アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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作者はアールヴヘイムが好きです←ここ重要


一話

 百合ケ丘女学院。鎌倉府、旧神奈川県と呼ばれていた頃、大正時代に設立されたお嬢様学校を母体とした世界的にも有名なリリィ教育機関である。

 

 そんな百合ケ丘も今日は新入生を迎える入学式。しかし、何やら一部では不穏な気配が漂っており────

 

「中等部以来、お久しぶりです夢結様」

 

 血の気の多い一年生が、上級生に喧嘩を売るという事態が起きていた。

 

 しかも、その喧嘩を売っている方の一年生も色々な意味で学園から問題児として認識されており、上の方も頭を抱えていた。

 

「もう、亜羅椰の奴。夢結様に何やってんのよ!」

 

「喧嘩売ってるんだよ、いっちゃん」

 

「止めます? 天葉様」

 

「私は興味あるかな~」

 

「じゃあ見てますか」

 

 と、何やら呑気な会話をしている三人。いっちゃんと呼ばれた緑髪ロングの子が田中壱(たなかいち)。白髪の子が江川樟美(えがわくすみ)と言い、樟美が腕に引っ付いている少女を天野天葉(あまのそらは)と言う。この三人、相当優秀でこの学園でもかなりの実力者なのだが、それは一旦割愛する。

 

「う~ん……でもその前に…………」

 

 チラチラと周りを見渡す天葉。それを不思議に思った樟美が問いかける。

 

「天葉姉さま? 一体何をしてるんですか?」

 

「いや何、ちょっと()の姿を探してるんだけど……ねぇ樟美? 壱? 居場所知らない?」

 

 と、笑顔で二人に問いかけると、二人はサッ! と視線を逸らした。

 

「んん~? その反応知ってるな~? ほらほら樟美、一体どんな条件で黙ったの?」

 

「それは、兄さまとお昼寝を──―! な、なんでもないです! 天葉姉さま!」

 

「壱は何を隠してるのかなぁ?」

 

「そ、天葉様? あの、無言の圧力かけるのやめてくれませんか……?」

 

 んー? んー? と言いながら自身のシルトでさえ笑顔で威圧してしまう。さすがはマギを使わないでも世界五本指に入るほどの実力者か。貫禄が違う。

 

「もう! 悠斗が居ないとつまんなーい!!」

 

「ぶえっくしゅ!!」

 

 そんな噂の悠斗こと、浅野悠斗(あさのゆうと)である。黒髪黒目に、やや整った顔立ちで、何故か男子なのに女子校に通っている哀れな男子高校生である。

 

 勿論、何故悠斗が百合ケ丘に通っている話をすれば、そもそも二年くらい前に遡らなければいけないので一度割愛する。盛大なくしゃみを披露すると、隣に居た薄紫髪の少女が悠斗の顔を覗き込んだ。

 

「あらら、大丈夫? 悠斗。風邪?」

 

「いえ、依奈様。なんか天葉様あたりに噂されているような気がして…………」

 

「なるほど、ま、天葉も私も、悠斗が来て色々と変わっちゃったからねぇ色々と」

 

 と、悠斗のほっぺたをつんつんと突く依奈と呼ばれた少女。

 

 番匠谷依奈(ばんしょうやえな)と言い、この少女もかなりの実力者であり、アールヴヘイムのプランセスという二つ名まである。

 

「それに、さっきから何だかムズムズ体から嫌な予感が…………というより、()()の気配が────」

 

 とその時、ゴーン! と百合ケ丘に鐘の音が鳴り響くと同時に、チリチリと悠斗のうなじを焼き尽くすかのような刺激が悠斗を襲う。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫ですけど……これ、どっかやらかしてますね」

 

「……あー、うん」

 

 二人の脳内に出てくたのはメガネを掛けた工廠科に属するとあるアーセナルだった。

 

「脱走、ですかね」

 

「その通りだ。さすがは悠斗だな」

 

 ポツリ、と呟いた声を肯定する声と同時に、コツコツという機敏な足音。

 

「久しぶりだな悠斗。元気にしていたか」

 

「はい、元気でしたよ眞悠理様」

 

「あら、眞悠理じゃない」

 

 内田眞悠理(うちだまゆり)。生徒会長の一角である『ジークルーネ』を担当しているリリィである。

 

「悠斗の予想通り、ヒュージが脱走してしまい、対処に当たれるリリィは全員出撃命令が下されている。勿論アールヴヘイムも例外ではない」

 

「え? でも私、そろそろCHARMが壊れそうだから悠斗にこれから見てもらおうって思ってたんだけど…………」

 

 チラ、と依奈が悠斗を見る。その瞳の奥には、どうも別の感情も隠されていそうである。

 

「大丈夫だ。一応、夢結にも出撃させたと、史房様からも連絡が来た」

 

「へー、夢結もね。なら安心かな」

 

「……白井様もか」

 

 夢結の名前が出てきた途端に、悠斗は少し顔を顰める。別に嫌いという訳では無いのだが、苦手意識を持っているのだ。

 

「既に天葉達も向かっている。依奈と悠斗も急いで向かうように」

 

「分かったわ」

 

「分かりました」

 

 そう言った後、くるりと背中を向けて去る眞悠理に、依奈を手を振って、悠斗はぺこりとお辞儀をした。

 

「さて、本当だったら私のCHARMを治して欲しかったけれど、仕方ないわね。行きましょ? 入学式も後回しよきっと」

 

「そうですね。では依奈様のCHARMを──―」

 

 と言った瞬間、依奈はがしっ! と悠斗の手を掴んだ。

 

「……あの、依奈様?」

 

「悠斗、あれ使うのは禁止だからね、あなたもCHARM持っていきなさい」

 

「え、でも俺のCHARMも壊れかけですし、CHARMよりもあれの方が俺としては個人的に使いやすくて」

 

「持っていきなさい」

 

「ウイッス」

 

 悲しいかな。美人の威圧にはどうしても勝てなかった悠斗である。CHARM保管室に行き、依奈のアステリオンを出した後に、刀身やらなんやらが全て真っ黒に塗装されてあるCHARMを引っつかむ。

 

「……頼むぞ、アロンダイト」

 

 アロンダイトと呼ばれたCHARMは、それに応えるようにキラリと光った。




主人公設定
浅野悠斗
所属レギオン:アールヴヘイム(壱盤隊)
CHARM:アロンダイト
レアスキル:???
スキラー数値:92

樟美が中等部時代に起こした事件の時に、壱と樟美の仲介とかやってたらなんか懐かれた。アールヴヘイムではスーパーサブとして活動しているが、やはり心配なのでこっそりついて行っている。
中等部時代は童顔だったが、中三の時に一気にややイケメンに成長した。
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