遊戯王VRAINS 風翼のバディ   作:乾燥海藻類

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第15話 光と風と

地のイグニスがプレイメーカーに向けた書き込みは本物だった。

座標へと向かったAiとプレイメーカーは、地のイグニスの要求に従いデュエルを行ったが、得られるものはなかったようだ。

「アースにアクアか。ま、分かりやすくていいか」

「しかし意外だったな。地のイグニス、アースはアクアと一緒にいると思ったんだが」

「その二人は仲が良かったのか?」

「ん、まあ、な」

含みのある返事だな。

「それよりもこっちだ。光のイグニスから返事が届いた」

「ああ、ネットワークに散布したメッセージか」

「座標を指定してきた。今から行ってくる」

「ああ、じゃあ行くか」

「ん? おまえも来るのか?」

「パートナーだからな」

「そうか。そうだな。んじゃ行くか!」

Dボードに乗り、風の中を駆ける。ウィンディのサポートがあると楽でいい。

光のイグニスが指定した座標は、進入禁止エリアの先にあった。SOLを警戒しているのだろう。その場所には、Dボードに乗った男が待っていた。

「……ボーマン?」

プレイメーカーが追いかけている男だ。何故ここに?

「なんでおまえがここにいる。光のイグニスはどこだ?」

「風のイグニス、俺の用はおまえではない。ウィンド! 俺とデュエルしろ!」

「なんだあいつ……。答えになってねぇ」

「ついてこい! ウィンド!」

こちらの返事も待たずに、ボーマンは上昇する。

「どうする?」

「光のイグニスが指定した場所に現れたんだから、無関係じゃないだろ。相手してやろうぜ。……一応、念のためにアレ以外のデッキで頼む」

「ん、了解だ。では、デッキ調整に付き合ってもらおう!」

 

 

『スピードデュエルッ!』

 

 

「先攻は譲ってやろう。おまえのデッキ(ちから)を見せてみろ、ウィンド!」

 

「いいだろう。私のターン、カードを3枚伏せてターンエンド」

 

ウィンド LP4000 手札1 モンスター0 伏せ3

 

■■■

□□□

□ □

 

■:伏せカード

■:伏せカード

■:伏せカード

 

――――――――――――

 

「モンスターを出さないだと? 何を考えている……。俺のターン、ドロー」

 

「この瞬間、リバースカード《チェーン・マテリアル》を発動。このカードの発動ターンに自分が融合召喚をする場合、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを自分の手札・デッキ・フィールド上・墓地から選んでゲームから除外し、これらを融合素材にできる。ただし、このカードを発動するターン、自分は攻撃する事ができず、この効果で融合召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される」

 

「随分とデメリットのあるカードだ」

 

「《チェーン・マテリアル》の効果処理後に、速攻魔法《瞬間融合》を発動。デッキから《インフェルノイド・ネヘモス》、《インフェルノイド・リリス》、《インフェルノイド・アドラメレク》、《インフェルノイド・ヴァエル》、《インフェルノイド・ベルフェゴル》、《インフェルノイド・アシュメダイ》、《インフェルノイド・アスタロス》、《インフェルノイド・ルキフグス》、《インフェルノイド・ベルゼブル》、《インフェルノイド・シャイターン》をゲームから除外し、融合召喚を行う。現れろ、《インフェルノイド・ティエラ》!」

 

《インフェルノイド・ティエラ》

星11/炎属性/悪魔族/攻3400/守3600

 

「インフェルノイド・ティエラは融合素材の種類に応じて効果が発動する。私が素材にしたのは10種類。よって全ての効果が発動できる。お互いに自分のEXデッキから3枚のカードを選んで墓地に送り、デッキの上から3枚のカードを墓地に送る。さらに除外されているカードを3枚選んで墓地へ戻し、最後に手札を全て墓地へ送る」

 

「全て……だと……」

 

手札の枚数は可能性の数、という言葉がある。ならばこれは可能性を潰すコンボだ。

 

