SEXFRIEND SS集   作:TANASOUKO

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STEP

 

「STEP」 03/06/14 by TANA

 

 

 

 

目が覚めると、隣に早瀬がいた。

 

隣のベッドじゃなく、オレの寝てた布団の中に。

顔が、もう至近距離。

 

…………。

 

「ええっ!!?」

 

ホワイッ!? なに!? なぜ!?

 

えーとえーとえーと。

 

なんか寝起きということもあって思考がまとまらない。

 

ちょ、ちょっと整理してみよう。

 

ここは早瀬の部屋だ。

 

昨日、泊まりに来た。これは別に初めてじゃない。

 

いつものようにオレは布団、早瀬はベッドで寝て。

 

で、目が覚めたらこうなっていたと。

 

えと…仮説1。早瀬がベッドから落ちてきた?

 

「いや、それはないな」

 

オレのカラダに回された手。

オレの足に寄り添う足。

 

というか、掛け布団の間にしっかりともぐりこんでいるし。

 

「そういえば、こんな風に、早瀬と一緒に寝たことってなかったな…」

 

この部屋で、エッチしたことはない。

なんとなく…というか、早瀬の方がそれとなく避けたいみたいだったから。

 

 

 

「じゃあ仮説2…」

 

…なんて考えてる余裕もない。

 

考えてみてほしい。

この世で一番好きだと胸を張って言える女の子の顔が、目の前数センチのところにある。

 

オレにしがみつくように回された手。

寄り添うように重ねられた足。

 

早瀬のぬくもりが、オレを包んでいる。

早瀬の匂いが、オレを取り囲んでいる。

 

なんかどうしていいかわからない。

自分のカラダが自分のものじゃなくなったみたいに、動かせない。

 

 

 

カラダが動かせないので、目の前のものを見るしかないわけで。

目の前のもの。

 

…早瀬の顔。

 

ええと、まつげが長いんだな。

あと、ちょっとつり目気味。

今は閉じられているが、開けばちょっとドングリマナコ。

鼻筋はとおっていて、まぁ、キレイな形をしてると思う。

 

くちびる。

軽くあけられて、寝息がこぼれている。

見た目はふつうなのに、信じられないくらい柔らかいことも知ってる。

 

「……」

 

しまった。

くちびるは見るんじゃなかった。

 

…キスしたくなってきた。

 

 

 

 

 

まずい。いやまずい。多分この部屋ではまずい。

 

早瀬は、この部屋には多分いろいろ思い出がある。

それはきっと、いい思い出も、悪い思い出も。

 

そのうち、話してくれるかもしれないが、こちらから無理に聞き出すことじゃない。

 

「ん……」

 

早瀬が、そっと、身じろぎをする。

 

びく、とオレの体はさらに硬直する。

 

「……高辺クン…」

 

ぐはっ。

 

なんか今、瞬間的に脳が沸騰するかと思った。

それほどキョーレツ。

「寝言で自分の名前を呼ばれる」のが、こんなに…、

 

死んでもいいくらい嬉しくて、ハズカシイものだとは……。

 

うわ早瀬の口元から目が離せなくなってきた!

 

 

 

 

 

頑張れオレの鉄の意志!

かつてオレの部屋で勉強したときの奇跡をもう一度!

 

「……高辺クン……好き…」

 

早瀬じゃましないでくれェェェェェーーーーー!

襲われたいのかお前!? オレの理性を崩壊させるのがモクテキか!?

ワタシの体が目当てだったのね!?

 

オレもう大混乱。というかこのままでは確実に襲っちゃう。

 

と、とりあえず早瀬から脱出をはかろうとする。

そーっと、早瀬を起こさないように、布団から抜け出て…。

 

 

 

「高辺クン……どこいくの?」

 

 

 

起きてるーーーーーーーーっ!?

 

 

 

「…高辺クン……いかないで…」

 

体に回された手に力がこもる。

 

……まだ寝ぼけてる?

 

「やだ…いかないで……」

 

ついでに幼児化もしてる…?

 

「……どこにもいかねえよ」

 

とりあえず脱出を中止する。

 

「うん…」

 

オレは早瀬の方に向き直る。

早瀬はしっかりとオレの体に手を回すと、甘えた子供みたいに、オレの胸元に顔をこすり

つける。

オレは早瀬の髪をそっとなでる。

 

「……うん?」

 

ばっ。

 

早瀬が突然オレの顔に向き直る。

 

 

 

あ、起きた。

 

 

 

「おはよ」

 

「……あれ、高辺クン…?」

 

「おう」

 

「え…!? ちょ、なんで、あれ、高辺クンがベッドに、これ、え!?」

 

おー、混乱してる混乱してる。

こんな早瀬もカワイイな……。

 

「いや、こっちオレの布団」

 

「え……!?」

 

上を見て、後ろを見て。そこに自分のベッドがあることを確認して。

 

「やだ、私さっきベッド、その、間違えてトイレが高辺クンの布団で」

 

「なに言ってるか解らないけど、なんとなく言わんとすることは解った」

 

「あうう……なんか、すごいハズカシイよぉ…」

 

ぎゅっと、オレの胸元に顔をすりつけて、早瀬。

う。またさっきのドキドキが……。

 

「ま、まぁいいから。気にすんなよ。いいから自分のベッドに戻れって」

「うん……」

 

と、言いながらも、早瀬は動かない。

 

「ねぇ、高辺クン……」

 

こちらを見上げた顔は、普段よりずっと真剣な顔。

 

 

 

「きす、して……」

 

 

 

「でも……」

 

いいのか、という言葉は、口の中で飲み込む。

早瀬の真剣さに、口を挟む気にはならなかった。

 

「いいの……今ここで、キスして、ほしい」

 

目が、濡れたように光ってる。

もしかして、ジッサイに、少し泣いたのかもしれない。

 

なら、オレは迷わなかった。

 

 

 

「んっ……」

「ん…」

 

 

 

ながい、ながい、きす。

 

それは深いものじゃなくて、ただくちびるを合わせるだけの。

求めるものは、キモチヨサじゃなくて、もっと別の、カタチにならないもの。

 

 

 

「ふぅっ…」

「んん……」

 

早瀬の鼓動を感じる。

早瀬の体温を感じる。

早瀬のキモチが伝わってくるような気すらする。

 

そんな、きす。

 

やがて、早瀬の両手が、オレの頭にしっかりと回される。

 

 

 

 

 

「ね……しよ……」

 

 

 

 

 

 

もう、どんな言葉も言えなかった。

早瀬がしたいと言ってる。ここで。この部屋で。早瀬の部屋で。この、広い部屋で。

 

その目は、ちょっとだけ夢見るようでいて。

以前「あの部屋を片づけたい」といったときと同じ、決意の色が見えて。

 

オレはそれ以上、なにも言わずに早瀬の頭を引き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

またひとつ、早瀬の中で、なにかが、どうにかなったみたいだった。

多分、いい方向に。

 

 

ひとつ、ひとつ。

早瀬の中で何かを乗り越えることが出来るのなら。

 

それは、なんだかとってもウレシイことのように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついで言えば。

 

いつもいつもエッチが絡むのが、なんだかオレたちらしかった。

 

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