やはり俺がソードオブロゴスにいるのはまちがっている。   作:断空我

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この話も残りわずかです。


1-4

「うぉっ!」

 

 修学旅行当日、家の外に出たところでいきなり手が伸びてくる。

 

「ドライバーとワンダーライドブックだ」

 

 慌てて下がってしまったことで誰が目の前にいるのかわかった。

 

「だ、大秦寺さん」

 

「調整は完璧だ。但し、最大出力で力を引き出すことは控えろ。お前の体に負担がかかってしまう」

 

「わかりました。まぁ、修学旅行でメギドと遭遇なんてないでしょう」

 

「修学旅行という奴らしいな、楽しんでくるといい」

 

「……ありがとうございます」

 

 ぺこりと会釈して俺は大秦寺さんからドライバーとワンダーライドブックを受け取る。

 

「では、帰る」

 

【ブックゲート!】

 

 ブックゲートを開いて大秦寺さんはノーザンベースへ帰っていった。

 

 俺は両手の中にあるドライバーとワンダーライドブックを握りしめる。

 

 必要ならないにこしたことはない。でも、大秦寺さんが調整をしてくれたことがとても嬉しく思う。

 

「さて、こいつをしまって」

 

 ドライバーとワンダーライドブックを上着の中にしまう。

 

 変身する力を手に入れてからドライバーを収納できるようにほんの少し改造している。

 

 鞄を手にして修学旅行へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行の行き先は京都、東京から京都へ新幹線で移動する。

 

 新幹線の座席は行動する班で決められていた。

 

 俺と戸塚は葉山の班に属している。

 

 葉山達三人と三浦三人が向かい合うように座って、俺と戸塚は二人で仲良く。

 

 こんな幸せなことがあるだろうか?

 

 隣を見れば天使がいるんだぜ?

 

 このまま昇天してしまっても後悔はないと思う。

 

 気付けば戸塚は隣で気持ちよさそうに寝息を立てている。

 

 これはあれか?

 

 日ごろ、頑張っている俺に対するご褒美です?

 

 神様、否、ソフィア様、感謝します!

 

 あれ、ソフィア様って、神様なんだろうか?

 

 本の守護者ということは聞いているけど、普通のホモサピエンスではないはずだし。

 

 うーん?

 

「ヒッキー!富士山!富士山だよ!」

 

 考え事をしているとヌッ!と身を乗り出して由比ヶ浜が窓の景色を指さす。

 

 ちょっと!

 

 なんでこんなに近いの!

 

 良い匂いとか、柔らかい感触がするんだけど。

 

 必死に感情がばれないように呼吸を整える。

 

「そうだな、騒ぐなよ。帰りにもみられるだろ?」

 

「むー、そうかもしれないけど、こういうのは一緒に楽しんでこそ意味があるんじゃん!」

 

「あー、はいはい」

 

「ヒッキー、冷たい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総武高校二年生の修学旅行一日目のプランは全体行動。

 

 京都駅到着後は在来線で宇治の平等院へきている。

 

 全体行動と言っても移動の際はグループで動いていた。

 

 まぁ、俺はぼっちとしての習慣が発動していて、自然と一人で寺院や周りの景色に魅入られる。

 

「……ん?」

 

 今、ちらりと見覚えのある後姿がみえたような。

 

 もう一度、確認しようとしたが人込みでみえなくなる。

 

 気のせいだったか?

 

 首をひねりながら迷子になるという事態だけは避けるために葉山達の後を追いかけることにした。

 

 次の場所は清水の舞台で有名な清水寺。

 

 飛び降りたら本当に危ないくらいの高さに戸部が「やべーしょっ、やべーしょっ」と騒いでいる。

 

 元から語彙力低い奴だったが余計にひどくなっていた。

 

 さて、由比ヶ浜はなんとかしようとしているようだが、あまりうまくいっていないらしい。

 

 奉仕部にきた依頼を思い出す。

 

 戸部が海老名さんへ告白したいというもの。

 

 最初は他人任せな感じだったので雪ノ下が断ったものの、葉山を連れて戸部が再来訪、半ば強引に依頼を引き受けさせられることになった。

 

 雪ノ下は別クラスでどうしょうもないため、俺と由比ヶ浜でフォローをするつもりなのだが……これ望み薄というかゼロじゃないのか。

 

 戸部がさりげなくアプローチを仕掛けようとすると海老名さんは回避してしまう。

 

 由比ヶ浜もそれとなーく頑張っているようだが、バレバレだ。

 

 本来なら俺も何かしら行動すべきなのだが。

 

「ねぇ、ヒキタニ君」

 

 ほら、こっちへきた。

 

「なんだ?」

 

「私の依頼、きいてくれないかなぁ?」

 

「そういう話は奉仕部の部長へいってくれるか。俺の一存じゃできない」

 

