やはり俺がソードオブロゴスにいるのはまちがっている。 作:断空我
【かつてから伝わる不死鳥の伝説が、今現実となる】
エターナルフェニックスワンダーライドブックを開いた八幡。
雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣は目の前の光景に驚いて動けない。
ワンダーライドブックが輝きを放ち、八幡の背後に炎を纏った不死鳥が現れる。
エターナルフェニックスワンダーライドブックを閉じて、覇剣ブレードライバーへ差し込む。
「ふぅ」
一度、呼吸を整えながら収められている聖剣の柄を握りしめる。
「変身!」
目を見開くと同時にブレードライバーに収められている聖剣を一気に引き抜いた。
聖剣を引き抜くと閉じていたワンダーライドブックが開く。
【抜刀!エターナルフェニックス!】
炎を纏った不死鳥がそのまま八幡を包み込み彼の姿が変わる。
オレンジと黒の鎧に身を包み込み、彼の戦う姿、仮面ライダーファルシオンへ至った。
【虚無!漆黒の剣が、無に帰す】
オレンジ色の炎を振り払うファルシオン。
「世界の均衡なんて、俺の身に重すぎる」
静かに無銘剣虚無を構える。
「でも、俺の手の届く人達は守る。それだけなら、俺にできる!」
メギドはファルシオンを前に無数のシミーを呼び出す。
「いいねぇ、剣士!腕試しだ!いけぇ!」
合図を受けて襲い掛かるシミー達。
地面を蹴り、一瞬で駆け抜けて二人の前に立つ。
「え!?」
「ヒッキー……?」
ファルシオンの姿で目の前に現れたことで雪ノ下は目を見開き、由比ヶ浜は呆然と呟いた。
振り返ると同時に手の中にある聖剣、無銘剣虚無を振るう。
背後にいたシミー達がまとめて切り伏せられた。
「こいつらは俺がなんとかする。二人はそこから動かないでくれ」
「ヒッキー、でも!」
「貴方、その姿は一体」
「細かいことは後で説明する。今はここから生きて帰ることを考えろ」
仮面越しに八幡は二人へ告げると不意打ちを仕掛けたシミーの頭を掴むとそのまま地面へ叩きつける。
「二人に手は出させない!」
叫びと共に別のシミーへ無銘剣虚無を振り下ろす。
最後のシミーを倒すと傍観していたメギドが手をたたく。
「やるじゃねぇか、だが、俺は強いぜ?」
棒を構えながらメギドがファルシオンへ襲い掛かった。
振るわれる棒を受け止めて正面からメギドと対峙する。
「お前が強いからなんだ?俺は、後ろの二人を守る。それだけだ!」
叫びと共にメギドを押し返してがら空きの胴体へハイキックを叩き込む。
「ぐっ、やるじゃねぇか!」
腹部を抑えながら棒を前へ向ける。
「伸びろ!」
棒が伸びてくる。
ファルシオンは咄嗟に無銘剣虚無で防ぐもそのまま近くの木へ体を叩きつけられた。
「ヒッキー!」
由比ヶ浜の悲鳴が耳に届くも、ファルシオンは次撃を躱しつつ、体勢を落としながらドライバーから外したワンダーライドブックを聖剣へかざす。
不死鳥を模した炎が無銘剣虚無を包み込む。
地面を蹴りながら一気にメギドの懐へ入り込む。
「なにぃ!?」
メギドが驚きの声を上げている中。炎を纏った刃がメギドを貫いた。
土ぼこりを起こしながら失速するファルシオン。
無銘剣虚無の炎を振り払うようにしながら、心の中で思う。
「(こういう時の技名、考えておくべきだったか)」
大事なのかそうでないか微妙なことを考えながら背後でメギドが爆発を起こす。
振り返るとメギドがいた場所に一冊の本が落ちている。
「これは」
聖剣を鞘へ戻しながらファルシオンは地面に落ちている本を拾い上げる。
『西遊ジャーニー』
「これ、ワンダーライドブック、あのメギド、ワンダーライドブックでできていたのか」
「どうやら、剣士が紛れ込んでいたようですね」
ストリウスはファルシオンとメギドの戦いを見ながらぽつりと呟く。
「あれは、不死鳥の剣士か」
「さて」
どうするかと思案していた横で解放したメギドがうずうずしていた。
「……だ」
「はい?」
ストリウスが視線を向けると口からボタボタと涎を零しているメギドがある方向を注視していた。
「うまそうだ!」
ガバッと口を開けるとメギドは地面を蹴り飛び出した。
「おやおや」
「止めないのか?」
傍観しているストリウスへカリバーが尋ねる。
「えぇ、どうせです。封印されていた危険なメギドとやらの力を見せてもらいましょう。それに、興味深いじゃないですか」
「興味深い?」
「えぇ、だって、不死鳥の剣士は危険だと判断されて本に封印されているはず。それがどうして蘇ったのか、気になります」
残忍な笑みを浮かべるストリウスの目はファルシオンへ向けられていた。
「はぁ……はぁ……はぁ」
乱れる呼吸を必死に元へ戻す。
聖剣をドライバーへ戻しながら変身を解除して気付いた。
ワンダーワールドから元へ戻っていない。
あのメギドが原因じゃないのか?
