オーバーロード単発短編集   作:セパさん

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・R-15です。

・タイトルから想像できるように、お食事中や前後で読む話ではないです。

・原作オバロ、くがね先生と異なる文体を使用しております。【アンチ・ヘイト】のつもりで書いていませんが、そんなの無理という方はバックしてください。

・俗にいうパロディです。

 以上を踏まえたうえでお読みください。




聖王国両脚羊牧場におけるアベリオンシープ嬰児が、その両親ならびに牧場にとっての重荷となることを防止し、かつ牧場のみならずナザリックに対して有用ならしめんとする方法についての私案

 生殖行為は生物が持ち合わせる原始的な本能であり、アベリオンシープもその例に漏れず、幾匹かの嬰児が誕生しようとしている。獣である両親に世話など出来るはずもなく、嬰児が不遇な目に遭うことは火を見るよりも明らかだ。

 

 しかしながら生物的本能として危急存亡の時分に子孫を残そうと、雄・雌問わず誰彼構わず管理の目を潜り抜け――意図的に見逃しているのだが――繁殖行為を行い、その結果懐妊する例も少なくない。

 

 アベリオンシープは一般に懐妊から出産まで280日±15日の日数を要し、その間雌が牧場本来の業務――特に生殖実験――をこなせないことは由々しき問題である。一番簡単な方法は堕胎であるが、下等種とはいえ母親が私生児を殺すという恐ろしい事態に眉をひそめる牧場作業員と推進派の作業員の軋轢によって牧場業務の効率性が落ちることは何よりも危惧すべきことだ。

 

 ここで、わたしは新生したアベリオンシープの利点を記すこととする。

 

 古来文献より言い伝えられるよう、よく世話された健康なアベリオンシープは、本来であれば肉質が硬く栄養価に乏しい個体と異なり、丸一歳を迎えると、その肉質はとても柔らかく、滋養強壮の薬として効果の期待できる食物になる。 ※栄養学的知見、生物学的知見は別紙①参照とする。

 

 また生まれたばかりのアベリオンシープは、丸一年間は母親の乳で育てられ、他の食べ物はわずかで済む。母親のアベリオンシープは生殖実験以外の通常業務に従事してもらう事で――不虞となる危険を伴わない程度という制約はつくが――本来食用に向かないアベリオンシープを栄えあるナザリックの食卓に並べられる逸品と出来る。

 

 慈悲深きアインズ・ウール・ゴウン様が以前〝無垢な者は褒美として与えられない〟と仰っており、ナザリック内で無垢な者を欲しがることは禁忌となっているが、牧場でのアベリオンシープの嬰児では問題がないと確認がとれている。絶対数が少ないため、高級食材となってしまうが、ナザリック内で唯一褒美として与えられる品の数としては適当であると考察する。

 

 調理法については料理長に確認をしているが、〝古代チュゴク〟なる場所では一般に食されていたらしく、秘伝の料理法を習得されている。それだけではなく、興味深い事に薬師のクラススキルを持つ者が〝カンポ〟という薬品として生成する能力を持っている事を確認した。

 

 またアベリオンシープは魔導国統治下にある下等種の数十種に生態が酷似しており、国家繫栄のため人口を意図的に操作する場合、懐妊から出産までのより正確なデータをとることが可能である。

 

 ただ上記の私見はアベリオンシープが健康体であることを前提とした仮説であり、飢え痩躯となった牧場のアベリオンシープであれば、望む結果は出せない恐れが高い事を記さなければならい。

 

 その場合、牧場の屠殺場でアベリオンシープの嬰児を解体するか、そのままシチューや丸焼きにする必要がある。獣でしかないアベリオンシープにはもったいない食事であるが、提供も吝かではない。

 

 牧場で出生したアベリオンシープの嬰児については、まだ研究が進んでおらず、母体の状態や環境による変化も観察対象として肉質・皮の状態をデータとして残す必要性があると具申する。

 

 前述したようにアベリオンシープは生殖本能に基づいて、衝動的な行為に及んでいるため、母体となる雌が実験体となることを恐れ生殖行為を止めることはないだろう。

 

 ――最後に、これは完全に筆者の願望であるが、種族変更実験の被験者が子をなした場合、直々に観察とデータ収集を行わせていただきたい。

 

 

 

 ●

 

 

 

「お目汚しとなる雑記ですが、ご一読ください。正式な論文をお望みでしたら、後ほど清書し、アルベド様へ提出いたします。」

 

 その場で速記された文章に目を通し、デミウルゴスは満足げに頷く。

 

「なるほど、これならばあの慈悲深いプルチネッラも納得するでしょう。」

 

 デミウルゴスの牧場を見学し、牧場で起こっている問題点を一目で見抜いたラナーにお褒めの言葉がかかる。デミウルゴスがラナーを牧場に連れてきたのは突然だったはずだが、事前にアベリオンシープについての学習を済ませており、料理長や薬師のみならず、アインズ様へも御意見を伺っていた事には少し驚いた。

 

 実際牧場の獣どもが後先考えず勝手に交尾をすることに困っていた。ラナーの意見を取り込めば、アベリオンシープの勝手な交尾を放置すべきかどうかという不毛な議論に終止符を打てる。

 

 牧場運営は至高の主から一任されている仕事だ。この程度の些事で主のご意見を伺うなど恥と考えて逡巡していたが、やはり外部の意見と言うのは参考になる。そして目の前の精神の異形種の能力も再確認できた。

 

「ありがとうございます。デミウルゴス様。」

 

「守護者統括殿から聞いているように、我々ナザリックは優秀な人材に労は惜しみません。あなたの願望についても前向きに検討いたしましょう。」

 

 ラナーはナザリックに貢献出来た喜びを胸に、ますます頭を垂れる。

 

 

 

 

 ――

 

 ―――

 

 ―――― 

 

 ラナーは自分の守護領域兼居住区域に戻り、溜息を吐いた。小悪魔(インプ)の身体になってから肉体的な疲労はほとんど感じなくなったが、精神的疲労は別だ。いきなりデミウルゴス様があのような場所に連れて行ったのは自分に対するテストに違いない。

 

 人間の残滓が残っていれば眉をひそめて然るべき場所で、自分の一挙手一投足を観察されていただろう。……もっとも、小悪魔(インプ)化の前に連れていかれても、同じ挙動をとることが出来た自信はあるが。

 

「やはり羊皮紙(スクロール)の正体やナザリックの管理する全てについて予習していて正解だったわね。失望されずに済んだかしら。」

 

 早くクライムに癒されたい。今日聞くべきは「最初の子供は男の子と女の子どっちがいいか?」にしようか。クライムは赤面し、慌てふためくだろう。その瞳を想像するだけでゾクゾクとする。

 

 自分とクライムに子供が出来たならばどれほどの愛を注げるだろう。クライムの瞳はどう変化するだろう。……小さく質素な部屋で、夢見るお姫様は静かに微笑んでいた。




・またもラナーの話です。……いっそのことラナーとクライムの話まとめてそっちに投稿しましょうかね?どうしましょ。
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