やはり俺がソードオブロゴスにいるのはまちがっている。 作:断空我
と、説明回的なもの?
「立てるかな?八幡」
「はい」
少し休んだおかげで立ち上がることは問題ない。
「しかし、連中が京都で暗躍しているかもしれないと調査していたが封印されていたメギドを解き放つとはな」
尾上さんは悔しそうに聖剣を背負う。
「そうだ。師匠、二人は」
ブックゲートを繋げて二人をソードオブロゴスのノーザンベースへ逃がしたがどうなったのか気になって尋ねる。
「救助を求めてきた二人なら無事だ」
「一番、安全な場所だ。まぁ、秘密を知られるということは問題だが……非常時だからしゃーねーだろ」
尾上さんのフォローに俺は頷きながら師匠が展開したブックゲートを潜り抜ける。
潜り抜けて目の前の扉を開けるとソードオブロゴスのノーザンベースに到着した。
「ヒッキー!」
ドアを開けると部屋の中央にある椅子に座っていた由比ヶ浜が立ち上がると抱き着いてくる。
「お、おい!」
ぎゅぅぅぅぅと抱きしめられて俺は慌てる。
柔らかいものやら由比ヶ浜の臭いとか泣き声にどうすればいいのかわからない。
「そのまま抱きしめればいいじゃないか」
「なぁ~、感動的な場面だっていうのに」
師匠は笑みを浮かべて、同意するように尾上さんは呆れていた。
「心配した!ヒッキーが無事で、本当に良かった!本当に……ね、ゆきのん!」
「えぇ、心配したわ。比企谷君」
由比ヶ浜が落ち着くまで様子をうかがっていた雪ノ下がこちらへやってくる。
「まぁな」
「それと、彼らは一体、なんなの……それに、ここは」
周りを見て、雪ノ下が俺に尋ねる。
さて、ここからどう説明すれば。
「ここはソードオブロゴス。人知れず世界の均衡を守っている組織です」
「ソフィア……様」
階段を下りてゆっくりと現れる女性はソフィア様。
ノーザンベースを治める本の守護者。
「はじめまして、雪ノ下雪乃さん、由比ヶ浜結衣さん」
挨拶をするソフィア様に雪ノ下と由比ヶ浜は戸惑いつつ挨拶をかえす。
「エスパーダ、バスター、ご苦労様です。ファルシオン、巻き込まれたとはいえ、多くの人を守ったことは素晴らしいことですよ」
「うす」
「ファルシオン?」
「剣の種類のことね……今の反応からすると比企谷君がファルシオン?」
「俺が変身していた姿だ」
「あ、そうだ!ヒッキー!あの姿はなんなの?怪物もそうだし!ヒッキーの姿が変わったと思ったらぴゅーっと動いてどひゃーって怪物が吹き飛んでいくし」
「由比ヶ浜さんの表現について思うところがあるけれど、私も同意見よ。あれについて教えてほしいわ」
色々と聞きたそうにしている雪ノ下と由比ヶ浜に俺は簡単に説明した。
ソードオブロゴスは世界の均衡を人知れず守る組織でありメギドは個々とは別の世界と俺達の世界を融合しようと暗躍している怪物たちだ。
「そろそろ、戻らないといけない時間だな。詳しい話は今度するとして、今は京都へ戻るべきだな」
師匠の言葉に二人は携帯電話の時間を見る。
「あ、戻らないと」
「そうね……今度、話をする時間をいただけるんですね?」
「あぁ、約束だ」
富加宮師匠が頷いたことを確認する。
まぁ、巻き込んだ俺がいうのもなんだけど、このまま放置ってわけにもいかないよなぁ。
「由比ヶ浜。俺のブックゲートを返してくれ」
「これ?」
由比ヶ浜はポケットからブックゲートを渡してくれる。
「京都へ戻る。それと今回の事は他言無用で頼む。今度、改めて話をする時間を設けるから」
「うん、絶対だよ!」
「その言葉、信じるわ」
「それじゃあ、尾上さん、師匠、ソフィア様、俺は戻ります」
ニコリと頷くソフィア様。
尾上さんと師匠に見送られて俺達三人は京都へ戻った。
こうして、波乱の修学旅行が終了した。
疲れた俺はぐったりと旅館と帰りの電車の中で熟睡する。
余談だが、戸部は説教を受けて少しばかり落ち着いたような気がする。おそるべし、尾上さん。
海老名さんはどうなったのか知らないが、まぁ変わらないのだろう。
不用意にかかわらないようにする。
それが一番だ。
あぁ、早く、小町に会いたい。
修学旅行から数日後。
俺のガトライクフォンに連絡が入る。
「今日、奉仕部の部室でこの前の件で説明がある」
二人へ連絡をして奉仕部の部室へ集まってほしいと伝える。
「しかし、誰がやってくるんだ?」
ノーザンベースの剣士が一緒に説明するということだけど、師匠は来ない。尾上さんは別の任務で既にいないということだから。
「誰がくるのか?」
まともな剣士が来るといいんだが、出来ればアイツだけは来ないでほしいと思う。
アイツに説明役が務まると思えないし要らぬ騒ぎを招く危険がある。
消去法でいくと大秦寺さん?コミュ症の鍛冶師さんにできるのか?
