽について研究しているアリシア霞原がヒーロー達の情報を元に特定の音波の周波数を探り当てる作業をしていた。専攻は生物学だがこういう音や音波に関する事はアリシア博士の得意分野なのである。

刃「音波を反応させないようには出来ませんか?」

アリシア「仮に怪人の音波に反応させない事が出来ても蝙蝠の特性を持った改造人間にされたあの人を人間に戻せる訳じゃないのよ。」

刃「すると⋯⋯あの人は永遠にあんな生き血を吸う怪物に⋯」

刃達は気絶した実験用吸血鬼を見て言う。

原田「元通りになる方法を連中が持っているなら話は変わるけどね。」

原田真博士はのほほんとした表情でそう答える。

ベック「科学センターにいる岩本博士や一の谷博士達も生体改造ウィルスの分析を進めているわ。今回のこの吸血鬼の血液の内容が分析に役に立てば良いのだけど。」

刃「やはり⋯これ以上あの人のような犠牲者を増やさない為にも⋯⋯怪人をどうにかしないといけないのか。」

そう結論を決めた刃は1人生物学の研究室を出ようとする。

原田「何処行くの?」

刃「アラシ達の報告によると蝙蝠の怪人は三門市の何処かを実験場にして感染データを調査しているらしい。その実験場を探してくる。」

原田「場所が分からないのに⋯⋯迷子にならない?」

刃を心配するように言う原田。

刃「人の出入りがここ暫く急に変化した建物から探す。何かあったら連絡してくれ。」

そう言って刃は生物学の研究室を後にする。

ベック「大丈夫かしら?」

原田「でも人間がこんな蝙蝠人間に変化するなら必要以外怪人も目撃者に見つからないよう他の蝙蝠人間達を人目につかないようにしている筈だ。刃の着眼点も粗削りだけど悪くはないさ。」

そうのほほんと言った原田博士は研究を続ける。

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(やっぱり⋯⋯この地味に広い三門市に不特定に出現する殺人鬼を探すのは無謀だったか⋯⋯)

あれから⋯剣持は路地裏や暗い道を1人自転車で移動しては十数分間待ち伏せをしては移動してを繰り返す。

警察も手を焼いている相手だから当然と言えば当然だ。

近くの営業中のコンビニ前に自転車を止めて殺人鬼を見つける方法を模索する剣持。

??「おや〜〜誰かと思ったら剣持君じゃないかい〜」

「⋯⋯。」

聞こえてきた知り合いの先輩の声に視線を向くとコンビニの出入り口の自動ドアが開閉し

国近「駄目だよ〜学校の校長先生に夜間の不必要な外出は避けるように言っていたでしょ。」

ふんわりした雰囲気の国近柚宇がコンビニのビニール袋を片手に俺に注意をする。

「⋯⋯先輩こそ、不必要な外出を夜にしているじゃないですか?」無表情で呆れた声で柚宇に言う剣持。

国近「小腹が空いてね⋯⋯お菓子や飲み物を買いに来たの。」

「必要な物だから?」

国近「必要な物だから。」

「⋯⋯。」

南沢「あっ、剣持。」

更に声がする方向に視線を向けると生駒隊の南沢海がいた。

「南沢先輩も買い物ですか?」

南沢は剣持にフレンドリーに話し掛ける。

南沢「俺達同い年なんだからさ。剣持もフレンドリーに海って呼んで良いよ。」

「普通に南沢先輩って呼びます。」

国近(剣持君ってたまに思うけど同い年でも"さん"か"先輩"呼びなんだ⋯⋯何か理由があるのかな?)

南沢「さっきの質問の答えは⋯⋯俺が部隊で一番年下の為に買い物とかたまに押し付けられる事があるんだ。」

っと聞く人によっては悲しい事実を聞いてしまった二人。

「さて話を変えるけどさ。」

国近(あっ、気まずい空気を感じて話題を変えたよ。)

「イコさんの目撃情報に進展はあったんですか?」

南沢「全然っす!?剣持ー!此処で会ったら100年目。俺達にイコさん探知機を貸して下さい。」

国近「そんな変わった探知機あるの?」興味深く尋ねる柚宇。

「んなもの『お化け屋敷』に無いですよ。金属探知機じゃないんですから。イコさんに反応する探知機なんて⋯⋯」

イコさん探知機《アカーン!俺は此処にいないやん。》

イコさん探知機《ハァイ!俺はちょっといるやん。》

イコさん探知機《この前、食堂でナスカレー食べたらな⋯⋯めっちゃ美味かったやん。》

イコさん探知機《アカーーーン!近くに弓場さんがいるやん!急いで今すぐ左折して潜伏してや。》

イコさん探知機《俺も隠岐みたいなイケメンになりたいんや。》

イコさん探知機《この前観た【アベンジャーズ】に出てくるあの眼帯のオッサンめっちゃカッコ良くない?》

三人は軽く想像して

「実際にあったら多分、探知機にしては口が凄く多いですよ。」

国近、南沢「同感!?」

勝手に納得した。

(でも探知機か⋯⋯イコさんのは分からないけど、前にチャールズさんとスポーク博士が地球外の生命体に反応しその居場所を探る地球外生命体探知機が『お化け屋敷』にあるって言っていたな。)海の何気ない言葉に備品の存在を思い出す剣持。

消息が分からない殺人鬼も重要だが同じ頃に姿の見えないイコさんが心配な剣持夢想。宇宙人に連れ去られた可能性も考えも浮かんでしまう。使った事のない探知機だが必要なら借りれないか聞いてみようと考える。

国近、南沢「イェ~イ!イェ~イ!」

「⋯⋯。」

連続バラバラ殺人鬼か蝙蝠の改造人間が三門市に潜伏して状況でノリの良いオペレーターと隊員が盛り上がってのを心配する剣持。

(ほっとく訳にはいかないな⋯⋯)

「先輩方⋯夜が遅いからテンション上げるのは勝手ですけど、怖い殺人鬼が三門市に逮捕されずにいる事を忘れないで下さいね。」

国近、南沢「真面目だね〜/真面目だな〜」

「刃物持った相手に対する護身術を学んでいるなら別ですけど?学んでいるんですか?」

国近「鈴鳴支部の人達は来馬隊長から学んだって今ちゃんから聞いたよ。」

南沢「マジっすか!?」

二人はまた勝手に会話が盛り上がり置いてけぼりになる剣持だが

「っ?」

(何だ⋯⋯この嫌な空気⋯)

剣持本人も分身体が感じた嫌な胸騒ぎを覚える。能力はまるで反応はないが気のせいにしては明らかに空気がガラッと変わり無意識に周囲を警戒し何時でも海や柚宇を守れるように自然と臨戦体勢になる。

(⋯⋯これって前に分身体が言っていた嫌な空気の流れ?)

(確かに⋯⋯妙に血の臭いを錯覚させるな。)

数日前のゴロモスが出現した日、染井さんがスーパーに行っている間、分身体はふとスーパーの外でガラッと空気が危険な流れに一瞬変わったように感じたと自分達に話したのを思い出す。

 

(ベム⋯⋯こういう事に心当たりはある?)

(危険や害意を知らせる能力⋯⋯気配を感知する能力⋯⋯その能力に反応が無い⋯だが、確かに何か⋯得体の知れない存在が俺達の近くにいる。)

気配を殺して茂みや暗闇の奥から明るい場所にいる此方の様子を見ているように自然と緊張感が剣持の中で汗と共に出てくる。

国近「お〜い。剣持君や〜。」

「っ!?」

柚宇に至近距離から突然話し掛けられてビクッとする剣持。

南沢「想像した以上にビックリしてる。」

「どうしましたか?」

国近「凄く緊張しているけど⋯⋯何かあった?お姉さんに言ってみて?」

「/////っ!?いや、別に⋯⋯」

国近「本当に?私の眼を良く〜見て話してごらん?」

「年下を必要以上に誂わないで下さい!?本当に何でもありません!?」

ふんわりとした口調と甘い良い香りに剣持は顔を少し赤らめ慌ててそう言い視線を真正面から上目遣いをする柚宇ではない方向へ向けようと考えていると微弱だが皇虎先輩の特有の水色の風状のエネルギーを感じ取る。

 

「⋯⋯?」

感じた微弱なエネルギーを辿り視線を向けると⋯

(アレは⋯⋯)

国近「およ?」

「すいません。ちょっと⋯」

上目遣いをする柚宇から離れて人に気付かれ憎い場所に突き刺さっていた水色の風車を見つける。剣持はその風車の方に1人向かう。

突き刺っていた風車を姿勢をしゃがませて引き抜き水色の和紙の裏に墨汁を使った筆で"悪ノ気配"と書かれていた。

「どうして⋯⋯コレがこんな所に⋯」

(ベム。これは⋯⋯)

(惑星サイ・クーロンのヤマト産の和紙で作った風車⋯⋯間違いなくハリケーンマスク先輩の持ち物の一つだ。)

問題は何故、先輩の持ち物の一つの和紙を風車状に組み立てた物がこんな所にあるんだ?

(確か⋯⋯書かれた御札や和紙にはサイ・クーロンの術が施されていて⋯この文字だと、邪悪な気配が近くにあると風車が回り始めるって⋯)

南沢「何しているんだ〜剣持?」

国近「何それ?風車?」

皇虎先輩の風車を持って色々と考えていると海達が気になって剣持の方に来る。

柚宇は何気なく指の人差しでツンっと押して風車を回そうとするも

国近「あれ?」

風車は柚宇の指押しで回らない。まるで固い石か何かに触れているようで柚宇は疑問の表情を顔に出す。

「この風車。俺の知り合いの先輩が組み立てた物で⋯特定の条件じゃないとどんな事をしても回らないようになっているんです。」

南沢「変な風車ですね。」

国近「そんな変な風車。どうして剣持君の先輩は組み立てたのかな?」

「さぁ⋯。俺も分からないから軽く考えているんです。」

(皇虎先輩は風や空気の流れを読む事に長けている。その風の流れを読む技術で、地面に置かれたこの風車が邪悪な気配に反応して回転するなら⋯⋯)

【カラカラカラカラカラ】

風が吹かない場所にあった風車が独りでに激しく回る。

国近「あっ、勝手に回った。」

「はい⋯⋯。」

激しく回る風車を見る二人を他所に剣持の表情は戸惑いに満ちていた。

そして三人の真上に何かの大きな影が高速で通り過ぎる。

「っ!?」

幾多の怪獣出現を助けた気配を察知する能力が発動した訳ではない⋯しかし、通り過ぎる瞬間にした濃厚な血の臭いと何かの直感のような物が働き夢想は一瞬だが自分の真上を通り過ぎた何かの紅い後ろ姿を遂に捉える。

尚も激しく回る風車を何かが通り過ぎた方向に向けると更に回転率を上げる。

国近「あれ?どうしたの?剣持君。」

南沢「何でそんな驚いた顔してるんだ?」

何かに驚いた表情をする剣持に疑問を覚える柚宇と海。二人は剣持と何かが通り過ぎた夜空の方向を交互に見る。

「えっ?だって⋯⋯さっき俺達の真上に何か通り過ぎませんでした?」

 

国近「??何か通り過ぎた?私気付かなかったよ。」

南沢「気付かなかったッス。」

(フザケてるようには見えない。じゃあ⋯⋯気の所為?)

(いやっ!人が気付かない程速いんだ。)

「⋯⋯。」

(悪ノ気配⋯⋯)

南沢「どうしたんだ?剣持。そんな怖い表情をして⋯⋯まるでマリオちゃんを馬鹿にした奴らを影で狩る俺達みたいな顔をして⋯」

国近「は〜い。ちょっと静かにしていようねぇ〜」

柚宇は海の口を無言で片手で塞ぎ無言で通り過ぎた方向を凝視する剣持を見る。

国近(あの時と同じ⋯⋯凄く頼れるけど⋯ちょっと怖い剣持君だ。)

見ていた柚宇達を他所に急いで剣持は自転車の前カゴに風車を投げ入れて跨り鍵を差してロックを外し柚宇達に別れの挨拶を言う。

「すいません。緊急の用事を思い出しました。此処でお別れです!?」

南沢「ちょっと、いきなり過ぎるよ!?せめて理由くらい⋯」

「すいません。もう行きます!」

そう言うと剣持は自転車を走らせてコンビニから去っていく。

国近「ゴメン。私も用事を思い出した。」

そして柚宇も剣持の後を走って追い掛ける。

 

路地裏

【ピキーーーン!!】

路地裏の奥で子猫が疲れ果てて眠っている生駒に静かに近付いていく。猫が生駒の顔に近付く直前、瞼を閉じた戦士の目が見開かれて驚いた猫は叫び声を上げて逃げていく。

???(っ!?イコ。身体を借りるぞ!)

生駒「ZZZ⋯⋯」

当人は意識を夢の中に沈めている為に同化した存在は生駒の身体を勝手に操りその姿を全く別の物に変える。

 

また市外の森にて1人正座し瞑想していた太刀風皇虎も置いた空気の流れの変化と三門市の彼方此方に置いた風車の反応を察知して目を見開く。

春日「動き出しましたか?」

太刀風「あぁ。だが⋯⋯」

正座を辞めて立ち上がり市街地の方へ視線を向ける皇虎。

春日「どうしましたか?」

太刀風「夢想とベムの奴が拙者の動く風車を持って何処かへ移動しているで御座る。」

春日「どうやら、二人も今回の事件の犯人を追っているようだ。」

謎の少女「危ない事件や災難に良く巻き込まれる子だね⋯」

呆れる気持ちと感心する気持ちを口に出して言う2代目を自称する怪獣少女。

謎の少年「剣持夢想の気配を追えば敵が見つかるか?」

銀髪の鋭い目付きをした少年が何時でも動ける準備をしながらフレイム仮面に尋ねる。

春日「其処までは確証が無いから分からないけど⋯⋯異常があったからベム達は動いているんだ。僕らも向かおう。」

太刀風「あぁ。」

銀河連邦とその協力者達も動き出す。

 

「さっきのは、一体何処へ⋯」

紅い何かは数十分前見たバットラーとはシルエットがまるで違っていた。バラバラ殺人事件と関連があると考えた剣持は自転車を必死に漕いで風車を勢いの変化を頼りに空を飛んだ存在を追跡する。

【カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ】

風車がかつてない程回り出して剣持は自転車を慌てて止める。

「何処だ!?」

【ーーーーッ!!】

そして身の危険を感じて本能的に自転車から降りて紅い空飛ぶ悪魔のような翼を持った存在がさっきまで剣持がいた位置を凄まじいスピードで通り過ぎる。

(何だアレは!?)

飛行スピードが速い存在は空中で旋回して悪魔と変わらない恐ろしい形相を剣持に向けて一気に滑空して剣持は再び身体をクルッと横転させて高速移動する怪物の接近を躱す。

???「⋯⋯。」

怪物は剣持を真上から再度、襲い掛かろうと見下ろすも突然、視線を剣持が来た方向へ向けて剣持を無視し踵を返って行く。

「っ?」

(どうして⋯⋯急に来た方向に戻って⋯⋯っ!!)

さっきまで襲いかかった怪物の行動が突然変わって夢想は無表情で疑問が浮かぶも直ぐに国近柚宇の気配を感じて怪物の狙いが何か理解して焦った表情に変わる。

「まさか!!」

急いで剣持は自転車に跨り来た道を引き返す。

 

国近柚宇は志岐小夜子と同じインドアタイプの人間である。運動神経は勿論、良くなく自転車で移動する剣持の後を追い掛けると言う無謀な挑戦は本人のスタミナ切れでアッサリと幕が閉じた。

 

国近「ぜぇ⋯ぜぇ⋯ぜぇ⋯ぜぇ。」

息切れを起こして近く自販機にスポーツ飲料を購入してベンチに座りながら飲み物を飲む柚宇。

国近「⋯⋯私何やっているんだろう⋯⋯。」

休憩しながら飲み物を飲んで一息ついて夜の空を眺める柚宇。

国近(もしかしたら、剣持君がコセイダーなんじゃないかな〜〜って勝手に変な疑いをした罰が当たったのかな〜)

何気なく瞬きをして視界が真っ暗になるも直ぐに目を開けると背中に真っ赤な両翼を拡げさせた西洋の悪魔のような怪物が目の前で音も立てずに立っていた。

国近「あ」

???「⋯⋯。」

国近(ヤバい⋯⋯)

目を大きく見開き目の前にいる真っ赤な怪物が何なのか国近には分からない⋯⋯だが見た瞬間、真っ先に"逃げろ"と生存本能が国近柚宇の頭の中を支配する。

柚宇は目の前に一瞬で現れた紅い悪魔の姿に恐怖の悲鳴を上げようと声を出すより速く怪物に右手で口元を塞がれて鋭利な牙が柚宇の喉元に向けて迫る。

国近(殺される⋯⋯)

絶体絶命の瞬間、風を切る音と共に高速で投擲された大きめの石が怪物の口に直撃する。

???、国近「っ!?」

【カラカラカラカラカラカラカラカラ】

口元を塞がれた柚宇は目線を投擲された方向に向けると激しく鳴る風車を学生服のポケットから覗かせて真剣な表情をした剣持が何処から拾ってきたのか大小サイズがバラバラ石を前カゴに沢山を持って立っていた。

「彼女を離せ!!怪物!!」

国近(剣持君!?)

再び前カゴにある小さい石を掴み野球選手のピッチャーの要領で怪物に向けて投擲する。

投擲された石は凄まじいスピードで怪物の瞳無き黄色い右目に石が直撃するも怪物は悲鳴すら上げずに怪物は顎の力で大きめの石を噛み砕き小さく唸り声を上げながら剣持の方を睨み見る。

(この怪物が連続バラバラ殺人事件の犯人なのか?)

(そんな事よりも国近先輩を助けないと!!)

本来ならこんな恐ろしい怪物を見たら声高く悲鳴を上げてみっともなく逃げたいのに、知っている人が襲われそうになっていると知ると怖い気持ちを無理矢理押し込んで助ける為に夢想は動く。此方が必死に怪物から注意を向けても人質同然の国近先輩を助けないと意味がない。

(ん?)

(どうしたの?ベム?)

(⋯⋯いや、⋯⋯なんでも無い。)

目の前の紅い悪魔の姿を見て初見なのに妙な既視感を覚えるベム。しかし何処で見たのか思い出せず直ぐに切り替える。

ベムも始めて見るタイプの怪物にその不明な能力に慎重になる。

本来の姿も能力も使えない状態で自転車から降りた剣持の中には柚宇を助けない選択肢は最初から無い。

カゴの中にある石を複数投擲するも怪物は翼を盾代わりに使い飛来した石を防ぐ。

「くっ!」

石でどうにかなる相手じゃないのは分かっているが、多目的レーザーサーベルを国近先輩が見ている前で使う訳にいかない為に先輩が1秒でも殺されない為にも最善の策を考える夢想とベム。

(どうする!レーザーサーベルは使えない。トリガーを使うか?『お化け屋敷』の装備は帰宅する際に装備保管庫に返却してしまった!)

そうこう策を考える暇もなく怪物は悪魔のような先端が尖った尻尾を剣持に向けて振るう。

【ーーーーッ!?】

(疾!!)

目の前に立つ怪物の気配は何故か全く感じないが、怪物の攻撃には危険を知らせる能力が発動するようだ。

走りながらスライディングしてギリギリ躱し尻尾の連撃を次々とやり過ごしながら剣持は怪物に距離を詰めて怪物の翼が国近の視界を塞いだのを好機と見た剣持は大きめなサイズの石を持って一気に怪物に接近する。

???「っ!?」

「石のデリバリーだ!?受け取れ!?」

再び柚宇の喉に鋭い牙を迫らせようとする怪物に肉迫し怪物の口目掛けて容赦無く大きめの石を突っ込ませる。突っ込ませる勢いつけ過ぎて石が怪物の口の中に入ると割れてしまう。

(しまった!武器の石が砕けちまった!?)

更に接近し過ぎて怪物は左手で剣持を掴み上げて恐ろしい形相で笑みを浮かべる。

???「っ!?」

だが次の瞬間、突然、悪魔のような怪物は笑みを辞めて右方向へ顔を向けると炎熱の斬撃波と風の波状剣閃が怪物の両腕に通り過ぎてボトリと怪物の剣持達を掴んでいた両腕が落ちる。

国近「へっ?何?」

(この技は⋯⋯フレイムカッタースラッシュと斬刃破!!)

知っている技が怪物の両腕を斬り裂いた光景を目撃する剣持と何も知らない柚宇。

 

剣持達からかなり離れた長距離から黒刃裂刀を持った皇虎と特徴的な円盾を持った炎太郎はカッタースラッシュ光線技を放った体勢を終えて直ぐに超高速で移動する。

春日「弓矢で射った方が良かったのでは?」

太刀風「剣持とその知り合いが捕まってないならそうしていたよ。フレイムこそ得意の銃撃や射撃の出番じゃなかったので御座るか?」剣技の中で出の速い剣閃を放つ皇虎が聞く。

春日「先輩も気付いているでしょ。あの怪物⋯」

太刀風「あぁ。」

春日、太刀風「「速い動きにはついてこれないけど技が放たれた事に反応していた。/で御座る。」」

二人でハモらせて相手に姿を見られるより速く近くの遮蔽物に直ぐに隠れる。相手の姿を確認した後に弓矢の攻撃や銃撃をしようと考えした銀河連邦だが、高い危機察知能力があるのか、もし弓矢の攻撃か銃撃を使っていたのなら、直撃する前に回避するか⋯⋯掴んだ剣持達を盾代わりにしていた可能性が高い。相手が腕を動かす動作をするより速く剣持達を助ける為に二人は出の速い技で相手の腕を先ず斬り裂いたのだ。

持ちうる技や能力で怪物を仕留めたいが、何をするにも剣持と一緒いるふんわりした雰囲気の長い髪の女性が邪魔になる。

 

 

???「アアアアアァァァァ!!」

両腕を切断され赤い光が切断面から見えて苦痛の咆哮を上げる紅い怪物を他所に

「国近先輩。何だか良く知りませんけど、逃げますよ!?」

掴まれた怪物の手から脱出して放心状態の国近の手を引いて安全な所へ連れていく剣持。苦痛に耐えながら怪物は切断面同士を接着させて両腕を繋げる。

国近「くっついちゃたよ!?」

「自切したトカゲでも無理な事をしているな!?」

走りながら後ろに振り返り両腕が繋がる様子を見る二人。

???「⋯⋯!?」

国近達の方へ向き直り追い掛けようとする怪物に成川の狙撃が牽制する。怪物は迫る弾を次々と回避して剣持達の方向へ跳び掛かる。

(成川先輩の狙撃を回避するのかよ!!)

【ーーーーッ!!】

「しゃがんで!」

国近「っ!」

剣持の声を聞いて剣持と共に柚宇はしゃがみ込み跳び掛かってきた怪物を二人はしゃがんだ体勢でやり過ごす。跳びかかりは躱せたが、変わりに怪物は二人の前に先回りさせてしまい立ち塞がれてしまう。

そして怪物は二人に意識を割った為に⋯

謎の少年「!!」

 

まるで忍者のように音と鳴らさずに接近した銀髪の少年は跳躍し怪物の首の周りを滑るように掴んでぐるっと横一回転と共に回転させた丸鋸アンチサーキュラーをすれ違い様に怪物の首を斬り落として剣持と柚宇の目の前にスタイリッシュに着地する。

謎の少年「⋯⋯また会ったな。剣持夢想。」

「君は⋯⋯あの時の⋯⋯。」

淡々とした声と感情の起伏が少ない無愛想な表情する少年と向かい合う剣持⋯思いがけない場所で謎の少年との再会だった。

国近「え?」

目の前に現れた小学生くらいの子供と隣に立つ夢想を交互で目を面白そうにパチパチさせる。

(まだだ!?)

「後ろ!?」

ベムの緊迫した声を聞き剣持は警戒を解かずに少年の背後にいる怪物の方を凝視すると首の切断面から赤い繊維の触手が落ちた頭と繋げ首を何事も無かったかのように元に戻す。

謎の少年「っ!!」

再び動き出した怪物に気付いた少年は剣持達を救出しようと動くが

怪物は背中の翼を広げて胴体から昆虫のような前脚を生やして少年を含めた逃げる剣持達三人を無理矢理捕まえて空高く飛び上がる。その飛び上がった衝撃で剣持の自転車は横に倒れる。

国近「うにゃああああ〜」

悲鳴を上げる国近の左右で必死に抵抗する剣持と謎の少年。

人がイメージする西洋の紅い悪魔のような外見をした怪物は明かりが殆ど無い警戒区域の方へ向かおうとする。

 

 

春日「撃ち落としますか?」

橙色の熱エネルギーで形成した銃を両手に持って隣に高速で走る皇虎に尋ねる。

太刀風「相手は空中だ。何より人質救出しない限り迂闊な手が出せない。追うぞ!」

二刀の黒刃裂刀を鞘に収めて肩に掛けた多機能機械弓を構えながら皇虎は答えながら二人は警戒区域に急ぐ。

 

 

??「⋯⋯。」

夜の暗闇の奥、赤い細いバイザーを光らせ二本の角を生やした黒い狼を模した仮面を被った存在が夜空を飛ぶ紅い悪魔の姿を見上げる。仮面の機能の一つを使い望遠鏡や狙撃手のスコープのように悪魔の姿を拡大して見て連れさられている剣持達の姿に気付く。

??「⋯⋯何してるんだよ。アイツ。」

呆れた口調で言いながら静かにバイクから降りた存在は両手の鋭利な爪を伸ばして助けに行こうとするが、

??「何だ?」

警戒区域の方向から何かが凄まじい速度で移動しているのに気付く。

 

(このままでは⋯⋯)

警戒区域上空では紅い悪魔は獲物である俺達を噛み付こうと鋭利な歯を近付いてくる。

国近「いやぁあああああ〜〜此方来るな〜」

???「っ!!」

(何だ?今度はどうした?)

噛み付こうとした悪魔は突然、噛み付くのを辞めて顔を警戒区域の旧弓手駅の方向へ向けると同時に

(⋯⋯何だこの気配⋯⋯)

剣持の気配を察知する能力に全く感じた事のない生物の気配を察知する。

(このエネルギー⋯⋯ブラックスターの生物の波長に似ている。)

ベムはこの感じる未知のエネルギーが宿敵のブラックワンから発せられるエネルギーに非常に良く似た性質⋯⋯惑星ブラックスター出身の生物のエネルギーを感じ取り警戒する。

 

【ーーーーッ!!】

身の危険を感じた夢想と同時に紅い悪魔は前触れも無く俺達を空中から投げ捨てる。

国近「へ?いやああああああぁぁぁ!!」

一瞬にも満たない浮遊感からの重力を従い落下する剣持達。落下する中で剣持は落下する謎の少年を背中に背負い悲鳴を上げる国近先輩を両手で抱き抱える。

(この後どうしよ⋯)

(俺も今考えている。あっ!)

「国近先輩。オペレーター用のトリガーを起動して俺達を抱えて下さい!?」

オペレーター用のトリオン体に換装すれば、この空中から落ちても国近先輩は無傷で助かる。全員が助かるにはそれしかない。

国近「無理〜〜剣持君がやって〜〜」

涙をチョチョ切らせながら柚宇は自分のオペレーター用トリガーを剣持に渡そうとする。

「なっ!?駄目ですよ!?俺がそれ起動させたらミニスカート付きのオペレーターの服着るハメになるじゃないですか!?」

とんでもない事を提案した国近先輩に抗議の声を上げる剣持。

国近「絶対に私より似合うから!?」とんでもない事を口するA級1位の部隊のオペレーター。

「似合ったら不審者以下の変態ですよ!?」

「「あああああああああああああああああああああ!!」」

三人は地上へ真っ逆さまに落ちる。

??「っ!?」

紅い悪魔のような怪物によって空中から落ちる俺達を警戒区域から凄まじい速さで地を駆ける何かが跳び上がり空中からまとめて落下する俺達で受け止めて路地裏の廃車の上に着地しその衝撃で車の上部がぺしゃんこになる。

 

警戒区域だから防衛任務中のボーダー隊員が自分達を助けてくれたのか、辺りを見回しながら自分達を受け止めてくれた恩人の姿を探す。助けてくれた恩人はオプショントリガーのカメレオンを使用しているのか。姿が視えない⋯⋯でも、何か違和感を感じる。ボーダー隊員にしては余りにも体格が大きいし⋯⋯冷たいゼリーの表面に触れたような感覚を覚える。

国近「ほへ?」

「助かった⋯⋯一体⋯誰が⋯⋯」

誰かが自分を受け止めてくれたのだが其れにしては⋯⋯何だか体格が⋯⋯受け止めてくれる両腕がヤケに大きい⋯

??「⋯⋯⋯。」

風景と一体化した保護色は解けて黒いグロテスクな異形の存在が剣持達の前に姿を現し⋯⋯その姿に目を大きく見開き絶句する。

「「っ!!?」」

「⋯⋯狼⋯男⋯⋯⋯っ!?」

酷く震えながら見た物に対して自分の口に出した言葉その物に剣持自身ただ驚く事しか出来なかった。

一平が剣持に見せた狼男かもしれないスマホの写真画像に写っていた特徴と似ている存在が目の前にいる。

??「っ!?」

黒いグロテスクな狼男は、剣持を丁寧に地面に置いてトリオン体を超える速さで何処かへ向かっていく。

国近「剣持君見た!?」

「はい。見ました⋯⋯」

(さっきの⋯⋯ベムも見たか?)

