やっば、結梨ちゃんだしてねぇ……
「はぁ~……戦闘の後に入るお風呂は格別だわぁ~」
まるでおっさんのような言い方をする壱。まぁあの戦闘をした後なら無理はないが。
「確かに格別だけど────」
二水は周りを見渡し叫ぶ。
「────格別過ぎませんかぁ~!」
先のギガント級との戦闘において、色々とボロボロになった百合ヶ丘。校舎はマギ結界により無事だったが、窓ガラスはすべて割れ、どこもかしこもボロボロとなっってしまった。この後の悠斗の疲労を考えると、さすがの悠斗の眼も死んだ。
「まさか温泉まで湧くとはねぇ~」
「大丈夫~。今はどの監視網も麻痺してるから、誰も見てないわよ~」
「そういう問題でしょうか……」
「私は見られたって平気だけどねぇ。特に悠斗には」
「亜羅椰は少し恥を知れ……!」
「亜羅椰ちゃんえろい」
「樟美から喰ってやろうか!」
「ひぃん!」
「下品なのはいけません」
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”……」
「……もう私、何も突っ込みませんけど、普通に悠斗さんもいるんですね」
腹に痛々しく包帯を巻き、腰に湯着を装着している悠斗がプカプカと全身を脱力し、浮かんだ状態で二水のもとにやってきた。すぐそばには結梨の姿もある。
「まぁ、別に俺は裸見たくらいで欲情とかしないし。ぶっちゃけると、犬猫見てる感覚と何も変わらん」
「本当にぶっちゃけましたね。あと、それはそれでなんか悔しいです」
一応、乙女のプライドがある二水は悠斗の言葉に不貞腐れた。
「ゆうと、無事?」
「全然無事じゃないなぁ……まだ腹も完治してないし」
包帯の下にはまだ風穴の空いた腹がある。もしこれを解くようならレーティングに18と付いた後にGもつくだろう。
「ごめんね、ゆうと」
「別に、結梨が謝ることじゃないだろ」
悠斗はゆっくりと結梨の頭をなでる。実は結梨だが、悠斗と同じように頭痛に苛まれていたらしく、ずっと後方で寝ていたらしい。治ったころにはもうすでに戦闘は終わっていたもで、力になれなかったことに落ち込んだ結梨だった。
「今は、ゆっくりと体を休めろ」
そういい、ゆっくりと目を閉じる悠斗。結梨も、同じように湯に浮かぶと、そのまま悠斗の体に抱き着いた。
「……今なら悠斗の事喰える大チャン────」
「やったらこの場にいるリリィ全員相手になるわよ亜羅椰ぁ? もちろん、アールヴヘイムからも抜けてもらいますから」
「じょ、冗談ですよ天葉様。おほほほほほほ……」
空調設備などは全部ぶっ壊れたが、電気はなんとか繋がっていたので、学園中からストーブやらランプやらを全て引きずり出し、夜の寒さを凌ごうとしていた一同。そんな中、夢結、梨璃、悠斗は咬月と百由に呼び出され、そこには史房、祀、眞悠理の三人もいた。
ちなみに、結梨は一柳隊の面々に預けており、今頃ゆっくりと寝ているところだろうか。
「これが、私たち百合ケ丘女学院が管轄する、七号由比ヶ浜ネストの現在の様子よ」
「……はぁ」
「ここに写っているのが、ネストの主と目される、アルトラ級HUGEね」
「あるとらきゅう……?」
よく分かっていないのか、梨璃の返事は空回り気味だが、とあることに気付く。
「えと……あの、もしかてこれ────」
百由に見せられているこのアルトラ級の位置、それはどこからどう見ても────
「海の底ですか!?」
────由比ヶ浜の海の底である。
「そうそうそうそう! ちなみに、アルトラ級HUGEの全長は、400mとも1キロとも言われているのよ!」
「よく分からないですけど、凄いですね」
「ここ最近のHUGEは、このアルトラ級から、大量マギを半ば奪う形で供給されていたわ」
「過剰な負荷をかけられたせいで、今はネスト全体が、その機能を事実上停止していると思われます。殲滅するにはまたとない機会よ」
「…………そうですね、今はあのアルトラ級から伝わってくる気配も、凄く弱い」
悠斗が項を探りながら、アルトラ級の気配を探し当てる。
「そこで、一柳君にその任務を頼みたいのだ」
「はい…………私!?」
翌日、夢結、梨璃、悠斗を乗せたヘリが七号由比ヶ浜ネストの上空へと飛び立ち、その真上でマギの羽を広げた悠斗に、梨璃と夢結がしがみついている。
その梨璃の手には、かつて夢結が使っていたダインスレイフが握られていた。その理由は、昨日の夜まで遡る。
「だけど、どうやって」
「これだ」
「これは……!」
三人の前に出されたCHARMに、夢結が目を剥いた。
「お前たちの方が馴染み深いだろうな」
黒と金色に彩られたCHARM。それはかつて夢結が手にしていたものである。
「
ダインスレイフのマギクリスタルコアには、今まで見たことない術式が見えている。
「美鈴様の書き換えた術式が、巡り巡って、由比ヶ浜のHUGEを狂わせた」
