なろうの方でもオリジナルを1つ投稿しておりますが最近まで書く時間が中々取れず、その間に頭の中で組んでいたカルドセプトの二次創作の方が筆が乗ってしまいこうして投稿してみました。
この作品をきっかけにセプターの方々と交流出来れば幸いです。
――カルドセプト。
時の女神カルドラが作りし創造の書。その名をカルドセプトと言った。
カルドセプトにはリュエードの全てが
しかし、カルドセプトは世界を見守るべき神々の一柱、バルデアス神により奪われ、カルドラ神の記した世界は大きく歪められてしまった。自分の創造した世界が、自分の創造した神によって破壊されていくことを嘆いたカルドラ神は苦渋に満ちた表情でバルデアスを、カルドセプトと共に破壊した。
破壊されたカルドセプトは粉々の破片となりリュエード中へと散りばめられた。そして砕かれた破片は一枚のカードへと姿を変えた。
カードにはカルドセプトの力が僅かにだが残されており、あるカードは命を持った生命に、あるカードは力を与える道具に、あるカードは自然を操る魔法へ姿を変えた。
カルドラ神が去り、リュエードに残された神々は世界中の生命のうち、最も非力である人間達に告げた。
「人間達よ、破片を集め揃えよ。さすれば創造の書カルドセプトは復活し、破片を揃えた者を新たなる神とし、共にリュエードの平和を約束せん」
お告げを聞いた人間達は、皆我先にとカルドセプトの破片であるカードを集め始めた。人間達は最も非力であったが為、最も貪欲にカードを集めていった。程なくして、リュエード中でカードの奪いあいによる争いへ発展してしまう。
それを憂いたリュエードの神々はほとんどの人間達からカードを使う力を奪い残った僅かな人間達に『セプター』と名乗らせ、カードを集めさせることにした。
そして一千年もの年月が流れたが、カードを揃えカルドセプトを復活させた者は未だに現れていないのである。
港町ヴェネ。バブラシュカ大陸南東に位置する大きな漁港を構えた町である。
多くの人々がこの町を訪れてくる。ある者は町随一の産業である漁業の買い付けを、ある者は観光に町の魚介類を求め、またある者はバブラシュカ大陸を離れ海の向こうの大陸へと向かうために、もしくはその反対だ。
活気あふれるこのヴェネにはその様子にふさわしく非常に飲食を商売としている店に富んでいる。早い話がレストランや喫茶店のような店が多い。それこそどこの店を見ても朝から晩まで賑わう客で一杯だ。
それはここ、港を一望できるオープンな装いをしているカフェ『パラダイス』もまた同様である。特にお洒落なこのカフェには多くの男女が恋人として訪れている。
その一角にも同様に一組の男女が席を同じにしていた。
「……だとさ。いやぁセプターってのはみんな神様になれるかもしれない力を持ってるのねぇ。羨ましいったらありゃしないわ」
男女のうち女性の方が今しがたまで目を通していた書物をうっとりとした表情で眺めている。チラリと向かいに座る男性へと視線を向けると、男はまるで聞いていないといった様子で注文していた魚貝のパスタ・シーモンク風味を口にしている。
女性は男の様子にムッとした表情で書物を片づけ、男の目の前からパスタの皿を取り上げた。
「ちょっとヴァン。ヴァッガー=ボンド! 私の話聞いてたかしら?」
「――パスタを返せ」
「聞いてなかったのね……」
女性はふぅと溜息を零し、何もなかったかのようにパスタの皿を男、ヴァンの前へと戻した。
ヴァンもまた何もなかったかのようにパスタを食べようと手にしたフォークを皿へと伸ばそうとして……女性の差し出した書物へと突き刺した。
「おい」
「カルドセプト神話の起源ですって。錬金術師様ってのは随分とロマンティックな本を書くものねー」
「そんなこと知るか。ミラベル、いい加減俺のメシの邪魔をするな」
書物からフォークを抜き、さっさとどけろとジェスチャーしてようやく女性、ミラベルはなんたらかんたらという書物を鞄へと戻した。
ミラベルがなんたらかんたらを片づけたことに満足したヴァンは陽気な鼻歌混じりに食事を再開した。
無言でパスタに舌つづみを打つヴァンに冷めた目を送りながらミラベルは先程まで読んでいた書物に書かれていた一節を思い返していた。
『破片を揃えた者を新たなる神とし、共にリュエードの平和を約束せん』
少なくともこの男だけは絶対に神になりえないだろう。そうミラベルが結論付けているとは露とも知らずにヴァンは食事を終えて余韻に浸っていた。
「――ふぅ、他人の奢る食事ほど美味いものはこの世にはないな」
ヴァンの言葉にミラベルは目をパチクリとさせている。
「……は? え? なにここ私が払うの!?」
「当たり前だろう。お前がこの店に来いと呼び出したんだ。つまり代金はお前持ちだ」
堂々とそう言いのけるヴァンにミラベルは眩暈を覚えた。
この男と知り合って一年ほどだが、そうだこいつはこういう男だったと呼び出したことを深く後悔していた。
ヴァッガー=ボンド。世界の各地を放浪している男がいると聞いて知り合ってみたらそいつは超がつくほどのドケチだった……。本人曰く節制に節制を掛けているだけだということらしいが。
行動を共にしてからというもののヴァンが泊まった宿屋にいちゃもんをつけて値切る光景を目の当たりにすること数十回。商人から何か買う際にもいちゃもんをつけて値切る光景は百回以上。風呂や洗濯物はすべて自然を活用する、勿論一人でお店に行き、食事をするなんて光景を見たことなんて一度たりともない。
そんなドケチの男が例え自分で勝手に注文した食事だろうとお金を出すはずがなかった……。
「……はぁ、覚えときなさいよあんた」
「なにをかは全くわからんがな。――で?」
「……なに」
「俺を呼んだ理由はなんだと聞いている。まさかありがたい神話を語るためじゃないんだろ?」
「聞いてたんじゃないの……ヴァン」
先程までとは一転してミラベルは真剣な面持ちで真っ直ぐにヴァンを見据えている。
ミラベルが一年ヴァンと行動を共にしてヴァンという人間性を知っているように、ヴァンもまたミラベルの人間性を知っている。
ミラベルがこの表情をしている時は彼女が仕事へと切り替わっていることを指す。
今ヴァンの目の前にいるのはただのミラベル=クラインシュタッドではなく、情報屋ミラベルだ。
「最近この町で起きている事件については知ってる?」
「知らん」
「即答とは、あなたらしいわね」
「金になる話以外に興味はない」
「そのあなたの大好きなお金が手に入る情報よ」
「話を聞こうか」
ミラベルの言葉にヴァンはこの日初めて真剣な表情を浮かべ、情報屋となったミラベルへと向き合った。
港を一望できるオープンな装いをしているカフェ『パラダイス』
港町ヴェネでも特にお洒落なこのカフェには多くの男女が恋人として訪れている。
そのオープンカフェの一角にもまた一組の男女が席を同じにしていた。
女の名はミラベル=クラインシュタッド。世界中を旅して回る情報屋である。
男の名はヴァッガー=ボンド。世界中を旅して回る
1話は以上となります。少々短かったように思えますが、そのうち量を増やしていけたらいいなぁ_(:3_)
主人公の名前、ヴァッガー=ボンドはその名の通り放浪者から取っていますwwしかし作中ではほとんどヴァンと呼ぶようにしております。それかヴァッカー(バカ)でもいいかもしれませんねww
コンセプトはドケチで男の風上にもおけない人間破綻者です。