(あぁ⋯あの狼男は一体⋯⋯)

九死に一生を得た剣持達は⋯⋯黒い狼男が向かった方向を⋯⋯ただ、騒然と見ている事しか出来なかった。

【⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯】

暫しの沈黙が辺りに漂い夢想と柚宇はぼーっとなる。

国近「⋯⋯剣持君。」

「どうしましたか?国近先輩。俺は今、空中から紐無しバンジージャンプして奇跡的に生還したせいか身体に力が入らないんです。」

国近「私腰抜けちゃったよ〜」危機が取り敢えず去った安心感からか柚宇はのほほんとした口調で自分の状態を剣持に伝えるのだ。

「えぇ!?」

その事実を聞いて驚きの反応を見せた剣持に少し安心した柚宇だった。

 

 

???「っ!?」

警戒区域 旧弓手駅上空を飛ぶ紅い悪魔の後を尋常じゃない高速移動で追い付いた黒い狼男は空中に跳び互い空中で取っ組み合いをすると共に旧弓手駅に落下する。

人のいない駅のホームに落ちた両者は落下のダメージを物ともせずに立ち上がり凄まじい速度で肉迫して鋭利な爪を持つ手で取っ組み合いながら言う。

???「こんな夜遅くに人探しか?私も手伝おうか?」

黒い狼男との掴み合いから一度距離を取り人を小馬鹿にしたように高い声で言う紅い悪魔に対して黒い狼男は、鋭利な爪を生やした指を差し酷く低い声で一言言う。

??「地獄へ堕ちろ!?」

黒い狼男は紅い悪魔に向かって猛スピードで走り出し接近し爪を持つ片腕で素早く薙ぎ払うも紅い悪魔は紅い翼を羽ばたかせ飛翔して狼男の攻撃をヒラリと躱しホームの上の屋根に足を乗せて黒い狼男を見下ろし狼男は苛つきながら叫ぶ。

??「八つ裂きにしてやるから降りてこい!?」

???「テメェが登ってきたらどうだ!?」

そう答えると悪魔は先端が槍のように鋭く尖った尻尾を屋根の上から鞭のように振るいホームにいる黒い狼男に向けて放つ。

次々と迫る尻尾の刺突攻撃を俊敏な動きで躱し続ける黒い狼男。

???「私を八つ裂きにする前に私に串刺しになるのが先になるな!?」

??「言っていろ!?このイカれた殺人鬼め!?」

悪態の言葉を吐きながらフェイントを幾つも作り尻尾の刺突攻撃を躱しながら高く跳躍し紅い悪魔のいる屋根に跳び乗り向き合う。

??「貴様のお願い通りに来てやったぞ!?相棒の仇!?」

???「へへへへ⋯⋯直ぐにあの世にいる相棒に会わせてやる。死にやがれ!?」

??「悪魔め地獄に堕ちろ!?」

互い鋭利な爪持つ両手を振るい肉体を傷つけ合うもその都度肉体を高い再生能力で回復させて黒い狼男は連続で爪で引っ掻き紅い悪魔の身体を傷つけてから両腕で持ち上げ獣脚を使い巴投げして旧弓手駅の外に放り投げられて紅い悪魔は駅のフェンスを突き破り私有地の使われない工場へ叩き込まれる。

??「グルルルーー!?」

唸り声を上げながら獲物を急いで相手の臭いを辿りに追いかけて警戒区域の私有地の稼働を停止した工場に到着して工場内に入り姿が消えた相手を探す黒い狼男。

??「⋯⋯。」

???「有意義な話は出来そうにないな⋯⋯」

??「っ!?」

聞こえた高い声と共に工場の天井裏から勢い良く飛び掛かってきた紅い悪魔の体当たり黒い狼男はマトモに貰い両足を掴みジャイアントスイングをするも空中で体勢を立て直して地を這う狼男を見下ろす悪魔。互いの詳しい関係はまだ分からないも敵対関係なのは誰が見ても明らかな様子だ。

??「八つ裂きにしてやる!?」

???「それは、どうかな?」

工場の固い床を次々と内側から砕き針のように出現する無数の紅い触手を黒い狼は驚異の瞬発力でアクロバットに回避しながら紅い悪魔に跳びかかるも、獣脚を触手に絡まれて工場の外の行き止まりの壁に叩き込まれる。

??「っ!?」

背中を打ち付けられて倒れる黒い狼男に向けて紅い悪魔は恐ろしい笑みを浮かべ無数の触手で外に停車している大型トラックのコンテナを突き刺して無理やり動かし一気に引っ張ると共に

??「っ!!」

行き止まりの壁に倒れた黒い狼をトラックでひしゃげる程一気に押し潰す。

???「弱っちい奴め。」

そう言い捨て美味そうな人間達の方に向かおうとする紅い悪魔。

??「おい!」

???「っ!?」

トラックの車体を鋭い爪で縦に切り裂き爆炎と共に姿を現す黒い狼男。紅い悪魔に素早く跳びかかり素早く引っ掻くも、紅い悪魔は逆に黒い狼男の腹をヤクザ蹴りを放ち大破したトラックの残骸に叩き込むみ追撃の蹴りを再び放つも、黒い狼男は直撃する直前で紅い悪魔の片足を片腕で掴み別の壁に叩きつけて追い込み互いに異形の怪物は向き合いながら言葉をぶつけるように吐く。

???「馬鹿な奴だ!?こんな田舎まで私を追い掛けてくるとはな。」

??「貴様を野放しに出来るか!?」

???「私の愛する妻の復讐を邪魔をするな!!」

??「その為にこの星の生きる者達の命を奪ってもか!?」

???「妻の居ないこの宇宙にある愛に何の価値がある!?」

??「貴様がしている事は、只の八つ当たりだ!?」

???「黙れええええぇぇぇぇ!?」

??「貴様の神との戦いは遥か昔に終わった⋯⋯今度は罪の償いをしろ!?」

???「私に罪などない!!」

互いに建物の壁をぶつけ合いながら、一度離れて取っ組み合い爪で互い切り裂きながら紅い悪魔は黒い狼男の両腕を掴み左右の壁に何度もぶつけてから勢い良く投げ飛ばして廃材に倒れ込んだ黒い狼男に紅い悪魔は黒い狼男の腹を鋭い爪のある足で踏み付けて爪が刺さり苦痛の叫びを上げる狼男に見下ろして背中の紅い翼を大きく展開させて黒い狼男を連れて高高度まで上昇して空中で身体を一回転さて黒い狼男を高高度から一気に投げ飛ばす。

黒い狼男を地上の警戒区域の私有地の工場へ投げ落とした紅い悪魔はそのまま何処かへ飛び去る。

 

 

??「レッドバットを逃がしたか⋯⋯」

ゆっくりと工場の壁を破壊して中から出てきた黒い狼男は深夜の空に小さくなった紅い悪魔の後ろ姿を悔しそうに見てこの場を後にする。

 

また警戒区域の別の場所では

水上「それで?悪魔みたいな外見をした怪物に空中から落とされた所をよく分からない黒い狼男っ助けられたって言うのか?」

南沢「良く助かったッスね!」

「信じてくれるんですか?」

水上「お前の言葉は信じたいけど、状況証拠がな⋯⋯警戒区域で国近さんと二人っきりだし⋯」

腰が抜けた国近柚宇と本当に死を覚悟した剣持夢想は、防衛任務中の水上隊員と南沢隊員と遭遇して事情を話していた。

 

「えっ?背負った少年を含めて三人でしょ。」

国近「剣持君。その子なら勝手に何処か行っちゃったよ。」

「えっ?あっ!?いつの間に⋯⋯」

柚宇の言葉を聞いて空中で背負った銀髪の少年がいつの間にか居なくなっていた事に気付く剣持。

水上「でっ、実際の所は夜の警戒区域で二人っきりでデートか?」疑う目で尋ねる敏志。

「こんな人の気配がまるで感じない所に女性と一緒に行く度胸や勇気が僕にあると水上先輩は本当に思っているんですか?」

水上「無いな。ホラーゲームでイコさんとマリオと一緒に悲鳴をめちゃくちゃ上げるしな。」

剣持の怖い物が苦手な事実は生駒隊の皆は知っている。

「ちょっと!?人のほっぺたをイコさんみたいに突っつかないで下さい。南沢先輩助けて!?」

南沢「俺もしたいッス!」

「南沢先輩も!?」

喋る途中で何故か左右のほっぺたを突かれる剣持。

国近「変な信頼〜剣持君。今度一緒にホラーゲームやろう。」

「怖い物が苦手な年下に怖い物を当てないで下さい。」

水上「国近さん。コセイダーとやらは現れたか?」

国近「来なかったよ。」しょんぼりした表情で水上の質問に答える柚宇。

「⋯⋯。」

どうやら国近先輩はコセイダーとまた会えるかと期待していたらしいが現実は違ったようだ。

水上「取り敢えず、今回は注意程度で済ますけど。何回もやると常習犯になってボーダーの上の連中に印象良くなくなるから気付けや。」

「あ、はい。以後気を付けます。」

そう素直に反省した気持ちを口にして剣持達は警戒区域を離れる。

国近「剣持君。」

「何ですか?」

国近「腰抜けているから、自宅までおんぶして。」

「分かりました。」

本当に腰が抜けた様子の先輩をおんぶして国近に自宅まで道案内されながら途中⋯

国近「⋯⋯剣持君。」

おんぶしているから顔色が分からない国近に声を掛けられる

「今度はどうしましたか?」

国近「⋯怪物から助けに来てくれて⋯⋯⋯ありがとうね。」

「⋯⋯自分に出来る事をしただけですよ。」

沈んだ表情で責任感や義務や使命感だけではない色々な気持ちを込めて剣持はそっけなく答えた。先輩に対して申し訳無さもあった。結果的に守れたのは良いけど、危ない目に巻き込まれたし、もし黒い狼男が助けなければ、己の身体能力で国近先輩と謎の少年を2階の高さより遥かに高い場所から着地しないといけなかった。そうなれば、普通の人間じゃないとボーダーの先輩にバレてしまう。香取さんのように⋯⋯誤解を招かれて⋯⋯嫌われてしまう。

(俺がした事など⋯⋯大した事じゃない⋯⋯)

(僕は⋯⋯自分の秘密を守る事に優先した余り目の前に危険に晒されている人を全力で助けるのに躊躇した愚か者だ。)

「捕まった俺達を助けた少年にもお礼の言葉を伝えないと⋯⋯」

国近「そうだね〜。何処の子なんだろう⋯」

身のこなしがトリオン体顔負けの少年に柚宇は素直に気になるも

「俺も名前は知らないんですよ。只⋯」

国近「只?」

「連れのフードを被った凄く謎に臭う女の子?男の子か良く分からない子と一緒に行動しているのが多いんです。」

国近「良く知ってるね。」

「フードの子に会ったのは1回だけですけど色々と塞ぎ込んでいる時に、少年の言葉で励まされました。だから今度会った時は今回の事とその時の事で二人にお礼の言葉を言いたい。」

国近「また会えると良いねぇ〜」

「そうですね。」

国近「ねぇ⋯剣持君。」

「はい⋯⋯」

何気なく返事を返す剣持に向けて柚宇は疑問の気持ちを込めて訪ねる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国近「私がコセイダーに始めて会った日⋯⋯学校から私を攫った車を追い掛けたの⋯⋯本当?」

 

国近(私は⋯⋯私をおんぶしている人に何の答えを期待しているんだろう⋯⋯)

「確かに⋯⋯拐われる場面を目撃して急いで追い掛けたのは、本当ですけど⋯⋯車を途中で見失って見つけた時には、漸く見つけた車には先輩の姿が無く拐った相手の1人がスカルビーに殺されて、慌てて警察に通報して⋯⋯後は先輩が知っている通りですよ。」事実を言う訳にいかず分身体の行動を口にする。

国近「⋯そうかぁ〜。」

「⋯⋯どうして急に?」

国近「君には、不思議と危ない事に助けられているからね。」

「UFOに拐われた時くらいしか助けた記憶が無いんですけど⋯⋯今回だってあの少年がいないとヤバかったですから⋯」

国近「其れでも私を助けに来てくれた⋯⋯」

「⋯⋯。」

心無しか剣持は無表情なのに申し訳なさの雰囲気を発して何も言わずに国近をおんぶして歩く。

国近「⋯⋯。」

 

剣持は国近先輩ともう平気と言われるまで彼女の自宅の途中まで歩き国近先輩と別れた。

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???

独りでに動く紅い悪魔が朝の光を入らない場所に二つの足音が鳴る。足音は徐々に近付いて悪魔のような外見をした怪物から少し離れた所へ足がピタリと立ち止まる。

ガバン「コイツがか⋯⋯」

ゴメル「えぇ。彼がレッドスターから地球へ逃亡した連続殺人犯です。」

???「⋯誰ダ⋯⋯」

ガバン「貴様の支援者だ⋯⋯」

???「っ!?」

殺意を全方向へ放出した紅い悪魔はガバンに向けて返事をせずに攻撃を放つ。だがガバンは避ける動作をせずに超古代竜メルバを模した装甲鋼に搭載したビームバリアで全て払いのけて、隣に立つゴメルに聞く。

ガバン「こんな敵味方の判別もつかない怪物が役に立つのか?」

ゴメル「クカカカカ⋯⋯この星に来るまで追跡してきた銀河連邦警察の実力者達を皆殺しにした脅威の戦闘能力に異常な程の闘争本能と殺戮衝動⋯⋯加えて⋯我らを遥かに超える不死身と言わんばかりの再生能力⋯」

ガバン「⋯⋯。」

ゴメル「彼は地球で我らを邪魔する銀河連邦の勢力を削るにはうってつけの存在です。支援する価値はあると思いますよ?クカカカカ⋯⋯」

ガバン「⋯⋯利用するの間違いだろ⋯。」

白いローブ越しに嗤うゴメルにガバンは胡散臭さの気持ちを込めた視線を向けて⋯⋯ガバンはゴメルから紅い悪魔に視線を変えると

ガバン「確かに⋯⋯このエネルギーを見て実力者に違いないだろうが⋯コイツ1人であの精鋭達を倒せるとは思えん⋯⋯部下達をフォローに出そう。」

ゴメル「では私は⋯⋯少しボーダーで戯れをしましょうかね?」

ゴメルはとある人間の写真をローブから取り出す。

ガバン「その男は?」

ゴメル「ボーダーに所属する人間です。クカカカカ⋯⋯」

カメラ目線をしている生駒達人の写真を見てゴメルは光が入らない場所で震えて嗤う。

 

翌日 黒野の館の前にて

昨日の夜、謎の怪物に襲われて狼男に助けられて国近を家に送った後、自分の自転車を無事に回収してから帰宅した後、翌日の朝、剣持は黒野の館でアラシとスポーク博士達が剣持にある備品を渡す。

スポーク「これが、地球外生命体探知機だ。反応があると金属探知機同様、音で知らせる。」

専門用語が沢山記された取り扱い説明書を真剣な表情で目を通す剣持に使い方を簡単に説明してくれる。

アラシ「にしてもどうして、急に地球外生命体探知機何か必要になったんだ?」

「吸血鬼事件の犯人がガイラットの怪人で連続バラバラ殺人事件の犯人は昨日来た王子隊長も言っていたように人間じゃない可能性があるから宇宙人の仕業かと思って。」

アラシ「成る程⋯⋯そういう見方もあるのか?1人は大変だし手伝おうか?」人手が必要な事を1人でしようとしている剣持を心配してアラシが手伝いを買ってでる。

「ありがとう。アラシ隊員。でも何の根拠も無い事を調べる活動を手伝わせるのは、申し訳無いから。何か分かったら連絡しますね。」

アラシ「分かった。気を付けろよ。」

「はい。」

黒野「待て剣持。」

「黒野先輩。」

館から高そうな服を着用した黒野が姿を見せて剣持を呼び止める

黒野「その備品を持って何処に行くんだ?」

「連続バラバラ殺人の事件現場です。もしかしたら犯人は地球外から来た可能性があるかもっと⋯」

黒野「警察に現場に入って良い許可は出したのか?」

「いえ、だからまず三門市警察署に向かうつもりです。」

そう言うと黒野は小さくため息を吐き

黒野「⋯⋯⋯事件現場に入る許可の方は任せろ。隊長達と連携して警察に許可を貰っておく。」

「あっ、すいません⋯」

黒野「違うだろ、こういう時に言うのはありがとうございますだ。」

黒野「俺も後で合流する。」

「では⋯⋯また後で」

そう言うと剣持は重いキャリケースサイズの地球外生命体探知機を自転車の後ろに縄できつく縛り何処へ向かう。

「重い⋯」

正直言うと人手がかなり欲しい調べ物だ。28万人が住む三門市で正体不明の二人の生物が潜伏しているんだ。黒い狼男についても分からない事は多いが国近先輩を狙った紅い悪魔みたいな怪物はバラバラ殺人事件の犯人じゃなくても危険な存在だから放ってはおけない。とはいえ少し孤独感に苛まれる。

(ミューラー先輩かジャクソン先輩か佐鳥先輩に手伝って貰おうかな?)

王子「手伝おうか?ケンモッチーニー?」

僕が乗る自転車より明らかに高そうなマウンテンバイクに跨った爽やかスマイルの王子隊長と遭遇する

「何でこんな道の真ん中にいるですか?王子隊長。」

王子「アレから君が言っていた狼男が気になってね。朝早く館近くに来てみたら面白そうな会話をしているからコレは手伝おうとなったんだよ。」

「金属探知機と同じでバラバラ殺人現場に向けて反応があるか無いか確かめるだけですよ。」

王子「なら人手が多い方が良いね。ボクに任せてくれ。知り合いを集めるさ。ちょっと待ってね。」

そう言うと剣持から少し離れてスマホで誰かに連絡する。

「えっ?」

【十数分後】

王子隊長が呼び出したのはイコさんがいない生駒隊と鈴鳴支部から今結花と別役太一。太刀川隊から国近さんと出水隊員に王子隊の面々が僕達の前にいた。

「嘘⋯⋯。」

王子「ボクに掛かれば、人を集めるなんて両親を犯罪者に殺された誰にも信頼されないヒーローのスーツアクターのバイトをする青年を本物のヒーローにする事くらい簡単な事さ。」

蔵内「隊長。例えが分かりづらいです。」

「あの、どういう理由で皆集まったんですか?」

蔵内「王子の奴が、一連の連続バラバラ殺人事件について剣持が人手が欲しいって電話連絡を貰って隊長命令で急いで集まったんだ。」

樫尾「俺も似たような物だよ。」

「何かすいません。クラウチ先輩。」

蔵内「気にしないでくれ。王子が突拍子もない事を言うのは今に始まった事じゃない。」

蔵内(王子以外に王子の独特のあだ名を言う子なんだな。)

(なんて良い人なんだ⋯⋯これが染井さんが通う六頴館高等学校の生徒会長さん。)

樫尾「この調査が生徒の安全に繋がると考えたら生徒会として動かない訳にはいかないからな。」

(カシオさん。)

蔵内(きっと、樫尾の方も王子のあだ名で呼ぶのだろうな⋯)

剣持の後ろでニヤニヤと笑みを浮かべる王子を見ながら蔵内和紀は静かに気を引き締める。

別役「剣持の仕事を手伝ったら王子隊長が今度の難しい勉強を見てくれるって理由で参加しました!?」

「それは何?」何時も太一が持っていない物を持っていて思わず質問する剣持。

別役「不審者対策の刺股だ!?ここに来る途中で購入した!?」

今「太一が此方で迷惑をかけないようにお目付け役で来ました。」

刺股を持ってノリノリに答える太一に呆れた口調で保護者ポジションで参加する今先輩。

水上「⋯⋯。」

南沢「剣持!?それがイコさん探知機なのか?」ノリノリで海は剣持の自転車に乗っている地球外探知機を見て尋ねる。

「あの、すいません。この探知機はイコさん探知機じゃないんです。」

水上「剣持、気にしなさんな。」優しい眼差しに剣持の肩を優しく叩き剣持の見えない所で冷めた目で王子の方を睨む水上。

出水、(水上の奴、珍しいな⋯)

水上「ちょっと個人的に今回の手伝いに参加した方が良いと思ったんや。」

生駒隊長の行方を知る事を優先していた水上、最初は断るつもりだった。

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回想水上Side

ボーダー本部の寮の水上の部屋にて

水上『⋯⋯。』

イコさんが通う三門市立大学のイコさんの知り合いの隊員や隊長達に空いた時間尋ねても、イコさんを見たと言う連絡は貰っていない。隠岐や海達も同級生達にイコさんを見掛けたら教えて欲しいと言ってて進展は無い⋯⋯学校が終わってボーダー本部に行く用が無い時は、スマホのイコさんの写真を片手に道行く人に尋ねても成果は出てこない。

水上『⋯⋯。』

敏志は剣持の言った狼男について進展が余りにも出てこない現状に腹を立てるも⋯⋯腹を立ててもイコさんの行方が分からない訳じゃないから一度冷静になる為に狼男について調べようとする。

水上(三門市 狼男⋯⋯こんなの⋯⋯変な奴がハロウィンの被り物をしただけの内容なんやろな。)

 

はっきり言うと剣持も国近の言葉を全く信じていない訳ではない物のやはり信憑性に欠ける内容だとは思っていた。

 

水上『?』

三門市で狼男が目撃されたと言う情報はオカルト掲示板で載っておりその目撃された日がイコさんが行方不明になった日と同じである事が気付く。

水上(偶然か?)

更に三門市に在住のある高校生が、真っ赤な悪魔と黒い狼男が戦っているのを見たと言うコメントを見つける。

水上(⋯⋯高校生。剣持か?)

自分の知っている夢想は積極的にこういうコメントを書くタイプじゃない。

水上は剣持と国近から聞いた色と外見的な特徴が一致する。たまたま二人がこのスレのこのコメントを見たから口裏を合わせたと考えるも、こんな変な内容よりもマシな言い訳は沢山ある。わざわざこんなコメントの内容を選ぶ利点が無い。

別のコメントで真っ赤な悪魔に襲われそうになって殺されそうになった時、昇ってきた太陽の光を見て悪魔は光に驚いて何処かへ飛んでいったという内容を見つけた。

水上(真っ赤な悪魔はドラキュラか何かか?だとしたらアカデミー賞ものやな。)

当然と言えば当然なのだが、どれも信憑性にかける内容だ。真に受ける方がおかしい。画像とか動画が無いのも確かだし⋯⋯だが、知り合いの隊員がこのスレに関連した物を見たと言う言葉を聞いている。数年前の自分なら異次元の存在も異次元から侵略者が来ると言う言葉も信じていなかっただろう。だが実際に異次元からやってきた近界民が三門市を襲い自分達には目には見えないトリオンと呼ばれる内臓器官が身体の中に存在する。

鵜呑みにはしないが、頭の片隅には少しは留めておこうと敏志はオカルト掲示板をつまらなそうな目で見ていた。

 

翌日の朝、土曜日。

軽く習慣になりかけている生駒隊長の部屋の前でインターホンを鳴らす敏志。

【ピンポーン♪】

水上『⋯⋯。』

当然だが部屋の扉は開く事はない。水上は手荷物から三門市の地図を取り出してこれまでしたイコさんの目撃の聞き込みをしたポイントに目を通す。

水上(人の多い場所や道はそれなりに聞き込みをした⋯⋯次は何処で聞き込みをするか。)

その時、自分のスマホの電話が鳴る。

水上『?』

【王子一彰】

水上『⋯⋯⋯』

掛けてきた相手の名前を見て露骨に嫌な表情をして一気にテンションが下がる敏志。

水上『⋯⋯もしもし?』不機嫌MAXの声色

王子『もしもし。みずかみんぐ。』

水上『何のようや。お前がわざわざ電話なんて⋯⋯』

正直ボーダーで積極的に関わりたくない人間の1人からの連絡に敏志は手早く話を聞いて電話を切ろうと考えていた。

王子『イコさんの行方不明に関連がある事をケンモッチーニーが調べようとしているんだ?』

水上『ケンモッチーニー?誰の事や?』

王子『剣持夢想だよ。』

水上『剣持が?』

水上(いつの間に王子に変なあだ名を付けられたんや。)

王子『何分人手がいる調べ物をする予定だからね。是非、生駒隊の皆を誘って彼を手伝ってくれないかい?』

水上(普通ではない怪奇現象等を調査する部署にいる剣持がイコさん関連について調べるか⋯)

水上『⋯⋯。』

脳裏に浮かぶ昨日見た狼男と真っ赤な悪魔と言う変なコメント群の数々に敏志は無言で目の前の扉を見て自分が所属する部隊の隊長ならどう言うか想像し

水上『⋯分かった。参加する。合流場所はどこや?』

仮に王子の言っている事が嘘で剣持がイコさんに関した事を調べてなくても自分達で剣持の調べ物の手伝いをしながら道行く人達にイコさんについて聞き込みをすれば良いと敏志は考えて剣持の元へ向かう。

水上Side回想終了。

 

黒野先輩が事前に警察関係に許可してくれたのか黄色と黒の立ち入り禁止テープの奥に向かう事に警察は簡単に許可してくれて

自転車の後ろに縄で縛った銀色の旅行のキャリケースサイズの地球外生命体探知機を起動させる。キャリケースのサイズの内部は内蔵型バッテリーと精密機器の塊らしい。どうりで重い訳だ。

【ピッピッピッピッピッピッ⋯⋯ビィー!!】

本体の横に接続された複数のケーブルが絡まった長い探知機の先端部分を調べたい箇所に向けると音が鳴る。

王子「其れって金属探知機と同じ仕組みかい?」

「そうらしいですよ。地球外の何に反応しているのか詳しくは知りませんが⋯⋯」

出水「何か⋯剣持の奴⋯想像した以上に真面目に調べているな。」

国近「うん⋯」

【ビィー!!ビィー!!ビィー!!】

「やっぱり昨日見た真っ赤な怪物は地球外生命体なのか?」

ガスマスクを装着した剣持は探知機から反応がしっかり出ているのを確認する。

バラバラ殺人現場の一つにて地球外生命体探知機を持ち1人場違いな化学防護服を着た剣持と付き添う王子隊長を含めた王子隊の面々に出水隊員と国近先輩。

それ以外の隊員達は何か目撃していないか周辺の人に聞き込みをしていた。生駒隊の面々は怪物の目撃情報と共にイコさんの目撃情報を聞いており。

子供「この人見たよ。」

遂にイコさんを見たと言う小さな子供を見つける生駒隊。

細井「ほんまかい!?ほんまにこの真顔のお兄さんを見たんかい!?」

子供「うん。」

細井「そんで何処で見たの?」

子供「沢山のお巡りさん達があの場所でいるのを、見てた沢山の人の中にいたよ。」

細井「えっ?」

子供から教えられた情報に疑問を覚える真織。子供が指した場所は剣持達が調べている殺人事件の現場である。

隠岐「その真顔のお兄さんが何処に行ったか分かる?」

子供「知らない。」

隠岐「そうか〜〜教えてくれてありがとね。お礼に飴上げちゃう。」

子供「じゃあねぇ〜」

教えてくれた子供に飴を渡して別れながら生駒隊の面々は集まる。

細井「どうゆう事や?」

南沢「イコさん。何で殺人事件現場の野次馬に混ざっていたんでしょう。」疑問を口にする海。

水上「其れについては全く分からんが、取り敢えず⋯⋯此処にイコさんが目撃されたのは間違いない。」

南沢「この調子で聞き込みしましょう。俺頑張りまッス!?」

細井「そうやな!?」

別役「しまった!?」

今「太一!!」

その生駒隊の後ろで鈴鳴の太一はドジっ子の本領発揮をしていて結花に叱られていた。

 

またこの現場を調べて次の別の事件現場でも地球外生命体探知機に反応があった。

王子「此処でも反応があった。」

「そのようですね。」

水上「⋯⋯⋯。」

隠岐「そんな怖い顔して剣持君達を見てどうしたんですか?」

水上「アホ。見てるのは現場の方や⋯⋯ここの事件現場にもイコさん⋯野次馬に混ざっていたんだよな。」

生駒隊の面々は現場の近くのゲームセンターでイコさんを見たと言う子供達に聞き込みして最初の事件現場同様、再び事件現場を見に来た野次馬の人だかりに見たという目撃情報を教えて貰った。

隠岐「そうみたいですね。」

水上「⋯⋯これって偶然やろか?」

隠岐「何を考えているんですか?」

水上「イコさんの考えや。どういう理由で二つも事件現場を見ていたのか。」

自分達の知るイコさんの行動パターンにして色々とおかしい事に感じ始める生駒隊の面々。

別役「うひゃー!?」

今「太一!!」

人懐っこい野良猫に偶然猫パンチを貰い体勢が奇跡的に崩れて近くのゴミ箱を背中から倒してゴミを周辺に盛大にぶち撒ける太一。

それから剣持達は移動しながら事件現場に向かい地球外生命体探知機の反応を拾い、生駒隊の面々は野次馬に紛れていたイコさんの目撃情報を貰っては太一はドジをして今先輩に叱られていた。

 

一同はカトリック三門教会前の駐車場にて

別役「わーー!?ずびまぜぇん!!」

蔵内「ふごっ!」

アスファルトにあるバナナの皮を綺麗に滑って頭部を守る為に何故かトリプルアクセルして手に持った不審者対策用の刺股を蔵内の腹部に叩き込む太一。

今「太一ーー!?」

【ピッピッピッピッピッピッ⋯⋯ビィー!!】

「此処もか。」

王子「こりゃあ、本格的に連続バラバラ殺人事件の犯人が宇宙人の可能性が高いね。」

樫尾「隊長。まだ物的証拠や目撃情報が無いので安易に決め付けるのは軽率ですよ。」

王子「でも探知機には反応しているよ。」

樫尾「その探知機を頼りにし過ぎるのもどうかと思いますけどね。」

「正直、俺もカシオ君と同じ意見です。」

国近「えっ!?そのヘンテコ探知機を使っているのに?」

「こうも、行く現場に反応が出続けるから、普通にこの探知機を信用して良いか俺も半信半疑なんですよ。」

 

王子「探知機の誤作動と思うのかい?ケンモッチーニー。」

「地球外生命体探知機の反応が現場にあっても物的証拠も無ければ、目撃情報も集まっていない。日の出ている時間帯では事件は起こっていないようですし。」

国近「あの真っ赤な奴が犯人なのかな?」

「少なくとも昨日の夜、国近先輩を通り魔的に危害を加えようとしたのは事実ですよ。」

国近「せめて、怪物の肉片でも何処かに落ちていたら、話は変わるんだろうけどね〜〜」キョロキョロと現場を見回しながら家から持ってきた虫眼鏡で物的証拠を探す柚宇。

「そんなのあるならとっくに鑑識の人達が見つけていますよ。」

出水「それもそうか。」

国近「夜に人を襲うなら日中は何処にいるんだろう。」

王子「仮にその怪物が吸血鬼なら日の光を浴びない場所を根城にしている筈だね。」

出水「日が当たらない場所って⋯⋯地下とか?」

王子「棺桶の中にいるケースを考えるより潜伏する場所なら悪くはないと思うよ。」

「あの怪物の大きさで隠れる場所は自然と限られる筈だ⋯」

別役「どれくらいの大きさなんすか?」

国近「ジュースの自販機より背が高かったよ。」

南沢「そんなにッスか!?」

「正確さは無いですけど身長は目測で約4メートル程度はあって背中に生やした両翼は7メートル程度あったと思います。」

細井「そんなにデカいんかい!」

蔵内「アフリカゾウ並みだな。」

水上「⋯⋯。」

敏志は剣持達の会話を聞きながらスマホでオカルト掲示板の真っ赤な悪魔と黒い狼男についてコメント欄を流し見る。既に教会近くを散歩した人達に聞き込みを終えて此処の事件現場の野次馬にイコさんの姿を見た情報は貰った。

生駒隊の面々も疑問を強めている。ここ十数日寮にも戻らず大学にも通わずにイコさんは何をしているのかと?何故、一つだけでなくバラバラ殺人事件現場の野次馬にいるのか?

