アサルトリリィーPARASITEー   作:沼りぴょい

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五話

 わがまま姫の機嫌を取るために、とりあえずアールヴヘイムの控え室に移動した悠斗達だったが、そこには壱と依奈が談笑していた。

 

「あら、どうしたの? 二人とも」

 

 既に亜羅椰が悠斗に甘えておんぶをしている姿はアールヴヘイム内では慣れている。慣れていると言っても、多少心にモヤッとしたものが浮かび上がり、後々それがどんな形で悠斗に向かうかは知らないが。

 

「わがまま姫が構え構えうるさいから、こうしてご機嫌取りですよ依奈様」

 

「亜羅椰ー、あんまり悠斗に迷惑かけたらダメだってば」

 

 と、依奈の奥から壱が亜羅椰に注意を飛ばすが、悠斗の背中から降りた亜羅椰は、プクーとまた頬を膨らませてから悠斗の腕に抱きついた。

 

「だって、悠斗ったら私やアールヴヘイムが居ながら、他の女にまで色目を使うんだもの」

 

「おい待て、俺がいつアールヴヘイムの皆と楓さんに色目を使った」

 

 あからさまに身に覚えがないの事を言われ、亜羅椰のセリフを拒否する。

 

「そもそも、俺と楓さんなんて初対面だし、この体になってから俺には性欲というものは消えている。一度死んでるしな」

 

「もったいない。こぉんなに百合ケ丘には美少女が多いのに……」

 

「そもそも、俺が百合ケ丘の誰かに手を出した瞬間、一発で懲罰室行きな、一生」

 

「ま、厳しいから仕方ないもんねぇ~」

 

 と、依奈がソファの背もたれにだらりと背中を預ける。

 

「そもそも、あんなにアプローチ受けてるのに顔色変えないということから既にお察しよね。1ミリも出れてくれないもんこの子」

 

「…………なんかすいません」

 

 ジトーと見つめる依奈の視線に少しだけ気まずくなった悠斗。当然、悠斗は依奈、壱、樟美、天葉達の気持ちにはバッチリと気付いている。亜羅椰なんて寝込みを襲ってきたから疑う余地もない。

 

 勿論、悠斗にとってアールヴヘイムの皆は大切な人だし、ふとした仕草でドキッとはするがそれだけ。一度死んだからなのか、ヒュージに寄生されているからなのかは知らないが、それ以上の感情を持つことが出来ないのだ。

 

 簡単に例をあげるとするならば、魔法〇高校の劣〇生の司〇達也状態である。

 

「いーのいーの別に…………いざとなったら既成事実を無理やりにでも作って逃げさせないようにするから」

 

「………………」

 

 依奈の恐ろしい発言に悠斗は冷や汗をたらりと流して顔を背ける事しか出来なかった。

 

「依奈様依奈様。その時は私も一緒に」

 

「えぇ、アールヴヘイムの皆で悠斗を分け合いましょうね。ただし、亜羅椰は除く」

 

「ちょ!? 依奈様ぁ!」

 

「悠斗一途になってから出直してきなさい!」

 

「…………………………」

 

 悠斗は冷や汗をかくことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……うん、まぁ何があったかは聞かないでおくわ」

 

「兄さま、大丈夫?」

 

 と、現れた悠斗の姿にあははと乾いた笑みを浮かべる天葉と、とてとてと近づいていく樟美。

 

 練習場にて合体技を練習していた天葉より、練習相手になってくれないかとの連絡をこれ幸いと思い逃げ出した悠斗。近づいて心配してくれる樟美がものすごく天使に見えた。

 

「……いつもありがとな樟美。お前は俺のオアシスだよ」

 

「んっ……」

 

 と、めちゃくちゃ憔悴しきった顔で樟美の頭を撫でる悠斗。嬉しそうにそれを甘受する樟美は、気持ちがいいのか目を細める。

 

「ほらほら、甘えるのもいいけど樟美。今は訓練の方優先よ。甘えるのは後にしなさい」

 

「分かりました、天葉姉さま」

 

 と、悠斗の手を離れて天葉の元へ向かう樟美。当然、両者の手にはCHARMが握られており、悠斗の手にも依奈のと一緒に直したユニークCHARMである『アロンダイト』が握られている。

 

「いつも通り、先に一本決めた方が勝ちね。あなた達ー! 見学するのもいいけどできるだけ離れて見てね! 危ないからー!」

 

「は、はいいい!!」

 

 と、天葉が目を向けた先につられて悠斗も目を向ける。そこには、今朝あった楓と、梨璃と、工廠科に所属しているミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウスまでなら見覚えはあるが、もう一人は悠斗は見たことがないので、高等部一年からの入学組だろうと当たりをつけた。

 

「それじゃあ、やりましょうか」

 

「お、男の人!? 百合ケ丘になんで男の人が居るんですか!?」

 

「なんじゃ二水。お主悠斗のことは知らんかった────ってそうだったのじゃ。悠斗は機密の存在じゃから、知らんくても無理はなかろう」

 

 と、先程天葉に注意された四人組のうち、鼻血が出てしまい鼻を抑えていた二川二水(ふたがわふみ)は、悠斗の事を慌てて指を指していた。

 

「男の人ってここに居てもそもそも大丈夫なんですか!? それに楓さんはなんでそんなに動揺してないんですか!? そもそもあのCHARM色々と変じゃありませんか!?」

 

「落ち着くのじゃ。そんなに一気に聞かれてもわしにはこたえられんぞ」

 

「わたくしは既に合いましたので」

 

「私の反応がおかしいんですかぁー!?」

 

 いや、二水の反応は決しておかしくないだろう。各ガーデンに所属しているリリィの名前はデータベースに乗っており、誰でも調べることが出来るが、二水の記憶では男のリリィなんてのは見たことも聞いたこともない。それはリリィオタクである二水が一番分かっているだろう。

 

「少し静かにしておれちびっこ。今から珍しいもんが見れるぞ」

 

「ちびっ子にちびっ子って言われたー!?」

 

 やいのやいのと騒がしい中、梨璃は先程現れた男の姿をじっと見る。

 

(…………あの人、どこかで)

 

 

「行くわよ悠斗。負けたら私に膝枕なさい!」

 

「なら、私は兄さまに腕枕されながらお昼寝したいです!」

 

 と、欲望を言いながらCHARM片手に突っ込んで行く二人。悠斗はその姿を冷静に見ながら、通常のCHARMよりも1.5倍程長い刀身のアロンダイトを構えた。

 

「悠斗のCHARMはいわゆるユニークCHARMと言うものでの、悠斗が自分自身のために作ったCHARMなのじゃ」

 

 ジャリ、ジャリ、ジャリ、と聞き慣れない音が聞こえる。

 

「フッ」

 

 悠斗がCHARMを振る。まだ二人とは3メートルほどの距離があるのに、ガキン! と重なる金属音が聞こえる。

 

「……っ、いつ見ても反則!」

 

「兄さま、ずるい!」

 

「ずるいも何も、俺以外扱えないだろこんなの……」

 

 じゃらんじゃらんと音を立てながら()()()()()。悠斗がヒュージに寄生されているからこそ、できる芸当。

 

「蛇腹剣アロンダイト。あんな頭が疲れるCHARMは、悠斗にしか使えないのじゃ」

 

 分割された刀身がマギによって空中に浮き、悠斗を守るように展開した。




ぐろっぴはいつから百合ケ丘にいたのか調べてもわからなかったので、とりあえず中等部からいることにしました。
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