アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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十二話

「いいか、梨璃さん」

 

「うん」

 

「君は、白井様に向かってまっすぐ突っ込むだけでいい。露払いは俺たちに任せろ!」

 

 その言葉に応えるように、悠斗のマギクリスタルコアにルーン文字が浮かび上がり、刀身が分裂。

 

「フンっ!」

 

 柄をまるで指揮棒のように振るうだけで、分裂した刀身が意志を持つように動き、的確にHUGEのミサイルを弾き飛ばす。その背後では、楓が蝶のように舞い、蜂のように突き刺す華麗なCHARM捌きでミサイルをはらって行く。

 

 ──―これが百合ケ丘の至宝と言われる楓さんの実力か……全く、恐ろしいな本当に。

 

 次に梅がタンキエムをガンモードにして、ミサイルを撃ち落とし、更に追撃のミサイルを悠斗が全て切り落とす。そして、夢結との一直線の道が出来上がった。

 

「行け! 梨璃さん!」

 

「夢結様ー!!」

 

 梨璃が飛び、夢結へと突っ込む。

 

「私に! 身だしなみは何時でもきちんとしなさいって言ってたじゃないですか!」

 

 ガンッ! と夢結のブリューナクとHUGEの腕がぶつかり、鍔迫り合いとなる。しかし、レアスキル『ルナティックトランサー』を発動している今の夢結は、通常よりも強化されているので、勢いよくHUGEの腕を吹き飛ばす。

 

「夢結様! 私を見てください!」

 

 現在の夢結は、敵味方の区別がついていない状態であり、振り返りざまにブリューナクを梨璃へと伸ばす。それに気づいた梨璃が慌ててグングニルの角度を変えて、ブリューナクとぶつかりあった。

 

 その瞬間、二つのCHARMの接着点から青白い光が輝きだし、『マギスフィア』が精製された。

 

「あれは……」

 

「マギスフィアですわ……」

 

「……ガッカリしたでしょう、梨璃。これが私よ……憎しみに呑まれた、醜く浅ましいただの化け物……っ!」

 

「それでも! 夢結様が私のお姉様です!」

 

「!」

 

 その言葉を聞き、顔を上げた夢結。

 

「夢結様ー!」

 

 そして、梨璃は両手を広げ、優しく夢結への抱きついた。その瞬間、狂気の色に囚われた髪が、元の黒色に戻り優しく梨璃を受け止める。

 

「……嘘だろ。白井様のルナティックトランサーを……」

 

「梨璃……っ!」

 

 だがしかし、HUGEは空気を読むということを知らない。感動シーンなんて知るかとでも言うように腕が二人を襲おうとするが────

 

「今いい所だろが。黙って見てろよ」

 

 その前に悠斗が割り込み、その腕を粉々にする。

 

「……飛ぶわよ、梨璃」

 

「…………はいっ! お姉様っ」

 

 梨璃が嬉しそうな声で応えると、二人の周りを漂っていたマギのレティクルが輝くと、ゆっくりと浮上した。

 

「……あの二人、抱き合ったままだぞ」

 

「私達、マギに乗ってる……」

 

「梨璃、行くわよ……一緒に!」

 

「はいっ!」

 

 マギスフィアの輝きがさらに強くなる。二人を乗せたマギは、HUGEの真上まで行くと落下を開始。夢結と梨璃による気合いの入った声とともに出された一撃は、HUGEを真っ二つにして、マギの粒子にへと変えたのだった。

 

「……やったナ。夢結」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕暮れに染る百合ケ丘。ソメイヨシノが咲き散る、英雄たちが眠る丘にて、夢結、梨璃、そして悠斗の姿があった。

 

「ソメイヨシノが花を咲かせるには、冬の寒さが必要なの。昔は春の訪れと共に咲いて、季節の変わり目を知らせていたと言うけれど、冬と春の境が曖昧となった今は、いつ咲いたらいいか戸惑っているようね」

 

 一瞬、何かを逡巡したように梨璃を見ると、胸にあるペンダントの蓋を外し、梨璃に見せる。そこには、美しい銀髪の少女────夢結のシュッツエンゲルの姿が写っていた。

 

「この方が、夢結様のシュッツエンゲル……」

 

「そう……私のお姉様」

 

 そのセリフを聞いた梨璃は、ゆっくりと悠斗が手を合わせている墓へ目を向けた。

 

「川添……美鈴様」

 

(……この方が、俺の最後を看取ってくれた人……)

 

 天葉や依奈から名前は聞かされていたが、何となく行きにくかったこの場所。きっと、夢結が誘っていなかったら二度とここに来ることはしなかっただろう。

 

(……美鈴様か……あの時の顔と同じで、名前も美しい方だ)

 

「……ありがとうございました。俺を救ってくれて……看取ってくれて……本当に……」

 

 ありがとうございました。この言葉は、桜の花びらと共に風に流されていった。

 

 

 

 

 

「……その、ごめんなさい」

 

「……はて?」

 

 解散したが、何故か夢結に袖を掴まれた悠斗。一瞬二重の意味で心臓がドキッとしたが、その言葉に首を傾げた。

 

「最初にあった頃、ぞんざいな態度で接してしまったから……その……」

 

「あ、あー……別に、大丈夫ですよ白井様。俺は気にしてませんし、いやほんと」

 

 嘘である。本当は今すぐにここから逃げ出したいと思っており心臓がバクバクである。

 

 それを言うと、ポカーンとした夢結だったが、何かおかしいのか口を抑えて控えめに笑った。

 

「……なんです」

 

「いえ、別に」

 

「……変わりましたね、白井様」

 

「そう、かもしれないわね……」

 

 梨璃は、夢結のトランス状態を見事に救った。その事が、悠斗の脳裏を過ぎった。

 

 ────梨璃さんなら、もしかしたら俺のことも……。

 

「コホン…………と、所であなたはいつ私のことを夢結と呼ぶのかしら」

 

「……へ?」

 

「あなたは梨璃の昔馴染みなのでしょう? なら、私のこともお姉様か名前でよぶべきではなくて?」

 

「…………え!? いやいやいや! その理論はおかしいです白井様!」

 

「夢結よ。さ、言ってみなさい悠斗……」

 

「待って!? なんでそんなに優しい顔なんですか白井様!?」

 

 言わされました。




ごめんちゃい……最後、どうしてもやりたかったんです……
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