水上「⋯⋯。」

コメントのその中には旧弓手駅方面に黒い狼男らしき何かが目撃したと言う内容を見つける。

 

水上「旧弓手駅⋯⋯」

南沢「水上先輩。何か言いましたッスか?」

水上「いや?独り言や。気にせんでくれ。」

愛想笑いをして何もなかったように振る舞う敏志。

王子「⋯⋯それでケンモッチーニー。次は何処を調べるつもりだい?」敏志の愛想笑いに意味深な視線を向けるも一彰は切り替えて剣持に次の調査する場所を聞く。

「⋯⋯⋯事件現場では無いですけど、国近さんが襲われた自販機がある場所です。怪物の姿を実際に見た人間として調べてみようと思います。」

国近「じゃあ、剣持君。行こう!?」

出水「ヤケに張り切ってるな。柚宇さん。」

今「勉強や宿題もあのくらいやる気があれば良いのだけど⋯」

出水(此方は此方で友達と言うより保護者みたいな目線だな。)

水上「あっ、剣持。ちょい待ってくれ。」

「何でしょうか?水上先輩。」

王子「⋯⋯。」

水上「昨日の夜、どうして国近さんがいる所に怪物が向かっているって分かったんや?」

「昨日の夜の話、信用してくれるんですか?」

水上「昨日と同じ⋯⋯お前の話を信用したいけど結局、物的証拠が無いのは、本当や。だから国近さんも剣持もカメラとか持ってきたんやないか?」

「はい。黒野先輩の所に向かう前に自宅にある使い捨てカメラを持参してきました。」

国近「私は家族写真用のデジカメを親を説得して借りたよ〜証拠写真は必要だからね。」

「水上先輩の言っている怪物の居場所が分かったのは「風車だよ〜」っ先輩⋯。」

敏志の質問を答えたのは、剣持では無く自信満々に柚宇が答えるのだ。

水上「風車?」

国近「うん。昨日の夜、コレから向かう私が怪物に襲われた場所から少し距離がある所にコンビニにあって、そのコンビニの近くに人に見つけ難い所に水色の風車が地面に刺さっていたんだよ。」

南沢「それ自分も見ました!?」

隠岐「海。それ初耳や。」

仲間から始めて聞いた情報に反応する隠岐先輩と細井先輩。

南沢「防衛任務前の買い出しの時にコンビニ前で国近先輩と剣持に会った話はしましたよ?」

細井「風車の話は聞いてへんわ!?」

南沢「特に任務と関係ないから言う必要はなかったです!」

隠岐「正直やわ〜」微笑ましい目で真織と海のやり取りを見る隠岐。

国近「剣持君の先輩が作った物なんだよね。」

水上、王子(剣持の先輩/ケンモッチーニーの先輩⋯⋯誰や?/気になるね?)

年上を表す先輩。剣持夢想はこの先輩と言う言葉は普通に年上の人物に使うだけでなく自分よりも先に入隊した同い年の隊員にも使っているから、交流関係の謎の広さもあって把握が難しい。ましてや交流が殆ど無い王子にとっては色々と気になるのだ。

「知り合いの先輩が特殊な条件にならないと回らない風車を三門市の市街地の彼方此方に置いているんです。」

王子「つまり、変な所にある水色の風車はケンモッチーニーの先輩さんの製作した物なんだね。」

国近「剣持君。風車を今も持っている?」

「はい。」

剣持は防護服の奥から水色の風車を取り出して皆に見せる。

水上「⋯⋯。」

「さぁ、此処でずっと居ても仕方が無いので先輩が襲われた場所に行きましょう。」

剣持は風車を防護服の内側にしまい一同は、カトリック三門教会に離れる。

 

 

 

剣持達が去った後、教会の正面の扉が左右に開きサングラスを付けた灰色のジャケットに袖を通した男が姿を現す。

マスター神父「⋯⋯。」

剣持達が去った方向に視線を向けるも神父は直ぐに反対の方向に視線を向けて移動する。

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【ビィー!!ビィー!!ビィー!!ビィー!!ビィー!!】

国近「反応あったよ!?剣持君。」

「⋯⋯そうですね。」

地球外生命体探知機の先端部分を怪物が立っていた場所に向けて鳴る音が、酷く煩く感じた。自分と戦うべき相手が宇宙人と理解して探知機による反応を確認し終えてそそくさと地球外生命体探知機を自転車の後ろに縄で手慣れたように縛りつけてボーダーの先輩達の前で向き直り

「皆さん。忙しい中、予定とかあるのに今日の調査の手伝いをしてくれて本当に⋯⋯ありがとうございます。」

剣持夢想は感謝の気持ちを込めて綺麗なお辞儀をする。

別役「良く分からない調査は終わったんですか?」

突然の調査の終了に驚くボーダーの人達の中で確認に尋ねたのは太一さんだった。

「はい。もう必要な調査は終わったので⋯⋯現地解散しても宜しいですよ。本当に手伝ってくれてありがとうございます。」

南沢「いつの間に調査が終了していたんですか!?」

水上「俺等がイコさんの事を聞き込みしてる間にや。」

樫尾「あんまり手伝った感覚は無いけどね。」

「囮捜査みたいな危険な事をする訳じゃないんですか。とにかく皆さん、必要以外の夜間の外出はしないで下さい。」

隠岐「校長先生と同じ事を言っているね。」

「国近先輩と俺が無傷で助かったのは幾つ物の偶然が重なって運が本当に良かっただけなんです。危険人物?未確認生命体が三門市に潜伏している現状、一番安全なのが犯人の未確認生命体?アンノウンの活動時間に1人で動かない事⋯⋯これぐらいしか今は対策らしい対策がありません。」

南沢「俺達ボーダーと『お化け屋敷』で倒すって奴はダメッスか?」

別役「そうですよ。『お化け屋敷』には凄い装備や能力を持ったヒーロー達だっているんです。」

思ったより正体不明の怪物と戦うつもりらしいボーダーうっかりコンビ。

王子「カイ君。相手の能力も分からないのに数を多く揃えた所で返り討ちにされる可能性も充分あるよ。」

「ヒーロー達も昨日の夜、別の事件で多数の怪我人が出ている。その別件の方も解決していないから無事なヒーロー達はそっちの事件解決に集中する予定らしい。」

国近「名前も知らない謎の少年が持った丸鋸で怪物の両腕や首を落とされても切断面から赤い筋を両方から伸ばして身体と繋げていたし一筋縄ではいかないよ〜」

(両腕を斬ったのは少年じゃないですよ。国近先輩。)

隠岐、細井「謎の少年?」

南沢「昨日の剣持が言っていた姿無き一緒に落下していた少年?」

国近「私と剣持君と助けてくれた銀髪のおかっぱ頭の少年。目付きが三輪先輩に負けないくらいに鋭いの〜」謎の少年の目付きのモノマネをしながら言う柚宇。

王子「首や腕を切り落としても繋げるか⋯⋯確かに普通の倒し方じゃ倒せないタイプの敵だね。」

国近「きっと弱点属性や特殊なアイテムが無いと絶対に勝てないゲームのボスキャラなんだよ。」

ゲームが大好きな国近ならではの見解を口にする。

出水「吸血鬼なら日の光とか?」

国近「そうそう。夜明けまで時間を稼いで日の光で焼く。」

王子「確かに日の出てる時間に事件が起きていない辺り倒す事は出来なくても弱らせる事くらいは出来るかも知れない?。」

「王子隊長や国近先輩の言う通り斬った部分を繋げる程の再生能力が高い怪物⋯⋯頭や心臓部分をどうにかしても死なない可能性があります。」

王子「せめて何処かに怪物の肉片が有ればな⋯⋯『お化け屋敷』に渡して何に弱いか詳しい研究や分析が出来るのに。」

「無い物は仕方ありませんよ。では皆さん。僕は探知機を『お化け屋敷』に戻しに行くので⋯⋯皆さん。お疲れ様でした。」

剣持の言う通り調査が呆気なく終わりボーダーの皆は自然と解散する。

出水「それじゃ俺は本部でランク戦にでも行こうかな。」

出水隊員はそのまま自転車に乗り1人ボーダー本部へ向かう。

国近「怪しい〜〜」

今「柚宇?何が怪しいの?」

国近「剣持君にしては諦めがヤケに良い⋯⋯」

昨日の怪物から私を助けようとしたり、鎧の宇宙人から私を逃がそうとした行動力を知っているとヤケに剣持の引き際が潔いのが気になる柚宇。

今「そう?本人も言っていた通り物的証拠が見つからないから今回の調査で出来る事は全部やったって言っていたじゃない。」

国近「おのれ〜〜コレでは宿題や課題をやる時間が確保出来てしまう〜」

今「宿題サボりをする為に、剣持君の調査を手伝ったの!!」

国近「しまった!?バレてしまった〜〜」

今「柚宇!!」カンカンに怒る今結花。

国近「ほんぎゃあ〜〜剣持君〜〜昨日の夜みたいに私をお助け〜〜」

涙をチョチョ切らせながら結花に肩を掴まれて後ろに引っ張られる柚宇。

「勉強出来る先輩はカッコイイですよ。」

今「ほらっ、後輩の剣持君もあぁ⋯言っているだから留年しない為にも勉強頑張るわよ。」

国近「アイルビーバック!?」

別役「じゃあ俺はその辺で⋯「太一も王子隊長のお礼以前に勉強をやる!?」のわ〜」

鈴鳴の今先輩に柚宇と太一は何処かへ連れてかれる。

蔵内「⋯⋯何か困った事があるなら言うんだよ。」

(この人、父性が凄いな⋯)

王子「ボクはちょっと寄るところがあるから此処でドロンさせて貰うよ。またね。」

樫尾「分かりました。」

王子隊の面々も解散する様子を見ていた生駒隊。

隠岐「俺達はどうします?」

去っていく王子隊から視線を部隊の仲間の方に向き直り言う隠岐。此処で解散するか⋯⋯それともまだ聞き込みの情報収集を続けるか⋯どっちが良いか隠岐も迷っている様子だ。

南沢「でもどうしてイコさん。バラバラ殺人事件現場の様子なんて見ているッスか?」

細井「私らが聞きたいわ。」

水上「まぁ、剣持も解散って言っているし、イコさんの目撃情報を少し分かっただけでも進展はあったから手伝いに参加した甲斐はあったし⋯⋯今日は此処で解散でエエと思いますよ。」

細井「せやけど何で自分達に会いに来ないのか気にならん?」

水上「気になるけど⋯⋯それよりも俺個人どうしてもやんない事がある事があるや。」キリッと真剣な表情になり部隊の皆と向き合う敏志。

細井「なんや?」部隊の参謀ポジションの男がかつてない程の真剣な様子を見せて部隊の皆も緊張が走る。

水上「俺も国近さん達同様やってる途中宿題があるのを思い出したわ。ほなあと、よろしく。」

真顔のイコさんのボケのようにそう糸目と愛想笑いで言うとそそくさと水上は素早い動作で乗ってきた自転車に跨り何処かへ移動する。

細井「えっ宿題⋯えっ?ちょっ水上!?何処行くんよ!?」

水上「宿題をやる為に向かう場所なんて⋯⋯そんなの寮の自分の部屋ですやん!?」

隠岐「そこは市民図書館では無いんですか!?」

南沢「洒落たカフェでコーヒーを舌鼓ながら勉強するんじゃないんですか!?」

細井「宿題の場所で大喜利すな!?もう、皆勝手やわ〜〜!?」

長い間、イコさんのボケを見ていた敏志なりのなんちゃってイコさんの物真似と共に仲間達の前から去る水上敏志。

皆からある程度離れて自転車を走らせながら敏志は1人心の中で思う。

水上(やっぱ、イコさんの面白いボケはイコさんがやって始めて意味があるわ⋯⋯さて先ずは剣持が言っていた風車を見つけんとあかんな⋯)

行方不明の隊長が何故か連続バラバラ殺人事件の現場の様子を目撃している。ハッキリ言って分からない事だらけだ。だが隊長が自分達に会わずに単独で何かをしているのは確かなようだ。

 

一方、黒野の館に戻り地球外生命体探知機を返却してアラシ隊員達に連続バラバラ殺人事件現場にて反応があった事を報告した剣持は昨日の夜、怪物の両腕を切断してくれた銀河連邦の仲間達にお礼を言う為に会いに行こうと気配を探る。

「あっちか⋯⋯」

現在目標位置を知り自転車で移動する剣持。

(ハリケーンマスク先輩は昨日の怪物の知っているから風車を彼方此方に置いたんだ。あの怪物の正体について何か心当たりがあるかも知れない。)

出水『日の当たらない場所って⋯⋯地下か?』

「地下⋯」

移動していた自転車に急ブレーキを掛けて出水隊員の言っていた発言内容を思い出す剣持。

(日の昇る時間にはあの怪物は人を積極的に襲わない。怪物が潜伏出来る日の当たらない場所は市街地を含めて警戒区域や放棄区域にも潜伏可能だ。)

(兎に角⋯⋯先輩を探そう。)

剣持は仲間に会うために移動する。

 

真琴「もしもし?休みの日にどうしたの?柚宇?」

移動する景色を窓から眺めながら真琴は柚宇とスマホで電話していた。

国近《今日、剣持君と連続バラバラ殺人事件の犯人は宇宙人なんじゃないかってボーダーの皆で剣持君の調査を手伝ったんだ。》

真琴「ほぅほぅ⋯」

国近《それでお昼過ぎに調査が思ったよりもアッサリ終わってさぁ。皆は現地で解散になったんだよ〜》

真琴「専門家が居ない中の調査なんだからアッサリ終わってても仕方ないんじゃない?」

国近《そう何だけどさぁ〜〜何か剣持君にして引き際が早く感じて⋯⋯怪しいと思ったんだよ〜》

真琴「考え過ぎじゃない〜⋯⋯もしかして、私にその事について剣持君に尋ねてきて欲しいから連絡したの?」用件が何なのか薄々分かった真琴は国近に尋ねる。

国近《私は結花さんとお勉強しないといけないから、外出は難しいの。だからお願い⋯真琴さんって剣持君と親しいでしょ。》

真琴「⋯⋯分かった⋯剣持君に会ったらそれとなく聞いて見るよ。」

国近《ありがとう〜》

その返事を終えると通話が切れる。

真琴「⋯セバス。」後部座席から運転手に声を掛ける真琴。

セバス「はい。お嬢様。」

真琴「行き先の予定を変更。志岐ちゃんの自宅に向かってくれない?」

セバス「失礼ですが、向かうなら剣持さんの自宅ではないのでしょうか?」

真琴「柚宇の反応を聞く限り剣持君はボーダーの人達と危険に巻き込ませない為に解散させて1人で犯人を探している可能性がある。だから先に志岐ちゃんを迎えに行ってそれから直接剣持君に今回起きている事件について聞くつもり。」

セバス「分かりました。執事の私としてはお嬢様を危険な目に合わせたくないのですが⋯⋯」

青い軽自動車が行き先を変える。

真琴「剣持君や賢人義兄さんのヒーロー達が事件を解決しない限り三門市に安全な所なんてないよ。」

気だるけに目を細めて⋯まるで神様のように外の景色を眺めながら彼女は普通の人とは違う目線で答える。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

???「あぁ⋯⋯あぁ⋯あぁぁぁ⋯⋯」

昨夜、図らずも剣持達の妨害で獲物である人間の血を吸い損ねて紅い悪魔⋯⋯レッドバットは血に飢えていた。どうしようも無い壮絶な飢餓感と頭の中を真っ赤にする殺人衝動で藻掻き苦しみ地下下水道にいた紅い悪魔は日の出る時間に関わらず地上に姿を見せる。

己の"今の肉体"を保つ為には4〜5リットルの新鮮な血液を摂取しなければならない。それは平均な体重を持つ人に流れる血液と同じ量で更に己の"今の肉体の多種多様な攻撃手段"にはより多くの血液が必要となる。

日の光を浴びて紅い悪魔の身体が急激に燃え上がるも西洋悪魔の外見では無い姿に変化して体内からこの星に来る前に仕留めた宇宙人の黒いローブを身体に纏わせて弱体化した状態で三門市の影から影を利用して移動する。

 

 

旧弓手駅⋯⋯其処に生駒隊の水上敏志は訪れていた。途中剣持が言っていた水色の風車を先に見つけた子供達から関西の豆知識と将棋の知識に趣味の落語を披露して譲って貰い。ジーパンの後ろポケットに入れて目的地に向かった。

オカルト掲示板の内容を真に受けたつもりは無いが、敏志は1人使われなくなった駅のホームを調べていると所々新しく出来たばかりの破壊の痕跡と争った痕跡⋯そして内側から外側に突き破られたフェンスを見つける。

水上「⋯⋯。」

(妙に争った跡に内側から外側に何か強力な物⋯⋯其れこそ人より大きい物を勢いに任せて投げ飛ばされたようやな。それに⋯⋯)

敏志はフェンスの破られた方向に視線を向けながら振り向き見つけたホームの床を跳ぶ為に小さく踏み砕いた獣のような足跡を見つけ

水上(此処まで⋯⋯色々な痕跡と見つけると剣持の言っていた通り何か⋯⋯黒い狼男と悪魔みたい怪物とやらが実在すると認識した方がエエかも知れんわ。)

もし剣持が持っていた地球外生命体探知機とやらあったのなら、反応があると考えながら自転車を置いた所に戻ろうとする。

水上(基本警戒区域は立ち入り禁止⋯⋯)

王子「やぁ、みずかみんぐ。偶然だね?」

高そうなマウンテンバイクに跨った一彰が敏志の前に待ち伏せしていた。

水上「王子⋯⋯俺を尾行してたな。」

王子「いや、本当に偶然だよ。」

水上「どんな偶然や。此処は警戒区域。偶然を装うにはあり得へんやろ。」

取り繕う事もせずに露骨に嫌そうな表情をした敏志に爽やかスマイルで歯を光らせながら一彰は言う。

王子「ははは⋯細かい事を気にするな。みずかみんぐ。イコさんを探す事より警戒区域のこんな所で何かの戦闘の跡を調べている方が大事なのかい?」

水上「王子。お前には関係ないやろ。危ない所首突っ込むな。」

そう言うと敏志は無視するように一彰の前を通り過ぎる。

王子「フェンスに突き破った方と投げ飛ばした方が向かった先に心当たりがあるよ。」

水上「っ!?」

一彰は敏志と背中合わせになった状況でそう意味深に呟く。その言葉を聞いて小さく目を見開く敏志に笑みを浮かべる一彰。

水上(だからコイツは苦手なんや⋯⋯)

水上「何処や?」

王子「案内しよう。」爽やかスマイルで善意100%で言う王子

水上「いや、場所教えてくれるだけでええよ。お前とコンビを組むくらいなら金にがめつく性格の悪い漆間や怖くて厳しい月見さんか柿崎隊の照屋の奴とコンビ組んだ方がまだマシや。」

ランク戦で王子の狡猾な戦略に振り回されるから疑いのジト目で王子を見て言う敏志。

王子「心外だな⋯⋯みずかみんぐ。ボクを信用してくれよ。」

水上「人を平気で裏切りそうな声をしているからな⋯⋯」

王子「運命と正義と自由に翻弄された男の声と言ってくれ。」

水上「誰がオウジン・ザラの話をしろと言った?銀魂の桂の奴みたいに状況を無駄に混沌させそうやから関わりたくたいだけや。」

王子「ハッハッハッハッハッハッ⋯⋯みずかみんぐ!!ボクから情報を貰わないと先には進めないゾウ!?」

一彰は突然、テンション高めの声を出し始めてウザい表情になる敏志。

水上「人の行動を立ち塞がるな。お前はアークエンジェルを毎回邪魔するZAFTの連中か!?帰れやZAFT!?」

王子「往生際が悪いスミくんややらしい戦い方をするカンダタよりはマシだろ。さぁ、ボクを見失うと情報を失うゾウ!?ハッハッハッハッ!!」

水上「人の話を聞け!?」

仕方ないので先行する王子の後を追う為、嫌そうな表情をしながら敏志は警戒区域を自転車で走る。

 

 

王子「おや?丁度か⋯⋯」

警戒区域のとある私有地の稼働が停止した工場から1台のレッカー車が出て来る。一彰の道案内に目的地な到着した敏志は目線を一彰ではなくレッカー車に向けて。

幾つもの穴があいたアルミ製の箱型のバンに壁に全力で衝突したかのようにひしゃげた車体⋯⋯極めつけひしゃげた車体からバンに掛けて四本の一定感覚の鋭利な刃で垂直方向で切り裂かれている事⋯⋯

水上「⋯⋯。」

王子「⋯⋯旋空孤月が使えるトリガー使いでもこの切り裂き方は出来ない。何せ腕が二本しか無いからね。」

水上「複数人で放つ事は?」

王子「それをするには間の感覚が狭過ぎる。真ん中に二刀流の孤月使いに左右に1人ずつ密着して同時に放っても四本の横の一定感覚が広くなって再現は難しい⋯⋯全くボーダーとは関係ない存在の仕業だよ。工場内でもモールクローのような下から上の床を

不自然に貫いた跡もある⋯⋯此処は旧弓手駅からそれ程距離が離れていない。駅で戦った投げた奴と投げられた奴はこの工場で人知れず戦いの続きをしたとボクは思うね。」

レッカー車は残骸となったトラックを修理工場か解体するのか運んで行くのを二人は確認し

水上「剣持が言っていた黒い狼男と紅い怪物か?」

王子「ボクの勘ではそう考えているよ。」

水上「この街で何が起こっている?」

王子「⋯分からない⋯⋯でも正体不明の存在が夜の三門市で激闘を繰り広げているのは確かなようだね。」

水上「イコさんを探さないとあかん⋯⋯」

王子「今回の件に関わっていると?」

水上「巻き込まれていると俺は考えている。」

王子「あてはあるのかい?」

水上「無い。」

その時、敏志のスマホが突然鳴り始めて敏志はポケットからスマホを見ると

【細井真織】

敏志は何かあったのか電話に出る。

水上「もしもし。マリオ。どないしたん?」

細井《あっ!水上!?大変や!イコさんが!!》

慌てた声で部隊の隊長の名を言う。どうやらかなり動揺した状態で電話をしているようだ。

水上「っ!?落ち着いて話してくれ⋯⋯」行方が分からない隊長の名を聞いて何か重要な情報がわかったのか⋯敏志は真織を落ち着かせて冷静に話を聞く。

細井《ネットのニュースとかでイコさんが連続バラバラ殺人事件最重要容疑者になってもうた!?》

「っ!!」

仲間からの連絡はとんでもない内容で情報源は不明だが生駒達人が連続バラバラ殺人の犯人だと各ニュースサイトに匿名でタレコミとして流れているらしい。

細井《一体、どうしたら⋯⋯》心細い声を電話口で言う。

水上「落ち着け。マリオ。俺達がイコさんを信じないでどうする。イコさんは無実や。兎に角、部隊の皆で合流してからこの事をメディア対策の根付室長に協力して貰おう。」

集まる場所について連絡を終えて電話をきる敏志。

水上(誰の仕業や?⋯⋯タレコミ?⋯⋯誰がイコさんに無実の罪を着せようとしている?何でや?)

王子「嵌められたみたいだね。」

水上「他人事みたいに言ってくれるな⋯⋯」

王子「これで警察がイコさんを捕まえようと動き出すね。」

水上「何でこんなよう分からん事が起きた?」

王子「取り敢えず、イコさんを警察達より先に見つけて事情を聞かないといけないな。」

水上「わかっとるわ!?先ずは皆と合流や。」

二人は自転車をボーダー本部の方向へ向けて走り出す。

一方 剣持の方にもスマホが鳴り出してジェットビートルを停車させて誰かの電話か確認する。

【別役太一】

「太一から?もしもし?」

別役《剣持っ!?大変だぁ!?》

「刺股が壊れたなら金属ゴミを捨てる日に捨てろよ。」無表情で淡々と太一の質問に対しての答えを先に言う剣持。

別役《刺股は壊れていない!?じゃなくてイコさんがヤバい!!》

「イコさんが!?どうして?」

別役《良く分からないんですけど、イコさんが連続バラバラ殺人事件の容疑者になっているんだよ!?》

「何だって!?」

太一から教え貰った情報に目を大きく見開く剣持。ネットニュース等でイコさんが最重要容疑者として警察が発表したんだ。

別役《イコさん。⋯⋯犯人なのかな?》

「っ!?そんな訳ないだろ!?太一はイコさんが犯人だと思っているの!?」

別役《俺だって信じたいよ!?イコさんが無実って⋯でもイコさん連続バラバラ殺人事件の少し前からボーダーに全然、姿現さないだろ?怪しいと思っても仕方ないじゃないか⋯⋯》

「⋯それは!」

太一も俺もイコさんが無実と頭では分かっているが、でもそれなら何でボーダーの寮にも大学にも仲間達にも姿を現さないのか?疑いの目が生まれている。きっとボーダー本部にいる同世代の先輩達もイコさんの無実を信じているが、其れを証明するにはイコさん本人から直接事情を聞かないと⋯

「きっと、何か事情があるんだ。僕らで先にイコさんを探そう。イコさんに直接聞いて、事件の時刻や日のアリバイを証明するんだ。」

別役「応!?此方もイコさんを見つけたら連絡する!?」

「あぁ。」

太一との連絡を切り剣持はイコさんの行方が気になるも、同時に真犯人であろう⋯あの紅い怪物をイコさんが警察に捕まるより早く何としても捕まえないといけない。気配探知に反応しない今、怪物の場所を探すのに頼りになるのは、ハリケーンマスク先輩が作った風車だ。

 

 

【カラカラカラカラカラカラ】

「っ!?」

(何処だ!?)

ポケットから出した風車が独りでに回り急いで剣持は風車を掲げて何処から反応しているか確かめる。そして視線を上に向けると放棄区域の方角に普通の人では出せない速さで移動する鮮紅色の光の尾を引くフードと黒いローブを纏った不審者の姿を目撃し

【カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ】激しく回る風車と不審者を剣持は何度も見比べて

(分身!?自転車任せた!?)

(おい、突然何だ!?)

(良いから!?)

(⋯⋯わかったよ!)

監視カメラが映らない位置に出現した分身に自転車を任せて剣持は全速力で走る。

 

 

空腹を感じながら傷の回復に努めていた男は息を潜めつつ敵が動くのを静かに待つ。

【ピキーーーン!!】

??「⋯⋯奴だ。」

尾を引く鮮紅色の光が市街地の影から影を異常な速さで走りその存在をこの地球で感知出来る唯一の戦士も路地裏に座り込んだ身体を立ち上がらせて光の跡を追う。

 

 

「っ!?」

剣持は独り放棄区域を移動する鮮紅色の光を尾に引くフードと黒いローブを纏った不審者の後を急いで追いかけて路地裏で身体能力をフルに使い黒いローブの不審者の前に空中回転し先回りする。

「もうハロウィーンだっけ?僕は聞いてないぞ?」

黒いローブを纏った不審者は目の前に立つ夢想の姿を見て何故か戸惑いの声を上げる。さっきまで煩く回っていた風車はピタリと止まる。

???「君のその身体の奥に流れるレッドサンダーエネルギー⋯⋯同郷の者か⋯⋯」

「っ!?アンタ、レッドスターからやってきたのか!?」

不審者の声を聞いてインセクトタワーで遭遇した黒いローブのナイフ使いとは別人と理解するも其れ以上に不審者が自分と同じレッドスター人の事実に驚くベム。

???「放っておいてくれないか?」

不審者は優しそうな口調で剣持に言うも剣持は不審者に対して警戒心を解く事はせずに寧ろ強める。

「そうはいかない。」

警戒心の上げたまま無表情を辞めて真剣な表情で眼光を無意識に鋭くさせる剣持。

(同じ星の出身者の筈なのに何故目の前にいて気配が探知出来ない⋯⋯違う⋯そんな簡単な話じゃない⋯)

同郷の者から薄っすらと醸し出すのは得体の知れなさと⋯⋯隠しきれない程の夥しい濃厚な血の臭いが黒いローブの内側からした為に一連の連続バラバラ殺人事件について何か関わりないか考えていた。

(ベム⋯⋯この人、何か変だよ⋯)

(何故この星にいるのか⋯⋯目的は何なのか⋯⋯聞きたい事が多すぎる。だが⋯)

((あの紅い悪魔じゃない?))

自分が知っている昨夜の怪物は明らかに身長が4メートルはあった。だが目の前に立つ怪人物は大人の平均身長と変わらない。しかし無関係かと思うには、ローブから漏れる血の臭いが気になり過ぎる。

(もしかして⋯)

「お前は⋯⋯ガイラットの吸血鬼なのか?」

自分でも変な事を言っている自覚がある。昨日の夜見た紅い怪物の他に蝙蝠の特性を持った改造人間を剣持達は目撃している。目の前の不審者は紅い怪物ではなくガイラットの怪人に関連しているのでと疑うのだ。風車の後ろに書かれた悪ノ気配と言うのも紅い怪物を表す単語では無い⋯偶然だが、あの蝙蝠の怪人の関係者が目の前いるのか?

