灰まみれの蒼い公文書保存庫   作:イエローケーキ兵器設計局

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日時:?日目(黄昏)
場所:Cityから少し離れた海岸
会話相手:少佐など多数


二日目(5) (グロテスクな描写が含まれる可能性があります)

「上陸まで90秒!」

 すぐそばの上陸用舟艇が砲撃を受けて沈む。人だったものの欠片が飛んでくる。キヴォトスに居た頃とは違う光景が今もまだ怖い。

 血に塗れたヘルメット。銃を握った右腕。上陸支援用のARMSを装着した軽戦車、確かバレンタイン歩兵戦車さんだったかな……が矢面に立って居るけれど、さっきは装甲の破片が飛んできてみんな頭を伏せていました。

「これ以上速くならないか!」

「隊長!これが限界です!」

「あと75秒!」

『うう……アル様……』

「……ハルカ、弱音を吐く暇があったら砲弾が直撃しないことを祈って空を見ろ!偵察機と護衛が居るとはいえ空からやって来ないとは限らないぞ!」

『……はい!』

 拝啓、アル様。私の居ないキヴォトス(故郷)でもお元気でしょうか。私は……ちょっと元気じゃないです。昨日元気だった方が夜には居なかったり……今日も色んな人が死んでいきます。きっと私も……ああ……アル様……こんな地獄には来ないでください。そろそろ私もあの世に行く時が近づいてきたようです。どうかお元気で。敬具。

『11時方向!光が見えました!黄緑色……ハルペスです!』

「なに!?ハルペス!?クソっこんな時に限って……ハルカ!銃座は使えるか!」

『は、はい!』

 運悪く破片が刺さって死んでしまった人の身体を申し訳ないと思いながら踏み越えて、銃座に……

「伏せろ!」

 死んだと思っていた人が突然叫んで私の腕を掴み、上陸用舟艇の船底、もしくは自分の脚に叩きつけました。見えたのは大きな水柱。

『イタタ……』

「アンナ少尉!よくやった!」

「このお嬢ちゃんが蹴り起こしてくれたおかげで何とかなった。」

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……』

「名前のある死体が増えなくてよかったよ。」

 その後も銃座でハルペスを撃ち落としたり(ハルペスの撃墜記録が2増えた)IFFに反応せず、さらには撃ってきた所属不明の四発爆撃機型を追い払ったりしました。

 

「上陸まで10秒!総員着剣!」

 そろそろ死が手招きする時間かもしれません。どうかお元気で。

「5…4…3…2…1…GO!GO!!GO!!!」

 前の渡し板が倒れて銃弾が私達に。矢面に立つ軽戦車は銃弾を弾きながら機関銃火点(対人トーチカ)を20mm機関砲や37mm砲、部隊によっては85mm砲を使って潰しています。

「走れ!遮蔽物を探せ!味方の屍でも良い!隠れろ!」

 先に上陸したものの対戦車火点からの徹甲弾で撃ち抜かれたのか絶命しているバレンタイン歩兵戦車の影に隠れます。ブスブスと銃弾が肉に刺さる音が聞こえる。聞いた話では肉体は"情報でできている"らしい……じゃあこの娘は……?

『1次方向、アーマーAT!距離200!』

「了解!聞こえた奴は隠れろ!」

 遮蔽物に隠れていたニューマコーニオシス少佐が37mm機関砲を構えて飛び出し、対戦車火点の銃眼に向けて正確無比な砲撃を行っているのが見えました。

 たちまち沈黙させられる火点。榴弾が内部で炸裂して人員を殺傷しています。

 

 私は人間だけれど、敵も人間で。そして空を飛ぶのは味方のDOLLSと、災獣と敵のDOLLS。私達は何と戦っているのでしょう。

「前進!ポイントオスカーを抜ける!」

 ポイントオスカーは両側を崖に挟まれた坂であった。

「爆薬筒を。」

 戦闘工兵から爆薬筒を手渡された少佐はバリケードの下に差し込んでこれを撤去する。ここからが勝負らしいです。

「バレンタイン!ハルカ!私と来い!要塞を潰すぞ!残りは火点を潰したら重戦車隊と合流し、ついてこい!」

 バレンタイン歩兵戦車さんを前衛に少佐と前進。この「バレンタイン歩兵戦車」さんはさっき見たバレンタイン歩兵戦車とは装備と言い、服装と言い……かなり違っていてとても異質でした。

