やはり俺がソードオブロゴスにいるのはまちがっている。 作:断空我
「ヒッキー、今日はバイトないの?」
奉仕部の部室。
そこでいつものようにダラダラしていると由比ヶ浜に突然、尋ねられる。
「あぁ、バイト、バイトねぇ、しばらく休みだ」
由比ヶ浜達にソードオブロゴスのことは秘密にしている。
「そうなんだ!ところで、どんなバイトなの」
話したところで信じてもらえないし、余計な混乱をこいつらへ与えたくないからだ。
「簡単なバイト」
「前もそういって濁したし!教えてくれてもいいじゃん!」
「なんで知りたがるんだよ」
「それは専業主婦を公言している貴方がバイトをしているからよ、秘密谷君」
今までは傍観していた雪ノ下女王が会話に参加してきた。
もしかして、気になっている?
「部長として部員が怪しいことをしていないか確認しているのよ」
「いや、怪しいこと前提で話を進めないでくれない?普通のバイトだから」
一歩間違えたら命の危機はあるけれど、世界の平和を守るという健全なバイトなのです。
いや、健全っていえないな。
「それならなんのバイトをしているか話してもいいのではないかしら?貴方、いつもなんのバイトをしているのかは答えないわよね」
さらなる雪ノ下の追及。
由比ヶ浜も気になるみたいでこちらへ近づいてくる。
さて、どうしたものか。
「本屋の手伝いだ」
苦し紛れに告げる。
「本屋の手伝い?それならヒッキーでもできそう!」
「貴方がそこまで本に興味を持っているなんて驚いたわ」
二人は驚いた顔をすると、それ以上の追及をやめた。
どうやら本屋のバイトということで納得してくれたらしい。
あまりバイトの話はされないように気を付けるか。
どこでボロを出すかわからないからな。
気を付けようと心に誓って俺は目の前のラノベに意識を向けることにした。
部活が終わり、自転車で家へ帰宅する。
両親は仕事が忙しくて中々、戻ってこない為、妹の小町と飼い猫のかまくらしかいない。
最近は修業とかで家を空けていることが多かったから久しぶりの早い帰宅だなと思いながらドアを開ける。
「あ、お兄ちゃん。お帰り」
「おう、ただいま」
「お帰り、八幡」
「ただい………何してんですか?師匠」
素通りしかけた俺は慌ててリビングへ戻る。
リビングのテーブルに富加宮師匠がいた。
笑顔を浮かべて紅茶を飲んでいる。え、なんでいるの?
「お兄ちゃん、帰宅したら手を洗う!」
「え、いや、そうだけど」
「はやく!」
「……はい」
小町に怒られてしまった。
戻ってくると小町の手によって机に夕飯が置かれている。
ご飯とみそ汁、そして豚の生姜焼きだ。
「それで、師匠がどうしてここに?」
一通り夕食を味わったところで俺は小町の隣にいる師匠へ尋ねる。
小町はおいしそうにお茶を飲んでいた。
お兄ちゃんに淹れてはいれてはくれないのね。
「実は今日来たのは八幡じゃなくて小町にお願いがあったんだ」
「小町に?」
頷いた小町。
「びっくりしたよ、いきなり魔法の絨毯に乗って家の玄関にいたから」
「……」
師匠、またあの登場をしたんですか。
魔法の絨毯、師匠好きなのかな?