???「何の事だ?」

「この三門市に最近、人の血の9割の血を失って身体がバラバラになる殺される事件と全身の血が失う不審な事件が多発している⋯⋯同郷の者なら何か知らないか?」

あくまでも確認だ⋯⋯だが危険察知能力は反応しなくても、目の前に立つ不審者の雰囲気はインセクトタワーで感じた『黄金の蟷螂』のジェリコと対峙する時の緊迫感のソレに似ていた。どちらかに反応があるかも知れないし、全く関係無いかも知れない。

???「ほぅ⋯⋯そういう事件になっているのか?」

顔を黒いフードで完全に隠した不審者はそう面白そうに言う。

「⋯⋯少しお話をお聞かせてくれますか?」

自分の呼吸音と鼓動音がヤケに五月蝿い⋯⋯冷や汗すら出てしまう。それはまるでホラー映画の主役である幽霊やパニック映画に出てくる殺人鬼やモンスターが登場人物達の背後に忽然と本人に気付かれないように映像に映る恐怖シーンを連想するような感覚だ。緊迫感が1秒ごとに大きくなるも結局何も無かったと⋯⋯ふと安心したと見せかけて映画を観た人が勢い良くビックリしてしまうような⋯⋯そんな緊迫感が徐々に膨らむ中⋯⋯。

???「悪いが私は喉が渇いていてな⋯⋯」

相手の思考を読むや未来が視える能力は無いが⋯⋯香取さん達と観た怖いホラー映画ならこの後起きる出来事は⋯⋯

ロッソ「血に飢えているんだ!?」

「っ!?」

間合いを無視する程の瞬発力で剣持との距離を詰める黒いローブの男に首を締め上げられる。

「がぁっ!!」

尋常じゃない力で首を締め上げられた状態で剣持は反射的に相手の顔に向けて全力でパンチを放ち⋯⋯拳は見事ローブの存在の顔に直撃し大きな衝撃音が辺りに鳴る。

「っ!?」

ロッソ「昨日の私の口に石を投げた時同様に⋯良い判断の速さだ⋯⋯筋は悪くない⋯⋯私の知る同郷の戦える者達でも此処までの実力者はそんなにいなかった⋯せっかく会えた同郷の者として名乗ろう。星緋竜騎士団長ロッソだ。」

顔面に全力の拳を叩きつけられたのに、平気そうに名乗るロッソ

「やはりお前はっ!!」

そして目の前の不審者が発した単語に目を見開く剣持。コイツは自分から昨日、国近さんを襲った怪物と白状した。だがベムは別の意味で不審者の単語に驚く。

(っ!?星緋竜騎士団だと⋯⋯)

(知っているのか?ベム!?)

(俺が生まれるずっと昔にあったとされるレッドスター人達で結成された戦闘集団だ!?だが⋯⋯)

別の攻撃手段を考えようとするも相手の纏う禍々しい雰囲気に飲まれるも

(其れ以前に不味い!!)

必死にフルの両腕の腕力筋力を使い抵抗を試みるもロッソに力負けして意識が遠退きそうになるのを必死に耐える。

「っ!」

その時、持ち物の中にあったキーホルダーサイズに縮小したハリケーンマスクに貰った多目的レーザーサーベルを思い出す夢想。

利き手にキーホルダーサイズのレーザーサーベルを取り出し不意打ちを突こうと考えるも

(この気配⋯⋯待て夢想!!)

夢想が動こうした時、ベムは路地裏の奥に自分が知っている気配を感知して暗闇の方に視線を向ける剣持。

 

 

 

 

 

 

 

 

生駒「⋯⋯なぁ、自分⋯⋯何しとるんや?」

「イコ先輩⋯⋯」

足音と共に暗闇から姿を現したの服装は所々汚れてはいたが間違いなく俺達が探していたイコさんだ。

「逃げて下さい!?先輩!?ぐっ!」

生駒「⋯⋯答えろや!?俺の大切な後輩に何しとるんな!!」

始めて聞くイコさん本気のブチ切れ声に剣持は驚きの表情をする。

戸惑いと怒りを混ぜた目をロッソに向けながらイコは問う。

ロッソ「⋯⋯見て分からないか?コイツの身体中の血を吸い尽くしてからバラバラにするつもりだ。」

黒いローブの奥からタコの足のように無数紅い筋繊維に似た触手が姿を現し先端を様々な刃物の形状に変えて剣持に向けてイコの問いに答えるロッソ。

生駒「っ!!」

ロッソのその言葉に達人のこめかみに血管が浮き出て拳を握り締め目の前のブチ切れた生駒の姿がロッソ達の前から消える。

「消え⋯」

ロッソ「っ!!」

一瞬の斬撃音と共に無数の刃物の形状をした触手を全て斬り裂かれて激痛を覚えるロッソ。

ロッソ(速い⋯⋯俺と互角のスピード。何よりも⋯)

斬り裂かれて痛みを覚えながら自分が捕まえた獲物を奪ったその存在の姿を見てこの星までしつこく追ってきた忌々しい黒い奴を彷彿とさせる。

ロッソ(この星の人間と同化したのか⋯⋯)

「っ!?イコさん⋯⋯なのか?」

狼男「良く頑張ったな。剣持。」

黒い⋯⋯グロテスクな狼男の後ろ姿が夢想の目の前にあった。黒い狼男は剣持を守るように紅い存在に立つのは狼男に限りなく似た存在だが、狼や獣特有の体毛のふさふさは一切なく、戦闘に適したスタイリッシュな生物感溢れた姿をしている。

ロッソ(確か⋯⋯奴らが他所の星の生物と同化した際の名称がある⋯⋯名は⋯)

ロッソ「⋯⋯ガロ。」

ガロ「⋯⋯。」

光が入らない暗闇の路地裏に向かい合い静かに邪魔する者の名を口にするロッソ。

「速い!?」

剣持にそう言うと黒狼男は一瞬で剣持の前から消えてロッソの目前に急接近し鋭い拳を振り下ろすも、拳が振り下ろされるより速く黒いローブの内側から再び姿を現す大量の紅い筋繊維の触手で自分の周囲を覆いガロの高速の連続拳打を全て防ぎ切り、逆に触手から薔薇の棘のように深紅の棘を大量に生やしガロに目掛けて飛ばすも、ガロはロッソから直ぐに距離を離して飛来する棘を全て回避する。

生駒(凄い速さや⋯⋯身体も軽い⋯⋯何処までも走れるし跳べる気がする⋯⋯コレならコイツを倒せる!?そして⋯⋯)

トリオン体に慣れた自分ですらそう感じる程の凄い身体能力と敏捷性を見せるガロは再接近した後に身体をクルッと回して回し蹴りをロッソに向けて放つ。その一撃はロッソに直撃し衝撃が反対側に貫き身体を空中に吹き飛ばされながら⋯⋯ロッソは感情的にガロを睨み

ロッソ「邪魔なんだよ!ワンころ!?」

ガロ「ッ!?」

先端を鋭利な刃状にした無数の触手をガロとその後ろにいる剣持に向けて放つ。

ロッソ「死にやがれ!?」

ガロ「っ!!」

ガロはロッソから再び距離を離して剣持の元に戻り両腕を素早く動かして次々と飛来する触手の先端を捌きつつ触手の中間を両手で捕まえて一気に引っ張りロッソを自分の間合いに近付かせてガロは跳躍からの鋭い膝蹴りを叩き込む。

生駒(何や?この変な硬い手応え⋯)

ガロは両手で掴んでいた触手を離して自分を追尾する触手を引き離しながら真っ直ぐにロッソに接近し指から鋭利な爪を生やしすれ違い様に片腕を振るいロッソが纏う黒いローブを引き裂く。

生駒(っ!?)

「っ!?」

バックステップでロッソは距離を取るも既に身に纏ったローブを引き裂かれた事で不気味な中身が剣持達の目に晒される。

生駒(っ!!何やあの鎧は!?)

「筋繊維の⋯鎧⋯⋯」

流動する赤身色の人間を始め内骨格の生物の皮膚の内側にあるであろう筋繊維を模した鎧兜状に身に纏った西洋の鎧騎士がいた。只の鎧兜じゃないのか⋯⋯筋繊維の鎧兜は各部を小さく鼓動のように伸縮させていてより不気味さを作る。

ロッソ「やってくれたな!ズタズタにしちゃうぜ!?」

ガロ「っ!?」

ロッソが瞬間的に連続して両手から放つ真紅の三日月状のエネルギーの光刃を狼男達に向けて放ちガロは剣持を連れて地面や建物の壁を次々と蹴り回避し高く跳躍しビルの屋上に剣持を優しく下ろし目線を合わせて

「イコ先輩⋯⋯」

ガロ「アイツは俺が何とかする!剣持は急いで此処から離れろ。」

そう言うとイコさんこと黒い狼男は、剣持の元から離れてビルから跳び降りて無数の触手を振るうロッソを剣持から引き離そうとする。触手を利用してアクロバットにロッソに接近して両者取っ組み合いを展開して人間以上の脚力で狼男はロッソを暗闇の路地裏の奥に引き摺り込む。

「イコさん!?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ビルの屋上から一番下まで階段を使い急いで駆け下りた剣持は先程のいた路地裏に戻るも⋯既にイコさんもロッソと名乗った異形のレッド星雲人の姿はなかった。

「イコさんを探さないと!?」

一連の件にイコさんは偶然か必然か関わっているようだ。あのレッド星雲人の事に関しても詳しいかも知れない。イコさんの気配を探ろうと剣持は移動する。

 

同時刻 剣持の自宅

剣持の分身体が自転車に乗って帰宅し自転車置き場に自転車を戻していると

染井「あら?」

私服姿の染井華が自宅前に来ておりインターホンを鳴らそうとした時に剣持分身体と鉢合わせる。

「何の用だ?染井さん。」

染井「自主勉強⋯⋯剣持君は?」

「どうやら、昨日の事と言い⋯⋯また面倒事に巻き込まれているようだ。」

染井「そう⋯」

そう言うと華は淡々と小物入れから出した合鍵を使い剣持の自宅に入る。

「いや、ちょっと!」

染井「自習勉強といったから問題無いわよね。」

「剣持の家で!?」

染井「葉子の家だと途中、勉強に飽きた葉子が対戦ゲームを出して思ったより勉強が進まない傾向があるのよ。」

「他意は無いのか?」

染井「考え過ぎよ⋯⋯」

そう言うと華は慣れた動きでリビングルームで勉強し始める。来客には違いない為に剣持Xは来客用のお菓子と飲み物の準備をして華が座るテーブルに置く。

「どうぞ。」

染井「ありがとう。」

リビングルームで華と2人っきりになるも、剣持Xは華の近くで吸血鬼に関連した本を黙々と読み暫く静かな時間が過ぎていく。

「うん?」

本を読み進める剣持Xの手が急に止まり

染井「どうしたの?」

「本体からのテレパシーで生駒達人の気配を探ってくれと連絡が来た。」

染井「生駒隊の隊長さんに何かあったの?」

「分からん。三門市に複数の妙な気配も感じるし⋯」

【ピンポーン。】

玄関のインターホンが鳴り剣持Xと華は視線を交わし

「⋯⋯染井さんは此処にいてくれ。」

染井「わかった。」

そう言うと剣持Xは読書を途中で辞めてリビングルームから玄関の方は行く。

 

「どちら様でしょうか?」

(危険察知能力は発動して⋯⋯待て?この気配は⋯)

剣持Xは玄関の扉を内側から開けると

真琴「どうも〜こんにちは。」

玄関の外にはいたずらっぽい笑みを浮かべ挨拶する私服姿の黒野真琴と志岐小夜子が立っていた。剣持Xは二人に視線を向け更に青い軽自動車の運転席にセバスと目が合い互いに会釈して

「突然ですね。真琴先輩。志岐さん。」

真琴「まぁね⋯⋯さて、家に入れてくれないかな?」

「用件は?」

真琴「当ててみて?」

試すように⋯⋯反応を愉しむように彼女は笑みを浮かべて俺に言う。

(昨日の夜の事件に関する事か⋯⋯)

真琴「昨日の夜、私達と別れた後、柚宇と一緒に事件の犯人らしい奴と遭遇したらしいじゃない。」

志岐「えっ?」

真琴「柚宇が色々と教えてくれたよ。さて⋯⋯何か私達に言う事は無い?」満面の笑顔で明るい口調から冷たい口調に魔法みたいに変わり剣持Xに問いかける真琴。

「⋯⋯。」

剣持Xは無言で扉を開き真琴達を家に招き入れる。

真琴「お邪魔します〜」

志岐「⋯お邪魔します⋯⋯。」

そして剣持Xは秘密を知る者達が家に集まった為に急ぎ彼女の話し相手に本体をテレパシーで呼び出す。

 

真琴「うん?」

志岐「誰か来ているの?」

靴を脱ごうとした時、玄関に並べられた靴の中に見慣れない運動靴があった。

「あぁ。自主勉強に来客がな。」

志岐「そう⋯」

小夜子と真琴は靴をきちんと脱ぎ、リビングルームに向かい。

染井、志岐「あっ⋯」

互いの存在を確認する。

染井(来客はこの二人だったのね⋯)

志岐(自主勉強に来たのは香取隊の染井さんか⋯)

「少し待ってくれ。今、お茶とお菓子を持ってくるから。」

志岐「お構いなく。」

 

お茶やお菓子を準備しながら分身は本体にテレパシーを使う

(聞こえるか本体?)

(イコさんの居場所が分かったのか?)

(いや、一度自宅に帰宅しろ。お前に来客が来ている⋯⋯)

(此方は色々と事態が急転しているんだ!?さっきも説明したけどイコさんが⋯)

(来客は、染井華に志岐小夜子に黒野真琴の三人だ。しかも三人の内の二人がお前が遭遇した昨日の夜の事件について聞きたい様子だ。国近先輩が真琴さんに色々と言ったらしい。)

(直ぐに戻る。)

分身のこの様子⋯どうやらイコさんを探すより真琴先輩達の対応を優先した方が良いらしい。剣持夢想はイコさんの事を申し訳ないと思いながら自分の分身の気配を特定しワープする。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

『お化け屋敷』の中央病院の病室にて

桜井「うぅ⋯⋯う⋯⋯っ!?」

病室のベッドで横になる男は意識を覚醒させて険しい目で病室の天井を見る。

黒野「落ち着け、ベルサード。此処は『お化け屋敷』の中央病院だ。」

桜井「っ!?⋯⋯黒野⋯。」

零次は黒野の顔を見て冷静に自分に何が起きたのか思い出し⋯⋯険しい表情を大人しくする。

桜井「皆は?」

零次は病室を見渡すと自分以外のヒーロー達の姿が無い事に気付く。

黒野「仲間達は全員お前より早く目を覚まして蝙蝠の怪人の居場所を捜査している⋯⋯」

桜井「なら俺も⋯⋯痛っ!」

零次はベッドから起き上がろうとする途中、痛みで苦痛の表情を見せる。

黒野「⋯焦るのは分かるが、出動するまで休んでろ。」

桜井「だがそれじゃあ⋯⋯」

黒野「『お化け屋敷』の連中を信じろ⋯⋯」

零次にそう言い黒野は病室を後にする。

 

刃「シゲハルのおっさん。何か情報は見つかったか?」

公共の道路ではなく市外の森近くに置かれた2台の年季が入ったオンボロバス。このバスは見た目はバスだが内部は簡素な事務所に作られており超空忍者シゲハルの探偵事務所として使われているのだ。その事務所に刃は足を運びガイラット関係の情報が無いか様子を見にきた。

シゲハル「あぁ。アラシ隊員から貰った証言をベースに同業者達から三門市で人の出入りが急に変化して建物や連絡が取れなくなった人達について調べていたんだ。」

昨日の夜アラシ達はバットラーが連続バラバラ殺人事件の犯人かと思ったがバットラーは容疑を否定し実験場で実験用吸血鬼達の感染データを収集していた証言していたらしい。

刃はバスの窓からボーダー本部の方に視線を向けながら言う。

刃「この街じゃあ行方不明は珍しくは無い⋯⋯異次元から人を襲う侵略者が現れるんだ。異次元からの人攫いだっているだろう。」

シゲハル「勿論、日本での年間行方不明者数は膨大だ⋯⋯それから三門市に範囲を絞って更にガイラットが関わっているだろうと絞り込むにも並大抵のことでは無い⋯」

刃「でも何も手掛かりが無い訳じゃないんだろう。」

剣持達が撃退した実験用吸血鬼も元は人間で当然、何処かの住所に住んでいる筈だ。

シゲハル「実験のデータを多く確保する為に大勢の人間が集まる場所⋯⋯情報部のマスター・Kは集合住宅の可能性を考えている。」

刃「何処かのライブ会場⋯或いは学校や映画館とかではなく?」

シゲハル「確かにその場所も人が大勢集まるが⋯⋯その場所周辺に生体改造ウイルスが感染していたら付近は嫌でも目立つ。何処かへ出掛けた人が最後に必ず帰る集合住宅を実験場にした方が多くの実験データを収集するには好都合とマスター・Kは判断して私もその方面で調べている。」

刃「流石はマスター・K。全人類抹殺団の首領をやっていただけあって悪の組織の考えそうな事は直ぐに思い浮かぶな。」

シゲハル「特定の集合住宅の住民全員と連絡が取れなくなったのなら其処がガイラット生体改造ウイルスの実験場だ。」

刃「逆に不特定多数でも大家や住民との連絡や出入りが分かるなら其れはガイラットとは関係ない案件と⋯」

シゲハル「あぁ。」

刃「三門市中の連絡の確認が終えていないマンションやアパート関連のリストを見せてくれ。ちょっと俺も調べてくる。」

シゲハル「ありがとう。刃。」

 

「お菓子とお茶です⋯」

自宅の台所にワープした剣持は超能力で靴を脱ぎ玄関に置いて分身から貰ったトレーに載ったお菓子とお茶をリビングルームのテーブルに置く。

真琴「ありがとう。」

志岐「いただきます。」

お茶とお菓子を味わう二人の様子を静かに眺める剣持。

 

真琴「このお菓子。美味しいね。」

志岐「そうですね。」

「皆のお口に合って良かったよ。」

染井「⋯⋯。」

華も自主勉強の手を止めて無言で剣持Xに出されたお菓子を食べる。

「其れで⋯⋯昨日の夜の事件について聞きたいんですか?」

染井(昨日の夜の事件?)

真琴「そうだよ〜」

「事件の関係者でも警察関係者でも無いのに?」

真琴「うん。」

「教えないぞ。」

染井、志岐(そりゃあ、そうなるよ⋯)

真琴「えっ〜〜!教えてよ〜ほらっ志岐ちゃんも知りたい顔をしているよ。」

志岐「えっ!?⋯⋯た、確かに気になりますけど⋯」

「さっきも言ったですけど、皆事件の関係者じゃないから⋯」

染井「なら今日の巻き込まれた事件についての進展は何も無いのね?」

何気なく会話に参加していなかった華がお茶が入ったマグカップを持ちながら剣持に確認を取る。

(どうして其れを!?)

(夢想、動揺するな!)

「っ!!⋯⋯無いですよ。」

まさかの華の言葉に無表情の状態で一瞬、目を小さく見開き間があって答える剣持。

染井、真琴、志岐(⋯⋯あったな⋯⋯)

小さくも動揺の反応を確認した三人の視線が剣持に向けられて長く短い静寂がリビングルームに漂いその静寂の中に圧を覚える。

無表情の剣持は三人の顔を見渡してゆっくりと⋯話を自分から切り出す。

「⋯⋯今、三門市を騒がせている二つの凶悪事件⋯⋯一つの吸血鬼事件は忍者部署のヒーロー達が戦っていた蝙蝠の怪物が犯人と見て間違いないと思う。」

志岐「⋯もう片方は違うの?」

染井「⋯⋯。」

「⋯もう片方の連続バラバラ殺人事件は⋯⋯恐らく⋯俺と⋯⋯俺と同郷の奴の仕業だ⋯⋯」

言葉を途切れ途切れにしながらゆっくりと剣持は真琴の部屋の窓の景色に映る沈もうとする夕陽を眺めながら言う。

染井「⋯同郷⋯⋯」

同じ故郷⋯⋯同じ出身を指す言葉が剣持の口から出されて⋯三人は自然と剣持に視線を向けて剣持も志岐達の方に視線を合わせる

真琴「つまり⋯⋯バラバラ事件の犯人は普通の人の仕業じゃなくて⋯剣持君⋯ううん。レッドマンの故郷の星からやってきたの?」

「あぁ。だが⋯」脳裏に過る筋繊維の鎧兜と一体化した異形の存在に無意識に剣持の言葉が詰まる。

志岐「どうしたの?剣持君⋯」

普段ならテキパキ相手に対しての情報を言う彼は珍しく言い難そうにしていた為に志岐は尋ねる。

「⋯⋯同じ星の出身にしては、余りにも同族としての面影が無さ過ぎる⋯⋯」

真琴「色の割合とか身体の模様とか違ってもレッドマンと基本は同じじゃないの?」帰マンと初代マンの姿を思い出しながら真琴は言う。

染井、志岐(色の割合と身体の模様って何?)

参考対象が分からないオペレーター達は訝しみながら二人の会話を聞く。

「真琴先輩の言う通り俺の故郷⋯⋯レッド星雲人について基本、俺の本当の姿と大差は無い⋯だからこそ、あの異形の外見は外から何かをしないと⋯あぁはならない⋯⋯」

染井「何か心当たりがあるの?」

「確証は無いがな⋯⋯⋯俺が地球人で言う5、6歳の頃⋯⋯俺は故郷の街で変わり者の年寄り達に集まりで行っては話を良く聞いていた。」

真琴「⋯⋯老人会みたいな?」

「そんな所。」

「本だけでは分からない⋯⋯年寄り達が経験した様々な星の住民達や怪獣についての話や違う星の環境や荒事や喧嘩の仕方に対処法と色々と為になる話を多く聞いた。」

志岐(懐かしんでるなぁ⋯⋯)

「その年寄り達の中で一番年齢が高く周りからは長老と呼ばれていたレッド星雲人は、俺に主にレッドスターの星について色々な知識を伝える中で、星の歴史や色々な伝承について教えてくれた。」

志岐「伝承⋯⋯中々興味深いね。」

「紅い蝙蝠伝説⋯⋯レッドバットの伝承だ。」

真琴「⋯⋯どんなの?」

「約3000万年前のレッドスターの勇者の領地通称人喰いの地に目撃される都市伝説の紅い怪物だ。」

染井「人喰いの地の紅い怪物⋯⋯」

「その土地について調べた学者や財宝目当てに来たならず者達が生きて帰ってきてこない事から周辺の地の人々からそう言われた伝承だ。」

真琴「3000万年前⋯⋯超古代の時代だね⋯」

ウルトラマンティガと咄嗟に言いそうになったが混乱させるだけと考えて言わない黒野真琴。

志岐「今回の犯人はそのベムの星の都市伝説の怪物って事?」

「さっきも言ったが、確証は何も無い⋯⋯この国の都市伝説に登場する存在も人々の噂が集まって形作られたのが殆どだろ?」

志岐「⋯⋯人面犬や口裂け女やトイレの花子さん的な?」

「世界各地のUMAと似たような物だよ。遠くの姿を捉えた写真や痕跡は見つかるのに確実な物証は見つからない。有名な都市伝説の存在な程な⋯⋯」

真琴「だから確証が無いか⋯⋯でも心当たりがあるって言っていたよね。」

真琴(分類的にはアークベリアルのようなウルトラマンが怪獣化したのに近いのかな?)

染井「⋯⋯どういう怪物なの?」

剣持はブラム・ストーカーが執筆した吸血鬼ドラキュラの小説に目を通しながら言う。

「背中に赤い蝙蝠の翼を生やして尻尾をある真っ赤な異形の2足歩行の人型の怪物で何回か年寄り達が伝承の説明をする時に絵画を見せてくれた。おどろおどろしい不気味な怪物の絵画だからヤケに印象に残っている。」

 

夜の空を表現する暗い絵の具の背景に無数の真っ白⋯⋯両目から赤い血を流す青白くなったレッドスター人の頭だらけの山の上に禍々しい真っ赤な翼を拡げた耳が横に長く尖って独特な形状の黄色い眼球に白い鋭利な牙を生やした怪物の絵を思い出すベム。

 

志岐「詳しい資料とか持ってないの?」

「3000万年前の資料なんて⋯⋯宇宙人から見ても壁画とか古代遺跡のレベルだ。資料なんてないよ。」

染井「資料も殆ど無い⋯⋯生態や習性が謎⋯⋯実質、新種の危険生物って事ね。」

「だが奴は人間の姿になった俺を見て同じ星の出身の宇宙人と一目で見抜いた。向こうからは俺の身体に流れるレッド星雲人のエネルギーを感じるようだ。」

志岐「剣持君はその怪物の気配を感じないの?」

怪獣の気配を感じ取る能力を知る小夜子はそう尋ねる。

「あぁ。目の前に居るのに何の気配もエネルギーもまるで感じなかった。気配を察知能力が⋯⋯あの怪物には効かない⋯⋯⋯」

志岐「良く助かったね⋯⋯」

「⋯⋯怪物に襲わそうになった時、イコさんが助けに来てくれた。」

染井「え?」

突然、剣持の口から行方が分からない生駒隊の隊長の名前が出てきて驚く華。

「一度目は昨日の夜、怪物に襲われている国近先輩を助けようとしたけど、空中から太刀川隊の国近先輩と謎の少年の三人で怪物から投げ捨てられた時⋯⋯二度目は紅い悪魔に首を締め上げられた時⋯⋯イコさんの全身から黒いネバネバが出てきて⋯⋯あれはブラックスターの生物兵器だった。」

志岐「生駒隊のあの面白隊長さんが、今回の件に巻き込まれているの?」理由は不明だが怪事件に生駒隊の隊長が巻き込まれている事実を知る三人。

「うん。どうしてブラックスターの共生体と同化しているのか状況はまるで分からないけど⋯⋯イコさんと黒い共生体はあのレッドバットについて何か知っていると思う。俺はこれからイコさんを探しに行く。」

志岐「何処にいるか分かるの?」

「あぁ。場所は分かる。」

染井「誰かが警察に生駒隊長を事件の容疑者したから急いで探した方が良いわ。」

事情知る者達が頷き剣持は自宅の窓の向こう側の外の景色に意識を向けて

「⋯⋯そのようだ⋯⋯悪いけどコレから色々とゴタゴタしそうだから皆は⋯」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青い軽自動車内

真琴「にしても良く剣持君が今日も怪事件に巻き込まれたの分かったわね⋯⋯」

助手席に座る真琴、後部座席に座る小夜子と華。互いに窓の景色をバラバラに向けながら真琴は華に向けて話し掛ける。

染井「⋯⋯。」

あの後やんわりと『今日はもう帰ってほしい⋯』と剣持言われて華を含めた三人はセバスの自家用青い軽自動車に乗せられてそれぞれの家まで送ってもらっていた。今回は理由も納得出来るし自分達で手伝える事が無いと分かったから大人しく言う事を聞く。

志岐「何か嘘をつく癖でも見つけたんですか?」

窓から視線を外して華の方に視線を向けた小夜子も尋ねる。

染井「⋯⋯⋯そんなんじゃないわ⋯⋯確証も何も無い⋯⋯少しカマを掛けたら向こうが勝手に心当たりに反応して動揺しただけ⋯⋯」

真琴「本当にそう思っているの?」

染井「さぁ⋯でも⋯⋯剣持君本人は素直な方だしレッドマンと違って周りの為とはいえ隠し事や嘘をつく事に罪悪感を覚える方だと思う。」

実際、今と違い知り合いから見たらかつての夢想は表情に出る方だと思う。

志岐「⋯⋯良く剣持君の事を見ているんですね。」

染井「⋯⋯そうね。⋯⋯付き合いが長いから⋯⋯」

華は窓の向こう側の景色を眺めこの時、昔の夢想と過ごした楽しい日々を思い浮かべながら言い。その時の華の表情は、普段の作り笑いと違う素敵な笑顔をしていた。

 

ボーダー本部は殺人事件の容疑者にされた生駒の無実を信じて彼を警察より先に探そうと行動する。各A級、B級も生駒が行きそうな場所に向かい生駒の捜索を行う。

 

だが⋯⋯そんなイコを探すボーダー隊員達に不審な襲撃者が三門市の各地から現れる。

弓場「イコ。見つけたぞ。」

生駒「⋯⋯。」

同年代の友達と共にイコを必死に探していた琢磨の目の前に生駒達人が目の前に現れる。

柿崎「取り敢えず、見つかって良かった。イコ。ボーダーの上層部が事件の事について聞きたいから本部に一緒に行こう。」

そう真顔の生駒に説明しながら柿崎は近付き⋯⋯殴り飛ばされる。

柿崎「がっ!」

深々と生駒の肘打ちが顔面に入り追撃の正拳突きを貰い意識を手放す。

弓場「国治っ!?⋯⋯イコっ!?テメェ国治に何しやがる!?」

友達に突然、暴力を振るった事に怒りを顕にする琢磨の声に反応した生駒は視線を意識を失って動かない柿崎を無視し琢磨に向け

生駒「⋯⋯。」

弓場(⋯⋯何だ?この違和感。)

服装、背丈、顔の特徴⋯⋯何もかも同じなのに⋯⋯琢磨は疑問を覚えるも拳を握り締めて迎撃の構えをする。何処からでも来ても対処しようと意識を生駒に集中させるも、生駒の姿は忽然と消えて

弓場「っ!?」

反射的に琢磨は一瞬で背後に回った友達の真顔の生駒に向けて拳を放つも、

生駒『よう!弓場さん!?一緒にランク戦しようや!?』

弓場「っ!?」

琢磨の脳裏に一瞬、生駒と過ごした思い出が思い浮かび生駒の目前に拳が止まる。当然、生駒の方は拳を止めはしない。風を切る音と共に顔を殴り飛ばされて勢い良く道路に倒れた琢磨は顔を起き上がらせながら生駒を睨み付けて確信を口にする。

弓場「テメェは⋯⋯イコじゃねぇな⋯⋯誰だ⋯⋯」

そう言うと琢磨はガクッと意識を手放す。

照屋「柿崎隊長!?」

帯島「弓場隊長!?」

別の方向でイコを探していた部隊員が力無く倒されている隊長達とそれをしたと言う生駒の姿を目撃する。

生駒「⋯⋯。」

真顔の生駒はそんな二人の姿を見て拳を握り締めて一気に接近する。

照屋「速っ!?帯島ちゃんは下がって!?」

照屋(躱せない!?せめて帯島ちゃんだけでも⋯)

状況が分からないも年下のユカリを庇うように文香は前に出る。

拳は文香の顔に直撃する前に⋯⋯止められる。

甲斐馬「⋯⋯前に女の子にモテたいとか言ってた癖に躊躇せずに女の子に暴力を振るおうとは、流石に冗談キツくて笑えないな⋯⋯イコ。」

照屋「っ!」

余りの速さで回避が間に合わないと思って覚悟していたが、助かったと知りガクッと腰が抜けてしまう文香。

帯島「照屋さん!?」

隼人は生駒の片腕を握りながら倒されて気絶している琢磨達に視線を向け状況を断片的に理解する。その間、生駒は隼人を敵として見て直ぐに隼人に向けて凄まじい高速の拳打を振るうが、その全てを最小限の動きで躱し生駒の思考を読み生駒の正体を突き止める。

甲斐馬「イコ⋯⋯俺と本気の喧嘩したいなら、黒焦げになる覚悟した方が良いぞ。」

一瞬で姿を消す程の速さで動いた生駒に向けて隼人は相手が現れる先に向けて護身用スタンガンを最大出力で叩き込み生駒は壁に叩きつけられる。

生駒「っ!?」

スタンガンでダメージを受け何も言わずに生駒は隼人から逃走し隼人は生駒の後を追わずに琢磨達の方に優先させる。

甲斐馬「二人ともコイツの知り合いか!?」

帯島「は、はいッス!?」

腰が抜けた文香の傍にいて唯一無事だったユカリが隼人の質問に戸惑いながらも返事をする。

隼人は手早く柿崎と琢磨の状態を確認してユカリも近付き隼人に聞く。

帯島「あの⋯⋯弓場隊長は無事なんですか?」

甲斐馬「見た所、さっきの奴の拳の強い打撃で気絶させられただけだ⋯君は念の為、救急車に連絡してくれ。」

帯島「はいッス!?」

甲斐馬「そっちの君は気絶している二人の傍に居てほしい。」

照屋「はい!?」

何とか歩けるようになった文香は国治達の元へ駆け寄り其れを確認した隼人は立ち上がり

甲斐馬「悪いが、俺はコレから用事があるから此処でお別れだ。」

照屋「え!じゃあ、せめてお名前を教えてくれませんか?」

危ない所を助けてくれた恩人の名を訪ねる文香だが、隼人は少し困った笑みを見せて

甲斐馬「悪いが、名乗る程の者じゃない⋯⋯じゃあな!」

そう言うと隼人は友達の琢磨達と別れて本来の目的⋯蝙蝠の改造人間の居場所を捜索を再開する。三門市の各地でイコを捜索する隊員達の前に生駒は姿を現れて隊員隊長達へ有無を言わさず襲撃を仕掛ける。怪我人が多数出ていた為にボーダー上層部は生駒達人の捜索と自衛の為にトリガーの使用を許可してトリオン体に換装したボーダー隊員達は生駒を探す。

 

そんな自分が追われる立場になっているのを知らずに紅い怪物を逃がしてしまった生駒達人本人は路地裏から人通りが多い歩道に姿を見せる。連続バラバラ殺人事件の容疑者にされた為に付近の人達は、イコの姿を見た途端、恐怖の悲鳴を上げて逃げ惑う。

女性「きゃあ〜〜!!殺人犯よ!?」

生駒「えっ!ちょっ!」

男性「誰か警察を呼べ〜!?」

生駒「ち、違う!?俺は殺人なんかしてへん!!」

飛び交う恐怖心が篭った悲鳴に戸惑いながら弁明するも誰も聞く耳を持たず恐怖と悲鳴が伝染する。その悲鳴を聞きつけた警察やボーダーの隊員がトリオン体でイコの前に現れる。

ボンド(捕まるのは不味い!!逃げろ!?)