「はいはーい!ぜーんしん!」

 他の個体とは違う制服を身に纏うバレンタイン歩兵戦車は真っ青な装備を纏ってゆっくりと前進する。被弾しても怯むことなく進み続ける。まるでゾンビのように。生きているから違うのだけれど。

『ハルカ、行きます!行きます!!』

 バレンタイン歩兵戦車さんが注意を引き付けている間に塹壕に飛び込みます。少佐は機関砲を何処かにしまうと少し異質な小銃を取り出していました。

「後ろを頼む。これ以上の犠牲者を出す前にこの要塞を潰して次に行くぞ。」

 その声から恐怖は読み取れず、ただ無感情な声だなと思いました。

『うわーー!!』

 回り込んできた敵の歩兵をショットガンで薙ぎ払いました。どうして人間同士で傷つけ合うのでしょう?共通敵であるリセッターという動く岩石の塊がいると言うのに。

「リロード!」

 弾倉を引っこ抜いてすぐさま別の弾倉を差し込む少佐。詳しくはわからなかったけれど、口径は50口径でしょうか。

『50口径です……か?』

「ああうん、よくわかったね。」

 地上部をあとからやって来た増援とともに制圧して、残りは地下となった時、四発爆撃機型のDOLLSが広場に何か大きな筒を落としましていきました。そして、私達は光に……

 

 

──────────────────────────

『……うぅ…………ここは?』

 目を覚ませばそこは見慣れない天井。

「起きましたか……」

『……医務室です?』

「それがわかるなら大丈夫そうですね。そろそろ先生がここに戻られるようですよ。」

『はい……』

 風紀委員会のチナツさんが告げる。

「ハルカー大丈夫ー?」

 その声は少佐でした。

『先生、中佐への昇進おめでとうございます。』

「……ふむ……?」

「……あー……ハルカちゃん?ちょっとお時間いいかしら?ニューマ、貴方も来て。」

 

 黒とも灰色ともとれる服の……それこそあの日私達の前で戦ったバレンタイン歩兵戦車の様な色の服を着た銀髪のお姉さんに腕を掴まれて退室させられました。もっとも、先生ことニューマコーニオシス中佐も一緒に引きずられていますが。

 

「さて、まずは自己紹介からかしら?と言っても私だけで十分なはず……私の名前はF4G。よくコルセアと呼ばれているわ。先生ことニューマコーニオシス中佐の妻であり、副官でもある。……少し早すぎたかしら?」

『えーと……コルセアさんは……もっと違う姿をされていましたよね……?』

「ああ……うん……なぜか分からないけれどこっちに来る時に複製に失敗して全く別の姿になっちゃった。」

『は、はあ……』

「それで、よ。貴女の知るニューマコーニオシス先生って確か……貴女と出会った時は中尉だったかしら?」

 私はなぜこの人を知っているのだろう……?(姿形は違うけれど)

「単刀直入に言うとね……貴女はかなり昔に私達と知り合っているの。残念ながらニューマは記憶喪失になっちゃったけれど。覚えてる?上陸作戦で要塞を攻略しに行ったこと。あの時、反乱軍が新型のガス弾を持ち出したの。そして、要塞の上で爆発させた。」

 突然の告白です。私が見ていたあの夢のようでありながらあまりにも現実感が強すぎる世界は実在の過去だったなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 




ATLAS部隊については今度、パスワード式の公開設定を行った作品に投げておきます。
(これはこれで変更点が多い)

改訂版「対災獣実験原子独立大隊、通称"ATLAS"についての記録」
リンク→名称を変更。
設定案集『第103独立大隊"ATLAS隊"に関する報告のためのメモ』
リンク→https://syosetu.org/novel/266753/
パスワード:ATLAS
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