アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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この九話は、アニメ見ていて一番イラついたので作者の代わりに悠斗君がボコボコにします。


二十三話

 朝早くから呼び出された史房、祀、眞悠理、悠斗の四人は理事長室にいた。呼び出された理由は、当然浅野結梨の────―

 

「HUGE研究の国際機関G.E.H.E.N.Aと、フランスに拠点を置くチャームメイカーグランギニョルは、捕獲したHUGEの体組織から幹細胞を作り出した。HUGEのDNAには、過去この地球上に発生したあらゆる生物のDNAが重複して保存されていると言われている。彼らは人造リリィを作るため、その中からヒトの遺伝子を発現させようと試みた。今我々の保護しているのが、連中の言う実験体という訳だ。彼女がリリィでないとなれば、学院は彼女を匿う根拠と動機を失うことになる」

 

「……我々に、選択肢はないという訳ですね」

 

 ────捕獲及び、政府への受け渡しをする命令を下すためである。

 

「……悠斗くん」

 

 祀は、全く動かずに腕を組んで足を組み、目を瞑って微動だにしない悠斗を不安げな顔で見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃走したか……ま、そりゃそうだう……うん、俺だってその状況になったら逃げるな」

 

 政府から百合ケ丘女学院に結梨と梨璃に対して逮捕命令が下された。

 

「でも、ごめんな結梨……俺には今、お前を直接助ける手段がない」

 

「こら悠斗くん! 黄昏てないで早く手伝ってちょうだい!」

 

「分かってます百由様。早く結梨が人間である証拠を見つけましょう。もうすぐ、理事長代行が時間稼ぎに政府へ行く」

 

 現在悠斗は、百由と一緒に何とか結梨が人間である根拠を見つけようとするが、後一歩が見つからない。その事に、歯がゆい思いをする百由と悠斗の元に、一つの光明が指した。

 

「……! 百由様!」

 

「……えぇ、これなら行けるわ! 解析を急ぐわよ!」

 

「了解です!」

 

 それは、チャームメイカーグランギニョルから送られてきたひとつの資料。

 

 これがなければ証拠を見つけるのに一日遅れたわと百由は後々語った。

 

「よし! これで政府のおじ様達を黙らせるのには充分ね! 後はヘリで移動して────」

 

「百由様、ヘリよりも断然早い足がここにありますよ」

 

「へぇ!? でもいいの!? バレることになるけど!?」

 

 悠斗の行動は、今まで百合ケ丘が悠斗の情報を漏らさないように取っていた頑張りを全て泡に返す行動である。

 

「大丈夫です。既に理事長代行には許可は貰ってますし、それに────」

 

 悠斗は、一度瞳を閉じると、雰囲気が一変した。

 

「っ!」

 

「────俺だって、結構この件に関しては非常にキレてますから」

 

 その瞳からは、確かな殺意が浮かんでいた。

 

「……さ、行きましょうか百由様。今なら悠斗特急政府行きの切符が、一名様無料で乗れますよ」

 

「……相変わらず、スイッチのオンオフが激しいわね。思わずびっくらこいたわ」

 

 冷や汗をかきながらメガネのブリッジを上げた百由。そして、その返事にOKを出した。

 

「では、失礼しますね」

 

「……へ?」

 

 悠斗は一言断りを入れると、百由の背中と膝裏に手を伸ばすとそのまま持ち上げた。

 

 所謂、『お姫様抱っこ』と言うやつである。

 

「……え? あの……悠斗くん? これで行くの? ほんとに? 考え直すとかない? ちょっとこれは流石の私でも恥ずかしいなぁ……なんて」

 

「舌噛みますよ。では行きます」

 

 悠斗は少しだけ屈むと、その背中からマギでほんのりと薄い青色になったマギの羽が浮かび上がり、そのまま空を飛び始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼だが、理事長代行は話を逸らしておられるようだ」

 

「年端も行かぬ娘達を戦いの矢面に差し出すのです。我々がなんのために戦っているのかは、常に問い続けるべきかと」

 

