オーバーロード単発短編集   作:セパさん

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技術は飛躍的に進歩すれど

 眩い光が全身を包み、轟然(ごうぜん)たる大音響と共に、祈りの対価が形となって顕現(けんげん)する。その光景に死の支配者(オーバーロード)は情けなくも片膝をつき、血混じりのような呪詛を込めた悪態をついた。

 

「く、クソがぁ!」

 

 しかし自分はナザリック地下大墳墓の絶対支配者にして死の王。ここまできて斃れるなど出来るはずがない。再び天命に身を委ね、天命が己の味方をする瞬間を享受するため、禁断の魔法を使おうとする。しかし……。

 

 それは終わりの宣告。死の王でも免れることの叶わない無慈悲な絶望。

 

 次の瞬間、死の支配者(オーバーロード)はこの世の終わりとばかりに絶叫し、そのまま地に伏せうずくまった。

 

 

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「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

「モモンガさん!今回のイベントガチャ、ハイレアドロップの排出率0.03%以下だってニャルちゃん測定でもやってましたし、いろんな掲示板でも爆死勢で阿鼻叫喚ですよ!いままでにないくらい(から)い仕様ですって。」

 

 散々ガチャで爆死していく様子をみていたヘロヘロは思わずモモンガに声を掛ける。途中何度も止めたのだが、熱くなった人間を止めることは容易ではない。

 

「だってあの超人気軍事美少女クエストとのコラボガチャですよ!?歴代の史実に則った軍服!兵器!『ヴァルキュリアの失墜』以前のアイテムたちとは比べ物にならない品々が手に入るのは今だけなんです!」

 

「その結果が低レベルの金属のインゴットと軍事食(レーション)の山ですよね!?それにもしレアドロップ成功させたとして、魔法職のモモンガさんに銃やナイフが当たってもどうしようもないじゃないですか!」

 

「それらはすべてガーネットさんにプレゼントしますよ。私が欲しいのはそう!軍服!!」

 

「それならもう20着くらい当てているじゃないですか。」

 

「軍服は軍帽がセットじゃないと意味が無いのですよ!」

 

「運営の思うつぼ!」

 

「えっと……3756、4……セキュリティーコードは……」

 

「ちょっと……?モモンガさん?」

 

「さぁ天命よ!今こそ我に味方せよ!」

 

「やめてええええええええええええええ!!!!」

 

 

 

 ●

 

 

 

 宝物殿の談話室。護衛の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)や当番のメイドを身の回りから外し、アインズが素に近い言動をとれる数少ない場所。

「そういえば父上。ふと疑問に思ったのですが、本来宝物殿に仕舞われて然るべき一部の品がシズ・デルタの……失礼、ガーネット様の御部屋に置いてあるのは何故なのでしょう?他の御方々はこの宝物殿を信頼し、秘宝の全てを託しているように思えますが。」

 

 パンドラズ・アクターはやや不快気な様子でアインズに問う。パンドラズ・アクターからすれば宝物殿……ひいてはナザリック地下大墳墓や創造主であるアインズを信頼していないように思えて気分の良い話ではない。

 

「あ、ああ。それはえっと……。シズが【ナザリックのギミック全てを熟知する】能力があることからも解るように、ガーネットさんの作製した品々とはあの部屋にあってこそ真価を発揮する。気にすることではない。」

 

「は!申し訳ございません。出過ぎた発言でした。」

 

(確かにあの部屋はなぁ……。銃だレーザーだ手りゅう弾だと世界観おかしくなるくらい何でもありだからな。そういえば昔ガーネットさんが俺の大爆死した残留品からアイテム造ってくれたことあったっけ。)

 

 アインズは過去の愚かさに思わず内心笑みがこぼれる。過ぎ去ってしまえばそれも全て良い思い出だ。その後リアルで給料日まで餓死寸前に陥ったなど、美化された思い出の中には残っていない。

 

 

 ●

 

 

「あらシクスス、今日は凄く気合が入っているわね。」

 

「デクリメント!」

 

「そんな驚かないでよ。衣裳部屋のお掃除よ。そっか、明後日はアインズ様当番だったものね。」

 

「ええ、智謀の王たるアインズ様に御似合いとなる服を今から予習しているの。そういえばこの服はこれほどの量がありながら一度も着て頂いたことがないわね。まるで機能美の塊とも言える……」

 

「それはだめ!」

 

「え?」

 

「え?」

 

「……デクリメントどうしたの?急に?」

 

「解らないわ。ただ一瞬、本当に一瞬だけヘロヘロ様が脳裏に蘇って、何だか異様な危機感を……」

 

「そ、それって御方々の御神託ということ!?ならこの服はダメね。封印しておかないといけないかしら。」

 

「な、なにがあったのかしら?」 

 

 デクリメントは腑に落ちない気持ちを抱えたまま、そのまま衣装室の掃除へ戻った。

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