・稚作:ネイア・バラハの聖地巡礼!のネイアちゃんとはパラレル人物です。(ちなみにこっちも今日更新しています:ダイレクト宣伝)
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「「 魔導王陛下万歳!!魔導王陛下!! 」」
大地に轟き、天空に達するが如き大喝采を背に、ローブル聖王国の〝顔なしの伝道師〟〝狂信者の女教祖〟ネイア・バラハは演説台から天幕へ戻り、付けていた奇抜な仮面を外して大きく息を吐いた。麗しい金髪に整った鼻立ち、相応に整ったスタイルを持つ彼女であるが、ただひとつの欠点により、彼女を美女と呼ぶ者はいないだろう。
またの名を【凶眼の狂信者】。裏街道を歩くような独特の目つきは悪い意味で人目を呼び、それを忌避し、ネイアは不自然であることをわかりながら仮面を付けて伝道活動を行っている。
「バラハ様、お疲れ様で御座います。冷やした水タオルを準備しておきました。よろしければご利用ください。」
「あ、ありがとうございます。」
ネイアに濡れタオルを渡すのは黒い髪を短く切ったネイア・バラハ専属の女中であり、男性であれば目が奪われる豊かな胸が特徴的だ。
「本日は魔導国より使者が訪れるというご予定でしたが、本当にバラハ様お一人の対応でよろしいのでしょうか?」
「ええ、わたくしだけで大丈夫です。アインズ様の国からいらっしゃる使者なのですから……ええっと、歓迎の準備などはいらないと言われましたが鵜呑みにしていいのかな?んんん?」
既にローブル聖王国において神殿勢力を呑み込み、上回る勢いを持ったネイアの会。しかし成長速度があまりにも早すぎて、国同士の作法であったり、権謀術数については門外漢な事が多く、未だに苦汁を舐めることが多いのが現状だ。今回も敬愛すべきアインズ様の国より自分の設立した団体へ使者が来ると聞いた時はあまりの衝撃に卒倒しそうになっていたほど。
「いえ、失礼は出来ませんが、余計な真似は
そもそもネイアは魔導国の使者が人間なのかアンデッドなのかすら聞いていない。もし後者ならば飲食を使った歓迎は失礼というものだ。なにより偉大なるアインズ様の治めたる魔導国よりの使者、未だ支援物資を賜っているローブル聖王国の食事など口に出来たものではないだろう。
ネイアがそんな考えをしていると、事務方を任せているベルトラン・モロが合図を送って入室し――女中は男性を忌避するため退出させた――魔導国より使者が到着したことを告げた。ネイアは覚悟を決め、自分の頬を数度叩き、屋敷で一番の貴賓室へ向かった。
「魔導王陛下よりお話は伺っております。この度はローブル聖王国を真実へ導く女傑であられるネイア・バラハ様へお目にかかれ光栄に御座います。わたくしは……失礼、名は持ち合わせておりません。種族名であるエルダーリッチとお呼びください。」
「こちらこそ栄えある魔導国の使者様にお会い出来て光栄です。」
「それではこの度わたくしが訪れた理由ですが……」
ネイアにとって眼前にいる異形のエルダーリッチに恐怖心は無い。しかしその口から出てくる話はネイアの心情を怒髪天まで突き上げ、心神を摩耗させるに十分すぎるものだった。
「……つまり、リ・エスティーゼ王国のバカ貴族が、アインズ様の旗印を土足で踏みにじったと。」
「そういうことです。ですので……」
「我々に出来ることは御座いますでしょうか?矢尽き、弓折れるまでリ・エスティーゼ王国の貴族全員を血祭りにあげる準備をさせていただいてもよろしいのでしょうか?」
「あの、そういう話ではなく……」
「ああ、そのモチャラスなる貴族は生け捕りにしろということですね?わかりました。」
「ですから違うんです。この国璽に付随の印を頂きたいのです。」
「これは……宣戦布告ですね。畏まりました。では……あ!!」
「どうかされましたか?」
「当会は恥ずかしながら国璽に付随できるほど立派な印璽を持ち合わせておりません! 今から作成してもよろしいのでしょうか?」
「それだと捏造の疑いもかけられてしまうので……。出来れば多くに利用しているものを……。」
「え!?それだとあの……恥ずかしながら……。」
「いえ、印璽に恥も何も無いと思いますよ。」
「その……アインズ様よりご貸与頂き、お返ししたアルティメットシューティングスター・スーパーを模したわたくし自作の印になるのですが。」
「ええ、構わないと思います……。ローブル聖王国の国旗でもある水色のインクで捺印をいただければ。」
「アインズ様の御目にかかるのですよね!?なんとわたしは恥知らずなのでしょう!」
ネイアは赤面し、自身のブロンドの髪をわしゃわしゃと掻きまわす。最初に印璽を作った時は自分たちがこんな大組織になるなど思っても居なかったため、アインズ様への敬意と自身の趣味を全開にして造り上げたものだ。
「いえいえ! アインズ様よりルーン武器をご貸与されたとお聞きしておりましたが、そちらを印璽にされるとは流石に御座います。全く恥ずかしがることなどございません!」
使者として訪れたエルダーリッチは目の前の少女がアインズ様の御手により創造された【駒】であると聞き、どれほどの傑物であるかも事前の演説による下等種の狂信具合から実感はしている。だが、今目にしているのはどうみてもただの年相応な少女であり、アインズ様の深淵なる御考えに届かない自分を呪う他なかった。