「それをヒントに、アルトラ級を倒すための────言わば、バグとしての術式を仕込んだの。まさかこんなすぐに使うことになるとは思わなかったから、間に合わせの急ごしらえだけど」
「急ぐ必要があるというわけね」
「昼間の戦い経て、私たちにはこの一振のCHARMと、悠斗さんのCHARMしか残されていないの」
「もし今HUGEが現れても……まぁ悠斗なら大丈夫だと思うが、負担が半端ないからな」
仮に、今HUGEの大群が現れようが、悠斗のならば、その特性を生かし、三日三晩戦った後に、HUGE全てを全滅して無傷で帰ってくるだろうが、流石に疲労が半端ないだろう。
「これを扱うことができるのは、カリスマ以上のレアスキルを持つリリィだけ。そうでなければ、バグを送り込むどころか、自身が汚染される恐れすらあるわ」
「えっと……あの、カリスマって結局なんなんでしょう」
「今日の梨璃さんの戦い方は、通常のカリスマの域を超えている。全リリィのパフォーマンスが著しく向上を示していた」
「私達もつい参加しといてなんだけど、全校生徒でマギスフィアを繋ぐノインヴェルト戦術なんて、常識じゃありえないもの。仮説だけど、より上位のスキルを発言した可能性すら」
「……それでも、危険な任務には変わりないわ」
「……えぇ」
「ま、そのための俺でしょう? 史房様」
アルトラ級HUGEがいるのは、はるか海の底。そのために、空を飛べる悠斗のマギの羽は脱出にうってつけである。
「えぇ。梨璃さんの送迎、キチンとやり遂げてみせますよ」
時間戻って由比ヶ浜ネスト上空。三人は既にネストの空洞をゆっくりと降下し、アルトラ級の姿を悠斗は視認した。
「静かです」
「ここはもう、海の中のはずよ」
「……あれが、アルトラ級HUGE」
さて、何故ここに夢結がいるのかと言うと、それもまたまた夜まで遡る。
「その作戦には、私も同行します」
「お姉様」
「夢結様?」
突然の宣言に梨璃と悠斗の二人から声が上がる。
「梨璃は、私が守ります」
流石にシルトを行かせて、
「じゃあ、お姉様は私が守りますね!」
「それじゃあ、俺は二人を守りますよ」
「いいえ、あなたも私が守るわ。あなたは梨璃の昔馴染みなんですから」
「…………たまに思いますけど、そこ強調する必要あります?」
「夢結、梨璃さん……悠斗くん」
「ごめんなさい、あなた達には大変な思いばかりさせて」
「いいえ。みんなすべきことをしたのよ」
「…………どうか、頼むっ!」
と、言うことで、夢結も着いてくることになった。
ゆっくりとアルトラ級HUGEに着地をした三人。梨璃が突き刺そうとする時に、夢結がその手に掌を重ね、更にその上から悠斗も重ねる。
「……CHARMから、美鈴様を感じます」
「…………そう」
そして三人は、少しだけ手を引き、ダインスレイフをアルトラ級へ突き刺した。 その直後、マギクリスタルコアに現れていた術式が荒々しく輝きだし、そこからマギの奔流があふれだす。
「まだだ梨璃さん! CHARMが埋まりきるまで!」
その言葉にハッとした梨璃は、力を入れてさらに強くCHARMを押し込む。そして、完全にCHARMがアルトラ級に埋まったのを確認した悠斗は、梨璃と夢結の体に手を回した。
「離脱! 捕まって!」
CHARMに仕込んだバグは見事に発生。アルトラ級の自壊を察知し、崩れゆく由比ヶ浜ネスト。当然、今いる位置は海の底であり、そこに空洞があるのなら水が押し寄せるのは当然のこと。
────加速!
ドンッ! と音さえも置き去りにしてマギの羽を羽ばたかせる。そしてついに、三人は朝日を拝むことが出来た。
「…………眩しいですね」
「えぇ、本当に…………」
顔を出した太陽が、まるで祝福するかのように、三人をずっと照らしていた。
自動保存された小説の項目あってマジで助かりました。(2400文字が吹っ飛びかけた)
さてさて、これでアニメ編BOUQUETは終了で、次回からラスバレ編となります。そのため、アールヴヘイムの面々は多少お休みしてもらうことに………ちょ、ちょくちょく出せたらいいなぁ。
悠斗くんの守護天使も決めねばならんなぁ………百由様とぐろっぴも電撃シュッツエンゲりましたし。守護天使にするなら誰がいいかなほんと……戦争起きそう。
………眞悠理様、シルトいたっけ……?ほほう?候補ならいると……ほほう。
ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?
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結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
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ゲンサク、ダイジ