桜色の海   作:前田マキア

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第1章
第1話 プロローグ


第1話 プロローグ

 

ーーレリーズ‼︎

「私の…………声……?」

 

「桜、起きい!」

ケロちゃんが私を起こそうとしてる。まだこんなに暗いのに……。

「どうしたの、ケロちゃん。こんな早くから」

「大変や! 桜、時計の針見てみ!」

もしかして寝坊⁉︎

「ほえ〜〜‼︎」

慌てて時計を見てみる。7時30分?

「な〜んだー、びっくりさせないでよ、ケロちゃ〜ん」

私にとって起きるにはちょっと早い時間。再び布団の中に入ろうと……、

「ちょっと待てーい! おかしいところあるやろ! もっと周りをちゃんと見渡してみぃ!」

おかしいところ? そんなところどこにも……。一通り部屋の中を見渡した後、窓のカーテンを開けてみる。すると……、どうして気づかなかったんだろう……、

「ホントだ! なんだかすごく暗いよ!」

「そうや! 7時代なら、もっと明るいはずなんや!」

「なんで⁉︎ どうしてこんなに暗いままなの⁉︎」

「おそらくや」

ケロちゃんはクローゼットに視線を促す。確かに、クローゼットからなんだかすごく嫌な気配を感じる。恐る恐る近づいてその扉を開いてみる。その瞬間‼︎

「きゃっ‼︎」

「何やこれは⁉︎ 鏡ん……なっ‼︎」

一瞬で世界が……、

「色が⁉︎」

真っ黒に……、いいえ、この世界から色が消えたの‼︎

「ケ、ケロちゃん……‼︎」

びっくりして、心臓がばくばく鳴ってる‼︎

「お、落ち着け! 桜! 深呼吸や深呼吸!」

「う、うん!」

言われるがままに、深呼吸…………、

「……落ち着いたか?」

「……うん、ありがとう、ケロちゃん」

ケロちゃんは優しく微笑んでくれた。

「桜、クローゼットの扉の内側の姿見の中から、すごい魔力が流れ込んできとる」

「うん、そうみたい。鏡の中、どうなってるんだろう……」

私は鏡の中を恐る恐る覗き込んでみた。すると…………、

「…………波打ってて……畝ってて……竜巻みたいで……真っ黒な風穴……。なんだか怖い……。吸い込まれそう……………………」

「…………桜! 桜!」

…………⁉︎ はっとした! しっかりしなきゃ!

「桜! 大丈夫か?」

「……だ、大丈夫だよ! さっきからごめんね」

精一杯の笑顔を作って振り返る。

「そ、そうか……。……どうやら、鏡の中、奥の方へ続いてるみたいやな。向こう側から流れ込んでくる魔力のせいで、こっちの世界がモノクロになってしもうたんか……。鏡の向こう側に行ってみやな、原因も分からんゆうことやな……」

「モノクロって、色がないってことだよね⁉︎ 私そんなの嫌だよ‼︎ 鏡の中に入って、なんとかしなくちゃ‼︎」

「ちょっと待て! 気持ちは分かるけどそない焦るな! 緊急時こそ落ち着いて行動せなあかん!」

「う、うん、そうだね、ごめん……」

一息入れて、ケロちゃんはまた口を開いた。

「鏡に入る前に、確かめたいことがあるんや」

「確かめたいこと?」

「ライトを使ってみてほしいんや。白黒になったってだけで、真っ暗ってわけやないけど、もしかしたら効果があるかもしれん! このままやったら町中、いや、世界中の人がパニックになる!」

「そっか! わかった、やってみる!」

 

鍵を掴み取って、窓を開けて、呪文を唱える。

「レリーズ! 汝が力と 我が心をもって 空に 希望を灯せ! ライト!」

 

あっ! 少し色が戻った! あ、でもまたすぐに……。……もう一回!

「ライト!」

……………………。

「ダメ……、一瞬だけ効くみたいだけど……。でもありがとう、ライトさん」

ライトさんはこっくりと頷いて、

「桜さん、きっとあなたなら大丈夫……、あなただから……。そのことを忘れないで。私たちはずっと、あなたと共にいます……」

そう言い残してカードに戻っていった。ありがとう、ライトさん。

「そうか……、やっぱり鏡の奥に入らんと何も解決できんゆうわけか……」

「じゃあ行かなきゃ!」

「そうやな。でもその前に、状況を整理しよう。ええか桜、原因は鏡の向こう側やと考えられる。鏡の向こう側からものごっつい邪悪な魔力が流れ込んできてるからや。今まで感じたことのない程の強い魔力や。その時点で既にただ事じゃあらへん。確かにこのまま放置しとったらマズいんかもしれんし、急がなあかんことなんかもしれん。そやけど、この先ほんまに何があるかわからん。それでも……」

「行くよ。…………こんな色のない世界は……、嫌だもん」

言葉を噛みしめるように言った。

「そっか、せやな、愚問やったな…………。よしきた‼︎ まずは桜、パジャマのままやろ、着替え! それから、わいは真の姿にならなあかん。仮の姿のままやったら吹き飛ばされてまうからな!」

「わかった!」

私は急いで服に着替えた。星の杖とカードを携え、変身したケロちゃんの背中にまたがった。

「桜、準備はええな、しっかり捕まってるんやで!」

ズシンと低い声がケロちゃんから私の体へと響き渡った。

「うん!」

「行くで! それ!」

「あ!」

「なんや!」

「雪兎さんたちに連絡しなくてよかったの?」

「あ! でももう飛び込んじゃった」

こうして私とケロちゃんは、鏡の中に飛び込んだの。




初めまして。前田マキアです。ペンネームの「マキア」は大好きな作品「さよならの朝に約束の花を飾ろう」の主人公から拝借したものです。何にしようか一瞬迷った挙句、本名の名字をくっつけて名付けました。とりあえず仮のものなので、悪しからず。今20歳なのですが、これまで本という本に触れてこなかった人生でした。ちゃんと最初から最後まで読んだのは、中学生の頃朝読書の時間に読んだ「おおかみこどもの雨と雪」と「舟を編む」なくらいなもので……。受験するにあたってもっと本を読んで欲しいと、国語の先生に「ソードアート・オンライン」と「ノーゲーム・ノーライフ」、「エロマンガ先生」の各1巻目をいただきましたが、長らくそのままにしておいて、ようやく最近読ませていただいた次第です。業界をなめているのかと言われかねないです(笑)読書はあまりしてこなかった人生ですが、アニメはたくさん見てきた人生でした。アニメの映像やシーンを頭の中で言語化するのが好きでした。これまでインプットしてきたものを、これからはどんどんアウトプットしていきたいな、なんて思ってます。どうぞよろしくお願いします。
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