とりあえず今回から青く燃ゆる心ベースで話書いていきます。若干イベストのネタバレなど含みます。ご注意ください。
「んんん~~海だぁ!!」
飛行機の長旅から解放された喜びからかシエスタに上陸するや否やエクシアは背を伸ばして叫んだ。
「おいおい、仕事だってんのにずいぶんと楽しそうじゃねぇか。これで俺がもしこの地で死んだらお前の責任だからな?」
「もう、ボスはそんな簡単に死ぬような男じゃないでしょ?それにせっかくシエスタに来たのに一回もビーチに行かないなんてマフィアの居ない龍門と一緒だよ?」
エクシアがそう笑って返すとボスもそれもそうだなと笑って言った。
海に囲まれた観光都市シエスタ。
そこで毎年開催される音楽の祭典、黒曜石祭。それが明日から開催されるとあって街は活気に満ちていた。
「ほら来た!ほら来た!こっちにはウィスキーにビール、タピオカだってあるよ!」
「はぁ……みんな商売頑張ってはるなぁ、あれ見てるとうちも露店出したなってくるわ。」
客引きの声が活気良く飛び交う中でクロワッサンは一人大きくため息を吐いた。
「もう、クロワッサンさんはどこ来てもお金儲けの事ばかりだね!そんなんじゃせっかくのシエスタも楽しめないよ~?」
「あんたはアイドルの稼ぎがあるからええやんけ。ウチなんかペンギン急便の収入だけで頑張ってるんやで?稼げるときに稼がな欲しいものも買えんなるわ。」
ソラの言葉にため息交じりに答えた彼女は邪念を断ち切るように露店から目を背けた。
実際に黒曜石祭の期間中は観光客も露店を出していいことになっている。クロワッサンも観光で来ていたのなら迷わずそうしていただろうが今は真面目な仕事の最中、そんなことをしている暇はない。
「エンペラー様とそのお連れ様ですね。お待ちしておりました。中へどうぞ。」
「おう、ご苦労さん。」
空港から歩いて十分もかからないところにあるそのホテルは海辺に面しており立地的には高級ホテルに位置するだろう。それは内装も例外ではなくエントランスには天井に大きなシャンデリアと宗教画の様なものが描かれており入ってきた者に高貴な印象を与えている。
「各自荷物を置いたら俺の部屋に集まってくれ。当日の作戦を確認するからな。」
そう言ってボスは部屋の鍵を四人に渡した。
観光都市に似つかない「作戦」という言葉。というのもこの町にペンギン急便が来たのはある仕事を完遂するためであった。
黒曜石祭に参加するボスの護衛。これが今回ペンギン急便に課された使命であった。
ペンギン急便を束ねるボスは普段エンペラーという名前で音楽活動を行っている。その影響はすさまじくエンペラーによって今のヒップホップ界が一歩上のステップへ進んだと評するものも少なくない。
その音楽活動の一環としてこの度、黒曜石祭に出演することになったのだ。
「で、結局私たちは今回どう動けばいいの?」
ボスの部屋にはペンギン急便の面々が集っていた。その中で一番に声を上げたのはエクシアであった。
「まずテキサスとソラは俺のパフォーマンス中にバックグラウンドで待機していてくれ。エクシアとクロワッサンは場内の警備を頼む。」
「了承した。」
テキサスのその言葉を聞くとボスは腰かけていた椅子からヒョイと飛び降りた。
「言いたいことはそれだけだ。明日は朝七時にここのエントランスに迎えの車が来る手筈になっている。それまでは各自自由行動だ!」
そう言ってボスは部屋を出ていった。