アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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八話

「わぁぁぁ!!」

 

 梨璃と再会してから次の日。泣きまくる梨璃を何とか宥め、積もる話も色々とあったのだが、それは後々ということにした悠斗。とりあえずはお互い名前で呼び合うことに決め、連絡先も交換した二人。

 

 そんな悠斗なのだが、何故か朝っぱらから夢結と梨璃のティータイムにお邪魔しているのだった。

 

 そんな梨璃は、とある紙を目の前まで持ち上げ、目をキラキラとさせている。

 

 その紙には、夢結と梨璃の名前が書かれていた。

 

「これで私、夢結様とシュッツエンゲルになれたんですね! ね! 悠斗くん!」

 

「お、おう、そうだな…………」

 

 未だになぜ呼ばれたのか分かっていない悠斗は、その梨璃の表情を見てそこまで喜ぶのか……? と疑問に思っていた。

 

「夢みたい…………嘘みたいです……」

 

 と、夢見心地気味に呟く梨璃。しかし、夢結はそんな梨璃の言葉を無視するかのように紅茶を飲んだ。

 

「早く、私も夢結様や悠斗くんと一緒に戦いです……あ、でも、私。初心者すぎて何のレアスキル持ちかもわかんないんですよ。あはは……」

 

 と、頬をかきながら苦笑いをする梨璃。会話が続かない……というよりも、夢結がだんまりすぎて空気が少し気まずいので、今すぐ悠斗は逃げ出したかった。

 

「あ、二水ちゃんは、鷹の目というスキルらしいです!」

 

 レアスキル、鷹の目。空から地上を見下ろすように俯瞰視点で状況を把握するという空間把握のレアスキル。単なる異常視力ではなく、まるでチェスや将棋のように状況を把握することができる。戦場マップを確認せずとも的確な判断が可能になるレアスキルである。

 

「高ーいところから物事を見渡せるって──―そうだ! 夢結様と悠斗くんはなんのレアスキルを──────」

 

「ルナティックトランサー」

 

「へ?」

 

 ポツリ、と夢結が呟く。

 

「それが私のスキル──ーいえ、レアスキルなんてとても呼べない代物よ」

 

 レアスキル、ルナティックトランサー。精神は正常なままバーサーク状態で戦うことが可能な危険なレアスキルである。

 

 会話を辞めてしまい、再びまたまた気まずい空気が流れる。

 

「えと……えと……そうだ! 悠斗くんはなんの────」

 

「ルナティックレッドアイズ…………白井様のよりも凶悪で、絶対に使ってはいけない奴さ…………これもレアスキル──ーいや、レアスキルの枠組みに入れることさえも甚だしい」

 

「…………悠斗くん……?」

 

 そう目線を逸らして呟く悠斗。その顔は酷く悲しみに満ちていた。

 

 そして、そんな雰囲気最悪な三人を覗く人影が二つ。

 

「朝っぱらから三人で何をイチャついてますの~!」

 

「私には、どこかぎこちなく見えますけど」

 

 当然(?)、楓と二水の二人である。楓に至っては、双眼鏡を使ってまで覗いている。

 

「……ところで、そのメモはなんですの?」

 

 双眼鏡を外し、二水の方へ振り向いた楓が聞いた。

 

「お二人のことを週刊リリィ新聞の連載記事にするんです」

 

「二人? 誰と誰ですの?」

 

「梨璃さんと夢結様です」

 

「悠斗さんは?」

 

「あの人は、既に百合ヶ丘全体で周知されてるので、あまりゴシップにしても反応はなさそうだなと」

 

「あなたもなかなか容赦がないですわね…………」

 

「それ、私も興味あるナ」

 

 そんな会話をしていた二人に、音もなく近づき、ソファの上で胡座をかいている少女が一人。二水がそちらに顔を向けると、鼻の血管がまた切れたような気がして、急いで鼻を抑えた。

 

「あの夢結をたった二日で堕とすなんてビックリダ」

 

「そりゃあ梨璃さんですもの。当然ですわ」

 

 一体何が当然だと言うのだろうか。深くは突っ込まない。

 

「…………んで、あなたは?」

 

「私は吉村・Thi(てぃ)・梅。二年生だゾ」

 

 二水が出会えたことに嬉しすぎて、顔を完全に下へ向けた。

 

 

 

 

 梨璃達に、勉強のために大型ヒュージと戦うところを見せようとアールヴヘイムの任務中にお邪魔することにした夢結。もっとも、梨璃達がいるところでは、クッキーや紅茶が準備されてたり、陽の光をカットするためのパラソルまで準備をしていた。

 

 ……本当に戦闘の前の光景なのだろうか。

 

 もちろん、悠斗も引っ張られた。

 

「ヒュージです!」

 

「あれが……」

 

 二水がレアスキル、鷹の目を用いてヒュージの接近を確認する。

 

「噂の鷹の目ですわね」

 

「よく見ておきなさい」

 

 夢結がそう呟いた瞬間、明らかに準備されていた紅茶が揺れる。そして、後ろの方からミサイルがいくつかヒュージに向かって突撃して行った。

 

「うわぁ! な、なに!?」

 

 当然、その事を知らない梨璃は驚きの声を上げる。

 

「防衛軍の攻撃だな。ぶっちゃけ意味は無いんだが……ま、苛立たせる位なら効果はあるだろう」

 

 スモール級なら頑張れば倒せるが、今やって来ているヒュージには全くもって意味は無い。当然のように防がれる。

 

「気のせいか、こっちに向かってませんか?」

 

「百合ヶ丘女学院は、リリィの育成機関であると同時に、ヒュージ迎撃の最前線よ」

 

「そ、そうか。ヒュージの攻撃をここに集中させて、周りの被害を抑えるんですね」

 

「そして、多くのリリィが集まるこの場所は、ヒュージにとっても見逃せない場所なんだろうな…………お、梨璃さん、どうやら出るみたいだぞ」

 

「遅れないでよ、皆!」

 

 悠斗が目を向けた先には、マギの力を使って大きく跳躍する天葉の姿が。一瞬、悠斗と目が合うとウインクをした。

 

「新人相手にスパルタ過ぎません? 天葉様」

 

「そんなに意地悪されたら惚れちゃいますぅ」

 

 と、天葉を見上げた壱と亜羅椰。

 

 そして、天葉の後を追うように樟美と依奈が跳んだ。

 

「天葉様は私と兄さまのだから」

 

 と、なにやら樟美が張り合う。依奈も色々と突っ込みたかっが今は我慢した。

 

「無駄口叩くな! ほら行くよ!」

 

 そして、依奈はCHARMに『ノインベルト戦術』に使われる専用のバレットをセットした。

 

「アールヴヘイムが、ヒュージにノインベルト戦術を仕掛けます!」

 

 それを、鷹の目で見ていた二水が伝える。

 

「…………」

 

 依奈を始めとし、九人で空中でマギスフィアをパスしながら、最後の一撃を思いっきりヒュージに向かってぶちかます。これにはヒュージが発生させるマギによる防御も貫通させることが出来、大きな水しぶきが上がった。

 

「…………ん?」

 

 それをしっかりと見ていたアールヴヘイムに所属していて、スーパーサブ的な立ち位置にいる悠斗。ポケットに入れてる端末が震えていたので、それを取り出してみると、一つのメッセージが天葉から届いた。

 

『誤解しないでね! 私は悠斗のものだからね!』

 

 ────なーにいってらぁ。

 

 そう思った悠斗は悪くない。

 

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