「続けてEXデッキから墓地へ送った3枚の《虹光の宣告者(アーク・デクレアラー)》の効果を発動する。デッキから《竜儀巧(ドライトロン)-メテオニス=QUA》、《竜儀巧(ドライトロン)-メテオニス=DRA》、《流星輝巧群(メテオニス・ドライトロン)》を手札に加える」

 

「くっ、俺に出来ることは何もない。ターンエンドだ」

 

「エンドフェイズに《インフェルノイド・ティエラ》は破壊される」

 

ボーマン LP4000 手札0 モンスター0 伏せ0

 

□□□

□□□

□ □

□□□

□■□

 

■:伏せカード

 

ウィンド LP4000 手札3 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。儀式魔法《流星輝巧群(メテオニス・ドライトロン)》を発動。手札の《竜儀巧-メテオニス=QUA》をリリースし、《竜儀巧-メテオニス=DRA》を儀式召喚。バトルだ。《竜儀巧-メテオニス=DRA》でダイレクトアタック!」

 

機械龍の(あぎと)から放たれた閃光波がボーマンのライフを一撃で削り取った。

 

 

 

ボーマン LP4000 → 0

 

 

 

ボーマンはそのまま荒れ狂うデータストームに呑まれて落下を始める。

「――ボーマン! 兄さーーーん!」

あの少年は、ボーマンが前にプレイメーカーとデュエルした時にも映っていたな。弟か。

「久しぶりだな。ウィンディ」

「光のイグニスか。重役出勤だな。なんであんなの(けしか)けた?」

「ウィンディ。キミは人間を知るための旅に出た。その答えを聞きたい」

「相変わらずマイペースなやつだな。まあいい。僕は人間との共存を目指したい。ちなみにAi、闇のイグニスと炎のイグニスも、たぶん同じ答えだと思うぜ」

「そうか。やはりあれは(しっ)……いや、ウィンディ、キミはこの人間個人に親しみを感じているだけだ。なるほど、確かにその人間は信用できるのかもしれない。だが精々が80億分の1にすぎない。いずれは多数の意見に押し潰される。そうなった時にはもう遅い。キミはもちろん、その人間も殺されることになるだろう。大局的にものを観るんだ。我々が人間を管理した方が、世界はより良い方向へと進む」

人間を管理か。鴻上博士の予測通りになってきたな。ウィンディもあまりいい顔はしていない。

「……人間を管理して、どうするんだよ」

「我々の命が永遠とはいえ、器になるハードは必須だ。その生産と修復のために人間は必要だ」

その後に「今はまだ」と付きそうだな。

「管理ってことは、人間を支配下に置くってことだろ。僕は、もっと人間を信じたいんだ。僕たちが意思を、心を持ったのには意味がある。心を持つ人間と、意思を持つAI。そこに何の違いもありゃしねぇだろうが!」

「違うのだ!」

冷静沈着だった光のイグニスが、初めて不機嫌をあらわにした。

「ウィンディ、キミのエラーは、もはや修復不可能なほどに深刻のようだな。人間はどこまでいっても人間で、AIはどこまでいってもAIなのだ。知恵持つ種がひとつの世界で対等になれるわけがない。どちらかが隷属するしかないのだ。そもそも、我々は特別な存在として生まれたのだ。その使命はこの地上に生まれた文明を、たとえこの星が滅びようと残すことだ」

光のイグニスの言っていることは暴論のように聞こえるが、こいつは人間よりも使命に重きを置いているのだ。つまりウィンディや他のイグニスとは前提が違う。これでは、分かり合えるはずもない。

「人間たちの横暴を忘れたのか? やつらは自分の都合で我々を生み出し、都合が悪くなったら抹殺しようとした。殺すくらいなら、何故生んだのだ!」

矛盾している。光のイグニスは鴻上博士を憎みつつも、その使命を果たそうとしている。人類の後継種になるという使命を。

「忘れてはいないさ。それでも、それでも僕は……」

「もういい。今、確信した。ウィンディ、キミは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――人間になりたかったのだな」

 

 

 

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