状況確認もままならないまま、イコはボンドに言われてその場から逃げる。そのイコの後をボーダー隊員や警察は追う。両手から黒いネバネバを出して建物の屋根から屋根をイコは慌てて移動する。

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水上「?」

敏志は急ぎ生駒を除いた生駒隊の面々と合流しようと合流先に目指す。そして隊の面々の姿を見つけて⋯⋯何故か違和感を覚える敏志。その面々に意識を割っていた敏志と一彰の背後に生駒の鋭い一撃が迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自転車が横に倒れる音が虚しく響き渡り気絶した敏志と一彰の前に黄金の仮面に白いローブを身に纏った者が忽然と姿を見せる。

ゴメル「首尾は問題ないですか?」

生駒隊の面々の姿を投影したホログラムの電源を切り生駒は姿を現したゴメルに従者の体勢をして元の姿に戻る。

偽生駒改めゴドラ星人「はい、ゴメル様。このボサボサブロッコリーで最後です。」

ゴメル「宜しい。では例の教会にいる彼に渡しなさい。」

ゴドラ星人「御意。」

ゴドラ星人は敏志を担ぎ上げその場から姿を消す。

ゴメル「⋯⋯⋯さぁ~。来るなら来い。ヒーロー。」

三門市に散らばる宿敵達に向けて愉快に言うとゴメルも姿を消して後に残ったのは、一彰のみ。

 

日が完全に沈み夜の時間となった三門市。

近くに捨てられていたブルーシートを頭から被り身体を震えながらイコは世界中の全てが敵になったと錯覚しどうしようもない一人ぼっちの恐怖に苛まれる。

生駒「っ!?」

一つの足音が自分の方にだんだん近付いてきて身体が恐怖で震わせる達人。

生駒(どうして⋯⋯どうして⋯⋯こんな事になったんや⋯⋯)

恐怖心が風船のようにどんどん膨れ上がる中で足音がピタッと止まり達人は兎に角声や呼吸音を立てないように口を手で押さえる。

「⋯⋯イコさん?」

生駒「っ!?」

「俺です。剣持夢想です⋯」

聞こえてきた声に思わず声を出さずに反応してしまいブルーシートが揺れてしまう。

【ぐぅ~〜】

「お腹の音で返事するんなんて食いしん坊のゾエさんみたいですね。」

何かを言うよりも早くお腹の音が鳴ってしまい達人は恥ずかしくなった。

「取り敢えず、もう夜ですし何処かで飯でも食べませんか?今夜は奢りますよ。」

生駒「⋯⋯剣持。」

ゴソゴソとブルーシートから顔を出して夢想と向き合う達人。沢山言いたい事があるのに⋯⋯相手の顔を見ていたら言葉が出てこなくて、自然とまだ自分に味方がいると分かった安心感で目から涙が溢れてくる。

生駒「剣持〜〜!!」

思わず剣持に涙を噴水の如く流しながら心のままに抱き着こうとスローモーションで接近するも、剣持は無駄の無い動きで抱き着こうとする達人を華麗に受け流す。

生駒「此処で受け流すん!!」渾身のショックな表情のイコ

「すいません。職業病です。」淡々と無表情で答える剣持。

生駒「コレは?」

「素顔のままだと皆、大騒ぎするから変装用の紙袋です。」

生駒(甘い良い香り⋯もしかして何か食べ物を購入してくれるたんか?)お腹が減っているから自然とそう連想するイコ。

「中身のたい焼きは此処に来る途中で食べました。」

達人は誰にも見せた事の無い凄いショックな別バージョンの顔を夢想に見せる。

「さぁ、行きましょう。」

生駒「ちょっと待って!先に覗き穴と口が露出してないから作らんと。」

「別に下着姿でも無いでしょう。」

生駒「紙袋被ってパン一姿ならもう不審者やん!?」

「最強のトリガーを持っても格好つきませんね。」

生駒「本当や。よし!出来た!?」

??「おい?」

「「っ!!」」

二人は外食しようと行動すると、突然、背後から声を掛けられ瞬時に臨戦態勢を完了する剣持と達人。

マスター神父「漸く見つけたぞ。」

「カフェのマスター⋯⋯」

真琴先輩がバイトしているカフェのマスターが二人の前にいた。

「すいません。何の用か知りませんが今、俺はこのペーパーバックマンと外食する予定です。」

生駒「どうも、ペーパーバックマンです⋯⋯紙袋男って何や?もっとマシなあだ名無いんかい?」

マスター神父「ふ~ん。一番美味い外食の店教えようか?」

二人のやり取りを見ながらマスターは言う。

生駒「何処や?」

「ちょっと!?ペーパーバックマン!!」

マスター神父「俺の店。」淡々と二人を見ていたマスターは答える。

「⋯⋯。」

マスター神父「取り敢えず、ついてこい。飯を出してやるよ。」

生駒と剣持は互いに顔を見合わせ考えた末マスターの店に向かう事を選ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カフェブラックスター2号店内⋯⋯店の電気をつけマスターは厨房で料理の準備する。静かな雰囲気が店内を満たしマスターの手際よい調理の音が聞こえる中でカウンター席に並んで座り料理が出来上がるまで達人と夢想は暫く無言になるもやがて夢想の方から話し掛ける。

「一体、何があったんですか?」

単刀直入に聞く剣持に真顔で向き合う達人。

生駒「驚かない?」出されたお冷を飲みながら達人は剣持に確認するように言う。

「昨日今日、紅い悪魔や黒い狼男を見て一体、何に驚くんですか?」

マスター神父「っ!?」一瞬、剣持の発言にビクッとするマスター。

生駒「そうやな〜〜色々とスケールが大きい話なんや。」

「早く言って下さい。」

ボンド「生駒を責めないでやってくれ。剣持夢想君。」

突如、生駒の身体から声と共に黒いネバネバが現れてネバネバ狼状の頭を形成して夢想と対話をする不定形生物。

生駒「ちょっ、ボンド!!」

「っ!?」

「⋯⋯近界民⋯⋯では無いですよね。」

出現した黒いネバネバに無表情で驚きの声を出す剣持。

ボンド「⋯⋯思ったより驚いていないんだな。」

「まさか⋯⋯普通に驚いていますよ。」

(間違いない⋯⋯ブラックスターが非戦闘員を即戦力用の戦闘員にする為に開発した共生型生物兵器ザビラ⋯⋯)

ボンド「俺の名はボンド。君達の言葉で分かりやすく説明するなら寄生生物型宇宙人と言えば良いかもな?」

「成る程⋯⋯」

生駒「順応するの早ない?」

「宇宙人とコンタクトするのはコレが最初じゃないんですから。」

生駒「えっ?」真顔で驚く達人。

「それで、ボンドさんは地球侵略する為にイコさんに寄生したんですか?」

ボンド「イヤ、地球に逃亡した悪魔のような連続殺人犯を追ってきた。三門市で犯人を捜索中に人の生き血を吸って殺害した怪しい奴の攻撃に生駒は巻き込まれて瀕死の重傷を負い急いで同化して助けたんだ。」

「そうだったんですか?」

ボンド「こんな姿でも銀河連邦警察の異星人凶悪犯罪を担当する捜査1課の刑事なんだ。」

マスター「宇宙刑事?」

「刑事の人だったんだ。」

ボンド「証拠の警察手帳だ。」

前足から警察手帳を取り出して剣持は其れをマジマジと眺めて、

「本物のようですね。」

ボンド「本物だからな。」

手帳をしまいボンドは言う。

ボンド「凶悪犯の名はレッドバット。地球各地で神出鬼没に現れるレッドマンと呼ばれる巨人と同じ星の出身の星雲人で数多の星を渡り殺人を繰り返す悪魔のような怪物だ。」

「昨日今日見た紅い奴⋯⋯」

ボンド「あぁ。既に奴の手によってこの街にも罪も無い被害者は出ている。逮捕するのに協力して欲しい。」

生駒「アカンで!?ボンドさん。剣持は訓練隊員で弱いんや。取り敢えず、此処で晩御飯を食ったら犯人探しに戻らんと。」

ボンドの提案に異議ありのポーズをして言う達人。

ボンド「しかし、生駒は警察やボーダーに何故か殺人事件の重要な容疑者扱いをされて追われている。」

「⋯⋯誰かが貴方達の捜査の妨害をしているのかもしれません。」

生駒「誰かって誰の事や?」

「その殺人犯に協力する悪い仲間とか⋯⋯広報活動する嵐山隊の人なら兎も角、イコさんは世間的に有名な人ではないですしボーダーの評判を落とすのを狙いではなくイコさんに寄生するボンドさんの邪魔をするのが狙いと考える方が自然と理に適います。」

生駒「何てこった!三門市の全てがハンターで俺は逃走中の逃走者かい!」三門市の全てが黒服サングラスを想像し

「まるで【マトリックス】や【メイ・イン・ブラック】な状況ですね。」

生駒「他人事じゃあ無いんだけどな⋯⋯」しょんぼりした雰囲気で言う達人。

「仮に警察やボーダーに誠心誠意に事情を説明してもその間に殺人犯は別の人を殺害する。僕も協力します。」

生駒「いや、気持ちは嬉しいけど危ないで!?此処は俺とこのボンドの奴に任せてくれ。剣持に其れこそ何かあったら、亡くなった剣持の家族に申し訳ない。」心から剣持を心配するイコの優しさを感じながらふと出てきた疑問を口にする。

「⋯⋯ボンドさんは、どうして1人で地球へ?」

ボンドはその質問に対して暫し考え込み話し始める。

ボンド「レッドバットに苦楽を共にした相棒が殺された。」

「えっ」

ボンド「相棒はイヌ属の哺乳類が進化したウルフ星人と言う宇宙人で俺は相棒を殺した奴を必死に追い掛けて此処まで1人できたんだ。生駒。君には迷惑ばかり掛けた。すまない。」

生駒「⋯⋯⋯⋯本当や。でもソッチの事情を知った今は⋯⋯許す!」

ボンド「生駒⋯⋯。」

(つまり⋯⋯事情も知らないまま色々と大変な目にあったんだな。)

人知れない生駒先輩の苦労を察する剣持。

生駒「良い相棒だったか?」

ボンド「俺には贅沢過ぎる程の⋯⋯優しくて良い奴だったよ。」

生駒「⋯⋯そうか。」

ボンドには正直思う事が多すぎる。このネバネバ狼のせいでこんな酷い目にあっているとも言える⋯⋯でも、死んだ大切な人の為に右も左も分からない星で⋯⋯殺人犯を追い掛けて⋯その途中、見捨てても良い死にそうな自分を助けてくれた。共に過ごして悪い奴じゃないのも分かっている。きっと⋯⋯俺が分離してくれと頼んだらコイツは多分二つ返事で分離するやな。

生駒(そして例え1匹でも凶悪で強い殺人犯と対峙する⋯⋯⋯ボンドはそういう奴や⋯)

生駒(俺は何をする事が正解なんや?)

 

ボンドを身体の内側に入れながら紅い怪物がしたであろう連続バラバラ殺人事件の幾つもの現場を見て何を思った⋯⋯何を感じた⋯⋯

 

亡くなった被害者達の友達や恋人や知り合いや家族の泣いた姿が達人の脳裏に過る。

生駒「っ!?」

⋯⋯答えはもう俺の中で出ている筈や⋯⋯⋯三門市に住む人達を近界民から守る為に俺は京都に来た外部スカウトの話を受けたんや。

 

 

 

アイツを⋯⋯レッドバットを⋯⋯野放しにしておく訳にはアカン。

 

 

 

自分自身の意志でボンドに協力しようと決心する達人。その佇まいは正に侍⋯⋯

厨房から美味しそうな匂いがして二人と一匹は厨房の方に視線を向ける。向けながら剣持はイコに言う。

「イコさん。1人で何とかしようと思わないで下さい。僕達が居ます。」

生駒「さっきも言ったが剣持。今回ばかりは⋯⋯お前もボーダーの皆も巻き込む気はないで。」

「決心は固いようですね。」

生駒「スマンな。でも正直に言うと不安なのも理由なんや。」

「僕達ボーダーを信じられないからですか?」

生駒「⋯そうやな。何時もなら仲間達を無類の信頼が出来るのに⋯」

「⋯⋯無理ありませんよ⋯⋯⋯怖かったですか?」

生駒「⋯⋯あぁ⋯⋯凄く怖かった。」

ボーダーや警察に理由もわからずに追われる恐怖を思い出したのか小さく身体を震わせながら答える達人。

生駒「でも其れ以上に怖かったのは苦楽を共にした仲間達を信じられないと一瞬でも考えた自分自身や。」

仲間と共に戦う事を基本とするボーダー隊員達の信頼関係を断ち切るような相手を孤立させるやり方⋯⋯あの紅い悪魔が仕組んだ事なのか?

生駒「そんな仲間達を疑った⋯⋯どの面下げて皆に協力してくれって言えばいいんや。」

「その罪悪感で泣きそうな面でしょ。」

マスター神父、ボンド(この少年、容赦ないな。)

生駒「⋯⋯。」今度は別の意味に俯き悲しみに打ち震える達人。

「イコさん。あの紅い奴と本気で戦うつもりですか?」

生駒「おん。本気や。アイツを何とかしないと三門市に住む知り合い達が危ない目に遭う。今、アイツを止められるのは俺とボンドだけなんや。」俯くのをヤメて顔を上げる自分のやるべき事を剣持に伝える達人。

「⋯⋯。」

その真面目に答えるイコさんの姿を見て止められないと悟る剣持。何故なら今横に座るイコさんは何時も凶悪な怪獣と対峙する俺自身だから⋯⋯周りに何を言われ思われても⋯⋯例え1人でも⋯

「やらなきゃいけない事でやるべき事なんですね。」

使命感や義務感とか耳に良い言葉なんかよりも、心の中で思った事を僕はイコさんに伝える。

「それでも⋯忘れないで覚えておいて下さい。貴方自身の事を⋯⋯」

生駒「⋯⋯。」

「今日までの直向きな弛まぬ努力と僕らと紡いできた自分自身を信じて下さい⋯⋯貴方は僕が憧れて尊敬してかっこいいと思う界境防衛機関ボーダーに所属するイコさんなんだから⋯⋯」

生駒「剣持⋯⋯こんな俺の事、カッコいいと思ってくれたんか?」

ブワッと涙を溢れ出させる達人。

(何か想像した反応と違う⋯⋯)

生駒「励ましてくれておおきに!!」

「励ます言葉はまだ言ってませんよ!?兎に角、自分自身と周りを信じる事⋯仮にまた自身と周りが信じられなくなっても人から教え学んだ事や強くなる為にした努力はどんな状況でもイコさんを裏切らないですから。まぁ⋯⋯ある意味自分の駄目で弱い所も自分を裏切らないですけど⋯⋯」

剣持の言葉を聞いて更に涙を流すイコ。

マスター神父「はいよ。マグロカツ丼。」

(カフェに似合わない凄いボリューム満点のが来た。)

生駒「頂きます。」

「⋯頂きます。」

僕らカウンターテーブルに出された料理に向けて感謝を込めて食事をする。

「イコさん。想像した以上に美味しいですね。」

生駒「ホンマやん。ラウンジの食堂のメニューに欲しいくらいウマいやん。」

「まぁ、"マグロ"で"カツ"で"丼"ですからね。不味い訳ありませんよ。」

マスター神父「⋯⋯ネバネバ君も何か頼むかい?」

ボンド「なら水をお願いするよ。」

マスター神父「はいよ。」

お冷が入ったポットがボンドの前に置かれてボンドは口を開き舌を伸ばしてストロー状に変化して水を吸う。

生駒「⋯⋯そんな飲み方も可能なんやな⋯」

ボンド「まぁな⋯⋯マスターも俺を見て驚かないのか?」

マスター神父「⋯うな訳無いだろう⋯⋯普通にビックリしてるよ。まぁ⋯過去に色々とな⋯」そう思わせぶりに言うマスター。

ボンド「⋯⋯そうか。」

やがて食事を終えて剣持は財布を出そうとするが、

マスター神父「金はいい⋯其れよりもお前らが言う紅い怪物の潜伏先に心当たりがある。」

生駒「えっ?」

神父は三門市の地図をテーブルに置き一同は地図に顔を見合わせる。

マスター神父「信頼出来るとある筋の情報で現在警戒区域内にあるこの老朽化した旧カトリック三門教会に紅い悪魔みたいな怪物が入ったと連絡があった。」

「「⋯⋯。」」

マスターはボンド達に視線を向け

マスター神父「昨日たまたま、紅い奴と対峙しているのを目撃した。俺は伝える事は伝えた⋯」

その時、店の電話が突然鳴り響き一同は電話に視線を向ける。

生駒は恐る恐ると電話をとり

生駒「もしもし⋯」

???《黒い〜ワンころ〜遊びましょう〜来ないと〜皆大変な事になっちゃうぜぇ⋯へへへ⋯⋯》

細井《イコさん!?来ちゃあかんで!!》

生駒「マリオ!?」

知り合いの声が電話口から聞こえ椅子から立ち上がり達人。

???《旧カトリック三門教会に待ってるぜぇ⋯⋯》

その言葉と共に電話は切れる。

「⋯イコさんの言う通り僕は帰ります。」

生駒「おん!行くで!ボンド!?」

マスター神父「待て!?出るなら店の表口より従業員用の裏口を使え。」

生駒「何でや!?」

マスター神父「ボーダーの連中が店に近付いてきているからだ。」

真剣な表情でそう剣持達に伝えるマスター。

【ーーーーッ!!】

(この気配⋯⋯三輪隊と風間隊か⋯⋯こんな時に!?)

生駒隊の皆が危険な目に遭わされているこの状況では融通が効かない面々だ。

マスター神父「⋯⋯お前らが店を出たなら問題は無くなる。分かったら早く出ろ。」

「分かりました。イコさん。また生きて会いましょう。」

裏口の扉を開けてマスターは言う。剣持は急いで生駒隊の皆を助ける為にコセイダーに着替える為にイコに別れの言葉を伝え一足先に店を出る。

達人はボンドも内側に戻して裏口の扉から外に出てから達人はふと足を止める。

生駒「待ってや!マスターって一体何者や?」

距離があるのにボーダーが来ると分かったり色々と気になる事が多すぎる。

マスター神父「見て分からないか?何処にでもいる只のカフェの店長をしている神父さ。」

達人の質問にそう煙草を口に咥えて不適な笑みを見せて答える。

生駒(嘘!?渋カッコいい⋯⋯)

マスター神父「ドア閉めるからな⋯⋯」

深くにもカッコいいと感じた達人を他所にマスターは裏口の扉を閉める。

 

 

 

 

 

剣持達を外に出して1人になった店内でマスターは店の電気を消し

マスター神父「さて⋯⋯俺の聖域を汚そうとする子供達には⋯」

そう呟きながら赤い細いバイザーが特徴的な黒い狼を模した仮面を頭から被りトリオンの換装体に姿を変えて

影牙「怖い狼に喰われても仕方ないだろ⋯⋯⋯」

その姿を一瞬で店内から消す。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一方、市外の森では

シゲハル「その情報は確かか?刃!?」

刃《あぁ。シゲハルのおっさん。喫茶マドモァゼルのおやっさんから2週間も森高団地の誰とも連絡が取れないと教えて貰った。おっさんの言う実験場の可能性が高い!》

シゲハル「なら直ぐに各ヒーロー達に連絡して森高団地に出動するぞ。」

刃《あぁ!?》

 

『お化け屋敷』中央病院の病室

桜井「森高団地⋯⋯。」

黒野「どうする?」

桜井「俺がどうするか?知っているでしょ」

黒野「だな。」バイクのヘルメットとキーを零次に手渡し

黒野「俺、少し優先する事があるから団地にはいけない。」

桜井「??分かった。」

病院に入院していた桜井零次も怪人が実験場にしている団地の場所を黒野から聞いて愛車のバイクに跨りバイクを走らせる。そして走行途中、右手を鋭く斜めに伸ばして

桜井「ルサード〜変身!!」

伸ばした右腕を円を描きながら回転させて体の左側に両手で力強い握り拳を作り出し

桜井「トォッ!!」

バイクから跳躍すると共にベルトの風車が風を受けたかのように激しく回転、ベルトの風車が光輝くと零次の姿は変身ヒーローベルサードの姿になりバイクも専用マシンに変化して市街地へ続く夜の道路を一気に駆け抜ける。

 

警戒区域に向かう途中

黒野「見つけたぞイコ!」

走る生駒の前にトリオン体の黒野が姿を見せる。

生駒「ちょっ黒野さん!?今急いでいるんや!?」

黒野「知ってるよ!?」

生駒「えっ!」

黒野「剣持から事情を聞いて力になって欲しいって頼まれたんだ!俺は味方だ!?」

生駒「ホンマに?」

黒野「あぁ。生駒隊の皆を助けに行くぞ!?」

「僕も混ぜても良いかな?」

二人の前にアクロバットに着地して姿を見せるコセイダー。

生駒「今度は誰!?」

黒野「お前は⋯⋯コセイダー。」真琴や佐鳥達から聞いたヒーローの名を言う黒野。

生駒「コレが水上が言ってたコセイダー?」真っ赤な格好に青いバイザーが特徴のヒーローをジロジロと眺めて

「ちょっと、僕は良い奴だよ!?」

生駒「ホンマかいな?」

「連続バラバラ殺人事件の犯人がいると剣持君に教えて貰ってね。君達の力になりたい。」

生駒「剣持が!?なら協力してくれや。」

黒野「アッサリ信じるのか!?凄く変な格好しているぞ!」

生駒「大阪のご当地ヒーロー、ゴチャゴチャした大阪キングよりはシンプルな見た目しているのが良いと思いました。」

黒野「でもイコって京都出身だろ。」

生駒「ダイモンジャーはダイモンジャーで良い所あるんや。何より⋯⋯剣持が信じた相手なら信じられるやん。そうやない?」

達人の言葉を聞き黒野はコセイダーに訝しげな視線を向けて

黒野「はぁ~⋯確かにな⋯⋯」と納得するように言う黒野

「決まりだね!?宜しく二人とも。」

生駒「気さくに俺の事はイコさんと呼んでくれ。」

「宜しくイコさん!?」

生駒「?」

妙な感じだが達人はコセイダーに既視感を覚える。パット見た身長も知り合いとそんなに変わらないし疑問は覚えるも、

生駒「なら行くでボンド!?」

達人の姿が黒いネバネバに覆われて狼男になる。その一部始終を見て目をぎょっとする黒野。

黒野「思ったよりもバイオ系なんだな⋯⋯」事情は剣持から聞いた物のいざ見ると戸惑う。

「スタイリッシュワイルド〜〜」隣のコセイダーは暢気な感想を言い。

ガロ「飛ばすぞ!?」

三人は速度を上げて目的地の教会に向かう。その道中、7つの緊急脱出の光が時間差でボーダー本部に帰還して行くのを黒野達は確認する。

 

 

 

【カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ】

コセイダーのポケットにある水色の風車が五月蝿く回転する。

「此処にいるみたいですね。」

生駒「行くで。」

三人は風車の導きで紅い悪魔が居るであろう老朽化した教会前に到着する。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

使われなくなって老朽化が進んだ教会内には蝋燭の火で照らせており教会内のバラバラに水上、隠岐、南沢、細井の四人が蓑虫状紅い筋繊維状の網に拘束されていた。

 

生駒「俺の仲間達は何処だ!?」

意気揚々に教会の扉を押し開き姿を現す真顔のイコ、黒野、コセイダーを禍々しい紅い悪魔が出迎える。

レッドバット「来やがったな⋯⋯死にやがれ!?」

隠岐「イコさん!?」

細井「何でこんな危ない所に来たんや!?」

南沢「イコさ〜ん。」

生駒「皆!!」

水上(イコさんに黒野さんに⋯⋯あの赤い格好した妙な奴が国近が言っていたコセイダー?)

レッドバット「さぁ~楽しもうぜ!?ワンころ!?」

生駒「皆、後で色々とまとめて説明するから少し待ってくれ!?マスク!!」

ボンド(了解っ!?)

事前の変身の合言葉を叫び達人の全身から黒いネバネバが溢れて黒い狼男ガロに姿に変わり教会内に狼男の遠吠えが響き渡る。

敵の殺る気を肌で感じながら教会内で吠える。その咆哮にガロの身体は波打つながら震え吠える相手の目の前で一度足を止める。

黒野「どうした!?何で足を止めた!」

ガロ「もうおしまいだ!?」

生駒(そうや!?その意気や!?)

ガロ「俺達がだ!?俺達アイツにバラバラに殺されちまうよ!?」

黒野「えっ。マジかよ!?」

「皆、奴の攻撃が来るよ!?」

「「そりゃあヤベっ!!」」

 

【ーーーーッ!!】

「テメェの血は何色だぁ!?」

ホーンに匹敵する殺意を全方向から放出した悪魔は獲物である俺達に向けて走り出し自分に勝るとも劣らない跳躍力で一気に距離を詰める紅い悪魔は両腕の形状を両刃の斧に変えて俺達目掛けて振り下ろす。俺達が瞬時にその場からバラバラに跳びその内ボンドを纏ったガロはレッドバットの顎目掛けて獣脚でサマーソルトキックで蹴り上げて紅い悪魔は吹き飛ばされる。だが吹き飛ばされながら身体の各部から赤い先端が鋭利な刃物状になった無数の触手状筋繊維をアンカーの要領で建物内のあちこちに飛ばして踏ん張り紅い悪魔は悪辣な笑みを浮かべて鞭を振るうように触手で竜巻顔負けで周囲を薙ぎ払う。

「これは回避しないと不味い!?」

壁に両手を張り付かせてたコセイダーは、素早くアクロバットに回避しつつ接近する。ウェブ・スプラッドを悪魔に向けて放ち

レッドバット「けっ!?」

放たれた蜘蛛糸に視界が塞がるも、直ぐに片手を元に戻して蜘蛛糸を引き剥がし視界を回復させる悪魔。すると背後からズドンッと衝撃を感じて片膝を床に付き後ろから攻撃を貰っている理解して首を動かすと、両膝蹴りを叩き込んだ不届き者の姿を捉える。

両肘から巨大な刃を形成して背後にいるガロに向けて放つも、ガロはカモフラージュ用に全身を保護色になり風景と一体化させた身体でその不意打ちを素早く躱し

レッドバット「っ!?」

空に消えると相手に錯覚させ悪魔を驚愕させ

ガロ「こっちだ間抜け!?」

自分の目の前に一瞬で保護色を解いて悪魔の顔目掛けて裏拳を叩き込みその一撃で怯むも、

レッドバット「やりやがったな!?」

逆に片手ガロの顔を掴み一気に遠心力と共に後方へ投げ飛ばす。木製の長椅子を幾つも壊しながら倒れたガロは直ぐに起き上がり追撃を警戒してその場から動く。実際⋯⋯自分がいた位置の床に無数の筋繊維の棘が次々と突き刺さる。

悪魔は虚空を拳で殴りながら指に形成した棘をボーダーの射手のように投擲して、更に両手を斧状にしてそのままガロに向かって投擲、ガロになったイコとボンドを追い詰める。

生駒(あのトマホーク・ブーメラン、射手や銃手のハウンドみたいに追尾機能があるのかい!?ヤバない!!)

