家を飛び出した途端、目の前に楽郎くんがいた。
なぜも何もどうしても全部吹っ飛んで、その事実だけが私の頭を埋め尽くす。
けど、ここに来たってことは、私の…告…白…のっ、返事をする…。
今からでも楽郎くんの心証を上げる方法を…何か…!
「玲さん」
「はっひゃいっ!」
「その、昨日の事だけど…びっくりした。まさか玲さんが俺を…だなんて、思ってもみなかった」
うれしくて、けど少し悲しい。
すぐに否定しなかったから、私のことを嫌っていなかったから、けど私の気持ちに気付かなかったなんて。
都合のいい事を考える自分の卑しさに、涙が滲む。
「一晩考えて…自分の気持ちに、今答えが出た」
うれしくて、それ以上に不安が募る。
私の告白を受け止めてくれて、真摯に考えてくれたことに。それ以上に、語られるその答えが、望むものでなかったらと思うと、怖くて涙が溢れてくる。
「俺は今まで、玲さんを1人の人間として見えていなかったんだと思う。今の関係に不足を感じなかったから、玲さんの気持ちを知ろうとしなかった」
「今は、玲さんの事を知ろうとしてる。もっと知りたいと思う」
「けど、不安なんだ。玲さんに俺がどう見えているのか。俺のことを、過大評価していないか」
そんなことは無い。
そう声に出したくなったが、口を噤む。その不安は私もずっと抱えて、けど打ち明けられずにいたもの。
彼は今、私以上に勇気を出しているのだから、全部、聞いてあげたい。
ふと気づく。両目からとめどなく感情を溢れさせながら、心の中は凪いだ水面のように平静になっていた。
「俺は、人生の大半をクソゲーに捧げる覚悟をとっくに決めたクソゲーマーだ。シャンフロを始めたのだって、最初はただの気まぐれだった」
知っている。自分の好きな物に、尽きせぬ情熱を向けられる。理不尽を乗り越えるその時まで諦めず、立ち向かい続ける。その姿勢のなんと眩しいことか。
「俺の家族は趣味人ばっかで、互いの趣味に寛容ではあるけど、時には周りを顧みないこともある。玲さんに、何か迷惑をかけるかもしれない」
知っている。素晴らしいご家族だと心から思う。迷惑なんて、むしろかけられたい。貴方の見ている世界を、私も見たいから。
「シャンフロの中の俺だって、奇妙な星のめぐり合わせでああなったとしか言えない。何か1つでも違っていれば、ツチノコだなんだと呼ばれるようにはなってなかった」
知っている。彼があのゲームの中で刻んでいる軌跡は、他の誰一人としてそっくりそのまま辿ることはできないだろう。
けれど、もしもの話で自分を卑下する必要はどこにもない。
「それでも、そんな俺でも…」
そして、彼が全てを話してくれるのなら、私も打ち明けないといけない。
私の気持ちの全部を。
「もし、玲さんが好きでいてくれるのなら…俺と…付き合ってください!」
許容量を超えた喜びが胸を満たして溢れ出す。足元が覚束なくなってふらつくがなんとか耐える。
もしこれが夢なら永遠に覚めてほしくない。
夢見心地で、差し出された手を握る。恐る恐る、けれどしっかりと。
彼の手の熱と感触が、私に現実だと告げてくれる。
普段彼の前だと緊張してつかえてしまう言葉が、今なら淀みなく喋れる。
そんな気がした。
「大丈夫です、楽郎くん。私は、ずっと貴方を見ていましたから。貴方を見損なったりなんてしません」
幾度となく夢想した、彼からの告白。
私の答えは、あの雨の日から決まっている。
「貴方を愛しています。よろしく、お願いします」
拙者「自分の弱みを曝け出してるつもりで吐露した内容を相手は長所だと受け取ってくれる」シチュ大好き侍!
ただヒロインちゃんの場合ちょっと怖さを感じてしま
おまけを1話設けてこのSSは終わりです。
2021/04/06追記
追い幻覚を見たのでおまけが3話になりました。