第5話 東の国
彼女はキノ。旅人。その容姿から少年に思われがちだが、少女である。相棒はモトラドのエルメス。要するに喋るバイク。彼らはいろんな国を廻る旅をしている。基本的には一つの国に三日間だけ滞在する。実際何度も酷い目にあってきたし、場合によっては人を殺したりもしたけれど、キノは旅をやめない。否、続けるのだ。なぜなら、それがキノのやりたいと思うことだからである。
「キノ、次はどこの国に行くんだい?」
キノを乗せて走るエルメスが調子よく問いかける。
「とりあえずこの道を東にまっすぐだ」
エルメスにまたがるキノは淡々と答える。
「どんな国?」
「どんな国か……、そうだなぁ、うん、今向かっている国にはね」
「うんうん」
「神様がいるんだって」
「神様?」
「そう、神様。しかもたくさんいるんだって」
「へー、じゃあ神様の国だね」
「そうかも」
「どんな神様がいるの?」
「どんな神様がいるのかはわからないけど、いろんなところに住んでるらしいよ」
「例えば?」
「山とか、川とか、家とか、トイレとか」
「トイレ?」
「うん、どんなところにでも、物にでも、神様が宿ってるんだって」
「そっか、なら僕らはどんな神様と出会えるんだろうね。ぜひ会って話してみたいものだ」
「うーん、どうかな。それは難しいかも」
「どうしてさ。たくさんいるんでしょ? 一人くらいは口を聞いてくれる神様もいるんじゃないかなぁ」
「いや、そういうことじゃなくて」
「なにさ?」
「目で見たり耳で聞いたり、そもそも直接感じとることのできない存在だから」
「あ、キノ、それってさ、そういう宗教ってこと?」
「うん、そうだよ」
「なーんだ、眉唾物の話かぁ。人と同じように普通に道端で歩いてるもんだと思いながら聞いてたよ。ちょっとわくわくしてたのに……」
「どうかな」
「どうって?」
「もしかしたら本当に神様はいるかもしれない」
「どうして?」
「師匠からこの話を聞いた時、不思議と納得できたんだ。もしかしたらこのパースエイダーにも魂が宿ってるのかもしれない、とかね」
「なるほど?」
「ほら、エルメスだって喋ってるし」
「え? 僕?」
「エルメスが喋れるのは、今僕が跨ってるこの乗り物に魂が宿ってるからなんじゃない?」
「あー」
「東の国でいう神様もきっと同じだよ。もし喋れなくても、魂は宿ってるのかもしれない。このパースエイダーにもね」
「なるほど」
そうこうしているうちに、やっと国に繋がる門の前に到着した。さて、門が開かれ、二人が迎えられる。いったいどんな国が広がっているのだろうか。
一応ここまでが2018年に書いたところまでです。まだまだ序盤です。この先も少し執筆していますが、これから考えて練ってきますので、よろしくお願いします。