「さてと……まずは俺が道を切り開いてやらないとな」
ガチン! ガチン! と音を鳴らしながら悠斗の持つアロンダイトが分離し、マギの力でふよふよと刃が八つ浮いた。更に、悠斗の背中からHUGEと同じ機械の触手が現れ、うねうねと悠斗を囲った。
「今日は最初から全開だ────貫けぇぇ!!」
四方八方から遅いかかるHUGE。だがしかし、数の暴力というのは悠斗には通用せずアロンダイトが、HUGEの触手が後ろにいるHUGEさえも纏めて貫き、一気に二桁を超えるHUGEが沈黙、粒子状になって消え去った。
「……これが、あの人の実力……?」
それを見ていた第一部隊に所属している川村楪が、遠目から悠斗を見て呟いた。
「いえ、まだまだ悠斗さんの実力はこんなものでは無いわ」
「谷口さん」
「あの人、実はスロースターターなの。まだまだ本領ではないわ」
「あ、あれで!」
「えぇ……ですが、悠斗さんに任せっぱなしにしたら、嫌われちゃいますから────」
ドンッ! と第一部隊の近くにラージ級のHUGEが現れた。
「────しっかり、後でよしよしと頭を撫でて褒められるために、頑張りませんと」
「……た、谷口さん……?」
第一部隊がラージ級とやり合っている間に、悠斗は一人、HUGEを倒しながら、感覚を辿りギカント級が多くいる地域を目指していた。
「フッ!」
悠斗が腕を振るう度に、アロンダイトは変形する。蛇腹剣のしなりを生かし、横凪ぎ一閃で目の前にいるHUGEが一瞬だけ消え去り、背中から襲いかかってくるHUGEに関しては背中から生えている機械の触手で貫きまくる。
本来なら、悠斗だけのレアスキル『ルナティックレッドアイズ』を使っていないと、HUGEの腕は出せないはずなのだが、負のマギが溜まっているからかどうかは知らないが、半分HUGEの悠斗にとってこの戦場はかなり戦いやすい。
────いつもより視界が広い、それに体も軽い。
いつもなら、悠斗はスロースターターなので初めの動きに関しては舌打ちをするほどにコンディションが悪いが、今の状態はいつもの調子がいい時と同じ。しかもまだまだ上がる余力も見えていることから、自分自身の底知れぬ強さに自分でも恐ろしくなる。
「────ハァ!!」
グルンと回転して、CHARMからマギで作った刃を自信を中心とした円形に展開することで、周りのHUGEが一掃される。
「……よし、次だ」
その瞳は、少しだけ蒼く揺れていた。
「……さすがね悠斗は。ここら辺HUGEが全くいないじゃない」
第三部隊の隊長になった百合ケ丘所属の番匠谷依奈。彼女の隊は遊撃担当で、不測の事態に備えてそれぞれの隊がある場所の近くを移動していたが、第4部隊の近くで周りにHUGEがいないポイントを発見した。
「本当に……悠斗君はどこまで規格外なの……?」
「呼んだか?」
「「っ!」」
依奈と茜の背後から急に聞こえてきた、噂の人の声。パっ! と慌てたように後ろを向くと、そこには少しだけ髪を赤く染め、服がHUGEの体液だらけになっていた悠斗がいた。
「ちょ! ちょっと! どうしてレアスキル発動中なの!? 大丈夫なの!?」
「そ、それに悠斗君! HUGEの体液塗れですよ!?」
「…………あれ、ほんとだ。無我夢中でHUGE斬ってたから気づかなかった」
二人の慌てように徐々に人が集まった。悠斗を見て最初はヒッ! と悲鳴をあげてCHARM構えたリリィもいたが、悠斗と分かるとすぐさま下げた。
「と、とにかく、大丈夫なの?」
ルナティックレッドアイズの危険性をよく知っている百合ケ丘の生徒は、悠斗の姿を見て慌てて近づき、ぺたぺたと体を触る。体液なんてなんのそのである。
「あぁ、なんか知らんけど今日は大丈夫だ。それに、いつもより調子がいい」
しつこく体を触る(主に依奈と紫恵楽)百合ケ丘の生徒を何とかいなしているうちに、第三部隊の空気が少しだけ和やかになる。先程までいつ死んでも、怪我してもおかしくない戦場にいて、下がり気味な士気が少しだけ回復した。
だがしかし、ここで全員の背筋が凍るような一報が入ってきた。
それは、巣なしのアルトラの討伐部隊だった第五部隊の作戦失敗の知らせである。
「……! 先行く!」
「あ、ちょ! 悠斗!? 私達も第五部隊の救援に行くわ! 急ぐわよ!」
ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?
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結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
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ゲンサク、ダイジ