SEXFRIEND SS集   作:TANASOUKO

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そう、そこのフィット感

それは、2学期が始まってすぐのことだった。

 

「今日も暑いよねー。教室、クーラーとかあればいいのに」

 

だらーん、とオレにしなだれかかる早瀬。

ちなみに今は休み時間。次の時間も教室だ。

 

「まったくだ早瀬、なんとかしてくれ」

 

だらーん、とオレも早瀬の方に体重を預ける。

周囲から敵意を超えて殺意に似たものを感じるが、

もうあんまり気にしない。

一通りの冷やかしとかその他色々はもう終業式の

カラオケで済ませたからだ。

 

あ、向こうで佐藤が遠巻きにこっちを伺う一団に

注意しに言った。がんばれ姉御。

 

「どうしようもできないよ~」

 

もうふにゃー、という感じで更にだらだらする早瀬。

溶けてバターか何かになりそうだ。

 

「あ、4限にプールの授業あるじゃない。きっと涼しいよ~」

「そっか、プールか。……ってプール!?」

 

がば、と身体を起こすオレ。

プールだって!?

 

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「そう、そこのフィット感」 06/05/03 by TANA

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「マジで授業出るのか早瀬!」

 

その、プールの前の休み時間。

早瀬をつかまえて廊下で聞いた。

 

「え? 出るよ? 別に休む理由ないし」

 

何ですと!

 

「でも、ほら、プールっていったらあの、その。ええと」

 

あうあうと口をぱくぱくさせるオレ。

ダメだ。うまく言葉を紡げない。

 

「うん。あの夜以来だよね」

 

と、オレの言いたいことを察して早瀬が言った。

あの夜。オレと早瀬の心が通じた夜。

 

「心配しなくても水泳部とか休み中使ってただろうから、

体液とかは残ってないと思うよ?」

「いや、そんな心配じゃなくてだな」

 

なんとなく、あの場所に授業で行くというのが実感として

感じ取れなかった。

というより、なんか思い出が壊れるような気がして、

行きたくないと思ったのだ。

 

「……高辺クン? まさか卒業までプール避け続けるわけにはいかないでしょ?」

「…そりゃ、そうだけど、あと」

「ん? まだ別の理由があるの?」

「……早瀬の水着姿をほかのヤツらに見せたくない」

 

とたん。

ぎゅっ、と早瀬が抱きついてきた。

軽くほっぺにキス。

早瀬さん、ここ廊下なんですけれど……。

 

「ありがと」

 

簡潔に、それだけ言うと早瀬は離れた。

 

「ダイジョーブだよ。見られたって減るもんじゃなし」

「けど」

「いいの。むしろオレの彼女は凄いだろ、って思うくらいでいいよ。

キミの場合」

「……」

 

早瀬は基本的に「早瀬はオレのもの」みたいな態度を嫌う。

だから、あまりオレの彼女、みたいな言葉は使ったことがなかった。

つきあい始めてからも。

 

「でもなぁ、プールってコトは、水着だろ?」

「バスタオルでも巻いてあげよっか?」

 

とにやにや笑う早瀬。

う。このからかいモードになったらオレに勝ち目はない。

それはこの一ヶ月少々の日々で思い知らされている。

 

「……わかった。オレも覚悟しとく」

「? 覚悟って、何が?」

 

ひょこ、と早瀬が首をかしげる。

本気でわかってない早瀬。

じゃ、とお互い更衣室に向かった。

 

 

 

「あっはっはっはっは高辺コンチクショー!!」

 

プールの授業。自由時間になると速攻だった。

光瀬がこれ以上ないくらいのいい笑顔でスリーパーホールドを

かけてくる。のど! のどに極まってる! 落ちる!

 

ぱんぱんと2回タップすると光瀬は解放してくれたが、

完全にすわった目で、

 

「あの早瀬のムネもおなかもおしりもアソコもみんな知ってますってか!」

 

光瀬が指さす先。

そこには水着姿の早瀬が蕪皿と並んでプールサイドにいた。

 

相変わらず挑発的この上ないバスト。

ほど良く引き締まったウェスト。

若さあふれるつり上がったおしり。

 

ボディーラインがくっきり見えるというのは、罪だ。

光瀬と星の友情のクロスボンバーを食らいながら考えた。

誰だスクール水着開発したヤツ。

あとプールを授業に取り入れたヤツ。

一生恨んでやる。

 

まぁ、そういうことだ。

早瀬の魅力はたくさんあるとオレは思うが、主に肉体面における

魅力がプールでは遺憾なく発揮されてしまうわけだ。

 

「げほっ……そんなにみんな知ってるってわけじゃないぞ」

 

ウソだけど。本当はめっちゃ知ってるけど。

むしろ知らないところを探すのが難しい。

 

「え? お前らそんなに奥手なのか?」

「ふだんあれだけいちゃいちゃしてるんだからてっきりもう済ませてるのかと」

「す、済ませてるって何が」

「何がって、ナニだ! A、B、CのC!」

 

それはもう済ませるというか一番はじめに済ませました。

と、言うほどオレも正直者じゃない。

 

「そのへんは想像に任せる。というか、お前ら他に見るものないのか」

「うーん……だってなぁ。」

なぁ、と皆口々に同意する。(満作除く)

 

まぁ確かに、ウチのクラスでプロポーションを言ったら

早瀬がダントツで一位だ。ボリュームといい色気といい。(満作の評価除く)

 

とか考えていたら。

すっと後ろに謎の気配が。

 

「……他に見るものないってか」

 

あ、キャプテン佐藤とプール投げ落としチームだ。

にこにこ笑う笑顔に青筋がぴきり。

 

「じゃみんな上がれー、昼休みだぞー」

 

先生の許可が出ても、俺たちはしばらくの間、

プールから上がろうとしては佐藤たちに蹴り落とされていた。

 

 

 

「にゃはは♪ ひどい目にあったね」

 

昼休み。

なぜかオレもガンガンに蹴られまくったので、あちこちに

痛みを覚えつつ、パンをほおばる。

 

「おーよしよし。いい子だからねー」

 

さすさすと早瀬の手がオレの背中を撫でさする。

あー、気持ちいい。

 

「まぁ見ました奥様っ! 昼休みだというのにあんなに」

「見ましたわ見ましたわっ! 昼間っからはしたない」

 

向こうの方で小松と光瀬が謎のオネエ言葉で話している。

こりゃまたしばらくはからかわれるな……。

 

と、思ったら。

がすっ。ばたーん。げし。ばたーん。

 

蕪皿の情け容赦ない一撃に轟沈する奥様戦隊。

 

「な、なにゆえの狼藉か……」

 

ふたりはきっかり気絶しているので、代わりに星が聞く。

こっちも動揺しているのか時代劇になってるけど。

 

「悔しかったら口説き方でも研究しろ」

 

あっさりと身を翻すキックの悪魔。

と、とりあえず助かったのか?

このクラスで蕪皿に立ち向かおうなんて酔狂なヤツはいない。

 

なんかゴルゴ13なヒトに背中を守られているような安心感。

 

「お前も美奈を泣かせたら殺す」

「ぶっ」

 

このゴルゴは背中から撃つ気満々らしい。

 

「はぁ……オレ、無事にプールの授業終えられるかな」

「にしし♪ ……無理かも」

「あきらめるなー!」

 

楽しそうに早瀬は笑っていた。

 

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