愛嬌∞は伊達じゃない   作:Nanashi9029

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オグリに餌付けしたい人生でした。


食堂にて

朝の個人練があるということで、ミホノブルボンとライスシャワーとは先ほど別れ、現在彼は食堂にて朝食を取っている。

 

 

「・・・」モッモッ

 

 

白米に豆腐の入った味噌汁、焼き魚やホウレン草のおひたしなどの和食が彼のいつもの食事スタイルである。

 

 

基本はウマ娘の子たちが利用するこの食堂施設ではあるが、早朝や夕方はトレーナーや教職員の関係者スタッフも食を共にすることも珍しくはない。

 

 

特に早朝は朝食をトレセン学園の食堂で済まそうという教職員などが殆どなのである

 

 

「朝餉ッ!おはよう、ハル!」

 

 

「あら、おはようございます。ハル君」

 

 

「おはよう、義姉さん。たづなさん」

 

 

そんな中、彼の両隣に食事の乗ったお盆を置いて挨拶する彼女達。

 

 

幼い風貌ながら、独特かつ豪快な喋り方が特徴の彼女、「秋川やよい」。

 

 

緑色の制服と黄色のネクタイ、丁寧な口調が特徴の彼女、「駿川たづな」。

 

 

二人して彼とは旧知の仲であり、彼女達と彼との間には一言では表せられない絆(愛)が育まれており、前理事長時代からの付き合いである。

 

 

「ふふ、今日も元気で何よりです」

 

 

「うん、たづなさんもね」

 

 

「うむッ!わが弟はやはり愛しいな!」

 

 

「義姉さんもいつも通り可愛いよ」

 

 

「ッッ!う、うむ!私は何時でもお前の誇れる姉だぞ!」

 

 

「あらあら・・・」

 

 

恐らく誰よりも付き合いの長い彼女らの愛は、そこらのウマ娘達とは格が違うだろう。そのレベルは最早「慈愛」の域である。

 

 

「ん~」モッモッ

 

 

「・・・たづなよ、目に入れても痛くないとはこのことだろうな」ポワポワ

 

 

「ふふ、そうですね・・・いつもおっしゃってますよ、理事長」ポワポワ

 

 

特に義姉である秋山やよいからの愛情は度を逸している。彼からの要望には何があっても最優先で応えようとするだろう。そんな彼女との出会いについては後に語られる事になる。

 

 

「あら、理事長、たづなさん、それにハル君も。おはようございます」

 

 

そこに、チーム「リギル」のトレーナーである「東条ハナ」が向かいに座る。

 

 

「おはようございます、ハナさん」

 

 

「おはようッ!東条トレーナー!」

 

 

「おはようございます、東条さん」

 

 

彼女は教職員でありながら、トレセン学園でも有数のウマ娘チーム「リギル」のメイントレーナーを務めており、チーム発足当初から頭角を現し、その指導実績からチーム内のウマ娘からは勿論、日本ウマ娘業界でも彼女に寄せられる期待・信頼は厚い。

 

 

「いつも夜遅くまでお疲れ様です、ハナさん」

 

 

「ありがとうハル君、もう慣れたわ」ニコッ

 

 

普段は凛々しい彼女も、彼には破顔した笑顔を見せる。

 

 

「ふわああぁぁ・・・少しくらい待ってくれよぉ、おハナさん」

 

 

そんなおハナさんの隣に席を取った後ろ髪を束ねた無精ひげの彼、「沖野コウイチ」。

 

 

「遅いわよ、コウイチ。いつも言ってるけど朝くらいシャキッとしなさいよ」

 

 

「そういわれてもなぁ・・・」

 

 

彼もまた、トレセン学園内でも有数のウマ娘チーム「スピカ」のメイントレーナーである。以前は自称放任主義と称し、一時期はトレセン学園及びトレーナー業から離れていた彼だが、そのウマ娘に対する情熱・知識・観察眼は目を見張るものがあり、ある一件からスピカの再発足、ひいては自身の所属するウマ娘達の名を日本に轟かせる敏腕を発揮する。東条ハナとは同僚であり、行きつけのバーで互いに愚痴を言い合う仲である。

 

 

「まあまあ・・・ハナさんもですけど、コウさんも忙しい身でしょうから、多少は許してもいいと思いますよ」

 

 

「あぁ、お前だけだよ・・・常に俺に優しい言葉をかけてくれるの」ホロリ・・・

 

 

「上々ッ!いつも未来あるウマ娘達の育成に携わってくれていること、感謝している!だが、まず君たち自身が健康であることこそが大前提である!体調には気を遣うようにな!」

