「んん~っ。雨もすっかりやんだみたいだな」
ところ変わって視点梨璃達。どうやらこちらでもヒュージとの戦闘があったようだが、突如として現れたエレンスゲ女学園のトップレギオンである『ヘルヴォル』と偶然にも合流。そして、ヒュージはヘルヴォルが高度な『ハイプレス戦術』を繰り出し、見事ヒュージを粒子状へと変えた。
「ヒュージの方も、あいつらが倒したので最後だったようじゃ。この付近からはもう反応がない」
悠斗のより精度は甘いが、それでもきちんとヒュージの反応を探知できる『ヒュージサーチャー』を見てミリアムが一息ついた。
そして、梨璃は久々に会う一葉の元へてとてとと嬉しそうに近づいた。
「一葉さん! またお会いできましたね! 嬉しいです!」
「私もです。先日は簡単な挨拶だけでしたからね。夢結様も来て頂き、ありがとうございます」
「なになに、一葉ってば百合ケ丘の子たちと仲良しだったんだ」
ひょこっとと一葉の後ろから顔を出した茶髪の少女の名前は『
「いえ、仲良しというか——」
「はい! お友達です!」
「……ふふっ、そうみたいです」
一葉が何やら言おうとしたが、梨璃言葉に自然と笑顔がこぼれる一葉。しかし、その顔はすぐに心配をしている表情に戻る。
「……しかし、救助対象のリリィがなかなか見つかりません…………。梨璃さん、エレンスゲのリリィを見ませんでしたか?」
「エレンスゲの? それなら既に————」
「この二人で間違いないか? 一葉」
突如として乱入してくる、エレンスゲでは一葉以外が聞いた事のない男の声。そして、空中からトンっという軽い着地音が響き、全員がその場を向いた。
「よ、久しぶりだな」
「悠斗さん! お久しぶりです!」
そこにな、エレンスゲのリリィ二人を片手ずつでお姫様抱っこをしている悠斗がいた。
「うわっ! 本当に男の子!」
「あれが噂の……」
「……なんでお姫様抱っこ?」
そのことに、各々反応を零す。若干一名は現れた状況に対してのツッコミだったが。
「お2人とも、無事でよかったです」
悠斗がゆっくりと二人を下ろし、あとの対応は一葉に任せる。
「悠斗くん! 無事でよかった!」
「ゆうとー!」
「とと、結梨。無事でよかったよ。梨璃も心配さんきゅ」
その後は、梨璃と結梨が姉妹のように悠斗に近づき、結梨が悠斗に向かって抱きつく。それを悠斗はしっかりと受け止めたあと、そのまま結梨を肩車する。
「皆さん、まずは御礼を申し上げます。この度は救援要請に快諾いただき、我がエレンスゲ女学園に所属するリリィの救出、そして保護をしていただいたこと誠にありがとうございます。正式な感謝状は後日、学園を通して送られると思いますが————」
「かたい! かたい、かたい、かたい! 買ったのを忘れて3日後に冷蔵庫から発掘されたドーナツくらいカチカチでパッサパサどよ、一葉!」
(分かりにくい……)
(なんだあの例え)
(まさかあの御仁……経験済みかの?)
