ラスバレ プロローグ
「「やぁぁぁぁぁ!!」」
二機のCHARM、『グングニル』と『ブリューナク』が銀閃を描きながら、今には二人の少女のことを襲おうとしている異形の怪物────『HUGE』の肉体を裂き、その身を粒子状に変える。
「梨璃、大丈夫?」
「はぁ……はぁ……、はい、このくらい……、何ともありません」
言葉とは裏腹に、全然大丈夫そうには全く見えない。
「そうは見えないわ。無理と感じたらさがりなさい」
「いえ、一柳隊のみんなも戦っているんです。わたしだけ退くなんてできません!」
額に浮かぶ汗をぬぐい取る梨璃。そして、強かな瞳でヒュージを見つめる。
「それに、ここを突破されたら居住区域に被害が出ます! だから、絶対に退くわけにはいきません!」
「梨璃……、わかったわ。それなら、必ず死守するわよ」
「はい!」
やはり、シルトの言うことには弱いのか、なんだかんだ許してしまう夢結。
「だけど、どうしてこんなにヒュージが……? 由比ヶ浜のヒュージネストは破壊したはずなのに……」
先日、百合ケ丘を襲ったギガント級ヒュージ。その翌日に、七号由比ヶ浜ネストにいるアルトラ級を倒し、ネストは崩壊したはずだが……。
「ヒュージネストは他にもあるから、あの程度で、ヒュージは居なくなったりしないわ」
由比ヶ浜以外にも、日本にはまだまだネストは存在する。ネストを1つ破壊したことは凄いことだが、それだけでヒュージは居なくなったりしない。
「……とはいえ、確かに、この数は異常ね。正体不明のヒュージとの遭遇報告もあるようだし、いったい何が────」
その時、ヒュージの鉄の腕が梨璃を吹き飛ばす。防御結界のおかげで怪我には至ってないが、かなり痛そうである。
「くっ! あぁ──!!」
「梨璃!」
「はヵ……はぁ……」
「梨璃、やはりもう限界ね。この連戦だもの、仕方ないわ」
「大丈夫……です……」
(梨璃だけじゃない、正直、わたしも限界が近い……。だけど、他の一柳隊のメンバーも別の地点で交戦中。他の百合ヶ丘のレギオンも同様。救援は望めない……)
「くっ……。次から次へと……。梨璃、わたしの後ろに下がりなさい!」
梨璃の前に立ち、CHARMを構える夢結。
「あなたのことは、わたしが護るから」
「さがりません! わたしだって、お姉様を護りたいんです!」
「あなたって子は……」
梨璃の言葉に少し頬を緩ませた夢結。襲いかかってくるヒュージに向け、型を構えようとした時、どこからかマギの球が飛んできてヒュージに当たり、その体を爆散させた。
「え!?」
「これは……CHARMによる射撃!? どこから!?」
「「はぁぁぁぁぁ!!」」
戦場に響く、二人の声。ヒュージを蹴散らしながらやってきたのは、百合ケ丘とは全く制服の違う二人の少女。
「あなた方は!?」
「詳しい話はあと! 今は────」
「はい、一緒に、ヒュージを殲滅しましょう!」
凛とした少女、可愛らしい少女の助太刀により、一気に楽になる。
「梨璃、あと一息、行ける?」
「もちろんです、お姉様!」
「それじゃ、行くわよ!」
そこからは、殲滅するのは早かった。謎の美少女の二人が手練であったこともあり、余裕のできた夢結、梨璃はいつも通りの連携でヒュージを撃退していく。
その途中で周りのヒュージを撃退しながら近づいてきていた悠斗も無事に合流。銀髪の少女と目が合った時に、一瞬だけ両名とも身を固まらせたが、すぐさま再起動してそのままヒュージを殲滅する。
「ふんっ!」
そして、悠斗のアロンダイトによって、最後のヒュージが倒された。
「はぁ……はぁ……」
長い戦闘。今までこのような経験は無かった梨璃がCHARMを杖代わりにしながら何とか立っている。
「どうやら、今ので最後みたいね」
「……まだです。まだ、他のみんなが戦っています。そっちを助けに行かないと……」
「大丈夫だ。他の地点は既に俺が終わらせている。全員無事だ」
まだ戦おうとしている梨璃の肩に手を置いて、ほかのメンバーの無事を知らせる悠斗。
「よくおふたりであの数のヒュージ」を……流石です。ヒュージの数が一番多かった地点がここだったんです」
「それじゃ……、みんな無事なんですね……?」
「えぇ。安心してください」
「そっか……。よかっ……た……」
「「──!?」」
「……っと」
限界からか、意識を失う梨璃。倒れる前に何とか梨璃の体に手を回すことで悠斗が支えることが出来た。
「梨璃! 梨璃!!」
「……」
「もういいの?」
「はい、疲労によるものだそうです。ご心配をおかけしてすみません」
作戦も無事に終わり、医務室に運ばれた梨璃だが、倒れた原因は疲労であった。
「そう、無事でよかったわ」
「……わたし、一柳隊のリーダーなのに、かっこ悪いところ見せちゃいましたね。お姉様にも言われていたのに、結局無茶して、倒れて……」
