「はい、悠斗さん。あーん」
「あー」
今日は11月11日。今日も今日とて百合ケ丘は平和(?)である。
悠斗は、珍しく神琳に誘われ部屋へとやってきていた。ルームメイトである雨嘉は居らず、どこかへと行っているようだ。
そんな神琳が現在、悠斗に食べさせているものは、長さ約20cm程の小さな棒。その殆どに黒く、とろけるようなチョコがコーティングされている『ポッキー』というお菓子である。
「はい。そのまま噛まないで口に含んだままにしててくださいね」
「ん?」
基本、神琳の頼み事はなんでも叶えてあげたい悠斗。一度首を傾げたまぁ特に断る理由もないので、とりあえず口に含まれているチョコをちろちろと舐める。
「悠斗さん、ポッキーゲームといつものを知ってますか?」
「…………?」
悠斗の頭の中にはてなマークが浮かぶ。その反応を見て知らないと見た神琳が、ポケットから紙を取りだした。
「ポッキーの先端をそれぞれ二人が口に含み、交代ずつで噛んでいくものです。一応勝ち負けもあって、先に折った方がまけ……ということのようですね」
「ふーん」
ポッキーを口に含んでいるので素っ気ない返事となってしまった。
「ふぁひふぁいふぉふぁ?」
「えぇ。既に雨嘉さんとやりました。中々楽しめたゲームなので、是非悠斗さんと、と思いまして」
嘘である。
その言葉を聞いたあと、首肯をするように頷いた悠斗。それを見て、さらに神琳の笑顔が花開く。
「ありがとうございます悠斗さん。それでは早速……」
そして、神琳も反対側を口に含んだ。ポッキーゲーム、開始である。
どちらが先に食べるか、そういえば決めてないなと思いながらも、俺が先に食べてるからいいよな、と自分で結論付けてとりあえず一口。
ポキッ、と口の中で軽快音が響き、ポッキーを折らないようにもぐもぐと咀嚼した後に飲み込む。
────美味いな。そしてこれ意外と難しいぞ?
冷静に分析を開始していく悠斗。さて、次は神琳の番である。
────やはり、こうして見ると凄くかっこいいお顔……あ、見惚れてる場合じゃありませんね。
ポキッという音が聞こえると、もう一度反対側からポキッと音が聞こえる。あとはどちらが羞恥心によってポッキーを折るのかだが、の勝負、明らかに神琳の分が悪い。
なぜなら、悠斗が羞恥心に悶えることなどない。何せ堂々と平気で温泉が湧き出た時に女子と一緒に温泉に浸かっていた男である。
性欲、食欲、睡眠欲をほぼ失った悠斗に、死角はない。その証拠に、悠斗は涼しい顔をしているが、神琳の顔は真っ赤である。
そして、残り3cm程になり神琳は決意を決めた。
────ここで逃げたら女が廃りますわ……お兄様、わたくしに力を!
「…………んっ」
「…………ん?」
上唇と上唇がぶつかったあと、神琳はしっかりと悠斗の唇と自身の唇を触れ合わすことが出来た。
「……初めてのキスの味は、とても甘かったですわ」
ちろり、と舌を出した神琳。その舌には、チョコレートが塗られたあった。
「…………なんだ、キスがしたかったのか?」
「えぇ。やはりわたくしもそろそろ行動に移さないと行けないような気が────悠斗さん? あの、どうして距離を詰めて────」
セーーーーフ!!間に合ったぁ!
ついに出てきた結梨ちゃん!分岐ですが………?
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結梨ちゃん生存ルートに決まってんだろ!
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ゲンサク、ダイジ