日時:二日目(早朝)
場所:ゲヘナ学園 生徒寮
会話相手:謎の侵入者
早朝04:00。抱き枕にしている、いや、いつも抱き枕にされている妻が居ないので眠れないでいると寮のドアの鍵が静かに開けられる音がした。
「……社長の言うとおり……あとはプレゼントを……」
『その声は……便利屋の平社員……ハルカだな?』
「は、はぃぃ!?」
『あー……驚かせてごめんよ。』『何の用事で来たんだい?』
「ア、アル社長にプレゼントを渡してこいと命じられまして……」
『ふむ……その手には明らかに爆弾があるようだね。』『ありがたく受け取ろうか?』
「受け取って……どうする……のですか?」
『うーん……解体するか便利屋の事務所に送り返すかだね。』
「う、受け取ってください!」
『朝早くにありがとうね。』
とりあえず頭を撫でておこう。
「えへ、えへへ……」
『ところで君の散弾銃は持っているかい?』
「え?あ、はい。こちらですが。」
『どれどれ。……不満はないかい?』
「え?あ、……少し威力面で不安が。」
『ほう?』『君に撃たれたときはなかなか痛かったけどね。』
「トドですら行動不能にできるような……大口径なものが欲しいです。」
『ふむ……少し移動しようか。射撃演習場1-1へ。0500に。』
「はい。」
場所は変わる。ここは射撃演習場の一部。昨日私がライフルを撃ったレーンは封鎖されていた。(修理中の文字が見える)
「先生?いらっしゃいますか?」
『こっちこっち。』
射撃演習場には武器のメンテナンスや改造の為のワークステーションが存在する。
『火力を上げたい、と。』
「は、はい。」
『今、君が持っているのは12ゲージ、口径で言えば……18.4mm。これはわかるね?』
「はい。」
ハルカが真剣な顔でこちらを見ている
『そして私が提案するのは4ゲージ。口径で言うと……』
「23mmです。来る前に調べたので。」
『そう。23mm。』『ヨル、居る?』
「お呼びですか?」
物陰から聞き慣れた声がする。
「あ、貴女は!」
「ハルカちゃん!?」
『お知り合い?』
「小さい頃からの知り合いです。」
「私がいじめられていたとき、社長と一緒になって助けてくれたんです。」
『そうだったのか……』
「助けただなんて大袈裟な……私は勢いで突っ込んだアル先輩に手を貸しただけだよ……」
思わぬ邂逅を目撃しつつ彼女を呼び出した理由を説明する。
『彼女は風紀委員であり、ここは風紀委員会が管理する射撃演習場である。つまり……?』
「私は立ち会いに呼ばれたわけですね?」
『そうなる。』
「わかりました。」「まさかハルカが便利屋68に所属していたとは。」
「アル社長を追ってやってきたんです。」
『……では、本題に。』『ハルカ、こちらをどうぞ。』
「では……失礼して……重い!」
『ああうん、少し重めに作ったからね。』
「原型はレッドウィンター連邦学園の23mm機関砲ですか?」
『ヨルさん、目が高いね。そう、23mm機関砲用の銃身を利用している。』
「撃ってみます。」
『サイレン鳴らすね。』『暴発に備えて。』
射撃ブースの側壁に取り付けられたスイッチを押すと、低い音でサイレンが唸る。
「射撃許可を出します。使用者:伊草ハルカ、監督者:藍田ヨル……先生、お名前は?」
『ヨルハ、伊草ヨルハだ。』
突然の事に動揺するハルカとヨル。私は二人を制止して一言漏らす。
『……今考えた。』
「ハルカ、撃ってみて。」
「え、あ、うん。」
ハルカが普段使っている散弾銃よりも一回り大きな散弾銃を構える。あまりの大きさに身構えてしまう程。
発砲炎と発砲音。
12ゲージよりは大きいがムツキの爆発物よりは小さな爆発。
『サプレッサーを付けたほうがいいかもしれないな。』
「ですね……」
少し離れて見守る私とヨル。
「反動はきちんと受け止められてますが……これは構え方を見直すべきかもしれません……」
「先生、悪くはないんですが……二脚が欲しいです。」
早朝06:00の事であった。