「……むー?」
一葉のガッチガチなお礼分に恋花がツッコミを入れた。一柳ズは心の中で疑問符を浮かべたが、結梨は首を傾げていた。
「そんなこと言われても……」
その事に、一葉が若干気持ちが落ち込んだ。多分八割くらいは意味を理解していないと思う。
「あの、あなたは:……」
ここで声をかけたのは我らがリリィオタクである二水である。
「おっと、自己紹介が遅れたね♪ ヘルヴォルのおしゃれ番長、飯島恋花とはあたしのことよ!」
バンッ! という効果音が付きそうな感じでドヤ顔を決めた恋花。
「ばんちょう……?」
「エレンスゲには変わった役職があるのね」
だがしかし、このあるいみ天然な梨璃と夢結には全く通じなかった。
「本気にしないでください、夢結様。恋花様もあんまりふざけないように」
「だって、一葉がかたいからさ~」
「恋花様が柔らかすぎんるですよ……」
一葉のちょっとした諫めを軽く流す恋花。
「ふむ、あれがエレンスゲのトップレギオンか。思ったよりも愉快な連中のようじゃの」
「なかなか面白いレギオンに入ったみたいだな、千香瑠」
「ふふふ……梅さんこそ」
ここで、知り合いかのようにヘルヴォルのメンバーに話しかけに行ったのは梅だった。彼女の名前は芹沢千香瑠。梅————そして、夢結と共通点は甲州撤退戦で、同じ戦場を駆けたことのある戦友である。
「それにまた夢結さんと同じレギオンに所属しているなんて、私まで嬉しくなってしまいます」
甲州撤退戦での千香瑠が所属していた隊は第三部隊。そして梅は第五部隊であり、ここの二部隊は今でも交流が続いている。
「あー、あれはまぁ、うちのリーダーのお陰というか……うん」
「なんじゃ、お主ら顔見知りじゃったのか。夢結様のことも知っておるとはな」
「ははは、謙遜はよせよせ。大人しそうなナリをしてるけど、千香瑠は相当の使い手だからな」
「ふむ……まぁ、そのCHARMを見ればわかる。百由様から話は聞いていたが、直接見るのは初めてじゃな」
と、話が盛り上がる三人に控えめに声がかかる。
「あの……千香瑠。携帯食、余ってないかな」
彼女の名前は初鹿野瑤。クールで無口系な雰囲気をしているが、どことなく神琳と似た空気を感じる。
「藍がお腹減ったって騒いでて……あの人に被害が……」
「あぁ、いっぱい動きましたものね————被害?」
千香瑠が疑問を口にし、そちらへ目線を移すと————
「ねぇねぇ、おかしない?」
「お……お?」
「んー?」
藍と呼ばれた少女が、悠斗に突貫していた。
「ヘルヴォルは食べ物とか持ってきてないのか?」
「甘くないの、やだ。もそもそしたクラッカーとドロみたいなスープはいらなーい」
「それには全面的に同意する……しかも、エレンスゲだから味とか全然考慮されてないだろうし……結梨」
「うん、いいよ。幸せのおすそ分けだね」
名前を呼んだだけで、悠斗と結梨は意図を分かり合う。正に以心伝心。結梨からの許可を得た悠斗は、ポケットから飴を取り出した。すると藍の目がピカピカと輝き出した。
「飴、好きか?」
「うん! すき!」
「こらこら、あんまり慌てたらダメだぞ? ほら、あーん」
「あー」
「…………餌付けされてる」
「なるほど、被害とはあっちの方じゃったか」
膝を落とし、藍に飴を食べさせている悠斗。結梨はにっこにこの笑顔である。
「おいしー!」
「君名前は?」
「らん! ささきらん!」
「らんね、俺は浅野悠斗で」
「私は浅野結梨」
「ゆうととゆり、優しくてすきー!」
「おっと……なんか結梨がもう一人増えた気分」
「私、こんな感じ?」
「割りと」
「お、妹が増えたな」
「これはまたまた修羅場な予感がするぞい……」
秒速で新しい子と仲良くなっている悠斗のことを見ていた四人。
「……あ、ご挨拶が遅れました……。初鹿野瑤です……よろしくお願いします」
「私は吉村・Thi・梅。さっきも話してたけど、千香瑠とは何度か戦場で会った仲だ」
と、こちらと自己紹介が続き、藍が一つ目の飴を舐め終わり、もう一個を悠斗に催促。萌え袖にしている制服で悠斗の手を掴み、娘が父親に物をねだっている感じを幻視した。
「可愛い……神琳、あれ……すごく可愛い……」
「欲しがっても駄目ですわ。こっちで我慢なさい」
そして、神琳と雨嘉の視線は何故か鶴紗の方へ。
「こっちってなんだ。わたしの方を見るな」
当然、その事に不安を覚えた鶴紗。だが鶴紗よ。お前、猫の目の前では————やめとこう。
「でも、どこか鶴紗さんに似てますわね。サイズ的な意味もそうですけど、何か雰囲気と申しますか……」
「どっちも……可愛い……」
「………………」
鶴紗は、つっこむことを諦めた。
