愛嬌∞は伊達じゃない   作:Nanashi9029

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ガチャ

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タイキ特化アカかな?

けど可愛いので許す


午前のひと時

彼の朝はトレセン学園敷地内の自室から始まる。

 

 

「・・・ん」モゾモゾ

 

 

だがモゾモゾと動き、一向に布団から出ようとしない彼。

 

 

実は朝に弱い。

 

 

「ライス、静かに行きましょう」サシアシ

 

 

「うん・・・そーっと、そーっと」シノビアシ

 

 

そんな彼のもとに近寄る二人の影。

 

 

「ふふ・・・お兄様、気持ちよさそうに寝てるなぁ」

 

 

小さな体躯に儚さを感じさせる青いバラの帽子が特徴である黒髪の彼女、「ライスシャワー」。

 

 

「そうですね、ですがもうすぐ起床時刻の6時を過ぎようとしています。彼を無用に困らせるわけにはいきません。早急に起こしてあげましょう」

 

 

栗色のアホ毛と淡々とした口調が特徴の彼女、「ミホノブルボン」。

 

 

現在は共に「漆黒のステイヤー」、「サイボーグ」の異名を冠する有数のウマ娘だ。

 

 

今日は彼を起こすという同じ目的で彼の自室に訪ねている。

 

 

・・・いきなりだが、一つ説明をしよう。

 

 

このトレセン学園には寮があり、「美浦(みほ)寮」「栗東(りっとう)寮」とあるのだが、彼はその両方の総監督を務めており、緊急時の為にと付近に寮監用の自宅(後に彼のためだけに用意されたと判明)が完備されている。

 

 

そして自宅に入るには、当然ながら鍵が必要になる。

 

 

その鍵は彼のみが所有している。

 

 

そう、彼「のみ」が所有しているはずなのだ。

 

 

だが彼女達にはそれは些末なこと。

 

 

「お兄様起きて~、朝だよ~」ポンポン

 

 

「起床時刻5分前です、マスター。」ユサユサ

 

 

実はこの二人、堂々と合鍵で入室してきたのである。

 

 

下手をすればあらぬ誤解を招くほどの出来事ではあるが、このトレセン学園では残念ながら日常茶飯事である(トレセン関係者黙認とのこと)。

 

 

「う~ん・・・あれ、ライスにブルボン・・・?あ、もう朝なのか」

 

 

ようやく起きようとしている彼。なぜ「自室」に「朝」から「彼女たち」がいるのかを微塵も気にしないお人好しの最終形態を形にしたような性格の為、今更ながら気には留めないでおこう。

 

 

「おはようございます、マスター。起床の時刻です」

 

 

「おはよう、お兄様。朝は辛いよね・・・気持ちはライスもわかるよ~」

 

 

「うん・・・」

 

 

「マスター可愛い(マスター、このままでは予定の起床時刻に遅れてしまいます。早急に支度を)」ポワポワ

 

 

 

「ブルボンちゃん・・・多分本音と建前が逆になってるよ。気持ちはわかるけど」アハハ・・・

 

 

このように彼の前ではどんなウマ娘でも成す術はない。

 

 

最近トレセン学園内で、「サイボーグ」の異名が「さいぼーぐ(笑)。」に変わりつつある彼女が良い例である。

 

 

「・・・よいしょっと。ごめんね、すぐに支度するよ」

 

 

ようやく睡眠から覚醒しつつある彼が起き上がる。

 

 

「うん、大丈夫だよ。まだ時間はあるしゆっくりでいいからね」

 

 

「マスター、着替えを開始するので両手を上げて下さい」

 

 

「いや、僕一人でも出来r「両手を上げてください」わかった」

 

 

言葉通り、一人でももちろん出来るのだが彼女たちはそれを許さない。

 

 

彼は何の戸惑いもなく彼女たちの好意に預かった。

 

 

「はい、寝間着はライスが洗濯籠に入れておくね」

 

 

「あ、僕があとで入れておk「ライスが入れておくね」うん」

 

 

