「テキサス、そこ右。」
助手席に座るラテラーノ人がそう言ったのでテキサスはハンドルを右に切った。
「ほんっと、こんなただの箱を運ぶだけの仕事、君一人で十分なのに二人で行かせるとはボスもたいがい心配性だよね~。おかげで見たかった番組リアタイ出来なかったよ~。」
さっきから隣で文句を言っているのはエクシア。テキサスの同僚であり、友人だ。
彼女が仕事んお文句を言っているのはいつもの事なので話も半分に聞き流してサイドミラーに目を見やる。先ほどから尾行してきている車が居る。
もしあの車に乗っているのが一般人ではなく敵であったとしたならば、仕掛けてくるのは人通りの居ない路地に入った今だろう。
「……エクシア、銃を。」
「オッケー、後ろの車だね。」
注意を促すように言った時にはもう彼女は愛銃を手にしていた。どうやら彼女も後ろの車の異様さには気づいていたらしい。
車が誰も居ない細道に入った時、予想通り後ろの方で銃声がした。
放たれた銃弾はテキサス達の車の後輪を貫いたようで車内に大きな衝撃が響いた。
そのまま車は制御を失い、コンクリートの壁に激突した。
「いったぁ~、テキサス、大丈夫?」
「あぁ……だが車が。」
「車より今は周りの方がヤバくない?」
エクシアの言う通り、テキサス達の車の周囲はすでに包囲されてしまっていた。
「ペンギン急便だな!武器を置いて大人しく外に出てこい!」
外ではリーダー格であろう男が叫んでいる。
「うわぁ、完全に私たちを怨んでるって感じの声だよあれは。どうする?」
「斬り尽くす。」
そう言うや否やテキサスは車のドアを蹴破って外に飛び出した。
人数の不利などものともせず二人、三人と切り倒していく。
「もう、ほんと君は後先考えないよね!」
エクシアも銃を手に外に出て次々と敵を撃ち抜く。
二人の息の合った連携によって三分もたたずに包囲してきた輩は人の山と化した。
「みんな急所はちゃんと外したから許してよね。」
人の山に向かってエクシアは言う。
一方、テキサスはスマホを手に電話をかけていた。
「もしもし、ボスか?……あぁ、ちょっと車が壊れてしまってな。迎えに来てほしいのだが……そうか、助かる。じゃあ十分後にそこで。」
「テキサス~、迎えは来てくれるって?」
気だるそうにエクシアは尋ねた。
「あぁ、十分後に九番通りだそうだ。向かうぞ。」
「えぇ!?今から歩くの!?もうゆっくりさせてよ~。」
「ここもすぐにあいつらの援軍が来る。早く行くぞ。」
「あぁもう!わかったから待ってってばぁ!」
そうして二人は龍門の街へと姿を消したのだった。