アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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九話

 そして、またまた悠斗は梨璃達に引っ張られながら、訓練室へと入っていく。今から、夢結と梨璃の訓練が始まるのだ。

 

「構えなさい、梨璃さん」

 

「は、はい! ……こうですか?」

 

 夢結の言葉に促されながら、梨璃に支給されたグングニルを構えるが、呆気なくそれは夢結に吹き飛ばされる。

 

「うあっ!?」

 

「「あっ!」」

 

「ダメだ。CHARMに全くもってマギが込められていない」

 

 本当に初心者だったんだな、と思いながら痛みに顔をしかめる梨璃を見つめる。なにかアドバイスが必要かと思うが、マギの扱いは人それぞれなので、あまり意味は無いし、そもそもそれは、シュッツエンゲルである夢結の役目である。

 

「ヒュージとは、通常の生物がマギによって怪物化したものよ。マギという超常の力に操られているヒュージには、同じマギを使うリリィだけが対抗出来る…………マギを宿さないCHARMなど、それはただの刃物よ」

 

「は、はい!」

 

「もっと集中なさい。そうすればCHARMは動く。強靭になる」

 

「…………」

 

 梨璃は、意識をCHARMに向けて、少しずつマギを流していく。すると、少しずつCHARMが光り、マギクリスタルコアが輝き始める。

 

 だがしかし────ー

 

 ガァン! 

 

「ぐあぁぁぁっ! グッ……!」

 

 しかし、夢結はお構い無しにCHARMを梨璃のCHARMへとぶつけ、吹き飛ばす。あまりの痛みで、梨璃は片膝を着いてしまった。

 

「あぁぁ!」

 

「素人相手に、なんてことを……っ!」

 

 二水が心配そうに梨璃を見つめ、楓が少し怒り気味に夢結を見つめる。しかし、二人は外野など無視して、訓練をする。

 

「もう少し粘って見せなさい、梨璃さん」

 

「は、はい……っ!」

 

 痛いはずなのに、梨璃はもう一度立ち上がり、グングニルを構える。

 

 ガァン! 

 

「うああっ! くっ……」

 

 少しばかりの足音の後に、またもやCHARM同士がぶつかる激しい音。三度しか合わせていないのに、梨璃の息は切れており、肩で息をしている。そんな梨璃を、夢結は感情が何一つも残っていない目で見つめる。

 

 ────あの目だ。

 

 悠斗は、夢結のあの目が苦手だ。同じ人間────いや、悠斗は既に人間とは言えないかもしれないが、あんなに冷徹で、何も移していない夢結の目が、悠斗は苦手だ。

 

「……軽いわね」

 

「随分と手荒い事ですこと」

 

 そして、遂に我慢できなくなった楓が待ったをかける。

 

「私にマゾっけがあればたまらないでしょうねぇ」

 

 ────そういう問題か? 

 

 ────そういう問題です? 

 

 二水と悠斗の思っていることがリンクした。

 

「夢結様のお噂は存じておりますわ。レアスキル、ルナティックトランサーを武器に、数々のヒュージを屠ってきた百合ヶ丘屈指の使い手…………」

 

「………………」

 

「トランス状態ではリリィ相手でも容赦しないとか?」

 

「おい、楓さん──ー」

 

「楓さん、それは──ー」

 

「いいんです、私……」

 

 これ以上はダメだ。そう思った悠斗と二水が楓を止めようとしたが、立ち上がる音と声によって塞がれる。

 

「私……っ! 皆より遅れてるから、やらなくちゃいけないんです……! 今度こそ、失わないためにも…………」

 

「梨璃さん……」

 

 その時に、梨璃と悠斗の視線があったような気がした。

 

「だから、続けさせてください!」

 

 

 

 

 

 

 カッポーン。

 

「あいたたた……」

 

「おいたわしや梨璃さーん。全身アザだらけですわ~。ほらここも……ここも~!」

 

「そ、そこは違いますぅぅぅ!!!」

 

 

 

 

 

 

「はぁ……私にはやっぱり解せませんわ。そこまでして夢結様にこだわることないんじゃありません?」

 

「楓さんだって最初は………………」

 

「こんな所で挫けてはいられないよ。だって、私まだ夢結様のこと、それに、悠斗くんのことだってまだ何も知らないから」

 

 グッ、と拳を握って気合を入れる夢結。そんな梨璃達に近づく影が三つ。

 

「あなたが夢結様のシルト、そして悠斗の昔馴染みね~」

 

「まさか本当にモノにしちゃうなんてね」

 

「おめでとう、梨璃さん」

 

 寄ってきたのは、壱、亜羅椰、そして樟美の三人。

 

「あ、アールヴヘイムの皆さん!?」

 

 そして、二水は慌てて鼻を抑え始めた。

 

「丁度いいですわ。教えて頂けません? 夢結様のこと。ついでに、悠斗さんのことも」

 

 ついで発言に少しだけ楓にカッチーンときた三人だが、ここでやり合う訳にはいかないので、壱達は大人しく梨璃達の隣に落ち着いた。

 

「そう言っても、中等部は校舎違うしね~。悠斗のことなら沢山喋れるんだけど」

 

「でもぉ、夢結様と悠斗の共通点と言ったら……」

 

「…………甲州撤退戦」

 

「……甲州」

 

 梨璃がその言葉に反応する。忘れるはずもない、あの夜のことである。

 

「二年前、ヒュージの大交戦にあって、甲州の大部分が陥落した戦いのことですね? 百合ヶ丘からも、いくつかのレギオンが参加したものの、大きな損害を出して、威勢を誇った先代のアールヴヘイムが分裂するきっかけにもなったんです。先輩方にも伺っても、この件には口が重くて……」

 

「度胸あるわね、あなたも…………」

 

 二水のジャーナリズム魂に、引きながらも感心する壱。

 

「中等部三年生だった夢結様も、特別に参加していたと……」

 

「なら知ってるでしょ? 夢結様はそこで、ご自分のシュッツエンゲルを亡くしてるって」

 

「…………思ったんですけど、これと悠斗さんのどこに共通点が?」

 

「簡単よ。悠斗は甲州撤退戦で死んで、そこでヒュージに寄生されて生き返り、天葉様と依奈様に救われた…………本人もあまり覚えていないようだから、ここら辺の詳しい話が聞きたいのなら、天葉様たちの所に行くのをおすすめするわぁ」




ひえー……忙しすぎて書く時間がぁ~
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