遊戯王VRAINS 風翼のバディ   作:乾燥海藻類

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第01話 ロスト事件①

内在性乖離。

それは耐え難いほどのストレスを感じたときに、潜在意識の中に「別人格」を創ることで自分を守るという一種の防衛本能だ。

辛い感情を引き受ける「別人格」にとってはたまったものではないが、その状況に耐えられるように創られているので、ある意味問題はないともいえる。

記憶も受け継いでいる。

基本人格(本来の自分)であるこの少年は両親に虐待されていた。

それに耐え切れず家を飛び出したところで、また別の誰かに拉致監禁された。そしてこの状況に耐えられずに防衛本能が発動した。

そういった経緯で俺という存在が生まれたわけだ。

で、だ。

今の状況を説明すると、俺は窓もない小部屋に監禁されてデュエルモンスターズ(カードゲーム)を強要されている。

冗談と思うなかれ、これがマジな話なんだな。ゴーグルを付けて1日に3回、VR空間でAIとデュエルする。勝てば食事が豪華になり、負ければ簡素なものになる。ついでに電流も流される。

俺が体験したわけではないが、我が事のような実感がある。考えることは色々とあるが、刻限が迫っている。

VR上のデータを操作して、自身のデッキを表示する。ふむ、これはかなり混乱していたようだな。パッと見た限りでも、あまり勝てそうなデッキではない。

これを組み直す。とりあえず使えそうなカードを見つけたので、それを軸にデッキを組んでいく。

とそこでアラームが鳴った。デュエル開始の5分前だ。

時間がなかったので完成とは言い難いが、相手(AI)のレベルは、まだそこまで高くない。おそらく勝てるだろう。

ゴーグルをかぶると、正面にヌボーッとした黒い人影が現れた。

カウントダウンが始まる。

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「ワタシの先攻デス。スタンバイからメインへ。《切り込み隊長》を召喚して効果を発動シマス。手札からもう1枚の《切り込み隊長》を召喚。ターンエンドデス」

 

AI LP4000 手札3 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

伏せカードはなし。切り込み隊長は、他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない効果か。これを2体並べることで、相手は攻撃できなくなる……であってるよな。

 

「なら1体だけにすればいい。手札を1枚捨てて、魔法カード《ブラック・コア》を発動。《切り込み隊長》をゲームから除外する」

 

突然現れた黒い穴に剣士の1体が吸い込まれていく。これでロックは崩れた。

 

「コストで墓地に行った《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》の効果発動。デッキから《サイバー・ドラゴン》を手札に加える。そして《融合》発動。手札の《サイバー・ドラゴン》2体を融合する。来いッ! 《サイバー・ツイン・ドラゴン》!!」

 

《サイバー・ツイン・ドラゴン》

星8/光属性/機械族/攻2800/守2100

 

轟音を立てて現れる双頭の機械龍。凄い迫力だ。

 

「サイバー・ツイン・ドラゴンは2回の攻撃が可能。切り込み隊長に攻撃、続けてダイレクトアタック。ツイン・エヴォリューション・バースト!」

 

破壊の力を秘めた一条の光が空を裂く。それは切り込み隊長を吹き飛ばし、2度目の攻撃で相手のライフを全て削り切った。

 

 

 

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