「梨璃……。こっちにいらっしゃい」
夢結に言われるがままに近づく梨璃。夢結はゆっくりと梨璃の頬に手を添えた。
「わたしの前では、どんなにかっこ悪くても、いくら弱音を吐いても構わないわ」
夢結は梨璃に優しく微笑み、ゆりゆりな空間が出来上がる。
「あなたの全てをわたしは受け入れる。あなたは一柳隊のリーダーであると同時に、わたしの大切な『シルト』なのだから」
「お姉様……」
「だけど────お願いだから、わたしをひとりにしないでね。もう、大切な人を失いたくないの」
「わたしは、いなくなったりしません! ずっと、お姉様のそばにいます!」
「お姉様の笑顔は、わたしが必ず護ります!」
「ふふっ、それなら、あなたの笑顔はわたしが護るわ」
「えへへ」
憧れのお姉様の言葉に、ついつい頬を緩ませる梨璃。
「お姉様、わたしもっと強くなります! どんなヒュージにも負けないくらい強く!」
「えぇ、でも、強くなるのはあなたひとりじゃないわよ。わたしも、一柳隊のみんなも一緒────」
「そして、リリィ同士の結束も。ですね」
「「──!?」」
突如として、二人の空間に入り込む一つの声。夢結と梨璃が慌ててその方向へ顔を向けると、まるでトーテムポールのように顔が部屋の外から覗き込んでいた。
「あ、あなたたち、どうして!?」
「一応、ノックはしたんだけど。なんだかとても入り込める空気ではなかったので……」
「夢結様と梨璃の空気感は……うん、触れたらダメなんじゃないかなー、って」
「これが『シュッツエンゲルの契り』なんですね。素晴らしいです!」
「紅巳ちゃんが見たら悶絶しているところだわ」
「ゆ、悠斗くん!? いつから!?」
「結構最初からいたけど」
「そ、それより、お二人はどうして? それに、リリィ同士の結束って?」
話をそらすように梨璃が先程聞こえた言葉について質問を投げかけた。
「あ、そうでした! では改めて────」
凛とした方の彼女がこほん、と咳払いを挟んだ。
「エレンスゲ女学園高等学校、1年、
「
「百合ヶ丘の一柳隊を含むこの3校、3レギオンは、ヒュージに対抗するため、協力し合うことが決まったんです!」
「学校の垣根を超えたリリィ同士の結束強化。わたしたちも一緒に強くなるわ」
「まぁ、俺の情報を集めるっていう意図もあるかもしれんが」
「悠斗くん。そんなこと言ってはダメよ?」
何やら親しそうな雰囲気をだす悠斗と叶星。本来ならそれに違和感を持つはずだが、その前の言葉で意識がそちらにいかなかった。
「みんなで、一緒に……」
「そう、リリィは、決して百合ヶ丘だけではないわ。この結束は、わたしたちにとって大きな力となるでしょう」
「ほかのガーデンからも得られることはあるだろうからな。ま、損をすることは無いだろうな」
「さぁ、わたしたちの戦いを始めましょう」
「はい! お姉様!」
梨璃が目覚める前。ちょっとしたワンシーン。
「久しぶりね、悠斗くん」
「その、久しぶり叶星ねぇ」
「叶星様。悠斗さんとお知り合いだったのですか?」
「そう……だな、幼馴染と言うやつだろうな」
「私たち、悠斗くんが死んだって聞いた時はすっごく悲しかったのよ? 高嶺ちゃんも珍しく涙を流したりもして……」
「……その、ごめん、叶星ねぇ。色々事情があって、俺の事を漏らすわけにはいかなかったんだ」
「ううん。それはいいの。私は、悠斗くんとこうして触れ合えるだけで、私は……」
悠斗の手に触れ、ゆっくりと握り込む叶星。指を絡ませ、しっかりとその温もりを感じてから────徐々に力を込め始めた。
「…………叶星ねぇ?」
「私達は悲しい思いをしていたのに、悠斗くんはこの百合ケ丘で可愛い女の子とイチャイチャイチャイチイチャイチイチャイチ……」
「か、叶星様……?」
突如として出てきた闇のオーラにタジタジとなる一葉。だがしかし、悠斗は涼しい顔をして首を傾げるだけであった。
NGシーン
「エレンスゲ女学園高等学校、1年、相澤一葉。レギオンは『ヘルヴォル』」
「神庭女子藝術高等学校、2年、今叶星。レギオンは『グラン・エプレ』」
「百合ケ丘女学院、1年、浅野悠斗。レギオンは『アールヴヘイム』」
「3人揃っ」「3に―――」「三人揃って!」
「「「…………」」」
「ちょ、ごめん。もう一回やり直し」
「いいから早く自己紹介なさい」
ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?
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結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
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ゲンサク、ダイジ