「リリィを擁するガーデンには、この時世にも関わらず破格の待遇を許している。なんのためか? 明白だ。ましてHUGEを庇うリリィなど、あってらならん存在だ」

 

「怪物と対峙するものは、気をつけねばならない。自らもまた、怪物になってしまわぬように」

 

「左様。我々も肝に銘じるべきでしょうな……ん?」

 

 ガチャリとドアが開き、その方向に咬月が目を向けると、扉から顔を出した百由が手を振っていた、

 

「んふふー」

 

「失礼、新しい報告が入ったようだ」

 

 咬月が入室許可を出すと、百由がタブレットを持ったまま現れ、その後ろから悠斗が現れる。それを見た政府人が、眉を顰めた。

 

「初めましてー。百合ケ丘女学院工廠科二年の真島百由です」

 

「同じく、百合ケ丘女学院一年の浅野悠斗です。お見知り置きを」

 

「……男だと?」

 

「えぇ、彼はれっきとした男のリリィですが、今は後回しにしておきましょう」

 

「マギに関する論文は昨年だけで51。その界隈では週刊百由って呼ばれてますね」

 

「百由様……」

 

「百由君」

 

 またもや余計なことを喋ろうとしていた百由を悠斗と咬月が名前を呼んで止める。

 

「おおっと失礼しました。いきなり結論ですが、結梨ちゃんは人です。HUGEじゃありません!」

 

 その言葉に、政府人がどよめく。

 

「はい論拠ですね!」

 

 百由がタブレットを操作すると、部屋が暗くなり背後にデータが出てくる。

 

「結梨ちゃんのゲノムを解析した結果、99.9パーセントの精度で人と一致しました」

 

「100パーセントでは無いのだな!」

 

「当たり前です。100パーセントの人というものは存在しません。だって俺とあなた同じです? 違いますよね。きちんと調べて出直してきてください」

 

 フラストレーションが溜まっている悠斗は政府を煽りに煽る。悠斗自身にその気は無いが、かなりキレているようだ。

 

「多様性の獲得こそが生命の生存戦略の根幹だから、ゲノムは日々更新されています。だから違って当たり前、私もあなたも99.9パーセントのヒトなんですよ」

 

「だがHUGEだ!」

 

「『遺伝子的にヒトであると認められたものは由来の如何を問わずヒトと見なす』。という国際条約が20年前に発行されてます。勿論、去年に我が国も批准してますよ?」

 

「だがHUGEはHUGEだ! 例外などない!」

 

「日本語理解できます? 例外じゃなくてキチンと法通りなんですよ。あなた達よく政府に入れましたね?」

 

「しかも、HUGE由来の遺伝子は結梨ちゃんが人化した時点で機能を喪失していることが確認されました。なんとこれは、今回の当事者でもあるグランギニョル側から提供された資料からの裏付けです! いやぁこれがなかったら後一日掛かってたでしょうね!」

 

「…………っっ!!」

 

 全ての反論を潰された政府は、口を閉ざし、唸ることしか出来ない。それを見て、悠斗の雰囲気が暗くなる。

 

「もう一度申し上げます。結梨ちゃんは人です!」

 

「なら、彼女はリリィということでもありますなぁ」

 

「命令違反は────っ!!」

 

 瞬間、この場にいる政府人の首から1センチ離れた場所に、キラリと光る鋭利な物が突き刺さっている事に気づいた。もちろん、出処は悠斗からである。

 

「────ごちゃごちゃごちゃごちゃうるせぇぞクソ野郎ども。これだけ根拠となる情報を集めたんだ。黙って『すいませんでした』くらい言えねぇのか!? あぁ!?」

 

 その言葉に、百由と咬月が驚いて悠斗を見た。悠斗の髪は怒りで赤に染まっており、瞳が青く揺らめいた。

 

 ルナティックレッドアイズ、発動である。

 

