余談なんですがこれ書いてる時に龍が如くの実況プレイを見てたので雰囲気めちゃくちゃよってます。
「そこに腰かけてくれ。」
いまいちまだ男の事が信用できなかった二人であったが言葉に甘えて男の指さした椅子に二人は座った。
「なんや口車に乗せられて連れてこられたけど、あんたほんまにあの子のお父さんなんよな?」
「あぁ間違いない。この手紙は俺宛てだ。これで信じてくれるか?」
そうしてボスは少女が出した封筒の中から写真を一枚取り出した。
「これは……あの子の家族?」
男が取り出した写真は少し昔手紙を出した少女とそのお母さんと思しき人物。そして目の前に座っている男が写っていた。
「あぁ、この写真は確か四年位前に家族で旅行に行ったときに撮ったものだ。親切にも入れてくれたらしい。」
「じゃあほんまにアンタはあの子のお父さんなんか。」
クロワッサンがそう言うと男は少し顔を曇らせた。
「まぁ、血縁上はな。実際には親なんて大それた物じゃねぇよ。もう何年も家には帰ってない。」
「何でこんなにそれちゃったのさ、写真を見る限りこの頃はまだこの道に足を踏み入れて無さそうだけど。」
今度はエクシアがそう尋ねた。それに対して男は昔を懐かしむように話し始めた。
「借金抱えた友人に逃げられて多くの負債を着せられたのがきっかけだった。初めこそ末端も末端の仕事だったが長く入り浸ってる内にこんなとこまで来ちまった。皮肉なことに裏世界で生きぬく才能みたいなのがあったんだろうな。」
男の顔には何か諦観の様なものが浮かんでいた。
「もちろんこんな汚れた体で家族が受け入れてくれるわけもねぇ、気付いた頃には二人とも家を出てったよ。」
そう言って男はカップに入ったコーヒーを一口飲んだ。
「あんたも色々苦労してんな。」
痛み入るようにクロワッサンは言った。
「同情なら必要ねぇよ、きっかけは何であれここまで歩いてきたのは自分の脚だ。今更そこに言い訳するつもりはねぇよ。」
「もう一度会いたいとは思わんの?」
「そりゃな、今じゃどこ行くにも周りに人が必要な身分だ。俺が会ってあの子にもしなんかあればもう今度こそ自分を許すことが出来なくなっちまう。ただ…」
そこまで言って男は言葉を濁らせた。
「手紙の返事をちゃんと書いてやりたいんだ。あんたらならあの子に届けれるよな?」
男はしっかりと二人を見た。品定めするようなその眼の奥には期待の色が混じっているようにも感じられた。
「当たり前やろ!こっちは天下のペンギン急便様やで?運べへんものを探す方が難しいわ!」
勢いよく立ち上がってクロワッサンはその期待に応えた。
「ほな、この番号に連絡してくれればいつでも受け取りにくるんで、よろしくお願いします。」
礼儀正しくお辞儀して二人は事務所を後にした。
「ねぇクロワッサン?」
「ん?どしたんや?」
龍門の表通りに出た頃、エクシアは何かを決心したような口ぶりで言った。
そしてエクシアの言葉をクロワッサンは言わずとも分かっていた。
「あの人と娘ちゃん、会わせてあげたくない?」
「もちろんや、ペンギン急便の本領発揮やで。」
そう言ってにやりと笑ってみせた。
それから男から連絡があったのは三日後の事だった。
連絡を受け取ったクロワッサンはすぐにエクシアに連絡して二人は社宅へと集まった。
「で、あの子の場所は特定できたん?」
「任せてよ、何なら今いる位置だって分かるよ。」
「さすがエクシアやな、いっつもモスティマのこと探してるだけのことはあるわ。」
「もう、そんな人の事を粘着質のヤバいやつみたいに言わないでよ!」
「で、これからどうすんのさ。まさか堂々と誘拐するわけじゃないよね。」
「……そのまさかや。」
クロワッサンがそう言うとエクシアは見る見る内に青ざめていった。
それを言うなら特定も立派な犯罪じゃないかと突っ込みたくなるが言ってしまうとまたややこしくなるのでグッとこらえた。
「そんな……私まだお縄に付きたくないよ!!もう手紙だけにしようよ!」
「大丈夫やって、ちょっと人の子をお借りするだけや。すぐ返せばなんも言われんて。」
「……もう、もしなんかあったら全部君のせいにするからね!」
いやいや運転するエクシアの車に揺られること数十分、都市部からは少し離れたアパートの前で車は止まった。
「ここの203号室にあの子はお母さんと二人で暮らしてる。でもお母さんは仕事に行くから普段家にはほとんど居ない。だから家の中に人がいる可能性は考慮しなくていいよ。」
「オッケー、ほなミッション開始と行きますか!」
気合も十分にクロワッサンは勇み足で車を出た。