「……さて、とりあえず私は今からあそこに混じってきて、あの子に母という認識を刷り込ませようかしら」
「神琳!?」
「とにかく、本当に助かりました。この御礼はいずれまた日を改めてお返しいたします。私たちは準備を整えたら再出撃します。このキャンプ地は一柳隊の皆さんで好きに使ってください」
「そちらのリリィの救助はもう完了したようですが、それでも再出撃ということは、あなた方の目的は————」
「ヒュージの殲滅、でしょう?」
「……はい、その通りです。先遣隊の報告でこの森には通常と異なる個体……。特型ヒュージが潜伏している可能性があります」
「特型ヒュージ!?」
一葉の言葉に二水が驚きの声を上げる。
「詳しい情報はまだまとめ切れていないのですけど、我が校のレギオンのリリィが交戦したようです」
「その情報なら、わしの方にも届いておるぞ。なんでも戦闘中に形状を変化させるヒュージらしいのう」
「……あ、俺そいつ見たぞ。周りの反応と少し違ったから少し気になったが特型か……そりゃ納得」
「そんなヒュージがこの森のどこかに……」
「私たちヘルヴォルはその特型ヒュージの討伐任務を果たします。エレンスゲのトップレギオンの名に懸けて」
「…………」
梨璃は、そんな一葉の姿を見て少し考え、そして振り返った。
「あの……みんなに相談があるんだけど」
「みなまで言うなよ。梨璃が今更何が言いたいか分からない俺たちじゃない」
「ええ、あなたの好きなようにしなさい」
「……え?」
まだ何も言ってないのに何やら既に出撃の準備を進めていた一柳隊の皆さん。
「悠斗さんの言う通り、梨璃さんの考えることはみんなもう分かっていることですわ。相談なんて必要ありません」
楓の言葉に、一柳隊の全員が頷く。
「……ありがとう、みなさん! 一葉さん!」
「は、はい! どうかしましたか?」
急に大きな声を出されたので少しびっくりした一葉。少し肩がビクッ!? となった。
「わたしたち、一柳隊も同行します」
「え? ですが……」
「リリィ同士の結束ですよ! 一葉さん! 一緒に戦いましょう!」
「それに、俺はあの特型ヒュージの気配を覚えている。闇雲に探すより、すぐに見つかるぞ」
「………………」
梨璃と悠斗の言葉に直ぐに返事を返せないでいる一葉。
「一葉も本当は、一柳隊と協力し合いたいんだよね? でも、これ以上助けてもらうわけにはいかないって思ってる」
「……はい、確かに協力し合うことは決まりました。ですが、既にエレンスゲのリリィを助けてもらってます。これ以上、一柳隊の力をお借りするのは……」
「おいおい、同士を助けるのはリリィとして当然だろ?」
「はい! それに、そんなの気にする必要なんてありません!」
「梨璃と悠斗の言う通りよ。それにあなたたちの言う特型ヒュージの情報は、百合ケ丘としても是非欲しいところ。だからこれは、百合ケ丘のためでもあるのよ」
「梨璃さん、悠斗さん、夢結様……」
「いいじゃん、一葉。戦力は多い方がいいし、賑やかなのはもっといいし!」
「らんもゆうとたち、好き」
「わっはっはっはっ! ちゃんと餌付けに成功したようじゃな!」
「……はぁ、まったく。私が見ていないところで勝手に仲良くなっちゃって」
一葉は、暫し目をつぶっていたが、恋花の押しもあってか決断をした。
「わかりました。百合ケ丘女学院、一柳隊の皆さんとの共同任務に当たります。軍令部には略式で報告しておきます。梨璃さん、悠斗さん、夢結様、一柳隊の皆さん。ありがとうございます。そして、よろしくお願いします」
「はい! 一葉さん! 一緒に頑張りましょうね!」
「改めてよろしくお願いいたしますわ。ヘルヴォルの皆様」
「こちらこそ……よろく、です……」
「お互いの情報を突き合わせれば、ヒュージの潜伏地点を探るのに何か手がかりがつかめるかもしれないわね」
「はい、こちらも早急にデータをご用意しますね」
「らん、ゆうととゆりをまもるね」
「なら、ゆりはらんを守るよ」
「二人は俺が守るから安心しな」
「では準備が整い次第に、出発しましょう。ヘルヴォル・一柳隊の共同任務です」
「はい! 出発進行ですー!」
ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?
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結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
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ゲンサク、ダイジ