「間違えたら謝る。幼稚園生でも分かる事だぞこのド腐れ無能政府共。今すぐ、ごちゃごちゃ言ってねぇで百合ケ丘に謝罪文を送った上で、結梨と梨璃の逮捕命令を取り消せ…………あぁ、別にいいんだぜ? ゴタゴタと色々反論しようとしても……ま、その時俺はリリィとしてじゃなくて、自ら身をHUGEに落として、お前らを殺してやるよ」

 

「っ!?」

 

 悠斗から火山のマグマのように吹き出る殺意に息を呑むことしか出来ない。

 

「別に、お前らを殺した所で俺は捕まらない。だってお前らを殺したのはHUGEだからな。残念、不幸でしたの二言程度済まされる運命になりたくなければ…………早くやれよ」

 

「……っ、わ、我々を脅すつもりか」

 

「────ハッ」

 

 何とか声を出した一番偉そうゴミ────失礼、政府の人間が何とか声を出したが、悠斗はそれを鼻で笑った。

 

「脅す? 何を勘違いしている。これは命令だ。弱肉強食の枠組みに入れられたくなければ…………分かってるよなぁ?」

 

 頷かないと本気で殺される。その恐怖についつい首を振ってしまった政府人。気づいた時には遅く、しっかりと言質を取られた。

 

「後々、政府に対して自分の諸々の事情が書かれた情報が送られますので、しっかりと目を通して置いてくださいね…………悪用するなよ。G.E.H.E.N.Aになんか流したら、テメェらの一家纏めて朝日見れねぇようにしてやるからなぁ……」

 

 言動が完璧にヤのつく職業の人である。

 

 完全勝利で終わった話し合い。悠斗と百由がめちゃくちゃホクホク顔で帰ろうとしたその時、百合ケ丘の哨戒任務中のレギンレイヴ(水夕会)から救援要請が出ていた。

 

「……すいません理事長代行、百由様。俺先に行ってますね。汐里達が心配です」

 

「うむ、急いでくれ」

 

 そして悠斗は、来た時と同じように背中からマギの羽を生やして、百合ケ丘へ高速で移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ! みんな!」

 

「悠斗さん!」

 

 急いで移動した悠斗の目線に、一柳隊の皆の姿が見えたため、上空から失礼するが、二人姿が見えないことに気づく。

 

「梨璃さんと結梨は!?」

 

「悠斗さんお願いですぅ! 結梨ちゃんを! 結梨ちゃんをどうか!」

 

 二水が指を指した先では、ラージ級と思われるHUGEの周りに浮いている円盤のようなものが一つ二つと次々に爆発していた。

 

「! 結梨……っ!」

 

 ソニックブームを撒き散らしながら空を飛んで移動するが、結梨が居ると思われる場所から激しいマギの奔流が溢れ出し、HUGEを飲み飲んでいく。

 

「結梨──!!!」

 

「っ! ゆうと……」

 

 なんとか追いついた悠斗が、結梨を抱きしめる。

 

「全く、無茶をする子なんだから」

 

 その瞬間、盛大な爆発が巻き起こる。発生源は海だったため、百合ケ丘に直接被害はないが、結梨と悠斗が巻き込まれたということをしっかりと見ていた汐里は、持っていた二振りのCHARMを落とし、力なく地面に崩れ落ちた。

 

「そんな……結梨ちゃんが……悠斗くんが……っ」

 

 目から溢れ出そうに涙を、拭わずに呆然と海を見る。そして、本格的に声を漏らし始めた汐里の耳に────

 

「いってぇ!!!」

 

「ゆうと、大丈夫……?」

 

「っ!」

 

 聞きたかった、悠斗と結梨の声が聞こえた。慌てて振り返ると、少しだけ制服がボロボロになった悠斗を、抱きしめられている結梨が心配そうに覗き込んでいる図だった。

 

「……お、汐里。無事でよかっ────」

 

「っ! バカァ!!」

 

「背骨ー!!!」

 

 呑気に手を上げる悠斗に対し、汐里が思いっきり抱きついた。




理事長代行と政府の人たちのやり取り見て、ずっとこれがやりたかった。個人的にめちゃくちゃスッキリしました

ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?

  • 結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
  • ゲンサク、ダイジ
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