「え~、私はヒキタニ君がいいのに」

 

 どうして、俺なんだよ。

 

 後、俺は比企谷です。

 

 海老名さんは腐女子だが、バカではない。

 

 俺や由比ヶ浜が戸部に協力していることを見抜いている。

 

 はぁ、面倒だ。

 

「おい、由比ヶ浜」

 

「ヒッキー、なに?」

 

「戸部と海老名をくっつけるのはいいが、折角の修学旅行だ。お前も楽しまないと意味がないんじゃないか?」

 

「え、あたしの心配してくれているの?」

 

「まぁな、部活仲間だし」

 

 それくらいのことはしてあげないとなぁ。

 

 京都駅について一時間の自由時間。

 

 戸塚はテニス部仲間とやることがあるからって離脱。

 

 俺もぶらぶらしようとしていたら由比ヶ浜がついてくる。

 

「由比ヶ浜、自由に行動していいんだぞ?」

 

「うん、だから行動しているよ」

 

「三浦達と一緒にいなくていいのか?」

 

「うん、ヒッキーと一緒にいたいから、ヒッキーが言ったんだよ。折角の修学旅行だからね」

 

「そうか」

 

 笑顔を浮かべてついてくる由比ヶ浜に俺は短く答えて歩き出す。

 

 小町の土産とかも早い段階で選定しておこうと思う。

 

 そういえば、小町と尾上さんの息子さんが一緒にいるんだよなぁ。

 

 小学生だし大丈夫だろう。師匠も来ているだろうし。

 

「あ、ごめんなさい」

 

 別の旅行の一団がやってきて、避けようとしたら由比ヶ浜が一人の男にぶつかってしまう。

 

「いいえぇ、大丈夫です」

 

 片方の髪を伸ばしている男は笑みを浮かべるとそのまま人込みの中へ消えていく。

 

「大丈夫か?」

 

「うん、人がいっぱいいるね」

 

「駅ということもあるが、俺達と同じ修学旅行生もいるからな。はぐれないように気をつけろよ」

 

「……」

 

 あれ?由比ヶ浜さん、なんで、俺の制服の裾を掴むんですか?

 

「迷子になったら、まずいでしょ?」

 

 ちょっと、何故顔を赤らめるの?微妙に恥ずかしそうにしている姿を見ているとこっちもドキドキしてくるんだけど!?

 

「そ、そうか。なら仕方ないな」

 

「そ、そうだし」

 

 この後、微妙な空気が少しだけ続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだろう?」

 

 由比ヶ浜の二人と歩いていると前方で何か騒ぎが聞こえた。

 

 周りの人達がこそこそいいながら距離を保っている。

 

 野次馬が気になる由比ヶ浜と一緒に向かうと、腕を抑えて逃げるように去っていくガラの悪い連中たち。

 

 そして、髪の長い少女がいる。

 

「ヒッキー、あれ、ゆきのんだよ!隣の大きな人誰だろう」

 

「あれは……」

 

 雪ノ下は隣にいるガタイのよい男性と話をしている。

 

 背中に一振りの大剣。

 

 周りの人は気にしていないようだが、あれは聖剣だ。

 

 雪ノ下が頭を下げると聖剣を持つ男、尾上さんは片手をあげて去っていく。

 

 尾上さんの任務って京都で行われるのか?東北だって聞いていたんだが?

 

 疑問を抱きながらも俺は由比ヶ浜と一緒に雪ノ下のとこへ向かう。

 

 

「ゆきのん!」

 

「由比ヶ浜さん」

 

「どうしたの?何かあったし?」

 

「大丈夫、知能の低い連中に絡まれたところをさっきの人に助けてもらったの」

 

「そうだったんだ。無事でよかった~」

 

「心配をかけてごめんなさい」

 

 楽しそうに話をしている二人を横に俺は考えていた。

 

 尾上さんが京都いるのはソードオブロゴスからの任務ってことになる。

 

 この京都で何かが起ころうとしている?

 

 それとも、別の事だろうか?

 

 ぐるぐると頭の中で考えが浮かぶも答えは出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここにあるのか?」

 

 カリバーは嵐山の山奥へ来ていた。

 

 山奥は特別な結界が施されており、普通の人間が立ち入ることができないように施されている。

 

 先を歩いているストリウスは結界の一部を解呪しながらその奥にある祠をみつけて笑みを浮かべた。

 

「これですね」

 

 祠へ手を伸ばすがバチンと音を立てて弾かれてしまう。

 

「厳重だな」

 

「まぁ、当然ですね。当時の剣士を何人も殺したといわれる怪物が封印されていますから」

 

 カリバーは無言で佇む。

 

 ストリウスの手の中には不気味な色合いをした本があった。

 

 




次回、次々回で終わる予定です。
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