一応念を押しておくと、彼女たちは世話を焼きたいだけである。

 

 

少なくとも悪意はないと思いたい。

 

 

ミホノブルボンは彼の着替えに直接手を貸し、ライスシャワーはその彼の着替え後の寝間着を洗濯籠のある場所へと持っていった。

 

 

すると、

 

 

「マスター、少々失礼いたします」ガバッ

 

 

の言葉と同時にミホノブルボンが彼に抱き着いた。

 

 

「ブルボン?いつものことだけど、これだと着替えられないよ」

 

 

「ええ、いつもの体調管理の確認です。ですのでお気になさらず」

 

 

「・・・それもそうだね」ニコ

 

 

彼の均整の取れた身体に宿る温もりを少しでも長く感じるために、彼女は躊躇いもなく両腕を彼の背中に回す。

 

 

「・・・」ナデナデ

 

 

「・・・」ポワポワ

 

 

ミホノブルボンは彼に触れられることからくる喜びを存分に感じ、彼もまたウマ娘である彼女からスキンシップを要求されることに嬉しさがこみ上げる。

 

 

「・・・さて、さすがに着替えないと遅れるから、早く済まそうか」

 

 

ずっと続けたいのは山々だが、時間は有限である。

 

 

「好きですマスター(はい、申し訳ございませんマスター。では改めて着替えを完了いたしましょう)」ポワポワ

 

 

もう「さいぼーぐ(笑)。」ではなく「さいぼーぐ(草)。」でいいのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものスキンシップが終わり、ミホノブルボンと共に洗濯機が置いてある洗面台にいるであろうライスシャワーの様子を見に行く。

 

 

「ライスー?もうそろそろ家出るから支度しt」

 

 

「遅れて申し訳ありませんライス。迎えに来m」

 

 

二人は、着替えに時間をかけてしまったことに対しての謝罪を一言添えようと声をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁぁぁっお兄様の匂い・・・」スンスン

 

 

なんかスンスンしていた。

 

 

「うぇへへ」スリスリ

 

 

スンスンからスリスリの2コンボ。この少女、彼の着用していた寝間着に染み付いた匂いを感じられることに恐らく同年代の少女が出してはいけないレベルの恍惚の笑みを浮かべていた。これが赤の他人が見かけようものなら通報ものである。

 

 

今ここに「漆黒のHENTAI」爆誕である。

 

 

「あぁ、お兄さm・・・へっ!?」ビクッ

 

 

ライスシャワー、やっと二人の視線に気づく。

 

 

「ひゃあああぁぁぁぁぁ!?ち、違うの、これはそのそういう邪な考えから来た変態的な行為とかそんなじゃなくて、ただお兄様の寝間着がどこか解れてないかなーとか穴空いてないかなーとかの毎日行っている確認のためであって・・・!」アタフタアタフタ

 

 

ライスシャワーの元々の性格からは考えられない程の饒舌な説明を受ける。

 

 

「・・・」ポン

 

 

「へ・・・?」

 

 

彼の手が、ライスシャワーの華奢な肩に優しく触れる。

 

 

「知ってたから大丈夫だよ」ニコニコ

 

 

「ああああああああぁぁぁぁ!!!」カオマッカ

 

 

死刑宣告だった。

 

 

「・・・」ポン

 

 

真っ赤なトマトにも劣らないぐらいに赤い顔でうずくまるライスシャワーの肩に、ミホノブルボンの手が乗る。

 

 

「ブルボンちゃん・・・」

 

 

以前は機械的な対応が殆どで、それを改善しコミュニケーション能力を養いたいと現在でも努力を積み重ねている彼女から放たれた言葉は、

 

 

「私も知ってました」ニコ

 

 

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」カオマッカッカ

 

 

判決、死刑。

 

 

その光景に彼は、

 

 

「平和だなあ」

 

 

いつもの元気な彼女たちを見て、朗らかな笑顔を浮かべるのだった。

 

 

そんなある日の朝の出来事。

 

 

今日もトレセン学園は平和である。

 

 

 

 

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