どうすべきか考えていると由比ヶ浜が駆け寄ってくる。
「ヒッキー!」
今にも泣きそうな顔をしながらこちらへ駆け寄ってくる彼女の姿。
同時に視界の片隅で口を開けて由比ヶ浜へ襲い掛かろうとしているメギドがいた。
「くそっ!」
俺は地面を蹴り、駆け寄ってくる由比ヶ浜を突き飛ばした。
「きゃっ!」
地面へ倒れる由比ヶ浜。
「いただきます!」
口を開けて襲い掛かるメギドへドライバーから聖剣を抜いて構えた。
「ぐぅっぅうううううううう!」
聖剣でメギドの勢いを殺したものの牙が止められず肩を食われる。
制服からそのまま肩の肉をえぐられた。
「ヒッキー!いやぁああああああああああああ!」
「比企谷君!」
後ろで聞こえる由比ヶ浜と雪ノ下の悲鳴。
俺は膝をつきながら肩を抑える。
「ブヘエエエエエエエ!」
俺の肉を食らったメギドは嘔吐する。
え、俺の肉ってそんなにまずいの?
「これ、男の肉じゃねぇか!俺は女しかくわねぇんだよ!」
ペッペッと地面へ唾を吐くメギド。
その姿は鬼としかいえない。
鬼で女食い。
特徴で雪ノ下さんが伝えた情報が脳裏を過る。
女食いの鬼。
「封印されていたメギドかよ」
ふらふらと起き上がりながら聖剣を構える。
「こんなまずいものを食わせやがって!お前、ぐちゃぐちゃに潰してやる!」
「知るか……」
オニメギドは怒りながら拳を鳴らしていた。
「待て」
その時、メギドの前に一人の剣士が現れた。
紫を基調とした姿、手には一振りの剣。
その姿は仮面ライダーだ。
だが、味方ではない。
メギドの動きを止めた時点でコイツは仲間か、目覚めさせた張本人だろう。
「貴様の力を見せてみろ」
剣を突き付けながら相手は俺に言う。
「比企谷君、ダメよ、そんなに血を流していたら」
「雪ノ下」
立ち上がった俺に雪ノ下と由比ヶ浜が駆け寄ってきた。
「逃げよ!逃げようよ!」
涙を零しながら俺の腕を引っ張る由比ヶ浜。
オニメギドの狙いは二人だ。
剣士を足止めしたとしても、オニメギドが止まる保証はない。
ならば。
俺はポケットからブックゲートを取り出す。
「雪ノ下、これを預ける」
ブックゲートを雪ノ下へ渡す。
「これは……?」
「俺が合図をしたらソイツをあけて現れる本の中へ飛び込め、そして、その先にいる人達へ保護を求めろ」
「比企谷君、貴方は?」
「俺はこいつらを足止めする」
「無茶だわ」
「そうだよ!ヒッキーも一緒に!」
「傷だらけの俺がいても足手まといになるだけだ。あの剣士はともかくメギドはお前達を狙っている。だったら、お前達がいない方がまだ、やりようはある」
「でも」
「ヒッキー!嫌だよ!」
無理やりブックゲートを押し付ける。
「大丈夫だ。俺はそう簡単に死なない。まだまだ、やりたいこともあるし」
泣きじゃくる由比ヶ浜の頭を優しくなでる。
小町にしてやったように優しく。
「本の向こうに、頼りになる人がいる。その人がきてくれたら俺が生き延びる可能性も高まる」
「……本当?」
「あぁ、俺なんかより何倍も強い剣士がいる」
震える手で地面に突き刺した聖剣を引き抜く。
「だから、行け!」
叫びと共にファルシオンに変身して目の前の剣士へ刃を振り下ろす。
相手は冷静に受け止める。
雪ノ下がブックゲートを開けて現れる巨大な本。
「由比ヶ浜さん」
「ヒッキー!必ず、必ず、また!」
「あ、まてぇ!」
オニメギドが二人を狙うも俺は手に入れたワンダーライドブックを聖剣に読み込ませる。
剣が炎を纏いながら伸びてオニメギドに直撃した。
意識を外した瞬間に対峙していた剣士に斬られる。
「他者を助けるために自分を犠牲にするか、哀れな」
「あ?なんとでもいえよ。俺は少しでも生き残る方をとっただけだ」
痛む方に仮面の中で顔を歪めながら剣を構える。
「アンタか、裏切りの剣士とかいうのは」
「カリバーだ。不死鳥の剣士、貴様の力を見せてみろ」
カリバーは名乗ると剣を振るう。
痛みで満足に動けない俺に対して、カリバーは圧倒的な実力差で追い詰めてきた。
「どうした?不死鳥の剣士は不死身ときいている。この程度で終わりか?」
「そんなこと、知るか!」
不死身ってんなんだよ。
そんな力があるなんて知らねぇし。
振るわれる剣を躱しながら聖剣にワンダーライドブックを読み込ませる。
「くらえ!」
炎を纏って伸びる聖剣。
「無駄だ」
しかし、その一撃をあっさりとカリバーは弾いてしまう。
さらに反撃を受ける。
「お前のせいで折角の女がぁああああ!」
オニメギドが激昂しながら拳を俺目掛けて繰り出す。
「ゴホォ」
強力な一撃に変身解除されて、口から血を吐き出した。
握りしめていたワンダーライドブックが手から離れて地面へ落ちる。
「この程度か」
聞こえるカリバーの声。その感情は落胆だろうか?
