「はぁ……はぁ……」
痛む体に鞭を打ちながら、ヒュージに支配された甲州を足を引きずりながら歩いて行く。体は痛むが、傷は治る。体力は減るが体健康そのものな状態に気持ち悪くなりながらも歩いて行く。
「んぐっ……!」
その途端、またもやズキリとうなじが疼き、もうほぼ反射にも近くなった防衛本能。
右手を振り上げると何かが飛び出たような感覚。大して力も入れていないのにそれだけで真っ二つになるスモール級のヒュージ。弱った獲物を狩り取ろうとしていたが、逆に狩られてしまった。
「ふぅ……ふぅ……」
──ーまだ、まだ……。
歩いている少年の意識は、ふとした瞬間にちぎれそうになるほどに弱い。
彼────浅野悠斗は間違いなく一度、その命を
だがしかし、彼は目を覚ましてしまったと同時に理解をしてしまった。彼の体は、ヒュージによって生かされているのだと。
ヒュージに寄生された者は、例外なく奴らの一員となり街を襲うはずなのだが、何故か悠斗の中に居るヒュージは暴れる気配などは無い。それを不気味に思いながら、ここまで幾度のヒュージの奇襲を捌ききっている。
無論、悠斗に戦闘の知識はない。腕や足が切り刻まれようとも、彼の体は再生するので、思いっきりな力技なのだが。
「……っ、ぁ」
カツン、と足が木の根にぶつかる。倒れる! と思いギュッと目をつぶったものの、なんの意識もしないで、悠斗の背中から二つの
「はぁ……感謝、したくはないなぁ……はぁ」
目を開けた悠斗の視界に映り込むのは、先程まで悠斗を襲ってきたヒュージと同じもの。ヒュージに寄生されたからか、このような物も使えてしまった。
──ーでも、流石に限、界……。
どさり、と今度こそ悠斗の体が地面に倒れた。悠斗の意識が無くなったと同時に、腕も消失したからだ。
「ちょ! ちょっと! 大丈夫!? 依奈! 依奈! 急いで救援呼んで! それと、怪我の治療もするから医療キットも!」
「どうしたの? 天葉────って人!? 陥没指定区域に!?」
「それと! 百合ケ丘の方にも連絡を入れて置いて! この子、普通じゃないから!」
伸ばしにしておいたら、絶対に酷い目にあう。そんな予感が天葉の頭の中に浮かんだ。主にゲヘナとかGEHENAとかG.E.H.E.N.A.とかに。
「分かったわ!人も呼んでくるから、天葉はきちんと守ってて!」
「任せなさい!」
これが、彼と初代アールヴヘイムの出会いであった。
捏造です。陥没した甲州の様子を見るために、一度天葉含む実力者が送り込まれた的な。