アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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いっちゃんのユニークCHARMの名前がアロンダイトと知った時、「やっべ名前被ってんじゃんどうしよ……」と思ったのはここだけの話。


二十七話

「……こんなに離れていても、強い敵意と憎しみを感じるな」

 

「……まるで、ルナティックトランサーみたい」

 

 悠斗の傍でレアスキル『ルナティックトランサー』を唯一アールヴヘイムで所持している辰姫がポソりと呟く。その額からは、明らかに運動とは関係の無い汗が流れていた。

 

「私は『神宿し』まではいかないから確かなことは言えないけど……もう少し出るのが遅かったら、全員影響を受けていたの」

 

「そんなに……?」

 

 辰姫が冷や汗をかきながらそう言う。

 

「とりあえず、俺は百由様の所に行ってくる。多分だけど、この状態を一番確認できているのはあの人だ」

 

「……大丈夫なの?」

 

「問題ない。さっきのような痛みは何も感じないし、さっき試して見たけど俺のCHARMは何故か反応する」

 

 ほら、と悠斗がアロンダイトを見せると、マギクリスタルコアの所に悠斗のルーンが浮かんでいた。

 

「本当です……」

 

「うそ、なんで……」

 

「とりあえず、俺は行ってくる」

 

 悠斗は地面にサークルを描くと、跳んで行った。

 

「百由様!」

 

「悠斗くん、どうしたの──―ってえぇ!?」

 

 ぴょんぴょん跳び、百由の近くまでやってきた悠斗。百由の近くには史房、祀、眞悠理の三人がおり、百由の声に反応して悠斗を見ると、全員が同じ反応をした。

 

「おい! 悠斗!」

 

「悠斗くん! レアスキル発動しているわよ!?」

 

「……え?」

 

 現在の悠斗は、髪が先っちょだけ狂気の赤色に染まっており、瞳が少しだけ青色に揺れている。それを見た眞悠理と祀が悠斗の傍によった。

 

「……あ、ほんとだ」

 

「今気づいた……ということは、何も問題は無いのか?」

 

「そうですね眞悠理様。特に違和感はないです……とりあえず百由様、現状を教えて貰えますか?」

 

「え、えぇ。それはいいのだけど……本当に大丈夫?」

 

「大丈夫です」

 

 二回ほどこのやり取りを繰り返し、悠斗は百由から現在の状況を教えて貰った。

 

 なんでも、落ちた三体のHUGEは地面に深く潜り込み、地下で繋がっているらしく、そこから強力な力場────結界が展開されているらしい。

 

 そこから出るマギの量が尋常ではなく、その影響でCHARMが使えなくなっているらしい。

 

「……俺の、使えましたけどね」

 

「ほんとね……なんで?」

 

 百由がアロンダイトに触ろうとした瞬間、HUGEの場所で戦闘の音が聞こえる。

 

「あれは一体誰が────!」

 

 悠斗の強化されている目で捉えることが出来たのは、ピンク髪の少女である梨璃と、ルナティックトランサーで髪が白く変質した夢結がこの状況で戦っている姿だった。

 

「──―!! 梨璃さん! 夢結様!」

 

「ダメよ悠斗くん! 行ってはダメ────!!」

 

 百由の叫ぶように悠斗を止めようとしたが、悠斗はその前に背中からマギの翼を発生させ、飛んだ。

 

()()()()()。何となくだが、そんな気がした。

 

「! グッ!!」

 

 横から突然降り掛かってきたHUGEの腕をアロンダイトで受止めはじき飛ばし、後ろから来ていた二つ目の腕とぶつける。三本目は普通にローリングで回避して夢結と梨璃の元へ向かう。

 

「梨璃さん!」

 

「悠斗くん……!」

 

 地面にへたり混んでいた梨璃に手を伸ばして梨璃を立ち上がらせた悠斗。目線の先では夢結が存分に暴れている。

 

「俺はあのHUGEを抑え込む。だから梨璃さんは夢結様を」

 

「うん!」

 

 二人ですぐさま目的を決めて、いざHUGEへと重い目を向けた時、既に夢結は丸腰の状態でHUGEの目の前にいた。

 

「夢結様! 離れてください!」

 

「梨璃さん!」

 