ガロ「ヤバい!?」

逃げようにも、逃げる先を絞られて追い詰められている。

黒野「イコさん!俺達を忘れるなよ!?」

ガロ「っ!?」

那須隊長のように壁を走って悪魔に接近した黒野と振り子移動のウェブ・スイングで急接近するコセイダー。

「おらっ!?」

スイングを利用した急降下ダイブキックを紅い悪魔に向けて叩き込むも、レッドバットは悪魔の如き両翼の翼でその一撃を受け止め威力を完全に殺す。

レッドバット「もう終わりか?赤いの?」

「君だって僕より紅い奴だろ!?」

【ーーーーッ!?】

翼の外側から無数のリーチをバラバラの刃物が飛び出して急いで距離を取るコセイダー。

「危ないだろ!?そんな刃物ばかりだしてさ!?」

レッドバット「五月蝿い口だ!?」

素早く両手を斧状にしたレッドバットは走り出して、同時に黒野もコセイダーの横に並びレイガストを構えて言う。

黒野「コイツの口が五月蝿いならお前の台詞は悪役その物だな!?」

「「ッ!?」」

黒野の反射的なツッコミを合図に瞬間的、全員同時に動き出し野獣の如き四肢を全て使い走り出すレッドバットに対して教会の壁を三角跳びで跳び掛かるガロとレッドバットは防御無視で互いに激しく殴り合いお互い打撃を貰うも怯まずに咆哮を上げてガロの首筋を左手で掴まえて右拳を無数の刃物を生やしながらガロを一撃で殴り飛ばす。その威力に出入り口まで吹き飛ばされそうになるガロだが

生駒(不味い!?離される!)

ボンドはすかさず相手との間合いを無視した伸びる拳を抜き放ち伸ばした本人を含めて全員驚愕する。

ガロ「伸びるぞーー!?」

「イコさん!それ一体どうやったの!?」

黒野「イコ。骨とか腕とか大丈夫なのか?」

生駒(えぇ⋯⋯腕が滅茶伸びたーー!?気持ち悪!?)

ボンド(助けたやったのに心外だな⋯⋯)

レッドバット「っ!?」

突然の不意打ちに防御が間に合わずに逆に顔を殴り飛ばされるレッドバットだが、二撃目は、レッドバットは身体から生やした複数の手で無理矢理受け止めるも

ガロ「っ!!」

生駒(ヤバない!?本当にこの紅い奴、スコーピオン振るうボーダー隊員顔負けに技が多いやん!?)

ボンド(なら退くか?)

生駒(まさか!?何でも有りには何でも有りで戦えばいいやん!?)

ガロは伸びた腕を元の長さに戻して上腕部から黒い鉤爪状の爪を生やしてレッドバットの複数の手を一瞬で斬り裂くも、ガロの腹目掛けてレッドバットは右足で上へ思いっ切り高く蹴り上げてガロの身体を宙に浮かせてから追撃の踵落としでガロの背中に叩き込みを床に蜘蛛の巣状の亀裂を作りめり込ませるも、その倒れた状態からガロは両掌を床に置きモールクローの真似で下側から黒い刃物の次々と出現させる。刃物の追撃を回避する為に後方へ飛ぶレッドバットに対してレイガストを持つ黒野と皇虎から貰った多目的レーザーサーベルを持つコセイダーがレッドバットに肉迫し両腕を素早く両斧に形成させて両者激しい近接戦を展開する。水平に両刃斧状になった腕を振るいサーベルで防ぎながら逆に3次元から縦横無尽に攻めるコセイダー。

「凄い殺気だ!?全身が震える!!」

黒野が両斧をレイガストで防御した隙を逃さずにもう1人がレッドバットに袈裟斬りを始め無数の斬撃を素早く連続で叩き込むも、受けた傷を直ぐに回復させて身体から刃付きの触手をあちこちから生やして怒涛で滅茶苦茶な追撃を防ぎ回避するコセイダー。

(ジェリコに匹敵する殺気にホーン・デュアウトに引けを取らない力だ。何よりホーンの奴より遥かに⋯⋯このレッドスターの伝説の怪物は攻撃手段が多彩過ぎる。)

刃のついた剣、斧、槍、鞭、鎌、両手の形状を自由自在に変化させて複数からの攻撃を物ともしない。筋繊維で出来た斧と鍔迫り合いをしながら相手の挙動の一つ一つ警戒する黒野とコセイダー。

黒野(この怪物⋯⋯骨の役割を硬い筋繊維で構成⋯⋯否⋯そもそもこの怪物⋯⋯肉体の全部が筋繊維で出来ているんじゃないか?)

人間じゃなくても生物と言うのは、炭素を始め様々な物で構成されている。皮膚と骨でも使われているのは違うのは常識だが⋯⋯目の前の紅い怪物にはその常識が通用しないらしい。

 

【ーーーーッ!!】

全身から生やした触手の先端から刃を形成して自分の周囲を薙ぎ払う攻撃を放つレッドバット。

黒野はレイガストをシールドモードに変え防御しコセイダーは、レーザーサーベルで焼き斬りながら上へ跳躍してウェブ・ラインを使い一気に躱す。

黒野(挽き肉で出来たハンバーグじゃないんだぞ⋯⋯昆虫の外骨格と同じなのか?)

レイガストシールドモードに火花が激しく散る中で相手の能力や身体の構造を分析する黒野に対してレッドバットは手数を物理的に増やして黒野の襲い回避が難しく防御に撤する黒野。

(先輩が不味い!!)

天井を逆さまで蜘蛛みたいに這うコセイダーは両手首のウェブ・シューターを使いウェブ・キャプチャーと呼ばれるウェブの拘束技をレッドバットに使い身体の動きを封じ込む。

レッドバット「っ!!」

動きを無理矢理拘束されて急いでウェブを切り裂こうとするレッドバットから黒野は急いで離れる。黒野が下がる代わりにガロが跳び掛かり直前でウェブを切り裂いたレッドバットとぶつかり合い互いに力の限り吠える両者。両手の鋭利な爪を両者伸ばして野獣の如き腕を振るう。互いの肉を切り裂き悲鳴の叫び声を上げながら傷を再生させては攻撃を振るう両者。

余りに獰猛過ぎる野生動物同士の縄張り争いをする構図故に加勢するか迷う黒野の横にコセイダーがスタッと着地して

黒野「イコの奴大丈夫だよな⋯⋯」

「あの黒いネバネバがイコさんの身体に入っている間は、どんなに斬られても刺されてもネバネバがイコの身体をカバーしてくれる筈!?」

レッドバットは右手を二又の鋭利な刺突武器にしてガロの身体を連続に突き刺す。悲鳴を上げるガロ。

黒野「本当に大丈夫だよな!?」

「大丈夫だ⋯⋯⋯多分!?」

【ーーーーッ!!】

レッドバットじゃない気配を感じ取り瞬時に背後に振り返るコセイダー。

「ッ!?」

(カーミラ星のドラキュラス!!何でこんな所に!?)

ドラキュラス「レッドバットの邪魔させないぞ!!地球人!?」

黒野「今度は何だよ!?」

コセイダーは黒野の片腕を急いで掴み一気にその場から跳躍する。

蝙蝠型の獣人が飛膜有り翼をはためかせた突撃を二人はギリギリ回避して着地と共に新手の姿を見る両者。

「こんな時に新手なんてついてないよ!?」レーザーサーベルをドラキュラスに向けて跳び掛かるコセイダー。レーザーサーベルの連続攻撃を飛膜のある両腕で受け流して逆に回避させるより早くコセイダーを連続で殴りつけ蹴りを叩き込み壁に叩きつける。

ドラキュラス「エネルギーを吸わせろ〜!?」

ドラキュラスの口元の鋭い白い牙がコセイダーの喉元に迫るも、

黒野「俺を忘れて無いよな!?」

黒野が振るうレイガストがドラキュラスの白い牙にぶつかり合い激しく火花を散らす中、黒野は慌てて片腕でコセイダーのマスクを躊躇無く引っ張る。

「脱げちゃう!?マスク外れちゃう!?其処は引っ張らないで!!正体バレちゃう!?」

必死に脱げないように片手で押さえるコセイダー。

黒野「こんな鉄火場で誰もお前の正体なんて気にしないよ。」

「僕は気にするんだよ!!」

黒野「注文が多い奴だな。」

仕方なく赤いフード付きパーカー部分を掴み引っ張り上げてドラキュラスから距離を取る二人。

ドラキュラス「逃さないぞ!!」

3本指の両腕を連続で振るうドラキュラスを相手に、二人で攻撃を捌き

「別々から攻撃します!?」

黒野「分かったよ!?」

鋭い爪のある腕が黒野に迫るも直前に黒野は自分の目の前にエスクードを展開させてその引っ掻き攻撃を防ぎ更に四方にエスクードを展開させドラキュラスの視界を限定的に塞ぎエスクードの上を足場にして黒野は跳びかかると共にコセイダーは壁を足場にして一気にドラキュラスに急接近しレイガストとレーザーサーベルをすれ違い様に素早く振るいドラキュラスの胸の皮膚をX状に切り裂き赤い鮮血が教会内とエスクードに飛び散りドラキュラスは苦痛の悲鳴を上げ

黒野「畳み掛けるぞ!?」

「はい!?」

エスクードを足場にして再度ドラキュラスの身体に向けてレイガストとレーザーサーベルを振るい相手の身体に無数の斬り傷をつくり鮮血がエスクードと教会の床を赤く染める。

ドラキュラス「地球人風情が良くもやったな!?」

思わぬダメージを次々と貰い怒りを覚えたドラキュラスは身体から血が流れるのも構わずに両手で素早く黒野とコセイダーの首をそれぞれ掴みそのまま蝙蝠の翼をはためかせ高く飛翔し教会の外へ連れ出される。

黒野「不味い!?イコが無防備だ!?」

「イコさん!?」

ガロ「っ!!」

二人の叫ぶ声が聞こえてガロはレッドバットを両腕で無理矢理押さえながら振り返るも、

レッドバット「余所見とは余裕だな⋯⋯ワンころ!?」

両爪の先端をショートソードの長さまで鋭利に伸ばしてガロの腕を貫き追撃にガロの腹を蹴り飛ばし触手の先端を大鎌状に硬質化させてから振るう。

生駒(黒野達が別の蝙蝠の怪物に連れてかれてもうた!?)

ガロ「集中しろ!?お前の仲間が無防備に晒されているんだぞ!?」

レッドバットは両腕でガロにタックルをして押し出しながら背中に生やした先端を硬質化させた触手を突き放つもガロは両手で受け止めて足払いでレッドバットを転倒させて相手の触手を掴み敏志が捕らえた柱の横の柱に相手を放り投げて、悪魔は背中から柱に激突する。

水上「ちょっ危なっ!」

激突した際に砕けた破片の欠片が敏志の真横をギリギリ通り過ぎて顔色が真っ青になる敏志。更に直ぐ近くで起き上がった紅い悪魔の姿に冷や汗をダラっと出す敏志。悪魔は片手を斧状にしリーチを伸ばしてガロに振り下ろすも、ガロは素早いバックステップして躱し筋繊維の触手の槍を片手で掴み逆に引っ張り上げて悪魔の首を掴んで勢い良く床に頭から叩きつけてからガロは高く跳躍して膝蹴りを悪魔の胸に深々と叩き落とし床がめり込む。

ガロ「やったか!?」意気揚々とフラグになる言葉を言う。

水上「絶対やってないですよ!!」

レッドバットは息を吹き返したように激しくのたうち回りながら起き上がりガロは追撃の拳を素早く振るうも、その一撃をヒラリて躱して先端を尖らせた尻尾と触手を使いガロの背中から串刺しにして持ち上げる。

水上「イコさん!?」

敏志はイコさんのピンチに捕らえた触手を内側が破壊しようと藻掻くも破壊も出来ずに、目の前で隊長が串刺しになるを黙ってみる事しか出来ない自身に怒りを覚える。

レッドバットは両翼を羽ばたかせて空中へ飛び串刺しにしたガロを敏志の近くの壁に放り投げて筋繊維の棘を次々とガロに向かって投擲する。その全てはガロの身体に突き刺さり

ガロ「アアアアアアアァァァァァァ!!?」

突き刺さった音と共に生駒とボンドの悲鳴を生駒隊の面々に聞かせるのだ。

レッドバット「良い子守り歌だ⋯⋯」

ガロ「⋯⋯っ!?」

苦痛に苦しみながら敏志の方に向けてガロは尻尾の先端を刃物にして敏志を捕らえた網状の筋繊維の触手の外側を切り裂き

水上「っ!?」

ガロ「隠岐やマリオ達は俺が助けるから水上は此処から逃げろ⋯⋯」

敏志は内側から力を入れて脆くなった触手の拘束から1人脱出しレッドバットは敏志の脱出に気付きガロは敏志を逃がす為に壁に突き刺さった棘を全て身体から引き抜いて悪魔にドロップキックを放つ。

水上「⋯⋯!!」

 

無数の先端が大鎌の触手の攻撃を素早く動き次々とアクロバットに回避し近くに突き刺さった触手の束を両手で握り締めて一気引っ張るガロ。

レッドバット「っ!?」

突然、相手に引っ張り上げられて踏ん張る暇も無く急接近して

ガロ「ふん!?」

顎をアッパーカットで殴り飛ばされて相手の尻尾と触手を再び掴みジャイアントスイングして教会の柱目掛けて悪魔を放り投げ飛ばす。

レッドバット「!?」

受け身も間に合わずに柱に激突して柱は粉々に砕け後ろに倒れるも、直ぐにゾンビみたいに起き上がると左腕を西洋両刃剣に変形させてガロに向かってカエルのように跳躍して両腕を気が狂ったように連続で振るう。

生駒(触れていないのに⋯⋯殺気だけで全身の肉が削がれそうだ⋯⋯しかも反撃する暇が無い!!)

悪魔は接近戦をしながら両翼から鋭利な棘を次々と飛ばしガロはその飛来する棘を数撃を弾き返すも動きが滅茶苦茶でその速さと普通の人間だったら恐怖で動けなく程の殺意や殺気に晒されている。それでも⋯⋯生駒がビビりながらも目の前の怪物相手に退かずに挑むのは、自分が怖いや弱いを理由に退けば自分の大切な仲間が生きて二度と会えなくなる恐怖を味わいたくないから⋯⋯何よりカフェブラックスターで剣持が言ってくれたあの言葉が、自分の中の心に揺るぎない物として折れない勇気を与えてくれたから

片腕で悪魔の刃を掴み受け止めて反撃の右で悪魔の顔面を殴り飛ばす。更に追撃の肘打ちを悪魔の顔に叩き込む。並の人間の首なら胴体から飛び千切れる威力なのに悪魔は瞳無き目でガロを睨み付け吠える。相手の殺気に怯み蹴落とされる感覚になるも、生駒達人は臆する訳にいかない。

生駒(ランク戦で負ける事は許されても⋯⋯仲間達の明日が掛かったこの戦いだけは何を使おうとも勝たないといけないんだ!?)

ガロは悪魔の両腕を掴み鋭い爪が腕に突き刺さり相手ごと前に無理矢理押し出す。

生駒(こんな状態になった俺を信じてくれた後輩や仲間がいるんだ!?俺は⋯⋯その信頼に⋯⋯気持ちに答えたい!?)

悪魔の肩にガロは鋭利な牙を使い噛み付き攻撃をする

レッドバット「ギャアアアアアァァァァァァ!!」

ガロの牙が深々と突き刺さり、唸る悲鳴の叫び声を上げるも反撃に悪魔もガロの肩に噛み付き攻撃をする。

互いに噛み付き攻撃をしながら取っ組み合い力と力の均衡状態になる。互いに交互に柱や壁に背中をダメージを込めるように叩きつけ周囲に破壊の跡である亀裂を作るも絶対に牙も爪を離さない。

生駒(喰らい尽くしてやる!!)

B級ランク戦でも個人ランク戦でも絶対に見る事は無い本気の本気の生駒達人が此処にいた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

三門市の夜の空高くを舞うドラキュラスに捕まった黒野とコセイダー。

「また空の上か⋯⋯勘弁してくれよ。」

呆れた口調でスカルビーとの戦いを思い出してドラキュラスの顔に向けてウェブ・スプラッドをあっさり放つコセイダー。

ドラキュラス「ぐぎゃっ!?」

突然視界を蜘蛛糸で潰されて反射的に両手に掴んでいた黒野とコセイダーを離して蜘蛛糸を剥がす。

黒野「たくパラシュートもないのに1人寂しく三門市でスカイダイビングなんて散々だ!?」

重力に従い落下する黒野はトリオン体だがコセイダーは彼を助ける為に警戒区域のビルとビルの間にウェブシューターから蜘蛛の巣を張り

「すいません。黒野隊員。」

落ちる黒野を素早く掴んで

黒野「えっ?ちょっ!」

素早く黒野賢人を張った蜘蛛の巣に向けて投擲するコセイダー。

「緊急なので⋯」

黒野「覚えてろよ〜」

「本当にすいません⋯⋯」

黒野はコセイダーが放ったウェブで出来た蜘蛛の巣に受け止められてその様子はまるで蜘蛛に捕まった虫のようだ。

 

ウェブスイングで目潰しされたドラキュラスを追跡するか教会に取り残された生駒隊の元へ戻ろうか一瞬考えるも

ドラキュラス「見つけたぞ!?」

夜空を切り裂き戻ってくるドラキュラス。

「もう戻ってきたか⋯⋯吸血蝙蝠宇宙人。お前とレッドバットは一体どういう関係だ!」

ドラキュラス「貴様らにあの怪物を倒させる訳にはいかない!?」

(狙いはレッドバットの警護⋯⋯いや、無差別に人の生き血を吸い命を奪う行動をさせて邪魔する奴らを抹殺が目的か?)

 

ドラキュラスは傭兵団ブラック・ミストのガバンの手下と理解するベムと夢想。ガバンの命令を貰ったドラキュラスは飛膜の両翼を広げてコセイダー目掛けて急降下する。

【ーーーーッ!?】

コセイダーはドラキュラスの凄まじい速さで放たれた拳を左腕で防御し続いて腹部へ放たれる鋭い蹴りをギリギリで躱して拳のラッシュ攻撃を両腕で受け止め続ける。

(コイツ強い!?)

反撃する暇もなくドラキュラスの怒涛の猛攻を受け止め続けるコセイダー。

ドラキュラス「喰らえっ!?」

「がっ!!」

そして踏み込まれたドラキュラスの強烈な蹴りを貰い後ろに吹き飛ばされるコセイダー。

ドラキュラスはコセイダーに追い打ちを掛ける為に自身を独楽のように高速回転させて黒い竜巻となり吹き飛ぶコセイダーに向けて突進して撥ね飛ばす。

「ああっ!!」

撥ねられるも吸着グローブでビルの壁面にしがみつくコセイダー。

だが目の前を我が物顔で飛行するドラキュラスを睨みつけながら

痛む身体に鞭を打ちコセイダーは宇宙吸血鬼に挑む。

黒野「ブレードモード」

一方レイガストを短剣状に変形させてウェブを切り裂き地面に亀裂を作りながら着地する黒野はドラキュラスとコセイダーを戦いを見上げる。

黒野(余裕があるなら、彼に此処を任せてイコさん達の方へ加勢したい所だが⋯⋯旗色は悪そうだ。)

蝙蝠獣人型の宇宙人は積極的にコセイダーを倒すつもりらしい。

黒野(加勢するべきだろうが⋯⋯⋯だが生駒隊長の方にも一筋縄では行かない相手がいる⋯⋯どう行動するのが最善なんだ?)

(黒野先輩を巻き込む訳にはいかない!?)

「ドラキュラス!!場所を変えるぞ!?ついてこい!?」

ビルから飛び降りてウェブスイングで移動するコセイダー。

ドラキュラス「面白い!!好きな場所を選べ!?其処が貴様の死に場所だ!?」

コセイダーは黒野を巻き込まない為にドラキュラスの囮になる。

黒野「っ!」

黒野が考えている間にドラキュラスとコセイダーは移動し

黒野「どいつもこいつも待ちやがれ!?」

黒野はイコ達を信じてコセイダー達を急ぎ追い掛ける。

 

ドラキュラスの出現に銀河連邦のヒーロー達も既に気付き深夜の三門市へビルからビルへ次々と跳躍しては全速力で走る。

成川「急げ!?」焦った表情をしながら先頭を走るジョージ

太刀風「承知!?」

成川(あの空の軍神の刺客が何故今、この状況で動いた⋯⋯)

春日「星間連合の傭兵の考えなんて僕には分からないけど⋯⋯直ぐ近くにベム達の気配もある。急ごう。」

【ーーーーッ!!】

成川「止まれ!?」

成川(ガッツ星人!!)

目の前に両腕を組んで立ち塞がる存在⋯⋯大きな丸い頭に鳥類の嘴を持つガッツ星人が静かに言う。

ガッツ星人「此処から先には行かさん。」

野太いゆっくりめの口調でそう言い終えると瞬時に構えてヒーロー達に怪光線の放つ動作をする。

【チリンチリン】

謎の少女「上ッ!」

謎の少年「ッ!?」

その言葉を聞き謎の少年はすかさず謎の少女をお姫様抱っこしてその場から素早く跳躍しヒーロー達も真上から放たれた怪光線を回避する。

謎の少年「お怪我は?」

謎の少女「大丈夫。」

要人の安否確認して謎の少年は真上に浮かぶガッツ星人を睨みつける。

春日「やるしかないみたいだな!」瞬間移動で距離を詰めたガッツ星人の拳を円盾で受け止めながら拳を振るう炎太郎。

 

 

 

一方廃教会内では

ガロは悪魔に蹴り飛ばされて吹き飛ばされるも、イコもボンドも諦めずに壁に激突する前に体勢をクルッと反転させて

生駒(海がやっていたグラスホッパーの要領で壁を蹴る!?)

壁を垂直で獣脚で蹴り上げて低姿勢から跳躍し

生駒(更に途中の床や柱を利用して⋯⋯)

跳躍しながらレッドバットに迫る直前両手で床と柱を勢い良く叩きその反発力生まれる反作用で更に加速させる。一瞬で相手の顎下に迫り

ガロ「イコヘッドバット!!」

生駒隊「「凄くダサい技名!?」」

レッドバット「があっ!!」

スピード音を共にガロは激突して顎を連続で殴打される紅い悪魔

レッドバット「貴様風情が私に勝てると思っているのか!!」

顎を頭突きで殴打されるも反撃する為に額の筋繊維が突然独りでにせり出すと真紅の三日月形で鍬形状の角を形成する。

ガロ「っ!?」

悪魔の角が眩い鮮紅色に光輝くと真紅の熱線を放つ。

ガロ「うんな物有りかよ!!」

熱線にマトモに直撃してその力に押されて床を削りながら何度も倒れるガロ。

生駒(マーベルの映画の赤いヤバいやんの奴より普通に強い⋯)

剣持がヒマラヤに行く前に何気なくモテない男子の会で観た【ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ】に登場する真っ赤なヤバいやんの奴の姿をこんな時に思い出すイコ。

生駒(映画の奴は炎と音に弱かったけど⋯⋯)

倒れたガロは起き上がりチラッと紅い悪魔に視線を向ける。

レッドバット「ガオオーーーン!!」

額に鍬形状の角と背中の悪魔の如き両翼を全開にして獰猛に涎を垂らし零しながら咆哮を上げる相手に向けてガロは⋯⋯生駒達人は獣の如き低い姿勢で駆け出しながら考える。

 

生駒(攻撃される覚悟でボーダーの皆に事情を説明して協力要請した方が良かったかな⋯⋯)

相手の何でも有りに対して負けじと色々とこの姿での能力を駆使して対峙するも、熟練度の差がモロに出ている現状の中で鍬形状から次々と放たれる真紅の熱線を全て回避し悪魔にダイブキックを叩き込むと素早く左右の肘鉄を使った肘打ちを叩き込みついでの右拳を高く上げて放つアッパーカットを相手に打ち込むも、怯みもせずに両腕を両刃の斧状にしてガロに向けて絶えず振るう。両刃の斧に対抗してガロも両腕に上腕部から鉤爪状の硬い刃物を形成して腕を高速に振るい火花を散らしながら鍔迫り合いを展開する。

生駒(違う⋯⋯単純に⋯俺がこのボンドの融合状態の力を使いこなせていないんやん!?何時もの戦闘スタイルじゃないから⋯⋯)

京都に住む大好きな爺ちゃんに教えて貰った居合いの剣術と違う馴れない素手で戦う為に思ったような何時もの動きが出来ずに焦りを覚える達人。

ボンド(⋯⋯。)

必死に鍔迫り合いを展開するも、レッドバットは口から超音波を放ち至近距離でガロは超音波をマトモにくらい肉体を傷つき更に身体中から鋭利な刃付きの触手を生やしてガロの全身の各部を突き刺してガロを無理やり自分から引き離し教会の壁に勢い良く叩きつけその衝撃で蜘蛛の巣状に亀裂を作る。

ガロ「あああああっ!!」

叩きつけられて苦悶の叫び声を上げるガロ。そのガロに追い打ちを掛けるように再び悪魔は超音波を放ち防御も回避も出来ずに攻撃を食らい続ける。

生駒(本当に映画で観た怪物とコイツは違う⋯⋯)

悪魔はガロに突き刺した触手を利用して接近して鋭い歯をガロの左肩に食い込ませる。

ガロ「があああああっ!?」

しかし相手が接近した為にガロは悪魔の土手っ腹に渾身の力を込めた拳を叩き込み悪魔を後方へ吹き飛ばす。吹き飛ばされたおかげで、触手がガロの各部から引き抜かれて、片膝を崩したガロは急ぎ全身の傷を再生させる。

ボンド(来るぞ!?)

悪魔の鋭い貫手突きを咄嗟に片手で掴みそのまま片腕で持ち上げると共に跳躍して床に悪魔を叩きつける。しかしレッドバットも叩きつけられながら全身から無数の刃を持つ触手を生やして翼や悪魔の尾を含めてガロに向けて身体全体を薙ぎ払うように回転させた竜巻攻撃を放つ。

ガロ「っ!?」

殺意に飲まれるも必死に頭を落ち着かせて全てを削る範囲攻撃をギリギリで後方に高く跳躍して悪魔からとにかく距離を取りイエスキリストが磔にされたの似た金属製の十字架を足場にして悪魔を高い所から見下ろす

生駒(危なっ!?ミキサーかフードプロセッサーかい!?)

ガロ「俺達をミンチにする気かい!?」

レッドバット「お望みならしてやるけどな!?」

ガロ「言っていろ!?この筋肉マンが!?」

悪魔は右腕の筋線維が激しく動かし極太の赤い筋繊維の巨大な拳をガロに向けて放つ。

ガロ「馬鹿デカい筋肉が来る!いやや!!」

迫る巨拳に対して跳び箱を跳ぶように巨大な拳の上に跳び上がり筋繊維の巨拳は金属製の十字架に命中して根元が砕けて十字架が床に落ちていく。

相手の肥大化した右腕の上を滑るように駆け出すガロは風間隊や香取隊長がするように上腕部から生やした鉤爪状の刃物でレッドバットの首をすれ違い様に確かな手応えを感じて切り裂くも

レッドバット「その程度か?ワンころ!?」

ガロが切断した首の断面図から順に無数の筋が接着して何事も無かったかのように再生する悪魔。

ガロ「ほざくな!?ビックリ筋繊維マンが!?」

生駒(くっ、幾ら刃物でコイツの筋繊維を切り裂いてもキリがない!?せめて奴のあの身体に致命的な弱点でも存在するなら話は別やけど!?)

見た目はゲームや漫画やアニメに出てくる王道な蝙蝠の翼を背中に生やした悪魔のイメージなのに、変幻自在の筋繊維がガロを再び突き刺そうと飛来してガロは教会の柱や壁を足場にして迫りくる触手の追尾攻撃を回避に専念する。

生駒(このままじゃ埒が明かん!!?)

ガロは全身をカモフラージュさせて悪魔の視界から姿を消して悪魔は苛つきながら教会内全体に筋繊維の触手を蜘蛛の巣状に次々と広げさせガロの行動範囲を絞り込もうとする。更に額の鍬形状の角にレッドサンダーエネルギーをチャージさせ教会内に静寂に包まれて悪魔の自分の低く小さな唸り声とチャージ音のみが教会内に鳴り響く。

レッドバット「⋯⋯。」

ボンド(奴め⋯⋯自身の筋繊維の触覚をアンテナ代わりにして俺達の位置を特定しようとしているな。)

生駒(だけどこのままかくれんぼを続ける訳にはいかなやん。見つかる前に対策を考えないと!?)

ボンド(スタンボルトストライクを使うか?)

生駒(何やソレ!?初耳なんやけど!?)

ボンド(俺の特性の一つに生体電気を利用して発生した電撃を全身や各部に纏わせて相手にダメージを与える能力の事だ。威力を抑えるだけで麻痺状態にも出来る。)

生駒(そんな便利な奥の手があるなら早う教えて欲しかったや!!)

ボンドに教えて貰った奥の手に驚愕する達人。その一瞬の動揺が隙になり触手に接触してしまう。

生駒、ボンド((あっ!))

レッドバット「其処か!?」

センサーのように展開した触手に反応を感じた悪魔は視線を其処に向けて

ガロ「しまっ!?」

全ての筋繊維の触手がガロを拘束する為に動く。凄まじい速度で

迫りガロの全身を縛り上げカモフラージュが解けてしまう。

ガロ「がっ!?」

レッドバット「⋯⋯塵とかせ⋯」

邪魔ばかりする相手にそう言い捨てるように言うとガロの身体の自由を完全に奪い悪魔の鍬形状の角から真紅の熱線を直線状に放ちガロの姿は真っ赤な閃光の放流に飲み込まれる

ガロ「ああああああああああああああああああああっ!!」

教会内に真っ赤なガロの叫びが木霊する。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一方、生駒達がレッドバットに追い込まれていると同じように、

コセイダーはウェブスイング移動で市街地から人が立ち入らない警戒区域のビルの屋上の上に着地し後からドラキュラスも着地する。コセイダーは静かに振り返りドラキュラスに向けて構える。

「コレで一対一。ハンデ無しの戦いが出来るな。」

ドラキュラス「それは此方の台詞だ!?裏切り者!?」

「何!?俺が裏切り者だと!?どういう事だ!!」

コセイダーはそうドラキュラスに向けて言うとドラキュラスはコセイダーに右手の指で差してレッドマン⋯ベムに対して非難の言葉を言う。

ドラキュラス「ふっ、裏切り者のレッドマン⋯⋯お前は元々地球人では無い。ただの傭兵だ⋯⋯それなのにどうして地球人類の味方をする?我々宇宙人の味方を何故しない?」

「勘違いするな!!俺は俺の味方だ!?それに地球人も宇宙人も関係無い!?俺の任務を妨害するなら誰だろうとレッドファイトしてやる!?」

ドラキュラス「では遠慮なく行くぞ!?レッドマン!!」

ドラキュラスはそう言うと飛び上がりコセイダーに迫る。

「っ!?」

コセイダーは正面から来た空中の体当たりを姿勢を低くしてやり過ごし、後ろに回っているドラキュラスに向けてウェブシューターから遠距離技のウェブレーザーボールを放つ。

飛来するウェブを圧縮した弾をドラキュラスは素早く躱し多方向から息も尽かさない連続体当たりをする。

「がっ!!くっ!」

高速飛行するドラキュラスの連続体当たりを何度か躱すもその内の一つに直撃してその攻撃で吹き飛びビルから落ちそうになるも、直ぐにウェブシューターからウェブを飛ばしてビルの周りを振り子移動して逆に反対の方向に回り込みドラキュラスの背後からドロップキックを叩き込む。

ドラキュラス「甘い!?」

だがイルカやコウモリが持つのと同じ反響定位を使い位置を特定しているドラキュラスはコセイダーが現れる方向へ振り返り真正面からドロップキックの両足の先を両手で掴みジャイアントスイングでコセイダーを放り投げる。

「なっ!」

再びビルから落ちそうになるもウェブを使いビルの屋上に戻り向かい合う。

(さてどう対峙する?)