 

 

「ええ、お二人は現在日本を代表するウマ娘界のチームトレーナーではありますが、彼女たちが力を発揮できるのは、あなた達のような信頼できるトレーナーがそばにいるからです。重圧はあると思いますが、理事長も言うようにまずは自身を労わってください」

 

 

やよい、たづなからも労いの言葉がかかる。

 

 

「ありがとうございます、お二人とも」

 

 

「・・・ええ、俺も彼女たちを無責任に置いてはいきませんよ。それに・・・」

 

 

沖野は隣の東条に目をやる。

 

 

「・・・?何よ」

 

 

その彼女の左手には、

 

 

「いや、それ以上におハナさんも大事にするぜってな」ニカッ

 

 

「・・・なっ!?」カオマッカ

 

 

白銀の14カラットの指輪が光っていた。

 

 

「おおおお前は、朝からよくそんな歯がゆい言葉が吐けるな!」

 

 

「おお落ち着けって!俺はただおハナさんのことが好きだっていうことをちゃんと言葉にしt「知るかああああぁぁぁぁぁ!!」何故だあああぁぁぁぁ!!?」ドガシャアアアァァァァァ!!!!

 

 

「おお・・・」

 

 

「まあ・・・」

 

 

「豪脚ッ!見事な蹴りだ!東条トレーナーがウマ娘でないことが惜しい!」

 

 

「理事長、この光景で豪脚はどうかと・・・まあ確かに沖野トレーナーはウマ娘に蹴られても傷がつかない程に丈夫な方ですけど」

 

 

ちなみに、聞くところによると告白したのは沖野の方かららしく、彼女曰く「彼は普段はちゃらんぽらんだが、何気にお酒とかの付き合い多いし、ことウマ娘に関しては私と張り合える度量と観察眼・柔軟な指導方法を思いついたりで頼りになる。告白も夜景の見えるロマンチックな場所で、ストレートに「お前の人生を俺に下さい」と言われた。素直にきゅんときた。あと実は結構顔好みだった(髭剃れば)」らしい。

 

 

東条ハナは割と乙女乙女のお花畑脳だった。可愛い。

 

 

「あ、皆さんおはy・・・あ~、いつものですか」アハハ・・・

 

 

そこに訪れる青みがかったボブカットが特徴の一人の少女、「桐生院葵」。

 

 

「おはよう、葵」

 

 

彼女もまた有力なトレーナーで、名門「桐生院家」出身。ハルの数少ない同期である。以前は一人のウマ娘のみを担当していたが、知識や技術、人並み以上の熱意でトレーナーとしての力を発揮し、現在はその実績が認められ、当初からの相棒であるウマ娘「ハッピーミーク」をはじめとしたチーム「シリウス」で活動している。

 

 

「おはようございます、桐生院さん」

 

 

「おはよう!桐生院トレーナー!今日も元気で何よりだ!」

 

 

「はい、改めておはようございます。秋川理事長、たづなさん、ハル君も」

 

 

当初は新人ゆえの経験不足から相棒ハッピーミークとの間ですれ違いが起こることがあったが、ハルと共に研鑽を重ねる仲間であり、未来を担うに値する人材にまで成長を遂げた。

 

 

「またやってるんですか、あの先輩方は・・・」ハァ・・・

 

 

苦笑交じりにため息をつきながらやってきた爽やかな容姿の彼、「南坂シン」。

 

 

「あはは、コウさん達のやり取りは見てて飽きないですよ」

 

 

「もう最近は名物と化してますもんね」

 

 

日本有数のチーム「カノープス」のメイントレーナーである彼。当初から個性的なメンバーを担当してきた彼のマネジメント能力は他の追随を許さず、現在は各所にて定期的に講演を依頼される程の有力トレーナーとして活動している。

 

 

「今週末も講演で出張ですか?」

 

 

「ええ、今回は「トレーニング内容と脚質の関係性」についての講義ですね」

 

 

「いつもお疲れさまです、シンさん」ペコッ

 

 

「いえいえ、慌ただしいのはもう慣れてますから。・・・主にターボさん達で」ハァ・・・

 

 

「ええと・・・ご苦労様です」アハハ・・・

 

 

所謂苦労人である。

 

 

そんなこんなで彼、「秋山ハル」の下にトレーナー・教職員達が集うある日の朝食。

 

 

「・・・サンマ美味しい」モッモッ

 

 

今日もトレセン学園の朝食は平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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