 悠斗が一歩遅れて反応。梨璃が夢結のCHARMにグングニルをぶつけると、そこからマギの波紋が出る。しかし、それだけではHUGEのビームを防ぐことにはならない。

 

 だから、悠斗は二人を押した。ビームが発射される直前に梨璃と夢結。二人を押して、ビームの斜線には悠斗一人が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……ゲホッ、ゴホッ」

 

 ベチャリ、と咳き込んだ悠斗の口から血が出る。

 

 ────ふぅ……久々に、怪我をした。

 

 悠斗の腹からはどくどくと血が吹きでており、向こう側にある瓦礫の色が見えている状態────つまり、腹に風穴が空いている。

 

「はぁ……無茶を、した……ゴホッ」

 

 だがしかし、あれを悠斗が喰らっていて良かったというのも事実。悠斗だからこそ、あのビームを受け止められた。

 

 ────良かった、二人とは離れたところに吹き飛ばされて。

 

 仮にこの状況を夢結と梨璃がみていた場合、それはもう大変なことになっていただろう。いくら()()とはいえ、うら若き少女にこんなグロいものを見せる訳にはいかない。

 

 ジュゥゥゥ……と音を立てながら逆再生のように腹の穴がゆっくりと埋まっていく。その時、上を見上げていた悠斗の視界に、緑色に輝くマギスフィアが見えた。

 

 それを発したのは、一柳隊の王雨嘉。アステリオンを射撃モードでノインヴェルト戦術専用のバレットを打ち出した。

 

「やらなくちゃ……やらなくちゃやらなくちゃやらなくちゃやらなくちゃ────」

 

 次を受け取るのは二水。しかし、緊張で手がブルブルと震えまくっている。

 

「──―! うへぇぇぇぇ!! んぐっ」

 

 そしてついに目を瞑ってしまい、野球のボールみたいに打ち返してしまった。

 

「う"う"あ"!」

 

 しかし、そのせいで予定していたところとは大きく逸れてしまった。

 

「うわぁぁ!! すいませーん! お願いしま──す!!」

 

「いいえ! いいパスですわよ!」

 

 次に受け取るのは楓。百合ケ丘の至宝と言われる実力を如何無く発揮し、大幅にズレたマギスフィアに追い付き受け止め、そのまま射出した。

 

「なんか、いつもより調子いいゾ!」

 

「わしゃ絶好調じゃ!」

 

「いつもより体が軽い……っ! んん!」

 

 梅、ミリアム、鶴紗とマギスフィアを繋ぎ、二人にマギスフィアを届けるのは神琳。

 

「っ、夢結様、梨璃さん!」

 

「マギスフィアが来るわ! 私が受けるから、フィニッシュは貴方が!」

 

 だがしかし、HUGEの腕が()()に分裂し、マギスフィアへ向かった。

 

「!」

 

 そして、HUGEはそのマギスフィアを受け止めると、九本に分離した腕でマギスフィアに負のマギを込め始める。まるで、ノインヴェルト戦術の様に。

 

「っ! なんですって!?」

 

「マギスフィアを横取りされた!?」

 

「失敗だわ……逃げなさい、梨璃!」

 

「お姉様が逃げてください!」

 

「! 馬鹿な!」

 

 梨璃は、夢結の言うことも聞かずにHUGEに向かって跳び、夢結もその後をおった。

 

「たまには私の言うことを聞いたらどうなのっ、あなたは!」

 

「た、たまには!?」

 

守護天使(シュッツエンゲル)なのよ私は! なのに、梨璃は私の言うことなんていつも聞かなくて!」

 

 戦いながら言い争いをしている二人。しかし、着実にHUGEの攻撃を弾く。

 

「えぇ!? お姉様私の事そんな風に思っていたんですか!?」

 

「そうでしょ! あなたはいつも気がつけば私をっ、置いてけぼりにして!」

 

「自分より、他人のことで一生懸命で……」

 

 そして、梨璃がマギスフィアに追い付き、グングニルで受け止める。

 

「やった!」

 

「マギを吸いすぎてる!」

 

 しかし、このままではグングニルの方が耐えきれないことが分かっていた夢結は、咄嗟にグングニルの刃を切り飛ばした。その時、どこか打ったのか顔を歪める。

 

「…………グッ、動け……動けよっ! 俺の体……!」

 