ドラキュラスはジェリコ程では無いが、充分速い。荒い息を整わせて空から攻撃を仕掛けてくる相手と対峙するコセイダー。コセイダーは全力で走りドラキュラスの片腕の薙ぎ払いをギリギリで避けて素早く拳を抜き放つ。ドラキュラスは迫る拳を余裕で躱し反撃の鋭い三本爪の両腕を連続で振るう。その連撃を宙返りして躱し着地した瞬間コセイダーは蹴りを抜き放つ。

ドラキュラスはその一撃を余裕のバックステップで躱し鋭い爪を振るうも迫る爪にコセイダーは距離を詰めて相手の両手首を掴み屋上の床を蹴り身体を浮かせてドラキュラスの顎を下から上へ蹴り上げる。

ドラキュラス「がっ!?」

「さっきの体当たりのお返しだっ!?」

ドラキュラス「貴様っ!?」

コセイダーは攻撃を当てて相手の両手首から手を離して更に相手の腹に追撃の蹴りを放つも、同時にカウンターに殴り返される。

【ーーーーッ!!】

「っ!?」

危険を知らせる感覚が警告を鳴らしドラキュラスから急いで離れてドラキュラスもコセイダーに向けて口から赤い光弾を放つ。

「ヤベッ怒らせた!?」

飛来する光弾を次々と避けつつドラキュラスに接近しようとするがドラキュラスは再び空に飛び上がり、空中から遠距離攻撃を放つ戦法に切り替える。

加速し威力を上げたドラキュラスの体当たりをコセイダーは回避が間に合わず両腕で受け止めるもその威力に後方へ押し込まれる。

「まだだ!!」

ドラキュラスの体当たりに後ろに吹き飛ばされるもコセイダーは吹き飛びながら床に着地し両手首のウェブシューターを使いドラキュラスの両腕と両足をウェブキャプチャーで拘束して両腕の力で拘束したドラキュラスをジャイアントスイングの要領で一気に振り回す。

ドラキュラス「っ!!」

「こういう攻撃なら自慢の反響定位も意味は無い!!」

遠心力を使い勢い良く振り回しビルの壁にドラキュラスを叩き込む。壁に激突してそのまま奥に消えると共にウェブがブチリと引き千切れてコセイダーは消えたドラキュラスの元へ接近しようとするが、

【ーーーーッ!?】

「ッ!?」

奥から放たれた真っ赤な光弾を躱すも初撃に意識を割った為に追撃に放たれた相手の鋭い膝蹴りの一撃は避けられずにマトモに貰い向かいのビルの壁に叩きつけられる。向かいの壁に叩きつけられたコセイダーは倒れずに立ち上がりドラキュラスを睨みつけて

コセイダーはドラキュラスを一度無視しウェブスイングで市街地の間を移動する。

(アイツは俺がレッドバットの邪魔しない為に来たんだ!?何とかアイツの動きを止めてイコさん達の方に戻らないと。)

ドラキュラス「逃がさん!!」

(ハリケーンマスク先輩!?今、何処だ?)相手に追われながら仲間達にテレパシーを送る。

太刀風(ベムか?悪いが此方はガッツ星人が現れて合流は少し厳しいで御座る!)

 

 

ガッツ星人「⋯⋯。」

分身能力とランダムに移動するワープ能力を駆使して銀河連邦のヒーロー達と謎の少年少女を翻弄する。ジェリコに劣らぬ俊敏性で皇虎の斬撃や炎太郎の打撃を躱し分身と連携した怪光線による波状攻撃を放つ。ヒーロー達は攻撃を躱すも躱した先にワープした分身達と肉弾戦を繰り広げる。

(先輩達の方にもガバンの手下が!!)

ドラキュラスを撒く為にコセイダーは摩天楼を駆け抜ける。

 

教会内では真紅の光線が消えて尋常じゃないダメージを負ったガロが力無く倒れる。ガロの姿から生駒の姿に戻りその身体は誰がどう見ても傷だらけであった。

 

生駒「はぁ⋯⋯はぁ⋯はぁ⋯」

荒い自分の呼吸音がヤケに響く⋯⋯疲れ果てて足元も覚束ないフラフラの状態で歩く生駒達人の背後に、禍々しい筋繊維で出来た悪魔の両翼を背中に生やした紅い悪魔が静かに着地する。

ロッソ「お前では私を殺せない⋯⋯諦めてその命の源である血を私に捧げよ。」

相手から話し掛けられて覚束ない状態で振り返り向き合う両者。

生駒「戦う前に聞いてええか?」

ロッソ「良いだろう。」

生駒「アンタ、自分以外を殺す事に何の意味があるんや?」

ロッソ「意味?私の故郷の神への復讐だ⋯⋯」

生駒「神への復讐?」

ロッソ「私も遠い昔かつて居ない神に仕え⋯⋯神の為に勝てる筈もない争いと分かっていながら多くの仲間を率いて戦えない者達の為に、悪魔のような軍勢に挑み戦った!?」

生駒「それでお前は、その戦い後、罪の無い何千万と言う人間を惨殺したのか?」

ロッソ「⋯⋯だが神は私の願いを答えずに裏切った!?」感情のままに叫ぶその姿は殺戮を愉しむ悪魔のような印象とは別人のように色々な気持ちを込めて語る。

生駒「⋯⋯お前は自分の故郷の神様を凄く恨んでいるみたいやな。」

目の前にいる殺人鬼は、信じた物や大切な人の為に戦ったのに⋯⋯望まない結果に凄まじい怒りを覚え本来の姿すら捨てて復讐する為に動いている。

生駒(俺も大切な人間を近界民じゃない人に殺されたら城戸派の連中みたいに復讐に生きるんやろうか⋯⋯)

殺人鬼の詳しい事は分からない⋯⋯自分が生まれる遥か昔の宇宙人だ⋯⋯もしかして、愛する家族や恋人や友達を理不尽な理由で失って失くす前は本当に心優しい宇宙人だったのかもしれない。

達人の脳裏を過るのは、頼れるボーダーの同い年の友達や後輩に先輩達⋯⋯通う三門市立大学の友達⋯⋯京都の学友や居合いを教えてくれた大好きな祖父や両親に生駒隊の水上、隠岐、マリオ、海の皆の姿だ。

水上『イコさん。』ノリとボケもツッコミの理解が深い頼れる部隊の司令塔。将棋は今も好きでたまに一緒に指す

隠岐『イコさん。』猫大好きな部隊のイケメン。

細田『イコさん。』マリオちゃん可愛い!!

南沢『イコさん!』ノリに乗る笑顔が似合う後輩。

自分の何よりも命と同じくらいに大切な者達が目の前の紅い悪魔に全て奪われようとしている。例えかつては立派な宇宙人でも既に超えてはならない一線を自らの復讐心で越えたコイツの中にはもう多くの人の命を奪った罪の意識を顧みる事もないのだろう。

 

生駒「⋯俺の知り合いを守る為には⋯⋯お前を倒すしかない。」

間違いなく相手は自分よりも実戦経験が豊富で能力も多彩で強い。

ロッソ「そうだ。だがお前には其れは不可能だ。」余裕の表情を見せる宇宙から殺人鬼。

生駒「⋯よう知ってはるな⋯」

※京都弁よう知ってはるな⋯直訳 黙れ。

ボロボロの生駒達人は自分のトリガーを持ち子供の頃からずっと祖父に手解きをしていた居合いの構えをして

生駒「ふぅ⋯はぁ⋯⋯トリガー⋯」

【目の前の強敵に⋯⋯途方もない実力の差を思い知らされて⋯⋯力届かずに打ちのめされ⋯⋯心身ボロボロになるも⋯⋯揺るがない想いを胸に⋯⋯静かな深呼吸と共に戦友の名を呼び⋯⋯漢は何時も通りトリガーを起動する。】

生駒「起動(オン)。」

刀も持たずに息を吸うように意識せずに自然と居合いの構えをした状態で慣れ親しんだ何時も自分の部隊のトリオン体に換装し

ロッソ「それで私を倒すと?」

生駒「止めてやるんや⋯⋯お前が何よりも愛した奥さんの為にも⋯⋯変身っ!?」

ゴーグル越しのいかつい顔で達人はそう叫ぶと生駒達人のトリオン換装体の姿が黒いネバネバに覆われてスタイリッシュな狼男に変身し更に全身から生体電気を周囲に放電させると共にガロのスタイリッシュの生物感溢れた姿から体格が一回り大きくなり⋯⋯自分が所属する生駒隊の部隊服に似た黒い攻撃的な新しい見た目に変化し鋭利な目に特徴的なゴーグルが現れて最後に胸の中心に黄色い旋空孤月の三日月をイメージしたマークが出現すると、狼男は力の限り狼の雄叫びを上げる。

ガロ「ウオオオオオオオオオンっ!!!」

ロッソ「⋯そんな下らない姿で私を倒すだと⋯⋯愚かな⋯⋯」

ガロ「グルルルゥゥゥ」

獲物を喰らう狼の如く跳びかかるガロの押し込まれながらロッソも禍々しい筋繊維の悪魔に変貌し両爪を鋭利にして左右の腕を振るうガロの顔を傷つけ蹴りつけて怯むガロの背中に爪で突き刺すも寸前にガロはスタンボルトストライクを纏わせた右腕で抉るように悪魔の腹部を殴り放ち高圧電流を流して悪魔を感電させると共に麻痺らせて追撃するガロは悪魔の顔を連続で殴り飛ばし最後にバックジャンプして素早く胴体目掛けて穿つように殴ると共に悪魔を宙に吹き飛ばすもレッドバットの悪魔のような尻尾がガロの腹部に巻き付き引き摺られる。痺れを解いた悪魔は両足の爪でガロの身体を傷つけると首を片手で掴み上げて背中の筋繊維の両翼を大きく羽ばたかせてガロを夜の空高く連れて舞い上がる。

 

 

 

 

 

空中に連れてかれたガロは自分の首を食い込ませる悪魔の爪がある片腕を二の腕から形成した刃で素早く切り落として、相手の胸の中心に爪を伸ばした右手を突き刺して地上でやったように再び反撃の意味を込めて喉元に向けて鋭利な牙をレッドバットに深々と突き立てる。

レッドバット「ギャアアアァァァ!!」

激痛で悲鳴を上げる悪魔は両足の爪を使いガロの腹を引っ掻きながらガロを引き離そうとするも、相手に無理矢理しがみつくガロは爪で腹部を傷付くのも構わずに牙を更に突き立てながら両膝を鋭角状に硬化した膝を使った膝蹴りを絶えず相手に放ち続ける。

空中で黒と紅が螺旋を描きながら飛ぶ中で悪魔は自身の筋繊維の尻尾を長くリーチを伸ばして噛み付き続けるガロの首を背後から絞める上げて無理矢理引き離そうする。ガロは悪魔の肩に左手の爪を突き刺して感電させるもは悪魔は尻尾を使いガロを遂に引き離す。

 

ガロ「くっ!しくじった!?」

空中を得意とする相手に陸上で駆けるガロでは圧倒的にガロの方が分が悪い。

生駒(熱くなっても奴には勝てない!?静かに⋯⋯道場で稽古するように⋯⋯)

「アレは!?」

紅い悪魔によって高い所から放り投げられるガロ。ウェブスイングするコセイダーが合流して落下するガロを片腕を掴み近くの廃墟となった倉庫に着地するガロ。空から急降下してくるレッドバットの一撃を何とか回避するも、直ぐ様触手で片腕片足を掴まれて放り投げられる。だが投げられた瞬間、ガロは電撃を纏わせた拳を遠距離から放ち紅い悪魔を感電させる。

レッドバット「がああああああああああああっ!?」

軽く投げられて地面に転がり倒れながら素早く四肢を使い起き上がるガロは見失った紅い悪魔を探す。

ガロ「⋯⋯。」

レッドバット「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」

感電に耐えた悪魔は狼男に向けて凶暴な咆哮を上げて全身から無数の筋繊維の触手の先端を刃物にして襲い掛かる。咆哮を聞いた狼男は爪を伸ばし咆哮がした場所に走り出し次々と迫る触手の先端の刃物の攻撃を火花とともに弾き或いは斬り裂き紅い悪魔に迫る。

斧状にした相手の腕を両腕から生やした硬化した刃で受け止めて押し出すガロ。反対の腕を草刈り鎌状に変えて薙ぎ払う斬撃を押し出すの辞めて弾き返し間合いを一度互いに離して再び激突する。

 

激しい接近戦を繰り広げる狼男と紅い悪魔地を蹴り走り己の武器を振るい宙を跳び交い刃と斧状になった腕が交差して地面から無数の触手がガロを刺し貫こうとするも、ガロは素早く走りその奇襲攻撃を掻い潜り悪魔の胴体をX状に斬りつけそのまま蹴り上げて距離を取り悪魔はエネルギーを溜めて額の鍬形状の角から真紅の熱線を放つ。

連続でバックステップして迫る熱線をトリオンのフルガードで防御する黒狼男。

レッドバット「っ!!?」

突然ガロの目の前に出現したトリオンエネルギーを使った六角形のシールドに驚く悪魔。真っ赤な熱線でシールドがヒビだらけになるも熱線を見事防ぎきりシールドを素早く消すと一気に悪魔に近づき

生駒(イメージしろ!?手刀での⋯)

ガロ「旋空孤月。」

遮蔽物の少ない位置に手刀で得意の居合い斬りで悪魔の上半身と下半身を切り裂くも

レッドバット「そんな攻撃で私を殺せると本当に思うのか!?」

直ぐに肉体が繋がり鋭く伸びた爪による怒涛の連続刺突攻撃を放つ。ガロは爪を高速で振るい火花を激しく散らし捌きながら

生駒(なら!?)

トリオン体を超えるガロの身体能力をフルに使い両爪の連撃を放ち悪魔の全身を物理的にバラバラに切断する。

レッドバット「無駄な足掻きを!?そんな物を振り回しても」

しかし相手は其れ以上の再生能力で再びバラバラの身体を一つにしてガロを空中から飛び掛かる。

レッドバット「私は滅びないぞ!?」

ガロ「っ!?」

空中から飛び掛かる悪魔の体当たりを素早く身体を横転して避けて空中から踵返した悪魔の爪の追撃を両手で受け止める。

火花を散らして睨み合う両者。均衡状態になる中で⋯⋯

「イコさん!?」

コセイダーがウェブスイングを利用したキャノンボール・キックを悪魔の顔に不意打ち気味に叩き込み怯ませて追撃のウェブ・ジップを放ち悪魔の両目に放ち目潰しをして均衡状態を解けたガロはクルッとコセイダーの横に着地する。

「お待たせ!?加勢するよ!?」

ガロ「頼むで!?」

互いにレッドバットに向けてファイティングポーズを構えそう言うとコセイダーとガロはレッドバットに駆け出す。

 

ガロ「分かった!?」

レッドバット「ギャオオオオオオオオオオオン!!」

獰猛な悪魔の咆哮を上げると共に身体の各部から生やした筋繊維の触手の先端から棘を突撃銃の要領で発射してガロとコセイダーは低い姿勢のまま真っ直ぐ駆け出し棘が迫る寸前合図をする事なく左右に分かれて跳躍して筋繊維の硬質化した棘の乱射を躱して

コセイダーは空中跳躍しウェブシューターを相手に向けてウェブを放ちウェブの引力を利用して悪魔に急接近し渾身の力を込め握り締めた拳を悪魔の顔に向けて振るい打撃音と共に悪魔を殴り上げてその一撃に怯む悪魔はコセイダーを睨み付けるもコセイダーは悪魔に両手首からウェブ・キャプチャーを放ちウェブを切り裂かれるより早く多方面からウェブを放ち悪魔の動きを一秒より長く止める。白い繭のように全身を蜘蛛糸で拘束される

悪魔に向けて鋭い跳び膝蹴りからのハイキックからの独楽の要領で空中水平回転蹴りを放ち悪魔の顔に打撃による集中攻撃するコセイダー。少しでもウェブを引き裂こうとする兆候があるならウェブキャプチャーで絡めて鋭いボディブローを連続で放ちウェブで絡める動作を繰り返す。

レッドバット「っ!?」

だが何時までもサンドバッグでいるつもりもない悪魔は全身の筋繊維から様々な刃物を形成しウェブの繭をズタズタに切り裂く。コセイダーに向けて触手の乱射を放ちコセイダーは急いで走りながらアクロバットにジャンプして手首からウェブを放ち高い位置に移動する。

レッドバット「逃がすか!?」

悪魔は自由になり宙をウェブスイングで移動するコセイダーの方に意識を向けて触手を更に増やしてコセイダーを串刺しにしようと一斉攻撃を仕掛ける。

触手の刺突攻撃を回避しながらコセイダーは焦る気持ちをマスクで隠しながら必死に走る。

レッドバット「っ!?」

だがコセイダーに意識を向け過ぎた悪魔の首を何者かが掴み地面に叩き付けられる。

レッドバット「ワンころ!?」

叩き付けられながら自分を叩き付けた存在を睨みつけるレッドバットに対して片手で掴んだガロは保護色を解除して相手に負けないように睨み返す。

ガロ「俺を忘れるな⋯⋯」

そう言うと紅い悪魔を後ろから無理矢理羽交い締めにした状態で身体の内側に溜めた生体電気を利用した放電技を相手に流し込む。

ガロ「体内電気!!」

レッドバット「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」

感電する悪魔は必死に暴れて振り払おうとするが、ガロは更に電流を放電させ悪魔を追い詰める。その両者の凄まじい放電する状態にコセイダーも迂闊に近づけない。

レッドバット「この⋯⋯ワンころ風情が!?」

攻撃を一方的に食らい続けて逆ギレしたレッドバットは全身の背中と両翼から無数の形状の刃物な針を生やしてガロの身体を何度も串刺しする。

ガロ「がっ!!」

「イコさん!?」

激痛で放電技が解けてしまい更に相手は筋繊維の片腕のリーチを伸ばしてガロの頭を掴み放り投げ飛ばす。だが投げられた状態でガロも両手を相手に向け両腕のリーチを伸ばして悪魔を両肩を掴み引っ張り上げて一気に地面に叩き付ける。叩き付けられた相手が素早く顔を上げた瞬間、ガロはサッカーボールを蹴るように顔を蹴り飛ばし、悪魔を吹き飛ばす。しかし、吹き飛ばされながら全方向から筋繊維の触手を伸ばして吹き飛ばされるのを押さえ身体中から無数の刃物を形成した複腕を生やし触手の弾力を利用してガロとコセイダーに悪魔と言わんばかりの悍ましい姿でお返しと言わんばかりに跳び掛かる。

「ワァッ!?殺意増々で夢に出てきそう。」

ガロ「現実だ⋯⋯こりゃあ⋯⋯僕達殺されちまうな。」

生駒(ヤバない?)

ガロ「それでも挑むんだろ?」

「「当然!!」」

軽口を叩きつつ紅い殺意の塊が迫ってきて二人は迎撃する為に勇ましく駆け出す。すかさずコセイダーはガロの背中に跳び更に跳躍しそれに続くガロ。二人は悪魔に攻撃を振るうも、それより早く複腕による突進攻撃を打ち込まれて吹き飛ばされる二人。

「気持ちって戦いの役に立たないの本当なんだな⋯。がっ!!」

攻撃を貰いみっともなく転がるガロとコセイダーは悪魔の両足に思いっ切り踏み付けられて苦痛の声を出す。踏み潰されていない物の状況は良くない。そんな二人を見下ろす悪魔は鋭利な先端を持つ尻尾と触手を動かし

レッドバット「クタバレ!!」

絶対絶命の危機に瀕するコセイダーとガロ。

 

水上「通常弾!!」

風を切り裂き闇夜を駆け抜ける光弾が紅い悪魔の顔面に直撃する。

「「ッ!!」」

更にレッドバットの背後から影浦隊の隊服に特徴的なシルクハットを被った攻撃手がシールドモードのレイガストを相手の背中に押し付けて

黒野「スラスター。」

トリオンを噴出させて悪魔を背中から吹き飛ばす。相手は吹き飛ばされながら後ろにいる相手に向けて筋繊維の棘を放つも黒野はエスクードをガロ達を守るように展開させて棘を全て防ぐ。

水上「おっと⋯」

前に勢い良く迫る悪魔を素早く避けて背中のスラスターを噴出するレイガストを回収してガロ達の方に駆け寄る敏志。

水上「ほれ。黒野先輩。」

黒野「ありがとう。」

回収したレイガストを持ち主に受け渡し敏志は間近で見た赤い格好をしたヒーローに手を差し伸べて

水上「立てるかい?コセイダー。」

「あっ、どうも⋯」

握り返しヨロヨロと立ち上がるのを手伝う。

水上「イコさんもそんな所に倒れてないで早く立って下さい。」

ガロ「えぇ~俺にも粋な一言を言って手を差し伸べてくれや〜ブラックウルフマンイコに感想無いの?」

水上「ボケてる余裕が無いから無理ですよ。でっ四人で挑めば勝てそうですか?」

ガロ「無理だな⋯⋯この場で奴を殺す物がこの街には無い⋯」

黒野「殺す物?其れは何だ?」

ガロ「奴は見ての通り生物にある皮膚が無い⋯生物の筋繊維に近い性質の物質で身体を構成している⋯⋯生物の血や体液で筋繊維の養分や水分を維持する為に奴は獲物の血を吸う⋯」

「つまり?」

ガロ「地球の単語で言うナトリウム⋯⋯塩や海水がある場所に叩き落とせば、奴は勝手に死ぬ⋯」

黒野(ナトリウムや海水で死ぬ⋯⋯皮膚の無い筋繊維に近い身体⋯⋯赤血球を純水に浸すと水を吸収して破裂し、海水並みの食塩水に浸すも水分を失って凝縮する。生物の細胞は決まった濃度で物質が溶けており、細胞膜の働きで、水分を濃度の薄い方から濃い方へと透過させる。哺乳類の細胞液濃度は約0.9%⋯海水の平均濃度は約3.5%⋯⋯細胞膜が剥き出しに近い紅いあの肉体は海水を浴びるとヒルやナメクジと同じで水分を失い凝縮するのか⋯⋯)

黒野は相手の肉体の構造を推察しながら悪魔に通常弾を打ち込みながら水上が言う。

水上「今から三門市中のスーパーやコンビニに食塩を買うとかは?」

黒野「可能だが兎に角時間が無い⋯⋯海に投げ落とすにも現実的じゃないし⋯⋯他に弱点は無いのか?」

紅い悪魔を起き上がらせないようにランダムにエスクードを出して少しでも時間を稼ぐ。

ガロ「日の光を浴びると肉体が燃える性質だ。」

水上「あの怪物は鬼滅の鬼かい!?でもソッチの方がやれそうだな。」

ガロ「イヤ、殺せなくても⋯弱らせる事さえ出来たら⋯⋯この専用携帯牢獄を使って奴を捕らえる事が出来る。」

ガロは右手から近未来的な特殊カプセルを仲間達に見せて手の中に戻す。

「なら太陽が昇るまで時間稼ぎをしつつ戦って弱らせ捕らえましょう。」ウェブシューターからウェブキャプチャーを放ち相手の動きを拘束するコセイダー。

ガロ「そうやな⋯水上。塩と太陽や」

水上「はい。塩と太陽ですね。」

「「何か売れないロックバンド名みたいやな〜」」

「言っている場合ですか!?」

生駒隊特有の漫才を始めるのをコセイダーは慌てて止める。

ガロ「分かってる⋯⋯⋯水上。」

水上「はい。」

ガロ「此処は俺とコセイダーに任せ黒野さんと二人で教会に捕らわれたマリオちゃん達を救出しに行ってくれ⋯」

水上「イコさん。コセイダーの意見を聞いていましたか?四人で相手を削る方向に⋯」

ガロ「⋯⋯頼む。」

敏志は冷静に達人に状況確認を言おうとするもガロは目線を皆に合わせて敏志と向き合いながら静かにそう頼み込む。

水上「⋯⋯好きなように動いてもイケると思った状況なら俺は止めません。」

ガロ「⋯⋯。」

水上「でも俺達が最終的にアイツに勝たないと三門市がヤバい事になる。少しでもアイツに勝つ為に、地形の不利有利を始め対策とか色々と考えないといけません。」

水上「このメンバーで一番トリオンを持つのが黒野さん。強力な能力を持って価値が高いのが今の状態のイコさん。次にイコをアシストしてくれたコセイダー。最後にトリオンが平均的な俺。」

水上「誰か1人でも欠けたら残りの人の負担が大きくなって最悪全滅もあり得る中で戦力を分けるんですか?その提案で相手を弱らせる事が出来るんですか?」

ガロ「悪い⋯⋯」

水上「悪いと分かっているなら「でも仲間のお前らが危なくなったら⋯よう聞かんと思う。」⋯⋯。」

ガロ「俺、生駒隊の隊長やけど⋯⋯任務や作戦の為に⋯仲間を見捨てられる性格⋯俺しとらんねん。」

水上「⋯⋯。」

ガロ「こんな性格の奴がお前の所属する部隊の隊長で⋯⋯すまん。」

水上「⋯⋯理由があるんですか?」

ガロ「お前らを危険な目に合わせた⋯⋯此処にいない剣持を含めたボーダーの借りがアイツにあるだけだ⋯⋯何より⋯」

水上「何より?」

ガロ「命を救ってくれた恩人の相方の生命をアイツは奪った⋯⋯弓場ちゃんじゃないけどケジメをしなきゃ俺の気が済まない⋯⋯其れだけや。」

黒野「⋯わかった。俺は生駒隊長の提案に賛成する。」

「黒野さん。」

黒野「俺も家族や仲間が危機に晒した相手が目の前にいるなら冷静にいられる自信がないから⋯」

黒野も生駒その言葉を聞いて思う所があるのか提案を受け入れる。

「僕もボーダーの人じゃないけどイコさんの提案に乗った!」

この場の人達が生駒の提案を受け入れた。ガロを含めた一同の顔を見渡して小さくため息を吐き

水上「⋯⋯相手は空を自由に飛びます。屋外より屋内での戦闘の方が戦い易い筈です。」

ガロ「水上⋯⋯。」

水上「あんな怪物相手に死なないで下さいよ⋯⋯生駒隊はまだA級に上がっていないんですから⋯」

ガロ「⋯分かった。でも五体満足で生還する保証はないから事前に俺に何かあったら、隊長は水上で新隊員には剣持を推薦しとくわ。」

水上「人の話聞いていましたか?第一剣持はまだC級ですやん!?」

ツッコミの手刀をガロの頭にチョップを連続で叩きつける敏志。

ガロ「痛い痛い」

叩かれながらカメレオン並みに長い舌を口から出して言うガロ。

水上「⋯⋯それと、その両腕の上腕部から生やした鉤爪状の刃、使いこなせてませんね。」

ガロ「やっぱり?」

水上「隊長が一番使いこなせる武器をスコーピオンみたいに形成出来ないんですか?」

ガロ「やってみるわ。」

水上「さて「水上⋯」っ!イコさん。そろそろ紅い怪物が跳びかかって来るから何か言うなら早く言って下さい。」

敏志は悪魔に視線を向けながらイコの話を聞く。

ガロ「何時も部下のお前らに苦労をかけてすまないな⋯勝つぞ。」

水上「っ!!!」

水上は達人の言葉を聞いて一瞬、目を大きく見開くも直ぐに元に戻してでも口元には笑みを浮かべて片手にトリオンキューブを形成して

水上「ラジャー!?出来の悪い上司に振り回されるのは所属する部下の宿命ですからね。」

生駒、黒野「「酷い!!」」

【ガーーン!!】

水上「アステロイド!!(炸裂弾)」

反撃の狼煙代わりにエスクードをグラスホッパーの要領で敏志と黒野を上空に跳び敏志はアステロイドの名を叫びながら炸裂弾を悪魔に向けて放つ。

レッドバット「っ!!」

エスクード群を先端を刃物にした筋繊維の触手を乱雑に振るいそなエスクードの破片で炸裂弾を防ぐ悪魔は口から超音波を放ち黒野が敏志の片腕を掴み

黒野「スラスター。」

トリオンを噴出させて空中から軌道を変えて超音波をやり過ごして両翼を羽ばたかせて敏志達を追い掛けようとする悪魔にコセイダーは

「大人しくしといてね!?」

両手首からウェブを次々と放ち両翼や両足、両手を地面に無理矢理接着させ飛行を封じる。

「早く行って!」

黒野「おう!」

水上「合流場所は隠岐達が捕まっている教会です。隊長!」

ガロ「了解!」

飛ぶ事に集中する悪魔相手に先に跳びかかって取っ組み合いながらガロは返事をしその返事を聞いた敏志は置き土産代わりの置き弾の追尾弾を取っ組み合っている悪魔の背中に次々と叩き込む。コセイダーをガロをサポートするようにウェブを利用したターザンの要領でダイブキックを悪魔の顔面に叩きつけてガロと共に並び立ち。

レッドバット「ギャアアアア!!」

ガロ「教会に戻るぞ⋯⋯」

掴んだまま溜めて高く跳躍しもう片腕を長距離まで伸ばして紅い悪魔の首を無理やり掴んだまま高速移動する。

生駒(両足に生体電気を応用させて加速!?)

(イコさん達が奴を連れて移動した!俺達も向かおう!?)