放課後に奉仕部の部室へ由比ヶ浜と向かっている。
「ねぇ、説明するのに部室で集まる必要があるの?」
「まぁな。三人だけで話をしたいところなんだがソフィア様からの連絡でソードオブロゴスの剣士が一人来るらしい」
「ヒッキー、ソフィア様のこと好きなの?」
尋ねてくる由比ヶ浜の目は不安そうにみている。
もしかして、俺が年上好きだとでも思っているのだろうか?
「は?バカいうんじゃねぇよ。あの人は上司みたいなものだ。そういうんじゃない」
「そっか、よかった」
笑みを浮かべる由比ヶ浜。
上司だと言ったら喜ぶってどうしたんだ?
首を傾げつつ、部室のドアを開ける。
既に雪ノ下が部室へ来ていた。
「ゆきのん!」
「いらっしゃい、由比ヶ浜さん、比企谷君も」
「おう、この間の話だが……」
俺は二人にソードオブロゴスの剣士がやってくることを伝える。
「この前の人達のだれかかしら?」
「いや、富加宮師匠はこれないし、尾上さんは既に別の任務でいないから来るのは」
「失礼します」
部室のドアが開く。
「すまないけど、今…………」
扉の方を見て雪ノ下の視線が固まる。
「ゆきのん?どうした……ライオン!?」
オーケー、今の反応で誰が来たのかわかったぞ。
「新堂さん」
「久しぶりです。八幡君。そして、初めまして雪ノ下雪乃さん、由比ヶ浜結衣さん。僕はソードオブロゴスに属する剣士、新堂倫太郎といいます」
ライオンは新堂さんが持つワンダーライドブックへ吸い込まれる。
新堂倫太郎さん。
ソードオブロゴスに属する水の剣士。
水勢剣流水を扱う。
年齢としては年上なんだが、剣士になった時期が俺と同じなので、同期だ。
まぁ、誰に対しても丁寧だから、説明役としてはいいかもしれないけれど。少し変なところがあるんだよなぁ。
「あの、どうして、ライオン……?」
「土足で入っていけないと本で読みましたので」
「え?ライオンも土足じゃ」
「由比ヶ浜、そこまでだ。雪ノ下、新堂さんに紅茶を出してくれるか?」
「え、えぇ」
戸惑いながらも雪ノ下は新堂さんへ紅茶の入ったカップを差し出す。
嬉しそうに受け取りながら紅茶を飲む。
「とてもおいしいですね!」
「ありがとうございます」
「さて、今回、お二人が八幡君の変身したところを目撃しているということなので詳しいことを説明させていただきます」
「は、はい!」
「お願いします」
「まずは、我々の組織について」
そこから新堂さんの説明が始まる。
前にソフィア様が軽く説明したソードオブロゴスについての成り立ち、メギドについて。
「僕達、ソードオブロゴスの剣士は聖剣とワンダーライドブックを持っています」
新堂さんが机にソードライバーとライオン戦記のワンダーライドブックを置いたので俺もブレードライバーとエターナルフェニックスのワンダーライドブックを置く。
「この本にそんな力があるの……?」
「あれ、色とか違う?」
「ワンダーライドブックはいろいろな種類があります。ですが、十五年前に大きな戦いがあって多くの剣士が命を落としワンダーライドブックも失われてしまいました」
京都で手に入れたワンダーライドブックはカリバーに奪われたんだよな。
「これを使えば、私達も変身できるのかしら?」
「いえ、普通のホモサピエンスに聖剣とワンダーライドブックを扱うことはできません。選ばれた者でなければ」
「じゃあ、ヒッキーは選ばれたんだ。すっごい!」
「いや、それほどのことじゃ」
「いいえ、凄いことです!ワンダーライドブックもそうですが、聖剣の数も少ない。その中で比企谷君は無銘剣虚無に選ばれた。これはすごいことなんです!」
「あ、そう、まぁ、そうですね」
慣れない。
悪い人じゃないんだけど、こう、善意でぐいぐいくることがあるんだよなぁ。
「あの比企谷君がタジタジになっているわ」
珍しいものをみるように雪ノ下がこちらをみている。
やめて、そんな目を向けないで。
「次は俺の話だな」
「ヒッキーはどうして、ソードなんとかにいるの?」
「ソードオブロゴスよ、由比ヶ浜さん」