 下では、未だ腹の修復が終わっていない悠斗が、のそりと上体を動かし、アロンダイトを地面に突刺す。

 

「女の子が戦ってるんだ……! 俺は何をやってるんだクソッタレがぁぁぁぁ!!!」

 

 一柳隊が戦っている姿に感化され、無理やりにでも力を振り絞る悠斗。急速に髪が紅く染まり、瞳も青色に変化をし、アロンダイトを杖代わりに血をポタポタと垂れ流しながら立ち上がる。

 

 だがしかし、感化されたのは悠斗だけでは無い。

 

「行くよ樟美!」

 

「はい! 天葉姉様!」

 

 夢結によって吹き飛ばされたマギスフィアのカバーに、アールヴヘイムである天葉と樟美が受け止めようと跳躍した。

 

「……! おっもぉぉ!!」

 

「っ!」

 

 グラムで受け止めるも、予想外の重さにCHARMが言うことを効かない。それを見た樟美が咄嗟にグングニルをグラムを支えるようにマギスフィアに接触させる。

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」」

 

 二人がかりで飛ばされたマギスフィアは、次の人物へ。

 

「はぁ!」

 

 アールヴヘイムのプランセス。番匠谷依奈。遠心力を上手く使い、クルクルと回りながら次の人物へパスをする。

 

「壱! 亜羅椰────!」

 

 しかし、投げ渡した瞬間に刃が砕け散った。

 

「これだけでCHARMが限界だなんて、どんだけのマギスフィアなのよ! かなりヤバいやつよ! 気をつけて!」

 

「望むっ、ところ!」

 

「あと頼むわよ!」

 

「「皆! 」」

 

 壱、亜羅椰と繋がれたマギスフィアは、百合ケ丘の生徒へと繋がれる。

 

 レギンレイヴが、ローエングリンが、生徒会三役が、アールヴヘイムが、ロスヴァイセが、シュヴァルツグレイルが、梨璃達の戦闘に感化されて、一人一人の想い(願い)が籠ったマギがマギスフィアへと送り込まれる。

 

 きっと、あのHUGEを倒してくれると信じて。

 

「「私達ももう一度!!」」

 

「「CHARMの限界まで!」」

 

「「夢結様と梨璃さんに!」」

 

「頼むぞ! わしの!」

 

「グングニル!」

「ジョワユーズ!」

「アステリオン!」

「ティルフィング!」

「マソレリック!」

「ニョルニール!」

「タンキエム!」

 

 七人で円となり、全員のCHARMでマギスフィアを押し返すが、負荷がかかりすぎて全員のCHARMが壊れてしまう。

 

「────邪魔なんてさせるかよ」

 

 全員の想いが籠ったマギスフィアを受け止めようとしていたHUGEだが、完全とは言えないが復活した悠斗が現れ、その腕を粉々にして代わりに受け止めた。

 

「っ! おっもっっっ! だけど────」

 

 カシャン! とアロンダイトを二つに分解させ、マギスフィアがついていない方でやって来ていたHUGEの腕をブロック。

 

「絶対に届ける! 夢結様! 梨璃さぁん!!」

 

 くるんと回転して遠心力込みでマギスフィアを投げる。それは悠斗自身にも負担があったそうで、塞ぎかけていた腹ががもう一度広がり、口から血が吹き出る。その間にマギスフィアを受け止めようとしていたHUGEの腕がマギスフィアによって砕かれていた。

 

「ノインヴェルト戦術は、CHARMを著しく損耗させるものだ。その腕をCHARMに模していたなら当然壊れる……覚えとけ……ゴフッ!?」

 

 ────……ま、ずい……そろそろ本格的に……。

 

「悠斗さん!!」

 

 地面に倒れ落ちる悠斗を、近くにいた一柳隊が取り囲み支える。薄れゆく意識の中、悠斗が最後に見たのはHUGEが夢結と梨璃の手によって真っ二つに斬られ、盛大に爆発。

 

 それは、梨璃達の────ひいては、百合ケ丘全体の勝利を知らせるものだった。

 




ここの全員ヴェルト戦術はマジでアニメ見た時感動した。二期ないの?二期。ずっとまってるんだけど。

ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?

  • 結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
  • ゲンサク、ダイジ
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