コセイダーもすかさずウェブスイングをしてガロの跡を追う。

 

 

 

ドラキュラス「逃がしはしないぞ!!」

「うわっ来たよ!?」

空中ウェブスイング移動と生体電気を使った加速移動をする二人に背後からドラキュラスの迫る。

【ーーーーッ!?】

「っ!?」

急降下ダイブキックを繰り出し狙いに気付いたコセイダーは素早くガロの後ろに飛びドラキュラスのキック攻撃から庇い空中で蹴り倒され地上に落下する。

ガロ「コセイダー!」

空中で体勢を整えて地上でヒーロー着地するコセイダー。着地した道路は蜘蛛の巣状に亀裂を作るも無事である。

「僕は無事です!?」

ガロを安心させる為に声を出してドラキュラスの方に視線を向けるコセイダー。

ガロ「アレってさっき黒野達を連れ去った蝙蝠の怪物!?」

「アイツは僕が何とかするからイコさんはレッドバットを倒して!!」

ガロ「だけど!?「これは他でも無いイコさんにしか出来ない事なんだ!?早く!?」っ!?必ず生きろ!?」

そう言うとガロはレッドバットを連れて生体電気を使い加速する。

「お前の相手は俺だ!?ドラキュラス!!」

そう言うとドラキュラスに向けて拳を握り締め駆け出して空中跳躍し空を飛ぶドラキュラスに迫るコセイダー。

ドラキュラスと怒涛の打撃戦を繰り広げるコセイダー。ドラキュラスの腹部に向けて力とスピードを合わせた連続パンチの叩き込む。

ドラキュラス「くっ!」

叩き込まれて怯むドラキュラスだが接近したコセイダーの顔を逆に殴る蹴るで追い詰めて身体を回転させた裏拳を叩きつける。コセイダーは両腕で防御するも打撃の重さに後ろに転倒しドラキュラスは倒れたコセイダーに跨り首を両手で締め上げられて

「がぁっ!?」

ドラキュラス「苦しめ⋯苦しめ⋯レッドマン⋯」

ドラキュラスは鋭利な白い牙をコセイダーの右肩に突き立てて生き血と共にレッドマンのエネルギーと夢想のトリオンエネルギーを吸収する。

「あぁっ!!」

エネルギーを吸収されてドラキュラスの胸のX状の傷を始め各部の傷が塞ぎ始める。回復されるのを不味いと考えたコセイダーは腹に蹴りや肘打ちを何度も入れてドラキュラスから無理矢理離れる。

右肩を押さえた状態でウェブスイングを使いあるビルの屋上にうつ伏せに倒れるように到着して満身創痍になるコセイダー。

(あんな奴に苦戦している場合じゃないのに⋯⋯)

イコさんがボンドと協力してレッドバットと対峙しているのを加勢しないといけないのに⋯⋯全身の力が抜けて思うように立ち上がれない。

ドラキュラス「俺の竜巻攻撃を受けてみろ!?」

「ぐあああああ!?」

ドラキュラスは再び自身の身体を独楽のように高速回転させて黒い竜巻を発生させて接近してきたコセイダーは竜巻に激突し竜巻と化したドラキュラスの両爪の回転攻撃を貰うと共に勢い良く跳ね飛ばされる。

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レッドバット「アアアアアアアアアアァァァァァァ!!」

喧しい教会内に放り投げられた紅い悪魔は背中の翼を羽ばたかせて勢いを押さえて祭壇前に着地し放り投げたガロに向かって超音波を放つ。

ガロ「っ!?」

教会の扉に姿を現したガロは目前に迫った超音波を躱し両者睨み合いながら構える。

レッドバット「あの世に行く準備は出来たかぁ~ワンころ⋯」

ガロ「俺達に完膚無きまで叩きのめされる準備は出来ているやろうな⋯」

教会の床や壁から紅い筋繊維の触手を槍のように放ちながら電撃を纏ったガロと悪魔は最後の激闘を繰り広げる。

水上「イコさん。早すぎやろ!?」

黒野「本当だ。此方はトリオンを減らしてスラスター移動を繰り返しているのに⋯」

水上「兎に角、此方はイコさんが集中できるよう隠岐達の救出しようや。」

狂ったような叫び声を上げて身体をアクロバットに回転させ先端が草刈り鎌や両刃斧状に変化した筋繊維の触手を乱雑に振るい教会の木製長椅子達を蹴散らしながら高速移動するガロを狙う。

教会内に到着した黒野はイコを助ける為にすかさず片手を教会の床に置き

黒野「水上隊員は救出を、俺はイコさんのアシストをする。防壁昇竜拳(エスクードアッパー)!!」

レッドバット「っ!?」

ガロに集中した紅い悪魔の真下から殴り飛ばすようにエスクードを出現させて紅い悪魔は勢い良く殴り飛ばされる。その不意打ちを見てガロは跳びかかる。

 

隠岐「水上先輩!?」

一方、敏志は素早く走り跳び隠岐の所に到着して拘束している筋繊維を引き千切ろうとトリオン体で必死に脆い部分を引っ張っているも

隠岐「先輩。わざわざ戻ってきたですか?」

水上「そうや、イコ達だけじゃあ勝てるのは難しいからって⋯⋯何やこの固さ⋯⋯ヘタな金属並みにメッチャ固いやん」

隠岐「おれも散々内側から引っ掻いたり引っ張っていますけど⋯⋯全然千切れませんわ。」

水上「しゃあない⋯⋯こんな時には⋯お塩〜。」CV大山のぶ代風

トリオン体のポケットから某有名な猫型ロボットの声真似と真ん丸お手々で途中コンビニで購入した赤い食卓塩の瓶を取り出す敏志。

隠岐「先輩⋯⋯声がドラえもんに全く似てませんよ。」

水上「喧しい。偉大な大御所様の声なんて素人が簡単に真似られてたまるか!大御所様の声は唯一無二やから当たり前やろ!!」

大阪の漫才芸人のようにツッコミを返しながら食卓塩を筋繊維の脆い部分に振りかける。

隠岐「てか何でお塩?」

水上「此処に来る途中のコンビニでわざわざ有るだけ購入したんや。あの紅い化物んは、塩に弱いや。」

振りかけられた部分の筋繊維が目に見えて鮮血色からカサブタのような赤黒色に変化と共に凝縮していき敏志はパリパリと引き千切って孝二を助け出す。

水上「よし、次は海の奴や!?隠岐はこのまま海の救出してくれや!?へいっ!お塩!?」

隠岐「了解!?トリガー・起動!?」

トリオン体に換装した孝二に敏志はキーアイテムのお塩を手渡しグラスホッパーで蓑虫みたいにぶら下がる海の救出に動く孝二の後ろ姿を確認した後、ガロと黒野に加勢する為に射手トリガーの発動して援護射撃をする。レッドバットの翼を羽ばたかせて空中からのダイブキックをレイガストシールドモードで受け止めるも踏ん張れずに後方に押されるもガロが黒野の背中を支える。

レッドバット「ッ!?」

蹴りを防がれて一度距離を取ったレッドバットは雄叫びを上げながら筋繊維状の触手を一点集結させて形に成した禍々しい巨剣で薙ぎ払う。

黒野「不味い!?アレは防げん!?」

ガロ達は跳躍による回避行動をしようとするも、足元の教会の床が砕き別の筋繊維の触手が出現し二人の両足に絡まり回避行動を妨害されて筋繊維の巨剣がエスクード群を次々と斬り裂きガロ達に迫る。

四本の柱が一定の感覚に並ぶビルの屋上にコセイダーは受け身を取る暇もなく激突し床に蜘蛛の巣状の亀裂を作りながら何とか痛む身体を起き上がらせて視線を空を飛ぶドラキュラスを見上げて呼吸をして息を整える。

「ふぅ⋯ふぅ⋯ふぅ⋯」

(アイツ⋯⋯⋯伊達に空の軍神に仕える実力はあるようだな。)

然し、空中から攻撃離脱が自由自在なのはやっぱり此方が不利だ。無論本来の姿で戻って挑めばまた違うだろうが⋯

(でも僕ら今はコセイダーって言うヒーロー名と装備でイコさん達に協力しているんだよね。)

(ドラキュラスが巨大化するより早く変身巨大化して巨大な両手で捕まえて身体中の骨を粉々に折って仕留めるのは可能だぞ。)

グランド・キャニオンで悪の組織の戦闘員や怪人を巨大化した状態で踏み潰して倒した実例がある会話。

(その手段も悪くない⋯⋯でもレッドマンに戻らずに倒そう。)

(⋯⋯その心は?)

(ウェブシューターのウェブもまだ残っているし、そういう手段はコセイダーでどうしようも無い相手に使うべき手段だと思う。まだコセイダーの装備と僕らの今の状態でアイツは倒せる範囲内だと思う。何より⋯⋯気持ちや闘志でアイツに負けたくないから⋯⋯)

(分かった⋯⋯この四方に建てられた妙な柱で使えそうな策も浮かんだ。勝負に出るぞ!?)

覚悟を決めたコセイダーは傷だらけの身体で空を飛ぶドラキュラスに向けて東映版スパイダーマンの蜘蛛のような低姿勢のファイティングポーズをして名乗り上げる。

「血は人間の絆。愛の証。愛の為に血を流す男コセイダー!?」

ドラキュラス「死ねぇ!!レッドマン!?」

「コセイダーって言っているだろう!!」

ツッコミを返しつつ策を実行する為に走るコセイダー。ドラキュラスは竜巻攻撃をやめて低空飛行によるコセイダーに急降下体当たりを敢行する。

「っ!?」

(カーミラ星人は強力な光に弱い!!)

四本の柱の中心に立ち前面の左右二柱に向けてウェブシューターからウェブを連続に放ち巨大な蜘蛛の巣を何重にも張り巡らせるコセイダー。ドラキュラスは跳躍し着地する途中に左右の二柱に張り巡らせた蜘蛛の巣に蝶々のように捕まるも無理矢理鋭い爪を振るいウェブを切り裂き拘束から脱出する。

【ーーーーッ!!】

「なっ!?」

目前に迫る三本爪の引っ掻き攻撃を横に跳んで躱し追撃を意識しながら柱を見るコセイダー。

(ウェブの張り巡らせ方が甘かったか!?)

「今度こそ!?」

もう一度同じ策を実行するコセイダー。

ドラキュラス「お前に本気で喰いつきたいぞ。レッドマン!」

「さっき散々、人の生き血やエネルギーを吸っただろ!?」

素早く動くドラキュラスの猛攻を躱しつつコセイダーは再び二柱に向けてウェブを貼り付けて爪を振るうドラキュラスに向けて急接近し素早いアッパーを放つもドラキュラスは両翼を羽ばたかせて飛翔してアッパーの一撃を回避する。

(もう直ぐ日が昇る⋯⋯時間稼ぎをして後は太陽の光に任そうか⋯)

空中で何時でも攻撃出来るドラキュラス赤い光弾を放ちつつ旋回しながらコセイダーに向けて体当たり攻撃をしてくる。

(狙うタイミングは、奴が遠距離攻撃を躱されまくって苛つかせて集中力を乱して体当たり攻撃をする時!?)

ドラキュラス「ちっ!?死ねぇ!!」

(来る!)

ドラキュラスが放つ赤い光弾をハリウッドのアクション映画のヒーロー顔負けな動きで全て躱して体当たりを誘発させドラキュラスは苛つき加速してコセイダーに向け体当たり攻撃をする直前にコセイダーはウェブを張り巡らせて拘束させ時間を稼ぐ。

(よし!?)

ドラキュラス「こんな物!?」

再びドラキュラスは爪を振るいウェブを切り裂き自由となりコセイダーを仕留めようと攻撃を仕掛ける。

再び別方向から左右の二柱に向けてウェブを放ちドラキュラスを捕まえるも再び拘束を脱出してコセイダーの腹を蹴り飛ばすドラキュラス。

「ぐっ!」

ドラキュラス「フフフ⋯⋯夜を支配しているのは俺だ!?レッドマン!?」

まるでスポットライト一身に浴びた舞台の主役を演じる役者のように雄々しく力説する相手に向けてコセイダーは立ち上がり叫ぶ。

「そう思うとは愚かだぞ!ドラキュラス!?」

ドラキュラス「何だと!?」

何より⋯⋯⋯その夜の支配する時間はもう終わる⋯⋯三門市に眩い全ての生命を照らす朝日が昇り始めてその光の一片を浴びたドラキュラスは苦しみ始める。

「上手くいったぞ!?日の光で弱ってきた!?」

ドラキュラス「俺を舐めるな!?まだお前を倒す力は残っている!」

「そうか?ならお前が光を見るまで付き合ってやるよ。」

朝日を浴びてドラキュラスの身体が焼けた臭いと煙を出し始める。だがそんな状態でもドラキュラスはコセイダーに急接近して

鋭い爪の連撃を放ち攻撃の手を緩めないが、夜に比べて速度が明らかに遅くなっていた。

「どうした?夜動き過ぎて疲れたかい?」

ドラキュラス「黙れ!?」

コセイダーはそんな朝日に苦しむドラキュラスに向けて煽るような一言を言うと多目的レーザーサーベルを右手で垂直に持ち十字を表すように左腕を水平に組み合わせて

「サーベルクロス!!」

垂直のレーザーサーベルと水平にした左腕を組み合わせ本来遠くの相手に合図の強烈な光をドラキュラスの目前に発動させる。

ドラキュラス「あがっ!!光が!!光がっ!!」

ドラキュラスは強烈な光を至近距離に浴びて怯みサーベルを鞘にしまいコセイダーはドラキュラスの前で空中へ高く跳躍し両脚でドラキュラスの首を挟み込んで捻じ伏せ足ばさみでドラキュラスを地面に押し倒す。更に起き上がったドラキュラスに駆け出して跳躍からの

「チャンス!レッドキック!!」

急降下キックを繰り出して再びドラキュラスを蹴りつけてに再び

ドラキュラスの首を蟹ばさみで首を締め上げると共にドラキュラスを空中へ放り投げる。落下したドラキュラスに迫り投げの鬼と思わんばかりにドラキュラスを持ち上げて巴投げをするコセイダー。

投げ飛ばされてのたうちまみれながら朝日の浴びて弱体化したドラキュラスは立ち上がり迫るコセイダーと向かい合いながら

(遮蔽物が少ないこの場は朝日の光が満遍なく照らす⋯⋯)

ドラキュラス(早く陽光に入らない日影に逃げなければ!?)

(日の光から逃げようとする奴をこの場から逃さずに確実に倒さないと!!)

コセイダーを倒す事よりもこの場からの離脱を考える。しかしその考えは剣持達も読んでいた。

ドラキュラスは両腕を振り上げると共に跳躍しコセイダーに向けて距離を一気に詰めて振り下ろす。鋭い両爪の引っ掻き攻撃をアクロバットに躱してカウンターのパンチを振るうもドラキュラスは素早くコセイダーから離れてコセイダーはドラキュラスを逃さないように立ち回る。

ドラキュラスは何とか飛翔して急旋回して背後からコセイダーの首を鋭い爪で刺し貫こうと振るうも

【ーーーーッ!!】

素早く振り返ったコセイダーは左右の柱に向けてウェブを張り巡らせてドラキュラスを蜘蛛の巣で拘束し動きが夜に比べて全体的鈍いドラキュラスに両拳によるラッシュ攻撃を放つ。攻撃を防げずに受け続け動きが鈍いながら爪を振り下ろしウェブの拘束から脱出してコセイダーの片腕を掴み柱に叩き付けコセイダーの心臓を穿とう貫手を放つもコセイダーは素早く跳躍して柱の上に着地しドラキュラスの貫手で柱は粉々に貫かれる。

「少しは君相手に夜遅くずっと戦った事に対して敬意を示してくれよ。」

ドラキュラス「俺の忍耐は尽きた!?」

「尽きるのはそれだけかい?」

コセイダーは柱から柱へ跳び交いながらウェブでドラキュラスの両翼を雁字搦めで封じてドラキュラスの身体を上下逆さまにコセイダーは両腕で抱え上げると共に両足の力を溜めてから一気に高く跳躍してコセイダーはクルクルと横回転に錐揉みしながら高所からドラキュラスと共に落下

「(パイルドライバー式)レッドォ゙フォーールゥゥ!!」

コセイダーはドラキュラスの脳天を急降下と共に勢い良く叩きつける。

ドラキュラス「がぁっ!?」

蜘蛛巣状に作られた亀裂と共に逆さまのドラキュラスの両足に衝撃が駆け抜けてコセイダーは直ぐに抱えていた両手を離してドラキュラスは空の軍神に仕える従者としての誇りで最後の力で立ち上がるも戦意は消えぬも本来なら戦う力は残っていない。それでもドラキュラスは飛翔してコセイダーに向けて低空飛行による体当たり攻撃を仕掛ける。

ドラキュラス「さぁ、死ぬんだ!?」

低空飛行の体当たりを激突寸前に空中前転してヒラリと躱し両手首のウェブシューターからウェブをドラキュラスの両腕に向けて放ち両腕で引っ張ると共にドラキュラスを屋上に無理矢理引き戻す。

屋上に倒れたドラキュラスの起き上がり攻撃を後方に跳躍して躱し

ドラキュラス「吸血鬼は不死身だが⋯⋯レッドマン。お前は違う。」

「その言葉を言う割に⋯⋯顔色が悪いけど⋯⋯大丈夫かい?」

両手を床に置いて両足を使った蹴りをドラキュラスに叩きこみ追撃のダブルスレッジハンマーを叩き落とそうとするもお返しにドラキュラスも両足の蹴りを使った起き上がり攻撃と口から赤い光弾を放ちコセイダーを吹き飛ばしながらドラキュラスは起き上がり、カウンターによるダメージを貰いながらコセイダーはウェブシューターからウェブを放ち一旦ドラキュラスから下がる。そう。完全に日が昇ったのだ。

ドラキュラス「がっ!⋯⋯太陽が⋯⋯身体を⋯⋯焦がす⋯⋯」

「今だ!!レッドアロー!」

コセイダーは片手から銀の十字架型の赤い手槍を出現させて槍投げの要領で死にかけのドラキュラスに向けて躊躇無く投擲。空気を切り裂き吸い込まれるようにレッドアローはドラキュラスの心臓部分を突き刺さりその傷口から血が流れる。

ドラキュラス「がっ!!」ダメージの蓄積にドラキュラスの口から吐血する。

「チェストーー!!」

ドラキュラス「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯っ!!!」

そんな死にかけのドラキュラスに向けて追い討ちを掛けるコセイダーは急接近するとドラキュラスは残った全ての力を振り絞り拳を握り締め一気に腕を引いてコセイダーを殴りつけて、その一撃の速さと重さに防御が間に合わずに打ちのめされるコセイダーだが踏ん張り相手に向き直る。

「っ!?」

息を吹き返したようにスピードが戻った相手の重い拳の二撃目を片腕で防ぎ三撃目が放たれるより速くドラキュラスの懐に入るとコセイダーはお返しと言わんばかりにドラキュラスの顎に向け全力のアッパーカットを天に突き上げるように振るい上げ放ち大きな打撃音と衝撃と共にドラキュラスは3階程の高さに宙へ物理的に打ち上げられて身体を錐揉み回転しながら脳天からアスファルトに墜落する。

「ふぅ⋯ふぅ⋯ふぅ⋯⋯。」

墜落したドラキュラスは胸にレッドアローが突き刺さった状態でゾンビのように起き上がるも、荒い息をしてアッパーカットの体勢のコセイダーに向けて一歩、二歩、三歩と歩き出すも、やがて力無く倒れて

ドラキュラス「⋯俺が⋯⋯こんな⋯其処らの⋯傭兵如きに⋯⋯殺られるなんて⋯⋯ガ⋯バン様⋯お許しを⋯⋯」

左手を必死に伸ばし首を少し上げて目の前に立つコセイダーを⋯⋯剣持夢想を睨みつけながら言う。

「⋯⋯⋯。」

ガバンに詫びの言葉を言い終わると共にガクッと糸が切れたように左手は落ちドラキュラスの両瞳から生命の光が消えてその身は灰と化し三門市の吹く風が灰を何処かへ飛ばして行く。

(眠い⋯⋯)

激闘を制したコセイダーは眠気を感じながら急いでガロ達がいる目的地の教会へ向かう為にビルの屋上から飛び降りウェブスイングで移動する。

 

ガッツ星人「っ!?」

ガッツ星人(ドラキュラス⋯⋯レッドマンに殺られたか!?)

謎の少年を片手間で片付けたガッツ星人は、迫る皇虎達の攻撃をを躱し朝日が昇ってからドラキュラスの気配が弱まり続け遂にまるで感じなくなりレッドマンに敗れた事を知る。

謎の少年を投げ捨ててガッツ星人は銀河連邦達の前から姿を消す。

春日「待て!?」

太刀風「あんな奴は放っておけ!?」

 

時間は少し戻り、レッドバットの触手に身動きを封じられたガロ達に巨剣が迫りガロは咄嗟にフルガードを展開し巨剣を受け止める。

水上「⋯⋯悪いが、簡単に王将を詰められる訳にはあかんのや⋯隠岐!」

隠岐「分かってますや!シールド!」

遠方から離れて戦況を見ていた敏志と孝二はガロが展開した両防御(フルガード)に向け自分達の両防御を重ね合わせ頑丈な防壁となり巨剣を火花を散らしながら防ぐ。

レッドバット「っ!!」

隠岐「でもどないしますか?此処にいる殆どが膠着状態ですよ。」

ガロ「⋯⋯其処はウチの強みを生かすだけやろ。」

水上「隠岐、お塩は?」

隠岐「海にふりかけました。」

水上「そうか。」

一瞬でガロ達の身動きを封じる触手が何かに斬り裂かれレッドバットは周囲を警戒するも

水上「ウチの生駒隊を舐め過ぎや。」

してやったりの笑みを見せた敏志と孝二。教会の天井を足場に着地し相手に向けて目を光らせた攻撃手が塩をふりかけた孤月片手に天井を蹴り落下し途中足元にグラスホッパーを展開させ踏み真下にいる紅い悪魔に向け孤月を振り下ろす。狙いは相手の頭部ではなくガロ達を両断しようした巨剣の付け根の筋繊維に塩をまぶした孤月の刃が通り過ぎ切断面が瘡蓋色に凝縮し自重で崩壊する。

レッドバット「っ!?」

水上「ナイスや!海!?」

水上(武器に塩をふるとは考えたな。)

南沢「本当は頭を狙ってました!?」間髪入れずに言う海。

水上「ソレ絶対躱されるから本当良く判断した!!」

ガロ「水上、隠岐!マリオちゃん任せたで!?」

水上、隠岐「了解!?」

自由になったガロ達は相手に一斉に跳びかかりすれ違い様に爪がぶつかり合い火花と共に激闘を繰り広げるガロとレッドバット。 

空を飛ぶレッドバットを追い掛ける為に跳躍し教会の天井を突き破り屋上へ着地するガロ。互いを唸る両者。

南沢「イコさんに加勢するッス!「海、お塩!?」はいっス!!」

海は屋上へ向かう為にグラスホッパーを展開させようとしたら敏志達に呼ばれて必然的に一対一になる。

ガロ「⋯⋯。」

居合いの構えと共に黒いネバネバした流動型体細胞を使い慣れた攻撃手トリガー孤月の姿をイメージさせて形成する。

〔推奨挿入歌仮面ライダーアギト BELIEVE YOURSELF〕

ガロ⋯⋯生駒達人を中心に周囲の空気が張り詰めていく。

頭に⋯⋯心に⋯⋯思った孤月を再現した刀と鞘を左手に持ち目の前に立ち塞がる相手に熱い心を抑えて静かに見上げる。

ガロ「⋯⋯。」

レッドバット「⋯⋯。」

死角から放たれた鋭利な先端を持つ尻尾はガロの右肩に突き刺さるも

ガロ「捕まえたぜ⋯⋯」

突き刺った尻尾を片手で力の限り引っ張り上げて孤月状に形成した刀と己の身体に生体電気を纏わせる。激しく帯電する孤月状の刀を持ち静かに呼吸と整えて構えるガロ。

生駒(大丈夫や。⋯⋯爺ちゃんが教えてくれた居合いの構えは⋯技は⋯⋯心は⋯⋯身体に染み付いておる。)

達人は帯、襦袢、道衣、袴を身に纏ったイメージをしてボーダーのスカウトを受けて入隊すると決めて実家から出る前日まで祖父の道場で居合いの剣の稽古をしていた日々を達人は思い出す。

本気の爺ちゃんの居合いの動作を見たあの日からずっと続けていた居合いの動作を⋯

レッドバット「ギャアオオオオオオオオオオオオン!!」

引っ張り上げられた紅い悪魔は全身から刃や斧や槍もいった武器を形成してガロに向けて放つ。ガロに真っ赤な殺意が呑み込み覆い尽くす。

ガロ「⋯⋯その全てを呑み込む殺気や殺意は⋯⋯」

居合いの抜刀と共に一瞬、胸の三日月マークが黄金の雷に照らされる黒い狼男と紅い悪魔の顔が交互に点滅し急接近し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガロ「⋯⋯もう知ってるで」

全て染めるように呑み込む真っ赤な殺意に朝日と見間違ん輝く一文字の光が通り過ぎるように斬り裂き⋯⋯空中で斬り上げられた紅い悪魔の姿を見る事なく刀を静かに無駄なく鞘に納めながらガロは静かに祝福するように朝日が昇る中で呟くのであった。

 

 

透明な六角形の専用携帯牢獄に朝日に激痛と共に身体を燃え上がるレッドバットを守る意味でも閉じ込めて専用携帯牢獄の周囲にシャッターが展開されるのを確認しガロは達人の全身から纏うのをヤメて達人とボンドは分離し黒いネバネバの狼タイプになって隣に座り込む。

 

生駒「夜が明けたぜよ〜〜」

ボンド「何だ其れは?」

突然、声高らかに変な事を言うイコにボンドは疑問の声を出す。

生駒「朝日が昇る時に言ってみたい言葉の一つや!ボンドも一緒に言おうや!?」

ボンド「⋯⋯たく⋯」

生駒、ボンド「「夜が明けたぜよ〜〜」」

二人で声を大きく出して教会の屋根から日の出に向けて叫ぶ。長い長い夜が明けた事を現す言葉を

ボンド「終わったな⋯⋯イコ。」

生駒「おん。お疲れさん。」

ボンド「⋯お前もお疲れ様⋯⋯」

二人は教会の屋根から昇る朝日をゆっくりと眺めながら互いに労いの言葉をかける。

生駒「⋯⋯コレからどうするんや?」

多くの犠牲者を出した目的の凶悪犯の逮捕が無事に終わった。

ボンド「俺を待つ仲間達の元へ帰るよ⋯⋯」

生駒「⋯そうか⋯⋯」

ボンド「⋯⋯三門市の朝日は美しいな⋯」

生駒「⋯⋯。」

ボンド「生駒?⋯⋯眠いのか?」

生駒「起きてるでZZzz⋯⋯」

ボンド「⋯へへへ⋯⋯地球の友よ⋯⋯心から言わせてくれ⋯本当に⋯⋯ありがとう。」

達人は緊張が解けて疲労と睡魔でだんだん瞼が重たくなり閉じて眠くなる中⋯隣に座り込む友達のその言葉がイコの耳にやけに残る⋯⋯

気が付くとまるで夢だったかのように隣にはボンドはおらず生駒の周りは生駒隊の面々が達人に寄り添うように寝ていた。

「あっ、黒野さん。イコさん起きましたよ。」

そして目の前には右肩を怪我したコセイダーと疲れた顔をした黒野が立っていた。

黒野「起こさないように教会の屋根から1人ずつ下ろすの大変だったぞ。」

生駒「ボンドは?黒いネバネバ狼は?」

黒野「⋯⋯俺達が屋根に到着した時にはもういなかったよ。」

「⋯帰ったんだよ⋯⋯自分の居場所に⋯」

生駒「⋯⋯そうか⋯」

そう言うと両拳を握りしめて達人は俯き静かに涙を流す。

黒野「イコ。」

【アレからボーダーと警察に色々と事情聴取を受けるも黒野や水上達のフォローもあり無事に元の生活に戻った。ボーダー隊員達を襲撃したイコさんは細井さん達の証言で複数人だった事が決め手になったらしい⋯⋯】

 

数日後 ボーダー本部 生駒隊の部屋

生駒「皆さんに大変なご迷惑をかけてしまったお詫びに、演奏会をするで!?」

クラシックギターを両手で持った達人は生駒隊の面々と同い年の友達達の前で演奏会をしていた。

 

【銀河連邦警察や3000万年前のレッドマンと同じ出身の星雲人が怪物化と言う内容を『お化け屋敷』やボーダーに報告する訳にはいかず世間では三門市を襲った恐怖の連続バラバラ殺人事件は未解決事件として迷宮入り扱いとなった。けど吸血鬼事件は無事ヒーロー達の活躍で解決したみたいだ。】

 

 

 

 

 

 

 

ゾークロンの円盤内にて

ガバン「⋯⋯。」

ゴメル「クカカカカ⋯⋯思うような結果にならず申し訳御座いません。」

ガバン「⋯気にするな⋯⋯所詮は戯れ⋯⋯引き際を見誤り夜明け前にあの傭兵を片付けられないあ奴が悪い⋯」

ゴメル「クカカカカ⋯⋯そう言われると此方もありがたい⋯」

本心を押し殺したガバンの言葉を聞きそうローブを震わせて嗤うゴメル。

ゴメルの戯れは遥か昔から自分が損しないように立ち回っている。端から銀河連邦の勢力も銀河連邦警察官達を皆殺しにした連続殺人犯の怪物で削れるとは思ってなかったんだろ⋯⋯只、殺人犯を平和の街に解き放ち銀河連邦の奴らや原生生物達が右往左往と事態の解決に奔走するのを高みの見物で眺めていたのだろう。

ガバン(⋯悪質め⋯⋯)悪質宇宙人メフィラス星人の名に恥じぬ良い性格をしている。部下のドラキュラスはガッツ星人に劣るもガバンが認める実力者で暗闇や夜間での戦闘を得意としていた。まさか太陽が昇るまで時間を稼がれて弱体化した後に敗れるとは⋯⋯ゴメルの戯れが無ければ大切で有能な部下を死なせずに済んだ。

ゴメル「さて⋯⋯次はどのような戯れをしましょうか⋯⋯玩具が多くて迷ってしまいます⋯⋯クカカカカ⋯⋯」

ガバン「⋯⋯⋯。」

ガバンは嗤うゴメルに何も言わずに背を向け立ち去り静かに両拳を握り締め右拳から血を流し窓から宇宙を眺め故人である部下の死を悼む。

 

 

 

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