壊れないように、離さないように   作:東雲。

6 / 8
読み返しておまけがだいぶ駆け足だったなーと思ってたら2話分の幻覚が生えました。流石にもう生えないと思います。
時系列的には4及び5話の直後にあたります。


おまけ話
スローアウェイオーバースウェイ


俺の全身全霊の逆告白と、それに応えてくれた玲さん。

こうして、俺たちは恋人となった。

浮足立った感情が、実感と共に胸に落ち着く。

俺は、玲さんを好きになったのだと。

あっやばいやばい顔があついあつい…あれ、そういえば玲さんは?

 

「」

斎賀玲、直立不動で気絶。

まるで理不尽難易度のクソボスを5時間かけて討ち果たした後の俺みたいな達成感と安堵に満ちた表情であった。

 

「………どうしようこれ」

現在俺の手は片方が玲さんにがっしり握られている。これを外そうとすれば玲さんは倒れてしまう。

玲さんの意識が復帰するまで待つか?いつになるかわかんないし、それまで天下の往来でこの姿勢を長時間続けるのは世間体に良くない。

じゃあ起こす?肩でも揺すって?…良いのかなぁ勝手に身体に触るの。恋人特権って事でどうにか…でもそうするしかないよな…よしやるか、行くぞ!

 

だが、俺の判断は遅きに失した。

何がそうさせたのか、玲さんの身体が急にバランスを崩す。

 

このままだと背中から

握られた手を引き上げる

いやこれ外れるわ意味ねぇ!

 

「っと!」

 

とっさに玲さんの背中に手を回してなんとか支える。

危ない危ない、交際直後に相手を怪我させたら洒落にならんぞ。あれ、てかこれ

 

「!!!」

 

いやちょっと待って近い!玲さんの顔が近い!そりゃそうか背中支えようとしたら必然こうなるわな!

というかこの姿勢、

・仰向けに倒れかけた玲さんの

・背中に片腕を回し

・もう片手で玲さんの両手を掴んで上に上げている

 

社交ダンスのポーズでそれっぽいの見たことあるやつぅー。屋外でする姿勢じゃねー!!

休日且つ朝の内だからかまだ周囲に人影は見当たらないが、見つかるのは時間の問題。

どうする、どうする…!

 

「くっ…このまま…玲さんを、家に戻せば…!」

ひとまず余人の目からは隠せる。

そして落ち着いて寝かせて使用人の方に引き渡して俺は帰る。クエストクリア!いける!

 

「玲さん、ちょっと、我慢してくれよ…」

 

多少靴の踵が擦れてしまうが流石にこれはコラテラル・ダメージ。なんとか怪我だけは避けてひっぱ「玲、急に飛び出すなどはしたない真似は…」

 

通用口から斎賀姉(シャンフロやってない方)が姿を見せた。

今の俺たちをガッツリ視界に収める形で。

 

「………フッ」

 

父さん、母さん、瑠美、先立つ不幸を許してください。

ペンシルゴン、カッツォ。お前らが地獄に落ちた時は先輩としていびり倒してやる。

 

とはいえリアル切腹コマンドの前にやらねばならないことがある。

「…あの、運ぶの手伝ってもらってもよろしいでしょうか」

 

 

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どうやらリアル切腹の出番は無さそう。助かった…

玲さんのことはちゃんと見れるようになったが、斎賀家及び風雲斎賀城に関してはまだ何が飛び出すかわからない恐怖心がある。

この敷地面積と物々しさすら感じる純和風屋敷が既にファンタジーの領域に片足突っ込んでるんだよなぁ…

 

使用人の方にも手伝ってもらい(担架を持って来た。家の中で担架を使う可能性が…?)、何とか玲さんの部屋まで運び込んだ。

ただ当然というか、布団に寝かせるのは斎賀姉がやっている。その間俺は部屋の外で待機。

 

(か、帰りてぇ~~~………)

 

俺の手持ちは端末だけ。財布すら家に置いてきた。だって告白の返事をするだけのつもりだったんだもんよぉ!

こうして突っ立ってる時間をどうすれば良いのか。ネットサーフィンでもしたいところだが、いざ斎賀姉が出てきた時に端末を弄ってる姿が見られるのはバツが悪い。

この時間の持て余し抜きでも可能であれば一刻も早く去りたいと言うのに。

うーん…外道共を煽る文句…ウィンプをおちょくる方法…サバイバアルを黙らせるスクショの選別…

 

スッと襖が開いて斎賀姉が出てくる

 

「あー…その、玲さんはどう、でしたか…?」

「ご安心ください、ただの気絶です」

 

そうですかただの気絶ですか良かったです~、なんて素で返せる人物が果たして何人いるのだろう。安心できるかい

 

「そうでしたか、それでは俺はこれで…」

 

踵を返して玄関口へ向かう、用は済んだ(ミッションコンプリート)。俺はこれより帰還する…!

 

シュンッ(そうとしか表現出来ない素早さで俺の前に回り込む斎賀姉)

 

「まぁお待ち下さい」

何今の動き、多重的円周運動(オービット・ムーブメント)

 

「玲がお世話になったのですから、もう少し休まれては如何でしょうか。失礼ながら、伺いたい事もありますので」

穏やかな微笑みのはずなのに圧が凄い。

頬が引きつる。嫌な予感しかしない。だが俺は諦めない男…足掻くだけ足掻く…!

 

「…シャンフロの話、ですかね?それでしたら玲さんにぃ…聞いたほうが良いかと思いますがぁ…」

「しゃんふろ…も気にはなりますが、今はそちらではありませんね。陽務楽郎さん?」

 

つみです。でなおさせてください

 




サンラクサンが待ちぼうけ食らってた時の一方その頃

「玲、起きていますね、玲」

「………(下手な問答を交わすと付き合ったのがバレるかもしれないので寝たフリ)」

「…まぁ好都合です。少々彼に聞きたいこともありますし。そのまま寝ているように」

「…!?!?(もうバレてる!?)」
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