「僕達は、僕達の力で神を斬り!未来を切り開く!」
自らを神としたモノとの戦いで、少年達は未来を掴んだ。
その戦いから、少し後──少年達は新たな世界で再び剣を持つ。
「鏡面海域…みたいですね。」
海の上を駆ける彼女達は、KAN-SENと呼ばれる人形の兵器だ。
人類の敵〈セイレーン〉に対抗するための兵器。
そんな彼女達が迷い込んだのは、〈鏡面海域〉と呼ばれる海域。
「おかしい…セイレーンの駒がでてこない…?」
ただ、この海域は何かがおかしい。
本来いるはずの〈駒〉が一つたりとも見当たらないのだ。
「エンタープライズさん…」
「分かっている。各自戦闘用意!」
エンタープライズと呼ばれたKAN-SENが洋弓を構える。
奥から湧くように現れたのは、奇妙な機械達。
「新しいセイレーンの〈駒〉…ですか?」
腕に棍棒のような何かがくっついたような人形のの機械。
ただ、彼女達はすぐに違和感を感じた。
何故なら───
「気をつけろ…!こいつらいくら砲弾当ててもびくともしない!」
全くの無傷。
航空爆撃でさえも動じない。
「くそ…!囲まれた!」
いつの間にか機械達に包囲されてしまった。
機械兵達がゆっくりと棍棒のような部分が展開する。
その内部にはたくさんの鉄の牙のようなものがズラリと並んでいた。
「待て…あれで私達を喰らうつもりかッ…!?」
そう。それはまるで、口のような歪な器官。
そして、「正解」と言わんばかりにエンタープライズに躍りかかった。
「うっ…!?」
咄嗟に艤装である洋弓を差し出して喰われるという事態は避けられた。
しかし、艤装事態は一発でおじゃんに。
もう、防ぐ手だてがない。
そこに再び迫る機械兵器。
「すまない…指揮官…」
その腕が迫る。
エンタープライズは死を覚悟して──ゆっくりと目を閉じた。
────────ザク。
その音を聞いてエンタープライズが恐る恐る目を開ける。
目の前には金髪碧眼の少年と、一瞬前まで自分達を襲っていた、機械の残骸だった。彼の持つ剣が起こした結果であるだろう、ということしかエンタープライズには分からなかった。
「良かった…間に合ったみたいだ…ねっ!」
その声と共に機械兵器十数体が沈黙する。
少年がたったの一撃であの数の機械兵器をただの鉄屑に変えたのだ。
「なっ……」
「大丈夫かい?」
少年は優しく微笑むとそっとエンタープライズに手を差し出した。
Z-23──通称ニーミは今、はぐれた主力艦隊に通信を試みていた。
「え、エンタープライズさんは!?」
「分断されてる!...っ!」
鏡面海域であるにも関わらず通信を試みるニーミはいつもの冷静沈着さを失っている。
「ニーミちゃん!ここは鏡面海域だよ!絶対に通信できないって!」
ジャベリンがその行動を諫める。しかし援護の要請ができなければ負けは必至。
否。
この機械兵たちを斃す手段を彼女たちは持っていないのだからまず「勝てない」。
どうやって被害を最小限に抑えるか。
どうやってこの地獄から帰還するか。
この二つしか考えられなかった。どうやったって斃せない相手には勝てない。
「このままじゃ…ジリ貧なのです…」
「そんなのは分かってるの!…早くなんとかしないと…!」
綾波がいうようにもはやこの戦線を維持するのには限界があった。
そして現実はいつだって非情だ。
「…っ!」
綾波が機械兵の一撃を食らってしまったのだ。強い衝撃を受けたのか綾波はピクリとも動かない。
「だめぇぇぇぇぇ!」
ジャベリンは何とかして機械兵たちの気を引こうとした。
しかしもう、何もかもが遅すぎる。
機械兵のうちの一体がチェンソーのような腕を大きく振り上げる。
「綾波ちゃあぁぁぁあぁぁぁぁん!」
そして――
「ソードフラップ!」
機械兵たちが木っ端みじんとなった。
「三人とも、大丈夫?」
それをやったであろう人物は果たしてそこに立っていた。
いや、それは確かに「人」の形をしていた。
だがその存在は人というにはかけ離れている。
何故なら───全身が機械だったのだから。顔以外ほとんど全てが生身から機械に置き換わっているではないだろうか。
「大丈夫?」
しかし、あっちには少なくとも自分達に対する敵対心は無く、純粋な心配だけがあった。
「え、ええ。」
ニーミが差し出された手をとる。
「私の名前はフィオルン。…ね、君の名前を教えて欲しいな、なんて。」
そう、にこやかに目の前の人物――フィオルンはZ23に笑いかけた。
これは世界を巡る旅だ。
何の因果か再び神剣を握った少年と、少女の、異世界を巡る旅。
旅の果てに待ち受けるものを彼らはまだ知らない。