あの事件の時に小町も巻き込まれていて、俺が仮面ライダーになったところを目撃している。そして、ソードオブロゴスについても話を聞いており、一応、協力者という立場になっている。
両親?一応、話したら信じられないことに受け入れられたよ。
「それは、危ないこととか」
「いいや、そうじゃない。八幡が修学旅行中の間、預かってほしい子がいるんだ」
「子供?」
「剣士の子供だ。遠出になってしまうからその間の面倒を頼みたいんだ。名前を尾上そら」
「ぶっ!」
飲もうとしたお茶を吹き出してしまう。
「お兄ちゃん、何をしているのさ」
「いや、悪い、本当に悪い」
乱れた呼吸を整えながら俺は師匠をみる。
「え、尾上さんがここへくるんですか!?」
「あぁ」
「尾上さん?」
首を傾げる小町。
そうか、尾上さんと小町は面識がなかったな。
「尾上さんはノーザンベースに属しているベテランで最年長の剣士……あと、子持ちだ」
「子持ち剣士、時代劇とかでありそうだね」
尾上亮さん、ソードオブロゴスに属している最強の剣士で俺は知らないけれど、十五年前の戦いで生き残ったほどの実力者。
土豪剣激土という聖剣による一撃は大地を割ってしまうほどの威力がある。
ただ、あの人、苦手なんだよなぁ。
特訓と称して崖から落とされるわ。
土豪剣の大断断を聖剣で受け止めろと言われるし。
あぁ、思い出しただけで体の震えが止まらない。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「気にするな。なんでもない」
「変なお兄ちゃん」
あそこに属していることで俺の変な人の仲間入りをしているなんて考えたくないなぁ。
「尾上さんの息子はあったことがありますけど。どこへいくんです?」
「あぁ、東北だ」
「そうですか」
ならかち合うことはないな。
俺の修学旅行先は京都だし。
そういえば、面倒な依頼を受けたなぁ。
「富加宮師匠、一つ、聞いていいですか?」
「なんだい?」
「師匠は恋愛とかしたことあります?」
「そうだなぁ、大事にしているものならあるかな」
師匠はそういうと遠い目をする。
何かを懐かしんでいる表情だな。
「小学生のそらの面倒を頼んでいいかい?」
俺が尋ねようとしたら小町へ話を振る。
もしかして、聞かれると困るようなことだったのだろうか?
「お兄ちゃんの仲間の人の子供さんの面倒は小町に任せてください!」
笑顔で力拳を作る小町ちゃん。かわいいねぇ。
まぁ、小学生だし大丈夫だろう。
尾上さんの息子にしては大人しいし。
「スラッシュ、彼のドライバーはどうですか?」
「ソフィア様」
ソードオブロゴスのノーザンベース。
ドライバーのメンテナンスを終えた大秦寺へソフィアが声をかける。
「彼の……比企谷八幡さんのドライバーはどうです?」
「スペックがピーキーすぎる。使用者を選ぶドライバー。過去にこんなものが作られていたと思うと驚くばかりです」
八幡が使用している【覇剣ブレードライバー】をみながら大秦寺は緊張した表情で答える。
「では、彼の持つドライバーは」
「過去のデータとみる限り同一とはいえません。性能がピーキーとはいえ、我々の聖剣より強力な事実は変わらない。もし、アイツが敵になれば」
「彼自身は短い期間で剣士として成長をしています。彼が敵になる事はありません」
「そうですね」
ソフィアの言葉に大秦寺は頷いた。
「ドライバーの調整を急ぎます。アイツは明日から修学旅行だったな」
「あ?ストリウス、どこへ行くんだ?」
都会の喧騒の片隅。
黒い本棚が並ぶ一室。
そこで三人の男がいる。
「あ、ストリウス、どこいくんだよ?」
粗暴な態度が目立つ男、ズオスがストリウスと呼ばれる髪を伸ばしている男へ尋ねる。
「少し遠出を」
「何を企んでいるんだぁ?」
リーダー格のレジエルがストリウスへ目を向ける。
「少し調べたいことと、可能ならば回収したいものがあるんですよ」
二人と別れて部屋からでるストリウス。
「おや、貴方もくるのですか?」
壁にもたれるように一人の剣士が立っていた。
紫を基調として、額から延びる剣。銀のバイザーのような仮面に包まれた姿。
「カリバー、貴方も興味が?」
「お前が向かおうとしているのは京都だな」
「えぇ、あそこに封印されているものに興味がありまして」