遊戯王VRAINS 風翼のバディ   作:乾燥海藻類

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第22話 合体戦士

ウィンディたちが消えてから数分後、奥からふたりの男がカツカツと歩み寄ってきた。

「ライトニング様に呼ばれて来たものの」

「ご本人がいないではないか」

赤と青、もはや見慣れた量産型が訝し気にこちらを覗き込む。

「この人間、知っているか? ブート」

「もちろんだとも、ビット。彼はウィンド。風のイグニスのパートナーだ」

「だが風のイグニスはいないようだが?」

「かといって見逃すという選択肢はない。侵入者は排除する。既に多くの同胞がやられているわけだしな」

「なるほど。全面的に同意しよう」

「というわけだ、人間」

示し合わせたようにデュエルディスクを構えるビットとブート。ふむ、2対1か。

「いいだろう。だが2対1だ。条件を対等にするため、私の初期手札は10枚とさせてもらう」

「好きにしろ。では――」

「待てビット。その条件は対等とはいえない。こちらが不利だ」

「所詮人間だ。調整された我らの敵ではない」

「キミの意見にも一理ある。だがよく考えてみれば、数に頼んで叩きのめすというのは美しくない。ならば、正々堂々と1対1で戦うことを提案する」

「1対1? そうか、アレだなブート。だが、アレはライトニング様に禁じられているはず」

「あの時とは状況が違う。ライトニング様も納得されるだろう」

ブートの提案にビットが頷く。どうやら同意するらしい。

ふたりがガッと手の平を握り合うと、カッと閃光がほとばしった。

「うぉッ! まぶしッ!」

その光の中からひとりの合体戦士が現れる。

「我らはビット。我らはブート。そして我らはビットブート。では始めよう、人間。さあ始めよう、ウィンド。いざ尋常に――」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「先攻は我らのもの。まずは魔法カード《九字切りの呪符》を発動。手札のレベル9モンスター《虚の王 ウートガルザ》を墓地に送り、カードを2枚ドローする。《召喚僧サモン・プリースト》を召喚。召喚時このカードは守備表示になる。手札の魔法カード1枚をコストに効果発動。デッキから《トレジャー・パンダー》を特殊召喚し、効果発動。墓地の魔法カード1枚を裏側表示で除外し、デッキから《ウォーター・スピリット》を特殊召喚する」

 

僧侶がパンダを呼び出し、パンダが氷水の精霊を呼び出す。チューナーを含むモンスターが3体。さて、リンクかシンクロか、はたまたエクシーズか。

 

「レベル4の《召喚僧サモン・プリースト》と《トレジャー・パンダー》に、レベル1の《ウォーター・スピリット》をチューニング。現れろ、シンクロレベル9。《飢鰐竜アーケティス》!」

 

《飢鰐竜アーケティス》

星9/水属性/魚族/攻1000/守1000

 

「アーケティスの効果により、デッキからカードを2枚ドローする。アーケティスを対象に、速攻魔法《星遺物の胎導》を発動。見せてやろう、我らが得た新たなる力、王の力を! デッキから《死の王 ヘル》、《光の王 マルデル》を特殊召喚!」

 

顕現する2体の(ジェネレイド)。1体は圧倒的な死の気配を振りまく漆黒の女王。もう1体は高潔さを感じさせる光輝なる女王。

 

「マルデルの効果により、デッキからフィールド魔法《王の舞台(ジェネレイド・ステージ)》を手札に加え、そのまま発動。ヘルの効果も発動だ。マルデルをリリースし、墓地のウートガルザを守備表示で特殊召喚。そしてレベル9の《飢鰐竜アーケティス》と《死の王 ヘル》の2体でオーバーレイネットワークを構築。更なる皇の力を見よ! ランク9、《真竜皇V.F.D.》!」

 

《真竜皇V.F.D.(ザ・ビースト)

ランク9/闇属性/幻竜族/攻3000/守3000

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

ビットブート LP4000 手札3 モンスター2 伏せ1

 

□□□□■

虚□□□□舞

 皇 □

 

虚:虚の王ウートガルザ 守備力2700

皇:真竜皇V.F.D. 攻撃力3000

舞:王の舞台

■:伏せカード

 

――――――――――――

 

「私の……ああ、もういいや。俺のターン、ドロー!」

 