膝をつきつつも、手の中の聖剣は手放さない。
カリバーが俺の前に立つ。
「恨むならワンダーライドブックと聖剣に選ばれたことだ」
「そんな、わけあるかよ」
グッと聖剣を握りしめながらカリバーを見上げる。
「これがあるからあいつらを守れた。感謝すれど、恨むなんてことはしねぇよ」
「そうか」
カリバーが剣を振り上げる。
このまま死ぬ?
嫌だなぁ。
小町泣くよなぁ。
親父はともかく、おふくろは何かいうよなぁ。
雪ノ下、すまん。
由比ヶ浜、泣きじゃくらないといいなぁ。
あぁーー。
――無知な剣士め、助けてやるのは今回だけだ。
【エターナルフェニックス】
「むっ!」
カリバーがエターナルフェニックスの炎で吹き飛ばされる。
オニメギドはいら立ちの声を上げながら拳を振り上げた。
「熱いことしやがって!てめぇはここで消えろ!」
振り上げられる拳を見て聖剣へ手を伸ばして拳を受け止める。
ガクンと足が崩れる。
バランスを崩したことでオニメギドの拳が顔に迫る。
衝撃に覚悟を決めた時。
「そこまでだ!」
大きな音と共にメギドが吹き飛ぶ。
メギドがいなくなったことで後ろに倒れそうになった俺を支える手が伸びた。
「遅すぎですよ」
「急いできたから大丈夫だ」
見上げると笑みを浮かべる師匠の姿があった。
「無茶しやがって、だが、剣士としては立派だぞ」
師匠の傍に尾上さんもいる。
「そう、ですかね?」
「剣士の顔つきになっているじゃねぇか」
肩を叩かれる。
「後は任せて、お前は休め、学生……いや、八幡!」
「うす」
「そこで休むんだ」
師匠に言われて近くの木にもたれこむ。
ソードライバーを構える師匠と土豪剣激土を握りしめる尾上さん。
「いくぞ」
【玄武神話】
「八幡の為にもお前を倒す」
【ランプドアランジーナ】
土豪剣激土に玄武神話のワンダーライドブックを、ソードライバーにランプドアランジーナワンダーライドブックをセットして、二人が変身する。
仮面ライダーバスター。
仮面ライダーエスパーダ。
土豪剣激土を構えるバスターと雷鳴剣黄雷を構えるスパーダ。
オニメギドは苛立ちながら両こぶしを巨大化させると二人へ振るう。
エスパーダは華麗に躱して雷鳴剣で切りつけ。
「無駄だぁあああ!」
叫びと共にバスターはオニメギドの拳を土豪剣激土で打ち返す。
――これが剣士の、いや、師匠達の実力か。
封印されていたメギドを圧倒する二人をみているしかないことに俺は悔しさを感じる。
無力な自分が嫌なのだろうか。それとも、師匠達の足を引っ張っていることが嫌なのかわからない。
「すげぇな、本当に」
「くそっ、なんだ、てめぇらぁ!俺は女を逃して苛立っているんだよ!」
「うるせぇ!俺らだって怒っているんだ!」
「弟子を傷つけられて師匠としてお前を許さない。
バスターとエスパーダは土豪剣激土、雷鳴剣を鞘へ戻して再度、引き抜く。
「大断断!」
叫びと共に振り下ろされる土豪剣激土。
受け止めようとするオニメギド。
その眼前を雷鳴のように通過するエスパーダ。
「トルエノ・デストローダ」
「ぐぁああああああああああああああ!」
オニメギドの背後に現れるエスパーダ。
直後に切り裂かれてダメージを受けるオニメギド。
防御が解けて、バスターの必殺技【大断断】がオニメギドを両断する。
大爆発を起こして消滅するメギド。
オニメギドが倒された事でワンダーワールドと融合を始めていた山道が現実世界へ戻っていく。
「ははっ」
聖剣を構える二人の剣士の姿を見て。
「強くなりたい」
心の底から呟いた