オーバーロード単発短編集   作:セパさん

17 / 30
正しく間違えるために

「シャルティア~~。入るよぉ……おお?」

 

 アウラはシャルティアの私室に入るなり、部屋を間違えたかと狼狽(ろうばい)した。そこには何時もの漆黒のボールガウン、フリルとリボンの付いたボレロカーディガンを羽織った見慣れた姿はなく、エントマやオーレオール・オメガにも似た【ワフク】なる衣装をまとい銀髪を麗しく結ったシャルティアが居たためだ。

 

「あい、アウラでござんしたか。まっことおおなんぎだんしえ。」

 

「どうしたのシャルティア!?悪いものでも食べた!?」

 

 アウラはシャルティアに問い詰めるよう大声を張り上げる。元々黙っていれば芙蓉(ふよう)(かんばせ)といった表現が似合う彼女だが、その言動は本当に高貴な(きさき)様といった様相だ。

 

「チビ助!失礼な事をいうでありん……ごほん。アインズ様が仰っておりんした。〝正しく間違えるには正解を知らねばならない〟と。故にわらわ……じゃない、わっちは本当の廓言葉を習い、〝正解を知ったうえで間違える〟重要性を学んでござんす。」

 

 シャルティアがアウラにとっての神、ぶくぶく茶釜様の弟君であるぺロロンチーノ様より〝そうあれかし〟と賜った言葉使いについては知っている。ただそれは〝間違った廓言葉〟という知識だけのものであり、〝じゃあ正しい廓言葉ってなに?〟と問われれば、アウラには解らない。いや……

 

「その気持ちは大事だけどさ~。本当に合ってるのそれ?」

 

 正しい廓言葉など、この地に残られた唯一の至高の御方たるアインズ様以外解らないのではないだろうか。

 

「わっちもそう思いんしいぇ、アインズ様にお助けおがみ〝特別に〟至高の御方々の遺したもう数多の芸事にまつわる宝物の知識を賜ってござんす。」

 

 何だかやけに芝居掛った一挙手一投足をみるに、アウラは誰から〝正しい廓言葉〟を習ったのか察する。確かに古今東西の芸事に関し、至高の41人たる神々を除けばナザリックで右に出る者はいないだろうが……

 

「なんかパンドラと喋ってるみたいでムズムズする~~。」

 

 アウラはシャルティアに呆れた細目を向けながら率直な感想を述べた。その効果は激烈で、いままでの(たお)やかな様子は何処へやら……。見知ったシャルティアが顔を出す。

 

「な、なんかその言い方は卑怯でありんす!……じゃなく、卑怯にささんしょ!さてはわらわに嫉妬しているでありんすね!お座敷でわらわが舞を披露し共に小唄を歌い、夜見世の番でわらわはついに初夜を迎え……やがてはアインズ様より懸想文(ラブレター)を賜り……」

 

「ストップストップ!もう化けの皮剥がれてるし!」

 

「あーーー!だってこの喋り方疲れるでありんす!10秒以上やってたら頭がパンクしそうになるでありんす!チビ助!何かいい方法を一緒に考えるでありんすよ!」

 

「……もう勝手にしなんし。」




 


【蛇足】

セパ「という話を考えてまして、廓言葉について教えてくれません?」

執筆友人の歴女(オバロ未読)「廓言葉というとどれですか?」

セパ「どれ……?」

執筆友人の歴女「廓言葉の語源とされる京の女房詞、江戸前期の里詞、江戸の中期から後期に吉原でつかわれていた俗にいうありんす語とありますが。」

セパ「えっと……ありんす語……かな?」

執筆友人の歴女「まずその登場人物が吉原でどんな地位にいたかで変わりますね、【かむろ】と呼ばれる見習い遊女でしたら地方からの訛り詞をとるため統一された語尾を使う目的で (中略) 花魁は簡単に【ありんす】って使わないんですよね。当時のギャル語みたいなものなので、高級クラブのホステスが「それマ?」とか言ってたら変でしょ?それと同じで (だいぶ略) ……ということなんですが、簡単でしたけれど参考になりました? 」

セパ「ハイ、アリガトウゴザイマス。」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。