「相手がデッキからカードを手札に加えた時、《王の舞台》の効果を発動できる。デッキから《氷の王 ニードヘッグ》を守備表示で特殊召喚。さらに相手ターンに「ジェネレイド」モンスターを特殊召喚したことで、《王の舞台》の第2の効果が発動する。我らのフィールドに「ジェネレイドトークン」(天使族・光・星4・攻/守1500)を攻撃表示で可能な限り特殊召喚する」

 

氷の王に付き従うように、宝玉のようなトークンが揺らめきながら出現した。攻撃力はさほど高くない。考えようによっては良い的だが……。

 

「これで特殊召喚は封じた。さらにV.F.D.(ザ・ビースト)の効果発動。オーバーレイユニットを1つ取り除き、属性をひとつ宣言する。フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。我らが宣言するのは「光」だ!」

 

ビットブートが高らかに光属性を宣言する。だが属性変更の効果はフィールド上のモンスターのみ。手札や墓地には影響しない。突破口はそこだ。

 

「まずはご自慢の王の力を排除させてもらおうかな。《虚の王 ウートガルザ》と《氷の王 ニードヘッグ》をリリースして、《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を特殊召喚する」

 

「なんだとッ!?」

 

特殊召喚を無効化できるといっても、本体がリリースされれば無意味だよな。

 

「だがこれで通常召喚はできなくなった」

 

「そうだな」

 

通常召喚ができないなら、特殊召喚すればいいじゃない。

 

「魔法カード《予想GUY》を発動。デッキから《エンジェル・トランペッター》を特殊召喚。続けて《限界竜シュヴァルツシルト》を特殊召喚。レベル8のシュヴァルツシルトに、レベル4のエンジェル・トランペッターをチューニング。現れろ、《炎斬機ファイナルシグマ》!」

 

《炎斬機ファイナルシグマ》

星12/炎属性/サイバース族/攻3000/守 0

 

「やるな。だがV.F.D.(ザ・ビースト)の効果が適用中だ。攻撃はできまい」

 

「知らなかったのか? EXモンスターゾーンにいるファイナルシグマは「斬機」以外のカード効果を受けない。よってその効果は無意味だ」

 

「な、なんだとッ!?」

 

「ファイナルシグマに《斬機刀ナユタ》を装備して、バトルだ。ファイナルシグマでジェネレイドトークンに攻撃!」

 

「バカめッ! 手札から《オネスト》の効果発動。このカードを墓地に送り、戦闘する相手モンスターの攻撃力を加える!」

 

ジェネレイドトークン 攻撃力1500 → 4500

 

やっぱり握ってたか。光属性を宣言したから、もしやと思っていたが。まあ問題はない。オネストの発動タイミングはダメージ計算前までだから。

 

「ダメージ計算時、装備魔法《斬機刀ナユタ》の効果を発動する。デッキから「斬機」モンスターを墓地に送り、その攻撃力を加算する。俺は《斬機マルチプライヤー》を墓地に送る」

 

炎斬機ファイナルシグマ 攻撃力3000 → 3500

 

「ふっ、たかが500のアップ。大したことないな!」

 

「それはどうかな。墓地に送られたマルチプライヤーの効果発動。EXモンスターゾーンにいる自分のサイバース族モンスターの攻撃力を、ターン終了時まで倍にする」

 

炎斬機ファイナルシグマ 攻撃力3500 → 7000

 

「な、7000だとぉッ!? だ、だがラヴァ・ゴーレムのダメージを考慮してもライフは残る。次のターンで――」

 

「次のターンはない! ファイナルシグマがEXモンスターゾーンでバトルする時、相手に与える戦闘ダメージは倍になる!」

 

「ぐっ、ならば必殺のミラーフォースを――ハッ!?」

 

「焦りすぎてバグったか? 言ったはずだ。ファイナルシグマはEXモンスターゾーンにいる限り、「斬機」以外のカード効果を受けない。そもそも「攻撃宣言」はすでに終わっている。ミラーフォースが発動できるタイミングじゃない。潔く散れ! 一撃必殺! 紅蓮羅斬!」

 

「バカな……我らが人間如きにーーーッ!!」

 

 

 

ビットブート LP4000 → 0

 

 

 

「ブートのせいで負けてしまったではないか!」

「それはこちらのセリフ」

「合体などするのではなかった!」

「それもこちらのセリフ」

うるせぇなこいつら。

しかし、ウィンディがまだ戻らない。何かあったのか?

……いやな予感がする。

 

 

 

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