「俺がソードオブロゴスのことを知ったのは三年前だ」
三年前、俺はメギドが引き起こしたワンダーワールドに巻き込まれた。
小町と一緒にワンダーワールドに巻き込まれた俺はメギドに襲われて命を落とすかもしれないという時に現れた無銘剣虚無を引き抜いて仮面ライダーファルシオンに変身。
その後、異変解決のために駆け付けてきたエスパーダこと、富加宮師匠に助けられてソードオブロゴスに所属することになった。
「さて、ここでお二人に大事な話があります」
新堂さんが二人を見る。
「本来、お二人はソードオブロゴス、メギド、剣士の事を知らずに過ごすべきなんです。ですが、知ってしまった以上、二人に選べる道は限られています」
ゴクリと由比ヶ浜が息を飲む。
「選べる道というのは?」
「一つは今回の出来事を夢だと思って、何もかも忘れる事です」
「それって」
由比ヶ浜が俺を見る。
ソードオブロゴスに人の記憶を消す術はない。
普通の人達に剣士は関わらず、質の悪い夢だと思わせるしかないのだ。
「もう一つは……何ですか?」
雪ノ下が尋ねる。
もう一つだけ、夢として忘れること以外に方法はある。
それは俺と距離をとる事。
今後も俺と関わっていればまた今回みたいな出来事に巻き込まれてしまう可能性がある。
だから。
「もう一つはソードオブロゴスに属すること、八幡君の手助けをすることです」
って、あれ!?
「え、所属させるの!?」
「そうです。これはソフィア様からの提案です」
あれぇ、どういうこと?
面食らっている俺の前で事態は進む。
「入る!あたし、入る!」
「由比ヶ浜さん……」
「ゆきのん、ね?」
由比ヶ浜は雪ノ下の手を握りしめる。
握られた手をみた雪ノ下は由比ヶ浜の顔を見て、そして、頷いた。
「新堂倫太郎さん」
「はい」
「私もソードオブロゴスに入ります」
「わかりました。では、そのように伝えますね」
「え、あの」
俺が止める暇もないまま、新堂さんは使っていない教室のドアへブックゲートを接続させるとそのままノーザンベースに戻ってしまう。
「え、あれぇ……?」
俺が離れるかもと思っていたんだが、そんなことはなく。むしろ、二人もソードオブロゴスに入ることになったんですけどぉ?
突然の事に目を丸くするしかない。
「えへへ、一緒だね。ヒッキー」
「そういうことだから、これからよろしく。比企谷君」
「あぁ、まぁ、わかった」
どうして、こうなったのだろう。
俺の疑問に答えてくれる者はいない。
帰り道、ポケットの中のガトライクフォンが鳴り出す。
懐を取り出すと相手は非通知になっている。
「もしもし?間違い電話じゃありませんか?」
『いいえ、間違い電話ではありませんよ。比企谷八幡さん』
声からして女性だ。
しかし、聞いたことのない相手だな。
抑揚がないというか、感情が込められていないように思える。
「誰?」
『私が誰ということが気になりますか?』
「まぁ、多少は。こんな俺に電話をしてくれる人なんて限られているし」
ノーザンベースの人達くらいしかガトライクフォン登録していないしなぁ。
それでいったら俺の携帯電話よりも登録数が多いかもしれないぞ?
「アンタが誰かを後にしておくと、俺に何の用事だ?」
『貴方は自分の力がどれほど危険なものか理解していますか?』
「俺の力?」
『いずれ、貴方は世界の危機を招くかもしれない。そうならないように我々と一緒に行動しませんか?』
「どこの誰かわからない人の勧誘は断ることにしている」
『そうですか、では、その時が来ないことを祈っておきましょう』
ブツンと返事を待たずに通話がきられる。
ガトライクフォンをしまうと入れ替えるようにエターナルフェニックスのワンダーライドブックを取り出す。
「そういえば、これを手に入れる時の記憶が曖昧なんだよな……俺、どうやってこれを手に入れたんだろうか?」
気になりつつも、俺は家へ帰ることにした。
小町のところへ帰ろう。
小町の美味しいご飯を食べたい。
それだけを考えて俺は急いで帰宅することにした。